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23人の 中に、同じ 誕生日たんじょうびの 2人が いる ことは、どれくらい ある?

23人の中に同じ誕生日の2人はいる? ── 誕生日問題の意外な確率

誕生日問題 ── 23人で同じ誕生日の組ができる確率は、なぜ半分を超えるのか

分野:技術

自分と 同じ 誕生日たんじょうびの 人には、なかなか 会えません。ところが、23人 あつまると、「だれかと だれかが 同じ 誕生日たんじょうび」に なる ことが、およそ 2回に 1回は おきます。

どうして でしょう。ひみつは、自分と 同じ 人だけでは なく、ふたりずつの くみあわせを ぜんぶ 見る ところに あります。この きじでは、その かんがえ方と、ほんとうに そう なるのかを、しらべます。

自分と同じ誕生日の人には、なかなか会えません。ところが、23人集まると、「だれかとだれかが同じ誕生日」になる確率は、50.7%(約2回に1回)になります。

この記事では、自分と同じ人を探す場合とのちがい、計算の道すじ、実際の名簿での確かめ、そしてコンピューターの安全にも関わる広がりを調べます。

誕生日が自分と同じ人に出会う確率は低い。それなのに、23人が集まると、その中に同じ誕生日の組が1つ以上できる確率は約50.7%になる。直感とのずれが大きいため、「誕生日のパラドックス」とも呼ばれる。

この記事では、「自分と同じ人」と「だれかとだれか」のちがい、計算の組み立て、2014年のサッカーW杯の名簿での検証、前提の穴、暗号の分野への応用を整理する。

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1. 「自分と 同じ」と 「だれかと だれか」は ちがう

1. 「自分と同じ」と「だれかとだれか」はちがう

1. 「特定の1人と一致」と「どこかの組が一致」

まず、こたえを 先に 書きます。23人 いると、同じ 誕生日たんじょうびの 2人が いる 見こみは、50.7%、つまり 半分 ぐらいです[1]。

いっぽう、「自分と 同じ 誕生日たんじょうびの 人が いる」見こみは、ずっと 小さく なります。自分の ほかに 23人 いても、ほんの 6.1%(16回に 1回より 少ない)です[1]。

どうして こんなに ちがうのでしょう。「自分と だれか」を くらべる なら、くみあわせは 23こ だけです。でも 「だれかと だれか」なら、ぜんぶの ふたりずつの くみあわせを 見る ことに なります。23人 だと、その かずは 253くみ です[1]。

たとえば、おにごっこで 「自分が つかまえる 人」は 1人です。でも、「だれかが だれかを つかまえる」チャンスを ぜんぶ 数えたら、ずっと 多く なります。それと にています。

先に答えを書きます。23人いると、同じ誕生日の2人がいる確率は50.7%、つまり約半分です[1]。これを「誕生日問題」と呼びます。

一方、「自分と同じ誕生日の人がいる」確率は、ずっと小さくなります。自分以外の23人の中にいる確率は約6.1%で、16回に1回より少ないのです[1]。

この差は、数える組の数のちがいで説明できます。「自分と、ほかの人」を比べるなら、組は23通りだけです。「だれかとだれか」なら、全員の中から2人を選ぶすべての組が対象になります。23人だと、その数は23×22÷2=253組です[1]。

たとえば、おにごっこで「自分がタッチできる相手」は多くても数人です。でも、「だれかがだれかにタッチできる場面」を全部数えれば、ずっと多くなります。数える範囲が広がる感じが近いでしょう。

23人の集団に同じ誕生日の組が1つ以上ある確率は約50.7%である[1][3]。これが誕生日問題だ。

「特定の1人と同じ誕生日の人が、他のn人の中にいる確率」は別の問題で、n=23のとき約6.1%にとどまる[1]。この差は、比べる組の数で説明できる。特定の1人との比較は23通りだが、全員から2人を選ぶ組合せは 23×22÷2=253通りあり、比較の数が10倍以上になる[1]。

誕生日問題の起源は、二次資料の記述では、ハロルド・ダヴェンポートが1927年ごろに考えたとされるが、出版はされなかった。出版された最初の形は、リヒャルト・フォン・ミーゼスの1939年の論文だとされる[1]。

2. どうやって 見こみを 出すの?

