1. 22だいの 車は、なぜ とまりそうに なったの?
1. 「同じ速さで走って」と頼んだだけなのに、なぜ渋滞が生まれたのか
1. 障害物のない円形コースで、渋滞はなぜ自然に現れたのか
この じっけんは、ぐるっと まわる 道で おこなわれました。道の 長さは 230メートル。そこに 22だいの 車を ならべます。
ドライバーに たのんだのは、「前の 車を 安全に おいながら、時速30キロくらいを たもって 走って ください」と いう ことだけでした[1]。
道には 坂も、とまる 車も ありません。ところが しばらくすると、車が ぎゅっと あつまって、のろのろ 走る ところが できました。
この 論文を 書いた 先生たちは、車が ある かずを こえて ふえると、ほんの 小さな ゆれが きえずに 大きく なって、じゅうたいに なる と 考えて います。じゅうたいの きっかけは、事故や 工事だけでは ないのです。
そうだと すると、この じゅうたいの かたまりは、どちらへ むかって 進むのでしょうか。
実験が行われたのは、円周230mの輪の形の道です。そこに22台の車を並べ、ドライバーには「約30km/hで、前の車とほぼ同じ間隔を保って走る」ことだけをお願いしました[1]。30km/hは実験のために決めた速さで、高速道路の速さではありません。
輪の道には、ぶつかる相手も、上り坂も、合流する車もありません。ところが、しばらく走ると車が一か所に詰まり、のろのろとしか進めない塊ができました。
この論文は、車の密度が限界値(臨界密度)を超えると、ほんの小さな揺らぎが消えずに育ち、渋滞が自然に生まれると述べています。工事や坂のような「ボトルネック」は渋滞を始めるきっかけにすぎず、渋滞の本質的な原因ではない、という立場です[1]。
では、この渋滞の塊は、車の流れと同じ向きに進むのでしょうか。それとも別の動きをするのでしょうか。
実験の設定はこうだった。円周230mの円形コースに22台の乗用車を置き、ドライバーには、ほぼ一定の車間を保ち、約30km/hで走り続けるよう頼む[1]。30km/hは実験のために決めた設定値であり、高速道路を走る速さではない。
このコースには、ブレーキを踏む理由になりそうなものが何もない。坂も、合流も、止まっている車もない。それでも、走り始めてしばらくすると、車が詰まって速度が落ちる塊が自然に現れた。
論文の要旨は、そこから次のように結論する。平均の車の密度が臨界値を超えると、ごく小さな揺らぎが消えずに育ち、渋滞状態へ自然に移る。したがって、工事や坂などのボトルネックは引き金であって、渋滞の本質的な原因ではない[1]。ただし、これは1本の論文の主張であり、実際の道路ではボトルネックが引き金になる場面も多い。
では、生まれた渋滞の塊は、車と同じ向きに動くのか。この実験の最も意外な結果は、その向きにあった。
2. じゅうたいは、どっちへ すすむの?
2. 渋滞の塊は、車の流れと逆向きに後ろへ進む
2. 渋滞の塊は、車の流れとは逆向きに約20km/hで進む
じゅうたいの かたまりの 中では、車は ゆっくり 走ったり、とまりそうに なったり します。先頭の 車が うごき出すと、その 車は じゅうたいから ぬけ出します。
すると、うしろから 来た 車が、かたまりの おわりに くっつきます。これを くりかえして、かたまりは のこります。
ふしぎなのは、かたまりの うごきです。車は まえへ すすむのに、かたまりは 車と ぎゃくに、うしろへ すすんだのです。はやさは、時速20キロくらいでした[1]。これは、本当の 高速道路で はかられる じゅうたいの すすむ はやさと 同じくらい、と 書かれて います。
ただし、20キロは いつも 同じ という わけでは ありません。目やすの 数字です。
では、車は ぶつかりそうに なって いないのに、どうして ブレーキが ふえて いくのでしょう。
実験で現れた渋滞の塊は、車の進む向きとは逆に、後ろへ向かって動きました。その速さは約20km/hで、実際の高速道路で測られる渋滞が後ろへ進む速さと同じくらいだ、と論文は書いています[1]。ただし約20km/hは実験と実測の目安で、いつも一定とは限りません。
塊の中では、車は止まりかけます。先頭の車が動き出すと塊から抜け出し、後ろに別の車がつく。この繰り返しで、塊は同じ形のまま後ろへ動いていきます。
つまり、渋滞の中の車は前へ進むのに、渋滞そのものは後ろへ進みます。渋滞の最後尾が少しずつ後ろへ伸びるのは、こういう動きだと考えると見通しが立ちます。
車どうしがぶつかりそうになっているわけでもないのに、なぜ塊ができて、後ろへ育つのでしょうか。
円形コースに現れた塊の動きは、一般の直感に反する。塊そのものは、車の流れと逆向きに、約20km/hで後方へ進んだ。論文は、この値が実際の高速道路で測られる渋滞の進む速さと同程度だと述べる[1]。ただし約20km/hは実験と実測の目安であり、常に一定の値ではない。
塊が保たれる仕組みも、論文に書かれている。塊の中の車は止まりかけ、先頭の車が発進して抜け出し、後ろでは別の車が新しく塊に加わる。個々の車は前へ進んでいるが、車が入れ替わることで、塊の位置は後ろへ動く。
この性質は、高速道路の渋滞の最後尾が、時間とともに後ろへ伸びていく現象と整合する。もっとも、実験は円形コースの結果であり、実際の高速道路の渋滞の全てがこの1つの説明で足りるとは言えない。
では、衝突の危険もない場面で、なぜ減速が増幅されるのか。次はその筋道を考える。
3. ブレーキが うしろへ ふえて いくのは どうして?
