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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

おさつは、どうして にせものを つくりにくいの?

お札の偽造を難しくする、何層もの技術

日本銀行券の偽造防止技術:深凹版・すき入れ・潜像・ホログラムの重ね合わせ

分野:技術

出まわって いる おさつ 100万まい あたり、にせさつが 0.3まいの 国が あります。イギリスでは 207まいでした。日本の おさつは、なぜ そんなに にせものが 少ないのでしょう。さいふの おさつを 見て、さわって、かたむけて みたくなる おはなしです。

2009年、日本銀行は「日本のにせ札は、流通する銀行券100万枚あたり0.3枚」と紹介しました。イギリスは207枚です。この差の理由は資料からは分かりませんが、日本のお札には、見る・触る・傾けるで確かめられる仕掛けが何層も重なっています。財布の中の1枚で、どこまで確かめられるのでしょうか。

日本銀行の資料では、2009年時点の偽札の発生率は流通銀行券100万枚あたり0.3枚で、イギリスの207枚と大きな差がある。この差の理由は資料からは分からない。ここでは、お札に重ねられた偽造防止技術を見ていく。2024年7月発行の新札で加わった高精細すき入れと3Dホログラムを中心に、日本銀行・国立印刷局・警察庁の資料を突き合わせた。

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1. にせさつは、どれくらい 少ないの?

1. 100万枚のうち、にせ札は何枚か

1. 偽札の発生率:2009年の国際比較

にほんぎんこうの しりょうには、こんな 数字が あります。出まわって いる おさつ 100万まい あたりの にせさつは、日本で 0.3まい。イギリスで 207まい、ヨーロッパで 63まい、カナダで 38まいです。[1]

イギリスと くらべると、日本は 700ぶんの 1 くらいです。ただし これは 2009ねんの 数字で、いまの 数字では ありません。

では、日本の おさつには、どんな しかけが あるのでしょう。

日本銀行の広報資料によると、流通している銀行券100万枚あたりの偽札の数は、日本が0.3枚、イギリスが207枚、ヨーロッパが63枚、カナダが38枚でした[1]。日本の値は「桁違いに低い」と説明されています。

207を0.3で割ると約690なので、イギリスの値は日本の約700倍です。ただし、この比較は2009年時点のものです。今の値として読むことはできません。

数字の差は、お札にどんな工夫があるかを見る入り口になります。

日本銀行の広報資料(Focus BOJ)は、偽札の発生率を各国・地域の流通銀行券100万枚あたりで比較している。日本0.3枚に対し、イギリス207枚、ヨーロッパ63枚、カナダ38枚である[1]。207÷0.3≒690なので、イギリスは日本の約700倍にあたる。

この値は2009年時点であり、現在の数値ではない。この差の理由は資料からは分からないが、日本のお札にどんな技術が使われているかを見ていく。

2. 「これだけ」という きめては ないの?

2. 1つの決め手ではなく、技術の重ね合わせ

2. 多層的な防止技術:新札の8技術と二千円券の例

にせものを つくりにくく している のは、1つの すごい しかけでは ありません。いくつもの しかけが かさなって います。

たとえば、げんかんの とびらに かぎが 1こだけなら、それが やぶられたら おしまいです。かぎが 3こ、5こ あれば、ぜんぶを やぶるのは たいへんです。ただし おさつの しかけは、かぎと ちがって、見る・さわる・かたむける と、ちがう やりかたで たしかめられます。

2024ねん7月3日に はじまった あたらしい おさつには、8つの 技術ぎじゅつが つかわれて いると、にほんぎんこうは しょうかい しています。[2]

お札の偽造防止は、「これがあれば大丈夫」という1つの技術ではなく、いくつもの技術を組み合わせることで成り立っています。2024年7月3日に発行が始まった新しい日本銀行券には、8つの偽造防止技術が搭載されていると、日本銀行のページに書かれています[2]。

2000年発行の二千円券の説明も、同じ考え方です。日本銀行は、視覚と触覚の両方に対応した技術を組み合わせて、偽造を困難にしていると説明しています[3]。

玄関に鍵が1つだけなら、破られたら終わりです。3つ、5つと重ねれば、全部を破るのは大変になります。ただしお札の技術は、目で見る、指で触る、傾けるなど、確かめる側のやり方も違います。その点は鍵と違います。

日本銀行は、2024年7月3日に発行が始まった新日本銀行券に8つの偽造防止技術が搭載されていると説明している[2]。新札に使われている技術のうち、ここでは本文で紹介するものを見ていく。

二千円券(2000年7月19日発行)についての日本銀行の説明でも、視覚・触覚の両面に対応した技術を組み合わせて偽造を困難にしているとされる[3]。発行時期は異なるが、「1つの決め手に頼らず、確かめ方の異なる技術を重ねる」という設計方針は共通している。

ここで挙げる二千円券の例は、新札の技術一覧ではなく、2000年発行券の例である点に注意が要る。

3. さわって わかる しかけは、なに?

