このサイトは、ほんの入り口です

ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

たけのこの かわは、なんまいも かさなって いるの?

たけのこの皮は、ただの包みではない? ── 若い竹を守り、育てる皮のはたらき

稈鞘(たけのこの皮)のはたらき ── 保護・水と養分の調節・成長の支え(Fargesia yunnanensisの実験ほか)

分野:自然

たけのこの かわを むいて いくと、なかみは どんどん ちいさく なります。かわは、ただの つつみがみ なのでしょうか。

かわを むいた たけが、ひとばんで まがった という けんきゅうが あります。その ふしぎを、いっしょに たどって みましょう。

たけのこの皮をむいていくと、食べられる中身は思ったより小さくなります。この皮は、ただ包んであるだけなのでしょうか。

皮の一部をはがした竹が、一晩で曲がったという研究があります。皮が何をしているのか、資料をつき合わせて見ていきます。

タケノコの皮は植物学では稈鞘(かんしょう)と呼ばれ、やわらかい本体の稈(かん)を保護するだけでなく、節の成長を助ける役割をもつとされる[1]。

このメモでは、稈鞘を縦に1列はがした若い稈が一夜で曲がった報告[2]、水と光合成産物の輸送への関与[2][6]、皮が成長とともに自然に落ちる特徴[3]、そして稈鞘が葉の変形か枝の変形かという見解の分かれ[5]を、複数の資料でたどる。

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1. かわは、なにを して いるの?

1. 皮は、やわらかい茎を守っている

1. 稈鞘の基本 ── 稈を保護し、節の成長を助ける

たけのこの かわは かたくて、なかに やわらかい ぶぶんが あります。かわは、その やわらかい ところを まもって います[1]。

たけのこは、まるで じぶんで かわの ふくを きて いる ようです。ただし かわは ふくと ちがって、せいちょうを たすける はたらきも あるとされます[1]。

固い皮とやわらかい本体

タケノコの固い皮は「稈鞘(かんしょう)」といい、やわらかい本体である「稈(かん)」を包んでいます。稈鞘は稈を保護するだけでなく、節の成長を助ける役割ももつとされています[1]。

研究でも、若い稈の節と節のあいだのやわらかい下のほうを、厚くて固い稈鞘が支えて守っていると報告されています[2]。

タケノコの固い皮を稈鞘という。柔らかい本体である稈を保護するだけでなく、節の成長を助ける役割をもつと説明される[1]。Fargesia yunnanensisの研究でも、稈鞘は若い稈の内節間の柔らかい下部を機械的に支え、保護するとされる[2]。

百科事典的な資料には「皮を取り除くとその節の成長は止まる」との記述もある[1]が、以下の実験の報告は「妨げられるか、曲がって育つ」であり、強さが違う。研究の表現を優先して読む。

2. かわを むくと、たけが まがる?

2. 皮を1列はがすと、一晩で曲がった

2. 剥皮実験 ── 一夜で剥いだ側へ曲がる(Fargesia yunnanensis)

ある けんきゅうでは、わかい たけの かわを、たてに 1れつだけ はがしました。すると、たけは ひとばんで、はがした ほうへ まがった そうです[2]。

かわを ぜんぶ とると、たけが のびにくく なったり、まがって のびたり した と ほうこくされて います[2]。

ただし これは、ひとつの しゅるいの たけの けんきゅうです。ぜんぶの たけが おなじとは、いえません。

一晩で起きた変化

中国南西部などに生えるタケの仲間、Fargesia yunnanensisを使った研究があります。若い稈の稈鞘を縦に1列だけはがしたところ、稈は一晩で、皮をはがした側へ急に曲がりました[2]。

稈鞘を切り取ると、急な成長が妨げられるか、曲がって成長したとも報告されています[2]。

この結果の読み方

これは1種類のタケでの実験です。すべてのタケで同じことが起きると言い切ることはできません。また、研究のための実験なので、竹林で試すものではありません。

Fargesia yunnanensisの若い稈から稈鞘を縦に1列剥離すると、稈は一夜のうちに、剥いだ側へ急速に湾曲したと報告されている。稈鞘を切除した場合は、急成長が阻害されるか、湾曲して成長した[2]。

これは1種での結果であり、全種に一般化はできない。また研究用の操作であって、野外や家庭で再現するものではない。

3. かわは、みずと えいようの みちを ととのえる?

