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そらは どうして あおいの? かせいでは ゆうやけが あおいって ほんとう?

空はどうして青いのか ── 紫にならない理由と、火星で夕日のまわりが青くなる理由

空の青とレイリー散乱 ── 紫にならない理由、「ちり説」から分子説への変遷、火星の青い夕日

分野:宇宙・天文

ひるまの そらが あおいのは、空気が あおい 光を、いろいろな ほうこうに ちらして いるからです。

でも、あおより むらさきの ほうが ちらされやすいのに、そらは むらさきに なりません。それに、かせいでは、ゆうやけが あおく なると いいます。どうして なのでしょう。そのわけが わかります。

昼の空が青いのは、空気の分子が、太陽の光の中の青い光を強く散らしているからです。ところが、紫の光は青よりもさらに強く散らされるのに、空は紫には見えません。しかも火星では、夕日のまわりの空が青灰色になるといいます。

同じしくみなのに、なぜ色がちがうのでしょうか。空が青い理由、紫にならない理由、火星で色が逆になる理由が分かります。

昼の空が青いのは、空気の分子が波長の短い青い光を強く散乱するためだ。散乱の強さは波長の4乗に反比例する(レイリー散乱)[1][2]。ところが、波長がさらに短い紫のほうが散乱は強いはずなのに、空は紫に見えない。しかも火星では、日没の太陽のまわりが青灰色になる[5]。

同じ散乱の理屈で、なぜ色が逆になるのか。この記事では、青い理由、紫にならない理由、かつての「ちり説」と分子説の関係、火星で色が変わる条件が分かる。

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1. あおい 光は、よく ちらされる

1. 青い光は、空気にぶつかって四方八方に散らばる

1. 光の散乱の強さは波長の4乗に反比例する

たいようの 光は、白く 見えますが、じつは いろいろな 色の 光が まざって います。

その 光が 空気の 中を すすむと、空気の ぶんしに ぶつかって、ほうぼうに ちらされます。あおい 光は、あかい 光より、ずっと ちらされやすい のです。

あかい 光の なみの ながさは、あおい 光の やく 2ばいです。その ちがいで、ちらされやすさは やく 16ばいも ちがいます[1]。

だから、空の ぜんぶの ほうこうから、ちらされた あおい 光が 目に とどきます。それで、空は あおく 見えます。

太陽の光は白く見えますが、赤から紫まで、いろいろな色の光が混ざっています。この光が空気の中を進むと、空気の分子に当たって進む向きが変わり、あちこちに散らばります。これを散乱といいます。

空気の分子のように、光の波長よりずっと小さいものによる散乱は、レイリー散乱と呼ばれます。散乱の強さは、波長の4乗に反比例します[1]。赤い光の波長は青い光の約2倍なので、赤は青より約16倍も弱くしか散乱されません(2を4回かけると16です)[1][2]。

散らされた青い光は、空のあらゆる方向から目に届きます。だから、太陽のない方向を見ても、空全体が青く見えるのです。

太陽光が大気中を通るとき、光の波長より十分に小さい分子による散乱(レイリー散乱)では、散乱の強さが波長の4乗に反比例する[1]。赤い光の波長は青い光の約2倍なので、赤の散乱は青の約16分の1(2⁴=16)になる[1][2]。ただし、これは「波長が約2倍」という近似にもとづく比較で、実際の赤と青の波長の比を使えば、倍率は多少変わる。

だから、太陽と反対側の空を見ても、散乱された青い光が全方向から目に入り、空全体が青く見える。直進して直接届く光ではなく、散らされて向きを変えた光が空の色になっている点が要になる。

では、波長がさらに短い紫は、もっと強く散乱されるはずだ。それなのに、なぜ空は紫にならないのか。

2. むらさきの ほうが ちらされるのに

2. 紫のほうが散らされるのに、空は紫に見えない

2. 紫の散乱は強いのに、空が紫に見えない理由は1つではない

むらさきの 光は、あおより なみが みじかく、もっと ちらされやすい はずです。それなのに、空が むらさきに ならないのは、なぜでしょう。

わけは、ひとつでは ありません。ひとつは、人の 目が、むらさきを かんじにくい ことです[1]。ふたつめは、ちきゅうに とどく たいようの 光には、むらさきより あおの ほうが 多い ことです[3]。