3. 指でなぞると分かる、盛り上がったインキ

3. 深凹版印刷と識別マーク

おさつの 数字の ところを、ゆびで そっと なぞると、ざらざら します。インキが 高く もりあがって いるからです。[2]

この 印刷いんさつは、数字と、目の ふじゆうな 人のための「しきべつマーク」に つかわれて います。[2]

二千円さつの しきべつマークは、てんじの「に」を デザインした ものです。さわって わかる しかけは、にせもの ふせぎと、目の ふじゆうな 人の たすけを、いっしょに やって います。[3]

お札の額面数字を指でなぞると、ざらざらしています。深凹版印刷という方法で、インキを高く盛り上げて刷っているためです。この印刷は額面数字と識別マークに使われていると、日本銀行のページにあります[2]。

二千円券の説明では、インキの盛り上がりは触覚でも識別でき、識別マークは点字の「に」をデザイン化したものだとされています[3]。触って確かめられる工夫が、偽造防止と、視覚に障害のある人が金額を見分ける助けを、同時に担っていることが分かります。

券種や発行時期で識別マークの形が違うので、ここでは二千円券の例として紹介しました。

深凹版印刷は、インキを高く盛り上げて刷る方式で、触るとざらざらとした感触がある。新札では額面数字と識別マークに使われている[2]。

二千円券についての日本銀行の説明では、インキが表面に盛り上がるように印刷され、触覚でも識別できること、識別マークが点字の「に」をデザイン化した視覚障害者用のマークであることが示されている[3]。

偽造防止のために付けた特徴が、視覚に障害のある人が金額を見分ける手がかりにもなっている。二つの目的は別々だが、ひとつの印刷方法が両方に役立っている。ただし識別マークの形は券種で異なる。

4. ひかりに かざすと、なにが 見えるの?

4. 光にかざすと浮かぶ「すき入れ」

4. すき入れと高精細すき入れ

おさつを ひかりに かざして みましょう。うっすらと、人の かおが うかんで 見えます。これは「すき入れ」と いって、かみの あつさに ちがいを つけて つくる えです。[4]

あたらしい おさつでは、かおの うしろに、とても こまかい もようが つづく すき入れも くわわりました。[4] [2]

すき入れは、にせものを つくるのが とくに むずかしい 技術ぎじゅつと されて います。[4]

お札を光にかざすと、肖像が透けて浮かび上がります。これは「すき入れ」といい、紙の厚さを部分的に変えて絵柄をつくる技術です[4]。印刷ではなく、紙そのものに絵柄が入っています。

新札では、肖像の背景に細かい連続模様が入る「高精細すき入れ」が加わりました。国立印刷局と日本銀行の資料で紹介されています[4][2]。

国立印刷局の資料では、すき入れは偽造が特に困難とされる技術だと説明されています[4]。

すき入れは、紙の厚さを部分的に変えて絵柄を表す技術で、光にかざすと肖像が浮かぶ。国立印刷局の紹介資料は、新札で肖像の背景に緻密な連続模様を施した「高精細すき入れ」を新たに導入したこと、すき入れが偽造の特に困難な技術とされることを述べている[4]。

日本銀行のページも、従来の肖像のすかしに加えて背景に高精細なすき入れが入ることを説明しており[2]、独立した2つの出典で内容が一致する。

5. かたむけると、なにが 起こるの?

5. 傾けると変わる図柄と、回転するホログラム

5. 潜像模様・ホログラム・光学的変化インキ

おさつを ゆっくり かたむけると、数字や 文字が うかんで 見える しかけが あります。これを「せんぞう」と いいます。あたらしい おさつでは、おもてに きんがくの 数字、うらに「NIPPON」の 文字が うかびます。[2]

さらに、あたらしい おさつの ホログラムは、人の かおが りったいに 見えて、まわるように うごきます。おさつに ホログラムを のせたのは、せかいで はじめてと されて います。[2]

二千円さつには、見る むきで 青みどりから むらさきに かわる インキも つかわれて いました。[3]

券を傾けると、図柄や文字が浮かぶ技術を潜像模様といいます。新札では、表面に額面数字、裏面に「NIPPON」の文字が浮かびます[2]。券種によって、浮かぶ文字や模様は違います。

新札のホログラムは、肖像が立体的に見えて回転する仕組みです。日本銀行のページでは、銀行券への搭載は世界初とされています[2]。

二千円券には、ほかにも、紫外光を当てるとオレンジ色に光る特殊発光インキ、見る角度で青緑色から紫色に変わる光学的変化インキ、「NIPPON GINKO」と読める微小な文字が使われました[3]。見る、触る、光を当てる。確かめ方の違う技術が、同じ1枚に重なっています。

潜像模様は、券を傾けたときに図柄や文字が浮かぶ技術で、新札では表面に額面数字、裏面に「NIPPON」が現れる[2]。千円券だけの技術ではなく、券種によって表現が異なる。

新札のホログラムは肖像が3次元に見えて回転する機能で、銀行券への搭載は世界初とされる[2]。

二千円券(2000年発行)の資料には、紫外光でオレンジ色に光る特殊発光インキ、角度で青緑色から紫色に変わる光学的変化インキ、マイクロ文字「NIPPON GINKO」が挙げられている[3]。これも新札の技術一覧ではなく、2000年発行券の例である。

見る・触る・傾ける・光を当てる、と確かめ方が異なるため、一つが再現されても他の特徴で気づける余地が残る。これが重ね合わせの意味だと考えられる。

6. にせさつを 見つけたら、どうするの?