3. 水と養分の流れを整えているらしい

3. 水ポテンシャル差と同化産物の輸送 ── 稈鞘は調節役

べつの けんきゅうでは、かわを むいた あと、たけの なかと そとで、みずを ひっぱる ちからの ちがいが ちいさく なりました[6]。

かわは、みずと、はっぱが つくる えいようが とおる ようすを、ととのえて いると かんがえられて います[6]。

ひとつの がわだけ かわが ないと、そこだけ ようすが かわり、たけが かたむく のかも しれません。ただ、これは かんがえで、かくにんされた こたえでは ありません。

皮のない側で起きていたこと

別の研究では、皮をはがしたあと、稈の内側と外側で水を引く力の差(勾配)が小さくなったと報告されています[6]。専門的には水ポテンシャルの差といいます。

これらの結果から、稈鞘は水と、光合成でつくられた養分の輸送を調節して、たけのこの急な成長を支えていると考えられています[6]。

皮も自分で働く

モウソウチクの皮が稈についている期間は短いのですが、たけのこの正常な成長には重要かもしれない、と述べる論文があります[4]。皮の先の葉のような部分が光合成や蒸散(水を水蒸気として出すこと)にかかわる可能性も、この論文で検討されています。

Wang et al.(2018)は、剥皮後に稈の内外の水ポテンシャルの勾配が小さくなったと報告し、稈鞘をタケノコの急成長における水と同化産物の輸送の制御因子とみなしている[6]。

モウソウチク(Phyllostachys edulis)の稈鞘は、稈に付いている期間は短いが、タケノコの正常な成長に重要である可能性が指摘されている[4]。先端の鞘葉の光合成や、稈鞘での蒸散にかかわる可能性も、この論文で検討されている。

4. たけのこは、どれくらい はやく のびるの?

4. 節ごとに伸びる竹と、落ちていく皮

4. すべての節の成長点と、稈鞘の自然脱落

たけは、ふしの ひとつひとつに、のびる ところが あります[3]。たとえば ふしが 40こ あって、それぞれが 1日に 1センチ のびれば、1日で 40センチ のびる ことに なります。これは かんがえやすい ための たとえの すうじです。

ちじょうに でた ころは 1日 すうセンチでも、10日め ごろには、すうじゅうセンチ、ときには 1メートルを こえる といわれます[1]。

そして のびる うちに、かわは ひとりでに おちて いきます[3]。はんとしほどで、りっぱな わかたけに なります[3]。

すべての節で伸びる

タケにはすべての節に成長点があります。農林水産省の資料では、たとえば節が40個あり、それぞれが1日に1cm伸びれば、稈は1日で40cm伸びる、と説明されています[3]。この数字は説明のための例で、実測値ではありません。

タケノコは、地面に出たころは1日に数cmでも、10日目ごろには数十cm、ときには1mを超えることがあるといわれます[1]。1日に1m以上伸びた記録もあります[3]。

皮は自然に落ちる

タケでは、成長にともなって稈から皮が自然に落ちるのが特徴で、半年ほどで立派な若竹になるといいます[3]。皮がついている期間は、いちばん急に伸びる時期にあたるようです。

タケはすべての節に成長点をもつ。農林水産省の解説では、節が40個で各成長点が1日1cm伸びると仮定すれば稈は1日に40cm伸びる、と例示される(例示であり実測値ではない)。1日に1m以上伸びた記録もある[3]。地表に出た頃に数cm/日だった伸びは、10日目頃に数十cm/日から、時に1m超に達するとされ、被子植物では最速級とされる[1]。

成長に伴って稈から皮が自然に脱落することもタケの特徴とされ、半年ほどで若竹になる。皮が落ちるタケと落ちにくいササで、日本産のタケ亜科を大きく分ける見方もある[3]が、断定は避ける。

5. かわは、はっぱなの? えだなの?

