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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

しおの ひょうの「0」は、うみが なくなる ことでは ないの?

潮位表の「0cm」は、海の高さがゼロという意味ではない ── 数字の読み方と、予測とのずれ

潮位表の0cmは平均海面より下にある ── 基準面と空欄の理由、月の欄の読み方、予測とのずれ

分野:海・釣り

しおの ひょうには、うみの 高さが「cm」で ならんで います。でも、0cmは、うみの 水が ゼロという ことでは ありません。では、なんの 0なのでしょう。

ふゆの 大きな しおの ころには、うみが 海図の きじゅんより 下がる「マイナスちょうい」も おこります[5]。ひょうの 0の ひみつ、からっぽの 日の わけ、月の かたちとの つながり、そして ひょうと じっさいが ずれる わけが 分かります。

潮位表には、満潮や干潮の時刻と、海の高さがcmで並んでいます。ところが、その0cmは、海の水がなくなる高さではありません。さらに、冬の大潮のころには、海が海図の基準より下がる「マイナス潮位」も起こります[5]。

0cmは、いったい何の高さなのでしょうか。表の基準、空欄の日の理由、月の欄の使い道、予測と実際のずれが分かります。

気象庁の潮位表の0cmは、平均海面より下に決めた「潮位表基準面」で、海面の高さそのものではない[1]。しかも海図の基準面(最低水面)より下がることも、日本沿岸では毎年のように冬の大潮のころに起こると報告されている[5]。

では、表の数字は何を基準にした値で、空欄や「−」は何を意味し、予測はどこまで当たるのか。基準面、月の欄と大小の潮、天文潮位と実測潮位の差の4点が分かる。

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1. 0cmは、うみの 高さが ゼロの ことなの?

1. 表の「0cm」は、海の高さがゼロのことなのか

1. 潮位表基準面 ── 0cmは平均海面より下に置かれた基準

つりに 行く 前の 日、しおの ひょうを ひらきます。「まんちょう 6:12 150cm」「かんちょう 12:30 20cm」のように、じこくと cmが ならんで います。

じこくは、1日を 24じかんで あらわします。午後の 3じは「15:00」です[1]。

この 20cmは、うみの 水が 20cmしか ない という ことでしょうか。ちがいます。0cmは、ばしょごとに きめた「きじゅんの 高さ」です。ひょうの 数字は、その きじゅんから 何cm 上かを あらわして います。

たとえば、へやの ゆかから はかった 高さと、つくえの 上から はかった 高さは、ちがう 数に なります。それと にて います。ただし、うみの きじゅんは、じぶんで えらぶのでは なく、ばしょごとに 決められて います。

表の中身は、時刻と高さ

気象庁の潮位表には、毎日の満潮・干潮の時刻と潮位が載っています。時刻は24時間表記で、潮位の単位はcmです[1]。

0cmは、海面ではなく「基準面」

表の0cmは「潮位表基準面」という高さです。平均海面よりも、地点ごとに決められた高さだけ下に置かれています[1]。ですから「干潮20cm」は、水の深さが20cmという意味ではなく、基準面より20cm高い、という意味になります。

では、基準面は全国で同じなのでしょうか。

気象庁の潮位表の時刻は24時間表記、潮位の単位はcmである。ただし0cmは海面の高さではなく、「潮位表基準面」という地点ごとの基準で、平均海面からその地点で何cm下にあるかが表に示される[1]。したがって「干潮20cm」は水深ではなく、基準面からの高さを指す。

基準面が地点ごとに決まるのであれば、別の機関の潮位表では、また別の面が使われている可能性がある。次の章では、実際にそうなっている例を見る。

2. 港ごとに 0が ちがうって ほんとう?

