1. たったままだと、あらいにくい ところは どこ?
1. 立ったままだと洗いにくい場所は、どこだろう
1. 立ったままでは洗いにくい部位 ── 座って洗う理由
たったまま、あしの うらを あらって みて ください。かた足で ふらふら して、むずかしいですね。
ふろの いすに すわると、たったままでは あらいにくい あしの うらや、からだの こまかい ところまで、しっかり あらえる そうです[1]。
おみせの せつめいでは、からだを あらってから ゆぶねに はいって、1にちの よごれと つかれを ながす ながれが しょうかい されて います[2]。ゆっくり あらうので、すわれる いすが つかわれる のです。
では、すわる いすの たかさは、どれくらいが いいのでしょう。
片足で立って、もう片方の足の裏を洗おうとすると、体がぐらつきます。風呂いすに座ると、立ったままでは洗いにくい足の裏や、体の細かい部分までしっかり洗えると、風呂いすメーカーのアスベルは説明しています[1]。
販売店の解説では、体を洗ってから湯船につかり、1日の汚れと疲れを流す入浴の流れが紹介されています[2]。洗う時間が長めになるので、ゆっくり座って洗える風呂いすが使われる、という説明です。バスチェアの基本の役割は、体を洗うときに体を支えることとされています[2]。
ただし、この解説は販売店のものです。日本の入浴習慣がいつ、どう生まれたかを示す資料ではありません。ここでは「いまの使われ方の説明」として読みます。
では、座るいすの高さは、どう決まっているのでしょうか。
片足で立ったまま、もう一方の足裏を洗うのは難しい。アスベルは、風呂椅子に座れば立位では洗いにくい足の裏や体の細部まで洗えると説明している[1]。体を支えて洗う姿勢を安定させることが、バスチェアの基本の役割とされる[2]。
この道具が日本の浴室で使われる背景として、販売店の解説は、先に体を洗い、そのあと湯船に浸かって1日の汚れと疲れを流す入浴の流れを挙げる[2]。洗う時間がある程度長くなるため、座って洗える椅子が活用される、という論理である。
ただし、この資料は販売店の商品選びの解説であり、洗い場で先に洗う習慣の由来や、風呂椅子の起源を示すものではない。今回使える資料から言えるのは、現在の使われ方の説明までである。
そうなると問題は、座面を何cmにするかに移る。次章では、その数値が何を基準にしているかを見る。
2. いすの たかさは、なにに あわせて いるの?
2. 座面の高さは、浴室のカウンターが目安になっている
2. 座面高の目安 ── 浴室カウンターとの関係と、出典ごとの幅
おふろの そうじを する ときに、かべぎわの たなや だいに きづく ことが あります。あれを「カウンター」と いいます。たかさは、30センチ くらいの ものが おおいそうです[1]。
いすは、その カウンターより 5センチ くらい ひくい ほうが つかいやすい、と いう せつめいが あります[3]。30ひく5で、25センチ くらいです。
うって いる いすも、25センチ くらいが ふつう、と いわれます[2]。20、25、30センチと、たかさの ちがう いすを ならべて うる ところも あります[2]。
この かずは「きまり」では ありません。つかう ひとに あわせた、めやすです。
多くの浴室カウンターは高さ30cm前後で、風呂いすは30〜35cm程度が選びやすい、とアスベルは説明しています[1]。同社は、安定感があって落ち着いて全身を洗いやすい高さとして、30cmを挙げます[1]。
一方、小学館のHugKumは、座面をバスカウンターより5cm程度低くすると使いやすいとし、25〜30cmなら子どもから大人まで使いやすいとしています[3]。カウンターが30cm前後なら、5cm低めは25cm前後になります。販売店の解説で「座面までは25cm前後が一般的」とされるのとも合います[2]。
商品も1つの高さに決まっていません。販売店の例では、20・25・30cmの3サイズで売られているいすがあり、25・30・35cmの展開もあります[2]。
出典ごとに、25cm前後から35cmまで幅があります。これは業界や解説者が示す目安で、法律や規格で決まった数値ではありません。
では、低いほうが安定して安心、と考えてよいのでしょうか。
浴室のカウンター(洗い場の台)は、アスベルによれば高さ30cm前後のものが多く、風呂椅子は30〜35cm程度が選びやすい。同社は一般に使いやすい高さを30cmとし、その理由を、安定感があり落ち着いて全身を洗うのに適しているからだと述べる[1]。
これに対しHugKumは、座面をカウンターより5cm程度低くするのが使いやすいと説明し、25〜30cmを子どもから大人まで使いやすい範囲とする[3]。浴室カウンターを30cmとすれば、5cm低めは25cmで、販売店の解説にある「25cm前後が一般的」とほぼ一致する[2]。
実際の商品は高さが複数用意される。販売店の例では、20・25・30cmの3種類を出す製品や、25・30・35cmを揃える製品がある[2]。つまり推奨値は25cm前後から35cmまで幅があり、メーカーが30cmを基準にし、解説者はそれより低めを勧める、という食いちがいが残る。
注意したいのは、これらが業界や解説者の目安であり、法規・規格が定める数値ではないことだ。カウンターの高さも「前後」「多くの」と断られている。この数字を、1つの正解として覚えるのは適当でない。
次の問いは、低いほど安定なのか、という点である。体への負担という別の面から考える。
3. ひくければ ひくいほど、いいの?