2. 「ちがう確率」を掛け算してから引く

2. 計算の組み立て ── 余事象と積

コツは、「ぜんぶ ちがう」見こみを 先に 出す ことです。

1人目は、どの 日でも だいじょうぶです。2人目が 1人目と ちがう 日に なる 見こみは、365日の うち 364日なので、364/365です。3人目は 363/365です。こうして 23人ぶんを かけあわせると、「ぜんぶ ちがう」見こみは 約やく49.3%に なります。

ぜんぶ ちがわない、つまり 同じ 2人が いる 見こみは、100%から 49.3%を ひいて、50.7%です[3]。

人数を ふやすと、見こみは どんどん 大きく なります。

人数同じ 誕生日たんじょうびの 2人が いる 見こみ
10人約やく 11.7%
20人約やく 41.1%
23人約やく 50.7%
30人約やく 70.6%
50人約やく 97.0%
70人約やく 99.9%

30人の クラスなら 10回に 7回ぐらい、50人 いれば ほとんど かならず、同じ 日の 2人が います[1]。

計算のコツは、「全員がちがう」確率を先に出して、1から引くことです。

1人目はどの日でもかまいません。2人目が1人目と別の日になる確率は364/365、3人目が前の2人と別の日になる確率は363/365です。これを23人ぶん掛け合わせると、全員の誕生日がちがう確率は約49.3%になります。

よって、同じ誕生日の組が少なくとも1つある確率は、1-0.493=約50.7%です[3]。「少なくとも1つ」を直接数えるのは大変なので、反対側(全員ちがう)を計算して引くのが近道です。

人数を増やすと、確率は急に上がります。

人数同じ誕生日の組がある確率
10人約11.7%
20人約41.1%
23人約50.7%
30人約70.6%
50人約97.0%
70人約99.9%

30人のクラスなら約7割、50人いればほぼ確実に、同じ誕生日の組があることになります[1]。

「少なくとも1組が一致する」確率を直接数えるのは面倒なので、余事象(全員がちがう)の確率を求めて1から引く。1年を365日で、どの日に生まれる確率も等しく、人どうしは独立と仮定する。

n人の誕生日がすべてちがう確率は、P(n) = (365/365)×(364/365)×…×((365-n+1)/365)。n=23では約0.4927なので、一致する組が1つ以上ある確率は 1-0.4927=約0.5073、つまり50.7%になる[3]。n=22では約47.6%で、50%を超える最小の人数が23人である(自分で計算して確かめた)。

人数 n1組以上が一致する確率
10約11.7%
20約41.1%
23約50.7%
30約70.6%
50約97.0%
70約99.9%

この値は出典[1]の表と一致する[1]。人数に対して確率が急に上がるのは、組の数が n(n-1)/2 と、人数の2乗に近い増え方をするためだ。

3. 「自分と 同じ」は、どれぐらい いれば 半分?

3. 自分と同じ人を半分の確率で見つけるには

3. 特定の1人との一致は、253人が目安

では、「自分と 同じ 誕生日たんじょうびの 人」が いる 見こみが 半分に なるには、自分の ほかに 何人 いれば いいのでしょう。

こたえは、253人です。1年の 日数(365)の、3分の 2ぐらいです[1]。

23人で 「だれかと だれか」が 半分です。253人で 「自分と だれか」が 半分です。同じ 半分でも、ひつような 人数は 10倍より 多く ちがいます。

では、「自分と同じ誕生日の人」がいる確率が半分を超えるには、自分以外に何人いれば、確率が半分を超えるでしょうか。

答えは、自分以外の253人です[1]。1年の日数365のおよそ3分の2です。

23人で「だれかとだれか」が半分、253人で「自分とだれか」が半分。同じ半分でも、必要な人数は10倍以上ちがいます。

特定の1人と同じ誕生日の人が他にいる確率は、自分以外のn人について 1-(364/365)^n で表せる。これが50%を超える最小のnは253である[1]。n=252では約49.9%、n=253では約50.05%になる(自分で計算して確かめた)。