3. 前の車を見て速さを変えるだけで、ブレーキが後ろへ増えて伝わる
3. 車間を詰めた分だけ減速する性質が、ブレーキの波を作る
ドライバーは、前の 車に ぶつからない ように、車と 車の あいだが みじかく なると ゆっくりに します。論文は、この 当たり前の くせが じゅうたいの もとに なると 説明して います[1]。
ひとつ ためしに 考えて みましょう。1台 目の 車が、すこし ブレーキを ふみます。2台 目も、あいだが つまるので、ブレーキを ふむ ことが あります。その うしろの 車も ふむと、ブレーキの 波が 大きく なる ことが あります。
こうして、波が うしろへ 行く ほど 大きく なり、いちばん うしろの 車は とまって しまう ことが あります。NEXCOの 人は、これを 「ブレーキの 波」と 説明して います[3]。
では、本当の 高速道路で、この 波は どこで 生まれやすいのでしょうか。
論文は、運転手が前の車にぶつからないよう、車間が短くなると減速する、という単純な性質が渋滞のもとだと説明しています[1]。前の車を見て速さを変える、ごく普通の運転です。
この性質が、車の多い道路でどう働くのかを、NEXCO東日本の渋滞予報士の説明で見ると分かりやすくなります。1台目が少し減速すると、すぐ後ろの車は車間が詰まるのでブレーキを踏みます。その後ろの車もブレーキを踏みます。こうして「ブレーキの波」が大きくなりながら後ろへ伝わり、最後には止まってしまう車も出てきます[3]。
では、どのくらい車が増えると、この波は消えなくなるのでしょうか。実際の高速道路のデータでは、1kmあたりの車の台数が約25台付近を境に、流れが「自由な流れ」と「渋滞した流れ」に分かれる、と論文は紹介しています[1]。これは高速道路の1地点を1か月観測したデータで示された目安です。
西成活裕教授(東京大学)の研究を紹介するベストカーWebの記事は、この約25台/kmを、車間距離にすると約40mにあたると書いています[6]。ただし「渋滞」の一般的な基準ではありません。1000mを25台で割れば、1台あたり40mです。時速100kmで走る車は、秒速約28mなので、40mは約1.4秒で進む距離になります。この計算は、記事の数字をもとに自分で確かめたものです。
では、日本の高速道路で、小さな減速が最初に起きやすいのはどこなのでしょうか。
論文は、渋滞のもとになる運転の性質を、単純なものとして説明している。前の車との車間が短くなるほど、ぶつからないよう減速する、というものだ[1]。誰もが当たり前にしている運転だが、車が多いと、この性質が減速を後ろへ増幅する。
NEXCO東日本の渋滞予報士の説明を使うと、増幅の様子を具体的に追える。先頭の車が少し減速すると、すぐ後ろの車は車間が詰まってブレーキを踏む。その後ろの車はさらに強く踏む。こうして「ブレーキの波」が大きくなりながら後続へ伝わり、最後には停止する車も出る[3]。この説明は簡略化されたもので、論文の言う「臨界密度を超えると揺らぎが育つ」を、1台ずつの動きに言いかえたものと整理できる。
では、臨界密度の値はどのくらいか。論文は、日本道路公団が測った高速道路のデータで、密度が約25台/km付近を境に「自由な流れ」と「渋滞した流れ」が分かれると紹介する[1]。これは図に示された1地点の観測の目安であり、全ての道路にあてはまる定数ではない。
西成活裕教授(東京大学)の研究を紹介するベストカーWebの記事(二次資料)は、この約25台/kmを車間距離では約40mにあたると書く[6]。約25台/kmは、論文が示した高速道路1地点・1か月の観測での臨界密度の目安であり、「渋滞」の一般的な基準ではない。1000m÷25台=40mと検算でき、この数字は目安として整合している。時速100km(秒速約27.8m)なら、40mは車間を通過するのに約1.4秒かかる距離にあたる。
では、日本の高速道路で、最初の小さな減速はどこで起きやすいのか。
4. 高速道路の、どこで はじまりやすいの?
