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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

こうきあつが ずっと うごかないと、どう なるの?

高気圧が居座る「ブロッキング」── 2010年のロシアの猛暑と、2022年7月の日本の大雨(6月の暑さは別の高気圧)

ブロッキング高気圧は何をもたらすか ── 2010年ロシアの熱波と、2022年日本の大雨

分野:自然

2022年の 夏、日本は きろくに のこる あつさと、きろくに のこる 大雨を どちらも けいけん しました。ところが、あつさを つくった こうきあつは、「うごかない こうきあつ」とは べつの ものだったと されています。

大雨の ほうに、日本の 北で 長く とどまった こうきあつが かかわったと 考えられています。その こうきあつの 南がわで、つめたい 空気を ともなう 谷が 日本の 上空に のこり、大雨の わけの 一つに なりました。どうして こうきあつは うごかなく なるのでしょう。あつさと 大雨は 何が ちがったのかが、分かります。

2022年の夏、日本は記録的な暑さと記録的な大雨の両方を経験しました。ところが、暑さをつくった高気圧は、居座る高気圧であるブロッキングとは別の型だったとされています。ブロッキングが関わったと考えられているのは、7月の大雨のほうです。日本の北に居座った高気圧の南側で、寒気を伴う谷が上空に続き、大雨の一因になりました。

そもそも、動くはずの高気圧が、なぜ何週間も同じ場所にとどまるのでしょうか。2010年のロシアの例も交えて、暑さと雨の分かれ目が分かります。

2022年の日本では、6月下旬から7月初めの記録的高温と、7月中旬までの各地の大雨が続いた。気象庁の異常気象分析検討会は、高温の主因を、ブロッキングとは別の型の高気圧の強まりとした。ブロッキング高気圧が関わったと考えられているのは、7月の大雨のほうである。日本の北方に居座った高気圧の南側で、寒気を伴う気圧の谷が日本付近の上空に持続し、大雨の一因となった[3]。

では、本来は動く高気圧が居座るのは、どういう条件のときか。2010年のロシアの熱波、2022年の日本、2018年の7月を並べ、猛暑とブロッキングを同じものとして扱えない理由と、原因や予測にまだ残る不確かさが分かる。

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1. 天気が 何週間も かわらない ことが ある

1. 天気が何週間も変わらないことがある

1. ブロッキングの定義 ── 地上の高気圧が停滞する現象

天気は ふつう、毎日 すこしずつ かわって いきます。ところが ときどき、同じ ような 天気が、何週間も つづく ことが あります。

その もとに なる ものの 1つが、「ブロッキング」です。ブロッキングは、上空の 風の うねりで、地上の こうきあつが 長く 同じ 場所に いる ことが ある できごとです。空の 高い ところで ふく 偏西風へんせいふうが、みなみ きたに 大きく うねります。すると、地上の 大きな こうきあつが、その 場所に とどまって しまう ことが あります[1]。

同じ 天気が 長く つづくと、あつさや 雨が かたよって、ふだんと ちがう 天気に なる ことが 多い と いわれます[1]。

天気予報では、高気圧や低気圧が少しずつ移っていくのがふつうです。ところが、ときどき、同じような空模様が何週間も続くことがあります。その原因の1つが、ブロッキングです。

気象庁の資料によると、中緯度や高緯度の上空を吹くジェット気流(偏西風)が南北に大きく蛇行すると、地上では大規模な高気圧が停滞することがあります。これが起こると、同じような気象状態が長く続き、異常気象をもたらすことが多いとされます[1]。

この記事の「ブロッキング」は、この居座る高気圧のことです。では、動くはずの高気圧は、なぜ止まるのでしょうか。

気象庁の気象白書は、ブロッキングをおおよそ次のように説明する。中・高緯度の上層のジェット気流(偏西風)が南北に大きく蛇行するとき、地上では大規模な高気圧が停滞することがある。こうなると同じような気象状態が長期間続き、異常気象をもたらすことが多い[1]。

つまり、ブロッキングは地上の高気圧そのものの名前ではなく、上空の流れの大きな蛇行と、地上の停滞した高気圧がセットになった状態を指す。「居座る」の中身は上空にある、という点が出発点になる。

定義や持続日数の目安は資料によって幅がある。このメモでは、期間を「長期間」「数週間にもなる」程度にとどめ、日数で線引きしない。では、動くはずの高気圧が居座るのは、どういう力の釣り合いによるのか。

2. うごく はずの こうきあつが、どうして とまるの?

