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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

バイクは とまっても、エンジンは なぜ とまらないの?

信号待ちでバイクが止まっても、エンジンは回り続けるのはなぜか

止まれないエンジンと止まる後輪 ── クラッチと変速機、スーパーカブの自動遠心クラッチ、Honda E-Clutch

分野:技術

しんごうで バイクが とまっても、エンジンは まわりつづけて います。うしろの タイヤは、ぴたっと うごかないのに です。

エンジンと タイヤの あいだで、なにが おきて いるのでしょう。つないだり きったり する ぶひんと、それを 人の 手から きかいに まかせた バイクの ことが わかります。

信号待ちで止まっているバイクの横に立つと、エンジンの音が聞こえます。後輪はぴたりと動かないのに、エンジンは回り続けているのです。

回るエンジンと止まる後輪は、どこでどうやって切り離されているのでしょうか。エンジンから後輪までの道すじと、その途中の「つなぐ・切る」役目を、手の操作から機械へ移した例(スーパーカブとHonda E-Clutch)が分かります。

停止中のバイクでも、エンジンはアイドリングで回り続ける。ところが後輪は止まっている。この食いちがいを受け持つのがクラッチである。

クラッチの構造、変速機とチェーン、そのクラッチ操作を機械に任せた1958年のスーパーカブ(自動遠心クラッチ)と2023年のHonda E-Clutch(モーターとセンサー)を、資料を比べて読むと分かる。

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1. しんごうで とまっても、エンジンは なぜ まわって いるの?

1. 信号待ちのバイクでは、エンジンは回り、後輪は止まっている

1. アイドリングと停止 ── エンジンと後輪の回転が切り離される理由

あかしんごうで バイクが とまりました。うしろの タイヤは うごきません。でも、エンジンの おとは つづいて います。

これを「アイドリング」と いいます。エンジンは まわったまま、バイクだけが とまって いられる のです[1]。

まわる エンジンと とまる タイヤを、なにが わけて いるのでしょう。まずは エンジンの なかを のぞいて みます。

赤信号でバイクが止まり、乗っている人が足を地面に着けます。後輪はぴたりと止まりましたが、エンジンの音は途切れません。エンジンが回ったまま車体が止まっている、この状態がアイドリングです。

バイクの解説記事は、アイドリングしながら止まったり、止まった状態から動き出したりするために、エンジンと後輪の間でクラッチをつないだり切ったりする操作が欠かせない、と説明しています[1]。つまり、エンジンと後輪はいつも直結しているのではなく、間に「つなぐ・切る」ための部品が挟まっているのです。

その部品を見る前に、まず、回り続けるエンジンの中で何が起きているのかを知っておきましょう。

信号待ちの二輪車は、車輪が止まっているのにエンジンは回っている。アイドリングと呼ばれるこの状態が成り立つのは、エンジンの回転と後輪の回転が、いつでも切り離せるようになっているからだ。解説記事も、アイドリングしながら停止し、ゼロから発進させるには、駆動トルクを後輪へ徐々に伝えるクラッチの断続や半クラッチ操作が欠かせないと述べる[1]。

では、エンジンを止めてしまえばよいのではないか。実際には、エンジンには高いトルクが出せる回転域に限りがある一方で、後輪は停止から高速まで、十分な駆動力を必要とする[1]。この食いちがいのうち、回転と駆動力の幅を補うのが変速機で、発進や停止のときに動力をつないだり切ったりするのがクラッチである。順に見るが、まずエンジン側の動きから確かめる。

2. エンジンの なかでは、なにが くりかえされて いるの?

