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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

しょくパンの 耳は、どうして 中と ちがう かたさなの?

食パンの耳はなぜ中身と違うのか ── 焼くあいだに起きる水分と温度の差

食パンの耳と中身は、焼くあいだにどう変わる? ── クラストとクラムの水分・温度の差

分野:技術

サンドイッチを つくる とき、パンの 耳を きりおとす 人が います。耳は かたくて、中は ふわふわです。

おなじ 生地から できたのに、どうして ちがうので しょう。パンを やいている あいだの、オーブンの 中を のぞいて みましょう。

食パンの端の茶色い部分、いわゆる「耳」は、かみごたえがあって香ばしく、中の白い部分はふわふわです。同じ生地を同じオーブンで焼いたのに、なぜ差が出るのでしょうか。

鍵になるのは、水分です。焼いているあいだ、外側と内側でそれぞれ何が起きているのかを、資料をもとに順に見ていきます。

食パンの表面の硬い部分はクラスト、内部の白い部分はクラムと呼ばれる[1]。両者の食感の差は、焼成中の水分量と温度の差から説明される[2][3]。

このメモでは、焼成中の水分と温度、褐変反応、焼成後の水分移動を、製パン会社の資料や解説を突き合わせて整理する。数値の一部は二次資料によるため、「とされる」と限定して書く。

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1. 耳と 中には、名前が ある

1. 「耳」と「中身」には名前がある

1. クラストとクラム ── 用語の整理

パンの 外がわの かわを クラスト、まん中の 白い ところを クラムと いいます[1]。耳は クラストの ことです。

クラムを よく 見ると、ちいさな あわが たくさん ならんで います[1]。この あわの おかげで、中は ふわふわします。

この メモでは、耳と 中が、やく あいだに どう ちがって いくのかを 見ます。

外の皮と、中の白い部分

食パンの外側の皮をクラスト、まん中の白い部分をクラムと呼びます[1]。私たちが「耳」と呼んでいる茶色の部分は、このクラストです。

クラムを近くで見ると、細かい気泡がぎっしり並んでできています[1]。この気泡が、中身のふわふわした感じをつくっています。

ここから先は、同じ生地がどうして二つの食感に分かれていくのかを追います。

食パンの外側の皮の部分をクラスト、中央の白い部分をクラムという。クラムは、拡大して見ると多数の微細な気泡で構成されている[1]。通称の「耳」は、クラストにあたる。

同じ生地から二つの構造ができるのは、焼成中に外側と内側で水分の失われ方と到達温度が異なるためと説明される[2][3]。以下、その順に整理する。

2. 中は、水が あって あつく なりにくい

2. 内側は、水があるので温度が上がりにくい

2. クラムの温度 ── 中心は約98℃に達するとされる

パンの 中には、水が たっぷり ふくまれて います。オーブンで あたためられると、その 水が すこしずつ 水蒸気すいじょうきに かわります。

水が 水蒸気すいじょうきに なる とき、まわりの ねつを うばいます。パンの まん中は、100どに ちかい 98どぐらいまで なると いわれます[3]。オーブンより ずっと ひくい おんどです。

たとえば、ぬれた タオルを ひなたに ほす ところを 思いうかべて ください。かわくまでは、タオルは あつく なりにくいと いわれます。パンの 中では、水が うごいたり、あわが あったり します。タオルと おなじとは かぎりません。

中の 水分は、やいている あいだも 40〜45パーセントぐらいと、Wikipediaに 書いて あります[2]。ひとつの めやすです。だから 中は、しっとり ふわふわの ままです。

水が熱を持っていく

生地の中には、たくさんの水が含まれています。オーブンで熱せられると、その水が水蒸気に変わっていきます。水が蒸発するときは周囲の熱を使うので、水が残っているうちは、温度がなかなか上がりません。

資料には、焼いている最中のクラムの中心が、水の沸点に近い約98℃に達すると書かれています[3]。オーブンの温度よりずっと低い温度です。水分の蒸発も、温度の変化に関わると考えられます。

たとえるなら、鍋に水を入れて火にかけたときと似たところがあります。ただし、パンの中で温度が決まる仕組みまで、この例で説明できるわけではありません。Wikipediaには、焼いている間のクラム内部の水分が40〜45%ほどとされる、と書かれています[2]。一つの目安です。

