1. つくる 人たちは、さいごに 何を やくそくした?
1. 12番目の原則は、チームに定期的な振り返りを求める
1. アジャイル宣言の12原則は、なぜ「定期的な振り返り」で終わるのか
アプリなどの ソフトを 作る 人たちが、じぶんたちの 考え方を まとめた 文書が あります。12この やくそくごとが ならんで います。
その いちばん さいごは、「チームは ときどき たちどまって、どうしたら もっと よく なれるかを 考え、やり方を 少し かえる」と いう 中みです[1]。
作り方や 道具の 話では なく、たちどまる ことが おわりに おかれて います。では、たちどまって 何を すれば いいのでしょう。
アプリや業務システムなどを作る人たちが、作り方の考えをまとめた「アジャイルソフトウェア開発宣言」には、12の原則が添えられています。その最後、12番目は「チームは定期的に、どうすればもっと効果的になれるかを振り返り、そのうえで自分たちの振る舞いを調整する」という内容です[1]。
作る手順でも、道具の選び方でもなく、立ち止まることが最後に置かれています。しかも「振り返る」で終わらず、「振る舞いを調整する」までが一続きです。考えるだけでなく、次の動き方を変えるところまでが約束になっている、と読めます。
では、立ち止まって何を話せばよいのでしょうか。うまくいかなかったことを話題にすれば、話し方しだいで「だれのせいか」を探す場になりかねません。次の章で、その入口に置かれた約束を見ます。
アジャイルソフトウェア開発宣言に添えられた12原則の最後(12番目)は、チームが定期的に、どうすればより効果的になれるかを振り返り、それに合わせて振る舞いを調整する、という内容である[1]。ここで重要なのは、振り返ることと振る舞いの調整が一続きの文になっている点だ。反省して終わるのでなく、次の動き方を変えて初めて完結する、という設計になっている。
手順や道具の原則が並ぶ中で、最後に置かれているのが振り返りである。だから、この原則は、他の11項目を動かし続けるための調整役とも読める(これは筆者の読みであり、原則の文面がそう述べているわけではない)。
ただし、原則は「定期的に」「調整する」と述べるだけで、振り返りの進め方は示さない。問題を話題にする以上、話し方によっては責任の押し付け合いになりうる。その手前で何を確認するかが、次の問いになる。
2. はじめに 「みんな がんばった」と 言うのは なぜ?
2. 話し合いの前に、全員が確かめる約束
2. 振り返りの前に「最優先の約束」を置くのはなぜか(Kerth, 2001)
ノーマン・カースさんと いう 人が、2001ねんに、ふりかえりの 本を 出しました[2]。その 本には、ふりかえりを はじめる 前の 「やくそく」が 書いて あります。
中みは、こうです。「何が 見つかっても、あの ときの 知って いた ことや できる ことの 中で、みんなは せいいっぱい やった」と しんじる ことです[3]。
この やくそくの ねらいは、「だれの せいか」を さがす ことを さけて、安心して 話せる 場を 作る ことです[3]。
たとえば、ゲームで まけた あとに、わけを 話す とき。先に 「みんな、あの ときは がんばって いたよね」と 言って おくと、話しやすく なりそうです。ただし これは わたしの たとえで、本に 書いて ある 話では ありません。
ソフトウェアづくりのチームの振り返りを一冊にまとめた本に、Norman Kerthの『Project Retrospectives』があります。2001年に出版された本です[2]。この本には、振り返りを始める前に確かめる「最優先の約束(Prime Directive)」が書かれています。
中身はこうです。何が見つかっても、そのときの知識・技能・使えた資源・状況の中で、全員が最善を尽くしたと信じる、というものです[3]。James Shoreの解説では、犯人探しを避け、安心して話せる場をつくるための前提として紹介されています[3]。
たとえば、部活の試合に負けたあとの作戦会議を考えてみます。最初に「あのときは、みんなその場で一番いいと思う動きをしていたよね」と確かめておけば、「だれのミスか」ではなく「どうすれば次は勝てるか」を話しやすくなりそうです。これは筆者が考えた例で、資料にある事例ではありません。
この約束がなぜ先に置かれるのか。次は、安心して話せる場になったあと、話し合いがどう進むのかを見ます。
Norman Kerthの『Project Retrospectives: A Handbook for Team Reviews』は2001年にDorset Houseから出版された、チームの振り返りの手引きである[2]。この本の核になるのが、振り返りの前に確認する「最優先の約束(Prime Directive)」だ。何が見つかっても、そのとき分かっていたこと、各人の技能、使えた資源、置かれた状況を前提にすれば、全員が自分にできる最善を尽くした、と信じる、という内容である[3]。
この約束が先に置かれるのは、問題を洗い出す場では、見つけた問題が個人への批判にすり替わりやすいからだ。Shoreの解説は、犯人探しを避け、安心して話せる場をつくるための前提としてこれを紹介している[3]。個人のせいにしない以上、話題は自然に「仕組みと手順のどこを変えるか」に移る。
ただし、約束は事実を曖昧にするためのものではない。起きたことは洗い出したうえで、評価の矛先を人から状況へ向ける、という使い方になる(これは約束の趣旨からの筆者の整理である)。
では、安心して話せる場ができたあと、話し合いはどこへ向かうのか。この問いが次章につながる。
3. 話した あとに、何が のこれば いい?