2. エンジンの中では、4つの動きがぐるぐる繰り返されている

2. 4ストロークの1サイクル ── 吸気・圧縮・燃焼・排気の4行程

バイクの エンジンの なかでは、4つの うごきが くりかえされます。くうきと ねんりょうを すいこむ。ぎゅっと おしちぢめる。もえる。もえた あとの きたいを だす。この 4つです[2]。

この 4つで 1セット です。1セットの あいだに、ピストンは 2かい いったり きたり して、じくは 2かい まわります[2]。

むかしの ちいさな バイクは、べつの 2ストロークと いう エンジンが おおかったのですが、けむりと においが おおく、いまは ごく すこしです[4]。

こうして まわる エンジンの ちからを、どう うしろの タイヤに おくるのでしょう。

エンジンの中では、ピストンが上下しながら、4つの動きを順に繰り返しています。空気と燃料の混ざった気体を吸いこむ「吸気」、押し縮める「圧縮」、燃える「燃焼」、燃えたあとの気体を外に出す「排気」です。これで1サイクルになり、その間にピストンは2往復し、クランク軸は2回転します[2]。

バイクの解説では「吸気→圧縮→爆発→排気」と書かれることが多いのですが、「爆発」は通称で、実際は混ぜた気体が燃えている動きです[3]。

むかしは、小さなバイクでは2ストロークという別の方式が主流でした。燃料にオイルを混ぜて潤滑するため、白煙やにおいが出やすく、排ガス規制に対応しにくくなりました。いま積んでいる車種は、ごく少数です[4]。

こうして回り続けるエンジンの力を、どうやって後輪に送り、必要なときだけ切るのでしょうか。

四輪車と同じく、現在の二輪車の多くは4ストロークエンジンを使う。吸気・圧縮・燃焼(膨張)・排気の4行程を1サイクルとし、その間にピストンは2往復、クランク軸は2回転する[2]。バイクの解説では「爆発」と書かれることがあるが、これは通称で、実際は混合気の燃焼である[3]。

ところで、かつて小排気量の二輪車では2ストロークが主流だった。排気に燃料が混ざって排出ガス性能が悪くなり、潤滑のために燃料へオイルを混ぜるので白煙やにおいも出る。排ガス規制に対応できず、現在の搭載車種はごく少数にとどまる[4]。ただし「消えた」わけではなく、少数は現存する。

ここで押さえておきたいのは、エンジンが「回転する機械」であることだ。ピストンの往復を回転に変え、回り続けるのが前提になっている。では、そのままの回転を後輪へつないだらどうなるか。次の章で、その問いに答える。

3. クラッチって、なにを つないだり きったり するの?

3. クラッチは、エンジンと後輪の間にある「つなぐ・切る」部品

3. クラッチの構造と半クラッチ ── 動力を少しずつ伝える

エンジンが まわった まま、タイヤだけ とめる ために、クラッチと いう ぶひんが あります[1]。

クラッチの なかには、まるい 円ばんが なんまいも かさなって います。ふだんは ばねが 円ばんを おしつけて、つながって います。左手で レバーを にぎると、ばねが ちぢんで すきまが できて、きれます[1]。

うごきだす ときは、レバーを すこしずつ もどします。すこし つながった ところを「はんクラッチ」と よびます。エンジンの ちからが、ちょっとずつ タイヤへ いきます[1]。

たとえば、すべりやすい ゆかの うえで、てを ゆっくり おしつけて ものを うごかす かんじに にて います。ただし ほんとうは、もっと ふくざつな しくみです。

クラッチの中には、素材のちがう円盤が交互に何枚も重なっています。ふだんはバネが円盤を押しつけているので、エンジンの力は後輪側へ伝わります。レバーを握るとバネが縮み、円盤の間にすき間ができて、力が切れます[1]。

つまり、クラッチは「握っているときに切れる」部品です。止まりたいときは握って切り、動き出したいときは、握った手を少しずつ戻します。完全に切れてもいない、完全につながってもいない中間の状態が「半クラッチ」で、エンジンの力が後輪へ徐々に伝わります[1]。

オートバイでは、複数の摩擦面をもつ「湿式多板クラッチ」が一般的とされています[5]。つなぎ方の加減は、乗る人が手の感覚でします。手でやる分、慣れが必要な部品でもあります。

では、つないだ力はどう変えて、後輪まで届けるのでしょうか。

クラッチは、異なる素材の円盤を交互に複数枚重ねた構造をもつ。通常はスプリングが円盤を押しつけて動力がつながり、レバーを握るとスプリングが縮んで円盤にすき間ができ、切れる[1]。オートバイでは、複数の摩擦面を備えた湿式多板(しっしきたばん)クラッチが一般的とされる[5]。