4. 坂の変わり目「サグ」で、気づかないうちに速さが落ちる
4. 上り坂とサグ部が、交通集中渋滞の引き金になる
NEXCO東日本の 人が 話して いる ところに よると、じゅうたいの 原因の およそ 7から 8わりは、車が あつまる ことです。のこりの 2から 3わりが、工事や 事故です[2]。いつの、どこの 数字かは、書かれて いません。
車が あつまる じゅうたいの なかでは、上り坂と「サグ」と よばれる ところが、およそ 6わりです。サグは、下り坂から 上り坂へ かわる、くぼんだ ところです[4]。
この くぼみは、坂の かわり方が とても ゆるやかです。だから ドライバーは、坂に 気づかない まま、いつの間にか ゆっくりに なって しまうと いわれて います。
ゆっくりに なると 車と 車の あいだが つまり、うしろの 車が ブレーキを ふむ。さっきの 「ブレーキの 波」が はじまります。車が たくさん 走って いるときほど、おきやすいのです。
この 波を、ドライバーの 力で やわらげる ことは できるのでしょうか。
日本の高速道路では、渋滞はどこから始まりやすいのでしょうか。NEXCO東日本の渋滞予報士のコラムによると、渋滞の原因の約7〜8割は交通の集中で、残りの約2〜3割が工事や事故です。さらに、交通が集中して起きる渋滞のうち、上り坂とサグ部が約6割、インターチェンジの合流部が約1割とされています[2]。約6割は交通集中渋滞の中での割合で、全ての渋滞の6割ではありません。数字はNEXCO東日本の資料のもので、調査した年や範囲はコラムに書かれていません。
サグは、下り坂から上り坂へ切り替わる、凹んだ形の場所です。勾配の変化がごく緩やかなので、ドライバーが気づかないうちに速度が落ちやすい、と国土交通省国土技術政策総合研究所の説明が紹介されています[4]。
速度が落ちれば車間が縮み、後ろの車がブレーキを踏みます。交通量が多ければ、それが先ほどの「ブレーキの波」になり、渋滞に育ちます。NEXCO東日本の2023年ゴールデンウィークの渋滞予測でも、20km以上の渋滞が予測された箇所の主な原因に、サグ部などでの速度低下が挙げられています[5]。
論文は「ボトルネックは引き金にすぎず、本質は車の多さ」と述べ、サグの資料は「サグが引き金になる」と説明します。どちらも、車が増えた道路で小さな減速が育つ点では同じ見方です。では、運転する人にできることはあるのでしょうか。
実際の日本の高速道路では、小さな減速はどこで起きやすいのか。NEXCO東日本の渋滞予報士のコラムによれば、渋滞の原因の約7〜8割は交通の集中であり、約2〜3割が工事や事故である。交通集中渋滞のうち、上り坂とサグ部が約6割、インターチェンジの合流部が約1割を占める[2]。この約6割は交通集中渋滞の中での割合であり、全渋滞の6割ではない。また調査年や範囲はコラムに明記されておらず、NEXCO東日本の資料に基づく数字である。
サグ(sag、たるみ)は、下り坂から上り坂に変わる凹んだ区間を指す。勾配の変化がごく緩やかなため、ドライバーが変化に気づかず、速度低下が発生しやすいと、国土交通省国土技術政策総合研究所の説明として紹介されている[4]。そのため、速度低下、車間の縮小、後続車のブレーキ、そして交通量が多ければ渋滞、という連鎖が生じる。
この連鎖は、NEXCO東日本の発表にも反映されている。2023年のゴールデンウィークの渋滞予測では、20km以上の渋滞が予測された箇所(関越道・高坂SA付近や東北道・羽生PA付近など)の主な原因として、サグ部等での速度低下が挙げられた[5]。
ここで、論文の立場との関係を整理しておく。論文はボトルネックを引き金にすぎないとし、本質を車の密度に置く。サグの資料は、サグを渋滞の引き金として説明する。両者は、車の多い道路で小さな減速が増幅するという同じ見方の中で、役割を分担している。では、増幅を止める手立てはあるのか。
5. ブレーキの 波を、ドライバーは やわらげられるの?
