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せっけんの あわは、どうして 水だけでは ながもち しないの?

石けんの泡は、なぜ水だけでは長続きしないのか

水だけの泡はなぜ長続きせず、界面活性剤かいめんかっせいざいを加えると長持ちするのか:分子の形と水の硬度による泡立ちのちがい

分野:技術

きれいな 水だけを ペットボトルに 入れて ふると、あわは できても すぐに きえて しまいます。ところが、せっけんを ひとかけ 入れると、ふわふわの あわが 長く のこります。

水と せっけんで、なにが ちがうのでしょう。せっけんの あわは、どうやって できて、どうして つよく なったり よわく なったり するのでしょう。この ページを 読むと、あわが できる わけと、水が かわると あわだちが ちがう わけが わかります。

水だけをふっても泡はできますが、すぐに消えてしまい、シャボン玉のような長持ちする膜にはなりません。純水など、混じりけのない液体では、安定した石けん膜は作れないと説明されています[3]。ところが、石けんをほんの少し足すだけで、泡は長持ちするようになります。

石けんは水に何をしているのでしょう。同じ石けんでも、住んでいる地域の水によって泡立ちがちがうのはなぜでしょう。この記事を読むと、泡が続くしくみと、泡立ちを左右する分子の形や水の硬さが分かります。

水だけでも泡はできるが長続きしない。純水など純粋な液体では、安定した石けん膜(シャボン玉の膜)は作れない[3]。水に界面活性剤を少し加えると、泡は長持ちするようになる。界面活性剤が空気と水の境目に並ぶと、膜が薄くなるのが遅くなるためと説明される。

本記事を読むと、界面活性剤が気液界面に並んで水の膜を支える機構(条件によって働き方は変わる)、分子の形(炭素鎖の長さと枝分かれ)が泡立ちを左右すること、水の硬度が石けんの泡立ちを落とす理由について、出典ごとに確かな範囲と推定の部分を区別して分かる。

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1. 水だけだと、どうして あわが きえるの?

1. 水だけでは、なぜ泡が続かないのか

1. 純水では泡が長持ちしない:泡の正体は「水の薄い膜」である

あわの かべは、じつは とても うすい 水の まくです。空気を 水の まくが つつんで います。

水だけの まくは、すぐに うすく なって やぶれて しまいます。せっけんの ぶんしが ないと、うすく なるのを おさえにくい からです。

ところが せっけんを 入れると、まくの ようすが かわります。せっけんの 中には、まくが うすく なるのを おそく する 小さな ぶんしが たくさん あるのです。

泡の壁は、空気を包んだ水の薄い膜です。膜を作る水は重力で下へ流れ、やがて蒸発もします。だから純粋な水だけの膜は、あっという間に薄くなって破れます。泡自体はできても、純水ではシャボン玉のような安定した膜はできない、と説明されています[3]。

ところが石けんを加えると、膜は長持ちします。東京理科大学の研究紹介は、泡が空気と液体の境目(気液界面)に界面活性剤が吸着することで安定化する、と述べています[2]。つまり泡の長持ちには、水だけでなく、境目に並んだ石けんの分子が関わっています(働き方は界面活性剤の種類や条件によってもちがいます)。

では、石けんの分子は、境目でどんなふうに並んでいるのでしょうか。

泡の壁は、空気を包んだ水の薄い膜である。この膜は、水が重力で下へ流れ、蒸発もするため、放っておけば薄くなって破れる。水だけでも泡はできるが、純水など純粋な液体では、安定した石けん膜(シャボン玉)は作れない[3]。

これに対し、界面活性剤を加えると膜は安定する。東京理科大学の研究紹介は、泡は空気と液体の界面(気液界面)に界面活性剤が吸着することで安定化されると述べる[2]。泡の持続には、水そのものよりも、境目に集まった界面活性剤が関わっていることになる(働き方は界面活性剤の種類や条件にもよる)。ただし、それでも液が膜の下へ流れ、蒸発が進めば、泡はやがて壊れる[3]。泡立ちが「長持ちする」のであって、永遠に続くわけではない。

では、界面活性剤はなぜ境目に集まるのか。その答えは、分子の構造にある。

2. せっけんの ぶんしは、どんな かたちを して いるの?