5. 皮の正体は、葉か枝か

5. 稈鞘の形態学的解釈 ── 変形した葉か、変形した枝か

たけのこの かわは、「かわった はっぱ」と かかれた ほんも あります。でも、「かわった えだ」だと いう けんきゅうも あります[5]。

この けんきゅうでは、かわの なかを とおる ほそい すじの ならびが、えだに ちかく、はっぱの まんなかの すじも なかった そうです[5]。

はっぱか、えだか。どちらが ただしいのか、いまも みかたが わかれて います。

見方が分かれている

稈鞘は「変形した葉」と書かれることが多い一方、Fargesia yunnanensisの解剖学的な研究では「変形した枝」と結論されています。水や養分を運ぶ管の束が枝に近く、葉の中心にある太い筋(中肋)がなかったためです[5]。

どちらが正しいか、どのタケにもあてはまるかは、ここでは決められません。葉か枝か、資料によって見方が分かれています。

稈鞘は一般に「変形した葉」とされることが多いが、Wang(2017, Scientific Reports)はFargesia yunnanensisの解剖学的検討から、維管束の配置が枝に近く中肋を欠くことを根拠に、稈鞘は「変形した枝」であって変形した葉ではないと結論した[5]。

資料により記述が分かれており、種を超えた一般化も未検証である。本メモでは、稈鞘の正体については断定せず、両説があることを示すにとどめる。

6. たけのこの かわを、みかけたら

6. 皮つきのたけのこを見かけたら

6. 自分でも調べてみたくなったら

今日できること

かわつきの たけのこを みかけたら、かわの かさなりかたと、ねもとの ぶつぶつを、みて みましょう。かわを むくときは、おうちの 人と いっしょに して ください。

出かけてできること

たけばやしで、かわが おちて いる わかたけや、おちて いる かわを さがして みましょう。かわを むく じっけんは しないで ください。

おおやけの しりょう

のうりんすいさんしょうの しりょうに、たけの せいちょうが のって います[3]。

今日できること

皮つきのたけのこを見かけたら、根元の赤紫色のぶつぶつ(突起)に注目してみましょう。食材としては、突起が小さいものがよく、大きくて濃い紫色になっていると育ちすぎのことがある、と説明されています[1]。皮は、包丁を使わず、大人と一緒にむいてください。

出かけてできること

竹林で、皮が落ちた若竹や、落ちた皮を探してみてください。皮をはがす実験は、竹を傷めるのでしないでください。

公式情報

農林水産省の広報誌には、竹の成長のしくみがのっています[3]。

今日できること

皮付きのタケノコを見る機会があれば、根元の突起の大きさ・色と、皮の付き方を観察するとよい。食材の目安として、突起が小さいものが良く、大きく濃い紫色だと育ちすぎのことがある[1]。剥皮は大人と行い、生きた竹での剥皮実験は行わない。

資料を読むなら

剥皮実験はFrontiers in Plant Science(2020)の論文[2]が、稈鞘の役割の可能性はPlants(2022)[4]が、稈鞘の由来はScientific Reports(2017)[5]が扱う。いずれも英語で書かれている。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文の各記述は、下の資料を突き合わせて書いた。

  1. Wikipedia「タケノコ」 https://ja.wikipedia.org/wiki/タケノコ (皮の役割、成長の速さ、食材としての見方)
  2. Frontiers in Plant Science 2020(Fargesia yunnanensis の稈鞘の研究) https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fpls.2020.00418/full (皮をはがす実験)
  3. 農林水産省 aff 2021年3月号 https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2103/spe1_01.html (成長点、皮の自然な脱落)
  4. Plants 2022(モウソウチクの稈鞘) https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9655093/ (皮が成長に重要かもしれないという指摘)
  5. Wang ほか, Scientific Reports 2017 https://www.nature.com/articles/s41598-017-16470-7 (皮が葉か枝かの解剖学的検討)
  6. Wang ほか, Brazilian Journal of Botany 2018 https://link.springer.com/article/10.1007/s40415-018-0446-z (水と養分の輸送の調節、剥皮後の水ポテンシャルの勾配)

なおした ところ

更新履歴

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