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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

こくばんは、どうして みどりいろ なの?

黒板はなぜ緑色なのか ── 墨で塗った板から、光らせない板へ

黒板の緑色と光沢・拭き跡 ── 墨塗りの板から、学校環境衛生基準の色彩・光沢の考え方まで

分野:技術

こくばんは、むかし ほんとうに くろい いたでした。すみを ぬった いたが、はじまりだったのです。

それなのに、いまの こくばんは みどりいろ です。どうして かわったのでしょう。すわる ばしょに よって ひかって みえたり、ぬれた ぞうきんで ふくと しろい あとが のこったりするのは、なぜでしょう。この きじを よむと、みどりの ひみつと、ひからない くふうと、しろい あとの わけが わかります。

明治のはじめ、日本の学校に入ってきたころの国産の黒板は、木の板に墨を塗った、本当に黒い板だったようです[1]。

それなのに、今の教室の黒板は緑です。なぜ変わったのでしょうか。席によって光って読みにくいのはなぜか、水拭きのあとに白い跡が残るのはなぜか。この記事を読むと、黒板面の色の条件と、光らせないための工夫と、白い跡の原因が分かります。緑になった当時の議論を示す一次資料は確認できていないので、理由は資料の説明として紹介します。

黒板は、明治初期に日本へ持ちこまれたころ、墨汁を塗った文字どおり黒い板だった[1]。現在の教室の黒板は緑色が主流で、色と光沢は日本産業規格(JIS S 6007)と学校環境衛生基準の検査項目に関わっている[3][6]。

では、なぜ黒から緑になったのか。席の位置で光って読みにくくなるのはなぜか。水拭きのあとの白い跡は何か。この記事を読むと、黒板面の色彩に関する条件、光沢を抑える表面の考え方、拭き跡の原因が、メーカー・業界団体・自治体の資料の範囲で分かる。ただし、緑になった理由の一次資料(規格制定時の議論)は確認できておらず、本文の理由は二次資料の説明にとどまる。

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1. くろいた なのに、みどり?

1. 「黒板」なのに緑色? ── 名前だけが残ったのか

1. 名前と色のずれ ── 墨で塗った板と現在の緑色

こくばんの ことを、「くろい いた」と いいます。でも、きょうしつの こくばんは みどりいろですね。

むかしの こくばんは、きの いたに すみを ぬって、うえから かきしぶや うるしを ぬったものだった そうです[1]。ほんとうに くろかったのです。なまえは そのまま のこりました。

では、いつ みどりに なったのでしょう。

教室の黒板は、たいてい深い緑色をしています。でも名前は「黒板」のままです。

黒板は1872年(明治5年)ごろ、アメリカから来た教師によって、大学南校(東京大学の前身)に持ちこまれたと紹介されています。そのあとの国産の黒板は、木の板に墨汁を塗り、柿渋や漆で上塗りした、本当に黒い板でした[1]。名前は、その黒さから来ているのでしょう。

では、緑はいつ、どうして広まったのでしょうか。

現在の教室の黒板は緑色が主流だが、名称は「黒板」のままである。この名称は、明治初期の実物が黒かったことに由来すると考えるのが自然だ。1872年(明治5年)ごろにアメリカから大学南校(東京大学の前身)へ入った黒板[1]に続き、国産初期のものは、木の板に墨汁を塗って柿渋や漆で上塗りしたものだったと紹介されている[1]。

では、いつから緑になったのか。まず、この年代をめぐる資料の食い違いを確かめる。

2. いつ、みどりに なったの?

2. 緑になった年は、資料によってずれている

2. 緑化の時期 ── 1933年説と1954年のJIS

みどりの こくばんが いつ うまれたかは、しりょうに よって すこし ちがいます。

「1954ねんに、きまりが できたころに かわった」と いう せつが あります[1]。いっぽう、1933ねんに、こうべの がっこうの あたらしい たてものの ために、うるしを ぬった みどりの こくばんが とくべつに つくられた、という きろくも あります[2]。

みどりが ぜんこくに ひろがったのは、せんごだと せつめいする しりょうも あります。だから「1954ねんに はじめて みどりに なった」とは、いえません。

黒から緑への変化について、資料には食い違いがあります。

一つの説明では、緑に変わったのは1954年(昭和29年)の日本工業規格(JIS)の制定のころとされます[1]。一方、Wikipediaには、1933年(昭和8年)に神戸女学院の新築にあわせて、漆を塗った緑色の黒板が特注された、という記述があります。緑が全国に広まったのは戦後で、1954年のJISは塗面を「黒または緑色」と規定した、とも書かれています[2]。