3. 話し合いの最後に、次の計画へ入れる
3. 振り返りの流れは「改善を次の計画に入れて追う」で終わる
ジェームズ・ショアさんの せつめいでは、ふりかえりの 会は 4つの ステップで すすみます[3]。
はじめに 先の やくそくに みんなが 同意します。つぎに、30ぷんほど、思いつく ことを どんどん 出します。そして ことばを なかまごとに 分けて、20ぷんほどで、次に 力を 入れる ことを 投ひょうで 決めます。
大事なのは さいごです。決めた ことを、次の 計画に 入れます。そして、決めた ことを ちゃんと やれて いるか、あとで たしかめる 人を 決めます[3]。
話して おわりでは なくて、次の やる ことが のこる ように できて いるのです。
では、約束を確かめたあと、話し合いはどう進むのでしょうか。Shoreの解説では、約束への同意、約30分のブレインストーミング、言葉を使わない分類、改善目標の投票と具体策づくり(約20分)、という順でした[3]。
注目したいのは最後の段取りです。決めた改善を次の計画へ組みこみ、決めた改善を実行できているか、あとで確かめる人を決める、と書かれています[3]。話し合いだけで終わると、次の週には忘れてしまいます。計画に入れて、追う人を決めておけば、話し合いの成果が行動に残ります。
ほかの資料も似た形です。DerbyとLarsenの『Agile Retrospectives』(2006年)は、場をつくる、データを集める、気づきを生む、何をするか決める、閉じる、の5段階で示します[4]。2020年版のスクラムガイドでも、スプリント・レトロスペクティブの目的は「品質と効果を高める方法を計画する」ことで、効果の大きい改善を次のスプリントの作業一覧に入れてよいとされています[5]。時間は1か月のスプリントで最大3時間で、短いスプリントではもっと短くなります[5]。
流れは資料ごとにちがっても、「何を変えるかを決める」「次に入れる」が最後に来る点は同じです。では、もっと軽く、紙1枚でできる型はないのでしょうか。
Shoreの解説では、イテレーションの振り返りは次の順で進む。まず約束への同意、次に約30分のブレインストーミング、言葉を交わさないグルーピング、そして約20分で改善目標の投票と具体策づくりを行う。さらに最後に、改善を次のイテレーション計画に組みこみ、実行を追跡する人を決める、とされる[3]。後半の二つがあるため、話し合いが行動に変わる。
DerbyとLarsenの『Agile Retrospectives』(2006年、Pragmatic Bookshelf)は、同じ構造を5段階で示す。場をつくる、データを集める、気づきを生む、何をするか決める、閉じる、である[4](この5段階はファシリテーション解説サイトの紹介による)。Shoreの流れと並べると、ブレインストーミングと分類が「データ」と「気づき」にあたり、投票と具体策が「何をするか決める」にあたる、と対応づけられる(これは筆者の対応づけである)。
Scrum Guide(2020年11月)は、スプリント・レトロスペクティブの目的を「品質と効果を高める方法を計画する」ことと定める。直近のスプリントで何がうまくいき、どんな問題があり、どう扱ったかを確認し、最も効果の大きい改善を次のスプリントの作業一覧に入れてよい、とする[5]。所要時間の最大3時間は、1か月のスプリントの場合の上限で、短いスプリントではそれより短い[5]。
三つの資料は表現も段階の数もちがう。ところが、最後に「何を変えるかを決め、次の計画に入れる」が来る点は共通だ。だとすれば、この「次の一歩」を、模造紙1枚の簡単な型にしたものがあってもよさそうだ。それがKPTである。
4. 紙に 2れつ だけ 書く やり方が、KPTに なった?