この構造のおもしろさは、つなぐ状態が既定で、切る操作がレバーという点にある。そのため、止まりたいときは握り、発進するときは握った手をゆるめていく。完全に切れても完全につながってもいない状態を保つのが半クラッチで、駆動トルクを徐々に後輪へ伝える役目をもつ[1]。

この「中間」を人の手でつくる。半クラッチの加減は、レバーを握る指の感覚で調整する。この調整を機械に任せる発想が、あとで見る2つの例につながる。一方、クラッチの次に控える変速機は、回転の使い分けを受け持つ。

4. ギアと チェーンは、なにを して いるの?

4. ギアで回転を使い分け、チェーンで後輪へ送る

4. 変速機とファイナルドライブ ── チェーン・シャフト・ベルト

エンジンは、ちからが よく でる はやさの はんいが きまって います。でも うしろの タイヤは、とまって いる ところから、はやく はしる ところまで、いろいろな ちからが いります[1]。

そこで ギアを かえる そうち(へんそくき)で、つかい わけます。ギアは、足で ペダルを ふんで かえます。

ギアを とおった ちからは、うしろの タイヤまで おくられます。おくる ほうほうは、チェーン、シャフト、ベルトなどが あります[5]。チェーンは、じてんしゃの チェーンと にた ものです。

ここまでが、バイクが うごく みちすじです。この 手の しごとを、きかいに まかせた バイクが あります。

エンジンは、力が強く出せる回転の範囲がかぎられています。ところが後輪は、止まった状態から高速で走るところまで、幅広い駆動力が要ります[1]。この差を埋めるのが、変速機(トランスミッション)です。足元のペダルで歯車の組み合わせを切りかえ、回転を使い分けます。

変速機を出た力は、車軸(後輪)へ運ばれます。この運び方には、ローラーチェーン、シャフト(軸)、歯付きベルトなどがあります[5]。チェーンは自転車のものと似た仕組みで、動力を伝える方法の1つです。

ここまでの道すじをまとめると、エンジン、クラッチ、変速機、チェーンなどの伝え方、後輪の順になります。止まるとき、動き出すとき、速さを変えるときに、人の手と足が働いています。この手の仕事を機械に任せた例が、スーパーカブとHonda E-Clutchです。

エンジンには、高いトルクが出る回転域に限りがある。他方、後輪は停止から高速まで十分な駆動力を要する[1]。この要求の幅を1つの回転数で受けるのは難しいため、変速機が間に入り、回転とトルクの組み合わせを段階的に切りかえる。

変速機の次は、車軸への最終的な伝達である。ここにはローラーチェーン、プロペラシャフト(シャフトドライブ)、歯付ベルトという方法があり[5]、チェーンドライブはその1つである。

ここまでを整理すると、動力はエンジン、クラッチ、変速機、最終伝達、後輪の順に進む。止まる・動き出す・速さを変えるの3つの場面で、クラッチと変速機を操作するのは、通常は乗り手の手と足である。では、この操作のうちクラッチを機械が受け持つバイクは、どんな作りになっているのか。

5. スーパーカブは、どうして 手で クラッチを にぎらないの?

5. 手のクラッチ操作をなくしたスーパーカブ

5. スーパーカブC100(1958年)── 自動遠心クラッチと、足だけの変速

スーパーカブは、1958ねんに うまれた バイクです。さいしょの C100は、4.5ばりきの 4ストロークエンジンを つんで いました[6]。

この バイクには、手で にぎる クラッチの しごとが ありません。「じどうえんしんクラッチ」と いう しくみで、手を つかわずに すむ ように なって います[7]。

ギアを かえる ときは、左足の ペダルを つかいます。つまさきがわを ふむと ギアが あがり、かかとがわを ふむと さがります[7]。

この スーパーカブは、2017ねん10がつ19にちに、せかいで 1おくだい つくられました[6]。1おくだいは、1びょうに 1だい つくっても 3ねん いじょう かかる かずです。