焼成中、クラムの中心温度は約98℃に達するとされる[3]。水の沸点に近い値であり、水分の蒸発も温度変化に関わると考えられる。オーブンの設定温度よりはるかに低い。

Wikipedia のクラスト(パン)の項では、焼成中のクラム内部の水分は40〜45%とされる[2]。条件は示されておらず、一例・目安として読む。中心が約98℃という記述と、水分がまだ多いという記述は、同じ現象を別の面から述べたものと読める。

なお、温度が一定に保たれる仕組みまでは、この資料からは分からない。「約98℃に達する」という記述の範囲で受け取るのが、資料の表現に近い。

3. 外がわは、かわいて こげ色に なる

3. 外側は、水が抜けて高温になる

3. クラストの形成 ── 乾燥・高温・褐変反応

いっぽう、外がわは どうでしょう。オーブンの あつい くうきに いちばん ちかい ところなので、水が どんどん にげて いきます。

水が へると、ねつが うばわれなく なります。すると、外がわは 100どを こえて、オーブンの おんどに ちかづいて いきます[3]。

耳に なる ぶぶんの 水分は、20パーセント いかに なり、いちばん 外がわは 10パーセント いかに なると いわれます[2]。中の 40パーセントと くらべて、ずっと からからです。

あつく なった 外がわでは、さとうと アミノ酸さんの はんのうや、さとうが ねつで かわる はんのうなどで、茶色い いろと こうばしい においが できます[3]。

水が減ると、温度が跳ね上がる

外側は、オーブンの熱い空気に直接さらされています。水分が蒸発して減っていくと、水が熱を奪う働きが弱まり、温度がぐんぐん上がります。資料では、クラストは最終的にオーブンの温度に近いところまで上がるとされています[3]。

クラストになる部分の水分は20%以下、いちばん外側では10%以下になるとされます[2]。中身の40〜45%と比べると、クラストになる部分は中身の半分以下、いちばん外側は約4分の1以下です。

茶色い色と香りが生まれる

表面が高温になると、糖とアミノ酸の反応や、糖が熱で変化する反応などによって、茶色い色と香ばしい香りのもとができます[3]。これが「焼き色」です。条件にもよりますが、160℃を超えるとこの反応が速く進むとされています[2][3]。

外側では水分が蒸発によって失われ、温度が上昇する。クラストは最終的にオーブンとほぼ同じ温度まで達するとされる[3]。水分量は、クラストとなる部分で20%以下、最外層で10%以下とされ[2]、クラムの40〜45%と比べて大きく低い。20%以下は、クラムの半分以下、10%以下なら4分の1以下に相当する。

表面温度が高くなると、糖とアミノ酸のメイラード反応や、糖の熱変化(カラメル化)などで着色成分が生じる。Wikipedia は、pH 5.0〜5.5 の条件で160℃以上になるとメイラード反応が著しく進む、とする[2]。Bakeinfo も、糖とたんぱく質分解物による褐変反応が160℃を超えると非常に速く進むと述べる[3]。この160℃は条件つきの値であり、固定値として扱わない。

水分の少なさ(硬さ・歯ごたえ)と褐変(色・香り)が同時に起きることで、クラスト特有の食感と風味ができあがる。

4. やけた あとは、耳が やわらかく なる

4. 焼いたあと、耳がしっとりしていく

4. 焼成後の水分移動 ── クラストの軟化

パンを やいた ばかりの ときは、耳が しっかりして いて、中は とても やわらかいと いわれます[1]。

でも しばらく おいて おくと、中に あった 水が、すこしずつ 外がわへ うつって いきます[1]。水が そとへ にげにくい ときは、耳が しっとり する ことが あります。

むかし、食べた パンの 耳が、あさより ゆうがたの ほうが やわらかかった、という ことは ありませんか。もし そうなら、この 水の いどうの せいかも しれません。

水は内から外へ動く

焼き上がり直後のパンは、クラストがしっかりしていて、中身はとても柔らかい状態です。時間がたつと、内部の水分がゆっくり外側へ移り、クラストは水分を含んでしっとりとした、適度な柔らかさになることがあります[1]。水が外へ逃げにくい条件のときの話です。