4. 模造紙の2列から、KPTへ
4. KPTの成り立ち ── CockburnのKeep/Tryから、Problemを足した型へ
KPTは、紙に 3つの らんを 作る やり方です。Keepは 「つづけたい こと」、Problemは 「こまった こと」、Tryは 「つぎに ためす こと」です[6]。
Tryには、よかった ことを もっと のばす 考えと、こまった ことを なおす 考えを 書きます[6]。
もとに なったのは、アリスター・コバーンさんの 「Keep」と 「Try」の 2れつだけの やり方だと いわれて います[7]。「Problem」を 足した 形は、日本で 広まったと されて います[7]。
1回だけだと うまく いきにくく、くりかえす うちに よく なると いわれて います[6]。
日本でよく使われるKPTは、Keep(続けること)、Problem(問題)、Try(次に試すこと)の3つの欄で活動を振り返る枠組みです。Tryの欄には、Keepをさらに伸ばす案と、Problemを直す案を書き出します[6]。
元になったのは、アジャイル宣言の著者の一人、Alistair Cockburnが示した「Keep/Try Reflection」だと説明されています。「続けること」「試すこと」の2列だけの、シンプルな振り返りです。そこに「Problem」を加えた形が日本で広まった、とされています[7]。誰がいつ加えたのかは、資料によって説明がちがいます。
書く欄が3つでも、最後は「Try」、つまり次にやることです。Kerthの約束で安心して話せるようになり、Shoreの流れで次の計画に入れる、という二つの働きを、1枚の紙にぎゅっと詰めた形、と見ることもできます(これは筆者の見方です)。
ただし単発では効果が出にくく、くり返すことで精度が上がる、とも説明されています[6]。毎月貼り替える紙は、その「くり返し」を支える工夫です。
KPTは、Keep(続けること)、Problem(問題)、Try(次に試すこと)の3欄で活動を振り返る枠組みである。Tryには、Keepをさらに伸ばす取り組みとProblemを改善する方法の両方を書き出す。人事用語の解説では、単発では効果が出にくく、繰り返すことで精度が上がる、とされる[6]。
起源についての説明はこうだ。アジャイル宣言の著者の一人Alistair CockburnがCrystal Clearで示した「リフレクション・ワークショップ(The Keep/Try Reflection)」が元になったとされる。Keep theseとTry theseの2列だけの形で、Problemを加えた形が日本で広まったとされる[7]。
この起源の説明は二次資料にもとづき、Problemを誰がいつ加えたかは資料間で一致しない。だから「日本で考案された」とは言わず、「Cockburnの手法が元とされ、日本でProblemを加えた形が広まった」と述べる範囲に留めるのが妥当だ。
Keep/Tryの2列に対して、Problemが加わった意味を考える。2列だけだと、良かった点を残すことと、次に試すことしか書けない。そこに「問題」の欄があれば、Tryの案を、問題への対処と、強みの延長に分けて考えやすくなる(これは3欄の構造からの筆者の推測である)。いずれにせよ、最後の欄が「Try」で終わる点は、Kerth・Shore・スクラムの流れと同じだ。
5. 「やった こと」から はじめる YWTは、何が ちがう?