5. 速度と車間を保って、ブレーキの波を後ろへ伝えない走り方
5. 渋滞吸収走行と速度回復の呼びかけは、どこまで効くのか
NEXCOは、上り坂や サグでは 気づかないうちに ゆっくりに ならないで ください、車と 車の あいだを つめすぎないで ください、と おねがいして います[5]。
2009年には、上り坂や サグで、スピードを もどす ことを うながす 電光ひょうじを 出す ことを 3か所で ためしました。じゅうたいの 大きさは、いちばん へった 東北道で 11.9パーセント、ほかの 2か所は 4.4パーセントと 2.9パーセントへりました[7]。なくなったのでは なく、少し へった、という ことです。
大学の 先生と JAFは、「じゅうたいきゅうしゅう走行」と いう 走り方も ためしました。じゅうたいに 近づいたら ゆっくり 走り、車間を ひろく とります。前に 入られても 気に しません。前の 車の ブレーキを、自分の 車で うけとめて、うしろへ つたえない 走り方です。ありの うごきが ヒントに なったと 紹介されて います[6]。
この 走り方を する 車が 何台も いれば、じゅうたいを みじかく できる かもしれない、と 書かれて います。ただし、5キロより 長く つながって しまうと、なくすのは むずかしく なると いわれて います。
NEXCO東日本は、渋滞予測の発表で、ドライバーに「上り坂・サグでの速度低下に注意」「車間距離をつめ過ぎない」「車線変更は控えめに」とお願いしています[5]。
お願いだけでなく、道路側の工夫もあります。2009年のNEXCO3社の発表では、上り坂やサグで速度の回復を促すLED表示などを行った3か所で、対策をしなかった日と比べて渋滞量(渋滞の長さ×時間)が減りました。東北道(上り)の羽生PA付近で11.9%、中央道(下り)の相模湖IC付近で4.4%、九州道(上り)の広川IC付近で2.9%です[7]。渋滞がなくなったわけではなく、減った量は1〜2割弱以下でした。
走り方の工夫もあります。西成教授の研究室とJAFは、「渋滞吸収走行」の社会実験を行いました。渋滞に近づいたら速度を抑え、十分な車間をとり、前に入られても気にしません。前の車のブレーキの影響を自分の車で吸収して、後ろへ伝えない走り方です。記事では、アリの動きがヒントになったと紹介されています[6]。この走り方をする車が複数台いれば、渋滞の距離を短くできる可能性がありますが、5km以上渋滞がつながると解消は難しくなる、とも書かれています。
渋滞は一人では消せないものの、波を増やさないために、一人ひとりができることもあります。
NEXCO東日本は、渋滞予測の発表の中で、ドライバーに対して、上り坂・サグでの速度低下への注意、車間距離をつめ過ぎないこと、車線変更を控えめにすることを呼びかけている[5]。
道路側の対策には、定量的な結果がある。2009年のNEXCO3社の発表では、上り坂やサグで速度回復を促すLED表示などを行った3か所で、未対策日と比べて渋滞量(渋滞の長さ×時間)が、東北道(上り)の羽生PA付近で11.9%、中央道(下り)の相模湖IC付近で4.4%、九州道(上り)の広川IC付近で2.9%減少した[7]。効果は渋滞量の減少であって解消ではなく、3か所とも約1割強以下にとどまる。それでも、気づかない減速を抑えれば量は減ることが、数字で示されている。
走り方で波を抑える試みが、「渋滞吸収走行」である。西成活裕教授の研究室とJAFが社会実験を行い、渋滞に近づいたら速度を抑え、十分な車間をとり、前に入られても気にせず、前の車のブレーキの影響を自分の車で吸収して、後ろへ伝えないことを狙う。アリの動きがヒントになったと紹介されている[6]。複数台がこの走り方をすれば渋滞の距離を短くできる可能性があるが、5km以上渋滞がつながると解消は難しくなる、と書かれる。
以上から、渋滞の吸収は、車が少しずつ余裕を持つことで波の増幅を抑える方法であり、渋滞そのものを必ず消せるわけではない、と整理できる。効果の程度を知るには、実験ごとの条件と数字を、原典で確かめる必要がある。
6. こんど 車に のったら、なにを 見る?