ここから、「1954年に初めて緑になった」とは言い切れません。1954年は、緑が規格に位置づけられ、広まっていく一つの節目だったようです。

なお、JIS S 6007は1954年7月20日に制定され、2010年に改正された黒板の規格で、原案は全国黒板工業連盟が作りました[3]。

緑化の時期は、資料によって書き方が異なる。二次資料の一つは、緑への変化を1954年(昭和29年)のJIS制定のころとする[1]。ところがWikipediaは、1933年(昭和8年)に神戸女学院の新築に伴って漆塗りの緑色の黒板が特注品として作られ、緑が全国に広がったのは戦後で、1954年のJISが塗面を「黒または緑色」と規定した、と記す[2]。ほかにも、年をずらして書く説明があり、どれも二次資料である。そのため、「1954年に初めて緑になった」と断定はできない。

JIS S 6007「黒板」自体は、1954年(昭和29年)7月20日制定、2010年(平成22年)11月22日改正で、原案作成者は全国黒板工業連盟と記されている[3]。規格が緑を認めたことで、緑の普及に弾みがついた可能性はある。

では、なぜ緑という色が選ばれたのか。

3. なぜ みどり なの?

3. 緑は「暗くて鈍い色」── 資料の説明

3. 黒板面の色の条件 ── 明度・彩度の上限と、白チョークとの明暗差

こくばんの メーカーは、こう せつめいして います。くらめで、あざやかさの すくない いろの ほうが、もじが よみやすい。しろい チョークとの あかるさの ちがいが おおきい ほど、めも つかれにくい、と[4]。

「みどりは めに やさしいから」とも よく いわれます。ただ、だいじなのは「みどり」と いうより「くらくて にぶい いろ」だと いう ことのようです。がっこうの えいせいの きまりでも、みどりなど いろの ついた こくばんには、あかるさと あざやかさの じょうげんが あります[6]。

黒板メーカーの説明は具体的です。暗めで鮮やかさの少ない色のほうが文字を読み取りやすく、チョークの色との明るさの差が大きいほど目も疲れない、といいます[4]。

「緑は目にやさしいから」という説明も、よく聞きます。テレビ局のニュースでも、緑は目にやさしい色で、白いチョークと組み合わせると黒より文字がはっきり見える、と紹介されています[5]。つまり大事なのは、緑という色そのものより、「暗くて鈍い色」であることのようです。

学校の検査にも、その考え方が出てきます。学校環境衛生基準に基づく検査票(岐阜県が掲載)では、黒板面が無彩色なら明度3を超えないこと、緑などの有彩色なら明度と彩度がどちらも4を超えないこと、と決められています。緑を指定しているわけではなく、有彩色の黒板面の明るさと鮮やかさに上限がある、ということです。明度は、物の表面が光をどれだけ反射するかを0から10の段階で表したものです[6]。

黒板メーカーは、暗めで鮮やかさの少ない色が文字を読み取りやすく、チョークとの明るさの差が大きいほど目が疲れにくい、とする[4]。緑が使われる理由として最もよく挙がる「目への負担の小ささ」も、報道では、緑は目に優しい色で、白いチョークと組み合わせると黒より文字が鮮明に見える、と説明される[5]。これらから、重要なのは色相としての緑より、明度が低く彩度も低いという条件にあると読める。

この条件は数値でも示されている。岐阜県掲載の学校環境衛生の検査票(令和7年4月改訂)は、黒板面が無彩色なら明度が3を超えないこと、有彩色なら明度・彩度がともに4を超えないことと定め、明度を「物体表面の反射率が他のものに比べて多いか少ないか」を0〜10の段階に区分したものと説明する[6]。この検査票が定めるのは有彩色の黒板面の明度・彩度の上限であり、緑そのものを指定してはいない。

なお「目に優しい」は二次資料の説明である。

暗く鈍い色にしても、席によっては黒板が光って読めなくなる。次は、その光の正体を見る。

4. ひかる こくばんは、どうして おこるの?

4. 席によって光って読めない ── 光らせない工夫の資料

4. 光沢とグレア ── ざらつきと照明の位置(資料の説明)

せきに よっては、こくばんが ぴかっと ひかって、もじが よめない ことが あります。まどの あかりが、うつるからです。

こくばんを つくる 人たちの だんたいは「ひからない ことが みやすい こくばんの じょうけんだ」と いって います[7]。そこで、こくばんの ひょうめんは、わざと すこし ざらざら して います。

ざらざらは、ひかりを いろいろな ほうこうに ちらして、ぴかっと するのを おさえます。かきやすく する ためにも、ちょうどよい ざらざらが いるのだ そうです[7]。