それが かさなって、空は むらさきでは なく、あおく 見えると いわれます。

それに、空の 光には、あおだけでなく、いろいろな 色が まざって います。だから 空の あおは、すこし しろっぽい、うすい あおに 見えます[7]。

理由は重なっている

紫の光は青よりも波長が短く、散乱はさらに強くなります。それでも空が紫に見えないのは、理由がいくつか重なっているためです。

1つめは、人の目が紫を感じにくいことです[1]。ロイヤル・グリニッジ博物館も、人の目は青を感じ取りやすいと説明しています[3]。2つめは、地球に届く太陽光に含まれる量が、紫より青のほうが多いことです[3]。3つめとして、上層の大気が紫の光の一部を吸収するという説明もあります[4]。

ただし、それぞれがどれくらい効いているかという割合は、ここで使った資料には書かれていません。

空の色は「うすい青」

晴れた空の光を分けると、見える光のすべての波長が含まれ、特定の波長にだけ偏らない、なだらかな分布になります[7]。目には、青に白が混ざったようなうすい青として届きます。空の青が、絵の具の青より少しやわらかく見えるのは、そのためだと考えられます。

紫は青より波長が短く、レイリー散乱では青より強く散乱される。それでも空が紫に見えない理由は、1つに決まらない。第一に、人の目が紫を感じにくい[1][3]。第二に、太陽光の強さは波長によって一定ではなく、地球の大気の上端に届く量は紫より青のほうが多い[3]。第三に、上層の大気が紫の光の一部を吸収する[4]。

これらが重なって、散乱の強さの差を打ち消している。ただし、3つの要因の寄与の割合は、使った資料に書かれていない。ここは「重なっている」という言い方にとどめるのが正確だ。

もう1つの落とし穴は、「青い光だけが散乱されている」という理解だ。青空のスペクトルには可視光のすべての波長が含まれ、特定の波長だけに偏らない、なだらかな分布になる[7]。目には、単色の青に白が混ざったような、飽和度の低い青として感じられる。

さて、この「分子が青を散らす」という説明は、はじめからあったのだろうか。実は、昔の人は別の犯人を疑っていた。

3. むかしの 人は、ちりの せいだと おもった

3. 昔の科学者は、青の犯人を「ちり」だと考えた

3. 「ちり説」から分子説へ ── 観測と合わなかった理由

むかしの かがくしゃは、空の あおは、空気の 中の ちりや 水の つぶの せいだと かんがえました。

ティンダルという 人は、ほそかい つぶに 光を あてると、うすく あおく 見える ことを 見つけました[6]。レイリーきょうも、はじめは ちりや 水の つぶの せいだと かんがえたと いわれます[4]。

ところが、しらべて みると、しめった 日や もやの ある 日には、空の 色が もっと 大きく かわるはずです。でも、じっさいの 空は、そこまで かわりません。

そこで、さんそと ちっそという、空気を つくる ぶんしだけで、ちらす ことを せつめいできる、と されました[4]。

空の青の正体について、昔の科学者たちは、空気中のちりや水滴などの細かな粒だと考えました。ジョン・ティンダルは、1860年代に、細かな粒に当てた光がかすかに青みを帯びることを見つけました。ただし、なぜ青が優先して散乱されるのかは、説明できませんでした[6]。

その後、レイリー卿が、この現象を数式で表しました[6]。レイリー卿とティンダルは、はじめ、散乱を起こすのは空気中のちりや水滴の細かな粒だと考えたと説明されます[4]。

しかし、この考えには無理がありました。Physics FAQによると、もし湿度やもやが空の青さの原因なら、空の色はそれらの量で大きく変わるはずだといいます。のちに、空気をつくる酸素と窒素の分子だけで散乱を説明できると考えられるようになります[4]。

つまり、空が青いのは、何かが混ざっているからではなく、空気そのものが青い光を散らしているからです。

ジョン・ティンダルは1860年代に、微細な粒子に当てた光が弱く青みを帯びることを見いだしたが、なぜ青が優先されるのかは説明できなかった[6]。のちにレイリー卿が、この散乱を数式で表した[6]。なお、ティンダルの発見の年は、資料により1869年とも1859年ともされ、割れている。ここでは年代を「1860年代」にとどめる。

