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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

雨の日の みちの にじは、あぶらの 色じゃ ないの?

雨の日の路面の虹色は、油の色ではなかった ── 薄い膜が光で色を作るしくみ

路面の油膜はなぜ虹色に見えるのか ── 薄膜干渉と、厚さによる見え方の変化

分野:自然

雨の日の みちに、にじ色の もようが ういて いる ことが あります。でも あぶらそのものには、にじの 色は ついて いません。

では、あの 色は どこから 来るのでしょう。うすい まくの ふしぎな はたらきと、にじ色が 見える あつさが 少ししか ない ことが わかります。

雨上がりの道路で見かける虹色の模様は、油そのものの色ではありません。しかも、薄いと銀色、ほどよい厚さで虹色、さらに厚いと金属のような色と、厚さで見え方が階段のように変わり、虹色が見えるのはその一段だけだとされています。

色のない油が、なぜ色づくのでしょうか。薄すぎても厚すぎても虹色が消えるのはなぜなのか、そして昔の科学者が池の上の油から何を考えたのかが分かります。

路面の水に浮く油膜の虹色は、油の色ではなく光の干渉による[1][2]。油の種類によらず、膜の厚さがおよそ0.3〜5μmのときだけ虹色に見え、これより薄いと銀色や灰色のつや、厚いと虹色が消える目安が示されている[2]。

では、なぜ厚さで見え方が階段のように変わるのか。このメモでは、2つの反射光の重なり方から、薄すぎる膜と厚すぎる膜の見え方、膜の薄さの限界を考えたフランクリンの池の話までが分かる。

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1. にじ色は、どこから 来るの?

1. 色のない油が、水の上で色づく

1. 色がないのに色づく油膜 ── 表面と裏面の反射光の重なり

あぶらには、にじの 色は ありません。それなのに、水の 上に ひろがると、にじ色に 見えます。

ひみつは、光です。光は、あぶらの まくの 上の めんで はねかえります。まくの 中に 入った 光は、下の めんでも はねかえります[3]。

この 2つの 光が かさなって、目に とどきます。つよめ あう 色と、よわめ あう 色が できて、色づいて 見えるのです[1]。

水の上に広がった油の膜には、光が当たる境目が2つあります。空気と油の境目と、油と水の境目です。光はそのどちらでも少しずつ反射します[3]。

2つ目の境目まで入った光は、そのぶん長い道のりを進んでから戻ってきます。目にはこの2つの光が重なって届くので、波の山と山が合う色は強まり、山と谷が合う色は弱まります[1]。

シャボン玉の色づきも、同じ薄い膜による光の干渉です[3]。

油膜では、空気と油の境目、油と水の境目の2か所で光が反射する。油膜に入った光は、油と水の境目で反射するまで、もう一方の反射光より長い距離を進むので、2つの反射光に道のりの差が生じる[3]。

2つの光が同位相なら強め合い、逆位相なら弱め合う。白色光は多くの波長を含むため、強め合う波長だけが強まって見え、これが薄膜干渉による色づきだ[1]。シャボン玉や水たまりの油膜の色づきは、同じ原理による[1]。

なお、反射のときに位相がずれる条件は、境目の向こうの媒質の屈折率で決まる[5]。油の屈折率など個別の数値までは、このメモでは扱わない。

2. 場所によって、色が ちがうのは なぜ?

2. 同じ水たまりでも、場所によって色がちがう

2. 膜厚・波長・見る角度で変わる強め合いの色

あぶらは、水より かるくて、水と まざりません。だから 水の 上に うかんで、うすく ひろがります。

ひろがった まくの あつさは、ところに よって ちがいます。あつさが ちがうと、つよめあう 光の 色も ちがいます。だから、いろいろな 色が ならんで 見えるのです。

見る 向きを かえても、色は かわります。

油は水より密度が小さく、混ざらないので、水面に浮いて薄い層になって広がります[6]。その層の厚さは、場所によって大きく違います[6]。

膜の厚さが違えば、強め合う光の色も違います。膜の厚さと光の波長、さらに目と膜の位置の関係で強め合い方が変わるので、同じ膜でもさまざまな色に見えるのです[1]。見る角度が変わると、色が変わって見えることもあります[3]。

この「見る角度や厚さで色が変わって見える性質」は、英語で iridescence と呼ばれ、クジャクの羽の色づきの説明にも使われます[3]。

油は水より密度が小さく、水と混ざらないため、水面で薄い層になる。層の厚さは場所ごとに異なる[6]。この資料は一般向けのサイトなので、厚さの範囲は目安として読む。

強め合う条件は、膜の厚さ・光の波長・目と膜の位置関係で決まる[1]。色は波長と結びつくので、膜の厚さが変われば見える色も変わると予想できる[7]。そのため、厚さが場所ごとに連続的に変わる油膜は、虹のように色が並んで見える。

