1. すずしさは、ある日 とつぜん くるの?
1. 涼しさは階段ではなく、ゆるやかな坂道
1. 日ごとの平年値 ── 9月1日から10月31日まで、段差はない
とうきょうの 気温を、9月1日から 10月31日まで 1日ずつ ならべて みます。かいだんでは ありません。ゆるやかな さかみちです[1]。
- 9月1日は 25.7℃です。
- 10月31日は 15.3℃です。
- 60日で 10℃ぐらい 下がるので、1日に すると 0.17℃ぐらいです。6日 たって、やっと 1℃です。
1日では ほとんど かわらないので、気づきません。でも 気づかないうちに、10℃も 下りて きて います。
ただし ほんとうは、これは 30年ぶんを ならした 数字[3]です。その年 その年は、天気が かわる たびに、あたたかい 日と すずしい 日が まざります[4]。天気の はなしは、秋の 空と 雨の メモに あります。
では、どうして 毎日 少しずつ 下がるのでしょう。
東京の9月1日から10月31日までの日平均気温は、毎日ほんの少しずつ下がっていきます。60日で10.4℃下がるので、1日あたりにならすと約0.17℃です。約6日たって、やっと1℃です[1]。
9月30日は20.6℃、10月1日は20.5℃で、月が変わる日にも段差はありません。
ただし、これは「平年値」、つまり1991〜2020年の30年間の平均です[3]。実際のその年の毎日は、この線のまわりを上下します。秋は、移動性高気圧と低気圧が交互に日本付近を通り、天気が周期的に変わるからです[4]。天気の入れかわりは、秋の空と雨のメモに書きました。
では、この平均の坂道は、どうして毎日少しずつ下がっていくのでしょうか。
東京の日ごとの平年値(1991〜2020年)では、日平均気温は9月1日の25.7℃から10月31日の15.3℃まで、60日間で10.4℃下がる。1日あたり約0.17℃で、約6日で1℃の割合だ。9月30日が20.6℃、10月1日が20.5℃と、月の変わり目にも段差はない[1]。
月ごとの平均で見ても、8月26.9℃、9月23.3℃、10月18.0℃、11月12.5℃と下がる。月ごとの下がり幅は、8→9月が3.6℃、9→10月が5.3℃、10→11月が5.5℃だ[2]。
ただし、平年値は30年分の平均でならした値で[3]、実際の年ごとの日々は、この曲線のまわりを上下する。秋は移動性高気圧と低気圧が交互に日本付近を通過し、天気は周期的に変わる[4]。その話は秋の空・雲・雨のメモに任せて、ここでは、平均としての気温がなぜ毎日少しずつ下がり続けるのかを追う。
2. 太陽が ひくく なると、どうなるの?
2. 太陽が低くなると、同じ光が広がる
2. 南中高度と日射 ── 「90度−緯度+赤緯」で東京の秋を計算する
お昼の 太陽の 高さは、1年で かわります。東京では、夏の いちばん 高い ときは 78度、頭の 上に ちかい 高さです。秋分の ころは 54度です。冬は 31度ぐらいに なります[5]。
太陽が ひくく なると、光は 地面に ななめに あたります。1本の 光の たばを 考えて ください。まっすぐ あたると 小さな まる、ななめに あたると 長ほそい まるに なります。光の りょうは おなじでも、広い ところに ひろがる ぶん、1か所の あたたかさは うすく なります。
夏の お昼を 10と すると、秋分の お昼は 8ちょっと、冬は 5ちょっとです[6]。9月は、この さかを ちょっとずつ 下りて いきます。ただし ほんとうは、これは 空気の えいきょうを 入れない 計算です。昼が みじかく なる ことも、かさなります。
お昼の太陽の高さ(南中高度)は、国立天文台が紹介している式で計算できます。「90度−その場所の北緯+その日の太陽の角度」です。この太陽の角度は、太陽が赤道の真上から南北にどれだけずれているかを表し、夏至は+23.4度、冬至は−23.4度です[5]。
東京で計算すると、夏至は約78度、9月1日は約63度、秋分の日は約54度、10月15日は約46度、11月1日は約40度、冬至は約31度になります。9月1日から10月15日までの44日で約17度、1日あたり約0.4度ずつ低くなっていく計算です。