ティンダルとレイリーは当初、散乱の担い手を大気中のちりや水滴のような微粒子と考えた[4]。Physics FAQは、この説に対し、空の青さがもやや湿度に支配されるなら、それらの量の変化で空の色は大きく変わるはずだと指摘する[4]。そのため、酸素と窒素の分子だけでも散乱を説明できる、とされるようになった[4]。

ここで注意したいのは、レイリー本人が最後まで「ちり説」だったとは、使った資料から言えないことだ。この変遷は「観測と合わない説が、より少ない仮定で説明できる説に置きかわった」例として読むのがよい。

では、この分子の散乱という説明は、地球以外の空でも通用するのだろうか。夕日の色を手がかりに、まず地球の夕方から見てみる。

4. ゆうがたは、あかい 光だけが のこる

4. 夕方の空が赤いのは、光が通る道のりが長いから

4. 夕焼けの色 ── 空気中の光路が長くなる

ゆうがたに なると、たいようは ひくく なります。すると、たいようの 光が 空気の 中を とおる みちが、ひるより ずっと ながく なります。

みちが ながいと、あおい 光は とちゅうで ほとんど ちらされて しまいます。のこった あかい 光が 多く とどくので、夕日は あかく 見えます[2]。

ひるの 空の あおも、夕日の あかも、どちらも 光が ちらされる ことで 生まれます。おなじ しくみの、ちがう 見え方です。

夕方、太陽が低くなると、太陽の光が空気の中を通る距離は、昼より長くなります。距離が長いと、青い光は途中でほとんど散らされてしまい、赤い光が多く届きます[2]。

つまり、昼の青空と夕焼けの赤は、同じ散乱の別の顔です。目に届くのが「散らされた光」なのか「散らされずに残った光」なのかが、色を分けています。

ここで1つの疑問がわきます。空の青を決めているのが、空気が青い光を散らす力だとしたら、空気がとても薄い星の空は、どんな色になるのでしょうか。

太陽高度が低い朝夕は、太陽光が大気中を通る距離(光路長)が昼より長い[2]。散乱の強さが波長の4乗に反比例するため、長い光路では青い成分が側方へ大きく散らされて視線方向からは減り、赤い成分が相対的に多く残る[2]。

つまり、昼の青空と夕焼けは、同じ散乱の別の側面だ。目に届くのが、散乱されて向きを変えた光か、散乱されずに直進してきた光かの差になる。

この説明は、大気の厚さと散乱粒子の量が条件に入る。ならば、大気がきわめて薄く、散乱の主役が分子ではない天体では、色の組み合わせが変わる可能性がある。その例が火星だ。

5. かせいでは、夕日の まわりが あおい

5. 火星では、昼は赤みを帯び、夕日のまわりが青い

5. 火星の空 ── 薄い大気とちりが色を決める

かせいの 空気は、ちきゅうより ずっと うすいです。だから、空気の ぶんしが あおい 光を ちらす はたらきは、ちいさく なります[5]。

かわりに、色を きめるのは、ちりです。ひるの かせいの 空は、オレンジや あかっぽい 色を して います。ところが、夕日の まわりだけは、あおっぽい はいいろに なります[5]。

ちきゅうでは、ひるの 空が あおくて、夕日の まわりが あかい。かせいでは、ほとんど ぎゃくです。

かせいの ひるの 色は、「き色っぽい」と かく しりょうも あり、いいかたが わかれます。だから、「あかっぽい」と だけ おぼえて おきましょう。

NASAによると、火星の昼の空は、オレンジや赤みを帯びた色をしています。ところが日没のとき、太陽のまわりの空は、青灰色になります[5]。地球とは、ほとんど逆の並びです。

火星の大気は地球よりずっと薄く、分子によるレイリー散乱の影響は小さくなります。かわりに、舞い上がったちりが、空の色を決めます[5][3]。

火星の昼の色の言い方は、資料によって「赤っぽい」「オレンジ」「黄色っぽい」と幅があります。資料によって表現がちがう理由は、はっきりしません。

火星の夕日のまわりが青いのは、日没のころ、光が大気の中を長く通るあいだに青い光が四方へ散らされるからだと、ロイヤル・グリニッジ博物館は説明しています[3]。地球では分子が青を散らして昼の空を青くし、火星では薄い空気のかわりに、ちりが色をつくる。同じ「光が散らされる」ことでも、何が散らすのかで、空の色は変わります。

