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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

ブルドーザーは おもいのに、どろの 上でも しずみにくいのは なぜ?

約22トンのブルドーザーが、泥の上でも沈みにくいのはなぜか

重いブルドーザーは、なぜやわらかい地面に沈みにくいのか ── 履帯と接地圧、油圧の排土板

分野:技術

ブルドーザーは、おもさが およそ22トンも ある きかいです。それなのに、じめんを おす 強さは、人が かたあしで たつ ときと おなじくらい、という カタログの 数字が あります[2]。

どうして そんなに おもい きかいが、どろの 上でも しずみにくいのでしょう。どう まがり、土を どう うごかすのか、いまは コンピューターが てつだって いる ことまで わかります。

約22トンのブルドーザーが地面を押す強さは、コマツのカタログで35キロパスカル。日本建設機械施工協会の表にある、人が片足で立つときの目安(約39〜49キロパスカル)と同じくらいか、それより低い数字です[2][3]。

こんなに重い機械が、なぜ泥の上でも沈みにくいのでしょうか。左右の履帯の速さのちがいで曲がること、油圧で動く排土板、いま設計データで自動に動く仕組みまで分かります。

機械質量が約21.9トンのコマツ湿地形ブルドーザーの接地圧は、カタログ上35kPa(0.36kgf/cm²)である。日本建設機械施工協会の表では、人の片足は0.4〜0.5kgf/cm²(約39〜49kPa)で、数字だけ見れば人の足と同程度かそれ以下になる[2][3]。

重い機械がなぜ軟弱な地面で沈みにくいのか。接地圧の考え方、左右の履帯の速度差による旋回、油圧の排土板、1943年の国産第1号機、いまの設計データによる自動制御が分かる。

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1. 22トンの きかいが、人の 足と おなじ?

1. 約22トンの機械が、人の片足とほぼ同じ強さで地面を押す

1. 接地圧 ── 重さを面積で割ると、21.9トンと人の片足が並ぶ

ブルドーザーは、土を おして はこぶ、大きな はたらきものの きかいです[1]。ある しゅるいの おもさは およそ22トン。22000キロです。

ところが カタログでは、じめんを おす 強さが 35キロパスカル。人が かたあしで たつ ときの めやす(39から 49キロパスカル)と、おなじくらいか、すこし ひくい 数字です[2][3]。

ひみつは、おもさを ひろい めんに わけて いる ことです。おもさを 面積めんせきで わった 数字が、じめんを おす 強さです。ゆきの 上で くつだと ずぶっと しずむのに、スキーなら のれるのと おなじ かんがえです[3]。ただし ほんとうは、すべりかたや ゆきの かたさも かかわります。

コマツのカタログによると、機械質量が約21.9トンの湿地形(D65PX-18)の接地圧は35キロパスカル(0.36kgf/cm²)です[2]。日本建設機械施工協会の表では、人が片足で立つときの接地圧は0.4〜0.5kgf/cm²で、キロパスカルにすると約39〜49です[3]。1kgf/cm²がおよそ98キロパスカルなので、湿地形は人の片足と同じくらいか、それ以下ということになります。

接地圧は「重さ÷面積」

接地圧とは、機械が地面を押す強さのことです。重さを、地面に触れている面積で割って求めます。国土交通省の告示でも、履帯(カタピラ)の接地面積は「接地長×接地幅」で計算し、1cm²あたり3kgを超えないこと、と決められています。ただしこれは道路を走る車のための基準で、工事現場のブルドーザーの目安ではありません[4]。

面積が広ければ、重い機械でも1cm²あたりの重さは小さくなります。雪の上で靴なら沈むのにスキー板なら乗れるのと同じ考え方で、同じ表ではスキーが0.03〜0.05kgf/cm²です[3]。

湿地形のカタログ値から逆算すると、21.9トン(約2万1900kgf)÷0.36kgf/cm²でおよそ6万cm²、約6平方メートルです。畳でいえば4枚近くに重さが分かれて乗っている計算になります(機械質量と運転質量のちがいなどがあるので、おおよその目安です)。では、この広い面積はどんな仕組みで作られているのでしょうか。