太陽が低いと、同じ光が広い面積に広がって、地面1平方メートルあたりの日射は弱くなります。空気の影響を考えず、太陽の光が水平な地面に直接当たるとすると、その強さは太陽の高さのサイン(sin)に比例します[6]。夏至のお昼を1とすると、秋分は約0.83、10月15日は約0.73、11月1日は約0.66、冬至は約0.53です。
これは空気の影響を考えない理想の数字で、実際の地面ではずれます。昼の長さも短くなるので、1日に受け取る日射の合計は、この比よりさらに減ります。昼の長さの話は、昼の長さのメモにあります。
ここまでなら、気温は太陽の高さと歩調を合わせて下がるはずです。ところが、実際の気温は歩調を合わせていません。
太陽が真南に来たときの高さ(南中高度)は、国立天文台のFAQでは「90度−その場所の北緯+太陽の視赤緯」で求められる[5]。夏至の赤緯は+23.4度、冬至は−23.4度だ。東京(北緯35.69度)で計算すると、夏至(6月21日)約77.7度、9月1日約62.6度、秋分(9月23日)約54.2度、10月15日約45.8度、11月1日約39.9度、冬至約30.9度になる(日ごとの赤緯は近似式による自分の計算で、±0.3度ほどの誤差はありうる)。9月1日から10月15日までの44日で約17度、1日あたり約0.4度低くなる。
大気の影響を無視し、太陽光が水平面に直接当たる場合、直達光の強さは太陽の高さの正弦(sin)に比例する[6]。太陽が低いほど、同じ光が広い面積に散らばるためだ。夏至の正午を1とすると、sinの値の比は、秋分で0.812÷0.977=約0.83、10月15日で約0.73、11月1日で約0.66、冬至で約0.53になる。
この比は、大気の影響を無視した理想値だ。地表では、空気による光の弱まり方もあるので、この比とはずれる。昼の長さも短くなり、1日に受け取る日射の合計は、この比よりさらに減る。昼の長さそのものは昼の長さのメモで扱った。
ここまでの話なら、気温は太陽の高さと歩調を合わせて下がるはずだ。実際は、そうなっていない。
3. おなじ 太陽の 高さなのに、春と 秋で ちがうのは?
3. 春分と秋分は太陽の高さが同じなのに、気温は約14℃ちがう
3. 太陽高度が同じ3月と9月で、月平均気温は約14℃ちがう
春分の 日と 秋分の 日は、お昼の 太陽の 高さが ほぼ おなじで、東京では 54度ぐらいです。ところが、1か月の 気温の へいきんは、3月が 9.4℃、9月が 23.3℃です。14℃ぐらいも ちがいます[2]。
どうして でしょう。太陽の 光は、まず 地面や 海を あたためます[7]。そして あたたまった 地面の ねつで、空気も あたたまります。地面や 海は、あたたまるのも、さめるのも ゆっくりです。海は、地球ぜんたいで くらべると、空気の およそ 1000ばいも ねつを ためられます[8]。水は、かわいた 土より、あたたまりにくい ことも わかって います[9]。
春は、さむい 冬の あとなので、地面も 海も まだ つめたいのです。秋は、あつい 夏の あとなので、まだ ぬくもりが のこって います。おなじ 太陽の 高さでも、まわりに のこって いる あたたかさが ちがう のです。
春分の日と秋分の日は、お昼の太陽の高さがほぼ同じで、東京では約54度です。ところが、東京の月平均気温は3月が9.4℃、9月が23.3℃で、約13.9℃もちがいます[2]。3月の多くは春分の前で、9月は残暑を含むので、ぴったり同じ日どうしの比べではありません。
太陽の高さだけでは、この差は説明できません。日射は、地表面(陸・海・湖)や大気に吸収されて、それらを暖めます[7]。暖まった地面から、空気にも熱が伝わります。
地面や海は、暖まるのにも冷めるのにも時間がかかります。水の比熱は1cal/g/℃(約4.18J/g/℃)で、乾いた土より大きく、同じ熱を受けても水は温度が上がりにくいのです[9]。気象庁の解説では、地球全体で比べた熱容量は、海洋が大気の約1000倍とされています[8]。
春は、冬に冷えた地面と海がまだ冷たいので、同じ高さの太陽でも気温は上がりにくいのです。秋は、夏に暖まった地面と海の熱がまだ残っているので、気温は下がりにくいのです。そう説明できます。ただし、13.9℃の差のうちどれだけが蓄えた熱のせいなのかは、この数字だけでは分かりません。