2. 動くはずの高気圧が、なぜ止まるのか

2. 偏西風が高気圧の移動を押しとどめる ── 停滞のしくみ

東京大学の 研究室の せつめいでは、こうきあつや ていきあつは、西へ うごこうと します。ところが、空の 高い ところの 風が、それを おしもどそうと します。そのため、こうきあつが 同じ 場所に いつづける ことが あります[2]。

川で たとえて みましょう。川の ながれに さからって およぐ 人が、ながれと 同じ はやさで すすむと、きしから 見て 同じ 場所に とどまって 見えます。

ただし これは たとえです。こうきあつは およぐ わけでは ありません。「うごこうとする 力」と「おしもどす 力」が つりあうと、止まって 見える、というイメージです。

進もうとする力と、押しもどす力

東京大学の研究室の説明によると、高気圧や低気圧は西へ動こうとします。それに対して、上空の偏西風が押しとどめようとします。その結果、高気圧や低気圧がその場所にとどまり続けることがあります[2]。

川にたとえると、流れにさからって泳ぐ人が、流れと同じ速さで進むと、岸から見て同じ場所にいるように見えます。ただし、高気圧は自分で泳ぐわけではありません。2つの動きが釣り合うと止まって見える、というイメージだけを借りたものです。

止まると、予報もむずかしくなる

同じ研究室の説明では、ブロッキング高気圧は多様な異常気象をもたらすことが多く、その予測は長期予報にとって重要である一方、非常に困難だとされています[2]。

では、実際にどれほど長く居座ることがあるのでしょうか。

東京大学先端科学技術研究センターの中村研究室の説明では、高気圧・低気圧は西へ移動しようとするのに対し、上空の偏西風はそれを押しとどめようとする。両者の結果として、高・低気圧がその場所にとどまり続けることがある[2]。

川を逆らって泳ぐ人が流れと同じ速さで進めば、岸から見て位置が変わらない。この釣り合いのイメージは直感に合うが、あくまでたとえであり、実際の大気の動きをこれだけで説明するものではない。同じ説明は、ブロッキング高気圧が様々な異常気象をもたらすことが多く、長期予報で重要だが予測は非常に困難だとも述べる[2]。

居座りの理由が「押しとどめる力との釣り合い」なら、その釣り合いがいつ成り立ち、いつ崩れるかが、長期予報の難しさに直結する。実際に、どれほど長く居座った例があるのか。次に、記録に残る長い例を見る。

3. ロシアでは、1か月いじょう こうきあつが いすわった

3. 2010年のロシアでは、1か月以上も居座った

3. 2010年夏のロシアブロッキング ── 持続期間・強度とも観測最大級

2010年の 夏、東ヨーロッパと ロシアの 西の ほうで、ブロッキングが おきました。6月の おわりごろから 8月の なかばまで、ふつうでは ない あつさに なりました[5]。

この ブロッキングは、1か月いじょう つづきました。夏の ユーラシア大りくの 西の ほうで おきた ブロッキングの 中では、いちばん 長く、強さも 今までで いちばん 大きかったと ほうこくされて います[5]。

1か月いじょうは、夏休みが ほとんど 入る ほどの 長さです。それだけの 間、同じ ような 空が つづいたのです。

夏休みがほぼ入る長さ

京都大学防災研究所のワークショップで発表された研究によると、2010年6月下旬から8月中旬にかけて、東ヨーロッパからロシア西部を中心にブロッキングが発生し、異常な高温がもたらされました[5]。

1か月以上続いたこのブロッキングは、夏のユーラシア西部で発生したブロッキングの中で、持続期間が最も長く、強度も過去最大を記録したと報告されています[5]。1か月以上は、日本の夏休みがほぼ丸ごと入る長さです。

高気圧の真下は、暑さが居座る

この例では、居座った高気圧の下にある地域が、長期間の高温に見舞われました。ブロッキングの下では暑さが続きやすい、という典型的な姿です。ただし、これは一例です。日本の夏は、同じ型の話にはなりませんでした。

藤井ほかの報告(京都大学防災研究所ワークショップ、2012)は、2010年6月下旬から8月中旬に、東ヨーロッパ・ロシア西部を中心にブロッキングが発生し、異常高温をもたらしたとまとめる。1か月以上続いたこのブロッキングは、夏季のユーラシア西部で発生したものの中で持続期間が最も長く、強度も過去最大だった[5]。

夏の1か月は、日本の夏休みがほぼ入る長さだ。その間、同じ領域に高気圧が居座り続けたことで、その下の地域では高温の状態が長く続いた。ここで言えるのは「ブロッキングの下で熱波が長引いた」という一例であり、すべてのブロッキングが熱波になるという意味ではない。