機械質量約21.9トンのコマツD65PX-18(湿地形)は、カタログの接地圧が35kPa(0.36kgf/cm²)である[2]。日本建設機械施工協会(JCMA)の目安表では、人の片足が0.4〜0.5kgf/cm²(1kgf/cm²≒98kPaとして約39〜49kPa)、ブルドーザ全体は0.35〜1.15、スキーは0.03〜0.05である[3]。単位をそろえて並べると、湿地形は人の片足と同程度かそれ以下になる。ただし表の0.35〜1.15も幅のある目安なので、「ブルドーザは必ず人より軽い圧力」とは読めない。

接地圧は、重さを接地面積で割った値である。国土交通省の告示(道路運送車両の保安基準の細目)も、カタピラの接地面積を履帯の接地長×接地幅の見かけの面積とし、1cm²あたり3kgを超えないよう定めるが、これは道路を走る車の基準で、工事現場のブルドーザの目安値とは別物である[4]。

このカタログ値を逆算すると、21900kgf÷0.36kgf/cm²≒6.1万cm²、約6m²となる。重さを畳4枚近くの面積に分散していることになる(運転質量の取り方などで変わる、おおよその値)。したがって「重いのに軽く立てる」の正体は、重さを減らす工夫ではなく、面積を広げる工夫だと分かる。では、その面積は、履帯のどんな構造で得ているのか。

2. 足の うらが、ながい ベルトに なって いる

2. 履帯は、地面に敷いたレールの上を走る

2. 履帯(クローラ)── 履帯が地面に広く接し、湿地形は軟弱な地面に向く

ブルドーザーの 足の うらは、キャタピラです。ながい ベルトのように 金ぞくの いたが つながって、ぐるぐる まわって います。

この ベルトが、じめんに 2ほんの レールを しいて いく ように はたらきます。だから、やわらかい どろの ところや、30どくらいまでの さかでも はたらきやすいのです[3]。

どろの じめんが とくに ひどい ばしょの ために、「しっちがた」という しゅるいも あります[3]。さきほどの 35キロパスカルは、この なかまの 数字です。

ブルドーザーの足まわりは、タイヤではなく履帯(クローラ)です。トラックシュー(履板)という金属の板がリンクでつながって、ベルトのように回っています。日本建設機械施工協会は、これを進行方向に敷かれた2本のレールのようなものと説明しています。そのため、傾斜地(30度程度まで)や、ローム層、泥濘地のような軟弱な現場でも作業できます[3]。

車輪は地面と点や細い線でしか触れませんが、履帯は長い面で触れます。第1章の「面積を広げる」を、履帯が引き受けているのです。

用途で選ぶ4つの種類

ブルドーザーには、標準、湿地、超湿地、超々湿地という種類があります。湿地形は軟弱な地面で走りやすく、牽引する力も高めた機種です。近年は、地盤の傷みを抑えるゴム履帯の小型機もあります[3]。第1章の35キロパスカルは、この湿地形のカタログ値でした。

ところが、こんなに力の強い機械なのに、現場で動く姿はゆっくりです。なぜ、速く走らせないのでしょうか。

履帯は、トラックシュー(履板)やリンクで構成され、進行方向に敷かれた2条のレールのように働く。JCMAの解説は、このため傾斜地(30度程度まで)やローム層、泥濘地のような軟弱な現場でも機動性のある作業ができると述べる[3]。車輪が路面と接する面積は小さいが、履帯は長い面で地面と接する。第1章の接地圧の低さは、この構造を前提にしている。

用途に応じて、ブルドーザには標準形、湿地ブルドーザ、超湿地ブルドーザ、超々湿地ブルドーザがある。湿地形は軟弱地での走行性能と牽引能力を高めた機種で、近年は地盤の損傷を減らすゴム履帯の小型機もある[3]。第1章の35kPaは、このうち湿地形D65PX-18のカタログ値である[2]。

ここまでは地面に立つ話で、次は動く話である。ブルドーザは力の強さのわりに、なぜあれほどゆっくりなのか。

3. ちからもちなのに、どうして ゆっくり なの?