春分・秋分の正午の太陽の高さは、どちらも約54度でほぼ同じだ。ところが東京の月平均気温は、3月が9.4℃、9月が23.3℃と、約13.9℃ちがう。日最高・日最低で見ても、3月は14.2℃・5.0℃、9月は27.5℃・20.3℃だ[2]。ただしこれは月平均どうしの比べで、3月の多くは春分の前、9月は残暑を含むため、春分の日と秋分の日どうしの比較ではない。
日射の強さだけでは、この差は出ない。日射は主に地表面(陸・海・湖)や大気に吸収され、それらを暖める[7]。暖まった地面から空気にも熱が伝わる。地面や海は、暖まるのにも冷めるのにも時間がかかる。水の比熱は1cal/g/℃(約4.18J/g/℃)で乾いた土より大きく、同じ熱を受けても水は温度が上がりにくい[9]。気象庁の海洋の解説では、地球全体で比べた熱容量は海洋が大気の約1000倍とされる[8]。日本近海だけの値ではない。
春は、冬に冷えた地面と海が残っているので同じ高さの太陽でも気温は上がりにくく、秋は、夏に暖まった地面と海の熱が残っているので下がりにくい、と説明できる。ただし、13.9℃の差のうち蓄熱がどれだけを占めるかは、この数字だけでは決められない。
4. いちばん あつい 日は、いちばん 日ざしが つよい 日?
4. 太陽のピークより、気温のピークは遅れてくる
4. 気温のピークは日射のピークより遅れる ── 1年でも、1日でも
1年で いちばん 日ざしが つよいのは、6月の 夏至の ころです。でも、とうきょうで いちばん あつく なるのは、8月の はじめです。1か月半ぐらい おくれて います[1]。
火を とめた あとの、大きな なべの おゆを 思いうかべて ください。火を 消しても、おゆは すぐには さめません。夏の 地面や 海も、日ざしが 弱く なりはじめても、ためた ねつの おかげで すぐには さめません。ただし ほんとうは、地面や 海に 火は ありません。あるのは 太陽の 光で、それが 少しずつ へって いくのです。
1日の なかでも、おなじです。太陽が いちばん 高いのは お昼ごろです。でも 気温が いちばん 高く なるのは、たいてい 午後2時か 3時ごろです[11]。
気温は、太陽の あとを おいかけて うごきます。だから 秋の 気温も、ガクンとは 下がらず、ゆるやかな さかに なると 考えられます。
日射がいちばん強くなるのは、夏至(6月21日ごろ)です。ところが東京の日平均気温が最高になるのは、8月の初めで、約27.3℃です(7月31日が27.1℃、8月1〜10日が27.2〜27.3℃)[1]。日射のピークから、およそ1か月半遅れています。
この遅れは、日本の気候の特徴でもあるようです。サイエンスライターの保坂直紀さんは、1年で日平均気温が最高になるのは、大陸ではおもに7月だが日本は8月で、日本の夏は海面水温の変化をストレートに反映している、と書いています[10]。
同じ形が、1日の中にもあります。太陽がいちばん高いのは、お昼ごろです。でも気温が最高になるのは、午後2時か3時ごろが多いのです。天気や風向きで変わります[11]。
気温は、その日の日射に直接そろうのではなく、少し前までの日射の積み重ねを追いかけて動きます。だから日射が減りはじめる秋にも、気温は急にではなく、ゆるやかな坂になって下がっていきます。そう考えられます。
日射がいちばん強くなるのは夏至(6月21日ごろ)だが、東京の日平均気温が最高になるのは8月初めで、約27.3℃だ(7月31日が27.1℃、8月1〜10日が27.2〜27.3℃)[1]。気温のピークは、日射のピークより約6週間遅れる。
東京大学大気海洋研究所のコラムで、サイエンスライターの保坂直紀氏は、日平均気温が年間で最高になるのは大陸ではおもに7月だが日本は8月で、日本の夏は海面水温の変化をストレートに反映していると書く[10]。いわゆる海型の気候の特徴だ。
同じ形が1日の中にもある。太陽が最も高いのは正午ごろだが、気温が最高になるのは、たいてい午後2〜3時ごろで、天気や風向きによって変わる[11]。
気温は、その日の日射に直接そろうのではなく、少し前までの日射の積み重ねを追いかけて動く。そのため、日射が減りはじめる秋にも、気温は階段状ではなく、ゆるやかな坂になって下がると考えられる。
5. あさと ばんだけ、つめたく なるの?