5. 評価の前に事実を並べるYWT
5. YWTは、評価や感情より先に「やったこと」を置く
もう 1つ、日本で 使われて いる やり方に、YWTが あります[8]。
Yは 「やった こと」、Wは 「分かった こと」、Tは 「つぎに やる こと」です。
KPTと ちがう ところは、はじめに 「やった こと」だけを 書く ところです。よかった、わるかった、と いう 気もちは 入れません[8]。
たとえば、サッカーの 練習なら、「パスを 30かい した」と、した ことだけを 書きます。つぎに「ここが うまく いった」と 分かった ことを 書き、さいごに 「あしたは 右足で やる」と 次を 決めます。ただし、この 話は わたしが 作った ものです。
YWTは、Y(やったこと)、W(わかったこと)、T(次にやること)の3つです。まず事実としての「やったこと」だけを挙げ、評価や感情をはさまずに始める点がKPTと違う、と説明されます[8]。
たとえば、サッカーの練習の振り返りなら、最初は「パス練習を30本やった」と、したことだけを書きます。次に「右足のほうが、ボールが落ち着いた」と分かったことを書き、最後に「次の練習では、左足も同じ数だけやる」と決める流れです。この例は筆者が考えたもので、資料にある事例ではありません。
KPTは、いきなり「よかった・困った」から入ります。YWTは、先に起きたことを並べてから気づきに進みます。どちらも最後は「次にやること」で終わる点は同じです。
YWTがどこで生まれたかは、資料によって説明が分かれます。日本能率協会コンサルティングが考案した日本発の枠組みとする説明があります[9]。一方で、別の資料は別の団体の名を挙げ、年代の記述もそろいません。ここでは「日本の現場で広まった型」とだけ述べておきます。
YWTは、Y(やったこと)、W(わかったこと)、T(次にやること)の3段階の枠組みである。事実としての「やったこと」だけを先に挙げ、評価や感情を挟まずに始める点が、KPTとの違いだと説明される[8]。
KPTがいきなり「良かった点・困った点」という評価から入るのに対し、YWTは、事実→気づき→行動の順を踏む。評価から入ると、感情や印象に引きずられて、起きたことの確認が抜けるおそれがある。事実を先に置く順序は、その抜けを防ぐ働きを持つと考えられる(これは構造からの筆者の推測であり、資料の主張ではない)。
考案元については、資料の説明が分かれる。CREXの記事は、日本能率協会コンサルティング(JMAC)が考案した日本発の枠組みと説明する[9]。しかし別の資料は別の団体の名を挙げ、年代も資料によって異なる。したがって、考案元と年代は断定せず、「日本の現場で広まった型」と述べる範囲に留める。
ここまでの4つ(スクラムのレトロスペクティブ、Kerthの約束、KPT、YWT)は、いずれも「何かをやったあと」に振り返る型だった。では、やる前から振り返りを始める型はあるのか。
6. 読む 前に ふりかえる、とは どういう こと?
6. 読む前から始まるKWL
6. KWL(Ogle, 1986)── 読む前に「知っていること」と「知りたいこと」を置く
KWLは、読む 前から はじまる ふりかえりです。1986ねんに、ドナ・オーグルさんが 考えた、じゅぎょうの やり方だと いわれて います[10]。
Kは 「知って いる こと」、Wは 「知りたい こと」、Lは 「学んだ こと」です。
本を 読む 前に、K と W を 書きます。読んだ あとで、L を 書きます。
ねらいは、読む 人が 受け身に ならず、自分から 読む ことです[10]。
「知りたい こと」が 先に あると、読みながら 答えを さがしたく なります。ここまでの やり方は 「つぎに 何を するか」で おわって いました。KWLは、その 「つぎ」を、読む 前に おく やり方です。
KWLは、Know(知っていること)、Want(知りたいこと)、Learned(学んだこと)の3つです。1986年にDonna Ogleが示した、読解の授業モデルとされています[10]。
ほかの型と違うのは、読む前から振り返りが始まる点です。文章を読む前に「すでに知っていること」と「知りたいこと」を書き、読んだ後に「学んだこと」を書きます。学ぶ人が受け身にならず、主体的に読むためのモデルとされています[10]。
KPTやYWTは、やったことのあとに「次」を決めます。KWLは「知りたいこと」という次の問いを、読む前に置きます。先に問いがあるので、読むときの目の動きが変わりそうです(これは筆者の見方です)。
こうして4つの型を並べると、生まれた場所は、開発チーム、日本の現場、読解の授業とばらばらです。それでも、「事実を確かめる」「責めない」「次の問いや行動に向かう」が、どこかに入っています。この共通点を、手元で試せる形にしてみます。
KWL(Know・Want・Learned)は、1986年、Donna Ogle(オーグル)が提案したとされる、説明文の読解の授業モデルである。読む前に「知っていること」と「知りたいこと」を書き、読んだ後に「学んだこと」を書く。学習者が受け身にならず、主体的に読むことを狙ったものだ[10]。
これまでの型と違うのは、振り返りを始める時点である。スクラムのレトロスペクティブもKPTもYWTも、行動のあとに振り返る。KWLは「知りたいこと」という次の問いを、読む前に置く。先に問いを立てておけば、読みながら答えを探す構えができ、読み終えたときに「学んだこと」を、問いと対応づけて書ける(この説明は、モデルの構造からの筆者の整理である)。
KWLの説明は、ここでは一つの百科事典の記事に依拠する。論文本体は今回取り上げていない。派生形があるとされるが、資料の確かさが十分でないため、ここでは触れない。