2. 石けんの分子は、水と空気の境目でどう並ぶのか

2. 界面活性剤は、なぜ空気と水の境目に並ぶのか:親水基と疎水基

せっけんの 分子ぶんしを、おたまじゃくしに たとえて みましょう。あたまは 水が すき。しっぽは 水が きらいで、あぶらが すきです。

おたまじゃくしを 水に 入れると、しっぽを 水から にがそうと して、水の おもてに 集まります。あたまは 水の 中、しっぽは 空気の ほうに 向きます。

水の まくは 表と うらが あるので、りょうほうの おもてに、おたまじゃくしが ならびます。ならんだ ぶんしが、まくが うすく なるのを おそく する はたらきを すると いわれて います。せっけんの しゅるいや じょうけんで、はたらきかたは ちがいます。

ただし 本当の ぶんしは おたまじゃくしでは ありません。「水が すきな 部分」と「水が きらいな 部分」を もつ、という ところだけが にて います。

石けんや洗顔料に含まれる界面活性剤は、「水になじむ部分(親水基)」と「油になじむ部分(疎水基・親油基)」の両方を一つの分子にもっています[1]。おたまじゃくしにたとえると、頭が水好き、しっぽが水ぎらいです(ただし本物の分子はおたまじゃくしではなく、二つの性質を持つ部分がある、という点だけが似ています)。

水に溶けると、親水基は水の中へ、親油基は水面と反対側、つまり空気のほうへ向きます[1]。しっぽを水から逃がそうとして、分子は水と空気の境目に集まるわけです。

泡の膜には、表と裏の二つの面があります。その両方に分子が並ぶと、分子どうしの反発などがはたらいて、膜が薄くなるのを遅らせると説明されています[3]。さらに、表面の分子が場所によって混み具合がちがうと、混んだほうからすいた方へならそうとする力(マランゴニ力)がはたらき、膜に弾力のような性質を与えて、厚みの変化に強くすると説明されています[3]。ただし、どの仕組みがどれだけ効くかは、界面活性剤の種類や条件によってもちがいます。

ここまでが、泡が続く基本の仕組みです。では、どんな形の分子でも同じように泡を作るのでしょうか。

界面活性剤は、水になじむ親水基と、油になじむ疎水(親油)基の両方をもつ化合物で、界面張力を大きく下げる物質と定義される[1]。水に溶けたとき、親水基(極性基)は水中へ、親油基(非極性基)は水面と反対側、すなわち空気側へ向く[1]。疎水基は水を避けるので、分子は気液界面に集まる。これが先に述べた「境目への吸着」の理由である。

泡の膜には、表と裏の二つの界面がある。膜の両面に分子が並ぶと、反発などが膜の安定化に関わり、膜が薄くなるのを遅らせると説明される(界面活性剤の種類や条件による)。純粋な液体にはこの効果がなく、安定したシャボン玉にならない[3]。さらに、界面活性剤の表面濃度にむらが生じると、マランゴニ力が濃度をならす方向にはたらき、膜は弾力のような性質を帯びて厚みの変化に強くなるとされる。それでも液の排出と蒸発は止められないので、泡はやがて壊れる[3]。

なお、界面活性剤の作用は起泡だけではなく、浸透、湿潤、分散、乳化、可溶化などがある[1]。泡立ちは、その一部にすぎない。では、泡立ちのよしあしは、分子の何で決まるのか。

3. しっぽの 長さや かたちで、あわだちは かわるの?

3. 分子の形やほかの成分で、泡立ちはどう変わるか

3. 泡立ちを左右する構造:炭素鎖の長さ・枝分かれ・添加物

せっけんの ぶんしは、しっぽの かたちで、あわの できやすさが ちがいます。

あわを つくる ざいりょう(きほうざい)では、しっぽが まっすぐで 長い ぶんしが むいて いる ことが 多いと いわれて います。しっぽが みじかい ものや、えだの ように わかれて いる ものは、あわが 少なく、あわを けす はたらきを する ことも あります。

また、東京理科大学の 研究では、ある せんざいの ぶんしに、しっぽの 長い あぶらの なかま(高級アルコール)を 足したら、あわが つよく なりました。この じっけんでは、しっぽが 長いほど あわが 長もちしましたが、長すぎると、しずんで たまる もの(ちんでん)が できました。

泡立ちは、分子の形でも変わります。『世界大百科事典』は、泡を作る働き(起泡剤)には、油になじむ部分が一直線で、炭素の鎖が長いものがよい傾向があると説明しています。反対に、鎖が短いものや枝分かれした形のものは泡が立たず、かえって泡を消す働きをすることもあります[1]。

東京理科大学の研究では、陰イオン界面活性剤に高級アルコールを組み合わせる実験が行われました。その結果、表面張力が下がり、表面の粘り(表面粘度)が上がって、気液界面に密な膜ができ、泡の安定性が高まりました。この実験の条件では、高級アルコールの炭素鎖が長いほど泡は安定しましたが、長すぎると沈殿が生じました[2]。

