1. カタカタ のぼる とき、なにを して いるの?
1. 最初の山で、チェーンが引き上げる
1. チェーンリフト ── 位置エネルギーを蓄える工程
ジェットコースターは、はじめに 長い チェーンで、いちばん 高い 山の ちょうじょうまで ひっぱり上げられます[1]。カタカタ という おとは、その ときの おとです。
高い ところに 上がると、車には 「下へ おりる ちから」が ためられます。これを 「たかい ところに ある エネルギー」、むずかしい ことばで 「いちエネルギー」と いいます。おこづかいを ためる ちょきんの ような ものです。ただし ほんとうの おかねと ちがって、つかうと へって いきます。
ここから さきは、ちょきんを つかいながら 走る のです。
ジェットコースターには、基本的に動力がありません。動く力は、高いところにあるものが持っている位置エネルギーです。まず車両の下にチェーンを引っかけて、最初の山の頂上まで持ち上げ、位置エネルギーを蓄えます[1]。
のぼる途中に聞こえるカタカタという音は、このチェーンを使った引き上げの音として知られています。
頂上を越えると、チェーンははずれます。そこから先は、蓄えた力だけで走ります。おこづかいをためておいて、あとは少しずつ使っていくのに似ています。ただし、お金と違って、使う一方で増えることはありません。
ジェットコースターには基本的に動力が存在せず、位置エネルギーを運動エネルギーに変換して動く。そのためにまず、車両の下部をチェーンに引っかけて、最初の山の頂上まで引き上げ、位置エネルギーを蓄える[1]。
頂上で車両がチェーンから離れると、以後は外部から動力を受けずに走行する。エネルギーの供給は最初の1回だけで、そこから先は減る一方になる(3章)。
2. 高い ところから おりると、どうして はやいの?
2. 高さが速さに変わる
2. 位置エネルギーと運動エネルギーの変換
山の 上から 下へ おりると、車は どんどん はやく なります。上に あった 「いちエネルギー」が、うごく ちからに かわる からです。
はんたいに、つぎの 山を のぼる ときは、はやさが 少し へって、そのぶん 高さに もどります[1]。
自てんしゃで 坂を くだる ときも、ペダルを こがなくても どんどん はやく なりますね。おなじ ことです。
3. どうして さいしょの 山が いちばん 高いの?
3. 二つ目の山が低くなる理由
3. 損失と最初の山の高さ
コースターの 山を 見くらべると、たいてい さいしょの 山が いちばん 高く なって います。
車を うごかすと、車りんの まさつや、空気に ぶつかる ちからで、エネルギーが 少しずつ へって いきます[1]。だから 下って 上ったとき、おなじ 高さまでは 上がれません。
さいしょに たくさん ためておかないと、さいごまで とどかないのです。ただし、はっしゃしきの ように れいがいも あります(6しょう)。
4. さいしょの ジェットコースターは、どんな のりものだった?
4. 1884年、歩いて戻したコニーアイランドの元祖
4. Switchback Railway ── 1884年の重力鉄道と鉱山鉄道の系譜
いまから 140ねんいじょう まえの 1884ねん、アメリカの コニーアイランドという ばしょに、重力だけで 走る のりものが できました[3]。
はやさは、時そく 10キロメートル ぐらい。走るのと おなじくらいです[3]。
ゴールに ついたら、おきゃくさんが おりて、しゃりょうを おして もとの ほうへ もどした と つたえられて います[4]。
いまの コースターとは、ずいぶん ちがいます。
1884年6月16日、アメリカのコニーアイランドで、ラマーカス・トンプソンの考えた「グラビティ・プレジャー・スイッチバック鉄道」が開業しました。重力だけで走り、時速は約6マイル、つまり約10km。料金は5セントでした[3]。
長さは約600フィート(約183m)。往復するのではなく、終点で乗客が降りて、車両を折り返して戻したと伝えられています[4]。
トンプソンは、ペンシルベニア州の炭鉱で使われていた重力を利用した鉄道からヒントを得たとされます[5]。ヒントの元には諸説あるので、「とされる」と書いています。
1884年6月16日、LaMarcus Thompsonの「Gravity Pleasure Switchback Railway」がコニーアイランドで開業した。重力で走行し、速度は約6マイル毎時(約9.7km/h)、料金は5セントで、1日の利益は600ドルとされる[3]。世界初ではなく、米国初の商業用の遊園地コースターとして扱われる。
全長は600フィート(約183m)で、往復乗車ではなく、乗客が降りて車両を折り返した[4]。
着想の元は、廃坑後の炭鉱車を旅客輸送に転用した鉱山鉄道(ペンシルベニア州マウチチャンク)とされる[5]。着想の元は諸説あるため、断定はしない。この鉄道の運行の詳細(石炭輸送の終了時期や上りの動力など)は、資料により記述が異なるため、本記事では扱わない。
5. とまる ときは どうする? でんきが きえたら?