2. 港の表と海図で、基準の面はちがう

2. 港湾管理用基準面と最低水面 ── 面が複数あることの意味

くにの やくしょが 出して いる みかわこうの ひょうを 見ると、きじゅんは「みかわこう こうわん かんりよう きじゅんめん」と 書かれて います。これは、東京わんの へいきんの 海面より、1メートル 23センチほど 下の 面です[4]。

つまり、ひょうごとに 0の 場所が ちがうのです。見る ときは、まず「0は どこ?」を 見ましょう。

ふねの ための かいずにも、きじゅんが あります。「さいていすいめん」と いって、うみの ふかさを ふねに あんぜんな がわで 読む ために、ほとんど そこまでしか 下がらない ひくい 高さに そろえて あります[5]。

ところが「さいてい」と いうのに、これより 下がる ことも あります。冬の 大きな しおの ころに よく あり、ふつうの 日より もっと 水が ひく ことが あるのです。これを「マイナスちょうい」と よびます[5]。

三河港の表の0cm

国土交通省中部地方整備局の三河港の潮位表では、基準は「三河港港湾管理用基準面」で、T.P.(東京湾平均海面)より1.239m下の面です[4]。気象庁の表とは別の面ですから、数字を見くらべるときは、基準が同じかどうかをまず確かめる必要があります。

海図の最低水面と、マイナス潮位

海図の水深は、水深を読むための基準面「最低水面」を基準に書かれます。これは、潮の波のうち大きい4つ(M2・S2・K1・O1といいます)の振れ幅を、平均の水面からぜんぶ引き下げた面です。水深を安全側に読めるよう、これより下がることがまれな面に水深をそろえる、という考え方です[5]。

ところが「最低」は便宜的な名前で、これより下がることは珍しくありません。日本沿岸の多くの場所で、毎年、冬の大潮のころに最低水面より下がることがあり、これを「マイナス潮位」といいます[5]。表に「−」の数字が出たら、そういう日です。

三河港の潮位表は、基準を「三河港港湾管理用基準面(T.P.−1.239m)」と明示している。T.P.は東京湾平均海面であり、この面は約124cm下にある[4]。気象庁の表とは別の面であるため、数字を並べて比べるには基準の確認が前提になる。

一方、海図の水深は最低水面を基準とする。これは平均水面から主要4分潮(M2・S2・K1・O1)の振幅の和だけ下げた面で、水深を安全側に読むため、これより下がることがまれな面をとる考え方に基づく[5]。ただし「最低」は便宜的な名称で、日本沿岸の多くの地点で毎年、冬季の大潮のころに最低水面より下がることが散見される。これがマイナス潮位である[5]。

基準面は用途ごとに複数あり、表を読む前提として「0がどの面か」を確かめる必要がある。では、数字の欄そのものはどう読めばよいのか。表の空欄や「−」から見ていく。

3. ひょうに からっぽの 日が あるのは なぜ?

3. 満潮や干潮の欄が空いている日は、なぜあるのか

3. 満潮・干潮の時刻が遅れ、欄が空く理由

ひょうを 見て いると、まんちょうの らんが「−」や からっぽの 日が あります。まちがいでは ありません。

まんちょうと かんちょうの じこくは、1日に 50ぷんほど おそく なります[2]。「50ぷんほど」は めやすで、日や ばしょで 少し ずれます。

毎日 少しずつ おくれて いくと、ある日、まんちょうが 夜中の 12じを こえて、つぎの 日に なって しまいます。すると その 日は、まんちょうが 1回しか なく、ひょうの らんが 1つ あきます[4]。

たとえば、まいにち 少しずつ ねぼうする 人が、ある日 日づけを こえて ねむる ような ものです。ただし、うみは ねぼうでは なく、月の うごきに あわせて いるのです。

毎日、約50分ずつ遅れる

満潮と干潮の時刻は、毎日約50分ずつ遅れていきます。月が約1か月の周期で地球のまわりをまわっているためです[2]。約50分は目安で、日や場所によって前後します。

遅れが積もると、欄が空く

毎日の遅れが積み重なると、その日の満潮または干潮が夜中の0時をこえて翌日になることがあります。すると、その日は満潮(干潮)が1回だけになります。三河港の表は、この日の欄を「−」で埋めています[4]。気象庁の表でも、予測がない日の欄は空欄です[1]。

空欄の日が見つかったら、その前後の日の時刻を見てください。遅れがじわじわ進んでいる様子が分かるはずです。

満潮・干潮の時刻は、月の公転周期が約1か月であるため、毎日約50分ずつ遅れる。ただしこれは目安である[2]。この遅れが積み重なると、その日の満潮または干潮が夜半を越えて翌日にずれ、満潮・干潮が1日1回になる日が生じる。三河港の潮位表は、そうした日の欄を「−」で埋めている[4]。気象庁の表でも、満潮・干潮が予測されない日の欄は空欄になる[1]。

つまり空欄は欠測や誤りではなく、周期の端数が1日の枠からはみ出したことの表れである。では、同じ表から、潮の「大きさ」の日も見分けられるのか。

4. ひょうから 大きな しおの 日を えらべるの?