「だれかとだれか」の問題は23人、「特定の1人と」の問題は253人。同じ50%の基準でも、必要な人数は10倍以上ちがう。誕生日問題が直感に反するのは、後者の感覚のまま前者を判断してしまうからだと考えられる。

4. ほんとうに 半分なの? サッカーの せんしゅで たしかめる

4. 実際のデータでも半分ぐらいになるのか ── サッカーW杯の名簿

4. 2014年W杯の名簿で確かめる ── 計算の前提と限界

計算では そう なっても、ほんとうの 世界でも そう でしょうか。ためしやすい れいが、サッカーの ワールドカップです。1チームの 選手せんしゅは 23人です。2014年の 大会には、32チームが 出ました。

もし 計算どおりなら、32チームの うち 半分ぐらいの チームに、同じ 誕生日たんじょうびの 選手せんしゅが いるはずです。

BBCの しらべと して しょうかいされた けっかでは、16チームに いました。ちょうど 半分です。さらに、そのうちの 5チームには、同じ 日の 2人の くみが 2つ ありました[1]。

この れいは、あくまで 1つの 大会の けっかです。それでも、計算と よく あっていました。

計算どおりの結果は、実際の集団でも出るのでしょうか。試しやすい例が、サッカーのワールドカップです。1チームの登録選手は23人で、2014年の大会には32チームが出ました。

計算どおりなら、32チームのうち半分ほど、つまり16チームくらいで、同じ誕生日の選手がいるはずです。

BBCの調べとして紹介されている結果では、16チームに同じ誕生日の選手がいました。そのうち5チームには、同じ誕生日の組が2つありました[1]。

これは1つの大会の結果で、偶然の幅もあります。それでも、計算のとおりに近い結果です。

ところで、この計算には単純化があります。うるう年の2月29日、双子、月による生まれる数のちがいは、計算に入れていません[1]。月によって生まれる子の数にかたよりがあると、同じ日が重なりやすくなり、確率は上がる方向に動きます。ただし、現実のかたよりは、必要な人数を23人から変えるほど大きくはないとされています[1]。

誕生日問題の検証に使いやすいのが、サッカーW杯の名簿だ。登録選手は1チーム23人で、2014年大会の出場は32チーム。BBCの調べでは、16チームに同じ誕生日の選手がおり、うち5チームには同じ誕生日の組が2つあったと、出典[1]は紹介している[1]。期待値は約16チームなので、よく合っている。1大会だけの結果なので、偶然の幅は残る。

計算には単純化が入っている。うるう年(2月29日)、双子、選択バイアス、出生数の季節・曜日変動は、一般に無視される[1]。誕生日が均等に分布するとき、一致の確率は最も低くなり、かたよりがあれば確率は上がる。実際の出生数のかたよりは、必要な人数が23人であることを変えるほど大きくはないとされる[1]。

5. コンピューターの せかいでも 同じ はなし

5. 同じ考え方が、暗号の安全にも関わる

5. ハッシュの衝突はなぜ早く起きるか ── 誕生日攻撃への応用

この かんがえ方は、コンピューターでも つかわれます。コンピューターは、ながい データを、みじかい 「しるし」に かえる ことが あります。べつの データなのに、同じ しるしに なると こまります。

しるしが 365しゅるいだけなら、23こ つくった ところで、同じ しるしが 出る 見こみは 半分です。しるしの しゅるいが ずっと 多くても、思ったより 早く 同じ ものが 出て しまいます[2]。

この しくみを つかった こうげきを 「誕生日たんじょうびこうげき」と いいます[2]。つくる 人は、これを ふせぐ ために、しるしの ながさを 長めに します。

この考え方は、コンピューターの安全にも関わります。コンピューターは、長いデータを短い「しるし」(ハッシュ値)に変えることがあります。別のデータなのに同じしるしになる(衝突)と困ります。