NASAは、火星の昼の空はオレンジや赤みを帯び、日没時の太陽周辺は青灰色になると説明する[5]。火星の大気は地球よりはるかに薄く、分子によるレイリー散乱の寄与は小さい。空の色を決めるのは主に大気中のちりだとされる[5][3]。ロイヤル・グリニッジ博物館の説明も、この見方と矛盾しない[3]。

ロイヤル・グリニッジ博物館によると、日没時は太陽光が大気を通る距離が長くなり、青い光が四方に散らされて太陽のまわりが青く光る[3]。地球では分子が波長の短い光を強く散らして空を青くするが、火星では薄い大気のかわりにちりが色を決める。

なお、火星の昼の空の色は、赤・オレンジ・黄色っぽいと、資料によって表現が割れている。資料によって表現が異なる理由は、特定できない。

地球の空の青は、「波長の短い光ほど強く散乱される」という法則が、薄いが十分な量の分子の層で働いた結果だ。大気の厚さと散乱する粒の種類が変われば、同じ法則でも、空の色は変わる。

6. 空の いろを 見くらべて みよう

6. 青空と夕焼けを、見くらべるときの手がかり

6. 自分の目で比べるための手がかり

つぎの 日の ひるに、空を ながめて みましょう。たいように 近い ところと、とおい ところで、あおの こさが ちがう ことが あります。

夕がたの 空も 見て みましょう。ひるの あおと くらべて、たいようの まわりが どんな 色かを 見ます。

やくそくが あります。たいようを、ちょくせつ 見ては いけません。かならず、たいようを はずして 見ましょう。

天気のよい日の昼に、太陽をはずして空を見渡してみましょう。太陽に近い方向と離れた方向で、青さの濃さが少し違うことに気づくかもしれません。

夕方にも、同じように空を見てみます。昼の青と、夕日のまわりの赤を、時刻ごとに見くらべてみてください。

太陽は、直接見ないでください。目をいためる原因になります。

昼の空と夕方の空を、紙と色鉛筆で1枚ずつ描き比べてみるのも楽しいでしょう。

観察は、太陽を直接見ずに行う。昼間、太陽の位置を避けて空を見渡し、方向による青の濃さの差を見る。夕方には、同じ空の見え方がどう変わるかを時刻ごとに比べる。空の色は大気中の水蒸気やちりの量によっても変わるため、同じ場所でも日によって差が出る。

もう1つの確かめ方は、数字の検算だ。赤の波長を青の約2倍とすれば、散乱の強さの比は2の4乗=16になる。波長を実際の値に置きかえて計算すれば、倍率がどう変わるかを自分で確かめられる。

この記事では、紫が見えない理由の割合は扱わなかった。原典や英語の資料にあたるときの入口として、出典欄のNASAとロイヤル・グリニッジ博物館のページが使える。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:キヤノン、裳華房、ロイヤル・グリニッジ博物館、NASA、Physics FAQ、Wikipediaを使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。

  1. キヤノン サイエンスラボ「光」。https://global.canon/ja/technology/s_labo/light/001/01.html (レイリー散乱の強さ、紫が見えにくい理由について)
  2. 裳華房 身近な光「空はなぜ青い」。https://www.shokabo.co.jp/sp_e/optical/familiar/sky/sky.htm (波長の4乗に反比例する散乱、夕方の空の色について)
  3. Royal Museums Greenwich, "Why is the sky blue?"。https://www.rmg.co.uk/stories/space-astronomy/why-sky-blue (紫が見えない理由、火星の空の説明について。英語)
  4. Physics FAQ, "Why is the sky blue?"。https://math.ucr.edu/home/baez/physics/General/BlueSky/blue_sky.html (ちり説から分子説への変遷、紫の吸収について。英語)
  5. NASA Space Place, "Why is the sky blue?"。https://spaceplace.nasa.gov/blue-sky/en/ (火星の空の色について。英語)
  6. Rayleigh scattering(Wikipedia)。https://en.wikipedia.org/wiki/Rayleigh_scattering (ティンダルとレイリー卿の研究の経緯について。二次資料)
  7. Diffuse sky radiation(Wikipedia)。https://en.wikipedia.org/wiki/Diffuse_sky_radiation (青空のスペクトルについて。二次資料)

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