では、日本の夏はどうだったのか。2022年の日本は、記録的な暑さと記録的な大雨が1か月もたたずに続いた。しかも、その暑さはブロッキングのしわざとは書かれていない。

4. 2022年6月の あつさは、べつの こうきあつの しわざ

4. 2022年6月の記録的な暑さは、別の高気圧のしわざ

4. 2022年6月下旬の記録的高温 ── ブロッキングではなく亜熱帯ジェットの北蛇行

2022年の 6月の おわりごろ、日本は きろくに のこる あつさに なりました。6月の 下じゅんの 気温は、東日本で ふだんの 年より 4.0度、西日本で 3.2度 高く、1946年から はじまった とうけいで 1ばんでした[3]。東京では、いちばん 高い 気温が 35度いじょうの 日が 9日 つづき、これも とうけい はじまって 1ばんでした[3]。

では、これも 「うごかない こうきあつ」の しわざでしょうか。気象庁きしょうちょうの しりょうでは、ちがいました。上空の 風が 日本の 近くで 北へ 大きく うねり、上空の こうきあつと、地上の 太平洋高気圧たいへいようこうきあつが、きろくに のこる ほど 強く なった ことが 主な げんいんと されました[3]。これは ブロッキングとは べつの タイプです。

「あつい 夏 = ブロッキング」とは かぎらない、という ことです。

東京で猛暑日が9日続いた

2022年6月下旬、日本は記録的な暑さになりました。気象庁の資料では、6月下旬の平均気温は、平年より東日本で4.0℃、西日本で3.2℃高く、ともに1946年の統計開始以降で1位でした[3]。東京では最高気温35℃以上の猛暑日が9日続き、これも統計開始以降で1位です[3]。

高気圧は2つ強まったが、ブロッキングではない

この暑さの主な原因として、気象庁の検討会は、上空の亜熱帯ジェット気流が日本付近で北に大きく蛇行したことをあげました。その結果、上空の高気圧と地上の太平洋高気圧がそろって記録的に強まったとされています[3]。

これは、ブロッキングとは別の型の高気圧の強まりです[3]。「猛暑なら必ずブロッキング」ではありません。では、この年の夏のブロッキングは、どこにいたのでしょうか。

気象庁の異常気象分析検討会(2022年8月22日)によると、2022年6月下旬の平均気温平年差は東日本で+4.0℃、西日本で+3.2℃で、ともに1946年の統計開始以降1位だった。東京では猛暑日(最高気温35℃以上)が9日連続し、これも統計開始以降1位となった[3]。平年差とは、平年値(過去の平均的な値)より何度高いか、を表す。

この高温の主因は、上層の亜熱帯ジェット気流が日本付近で北に大きく蛇行し、上層の高気圧と地上の太平洋高気圧がともに記録的に強まったことと整理されている。これはブロッキングとは別の型の高気圧の強まりだ[3]。居座る高気圧であれば何でもブロッキング、というわけではない。

ここから、猛暑とブロッキングを結びつけて書くときの限界が見える。ブロッキングは異常気象をもたらしうるが、猛暑の要因として必ず出てくる語ではない。では、ブロッキングが関わったと考えられているのは、2022年のどの現象なのか。

5. 7月は、日本の 北の こうきあつの となりで 大雨に

5. 7月、日本の北に居座った高気圧のとなりで起きたこと

5. 2022年7月の大雨 ── 北のブロッキングと、南の寒冷渦

ブロッキングが かかわったと 考えられて いるのは、7月の 大雨の ほうです。

7月の はじめに、日本の 北で ブロッキングが でき、7月の なかばまで つづきました。この こうきあつの 南がわ、つまり 日本の 上空には、つめたい 空気を ともなう 谷のような ところが 長く のこりました[3]。

上空に つめたい 空気が あると、空気が ふあんていに なります。そのため、あちこちで みじかい 時間に 大雨が ふる 一つの わけに なりました[3]。ほかにも わけは 考えられて います。ブロッキングが できて 長く つづくのにも、空の 高い ところの 風の 大きな うねりが 長く つづいた ことが かかわって いました[3]。

こうきあつの ちょうど 下は あつさ、その となりでは 雨。いすわった こうきあつは、場所によって ちがう 天気を つくる ことが あります。

北に高気圧、南の空に寒気

気象庁の検討会の資料では、2022年7月上旬に日本の北方で形成されたブロッキング高気圧が、中旬まで続きました。その南側にあたる日本付近の上空では、寒気を伴った気圧の谷(寒冷渦)が続きました[3]。