1958年に生まれたホンダのスーパーカブ(最初のモデルはC100)は、4.5馬力の空冷4ストロークOHV単気筒、49ccのエンジンを積んでいました[6]。

このバイクの特徴の1つが、「自動遠心クラッチ」です。手でクラッチを操作する必要がなく、変速は足元のペダルだけで済みます。ペダルはシーソーのような形で、つま先側を踏むとギアが上がり、かかと側を踏むと下がります[7]。

前の章で見た「半クラッチ」の加減を、乗り手の手ではなく、機械が受け持つ作りです。クラッチの原理の細かい説明は、今回の資料では確認していないので、ここでは触れません。

スーパーカブシリーズの世界での生産台数は、2017年10月19日に累計1億台に達しました[6]。計算してみると、1億秒はおよそ3年2か月なので、1秒に1台作り続けても3年あまりかかる数です。手の操作を減らす工夫が、これだけ広く使われたことになります。

スーパーカブC100は、1958年6月に生産を始め、8月に発売された。搭載エンジンは、4.5馬力を出す空冷4ストロークOHV単気筒の49ccである[6]。この車に自動遠心クラッチが付き、乗り手は手でクラッチ操作をしない。ペダルはシーソー式で、シフトアップはつま先側、シフトダウンはかかと側を踏む[7]。

前章の半クラッチの調整が、乗り手の手の感覚に頼るものだったことを思い出すと、これは「つなぐ・切る」を機械側へ移した設計だと読める。ただし、自動遠心クラッチが働く原理には、ここでは踏みこまない。変速そのものは、足のペダルで乗り手がする点も、後のE-Clutchと共通である。

スーパーカブシリーズの世界生産台数は、2017年10月19日に累計1億台へ到達した(ホンダ発表、熊本製作所で記念式典)[6]。1億秒は約3.17年なので、1秒に1台作っても3年あまりかかる計算である。クラッチ操作の負担を減らす設計が、これだけの規模で使われてきたことは確かだが、台数の多さの理由をクラッチだけに結びつけることはできない。

手のレバーをなくす方向は、1958年で終わらなかった。次は、クラッチをモーターで動かす例を見る。

6. クラッチを モーターが うごかすって、ほんとう?

6. 2023年、クラッチをモーターが動かす Honda E-Clutch

6. Honda E-Clutch ── センサーの情報でクラッチを断続する仕組み

2023ねん11がつ7にち、ホンダは「Honda E-Clutch」を はっぴょう しました。ホンダは、にりんしゃ(バイク)で せかいはじめての しくみだと いって います[8]。

これを つけると、はっしん・へんそく・ていしの ときに、クラッチレバーを にぎらなくて よく なります[8]。レバーを にぎれば、そのあいだは 人の てで うごかせます。しくみを きる スイッチも あります。

なかには、ちいさな モーターが 2つ あります。センサーが しらべた エンジンの まわりかたや、タイヤの はやさを もとに、クラッチを うごかします[9]。ギアを かえる のは、いまも 足の ペダルです。

カブは しくみで、E-Clutchは モーターと センサーで、おなじ なやみを といて います。

ホンダは2023年11月7日、世界初の二輪車用「Honda E-Clutch」を発表しました。発進・変速・停止のときに、ライダーがクラッチレバーを操作しなくてよくなる仕組みです。レバーを握れば、一時的に手動の操作へ移ることもでき、システムのON・OFFもできます[8]。「世界初」はホンダの発表です。

中身は、2つの小型モーターとギア、制御用のMCU、三分割式のクラッチレバーシャフト、エンジンを制御するECUなどです。エンジン回転数、スロットル開度、ギアの信号、車輪の速さなどの情報をもとに、クラッチを動かします[9]。変速そのものは、ライダーが足のペダルで行います。

前の章のスーパーカブは、手のクラッチ操作を、機械の側に任せる作りでした。E-Clutchも、手のクラッチ操作を減らす点は同じですが、センサーとモーターで動かす電子の仕組みです。同じ悩み(つなぐ・切るの難しさ)を、60年あまり離れた時代が、別の方法で解いたことになります。

