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宇宙うちゅうに いくと、どうして 背せが のびるの?

宇宙飛行士の背はなぜ伸びるのか ── 「9cm」が「2cm」になった報告から

微小重力下の身長増加 ── 背骨の除荷、個人差、計測のむずかしさ(JAXA・金井宣茂飛行士の報告・Chang 2016)

分野:宇宙・天文

宇宙うちゅうに いった 人の 中には、身長しんちょうが 5センチ ほど のびた 人が います。おうちに かえると、また もとの 高さに もどります。

のびるのは、なぜでしょう。そして、「9センチ のびた!」と 言った 人が、あとで はかり なおしたら 2センチ だった 話も 見て いきます。

宇宙から帰ってきた宇宙飛行士は、出発前より背が高くなっていることがあります。日本の飛行士の中にも、5cmほど伸びた人がいると紹介されています[1]。

ところが、宇宙に約3週間いた金井宣茂さんは「9cm伸びた」と報告しながら、測り直すと2cmだったといいます[4]。背が伸びる仕組みと、その数字がゆれる理由を追います。

宇宙飛行士の身長は、無重力の環境で数cm伸びる。JAXAのFAQは、一般に1〜2cm、日本人飛行士の例では5cm前後、7cm以上の例もあると紹介する[1][2]。

金井宣茂飛行士の「9cm」が再計測で2cmとなった経緯[4]、椎間板が膨らむという説明の根拠と限界[5]を、出典ごとに区別しながら整理する。

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1. 「9センチ のびた」は ほんとう?

1. 「9cm伸びた」と報告した飛行士

1. 金井宣茂飛行士の初報と再計測

金井宣茂かないのりしげさんは、宇宙飛行士うちゅうひこうしです。宇宙うちゅうに 3しゅうかんほど いた とき、「9センチ のびました」と 知らせました。

ところが、はかり なおすと、2センチ だったそうです[4]。

金井宣茂かないのりしげさんは、こしや せなかは いたくなく、「かたこりが なくなった」とも 話したと つたえられています[4]。

宇宙うちゅうで 身長しんちょうを はかるのは、それだけ むずかしいと いう ことです。では、そもそも どうして のびるのでしょう。

金井宣茂さんは、日本の宇宙飛行士です。国際宇宙ステーションに約3週間いたとき、最初は「9cm伸びた」と報告したそうです。しかし測り直すと、実際は2cmでした[4]。

金井さんは、腰や背中の痛みはなく、むしろ肩こりがなくなったと述べたと紹介されています[4]。

宇宙では、身長を測ること自体がむずかしいようです。この話は、最後にもう一度出てきます。まず、背が伸びる理由から見ていきます。

金井宣茂飛行士は、約3週間の宇宙滞在中、当初「9cm伸びた」と報告した。再計測の結果、実際の伸びは2cmだったとされる[4]。腰や背中の痛みはなく、肩こりがなくなったと述べたという[4]。

この記事では、9cmを誤測定の初報、2cmを確定した値として扱う。ただし出典は解説記事であり、再計測の方法までは確認できていない。以下、伸びの仕組みを先に整理し、計測の難しさは6章で戻る。

2. 地球では、せぼねが おされて いる

2. 地上では、背骨は重力で押されている

2. 重力による背骨の圧縮

地球には 重力じゅうりょくが あります。体を 下に ひっぱる 力です。立って いると、せぼねは 上から おされて います。

せぼねには、くび・むね・こしの 骨ほねが 合わせて 24こ あります。骨ほねと 骨ほねの あいだには、やわらかい クッションが あります[1]。

スポンジを 重ねて 上から おすと、ぎゅっと ちぢみます。手を はなすと、ふくらみます。せぼねの クッションも、少しだけ 同じように なっていると 考えられます。ただし ほんとうの せぼねは、スポンジより ずっと かたくて じょうぶです。

ねて いる ときや、水の 中に 長く いる ときも、同じように 少し のびる ことが 知られて います[1]。

背骨は、24本の骨が、軟骨でできた継ぎ目でつながった作りをしています。この継ぎ目は「椎間板ついかんばん」と呼ばれます。地上にいる間は、重力のせいで、この継ぎ目がいつも上から押されています[1]。