4つの型は、生まれた場所がそれぞれ違う。スクラムとKerthは開発チーム、KPTは日本の現場で広まり、YWTも日本の現場、KWLは読解の授業である。にもかかわらず、事実を確かめる、責めない、次の問いか行動に向かう、という要素が、どこかに共通して入っている。だとすれば、この共通部分を、手元の紙1枚で確かめられるはずだ。
7. 今日の ことを 3つの らんに 書いて みよう
7. 今日の出来事を、YWTで3行に書いてみる
7. 手元で確かめる ── 3つの欄の順序を入れ替えて比べる/原典に当たる
紙に 3つの らんを 作ります。ひだりから 「やった こと」「分かった こと」「つぎに やる こと」です。
今日、した ことを 1つ えらんで、まず 「やった こと」だけを 書きます。よかった、わるかった、は まだ 書きません。
つぎに 「分かった こと」、さいごに 「あした やる こと」を 書きます。えんぴつだけで できます。
書いたら、つぎの 日に、また 見て みましょう。「あした やる こと」を やったか どうかが 分かります。
紙に3つの欄を作り、左から「やったこと」「わかったこと」「次にやること」と見出しを書きます。今日の出来事(宿題、練習、手伝いなど)を1つ選び、まず「やったこと」だけを事実で書きます。「よかった」「だめだった」はまだ書きません。次に「わかったこと」、最後に「次にやること」です。鉛筆と紙があればできます。
書いたら、同じ出来事を、今度は「続けること」「困ったこと」「次に試すこと」の3欄(KPT)で書き直してみます。書き出しの感じは変わるでしょうか。最後の「次にやること」の中身は変わるでしょうか。同じ出来事でも、型によって見えることがちがう、というのが、型が何種類もある理由かもしれません(これは筆者の見方です)。
2つを並べると、「何を書くか」の順番を変えるだけで、同じ出来事の見え方が変わることに気づくかもしれません。
手元で確かめるには、同じ出来事を、型を替えて2回書いて比べる。たとえば、学校や部活の出来事を一つ選び、まずYWT(やったこと→わかったこと→次にやること)で書く。次に同じ出来事をKPT(続けること・問題・次に試すこと)で書き直す。YWTは事実の列挙から入り、KPTは評価から入る。書き出しの手触り、そして最後の「次の一歩」の中身が変わるかを見ると、型の違いが自分のものになる。
原典を読むなら、アジャイル宣言の12原則は短いページで、最後の原則はすぐ見つかる[1]。振り返りの進め方に踏みこみたいなら、Shoreの解説[3]やScrum Guide[5]が、約束・流れ・時間の目安まで書いている。KPTの2列の原型(Cockburn)は、日本語の解説[7]を入口に、原典を自分で探してみる価値がある。
残る問いもある。KPTで「Problem」を加えたのは、いつ、誰なのか。YWTの考案元はどこなのか。資料の説明が割れているので、一次資料に当たる余地がある。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
出典について:アジャイル宣言の原則、Kerthの本の書誌、Shoreの解説、Scrum Guide、KPT・YWTの解説記事、KWLの解説記事を使った。KPTとYWTの起源は解説記事によるもので、原典は確かめていない。5段階の流れはファシリテーション解説サイトの紹介による。サッカーや部活の例は筆者の作例。
- Principles behind the Agile Manifesto. https://agilemanifesto.org/principles.html (12原則の最後の原則について)
- InformIT: Project Retrospectives (Norman Kerth). https://www.informit.com/store/project-retrospectives-a-handbook-for-team-reviews-9780133488579 (Kerthの本の書誌と最優先の約束について)
- James Shore, The Art of Agile Development: Retrospectives. https://www.jamesshore.com/v2/books/aoad1/retrospectives (約束の意味と、振り返りの流れの例について)
- Applied Frameworks, Agile retrospective framework in five steps. https://agile.appliedframeworks.com/applied-frameworks-agile-blog/agile-retrospective-framework-in-five-steps (5段階の流れの紹介について)
- The Scrum Guide 2020. https://scrumguides.org/scrum-guide.html (スプリント・レトロスペクティブの目的と時間について)
- Sqripts「振り返りのフレームワーク『KPT』」。 https://sqripts.com/2023/03/23/40400/ (KPTの元になった2列の手法の説明について)
- Jicoo「YWT」。 https://www.jicoo.com/magazine/blog/ywt (YWTの3つの段階とKPTとの違いについて)
- CREX「YWT 振り返り」。 https://crexgroup.com/ja/development/project/ywt-retrospective-framework/ (YWTの考案元についての一つの説明として)
- Wikipedia "KWL table". https://en.wikipedia.org/wiki/KWL_table (KWLの三つの欄とOgleの1986年の提案について)
なおした ところ
更新履歴
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