5. 東京では、朝の最低気温も昼の最高気温もほぼ同じだけ下がる
5. 日最高・日最低・日較差 ── 昼も朝も、ほぼ同じだけ下がる
「あきは、あさと よるだけ さむい」と 言う 人が います。とうきょうの 平年の 数字を 見て みましょう。
- 9月1日は、昼の いちばん 高い 気温が 30.0℃、あさの いちばん ひくい 気温が 22.5℃です。
- 10月31日は、昼が 19.6℃、あさが 11.7℃です。
どちらも 10℃ぐらい 下がって います[1]。昼も、あさも、おなじ ぐらい 下がって いくのです。
あさと 昼の 気温の ちがいも、9月と 10月は どちらも 7.2℃ぐらいで、秋だけ 大きく なる わけでは ありません[2]。ただし これは、海に ちかい 東京の 数字です。ほかの 町は、ちがう かたちに なるかも しれません。
それでも、ある あさだけ ぐっと ひえる ことが あります。どうして でしょう。
「秋は朝晩だけ冷える」と言われることがあります。東京の平年値で確かめてみましょう。9月1日は、日最高気温が30.0℃、日最低気温が22.5℃です。10月31日は、日最高が19.6℃、日最低が11.7℃です。昼の最高気温は10.4℃、朝の最低気温は10.8℃下がっていて、ほとんど同じです[1]。
月ごとの平年値でも、8月から10月にかけて、日最高気温は31.3℃から22.0℃へ(−9.3℃)、日最低気温は23.5℃から14.8℃へ(−8.7℃)下がります。朝と昼の気温の差(日較差)は、8月7.8℃、9月7.2℃、10月7.2℃、11月7.9℃で、秋に特に大きくなるわけではありません[2]。
この数字は、海に近い東京の平年値です。海から遠い町では、ちがう形になるかもしれません。それでも、ある朝だけ、ぐっと冷え込むことがあります。それは、どんな朝なのでしょうか。
「秋は朝晩だけが冷える」という言い方を、東京の平年値で検算する。日ごとの平年値では、9月1日が日最高30.0℃・日最低22.5℃、10月31日が日最高19.6℃・日最低11.7℃だ。日最高は10.4℃、日最低は10.8℃下がり、ほぼ同じだけ下がっている[1]。
月ごとの平年値では、次のとおりだ(日較差は最高−最低で、自分で計算した)[2]。
| 月 | 日平均(℃) | 日最高(℃) | 日最低(℃) | 日較差(℃) |
|---|---|---|---|---|
| 8月 | 26.9 | 31.3 | 23.5 | 7.8 |
| 9月 | 23.3 | 27.5 | 20.3 | 7.2 |
| 10月 | 18.0 | 22.0 | 14.8 | 7.2 |
| 11月 | 12.5 | 16.7 | 8.8 | 7.9 |
8月から10月にかけて、日最高は9.3℃、日最低は8.7℃下がる。日較差は7.2〜7.9℃の範囲で、秋に特に大きくなるわけではない。東京の平年値では、秋は朝晩だけでなく、昼も同じだけ下がる。
これは海に近い都市の数字だ。海から遠い町の日較差が、秋にどうなるのかは、自分の町の表を見て確かめるとよい。それでも、ある朝だけ、急に冷え込むことがある。どんな朝なのか。
6. ある あさだけ ぐっと ひえるのは、どうして?