上空に寒気があると、大気の状態が不安定になります。これが、各地に短時間の記録的な大雨をもたらす一因になりました[3]。同じ資料は、7月中旬にかけての大雨の要因として、北方のブロッキング高気圧の持続と、亜熱帯ジェット気流が日本付近で南に蛇行して上層の寒気の影響を受けやすかったことが「考えられる」としています。さらに、ブロッキング高気圧の形成と持続には、寒帯前線ジェット気流の持続的で大きな蛇行が関係したとされます[3]。

場所しだいで、天気は変わる

ロシアでは高気圧の下で暑さが居座りました。2022年の日本では、ブロッキングは日本の北にあり、日本の上空は高気圧の南側で寒気を伴う谷が続いていました。居座る高気圧の下は暑く、そのとなりでは雨が降りやすい、という見方ができます。ただし、毎回そうなるという法則ではありません。

同じ検討会の資料によると、2022年7月上旬に日本の北方で形成されたブロッキング高気圧は、中旬まで持続した。その南側にあたる日本付近の上空では、寒気を伴う気圧の谷(寒冷渦)が持続した。その結果、大気の状態が不安定になり、各地に短時間の記録的な大雨をもたらす一因となった[3]。

要因の整理は「考えられる」という推定の表現でなされている。7月中旬にかけての大雨は、日本の北方でのブロッキング高気圧の持続と、亜熱帯ジェット気流が日本付近で南に蛇行して上層の寒気の影響を受けやすかったことが要因として考えられる、という書き方だ。さらに、ブロッキング高気圧の形成と持続には、寒帯前線ジェット気流の持続的で大きな蛇行が関係した[3]。

ロシア(2010年)と日本(2022年)は、地図の上では高気圧との位置関係がちがう。ロシアは高気圧のおおむね真下の暑さ、日本は高気圧の南側で寒気を伴う谷が続いた大雨という対比になる。居座った高気圧の下では暑く、そのとなりでは雨が降りやすい、と整理できるが、この対比は2つの例から引いた見取り図であり、すべてのブロッキングに当てはまる法則とは書かれていない。

6. 「うねりが 長く つづく」と、天気も 長く つづく

6. 蛇行が長く続くと、天気も長く続く ── 2018年と、残る謎

6. 蛇行の持続という共通点 ── 2018年7月と、原因・予測の不確かさ

2018年の 7月にも、大雨と あつさが ありました。この ときも、空の 高い ところの 風の 大きな うねりが、長く つづいた ことが えいきょうしたと 気象庁きしょうちょうは まとめています[4]。

ただし、2018年の しりょうには 「ブロッキング」という ことばは 書かれて いません。ですから 「うねりが 長く つづいた」と いう 言い方に とどめます。

では、なぜ うねりが 長く つづくのか。2010年の ロシアについては、海の 水温や ほっきょくの 氷が わけ というより、空気そのものの 動きで おきたと する 研究が あります[5]。まだ 研究の とちゅうで、これで ぜんぶが 分かった わけでは ありません。

2018年にも、蛇行の持続があった

気象庁は、2018年7月の豪雨と猛暑についても、上空の寒帯前線ジェット気流と亜熱帯ジェット気流の大きな蛇行が持続したことが影響したと発表しています[4]。猛暑のほうは、太平洋高気圧と、上空のチベット高気圧がともに日本付近に張り出し続けたことによるとされ、東日本の7月の月平均気温は1946年の統計開始以来1位でした[4]。

この発表には「ブロッキング」という語は出てきません。そのため、この記事でも2018年は「蛇行の持続」と書くにとどめます。

原因は、まだ研究の途中

なぜブロッキングが起きるのかは、まだ決着していません。2010年のロシアについて、海面水温・北極海氷・温室効果ガスといった外からの条件によって強制されたのではなく、大気の内部の力学によってロシア西部の高気圧や熱波の強さが駆動されていたことを示したモデル研究があります[5]。熱波に伴う干ばつが、熱波を強めた可能性も示されています[5]。

ラニーニャの年に起きる頻度が増えるという統計研究もあり、原因は一つに決まっていません[5]。「温暖化のせい」と一言で言えるかどうかは、この資料からは決められません。

気象庁の2018年8月10日の発表は、7月豪雨と猛暑について、上層の寒帯前線ジェット気流と亜熱帯ジェット気流の大きな蛇行の持続が影響したとする。猛暑は、太平洋高気圧と上層のチベット高気圧がともに日本付近に張り出し続けたためで、東日本の7月の月平均気温は1946年の統計開始以来1位だった[4]。ここにはブロッキングの語がないため、このメモでは「蛇行の持続」と書く。