スポンジを何枚か重ねて手で押すと、少しつぶれます。手を離すと、元の厚さに戻ります。椎間板も、押される力がなくなれば、少しゆるむと考えるとイメージしやすいでしょう。ただし本物の背骨は、スポンジよりずっと丈夫にできています。

JAXAは、寝ているときや長く水中にいるときにも、体が同じように伸びることが知られていると説明しています[1]。

JAXAの説明では、地上では重力による圧縮が体にかかっており、とくに24個の椎骨をつなぐ軟骨組織(椎間板)が押されている。無重力ではこの圧縮が解かれ、身長が伸びる[1]。

同じ説明は、臥位や長時間の水中でも身長が伸びることが知られている、とも述べる[1]。重力の向きに荷重がかかる姿勢が、伸び縮みに関わっているという見方である。

3. 宇宙うちゅうでは、おす 力が なくなる

3. 無重力では、押す力が消えて伸びる

3. 除荷と伸びの大きさ

宇宙うちゅうでは、体が ふわふわ うきます。無重力むじゅうりょくと 言います。せぼねを 上から おす 力が、ほとんど なくなります。

すると、クッションが ゆるんで、せぼねが 少し のびます。1つの クッションで 1ミリほど、ぜんぶで 1〜2センチ くらいが ふつうだと せつめいされて います[2]。

日本の 宇宙飛行士うちゅうひこうしの 中には、5センチ ほど のびた 人も います。7センチ いじょうのびた 人も いると しょうかいされて います[1]。のび方には、人によって 大きな ちがいが あるようです。

宇宙では、体が浮かぶ無重力の状態になります。背骨を上から押していた力がほぼなくなるので、椎間板がゆるみ、背骨全体が伸びます[1]。

ファン!ファン!JAXA!のFAQでは、椎間板1つあたり約1mm伸びるとされ、全体では1〜2cmほどが一般的だといいます[2]。24個で約2.4cmと計算できますが、JAXAは全体を「1〜2cm」と書いています。

実際には個人差が大きく、JAXAの別のFAQは、5cmほど伸びた日本人飛行士や、7cm以上伸びた例もあると紹介しています[1]。米国のSCIENTIFIC AMERICAN誌は、NASAの科学者の話として、最大で身長の3%ほど高くなりうると伝えています[3]。

椎間板1つあたりの伸びは約1mmで、全体では1〜2cmが一般的とされる[2]。ただしJAXAのFAQには、日本人飛行士で5cm前後、7cm以上の例も記載される[1]。

SCIENTIFIC AMERICANは、NASAの科学者の見解として、微小重力下で最大3%高くなりうるとする[3]。身長6フィート(約183cm)の人で約2インチ(約5cm)に当たる計算になる。

3%と7cm以上は出典も条件も別の数字で、同じ基準で比べてはいけない。また、椎間板1個1mm×24=約2.4cmは単純な概算にすぎず、JAXAは全体を1〜2cmと書く。

4. のびると、せなかが いたい 人も いる

4. 背骨が伸びる分、周りの筋肉も引っ張られる

4. 筋肉の牽引と宇宙服

せぼねが のびると、まわりの 筋肉きんにくも ひっぱられます。そのため、宇宙うちゅうに いった しばらくは、せなかや こしが いたく なる 人も いるようです[1]。

金井宣茂かないのりしげさんのように、いたくなく、かたこりが なくなった と 話す 人も います[4]。人に よって ちがうのです。

宇宙うちゅう服は、身長しんちょうが のびる ことを 考えて 作られて います[1]。

背骨が伸びる分だけ、周りの筋肉も引っ張られます。そのため、宇宙に行ってしばらくは、背中や腰に痛みが出ることがあるそうです[1]。

ただし、痛みの出方は人によって違います。先ほどの金井さんは、痛みはなく、逆に肩こりがなくなったと述べています[4]。

もう1つ、宇宙服は、身長の伸びを見込んで作られているといいます[1]。宇宙で着る服だからこそ、地上のサイズのままでは合わなくなるためです。

背骨が伸びる分、周囲の筋肉も引っ張られるため、宇宙に行ってしばらくは背中や腰に痛みがあるようだ、とJAXAは説明する[1]。一方、金井飛行士は痛みがなく、肩こりが消えたと述べており[4]、個人差があるとみられる。

また、宇宙服は身長の伸びを見込んで作られている[1]。身長の変化が、装備設計にまで影響する例である。

5. ちきゅうに かえると どうなる?