3. 低いほうが安心、とは限らないのはなぜか
3. 座面を低くすると何が変わるか ── 膝・足首の負担と、高すぎる場合の限界
ひくい いすは、ゆかに ちかくて あんぜんそう です。でも、たちあがる ときを かんがえて みましょう。ひくい ところから たつのは、ひざに ちからが いります。
びょういんの しりょうでは、ふつうの いすの ことですが、ざめんを たかく すると、あしや ひざの ふたんを へらせると せつめい されて います[4]。ただし、たかすぎると、いすから ずりおちる ことが あります[4]。
ちいさな こには 20〜25センチの ひくめ、おとなには 30センチ いじょうを すすめる メーカーも あります[1]。からだの おおきさで、ちょうど いい たかさが ちがうのです。
武田病院グループの資料(関節リウマチの人向けの、一般の椅子の話)では、椅子の座面は、両足を床につけて膝の角度が90度前後になる高さがよいとされています[4]。ところが同じ資料は、座面を高くすると、脚の筋肉や膝・足首の負担を減らせるとも述べています[4]。
つまり、低ければ低いほど楽、というわけではありません。ただし、高すぎる座面では、椅子からずり落ちるおそれがある、とも書かれています[4]。高さは、低すぎても高すぎてもいけない中間にあります。
この資料は風呂いす専用ではありません。浴室でそのまま同じになるかは、この資料だけでは言えません。ただ、風呂いすの高さに幅があり、体の大きさで勧める高さが変わる理由を考えるヒントになります。アスベルは、子どもには20〜25cm、大人には30cm以上、背が高い人には35cm以上を勧めています[1]。
座る高さは分かりました。では、座面の下の形は、何のためにあるのでしょうか。
座面が低いほど体が床に近く、安定しそうに思える。しかし医療機関の資料は、少し違う面を示す。武田病院グループの資料は、関節リウマチの人向けに一般の椅子の座り方を説明したもので、座面は両足を床につけて膝が90度前後になる高さが基本とされる。ところが、座面を高くすれば下肢の筋や膝・足関節の負担を減らせるとも述べる[4]。
そのため単純に「低いほうが安全」とは言えない。同じ資料は、高すぎる座面では椅子からずり落ちるおそれがあるとも書いており、上にも下にも限界がある[4]。
この資料は風呂椅子専用ではなく、濡れて滑りやすい浴室にそのまま当てはまるかどうかは別の問題である。風呂椅子の高さに関しては、アスベルが、子どもには20〜25cm、大人には30cm以上、背の高い人には35cm以上を勧めている[1]。体格で使いやすい高さが変わるという考え方は、一般の椅子の資料と同じ方向を向いている。
座る高さの話は、ここまでとする。残る問いは、座面の下の形にある。
4. いすの あしの あいだが あいて いるのは、なぜ?
