1. 青い 色は、なんの なかまの 色素 なの?
1. 青の正体は、紫キャベツと同じ仲間の色素
1. 青の色素はアントシアニン、主にシアニジン系である
青い 食べものは、ほとんど ありません。だから 青い トルティーヤは、めずらしく 見えます。
この 青は、ペンキや 食用の 色とは ちがいます。トウモロコシの 粒そのものが もっている 色素の 色です。名前は アントシアニン。むらさきキャベツの 色と 同じ なかまだと いわれます。
研究では、青い トウモロコシの アントシアニンの 中でも、シアニジンと いう しゅるいが おもだと 書かれて います。
青い食べ物は、自然の中にほとんどありません。だから青いトルティーヤは、初めて見ると少し不思議に見えます。
この青は、着色料を足したものではありません。トウモロコシの粒がもともと持っているアントシアニンという色素の色です。紫キャベツの紫と同じ仲間で、酸性・中性・アルカリ性で色が変わる性質を持ちます[6]。
青いトウモロコシのトルティーヤを調べた研究では、アントシアニンは主にシアニジンという種類に由来すると書かれています[1]。別の研究でも、シアニジン-3-グルコシドが主要なアントシアニンとして挙げられています[2]。二つの報告が同じ色素を挙げています。
では、その色素は、粒のどこにあるのでしょうか。
青いトウモロコシおよびそのトルティーヤの青〜紫色は、アントシアニンによる。Chem Cent J(2017)の研究は、その大部分がシアニジン由来であるとし[1]、別の研究もシアニジン-3-O-グルコシドを青いトウモロコシの主要アントシアニンとして同定している[2]。二つの独立した報告が同じ色素を指す点は、青の正体を述べる根拠として強い。
アントシアニンは紫キャベツでも知られる色素で、酸性で赤っぽく、中性で紫、アルカリ性で青っぽくなる[6]。色が溶液の性質で動くこと自体は、紫キャベツの実験で確かめられる基本的な性質であり、本記事では仕組みの詳細は扱わない。
関心はむしろ、この色素が粒の中のどこにあり、アルカリ性の石灰煮でどうなるのかという点にある。
2. 青い 色は、粒の どこに あるの?
2. 色は粒の外側ではなく、すぐ内側の層にある
2. 青はアリューロン層に由来し、果皮の色ではない
トウモロコシの 粒を、そとから なかへ 見て いきましょう。いちばん そとに うすい 皮が あります。その すぐ 内がわに、うすい そうが あります。名前は アリューロンそうです。
青い 粒では、青は いちばん そとの 皮では なく、この 内がわの そうに ある 色素の せいだと されて います。
粒が 小さいほど、この そうの わりあいが 大きく なって、青が こく 見える、という せつめいも あります。ただし、これは 一つの しりょうに あった はなしで、かならず そうだとは いえません。
トウモロコシの粒を外から中へ見ていくと、いちばん外に薄い皮(果皮)があり、そのすぐ内側にアリューロン層という薄い層があります。
青い品種の粒では、青は外側の皮ではなく、このアリューロン層にある色素の色だとされています[3]。これとは別に、赤や黒の品種では果皮にも色素があります。別の研究でも、色素は果皮とアリューロン層に主に含まれると説明されています[2]。
粒が小さいほどアリューロン層の割合が高くなり、青が濃く見えるという説明もあります[3]。
色素が粒の表面近くの薄い層に集まっているので、次の作業がその色に響きます。トルティーヤを作るときは、この外側を石灰水で煮て、皮をはがすからです。
青い品種の粒の色は、最外層の果皮ではなく、そのすぐ内側のアリューロン層に含まれるアントシアニンによるとされる[3]。これとは別に、赤や黒の品種では果皮にも色素があり、別の研究も色素は果皮とアリューロン層に主に存在すると説明している[2]。
この資料では、粒が小さいほど粒全体に占めるアリューロン層の割合が高く、青が濃く見えると述べられる[3]。ただし、この記述は一つの資料に基づく説明であり、粒径と色の濃さの定量的な関係は示されていない。品種や産地の差も大きい点に注意が要る。
ここで意識したいのは、色素が薄い層に集まっていることの含意である。つまり、粒の外側を処理する工程は、そのまま色素の量に直結しやすい。ではその処理、すなわちニシュタマル化とは何をする工程で、なぜ必要なのか。
3. せっかいで にるのは、どうして?
3. 石灰で煮るのは、色のためではなかった
3. ニシュタマル化の目的は色ではなく、皮はがしと栄養である
トルティーヤを つくる ときは、トウモロコシを せっかいを とかした 水で 煮ます。むかしから つたわる 下ごしらえで、ニシュタマルかと いいます。
これには、ちゃんと いみが あります。煮ると 皮が はがれて、粉に しやすく なります。それに、トウモロコシの 中の 栄養が からだに つかいやすく なり、ナイアシンに かわりやすく なると せつめいされて います。ナイアシンが たりないと、ペラグラと いう 病気に なる ことが あります。
この やりかたは、メキシコや 中央アメリカの あたりの むかしの 人たちが 生みだした とされて います。
つまり、せっかいで にるのは、青い 色の ためでは ありません。
トルティーヤを作る伝統的な下ごしらえは、トウモロコシを石灰(水酸化カルシウム)を溶かしたアルカリ性の水で煮て、皮をはがして洗う方法です。ニシュタマル化と呼ばれます[4]。
この方法の理由は、色ではありません。果皮が取り除かれ、さらに穀物の中のトリプトファンという栄養が体で使いやすくなります。トリプトファンは体内でナイアシンに変わるので、ナイアシン不足で起こるペラグラという病気を防ぐのに役立つとされています[4]。
この方法は、メソアメリカ(メキシコから中央アメリカにかけての地域)で生まれたとされています[4]。
せっかく大切な意味のある工程ですが、アントシアニンから見れば、いちばん相性が悪そうな条件です。ここで青はどうなるのでしょうか。
4. せっかいの あとも、青は のこるの?