5. 地球に戻ると、元の身長に戻る

5. 地球に戻ると身長は元に戻る

ちきゅうに かえると、また 重力が かかります。すると、のびた 分は もとに もどります[2]。

もどるまでに かかる 時間は、数か月と 書く しりょうが あります[3]。日数までは、しりょうから 分かりませんでした。

のびるのは、ずっと つづく 「せいちょう」では なく、その場所に いる あいだだけの ことなのです。

宇宙から帰って重力が戻ると、伸びた身長も元に戻ります[2]。SCIENTIFIC AMERICANは、数か月で元に戻ると書いています[3]。

戻るまでの日数は、JAXAのFAQには書かれておらず、この記事で使った資料では「数か月」までしか分かりません。

宇宙での身長の伸びは、成長とは違い、重力の有無で変わる一時的なものだと考えられています。

地球に帰還し重力がもどると、伸びた分は元に戻る[2]。SCIENTIFIC AMERICANは、帰還後数か月で元の身長に戻ると記す[3]。JAXAのFAQは「元に戻る」とのみ述べ、期間は書かない。数値は二次資料の「数か月」のみである。

身長増加は成長ではなく、荷重の有無に応じて可逆的に変わる変化と整理できる。

6. まだ よく わかって いない ことも ある

6. 「椎間板が膨らむ」は、どこまで確かめられているか

6. 説明の根拠と限界

「せぼねの クッションが ゆるんで のびる」と いう せつめいは、よく 使われます。でも、宇宙うちゅうに 半年ほど いた 6人の せぼねを、行く 前と 帰って きた あとに しらべた 研究では、クッションの あつさに 大きな ちがいは 見つかりませんでした[5]。

これは、宇宙うちゅうに いる 間に はかった ものでは ありません。1つの 研究だけで、すべてが 決まる わけでも ありません。

だから 今も、「クッションだけで、のびる わけが せつめい できるのかな?」と 調べて いる 人が いるのです。

「椎間板が膨らむので背が伸びる」という説明は広く紹介されています。しかし、宇宙飛行の最中に椎間板の厚みを直接測った研究は、多くありません。

Changらが2016年に発表した研究では、国際宇宙ステーションに約6か月滞在した飛行士6人の腰の椎間板を、飛行前・着陸直後・着陸後にMRIで調べたとされます。その結果、椎間板の高さに大きな差は見られなかったと報告しているようです[5]。宇宙にいる間の変化を直接測った結果ではありません。

この説明は論文の全文ではなく要旨の抜粋をもとにしています。少人数の研究でもあり、「椎間板が膨らむ説が間違い」と受け取るのは早すぎます。背骨のカーブが平らになる効果なども、候補として考えられているようです。

Chang et al.(2016, Spine)は、国際宇宙ステーションに約6か月滞在した宇宙飛行士6人の腰椎MRIを飛行前・着陸直後・着陸後に撮影し、椎間板の高さに大きな差は見られなかったと報告する(要旨の抜粋による。全文は未確認)[5]。これは軌道上での変化を直接測った結果ではない。

したがって「宇宙で椎間板が膨らむ」は、身長の伸びと、地上での実験などから推定された説明であり、宇宙で直接確認された結論ではない。標本が6人と少ない点も踏まえる必要がある。

身長増加の全量が椎間板だけで説明できるのかも、この記事の出典では確認できなかった。立っているときの背骨は緩やかなS字に曲がっているが、そのカーブが平らに近づくことなども、理由の候補として考えられているようだ。