6. 晴れて風の弱い夜に起こる放射冷却
6. 放射冷却 ── 地面が熱を空へ出していく夜
よるは 太陽が ないので、地面は あたためられません。かわりに、地面は じぶんの ねつを 空へ 出して、どんどん ひえて いきます。これを放射冷却と いいます。つくえや えんぴつも、ねつを 出して ひえて います[12]。
くもりの よるは、雲が 空に ふとんを かけた ように、地面が ひえにくく なります[4]。ただし ほんとうは、雲は ふとんでは ありません。地面から 出た ねつを、雲が うけとって 地面へ かえして いるのです。
晴れて 風が よわい よるは、ねつが どんどん 空へ 出て いきます。ひえた 空気も、まわりと まざりません。だから あさ、ぐっと ひえるのです[12]。秋には、大陸から つめたくて かわいた 空気を はこぶ 高気圧が 来ます。その 中心の ちかくは、晴れて 風が よわく なりやすい ところです[4]。
もっと 冬に 近づくと、地面から 1.5mの 高さで 4℃でも、地面の すぐそばは 0℃より ひくく なって、しもが おりる ことが あります[4]。9月や 10月の とうきょうでは、しもは まず おりません。
放射冷却とは、物が熱を外へ出して冷えることです。気象庁の用語では「地表面の熱が放射によって奪われ、気温が下がること」です[13]。鉛筆や机から地球まで、すべての物で起こっています[12]。
風が弱く晴れた夜は、地面の熱が雲にさえぎられずに空へ出ていき、冷えた空気も周りの空気と混ざりにくいので、よく冷え込みます[12]。上空に雲があると、布団をかけたときのように地面が冷えにくくなります。風が吹くと、地面近くの冷えた空気が周りと混ざって、冷え方が弱まります[4]。空気が乾いているときにも、放射冷却は強まるといわれます[14]。
ただし本当は、雲は布団ではありません。雲や水蒸気は、地面から出ていった赤外線を吸収して、あらゆる方向に出し直します。地面へ向かう分があるので、冷えにくくなるのです[7]。
秋の移動性高気圧は、ユーラシア大陸から冷たく乾いた空気を運んできます。高気圧の中心付近は、晴れて風が弱くなりやすいところです[4]。気温は、地上1.25〜2.0mの高さの空気の温度をいいます[13]。地面から1.5mの高さで4℃くらいでも、地面のそばは0℃以下になって霜がおりることがあります[4]。霜は晩秋の話で、9〜10月の東京ではまず降りません。
平均の坂道はゆるやかでも、晴れて風の弱い夜のあとには、その日の朝だけ、坂道より低い気温になることがあります。
放射冷却とは、物が熱を放射して冷えることで、鉛筆や机から地球まで、あらゆる物で起こる[12]。気象庁の予報用語では「地表面の熱が放射によって奪われ、気温が下がること」で、気温は通常、地上1.25〜2.0mの空気の温度をいう[13]。
条件は、晴れていて、風が弱いこと。風が弱く晴れた夜は、地面の熱が雲にさえぎられず空へ出ていくうえ、冷えた空気が周囲の空気と混ざりにくいため冷え込む[12]。上空に雲があると、布団をかけたときのように地面は冷えにくく、風が吹くと、地面近くの冷えた空気が周囲と混ざって冷え方が弱まる[4]。空気が乾いていると放射冷却が強まる、とも説明される[14]。
「布団」は気象台自身のたとえだが、実際の仕組みは少しちがう。雲や水蒸気は、地面から出る赤外放射を吸収して、あらゆる方向に再び放出する。地表へ向かう下向きの赤外放射があるため、これらがない場合に比べて地表の気温は高くなる[7]。
秋の移動性高気圧は、ユーラシア大陸から冷たく乾いた空気を運んでくる。高気圧の中心付近は、晴れて風が弱くなりやすいため、夜に放射冷却が起きて冷え込む。福岡管区気象台の解説には、地上1.5mの気温が4℃くらいでも、地面付近は0℃以下になって霜がおりることがある、とある[4]。霜は晩秋の話で、9〜10月の東京ではまず降りない。
平年値の坂道はゆるやかだが、実際の朝の気温は、天気が入れかわるたびにその坂道の上下を動く。晴れて風の弱い夜のあとは、坂道より低い値になりうる。
7. じぶんでも たしかめて みよう
7. 自分でも調べてみたくなったら
7. 自分でも調べてみたくなったら
ためして みたい ことが 2つ あります。
1つめは、気象庁の ホームページで、うちの ちかくの 町の 「日ごとの 平年の 気温」を、おうちの 人と さがす ことです。9月1日と 10月31日を くらべて みましょう。とうきょうと おなじ ぐらい 下がって いるでしょうか[1]。
2つめは、おやすみの 日に、あさと 午後2時ごろの 気温を はかる ことです。おうちに 温度計が あれば できます。日かげで はかりましょう。あさの 空に 雲が あったか なかったかも、ノートに 書いて おきます。3日 つづけて、ひえかたが ちがうか 見て みましょう。