この色は油の種類によらない光の効果で、角度と厚さによって、淡くも非常に明るくもなる[2]。

3. にじ色が 見える あつさは、少ししか ない

3. 虹色が見える厚さは、ごく限られている

3. 厚さによる見え方の階段 ── 0.04μm・0.3μm・5μm・50μm

ところが、にじ色が 見えるのは、まくの あつさが ちょうど よい ときだけです。

とても うすい まくは、にじ色に ならず、ぎん色や はい色の つやに 見えます。さらに うすいと、見えなく なります[2]。

ちょうど よい あつさは、かみの けの ふとさ より、ずっと 細い くらいです[2]。

海に流れ出た油の見え方を判断するために、国際的な協定(ボン協定)が、油の厚さと見え方の目安を示しています。それを紹介しているオーストラリア海事安全局の資料には、次のような階段があります[2]。

目安では、厚さが約0.04μm(マイクロメートル)より薄いと、油は見えません(見る角度でも変わります)。0.04〜0.3μmでは、銀色や灰色のつやに見えます。虹色に見えるのは、おおよそ0.3〜5μmの間です。5〜50μmになると金属のような一色になり、50μmを超えると油本来の色が目立ちはじめ、200μmを超えると油の色が優勢になります[2]。

1μmは、1mmの1000分の1です。虹色が見える最大の5μmでも、髪の毛の太さよりずっと細い厚さです。ただし、これは目安で、天気や見る角度、油の種類で不確かさがあるとされています[2]。

油膜の虹色がいちばんはっきり見えるのは、膜の厚さが目に見える光の波長(青の約0.4μm〜赤の約0.7μm)に近いときです[2]。

海面の油の見え方を、厚さで分けたコードがボン協定にある。AMSAの資料では、約0.04μm未満は見えにくく、0.04〜0.30μmは銀色・灰色のつや(sheen)、おおよそ0.30〜5.0μmが虹色(rainbow)、5〜50μmは金属のような一色、50μmを超えると油本来の色が目立ちはじめ、200μm超で優勢になる[2]。これらは目安で、天候・見る角度・油の種類による不確かさがある[2]。

油膜の虹色が最もはっきり見えるのは、厚さが可視光の波長(青0.4μm〜赤0.7μm)に近いときだ[2]。波長と同程度の厚さで、強め合う波長が限られるため、色がはっきり分かれるのだろう。

では、虹色より薄い側はなぜ色づかず、銀色に見えるのか。ごく薄い油膜は、周りの水より少しだけ光をよく反射するので、油の色ではなく銀色や灰色のつやに見える[2]。ここでの0.3〜5μmは、髪の毛の太さ(数十μm)より細い。

なお、石けん膜では、膜が極限まで薄くなると膜内の光路長が可視光の波長より短くなり、強め合う色がなくなって黒い膜に見えることがある[1]。油膜の薄い側が銀色に見えるのとは、別の説明だ。

4. あつすぎると、にじは どうなる?

4. 厚すぎると、虹は消える

4. 虹色が見えにくくなる理由 ── 強め合う波長が増える

あつく なりすぎると、こんどは にじ色が きえます。

うすい まくでは、つよまる 光の 色が いくつかに 決まります。あつい まくでは、つよまる 色が たくさん できて、まざって しまいます。だから、とくべつな 色に ならないのです[1]。

もっと あつく なると、あぶらの もとの 色が 見えて きます[2]。

膜がある程度以上厚くなると、虹色はかえって見えなくなります。

薄い膜では、強め合う条件を満たす波長が、いくつかに限られます。ところが厚い膜では、条件を満たす波長が多数でてくるため、特定の色になりません[1]。いろいろな波長が強まると色が混ざり、はっきりした虹色に見えにくくなるというわけです。

さらに厚くなると、油本来の色が見えてきます[2]。路面の虹色は、膜がほどよく薄いところだけに現れる色なのです。

膜が厚いと、強め合う条件を満たす波長が多数になり、特定の色にならない(いろいろな波長が強まって色が混ざり、はっきりした虹色に見えにくくなる)。そのため、膜が厚くなっても色づいて見えない[1]。薄い膜では、条件を満たす波長は限られた値になるので、色がはっきり分かれる。

厚さが50μmを超えると、油本来の色が見える[2]。虹色は、膜が薄すぎず厚すぎない範囲に限って見える現象だと整理できる。

5. フランクリンは、池の 上で なにを 見たの?