6. 次に高速道路に乗せてもらうとき、窓の外で何を見るか
6. 渋滞の筋道を、自分の目と計算で確かめる
こんど 高速道路を 車で 通る とき、車に のせて もらって いる 人は、外を 見て みましょう。運転する 人は、前を 見る ことに しゅうちゅうして ください。
前を 走る 車の ブレーキランプが、ちかちかと つづけて つく ところは ありますか。坂の かわり目で、スピードが 少し おちて いませんか。
もうひとつ、計算も できます。時速100キロの 車は、1秒で およそ 28メートル 進みます。じゅうたいの 目やすの 40メートルは、1秒より ちょっと 長い 時間です。
もっと 知りたく なったら、NEXCOの ホームページに、じゅうたいの よそくが のって います。
次に高速道路に乗せてもらうときは、窓の外から前の車を観察してみましょう。運転する人は、前を見ることに集中してください。観察は同乗者だけの楽しみです。
同乗者が見るところは3つあります。ブレーキランプが連続して点くところはないか。下り坂から上り坂へ変わる場所で、速度は落ちていないか。車間が詰まってくると、周りの車の動きはどう変わるか。
計算もできます。25台/kmは、1台あたり40mです。時速100kmなら、秒速約28mなので、約1.4秒の間隔です。時速80kmなら秒速約22mで、約1.8秒です。1秒では足りない間隔が、渋滞の入り口の目安の間隔に近いことが分かります。
原典を読みたくなったら、杉山雄規らの2008年の論文(New Journal of Physics 10, 033001)が、大阪大学の学術リポジトリで誰でも読めます[1]。英語ですが、実験の写真と図が載っています。NEXCO東日本のホームページには、渋滞予測が出ています[5]。
この記事の筋道は、観察と計算で確かめられる。まず観察。高速道路で同乗したとき、同乗者として、ブレーキランプが連続して点灯する区間と、下り坂から上り坂へ変わる区間で速度がどう変わるかを見る。運転者は前方に集中すること。
次に計算。臨界密度の目安約25台/kmは、車間距離にして1000m÷25=40mである。時速100km(約27.8m/s)なら約1.4秒、時速80km(約22.2m/s)なら約1.8秒の間隔にあたる。この数字は、1地点の観測データと記事の紹介する目安から引いたものであり、実際の渋滞の始まりはこの値を境に突然起きるとは限らない。
原典を読むなら、Sugiyama et al., New J. Phys. 10 033001(2008)が大阪大学の学術リポジトリで公開されている[1]。NEXCO東日本の渋滞予報士のコラムや渋滞予測の発表[2][5]と読み比べて、数字の範囲(どこで、いつの、何についての割合か)を確かめるとよい。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
出典について:論文、NEXCO東日本の資料、報道記事を使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。
- Sugiyama, Y. et al., "Traffic jams without bottlenecks: experimental evidence for the physical mechanism of the formation of a jam", New Journal of Physics 10, 033001 (2008)。大阪大学OUKA。https://ir.library.osaka-u.ac.jp/repo/ouka/all/93262/NewJPhys_10_033001.pdf (円形コースの実験、約20km/hで後ろへ進む塊、臨界密度について)
- NEXCO東日本 ドラぷら「渋滞予報士」コラム。https://www.driveplaza.com/trip/column/jutaiyohoshi/02.html (渋滞の原因の割合、上り坂・サグ部の割合について)
- 乗りものニュース「NEXCO東日本 渋滞予報士の説明」。https://trafficnews.jp/post/69841/2 (「ブレーキの波」の説明について)
- 乗りものニュース(国土技術政策総合研究所の説明を引用)。https://trafficnews.jp/post/125446 (サグの形と、速度が落ちやすい理由について)
- NEXCO東日本 ゴールデンウィーク渋滞予測(2023年3月29日)。https://www.e-nexco.co.jp/pressroom/cms_assets/pressroom/2023/03/29d/pdf.pdf (サグ部での速度低下と、ドライバーへのお願いについて)
- ベストカーWeb(西成活裕教授の研究を紹介)。https://bestcarweb.jp/feature/column/269694?prd=2 (渋滞の目安約25台/kmと車間約40m、渋滞吸収走行について)
- NEXCO東日本 プレスリリース(2009年7月28日)。https://www.e-nexco.co.jp/pressroom/head_office/2009/0728/00006324.html (速度回復を促す表示による渋滞量の減少について)
なおした ところ
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