2010年のロシアのブロッキングについて、藤井ほかは次の研究を紹介している。Dole et al.(2011)のモデル研究は、ロシア西部の高気圧偏差や熱波の強さが、海面水温・北極海氷・温室効果ガスの境界条件によって強制されたのではなく、大気の内部力学によって駆動されたことを示した。熱波に伴う干ばつが熱波を強めた可能性も示唆されている。ラニーニャ年に発生頻度が増えるとする統計研究もあり、原因は研究途上だ[5]。

以上を整理すると、確かなのは「上空の蛇行が長く続くと、同じ天気が長く続く」という大づかみの関係までで、なぜ蛇行が長く続くのかには、まだ決着がない。この事実から「温暖化で増える」「温暖化と無関係だ」のどちらも導けない。

7. うごかない こうきあつを、さがして みよう

7. 動かない高気圧を、天気図で探す

7. 居座る高気圧を探す ── 天気図の記録と、原典の資料

やってみよう。毎日、同じ 時間の 天気図を 見て、こうきあつの 場所を ノートに かきとめて みましょう。新聞や テレビの 天気よほう、気象庁きしょうちょうの ホームページなどで 見られます。

1しゅうかんほど きろくを つづけて、こうきあつが うつって いくのか、同じ 場所に とどまるのかを 見て みましょう。

ただし、これで 分かるのは、こうきあつが 動いたか どうかまでです。ブロッキングかどうかは、空の 高い ところの 風も 見て、くわしい 人が 決めます。

天気図の記録をつけると、居座る高気圧が見えてくることがあります。毎日同じ時刻の天気図を、新聞やテレビの天気予報、気象庁のホームページなどで見て、高気圧の中心の場所をノートに書きとめます。1週間ほど続けると、高気圧が移っていくのか、同じ場所にいるのかが分かります。

この記録で分かるのは、地上の高気圧が動いたかどうかまでです。それがブロッキングかどうかは、上空の流れも合わせて専門家が判断します。居座る高気圧に出会えるとは限りませんが、動いていく高気圧の姿をつかむだけでも、ブロッキングの異常さが実感できます。

原典を読むなら、気象庁の2022年8月22日付の報道発表(異常気象分析検討会)が日本語で公開されています。「考えられる」という言い回しが、どこで使われているかに注目すると、気象の専門家が「分かっていること」と「推定」をどう分けているかが見えます。

天気図の記録は、居座る高気圧を実感する手がかりになる。毎日同じ時刻の地上天気図(新聞・テレビ・気象庁のホームページなどで見られる)に高気圧の中心位置を記録し、1週間から2週間ほど続ける。移動しているか、ほぼ同じ場所にとどまっているかが分かる。

ただし、この記録だけでブロッキングとは判断できない。定義が上層のジェット気流の蛇行を含むためで、判断には上層の天気図が要る。地上の天気図は、あくまで入口である。

一次資料としては、気象庁の気象白書(第1部第1章第2節)、気象庁の異常気象分析検討会の2022年8月22日付報道発表、2018年8月10日付の報道発表、京都大学防災研究所ワークショップの藤井ほか報告がある。読むときは、「考えられる」「示唆される」などの推定の表現と、「となった」のような記録の表現を、線を引いて分けてみると、どこまでが確かな事実かが見える。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文で使った事実は、次の資料にもとづきます。

  1. 気象庁「気象白書 1-1-2」 https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/whitep/1-1-2.html (ブロッキングの定義)
  2. 東京大学先端科学技術研究センター 中村研究室「研究内容」 https://www.atmos.rcast.u-tokyo.ac.jp/nakamura_lab/research/research2.html (高気圧が居座る理由、予測の困難さ)
  3. 気象庁報道発表「異常気象分析検討会」令和4年8月22日 https://www.jma.go.jp/jma/press/2208/22b/kentoukai20220822.pdf (2022年6月下旬の高温、7月の大雨)
  4. 気象庁報道発表 平成30年8月10日 https://www.jma.go.jp/jma/press/1808/10c/h30goukouon20180810.html (2018年7月の豪雨と猛暑)
  5. 藤井ほか「2010年夏季のロシアブロッキングのメカニズムと予測可能性」京都大学防災研究所ワークショップ https://www.dpac.dpri.kyoto-u.ac.jp/workshop/2012/proceedings/fujii.pdf (2010年ロシアの例、原因の研究)

なおした ところ

更新履歴

更新履歴(改版の記録)

  •  初版を公開。
  •  低学年版にブロッキングの一文説明を加えた。重複見出しと空の箇条書きは見つからなかった。

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