4. アルカリの逆風を受けて、青はどれだけ減り、どんな青になるのか
4. 石灰煮と加熱で色素は減り、色は灰青色になりうる
へっても、一部は のこります。なぜ のこるのかは、まだ わかって いません。
研究を まとめた しりょうに、粒から トルティーヤに なる あいだに、アントシアニンが 4わから 8わ へる という 見つもりが あります。ある はかりかたでは、粒で 70.5 あった りょうが、トルティーヤでは 27.8 に なりました。わりざんすると、およそ 6わ へった ことに なります。
やくときの ねつでも へった、という ほうこくも あります。
のこった 色素は 少なく なるので、できあがりは すんだ 青ではなく、はいいろが かった 青に なる ことが あります。けんきゅうしゃも「はいいろがかった 青」と 書いて います。
はっきり 言えるのは、へっても のこる、という ところまでです。
アントシアニンは加工中に減りますが、残った色素が青色になります。なぜ強いアルカリでも残るのかは、まだ分かっていません。
青いトウモロコシが粒からトルティーヤになる間に、アントシアニンが40〜80%失われるという推定があります[1]。ある測定では、単量体のアントシアニンが粒の70.50から、トルティーヤでは27.8(mg C3G/100 g)に減りました[1]。計算すると約61%の減少です((70.50−27.8)÷70.50)。研究や条件によって、幅があります。
アルカリ性の石灰液は、ブルーコーンのアントシアニンを分解する欠点があるとされています。煮る時間やアルカリの濃さで損失が変わり、アルカリが濃いと生地やトルティーヤは暗く、くすんだ色になるといわれます[5]。別の研究では、焼く工程でも39〜49.1%が失われたと報告されています(色素を外から足した実験での数字で、粒そのものの割合ではありません)[3]。
残る色素が少ないので、できあがりは澄んだ空の青ではありません。研究者は、色素が少ないために生地とトルティーヤが「灰青色」になると書いています[3]。
わかるのは、減っても残る、という範囲までです。
結論を先に述べると、色素は大きく減るが、完全には失われず、色は灰青色になりうる。強アルカリ下でなぜ残るのかは、まだ分かっていない。
粒からトルティーヤへの変換でアントシアニンの40〜80%が失われうるという推定があり、ある測定では単量体アントシアニンが粒70.50からトルティーヤ27.8(mg C3G/100 g)に減った[1]。(70.50−27.8)÷70.50は約0.61で、およそ6割の減少である。他の報告にも50〜75%などの値があり、品種と条件で幅が出る。
損失の主因はアルカリ煮とされる。アルカリ性の石灰液がブルーコーンのアントシアニンを分解する欠点が指摘され、煮る時間とアルカリ濃度によって損失が変わり、濃いアルカリでは生地とトルティーヤの明度と彩度が下がるという要約がある[5]。ただしこの文献は、原文でなく要約を通じて参照した点に限界がある。加熱も影響し、トルティーヤを焼く工程で39〜49.1%が失われたとの報告もある。これは色素を外から添加した実験での値であり、粒そのものの損失割合と同一視できない[3]。同研究では、アルカリ性の生地に触れた色素が、赤い形から不安定な黄色い形へすばやく変わることも示された[3]。これも外から足した色素の実験で、粒の青の説明に直接は使えない。
結果として、色素含量が低いために生地とトルティーヤは灰青色を呈すると記述されている[3]。澄んだ青ではなく灰色を帯びた青というのは、残存量の少なさと対応する。アシル化アントシアニンがアルカリや高温に強いという記述はあるが[1]、それがこの色の原因だと断定する根拠はない。
5. 家で 青の かわりかたを 見て みよう
5. 紫キャベツの汁で、色が動くところを見てみる
5. 色の動きを台所で観察し、原典に当たる
きょう できる こと
おうちの ひとと いっしょに、むらさきキャベツの しるを つくって、すこしずつ 分けて みましょう。1つには 酢、1つには 水、1つには すこしの じゅうそうを 入れます。色が 赤、むらさき、青っぽく かわる のが 見えます。火や あついものを つかう ときは、おとなの ひとに おねがい しましょう。
しらべる とき
お店で 青い トルティーヤや トウモロコシの 粉を 見かけたら、ふくろの うらの げんりょうを 見て みましょう。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
本文で使った資料です。
- Antioxidant and antiproliferative activity of blue corn and tortilla from native maize. Chemistry Central Journal (2017). https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5662526/ (色素の種類/加工中の損失の推定)
- Blue corn anthocyanin study (PMC6582077). https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6582077 (主要な色素の突き合わせ)
- Mexican research article on blue maize tortillas. SciELO México (2020). SciELO México の論文ページ (色素の位置/灰青色/焼く工程の損失)
- Nixtamalization. Wikipedia. https://en.wikipedia.org/wiki/Nixtamalization (石灰煮の方法・目的・起源)
- Factors influencing anthocyanin loss during nixtamalization of blue maize. IPN. https://ipn.elsevierpure.com/en/publications/factors-influencing-anthocyanin-loss-during-nixtamalization-of-bl (アルカリと色素損失/要約を参照)
- HugKum(小学館)紫キャベツの実験. https://hugkum.sho.jp/257056 (アントシアニンとpHによる色の変化)
- Edible New Mexico: A Story of Blue Corn and Place. https://www.ediblenm.com/love-in-a-cup/ (灰を使う粥の例)
なおした ところ
更新履歴
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