3. 速く走れないのは、力を最優先に作られているから

3. 減速で増やすトルクと、仕上げのために遅い車速

こうじげんばで、ブルドーザーが ゆっくり うごくのを 見た ことが あるかも しれません。じつは、わざと ゆっくりに つくって あります。

エンジンの 回る 力を、いくつもの ギアで 回る はやさを おとして、かわりに 力を ふやして います[3]。じてんしゃで さかを のぼる とき、かるい ギアに すると、ゆっくりでも 力が でるのと にて います。ただし ほんものの ギアは もっと ふくざつです。

おそいと、土を たいらに ならす しごとも しやすく なります[3]。

1馬力 あたりの おもさは、ブルドーザーで およそ100キロ。ふつうの 車は 10キロです。おなじ 1馬力で、10ばいの おもさを うけもつ ことに なります[3]。

日本建設機械施工協会の解説によると、ブルドーザーは大きな牽引力が必要なので、エンジンのトルクをトランスミッション、ベベルギア、ファイナルドライブで減速して増やし、スプロケットで強い回転力を得ています。車の速さは、運転する人が排土板を操作して、地面を平らに仕上げられる遅さに作られています[3]。

自転車で急な坂を上るとき、軽いギアにすると、ペダルは回しやすくなる代わりに、進む速さは落ちます。減速して力を増やす考え方は同じです。ただし実際の歯車の組み合わせはもっと複雑です。

馬力あたりの重量を見ると、ブルドーザーは約100kg/ps、乗用車は10kg/psです[3]。同じ1馬力に、ブルドーザーは10倍の重さを受け持たせています。速さより、押す力を優先した機械です。ゆっくり動くので、排土板で地面を仕上げやすくもなります。

速さを落としても、方向を変える動きは必要です。タイヤのハンドルのないこの機械は、どうやって曲がるのでしょうか。

ブルドーザは大きな牽引力を要するため、エンジンのトルクをトランスミッション、ベベルギア、ファイナルドライブで減速して増大させ、スプロケットで強い回転力を得る。車速は、オペレータが排土板を操作して地面を平らに仕上げられる程度の遅さに設定されている[3]。したがって「遅い」のは弱点ではなく、力と仕上げの精度を優先した設計の結果である。

減速して力を増やす考え方は、自転車の軽いギアと同じ原理で、速度とトルクのトレードオフにあたる。ただし実機の歯車列は段階的で、自転車のたとえほど単純ではない。

JCMAの数値では、馬力あたりの重量はブルドーザが約100kg/ps、乗用車が10kg/psである[3]。同じ1psで10倍の質量を担当するため、ブルドーザは速度より牽引力を重視した設計だといえる。

では、車輪のようにハンドルを切れない履帯式の機械は、どのように進路を変えるのか。

4. ハンドルが ないのに、どうやって まがる?

4. 左右の履帯の速さを変えて曲がる

4. 左右履帯の速度差による旋回と、内側へ動力を切らない方式

ブルドーザーは、ハンドルで タイヤを きりません。みぎと ひだりの キャタピラの はやさを かえて、まがります。

みぎに まがる ときは、ひだり(そと)を はやく、みぎ(うち)を おそく します[2]。みんなで てを つないで ならんで、かたはしを 中心に ぐるりと まわると、はしの 遠くの 人ほど はやく はしるのと にて います。

コマツの カタログでは、うちがわの キャタピラにも 力を つたえつづける しくみです。その場で くるっと むきを かえる こともできます[2]。

コマツのカタログによると、HSS(ハイドロスタティックステアリング)という方式は、旋回するとき、内側の履帯への動力を切らず、常に左右の履帯に動力を伝えます。外側の履帯を速く、内側の履帯を遅く制御して曲がるので、力強くなめらかに曲がれるといいます[2]。

手をつないで並んだ列が、片はしを中心に回るときを想像してください。中心から遠い人ほど、同じ時間に長い距離を走るので速く走ります。履帯も、外側が長い弧を描くので速く動きます。

その場でくるっと回る

左右の履帯を逆向きに動かせば、その場で向きを変える超信地旋回もできます[2]。動力を切らないので、傾斜地でも安全に作業できる、とカタログは説明しています。力が抜けない曲がり方が、斜面で重要になるということです。