4. 脚のあいだが大きく開いているのは、乾かすための形でもある
4. 脚のあいだの空間 ── 通気性と手入れの観点から見た形の違い
ふろの いすは、つかった あとも ぬれて います。ぬれた まま ふさがって いると、みずが たまって、カビや みずあかが ふえやすく なります[2]。
ざめんの したが おおきく あいた アーチがたの いすは、かぜが とおりやすく、あらった あとも みずが たまりにくいと いわれます[1]。あしが 4ほん ある タイプも、かぜが とおって カビが はえにくいそうです[2]。
はこの かたちや、つなぎめの おおい いすは、すこし かぜが とおりにくい のです[1]。
あしの あいだの すきまは、すわる ときの ためと いうより、かわかす ための くふうと 考えると、しっくりきます。
風呂いすは、使い終わっても水でぬれています。その状態が続くと、水アカやカビがつきやすくなります。風呂いすの大敵は水アカとカビだと、販売店の解説は説明します[2]。
アスベルによると、座面の下が大きく開いたアーチ型は通気性がよく、洗ったあとに水がたまりにくい形です[1]。反対に、箱のような形やつなぎ目の多い形は、やや通気性が悪いといいます[1]。販売店の解説では、つなぎ目がないタイプや4本脚のタイプは通気性がよくカビが生えにくく、手入れもしやすいとされます[2]。
脚のあいだのすき間は、座面の高さとは別に、いすの乾きやすさにも関わる形です。
では、洗い終えたあと、いすはどう置けばよいのでしょうか。
風呂椅子は使用後も濡れたままになりやすく、水アカとカビが大敵になる、と販売店の解説は述べる[2]。ここに形の違いが関わってくる。
アスベルによれば、座面の下が大きく開いたアーチ型は通気性がよく、洗ったあとに水がたまりにくい。箱型やつなぎ目の多い形はやや通気性が悪い[1]。販売店の解説では、つなぎ目のない形や4本脚のタイプは通気性がよくカビが生えにくく、手入れもしやすいとされる[2]。
ここで、座る側の都合と乾かす側の都合を分けて考えられる。座り心地への影響は資料からは分からないが、この形が選ばれるのは、洗い場という常に濡れる場所で、乾きやすさとカビの生えにくさが製品の価値になるためと読める。ただし、出典はいずれもメーカー・販売店であり、すき間の大きさとカビの量を比べた測定値ではない。
形の次に問題になるのは、素材と置き方である。
5. あらったあとの いすは、どう おくと かわくの?
5. 洗ったあとの風呂いすは、どう置くと乾くのだろう
5. 使用後の置き方と素材 ── 水気をなくす手順と、素材ごとの特徴
つかった あとは、シャワーで あらい ながします。そして、みずけを とる ために、うらがえして たてかけたり、つるしたり すると いいと いわれます[3]。
ふろの ふちに ひっかけられる 「コの字がた」の いすは、ゆかに おかないので、ゆかも かわきやすい そうです[3]。
ざいりょうも、いろいろ あります。ポリプロピレンの いすは かるくて、ねだんも ひくめです。きの いすは、なつは ひんやり、ふゆは やわらかい あたたかさが あります[2]。
HugKumによると、使ったあとはシャワーで洗い流し、水気を取るために裏返して立てかけるか、吊るすのがよいそうです[3]。販売店の解説も、使用後に水分を拭き取ることが重要だとしています[2]。
浴槽の縁に掛けられるコの字型は、カビや水垢がつきにくく手入れが簡単で、浴槽に引っかけて保管すれば床も乾きやすいとされます[3]。座るときは床に置くいすでも、置く場所までふくめて乾かす工夫がある、ということです。
素材も選べます。ポリプロピレンは軽くて成形しやすく、比較的安価です。アクリル樹脂は透明で耐久性が高く、木は夏はひんやり、冬は柔らかい温かさがあるとされます[2]。PETは透明感と撥水性が特徴です[2]。
今回は、座る人の事情(高さ)と、乾かす浴室の事情(すき間や置き方)の2つの観点から、風呂いすの形を見てきました。
手入れについて、HugKumは、使用後にシャワーで洗い流し、水気を取るため裏返して立てかけるか吊るす方法を挙げる[3]。販売店の解説も、使用後に水分を拭き取ることを重視している[2]。
浴槽の縁に掛けるコの字型は、カビや水垢が付きにくく手入れが簡単で、浴槽に引っ掛けておけば床が乾きやすいという[3]。前章の脚のあいだの空間と同様、「座る」機能とは別に、乾かす機能が形に入っている例といえる。