5. フランクリンの池と、「分子1個ぶん」の薄さ

5. フランクリンの池 ── 広がりから見積もる膜の厚さ

むかしの アメリカに、ベンジャミン・フランクリンという 人が いました。池に ほんの 少しの あぶらを たらすと、とても ひろく ひろがった、と かいたと つたえられて います[4]。

その あぶらは、小さじ 1ぱいほど。ひろがった ところは、およそ 2000へいほうメートルでした[4]。

あとの 人たちが 計算すると、まくの あつさは、ぶんし 1こぶんほどだと 見つもられました。にじ色の 見える あつさより、ずっと うすい ものでした。

ベンジャミン・フランクリンは、小さじ1杯ほどのオリーブ油が、クラパム・コモンという池の約半エーカー(約2000平方メートル)に広がったと書いたと伝えられています[4]。

この広がりから、後の時代の人が膜の厚さを見積もり、油の分子1個ぶんほど(およそ1〜2nm)の薄さだと考えました[4]。1nm(ナノメートル)は1μmの1000分の1です。虹色が見える0.3μmの100分の1以下で、これだけ薄いと、虹色にはなりません。

ただし、「分子1個ぶん」はあとの時代の見積もりで、フランクリン自身の結論ではありません[4]。

ベンジャミン・フランクリンは、小さじ1杯ほどの油がクラパム・コモンの池の約半エーカー(約2000m²)に広がったと記した[4]。この広がりと油の体積から、膜の厚さを逆算すると、分子1個ぶんほどになる。見積もりは前提によって約1nm〜2nmと幅がある[4]。

1nmは0.001μmだ。虹色が見える下限の0.3μm(300nm)に比べて、100分の1以下になる。この厚さは、AMSAの目安で「見えない」側(0.04μm=40nm未満)にも入る[2]。

「分子1個ぶん」は、後世による見積もりで、フランクリン自身の結論ではない。ただ、目で見える広がりから、見えないほど薄い膜の厚さを逆算できるという着想は面白い。

6. 見つけたら、どこから 見ると いいかな

6. 雨上がりの水たまりで、見る位置を変えてみる

6. 出口 ── 観察の道すじと、原資料の読みどころ

雨が あがった あとに、歩どうから、にじ色の まくの 水たまりを たまたま 見かけたら、見る 向きを すこしずつ かえて みましょう。色は かわるでしょうか。

道ろには、出ないでください。くるまに ちゅういして、歩どうから 見ます。おうちの 人と いっしょに 行きましょう。

雨上がりに、歩道から虹色の膜が浮かぶ水たまりを見かけたら、立つ位置や目の高さを少しずつ変えて観察してみましょう。色が変わる場所や、色が見えなくなる場所があるでしょうか。

わざわざ探しに行かず、道路の中には入らず、車に注意してください。水たまりに近づきすぎないようにしてください。

観察では、立つ位置や目の高さを変え、色の変化を確かめる。厚さが場所ごとに違う膜は、見る角度でも色が変わる[3]。道路の中には入らず、歩道から車に注意して行う。

資料を読むなら、AMSAの油の見え方の資料(英語)は、厚さの階段を図で確かめられる[2]。東京都の薄膜干渉の教材は、膜が厚いと色づかない理由を式で説明している[1]。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:東京都の教材、オーストラリア海事安全局の資料、大学の解説、物理の教科書を使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。

  1. スライドガラスで見る薄膜干渉(東京都 デジタル教材)。https://www.digirika.tym.ed.jp/wp-content/uploads/hakumakukanshou.pdf (薄膜干渉の基本、厚い膜で色づかない理由、極薄の膜について)
  2. Australian Maritime Safety Authority, Identification of oil on water(Bonn Agreement Oil Appearance Codes を紹介する資料)。https://www.amsa.gov.au/sites/default/files/2014-01-mp-amsa22-identification-oil-on-water.pdf (厚さと見え方の目安、虹色がはっきり出る厚さについて)
  3. Ask Dr. Universe(ワシントン州立大学), Why does oil on the street look like a rainbow?。https://askdruniverse.wsu.edu/2021/02/12/oil-street-look-like-rainbow/ (油膜での2回の反射、見る角度による色の変化について)
  4. Royal Society of Chemistry, Franklin's teaspoon of oil。https://edu.rsc.org/resources/franklins-teaspoon-of-oil/574.article (フランクリンの池の話について。二次資料)
  5. LibreTexts Physics, Interference in Thin Films(Muhlenberg College)。https://phys.libretexts.org/Courses/Muhlenberg_College/Physics_122%3A_General_Physics_II_(Collett)/13%3A_Interference/13.05%3A_Interference_in_Thin_Films (反射での位相のずれについて)
  6. Science ABC, Why does petrol create a rainbow on water。https://www.scienceabc.com/eyeopeners/why-does-petrol-create-a-rainbow-on-water.html (油が水に浮いて広がること。一般向けのサイト)
  7. OpenStax University Physics Volume 3, 3.4 Interference in Thin Films。https://openstax.org/books/university-physics-volume-3/pages/3-4-interference-in-thin-films (厚さが違えば見える色も違うことについて)

なおした ところ

更新履歴

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