Wikipedia にも、水分が内側から外側へ移ってクラストの水分が増え、パリパリした感じから皮のような感じに変わる、と書かれています[2]。

焼く前と焼いた直後は、「外が乾いていて中が湿っている」という大きな差があります。時間がたつと、この差がだんだんならされていくわけです。

焼成直後のパンは、クラストがしっかりしており、内部のクラムは非常に柔らかい。時間の経過とともに、焼き上がり直後に内部にあった水分が徐々に外側へ移行し、クラストはしっとりした適度な柔らかさになる、と山崎製パンの解説にある[1]。水が外へ逃げにくい条件での説明として読む。

Wikipedia でも、水分が内側から外側へ移行することでクラストの水分含量が増加し、食感がパリパリした物性から皮状に変化するとされる[2]。水分量の高低差が、時間とともに平均化に向かう過程と捉えられる。

5. ほぞんの しかたで、耳は かわる

5. 保存の仕方で、耳の変化は変わる

5. 条件による違い ── 保存と焼き型

ただし、耳が いつも やわらかく なるとは かぎりません。ふくろに いれず、空気に さらして おくと、水が にげて、かえって かたく なる ことも あるでしょう。

耳の あつさや かたさは、生地や、やく ときの かたちにも よって かわります。

柔らかくなるとは限らない

水分が内側から外側へ動く話は、あくまで、水分が外に逃げにくい条件のときのものです。耳の柔らかさの変化は、保存条件によっても変わるため、一律にはいえません。

また、耳がどのくらい硬く厚くなるかは、生地の配合や、焼き型に蓋があるかどうかなどでも変わります。

クラストの軟化は、水分が外へ逃げにくい条件での説明である。水分移動による軟化は保存条件でも変わるため、一律にはいえない。

また、クラストの厚さや硬さは、生地の配合、焼き型(蓋の有無など)によっても異なると考えられる。

自分でも しらべて みたく なったら

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

今日 できること

おうちに しょくパンが あれば、耳と 中を、ゆびで そっと おして みましょう。どちらが かたいか、どちらが しっとりして いるか、くらべて みて ください。

やきたての パンを かう ことが できたら、おなじ パンを、ふくろに 入れた ものと、入れない ものに わけて、あさと ゆうがたで 耳の かたさを くらべて みるのも おもしろいです。

くわしく 知りたい とき

パンを つくる 会社の ホームページには、パンの 科学を 書いた 「ミニ百科」の ような ページが あります。おうちの 人と いっしょに 見て みましょう。

今日できること

食パンの耳と中身を、それぞれ指で押したり、ちぎってみたりして比べてみましょう。色、香り、硬さの違いを言葉にしてみると、焼成中に起きたことが想像しやすくなります。

同じ食パンを、袋に入れて保存するものと、空気にさらしておくものに分け、次の日に耳の感触を比べるのもおすすめです。

さらに調べるなら

山崎製パンの「パンのミニ百科」には、パンの構造や製法に関する解説があります。パンの構造や製法の解説を読んでみましょう。

今日できること

食パンの耳と中央を、色・香り・触感の3点で比べ、その差が本メモの水分・温度の説明とどう対応するかを考えてみる。袋に入れて保存したものと空気にさらしたものを分け、翌日に同じ場所を触って比べれば、保存条件による違いが体感できるかもしれない。

資料を読むなら

山崎製パンの「パンのミニ百科」(日本語)は、パンの構造や製造の基本を扱う一次資料である。水分の数値や温度は、Wikipedia や BIRT(Bakeinfo)の解説で確認できる。水分移動のモデルの詳細に興味があれば、原論文(Ureta ら、2019 など)を探して読んでみるとよい。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文の水分・温度の数値のうち、クラスト部分の水分量や褐変の温度は二次資料に基づく。

  1. 山崎製パン「パンのミニ百科」 https://www.yamazakipan.co.jp/entertainment/pan_ency/index.html (クラスト・クラムの名前、焼成後の水分移動)
  2. 「クラスト (パン)」 Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%83%88_(%E3%83%91%E3%83%B3) (焼成中の水分量、褐変、焼成後の軟化)
  3. Science of Bread Making, Bakeinfo (BIRT) https://www.bakeinfo.co.nz/facts/bread/science-of-bread-making/ (クラムの中心温度、クラストの温度、褐変反応。英語の資料)

なおした ところ

更新履歴

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