6. 偽造券の発見枚数と、疑わしいお札の届け出

6. 発見枚数の推移と法的な扱い

にせさつを つくったり つかったり する ことは、とても おもい つみに なります。にせものと 知って つかった 人も、おなじです。[5]

あやしい おさつを 見つけたら、じぶんで なんとか しようと せず、おとなに はなして、けいさつか にほんぎんこうに とどけます。[5]

けいさつが 見つけた にせさつの 数は、ここ数年でも、年ごとに 大きく かわって います。[6]

日本銀行のページには、偽造や変造は作った人だけでなく、知って使った人も無期または3年以上の懲役の対象になると書かれています。疑わしいお札は、警察か日本銀行へ届けるよう案内されています[5]。

警察庁の統計では、偽造銀行券の発見枚数は令和4年から7年のあいだに、700枚ほどから2,700枚ほどまで、年によって大きく増減しています[6]。

この数字は「届出などで押収された枚数」であり、流通しているお札全体に対する割合ではありません。1章の「100万枚あたり」の数字とは、測り方が違うので並べて比べられません。

日本銀行は、偽造・変造は無期または3年以上の懲役にあたり、使用も同様であること、疑わしい券は警察または日本銀行へ届けることを案内している[5]。

警察庁の統計で、偽造銀行券の発見枚数は令和4年から7年のあいだに、700枚ほどから2,700枚ほどまで年ごとに大きく増減している[6]。

この発見枚数は届出等により押収した枚数であり、流通量に対する割合ではない。1章の100万枚あたりの発生率(2009年)とは指標が異なるため、直接比較できない。年ごとの増減が大きいことだけが、この表から読み取れる。

自分でも ためして みよう

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

今日できること

おうちの 人と いっしょに、さいふの おさつを 1まい 出して、3つ ためして みます。1、まどの ひかりに かざして、かおや もようが うかぶか 見ます。2、ゆびで 数字の ところを なぞって、ざらざらを たしかめます。3、ゆっくり かたむけて、光り方が かわるか 見ます。おさつは おらず、やぶらないように します。

あたらしい おさつと ふるい おさつで、見え方が ちがうかも しれません。ちがいを 見つけたら、それも ひとつの はっけんです。

出かけてできること

ぎんこうや はくぶつかんの てんじで、おさつの しかけを せつめいした ものが ないか、さがして みましょう。

今日できること

財布のお札を1枚出し、次の3つを順に試して、気づいたことを書き出します。窓の光にかざして、肖像や模様が見えるか。指で額面数字をなぞって、ざらつきがあるか。ゆっくり傾けて、光り方が変わる部分があるか。お札は折ったり破ったりしないでください。

新札と古いお札を並べると、見え方の違いが分かることがあります。違いが見つからなくても、それも結果です。

もっと調べたいとき

日本銀行の「新しい日本銀行券の特徴」や、国立印刷局の紹介ページに、それぞれの技術の説明があります。

今日できること

本物のお札で試す。窓の光にかざして、肖像とすき入れを見る。指で額面数字をなぞり、深凹版のざらつきを確かめる。ゆっくり傾けて、潜像やホログラムの見え方を見る。お札は折らず、破らない。券種で見える技術が異なるため、新旧を比べるとよい。

資料を読むなら

  • 日本銀行「新しい日本銀行券の特徴」:新札の偽造防止技術の説明[2]
  • 日本銀行「二千円券の偽造防止技術」:識別マークとインキの説明[3]
  • 人事院総裁賞の国立印刷局紹介ページ:高精細すき入れの導入[4]
  • 警察庁「偽造通貨の発見枚数」:年ごとの統計[6]

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文で使った資料の一覧です。

  1. 日本銀行 Focus BOJ「銀行券の流通」 https://www.boj.or.jp/about/annai/genba/focusboj/focusboj01.htm (偽札の発生率の国際比較、2009年)
  2. 日本銀行「新しい日本銀行券の特徴」 https://www.boj.or.jp/note_tfjgs/note/n_note/security.htm (新札の技術・深凹版・潜像・ホログラム)
  3. 日本銀行「二千円券の偽造防止技術」 https://www.boj.or.jp/note_tfjgs/note/security/cur0004a.htm (識別マーク・インキの例)
  4. 人事院総裁賞 国立印刷局の紹介ページ https://www.jinji.go.jp/seisaku/sousai/037/insatsu.html (すき入れ・高精細すき入れ)
  5. 日本銀行「銀行券の偽造防止技術について」 https://www.boj.or.jp/note_tfjgs/note/security/gizoe.htm (偽造・変造の扱いと届け出)
  6. 警察庁「偽造通貨の発見枚数」 https://www.npa.go.jp/bureau/criminal/souni/gizou/gizou.pdf (発見枚数の推移)

なおした ところ

更新履歴

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