4. 月の形から、潮の大きな日と小さな日を見分ける

4. 朔望と大潮・小潮 ── 月の欄を手がかりにする

うみの 水が ぐんと ふえて、ぐんと へる 日が あります。これが「大しお」です。月が 見えない しんげつの ころと、まるい まんげつの ころに おこります[2]。

半分に かけた 月(じょうげん・かげん)の ころは、水の ふえ へりが 小さい「小しお」です。大しおと 小しおは、1か月の あいだに、ほぼ 2回ずつ やって きます。

みかわこうの ひょうには、月の らんが あって、しんげつや まんげつを しるしで 見せて います[4]。これを 見れば、「この日は 大しおかな」と、見当が つきます。ただし、どの ひょうにも 月の らんが ある わけでは ありません。

月と太陽の力が重なる日

新月や満月のころは、月と太陽の力が重なり、満潮と干潮の差(潮差)が大きい大潮になります。上弦・下弦の月のころは、差が小さい小潮になります。どちらも、新月から次の新月までの間に、ほぼ2回ずつ現れます[2]。

月の欄は、見分けの手がかり

三河港の潮位表には、月の欄に、新月(朔)・満月(望)・上弦・下弦が記号で示されています[4]。すべての潮位表にあるわけではありませんが、あれば、日付の行を見るだけで、その日の潮の大きさの見当がつきます。

ここまでで、表の中身は読めるようになりました。では、その数字は、当日の海でどれくらい当たるのでしょうか。

大潮と小潮は、新月から次の新月までの間にほぼ2回ずつ現れる。新月・満月のころは、月と太陽の起潮力が重なって潮差が大きく、上弦・下弦のころは小さい[2]。三河港の潮位表は、月の欄に朔・望・上弦・下弦を記号で示しており、日付の行から潮の大きさの見当がつけられる[4]。ただし、月の欄がある表は一例であり、すべての潮位表にあるとは限らない。

ここまでの読み方は、表の数字がその日の海にほぼ当てはまることを前提にしている。では、その前提はどこまで成り立つのか。

5. ひょうの 数は、そのまま あたるの?

5. 表の数字と、その日の海は、なぜずれるのか

5. 天文潮位と実測潮位 ── 予測の方法と、ずれが生じる要因

ひょうの 数は、月と 太陽の ひっぱる 力から けいさんした、しおの みちひきによる 海の 高さの「よそく」です。うみで はかった 数では ありません[3]。

だから、たいふうの ときには、ずれる ことが あります。みかわこうの ひょうも「たいふうの たかしおや つなみは 入れて いない ので、ときには かなり ずれる」と ことわって います[4]。

うみの 上の 空気の おもさ(きあつ)が ひくいと、水が 持ち上がります。そとの うみでは、きあつが 1ヘクトパスカル ひくく なると、水が 1cmほど 上がります[6]。

ひょうを 読む ときは、「これは よそくだ」と おぼえて、当日の ニュースも 見ましょう。

表は「予測」であり、「実測」ではない

気象庁の潮位表は、月と太陽の引力による天文潮位の予測値です。実際に観測した潮位(実測潮位)とは異なるので、注意するよう書かれています[3]。

予測の作り方は、観測した潮位の記録を、周期のちがう波(分潮)に分け、場所ごとの数値(調和定数)を求めて、足し合わせる方法です。日本では、1年以上の潮位データを分けるとき、60個の分潮を使っています[5]。

台風や気圧でずれる

三河港の表も、台風による高潮や津波などの異常な気象は考えに入れていないので、ときには相当のずれが出る、と断っています[4]。外洋では、気圧が1hPa低いと、海面が約1cm上がります[6]。気圧が20hPa低ければ、単純計算で約20cmです(外洋の場合の目安)。

表は、月と太陽の力による潮の満ち引きの予定です。実際の海を見るときは、天気や気圧も合わせて見る必要があります。

気象庁の潮位表は、月・太陽の起潮力による天文潮位の予測値であり、実測潮位とは異なる旨が明記されている[3]。日本の潮位予測は、観測した水位を調和分解して分潮ごとの調和定数(振幅と遅角)を求め、それらを足し合わせる方法で行われる。1年以上のデータを分解する場合、60分潮が用いられる[5]。