黒板が光る現象は、窓や照明の光が板の面で反射して目に入ることで起こると考えられます。こうなると、その部分の文字が読みにくくなります。以下は、光沢を防ぐ工夫と照明の設計についての資料の説明です。

全国黒板工業連盟は、見やすい黒板の条件を、書かれた文字がくっきり浮かび上がり、光らないことだと説明します。適度な粗さは光沢を防ぐためだけでなく、書きやすさのためにも必要です[7]。ホーロー黒板では、ガラス皮膜の表面の適度なザラツキで、チョークの書き味と消しやすさを実現している、とメーカーが説明します[8]。

規格にも、光沢の測定があります。JIS S 6007は、黒板面の性能として色彩と光沢度の試験を定めています[3]。

照明の側にも工夫があります。メーカーの製品ページには、黒板面の照度の目安として500ルクスが挙がっています(基準の原文とは照合していません)。黒板用の照明は、生徒の目線から光源が見えないよう遮光角(例:60度)をとって、まぶしさを防ぐように作られます。窓や照明の映りこみがないかは、点検項目にもなっています[9]。

見る位置によって黒板が光る現象は、窓や照明からの光が板面で鏡のように反射する(鏡面反射が強い)ときに起こると考えられる。以下は、光沢を防ぐ設計と照明設計についての資料の整理である。

全国黒板工業連盟は、見やすい黒板の条件を「書かれた文字をくっきり浮かび上がらせ、光らないこと」とし、見やすさには目を疲れさせない・不快感を与えないことも含むと述べる。適度な粗さは光沢を防ぐためだけでなく、書きやすさのためにも必要とされる[7]。ホーロー黒板でも、ガラス皮膜表面の適度なザラツキが、書き味と消去性の両方に関わるとメーカーは説明する[8]。つまり、表面のざらつきは、光の反射を抑えることと、チョークが引っかかって字が書けることを兼ねていると読める。

規格側では、JIS S 6007が黒板面の性能として「色彩」と「光沢度」の試験(鏡面光沢度の測定はJIS Z 8741)を定める[3]。

照明の側では、製品ページに黒板面500ルクスという照度の目安が挙がり、黒板灯は学習者の視点から光源が見えないよう遮光角(例:60度)をとる設計が示されている[9]。これは製品ページの記述で、照度の基準の原文とは照合していない。窓や照明の映りこみの有無も点検項目とされる[9]。

板の側でも照明の側でも、光らせない工夫がされているのに、拭いたあとには別の見え方が待っている。

5. ふくと、どうして しろく のこるの?

5. ぬれ雑巾のあとの白い跡 ── 資料の説明

5. 水拭きの拭き跡 ── 水とチョーク粉の固着(資料の説明)

ぬれた ぞうきんで ふいたら、しろい あとが のこった。そんな ことは ありませんか。

チョークの こなは、おもに、たんさん カルシウムか、せっこうと おなじ カルシウムの なかまで できて います[10]。この こなが みずと まざって、いたに くっついて しまうのが、しろい あとの もとだと、メーカーは せつめいして います[11]。

だから、みずが おおいと のこりやすく なります。

チョークの主成分は、炭酸カルシウムか、石膏と同じ種類の硫酸カルシウムです。書き味が違い、市販のダストレスチョークは炭酸カルシウムが主成分です[10]。

札幌教材製作所は、水拭きで白い跡が残る原因を、水とチョークの粉が混ざって板面にこびりつくことと説明し、水気が多いと跡が残りやすいとしています[11]。ここでは、化学反応で白くなるとは書かれておらず、粉が水と一緒に固着する現象として説明されています。

予防の手順も同じです。①まず黒板消しで粉を落とす。②固く絞った布で水拭きする。③乾拭きする[11]。黒板メーカーのいわま黒板製作所も、黒板は水拭きしても問題ないとして、同じ手順を挙げています[12]。

ただし、研ぎ出し黒板と木製黒板は、水拭きすると塗料がはがれるおそれがあり、避けるように書かれています。洗剤やシンナーも使いません[12]。KSB瀬戸内海放送の紹介でも、マイクロファイバーで水拭きしたあと乾拭きする方法が挙げられています[5]。

水拭きのあとに白い跡が残る現象について、札幌教材製作所は、水と混ざったチョークが板面にこびりつき、かえって汚れが広がる原因になると説明する。水気が多いほど跡が残りやすい[11]。チョークの主成分は炭酸カルシウム、または硫酸カルシウム(石膏)で、書き味が異なる。市販のダストレスチョークは炭酸カルシウムが主成分である[10]。