しらべた ところ
参考にした情報源
参考にした情報源
出典について:気象庁・国立天文台・福岡管区気象台は公的機関の資料、東京大学大気海洋研究所のコラムはサイエンスライターの解説、NASAの教育資料は教材、ウィキペディアは百科事典サイトです。
- 気象庁「過去の気象データ 東京 平年値(日ごとの値)」(1991〜2020年)。 https://www.data.jma.go.jp/stats/etrn/view/nml_sfc_d.php?prec_no=44&block_no=47662&year=&month=9&day=&view= (9月・10月・7月・8月の日平均・日最高・日最低。表は月ごとに分かれている: 10月、 8月、 7月)
- 気象庁「過去の気象データ 東京 平年値(年・月ごとの値)」(1991〜2020年)。 https://www.data.jma.go.jp/stats/etrn/view/nml_sfc_ym.php?prec_no=44&block_no=47662 (月平均・月ごとの日最高・日最低の気温)
- 気象庁「平年値の更新について(1991〜2020年)」。 https://www.jma.go.jp/jma/press/2103/24a/210324_heinenchi.html (平年値が1991〜2020年の観測データから作られること)
- 福岡管区気象台「はれるんマガジン」2020年11月26日号「霜は晴れた日におりるのはどうして?」。 https://www.jma-net.go.jp/fukuoka/chosa/files/harerun0080.pdf (秋の天気の周期、雲や風と冷え方、高気圧、地上1.5mと地面付近の温度差)
- 国立天文台「太陽の南中高度はどうやって計算する?」。 https://www.nao.ac.jp/faq/a0109.html (南中高度の式。東京の各日の値は、この式を使った自分の計算)
- Wikipedia「Lambert's cosine law」(ランベルトの余弦法則)。 https://en.wikipedia.org/wiki/Lambert's_cosine_law (水平面の受光の強さが、太陽の高さのサインに比例すること)
- 気象庁「日射・赤外放射 さらに詳しい知識」。 https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/env/radiation/know_adv_rad.html (日射が地表面と大気を暖めること、下向き赤外放射)
- 気象庁「気候と海洋の知識 海洋への熱の蓄積について」。 https://www.data.jma.go.jp/kaiyou/data/db/climate/knowledge/glb/glb_sst.html (海洋の熱容量が大気のおよそ1000倍であること)
- Climate Science Investigations South Florida(NASA教育資料)「Water's Influence on Temperature」。 https://www.ces.fau.edu/nasa/module-3/why-does-temperature-vary/land-and-water.php (水の比熱が乾いた土より大きいこと)
- 東京大学 大気海洋研究所 保坂直紀「日本の夏は前にも後ろにも長期化している」(2024年12月18日)。 https://www.oa.u-tokyo.ac.jp/column/trivia/0064/index.html (日平均気温の年間最高が、日本は8月であること)
- 気象庁 キッズ「最高気温はいつ出るの?」。 https://www.jma.go.jp/jma/kids/kids/faq/b1_07.html (1日の最高気温が午後2〜3時ごろになることが多いこと)
- 気象庁 キッズ「放射冷却って何?」。 https://www.jma.go.jp/jma/kids/kids/faq/b1_02.html (放射冷却の意味と、晴れて風の弱い夜に冷え込む理由)
- 気象庁「予報用語 気温、湿度」。 https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/kion.html (放射冷却の用語の意味、気温を測る高さ)
- Wikipedia「放射冷却」。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%94%BE%E5%B0%84%E5%86%B7%E5%8D%B4 (空気が乾いているときに放射冷却が強まるという説明)
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