しるしの種類が365通りだけなら、23個つくった時点で、衝突が起きる確率が約半分になる計算です。しるしの種類がずっと多くても、人数が少ないうちに同じものが出る、という性質は変わりません[2]。

この性質を使う攻撃を「誕生日攻撃」と呼びます。長さ l ビットのしるしなら、約2の(l÷2)乗回の試行で衝突が約50%の確率で起きます。64ビットなら、約50億回(Wikipediaの記述)です[2]。しるしを長くするのは、このためです。

誕生日問題は、ハッシュ関数の衝突の見積もりに使われる。l ビットのハッシュ値が一様にばらつくとすると、衝突が約50%の確率で見つかるまでの試行回数は約 2^(l/2) 回になる。同じ入力を探す原像計算の約 2^(l-1) 回よりはるかに少ない[2]。たとえば64ビットなら約50億回で、数が選べる範囲の平方根程度で衝突が現れる。人数が、選べる値の数よりずっと少ないうちに衝突が現れる点は、誕生日問題と同じ形だ。

この性質を使って衝突を探す攻撃を誕生日攻撃という。電子署名に影響しうるが、暗号を総当たりより速く破るものではない[2]。ハッシュ値の長さが、衝突に対する安全性の目安として「半分」に数えられるのは、このためである。

6. じぶんでも しらべて みたく なったら

6. 自分でも調べてみたくなったら

6. 自分でも調べてみたくなったら

クラスや クラブの 名ぼで、同じ 誕生日たんじょうびの 2人が いるか、さがして みましょう。30人 ぐらい なら、たくさんの クラスを しらべると、10この うち 7こぐらいに、同じ 日の 組が あるはずです。いない クラスも あります。

まわりの 人の 誕生日たんじょうびは、本人に 聞いて からに しましょう。本や 年表に のっている 有名な 人たちの 誕生日たんじょうびでも ためせます。

クラスや部活の名簿で、同じ誕生日の組を探してみましょう。30人くらいなら、たくさんのクラスを調べたときの目安として、約7割のクラスに同じ誕生日の組があるはずです。ないクラスもあるので、複数のクラスで集計すると、確率との差を比べられます。

誕生日は個人の情報なので、本人に聞いてから使いましょう。歴史上の人物の一覧や、スポーツチームの公開名簿でも試せます。

公開された名簿(スポーツの代表チーム、国会議員の名簿など)で、同じ誕生日の組の数を数えて、人数から計算した期待値と比べてみるとよい。組の数の期待値は、n人なら n(n-1)/2 × 1/365 で近似できる(23人で約0.69組)。

表計算ソフトの乱数で、n人ぶんの誕生日を何千回も作って一致の割合を見る方法もある。出典[3]は、計算の組み立てを詳しく書いている。前提を変えると、どう答えが動くかも試せる。

しらべた ところ

参考にした情報源

参考にした情報源

出典について:[1][2]はウィキペディアで、数値の表、253組、W杯の名簿の例、前提の説明、誕生日攻撃の説明に使いました。[3]は大学の授業ページで、計算の道すじの確認に使いました。人数ごとの確率の値は、自分でも計算して確かめました。W杯の名簿の結果(BBCの調べ)と誕生日問題の起源は、元の資料を直接は読めず、ウィキペディアの紹介に頼っています。

  1. Wikipedia, "Birthday problem"。 https://en.wikipedia.org/wiki/Birthday_problem (確率の表、253組、特定の1人との一致は約6.1%と253人、起源、W杯2014の名簿、前提の単純化)
  2. Wikipedia, "Birthday attack"。 https://en.wikipedia.org/wiki/Birthday_attack (ハッシュの衝突、約2^(l/2)回、64ビットは約50億回)
  3. Utah State University, 授業ページ "The Birthday Problem" (Explanation of the Mathematics)。 https://5010.mathed.usu.edu/Fall2023/RDayton/ExplanationoftheMathematics.html (23人で0.5073、「全員ちがう」を引く計算)

なおした ところ

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