ここで注意したいのは、資料は化学反応ではなく、水と粉の固着(水あか的な汚れ)として説明している点である。

手入れの手順は、複数の資料で一致する。黒板消しで粉を落とし、固く絞った布で水拭きし、乾拭きする[11][12]。いわま黒板製作所は、黒板は水拭きしても問題ないとするが、研ぎ出し黒板と木製黒板は塗料がはがれるおそれがあるため避けること、洗剤やシンナーは使わないことを添える[12]。KSBの紹介でも、マイクロファイバーで水拭きしたあと乾拭きする方法が挙がる[5]。粉を先に落とすのは、水に混ざる粉の量を減らすためと読める。

6. じぶんでも しらべて みよう

6. 自分でも調べてみたくなったら

6. 自分でも調べてみたくなったら

まず、きょうしつで こくばんを 見て みましょう。せきを かえると、ひかって 見える ところが あるか、あるとしたら まどの あかりの どこなのか、しらべて みます。

つぎに、こくばんの すみを 見て みます。いろは くらいでしょうか。にぶいでしょうか。しろい チョークで かいた もじは、はっきり 見えますか。

ぞうきんで ふく ときは、かならず せんせいに きいて からに しましょう。こくばんに よって、みずで ふいては いけない ものも あります[12]。

今日できること:教室で、座る場所を変えて黒板を見て、光って読みにくくなる場所と、窓や照明の位置を調べます。

もう一つ、黒板の緑をよく見てみます。暗くて鈍い色でしょうか。白いチョークで書いた文字と、黒いチョークや色チョークとで、見え方はどう違うでしょうか。

水拭きは、必ず先生に確かめてから行います。黒板の種類によっては、水拭きを避けたほうがよいものもあります[12]。

調べる手がかり:全国黒板工業連盟の解説[7]と、JIS S 6007の規格票[3]があります。規格票は図書館や先生に相談すると探しやすいです。

教室で、座席を変えながら黒板を観察するとよい。反射して見えにくい位置と、窓・照明の位置を対応づけると、遮光角の考え方[9]が実感できる。水拭きを試すときは、必ず教員の許可を得る(黒板の種類によっては水拭きが適さない[12])。

確かめてみたいことは二つ残っている。①緑が規格に入った経緯(JIS S 6007の制定時の資料)、②光沢度の具体値(規格本文)である。手がかりは、日本規格協会のJIS S 6007と、全国黒板工業連盟の解説[7]である。規格票を探すときは、学校の先生や図書館に相談するとよい。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

同じ内容を扱う複数の資料を突き合わせて書いています。緑になった理由については、規格をつくった当時の議論を示す一次資料は確認できていません。

  1. 黒板の日(記念日)/黒板の来歴の紹介 https://www.bestcalendar.jp/dates/kinenbi/2266 (日本への黒板の導入、国産初期の黒板)
  2. 黒板(Wikipedia) https://ja.wikipedia.org/wiki/黒板 (緑色黒板の記述。二次資料)
  3. JIS S 6007:2010 黒板(日本規格協会) https://webdesk.jsa.or.jp/books/W11M0090/index/?bunsyo_id=JIS+S+6007%3A2010 (制定・改正年、色彩と光沢度の試験項目)
  4. 馬印 黒板の話 https://www.uma-jirushi.co.jp/story (色と目の疲れやすさについてのメーカーの説明)
  5. KSB瀬戸内海放送 ニュース https://news.ksb.co.jp/article/16877891 (緑色の紹介、水拭きと乾拭き)
  6. 岐阜県 学校環境衛生 第8票 黒板面の色彩 検査票 https://www.pref.gifu.lg.jp/uploaded/attachment/442791.pdf (黒板面の明度・彩度の基準)
  7. 全国黒板工業連盟 黒板について https://www.kokuban.or.jp/kokuban/ (光らない条件、表面の粗さ)
  8. 日学 アルミホーロー黒板の特長 https://www.nichigaku.co.jp/pages/alumihoro.html (表面のザラツキと書き味・消去性)
  9. パナソニック 黒板灯 https://www2.panasonic.biz/jp/lighting/facilities/baselight/id/blackboard.html (黒板面の照度、遮光角。製品ページ)
  10. 伊那北高校 課題研究「チョークの成分と書き味について」 https://www.nagano-c.ed.jp/ina/B_educationalinfo/2019/kadaikenkyu/R1kagaku1.pdf (チョークの主成分)
  11. 札幌教材製作所 黒板の水拭きの解説 https://s-kyozai.co.jp/post-9100/ (白い跡の原因と手入れの手順)
  12. いわま黒板製作所 お手入れコラム https://www.iwamakokuban.co.jp/news/column/entry-308.html (水拭きの注意点)

なおした ところ

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