こうして進む向きが決まると、いよいよ土を動かす番です。前についた大きな板は、どう動くのでしょうか。

履帯式には車輪のようなハンドルがなく、左右の履帯に速度差をつけて旋回する。コマツのHSS(ハイドロスタティックステアリング)は、旋回時に内側の履帯への動力を切らず、常に両側の履帯にパワーを伝え、外側を速く、内側を遅くコントロールして曲がる[2]。

速度差で曲がる理由は、並んで手をつないだ列が片端を中心に回る場合と同じで、中心から遠い外側ほど長い弧を描くため、同じ時間なら速く動く必要があるからだ。左右を逆向きに動かせば、その場で向きを変える超信地旋回(ちょうしんちせんかい)もできる[2]。

カタログは、クラッチを切らないので傾斜地でも安全に作業できるとする。

進路の次は作業装置である。前面の大きな板は、どう動かされているのか。

5. 前の 大きな いたは、どうやって うごく?

5. 排土板は油圧で上げ下げし、傾けて使い分ける

5. 油圧シリンダーによる排土板の制御と、チルト・アングルの使い分け

ブルドーザーの 前に ついて いる 大きな いたを、ブレードと いいます[1]。土を おして うごかしたり、じめんを たいらに したり、ゆきを どかしたり します。

この いたを 上げ下げするのは、あぶらの 力を つかった 「ゆあつ」の そうちです[1]。

いたを ななめに かたむけると、道の かたがわだけ ほって、みぞを つくれます[3]。おおきな ブルドーザーの いたは、ほとんどが この かたむけられる かたちです。

ブルドーザーは、トラクターの前に、動かせる土工板(排土板)をつけた建設機械で、土砂を掘る、押す、盛る、地面を整える、雪をどかす、といった仕事に使われます。排土板は、油圧シリンダーで動きます[1]。

油圧は、液体の圧力で力を伝える方法です。重い排土板を、運転席の操作で細かく上げ下げできます。

傾ける、角度をつける

排土板には、左右の高さを変えて傾けるチルトや、角度をつけて土を横へ逃がす種類があります。大型の車両のブレードは、ほとんどが真っすぐ押すストレートに、傾けるチルトを組み合わせた形です。チルトは、道路の片側だけ掘って溝をつくるときなどに使います[3]。

では、この「排土板を油圧で動かす」という考えは、いつ生まれたのでしょうか。日本の最初の国産機にも、その答えがあります。

ブルドーザは、キャタピラ式トラクタの前に可動の土工板(排土板)を付けた建設機械で、土砂の掘削、押土、盛土、整地、除雪に使われる。排土板は油圧シリンダーで制御される[1]。運転席の操作で重い排土板を細かく動かせるのは、液体の圧力で力を伝える油圧の特長による。

排土板にはチルト(ブレード面の左右の高さを走行面に対して傾ける)やアングルをつけて土を横へ逃がす種類があり、大型車両はほとんどがストレートチルト形である。チルトは道路の片側だけ掘って溝を作る場合などに使う[3]。

では、排土板を油圧で動かす発想は、いつ、誰が実用化したのか。日本の第1号機に、その手がかりがある。

6. 日本さいしょの ブルドーザーは、1か月で できた

6. 日本初の国産機は、1か月で完成し、油圧を選んだ

6. コマツG40(小松1型均土機)── 1か月で作り、油圧を採用した国産第1号

日本で さいしょに 作られた ブルドーザーは、「G40」です。1942ねんの 12月に 作ってほしいと たのまれて、わずか 1か月で できました[5]。

もとに したのは、50馬力の ガソリンの トラクター。その前に、ゆあつで うごく ブレードを つけました。そのころは、アメリカの きかいでも、ケーブルで ブレードを 上げ下げする ものが 多かったので、ゆあつは めずらしかったそうです[5]。

おもさは 5500キロ。ブルドーザーの 22トンの 4ぶんの 1ほどです。キャタピラの はばは 33センチ、ながさ 165センチと 書いて あります[5]。ここから 計算すると、じめんを おす 強さは、1平方センチあたり だいたい 0.5キログラム分の おもさです。人の かたあしと おなじくらいです。