ホンダは2023年11月7日、「世界初」と述べる二輪車用の電子クラッチ「Honda E-Clutch」を発表した。ライダーのクラッチレバー操作なしで発進・変速・停止ができ、レバーを握れば一時的に手動操作へ移れて、システムのON/OFFもできる[8]。「世界初」は同社の主張である。

構成は、2つの小型モーターとギア、MCU、三分割式クラッチレバーシャフト、エンジン制御ECUからなる。エンジン回転数、スロットル開度、ギア信号、車輪速などの情報をもとに、クラッチを制御する[9]。変速そのものは、ライダーがペダルで行う。センサーの数と種類は、同社の技術解説で確認するのがよい。

ここで、カブと比べてみる。1958年のC100は、自動遠心クラッチによって手の操作を不要にした。2023年のE-Clutchは、センサーとモーターの制御によって手の操作を減らし、必要なときだけ手動に戻せるようにしている。「つなぐ・切る」を人の手から機械へ移すという目的は同じでも、機械的に動かす方式と、電子制御で動かす方式という、解き方がちがう。どちらが優れているかは、この資料からは言えない。

では、エンジンの力が後輪に届いたバイクは、どうやって曲がるのか。

7. バイクは、まがる ほうと ぎゃくに ハンドルを きるの?

7. 曲がりたい方向と逆に、いったんハンドルを切る「逆操舵」

7. セルフステアと逆操舵 ── 車体が傾いて曲がるまで

バイクは、はしって いる ときに、からだを かたむけると、かたむけた ほうに まえの タイヤが、しぜんに むきます[10]。

まがりたい ほうと ぎゃくに、いったん ハンドルを きる ことが あります[11]。これを「ぎゃくそうしゃ」と いいます。そうすると、バイクが まがる ほうへ かたむきます。

ゆっくり はしる ときは、この うごきは あまり めだちません[11]。

バイクは、走っているときに車体を傾けると、傾けた側へ前輪が自然に切れる、という動きをします。曲がるときは、ハンドルを大きく切るというより、車体を傾けることが大切だと紹介されています[10]。

では、車体はどうやって傾けはじめるのでしょうか。「逆操舵」という動かし方があります。曲がりたい方向と逆に、ほんの少しだけハンドルを切ると、車体が曲がる側へ傾きはじめます。そのきっかけのあとは、車体を内側へ傾けて曲がっていきます[11]。

この効果は、低速では目立ちにくいとされています[11]。ここは、エンジンの力がどう伝わるかとは別の話なので、短くとどめます。

走行中の二輪車は、車体を傾けると、傾いた側に前輪が自然に切れる(セルフステア)。これが曲がる仕組みの大前提で、ハンドルを大きく切るより車体を傾けることが大切だという指導が紹介されている[10]。

逆操舵は、曲がりたい方向と逆にハンドルをいったん切り、前輪に一瞬の入力を与えて、車体を曲がる側へ傾けはじめる操作である。傾きはじめたあとは、車体を内側へ傾けて旋回する[11]。この効果は低速では目立たない。

バイクが倒れずに走る理由には、ジャイロ効果やトレールの効果が語られるが、これらが必須でないことを示した研究も報告されている。その研究は自転車の実験なので、バイクにそのまま当てはめることはできない。ここでは深追いしない。

最後に、エンジンの動きを、自分の手で計算してみる。

8. エンジンの うごきを、けいさんで かんじて みよう

8. 毎分6000回転を、1秒あたりの回数に直してみる

8. 回転数から燃焼回数を計算する ── 数字の読み方と、資料の案内

エンジンが 1びょうに 100かい まわる と かんがえて みましょう(1ぷんに 6000かい)。

1セットで じくは 2かい まわります[2]。だから 100かいを 2で わると、1セットは 50かいです。シリンダーが 1つの エンジンなら、1びょうに 50かい もえる けいさんに なります。