実際の潮位は、この天文潮位に、気象などによる差(潮位偏差)が加わったものとなる。外洋では気圧が1hPa低いと海面が約1cm上がる(吸い上げ効果)が、沿岸では風などの影響も加わるため、単純には換算できない[6]。三河港の潮位表も、台風による高潮や津波などの異常な気象は考慮しておらず、ときに相当の偏差が生じると断っている[4]。

表は、観測記録を使って計算した、月と太陽による潮の満ち引きの予定である。実際の海面は天気でも上下する。この限界を知っていれば、当日の判断は予測値ひとつではなく、気象情報と合わせて行うものになる。

じぶんでも やって みよう

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

おうちで ひょうを ひらいて みよう

おうちの 人と、きしょうちょうの「ちょうい表」の ページを ひらきます。ちかくの みなとを えらびます。

その 日の まんちょうと かんちょうの 高さを 見て、ひきざんを して みましょう。きょうは 大きな 日でしょうか。1か月 ぶん 見て、月の かたちと しおの さを くらべて みましょう。

うみに 行く ときは、おとなと いっしょに、天気も たしかめて、水の ちかくでは 気を つけましょう。ひょうを 見る だけでも、たのしいです。

今日できること

大人といっしょに気象庁の「潮位表」を開き、近くの地点の1か月分を見てみましょう。1日の満潮と干潮の差を引き算して、日ごとに並べると、大潮と小潮の波が見えてきます。空欄になる日があれば、その前後の時刻の遅れも確かめられます。

海に出かけるなら

海辺や磯に行くときは、大人といっしょに、その日の天気や波の情報も確認してください。表は予測なので、台風や低気圧が近いときは、水辺に近づかないほうが安全です。

公式情報

気象庁の潮位表のページには「潮位表の見方」があります。基準面(0cmの高さ)が地点ごとにどう示されているか、読んでみてください[1]。

表を使った確かめ方

気象庁の潮位表で1地点の1か月分を取り出し、1日ごとの満潮と干潮の差を計算して並べると、朔望のころに差が大きく、上弦・下弦のころに小さくなる周期が見える。空欄の日の前後で時刻の遅れ幅を調べれば、約50分という目安が、日や地点によってどの程度ばらつくかも確かめられる。

資料の読みどころ

  • 気象庁「潮位表の見方」:潮位表基準面の定義と、平均海面から何cm下かの示し方[1]
  • 海上保安庁 研究報告62:最低水面と、マイナス潮位が起こる条件、分潮の考え方[5]
  • 三河港潮位表の見方:港ごとの基準面、空欄の扱い、月の欄[4]

海辺で確かめる場合は、天気・波・足場を事前に確認し、大人と行動すること。予測値だけで判断しない。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:気象庁・海上保安庁・国土交通省の資料を使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。

  1. 気象庁「潮位表の見方」。https://www.data.jma.go.jp/kaiyou/db/tide/suisan/readme.html (表の項目、時刻・潮位の単位、基準面、空欄の扱いについて)
  2. 気象庁「潮汐の知識」。https://www.data.jma.go.jp/kaiyou/db/tide/knowledge/tide/choseki.html (毎日約50分の遅れ、大潮・小潮について)
  3. 気象庁「潮位表(天文潮位)」。https://www.data.jma.go.jp/kaiyou/db/tide/suisan/index.php (表が予測値であることの注意書きについて)
  4. 国土交通省 中部地方整備局「三河港潮位表の見方」。https://www.mikawa.pa.cbr.mlit.go.jp/file/lib/data/choui/choui_2020/mikata.pdf (三河港の基準面、「−」の欄、月の欄、予測の限界について)
  5. 海上保安庁 海洋情報部 研究報告62「海図基準面に係る用語集」。https://www1.kaiho.mlit.go.jp/kenkyu/report/rhr62/rhr62_08_t_04.pdf (最低水面、マイナス潮位、調和分解と分潮について)
  6. 気象庁「台風・高潮の知識」。https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/typhoon/4-1.html (吸い上げ効果と潮位偏差について)

なおした ところ

更新履歴

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