5. 止めるしくみと、停電したときの走り方
5. ブレーキ板とフィン ── 慣性で安全な場所まで
とまる ときは、のりばの ブレーキの いたが、車の 下に ついた いたを ぎゅっと はさんで とめます[1]。
もし でんきが きえても、あわてなくて だいじょうぶ と いわれます。さかさまの ところで とめず、あんぜんに おりられる ところまで、いきおいで 走らせる のが ふつう だと、メーカーは いって います[6]。
さいしょの 山で ためた 高さの ちからが あるからです。
6. いまの コースターは、みんな エンジンが ないの?
6. 「エンジンがない」は従来型の話
6. 発射式 ── 外から加速する形式という例外
ここまでの はなしは、チェーンで 引き上げる むかしながらの コースターの ことです。
さいきんは、はっしゃの ときや 走って いる とちゅうで、じしゃくの ちからや 空気の ちからで、いきおいを つける コースターも あります[1]。
これは、山の 高さだけで 走る のとは ちがう しくみです。
だから、「エンジンが ない」のは、むかしながらの コースターの はなしです。
自分でも しらべて みたく なったら
自分でも調べてみたくなったら
自分でも調べてみたくなったら
今日できること
ほんを かさねて、下じきで 坂を つくります。ビー玉を 上から ころがして、ゆかで とまる ところまで はかります。ほんを 1さつ ふやすと、どうなるでしょう。おうちの ひとと いっしょに、ビー玉を ゆかに おとさないよう、きを つけて やって みましょう。
出かけてできること
ゆうえんちで、コースターの 山の 高さを 見くらべて みましょう。いちばん 高いのは、はじめの 山でしょうか。
こうしきの 情報
ゆうえんちの ホームページや、としょかんの りかの ほんに、くわしい しくみが のって います。
今日できること
本を重ねて、下敷きで坂を作ります。ビー玉を転がして、床で止まるまでの距離を測ります。本を1冊増やして高さを変えると、距離はどう変わるでしょうか。ビー玉が床に散らばらないよう、広い場所で、大人と一緒に試してください。
出かけてできること
遊園地に行ったら、山の高さを見比べます。最初の山はいちばん高いでしょうか。ブレーキが働く場所も探してみましょう。
公式情報
日本機械学会の解説や、遊園地・メーカーの公式ページ、図書館の科学の本に、しくみの説明があります。
今日できること
本と下敷きで坂を作り、ビー玉を転がして止まるまでの距離を測る。坂の高さを変えて、距離の変化から位置エネルギーの大きさを考える。摩擦の異なる床(フローリングとカーペットなど)で比べてもよい。ビー玉が散らばらないよう、広い場所で行う。
出かけてできること
遊園地では、山の高さの順、最初の山との比較、ブレーキの位置を観察する。チェーンリフト式か発射式かを見分けるのもよい。
公式情報
日本機械学会のメカライフの記事を読み、2章の計算(v=√(2gh))を、高さを変えて自分の手で追ってみるのもよい。遊園地や図書館の科学の本も手がかりになる。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
仕組みは日本機械学会の解説と米国の教材を突き合わせた。歴史は遊園地関連の資料による。停電と発射式の説明は、報道記事と辞典類の要約に依る部分があり、原文全体は照合していない。
- 日本機械学会誌 2010年3月号 メカライフ「ジェットコースタ編」 https://www.jsme.or.jp/mechalife/jp/student/mechaland/1003.pdf (動力がないこと・チェーン・損失・ブレーキ・発射式)
- TeachEngineering: Physics of Roller Coasters https://www.teachengineering.org/lessons/duk_rollercoaster_music_less (式・最初の山が最も高い理由)
- ASCE Civil Engineering Almanac https://asce.org/publications-and-news/civil-engineering-source/article/2021/06/16/civil-engineering-almanac--first-amusement-park-roller-coaster-in-the-us (1884年の開業・速度・料金)
- Coney Island History Project: La Marcus Thompson https://www.coneyislandhistory.org/node/1873 (長さ・戻し方)
- Switchback Gravity Railroad https://switchbackgravityrr.org/sbridest.htm (着想の元とされる炭鉱の鉄道の話)
- 乗りものニュース「ジェットコースター さかさまの時に停電したらどうなるの?」 https://trafficnews.jp/post/111888 (停電時の走り方)
- コトバンク「ジェットコースター」 https://kotobank.jp/word/じぇっとこーすたー-3155216 (発射式)
なおした ところ
更新履歴
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