この研究では、エタノールが多いと、界面活性剤が境目に吸着しにくくなり、安定な泡ができにくいことも示されています[2]。泡立ちは、分子の形と、まわりに何があるかの両方で決まるようです。

では、石けんを溶かす「水」そのものがちがうと、どうなるのでしょうか。

世界大百科事典は、起泡剤には、直鎖状で炭素鎖の長い親油基をもつものが優れる傾向があると説明する。炭素鎖が短いものや枝分かれした構造のものは泡立ちが少なく、むしろ消泡剤として働く[1]。

東京理科大学の実験(陰イオン界面活性剤SMT〈ココイルメチルタウリンNaなど〉と高級アルコールの組み合わせ)では、表面張力が下がり、表面粘度が上がり、気液界面に密な吸着膜が形成されて、泡の安定性が高まった。この実験では高級アルコールの炭素鎖が長いほど泡は安定したが、長すぎる場合は沈殿が生じた[2]。この条件では、鎖は長いほど泡に有利だが、溶液に収まる範囲に限界があった。また、エタノールが多いと界面活性剤が界面に吸着しにくくなり、安定な泡ができにくい[2]。

以上は、界面活性剤そのものの条件である。ところが、現実の石けんの泡立ちは、溶かす水によっても大きく変わる。

4. おなじ せっけんなのに、水で あわだちが ちがうのは どうして?

4. 同じ石けんでも、水によって泡立ちがちがうのはなぜか

4. 水の硬度と石けんの泡立ち:軟水・硬水・金属石けん

おなじ せっけんでも、住んで いる ところの 水で、あわだちが かわる ことが あります。水の 中の カルシウムや マグネシウムが 多い 水を「こうすい」、少ない 水を「なんすい」と いいます。せっけんは、なんすいだと あわが 立ちやすく、こうすいだと 立ちにくい のです。

わけは、こう 考えられて います。せっけんの ぶんしが、水の中の カルシウムなどと むすびついて、水に とけにくい かたまりに なると いう 考え方です(まだ「たぶん そうだろう」という 考えで、きまった 答えでは ありません)。かたまりに なった ぶんしは、あわの もとに なりにくいと 考えられます。

ちばけんの 水道きょくは、けんの 水道の 水を、「水の かたさ」が 1リットルあたり やく80ミリグラムの、ちゅうくらいの なんすいだと つたえて います。

水の「硬度」は、水に溶けているカルシウムとマグネシウムの量を、炭酸カルシウムの量に直した数字です。京都府の説明では、石けんは軟水だとよく泡立ち、硬水だと泡立ちにくい、とされています[4]。

なぜ泡立ちにくくなるのでしょう。石けんのような、ナトリウムなどを含む脂肪酸の塩とは別に、カルシウムやマグネシウムなどの金属と脂肪酸が結びついたものを金属石けんといい、水に溶けにくい、または溶けないと説明されています[5]。硬水の中では、石けんの分子がカルシウムなどと結びついて溶けにくいものになり、泡を作る分子が減るため、泡立ちにくくなる、と考えられます。ただし、この二つを一続きにした説明は、一つの資料にそのままは載っていないので、「考えられる」にとどめます。

硬度の数え方は国で違います。ドイツ硬度では、10度以下が軟水、10〜20度が中間水、20度以上が硬水に分けられています[4]。日本の水道水の水質基準は、硬度が1リットルあたり300ミリグラム以下です。千葉県営水道の水は約80ミリグラム/リットルで、中程度の軟水と説明されています[6]。ドイツ度と、ミリグラム/リットルは単位がちがうので、数字をそのまま比べることはできません。

水の硬度は、水中のマグネシウムとカルシウムの量を、炭酸カルシウム(CaCO3)または酸化カルシウムの量に換算した数字である[4]。石けんは軟水ではよく泡立ち、硬水では泡立ちにくい[4]。千葉県水道局も、硬度を「石けんの泡立ちにくさ」の指標として説明している[6]。

この理由は、次のように推定できる。脂肪酸のナトリウム塩・カリウム塩以外の金属塩は金属石けんと総称され、水に難溶ないし不溶である[5]。硬水に石けんを溶かすと、石けんの陰イオン部分がカルシウムやマグネシウムと結びつき、溶けにくい金属石けんになる。その分だけ、界面に並べる分子が減り、泡立ちが悪くなる、という筋道である。ただしこれは、泡立ちにくさの記述[4][6]と金属石けんの性質[5]を組み合わせた推論で、一つの出典が一続きに述べているわけではない。また、洗顔料のような合成界面活性剤が、石けんと同じ程度に硬水の影響を受けるかは、ここでは扱わない。