ただし これは、あくまで けいさんれい です。ほんとうの バイクの かいてん すうとは ちがいます。

こんど しんごうで バイクが とまって いるのを みたら、ちかづかず、とおくから きいて みましょう。とまって いても、エンジンの おとが つづいて いますね。

みるときは、くるまの とおらない ところで、バイクの うしろに たたない ように します。

エンジンが毎分6000回転のとき、1秒あたりでは6000÷60で、100回転です。1サイクルの間にクランク軸は2回転するので[2]、100÷2で、1秒に50サイクルになります。シリンダーが1つの単気筒なら、燃焼は毎秒50回になる計算です(これは計算例で、実際のバイクの値ではありません)。

毎秒50回を、机を指で叩いて確かめてみましょう。1秒に5回なら、すぐにできます。10回になると、指がもつれてきます。その5倍の速さで、エンジンの中は動き続けています。

外で観察するなら、バイクが信号待ちで止まったときに、少し離れた歩道から音を聞いてみてください。車道に出たり、バイクの後ろに近づいたりしないようにします。止まっているのにエンジンの音が続くことが、第1章の「アイドリング」です。

もっと詳しく知りたいときは、ホンダのE-Clutchの発表[8]と技術解説[9]が、日本語で読めます。

エンジン回転数が毎分6000回転のとき、毎秒では6000÷60=100回転である。1サイクルの間にクランク軸は2回転するので[2]、100÷2=50サイクルとなる。単気筒なら、燃焼の回数は毎秒50回になる計算である(計算例。実際のバイクの値ではなく、多気筒では燃焼が増える)。机を指で叩き、1秒に5回、10回と速くしていくと、50回という数字の速さが体で分かる。

外で確かめるなら、信号待ちの二輪車の音に耳をすませる方法がある。歩道など安全な場所から、車道に出ず、車体の後ろにも近づかない。停止中も音が続いていれば、それがアイドリングである。

資料の読みどころは3つある。①クラッチの構造とトルクの話は、バイクの解説記事で読める[1]。ただし二次資料である。②E-Clutchは、ホンダの発表[8]と技術解説[9]が一次資料で、「世界初」が同社の主張だと分かる。③スーパーカブの自動遠心クラッチの原理は、ホンダの公式資料で調べる価値のある問いである。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:バイクの解説記事、ホンダの発表と技術解説、百科事典、雑誌系の記事を使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。

  1. オートバイ解説(autoby)Honda E-Clutchの記事。https://www.autoby.jp/_ct/17708843 (アイドリング、クラッチの構造と半クラッチ、トルクの話について。解説記事)
  2. Wikipedia「4ストローク機関」。https://ja.wikipedia.org/wiki/4%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%AF%E6%A9%9F%E9%96%A2 (4行程と、ピストン・クランク軸の動きについて。百科事典)
  3. ビークルバイクス基礎知識(bikebros)。https://www.bikebros.co.jp/vb/kiso/bk/bk-14/ (4行程の呼び方と「爆発」について。解説記事)
  4. Motor-Fan「2ストロークエンジンの解説」。https://motor-fan.jp/article/13628/ (2ストロークが少なくなった理由について。解説記事)
  5. Wikipedia「オートバイ」。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%90%E3%82%A4 (湿式多板クラッチと、動力を車軸へ伝える方式について。百科事典)
  6. Car Watch「スーパーカブ累計1億台」。https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1087069.html (1958年のC100のエンジンと、2017年の累計1億台について。ホンダ発表を伝える記事)
  7. Wikipedia「スーパーカブ」。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%91%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%83%96 (自動遠心クラッチと、足の変速ペダルについて。百科事典)
  8. Honda ニュースリリース(2023年11月7日)。https://global.honda/jp/news/2023/c231107b.html (Honda E-Clutchの発表内容について。メーカーの発表)
  9. Honda 技術解説「E-Clutch」。https://global.honda/jp/tech/Honda_E-Clutch/ (E-Clutchの構成部品と、制御に使う情報について。メーカーの解説)
  10. YOUNG MACHINE「バイクが曲がる仕組み」。https://young-machine.com/migliore/2022/08/18/357647/ (車体を傾けると前輪が切れる動きについて。解説記事)
  11. Wikipedia「Countersteering」(英語)。https://en.wikipedia.org/wiki/Countersteering (逆操舵の考え方について。百科事典)

なおした ところ

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