素材は、軽量で成形しやすく比較的安価なポリプロピレン、透明で耐久性の高いアクリル樹脂、透明感と撥水性を持つPET、夏はひんやりして冬は柔らかい温かさがある木などがある[2]。素材ごとの優劣は、手入れの手間や価格との兼ね合いで変わる。
ここまでの資料は、メーカーと販売店の説明が中心で、風呂椅子の起源や歴史をたどれるものではない。今回の記事では、座る側の都合(高さ)と乾かす側の都合(脚のすき間や置き方)の2つの観点から形を見てきた。
おうちの いすを しらべて みよう
家の風呂いすで、高さと乾き方を調べるには
自宅の風呂椅子で、本文の目安を確かめるには
おうちで
ものさしで、ふろの いすの ざめんの たかさを はかって みましょう。つぎに、おふろの カウンターの たかさも はかります。ゆかが ぬれて いる ときは、すべらないように きを つけて ください。おうちの ひとと いっしょに はかると あんしんです。
どちらが どれくらい ひくいか、ひき算を して みると、せつめいと くらべられます。
おふろの あとは、いすの あしの あいだを 見て みましょう。みずが たまって いないか、どこが さいごまで ぬれて いるか、おふろの あと 30ぷんくらい おいて 見ると わかります。
もっと しりたく なったら
アスベルなど、ふろの いすを つくって いる 会社の ホームページに、えらび方の ページが あります。
家でできること
メジャーか定規で、風呂いすの座面の高さと、浴室カウンターの高さを測ってみてください。床が濡れているときは滑らないよう注意し、家の人と一緒に測ると安心です。引き算をすれば、本文で見た「カウンターより5cm程度低め」と自分の家を比べられます。
入浴のあとは、いすの脚のあいだに水が残っていないか見ます。立てかけた場合と床に置いた場合で、乾き方に差があるかも比べられます。同じくらいの時間をおいて見比べてください。日や天気で乾き方も変わります。
公式の情報を調べるには
風呂いすのメーカーや、日用品の販売店の解説ページには、高さの選び方が載っています。体に不安があるときの座り方や高さは、医師や理学療法士など専門の人に相談してください。
自宅で測る
定規かメジャーで、座面の高さと浴室カウンターの高さを測り、差を求める。床が濡れているときは足元に注意して測る。本文の「カウンターより5cm程度低め」と自宅の差を比べると、目安が実際の浴室でどう当てはまるかが分かる。
入浴後は、脚のあいだや座面裏に水が残る位置を観察する。立てかけた場合と床に置いた場合を、入浴後の同じくらいの時間をおいて比べれば、乾き方の差も確かめられる。日や天気で乾き方も変わる点に注意する。
資料を読む
高さの数値は出典ごとに異なるため、メーカー(アスベル)、販売店、育児媒体(HugKum)の3つを並べて読むと、どこで数値が食いちがうかが分かる。関節への負担については、武田病院グループの「リウマチ通信」の椅子の項目がある。体に不安がある場合の座り方は、医療の専門家に尋ねるのが適切である。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
風呂いすの高さと形の説明はメーカー(アスベル)・販売店・育児媒体の解説、体への負担の話は医療機関の資料による。数値は業界や解説者の目安で、規格の値ではない。
- アスベル株式会社「風呂椅子の選び方」コラム https://www.asvel.co.jp/column/posts/special-feature-about-bath-chair-ex (高さの目安・形と通気性・足の裏を洗う話)
- 楽天 Bathlier「バスチェアの選び方」 https://www.rakuten.ne.jp/gold/bathlier/b-cafe/choice/choice_bathchair.html (入浴の流れ・25cm前後・素材・水アカとカビ)
- HugKum(小学館)「風呂椅子の選び方」 https://hugkum.sho.jp/262258 (カウンターより5cm低め・コの字型・置き方)
- 武田病院グループ「リウマチ通信 vol.52」椅子の選び方・立ち座り方 https://www.takedahp.or.jp/publicity/reports/items/%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%83%9E%E3%83%81%E9%80%9A%E4%BF%A1vol52.pdf (座面の高さと膝・足首の負担)
なおした ところ
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