硬度の区分は、国と単位でちがう。ドイツ硬度では10度以下が軟水、10〜20度が中間水、20度以上が硬水である[4]。日本の水道水質基準は、硬度1リットルあたり300ミリグラム以下で、千葉県営水道は約80ミリグラム/リットルの中程度の軟水とされる[6]。この二つは単位が異なるので、混ぜて比べない。

5. うちでも ためして みよう

5. 台所で泡の「支え」を確かめる

5. 泡の安定を手元で確かめ、原典に当たる

みずと せっけんみず

きれいな ペットボトルを 2ほん 用意して、水を 半分ずつ 入れます。1ほんには、せっけんを ほんの すこし 入れて とかします。ふたを して、おなじ ように ふってから、あわが きえる はやさを くらべて みましょう。せっけん水の ほうが、あわが 長く のこるはずです。おうちの 水が こうすいか なんすいか わかるなら、おなじ せっけんを おなじ りょう 入れて、ふった あとの あわを くらべても たのしいです(めやすです)。

ふる ときは、ふたを しっかり しめて、水を こぼさないように してね。

水と石けん水で比べる

きれいなペットボトルを2本用意して、半分ずつ水を入れます。片方にはごく少量の石けんを溶かします。ふたをしっかり閉め、同じ回数ふって、泡が消えるまでの時間を比べてみましょう。石けんの分子が膜の薄まりを遅らせるなら、石けん水のほうが泡は長く残るはずです。

水道水の泡立ちを見る

自分の家の水道水と、ラベルに硬度が書かれた市販の水があれば、同じ種類・同じ量の石けんで石けん水を作り、同じ回数ふって泡立ちを比べてみましょう。比べた結果は目安で、水の種類によって変わるのは硬度だけではないので、泡の差のすべてが硬度のせいとは言えません。

資料を読むなら

京都府の説明[4]や千葉県水道局のページ[6]は、日本語で水の硬度の基準を確かめられます。

手で確かめる

水だけの容器と、石けんを少量溶かした容器を同じ条件でふり、泡が消えるまでの時間を比べる。第1章の「純水では安定した膜ができない」ことが、泡の持続の差に現れるはずである。さらに、硬度が表示された水があれば、同じ種類・同じ量の石けんで同じ濃度の石けん水を作り、同じ回数ふって泡立ちの程度を比べられる。この比較は目安にとどまり、水の種類による差を硬度だけに帰すことはできない。

資料を読むなら

分子の形と泡立ちは世界大百科事典(コトバンク)[1]、炭素鎖の長さと添加物の実験は東京理科大学の発表[2]、膜の両面に並ぶ分子の反発とマランゴニ力は英語版Wikipediaの石けん膜の項[3]、硬度の定義と区分は京都府[4]、金属石けんの性質は[5]、水道水質基準と千葉県営水道の硬度は千葉県水道局[6]にある。[3]は英語のWikipediaで、膜の反発やマランゴニ力の説明はこの一つに頼っているため、専門書や論文でも確かめたい。[1][5]は百科事典の記述を収録したページで、いずれも公式の一次資料ではない点に注意したい。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文で使った資料です。

  1. コトバンク「界面活性剤」(日本大百科全書・世界大百科事典・デジタル大辞泉). https://kotobank.jp/word/%E7%95%8C%E9%9D%A2%E6%B4%BB%E6%80%A7%E5%89%A4-42949 (親水基・親油基/向き/分子の形と起泡)
  2. 東京理科大学 ニュース(泡の安定性の研究)2022. https://www.tus.ac.jp/today/archive/20220901_3819.html (界面への吸着/高級アルコールの実験)
  3. Wikipedia: Soap film. https://en.wikipedia.org/wiki/Soap_film (純水では石けん膜ができない/膜の反発とマランゴニ力)
  4. 京都府 硬水と軟水. https://www.pref.kyoto.jp/hokanken/oyakudati_kousui.html (硬度の定義と区分/石けんの泡立ち)
  5. コトバンク「金属石鹸」(化学辞典・デジタル大辞泉). https://kotobank.jp/word/%E9%87%91%E5%B1%9E%E7%9F%B3%E9%B9%B8-54317 (金属石けんの溶けにくさ)
  6. 千葉県水道局 おいしい水 豆知識. https://www.pref.chiba.lg.jp/suidou/keikaku/oishii2/mame/mame14.html (水道水質基準の硬度/千葉県営水道の硬度)

なおした ところ

更新履歴

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