7. じぶんで はかって みよう

7. 「測るむずかしさ」を体験してみる

7. 計測誤差を体験する

金井宣茂かないのりしげさんの 「9センチ」と 「2センチ」の ちがいは、はかる むずかしさを 教えて くれます。おうちでも、ためせます。

かべに せなかを つけて 立って もらい、あたまの 高さに えんぴつで 小さく しるしを つけます。同じ 人を 同じ しせいで 3回 はかると、しるしが 少し ずつ ずれる ことが あります。

かたを おとしたり、あごを 引いたり すると、ずれ方が かわります。大人の 人と いっしょに、けがを しない ように、やって みましょう。

金井さんの「9cm」と「2cm」の食い違いは、身長を測るむずかしさを教えてくれます。家でも、その一部を体験できます。

壁に背中をつけて立ってもらい、頭の高さに鉛筆で小さく印を付けます。同じ人に同じ姿勢で3回測って、印がどれくらいずれるか見てみましょう。朝と夜で測り比べると、時間帯による違いも見られるかもしれません。

姿勢、あごの引き方、床の状態など、何を同じにしたかをメモしておくと、ずれの理由を考えやすくなります。壁や家具を傷つけないように注意してください。

身長の計測値は、姿勢や測り方などの条件によって差が出うる。金井飛行士の初報と再計測の差[4]については、出典から原因は確認できない。

家庭では、同じ人を同じ姿勢で3回測って印のばらつきを見る、朝と夜で測り比べる、といった簡単な確認ができる。何を揃えたかを記録し、条件の違いと結果の差を結びつけて考える練習になる。

自分でも しらべて みたく なったら

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

今日 できる こと:おうちの 人と、朝と 夜に 身長しんちょうを はかり くらべて みましょう。

出かけて できる こと:としょかんで 「宇宙飛行士うちゅうひこうし」「人の からだ」の 本を さがして みましょう。

くわしく 読みたい とき:JAXAの 「ファン!ファン!JAXA!」の FAQが、日本語で 読めます。

今日できること:家族や友達に協力してもらい、朝と夜の身長を同じ条件で測り比べて、メモを残します。

出かけてできること:図書館で「宇宙医学」や「人体」の本を探すと、無重力で体がどう変わるかを、ほかの面からも読めます。

公式情報:JAXAの有人宇宙技術部門のFAQと、ファン!ファン!JAXA!のFAQで、日本語で読めます。

JAXA有人宇宙技術部門FAQと「ファン!ファン!JAXA!」FAQ(日本語)で概要を確認できる。

図書館で宇宙医学や人体の日本語の本を探し、身長の伸びが椎間板だけで説明されているか、ほかの理由も書かれているかを見比べてみるとよい。

確かめるのは日本語の資料だけで十分だ。上の2つのFAQと図書館の本で、「椎間板」と「背骨のカーブ」のどちらが理由として書かれているかを探してみよう。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

身長の変化の量・仕組み・宇宙服は日本語の公式FAQ、金井飛行士の話は解説記事、椎間板の直接測定は論文の要旨を使った。

  1. JAXA 有人宇宙技術部門 FAQ「宇宙へ行くと、身長は変化するのでしょうか」 https://humans-in-space.jaxa.jp/faq/detail/000731.html (伸びの例・仕組み・痛み・宇宙服)
  2. ファン!ファン!JAXA! FAQ「宇宙に行くと背が伸びるって本当ですか?」 https://fanfun.jaxa.jp/faq/detail/224.html (1〜2cm・椎間板1つ約1mm・帰還後)
  3. Scientific American「Strange but True: Astronauts Get Taller in Space」 https://www.scientificamerican.com/article/astronauts-get-taller-in-space/ (最大3%・数か月で戻る)
  4. 三菱電機 DSPACE「『身長伸びた』—金井飛行士の宇宙人的身体感覚が面白い」 https://www.mitsubishielectric.co.jp/me/dspace/column/c1801_1.html (9cmと2cm・肩こり)
  5. Chang et al. 2016, Spine(PMID 27779600) https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27779600/ (椎間板高さの変化は検出されず・要旨のみ確認)

なおした ところ

更新履歴

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