この G40は、せんごに 海の 中に ありましたが、ひきあげられて オーストラリアの のうじょうで つかわれて いました。1979ねんに みつかり、35年ぶりに 日本へ もどって、2007ねんには 「きかい いさん」に えらばれました[5]。

日本初の国産ブルドーザーは、コマツのG40(小松1型均土機)です。1942年12月の依頼から、わずか1か月で完成し、1943年から量産されました。ベースは既存の50馬力のガソリントラクターで、その前に油圧式の排土板を付けた機械です。当時はアメリカ製でも、ケーブルで排土板を上げ下げする方式が主流だったので、油圧式は画期的だったと記録されています[5]。

G40の大きさを、第1章の計算で確かめる

主要な数字は、運転整備重量5500kg、50馬力、履帯幅330mm、接地長1650mm、ブレード幅1800mmです[5]。接地圧は資料に書かれていないので、第1章と同じ考え方で計算してみます。履帯2本分の面積を、接地長×接地幅で見ると、165cm×33cm×2=約1万890cm²。5500kgf(重さの力)をそれで割ると約0.5kgf/cm²です。見かけの面積を使った試算値ですが、人の片足の目安(0.4〜0.5)と同じくらいです。重さは湿地形の約4分の1なのに、接地圧は湿地形(0.36)より少し高い、という比べ方もできます。

海を渡り、帰ってきた機械

G40は戦後に一度海中へ投棄されましたが、引き揚げられ、オーストラリアの農場で使われていました。1979年に発見されて35年ぶりに日本へ戻り、2007年に日本機械学会の機械遺産に認定されています[5]。

戦後、日本の工事現場に広くブルドーザーが入るきっかけは、米軍が災害復旧や復興用に払い下げた機械でした。それまでの土木は、ツルハシとモッコによる人力が中心で、機械化施工への切り替えを大きく促したと、日本建設機械施工協会は書いています[3]。

日本初の国産ブルドーザ、コマツG40(小松1型均土機)は、既存の50馬力ガソリントラクタの前に油圧式の排土板を付けた機械で、1942年12月の依頼からわずか1か月で完成し、1943年から量産された。当時の作業機は米国製でもケーブルで排土板を上げ下げする方式が主流で、油圧方式は画期的だったと、日本建設機械施工協会の機関誌は評価する[5]。製造台数は資料によって約150台、約200台と食い違うので、ここでは台数を断定しない。

主要諸元は、運転整備重量5500kg、50馬力、履帯幅330mm、接地長1650mm、ブレード幅1800mm・高さ750mm、前進3段・後進1段である[5]。接地圧は出典にないので、第1章の式で試算する。履帯2本分を接地長×接地幅(165×33cm)の見かけの面積と見ると約1万890cm²で、5500kgf÷1万890cm²≒0.5kgf/cm²となる。これは見かけの接地面積を使った試算値で、JCMA表の人の片足(0.4〜0.5)と同程度である。

この数字を第1章のD65PX(湿地形)と比べると面白い。重さは約21.9トンと約5.5トンで、およそ4倍あるのに、カタログの接地圧は0.36と0.5で、重い湿地形のほうが低い。重さではなく、面積の取り方が接地圧を決めていることが、2台の比較から読み取れる。ただし機種の用途がちがうため、優劣ではなく設計の方向のちがいである。

G40は戦後に海中へ投棄されたが引き揚げられ、オーストラリアの農場で使われていた。1979年に発見され、35年ぶりに日本へ帰還し、2007年に日本機械学会の機械遺産に認定された[5]。展示場所の記述は2011年時点なので、見学を考える場合は、現在の案内を公式に確かめてほしい。

戦後の一般工事への普及については、JCMAが、米軍が災害復旧・復興用に払い下げたキャタピラー社のD5〜D8などの機械が、人力施工から機械化施工への切り替えを促した効果は大きかったと記している[3]。それまでの土木はツルハシとモッコが中心だった。

7. いまの ブルドーザーは、コンピューターで うごく?

7. いまは設計データを見ながら、排土板が自動で動く

7. 3次元設計データとGNSSによる排土板の自動制御

いま、コマツには、コンピューターを つんだ ブルドーザーが あります[6]。

この きかいには、ブレードの うごきを はかる センサーや、きかいの かたむきを はかる センサーが あります。どこを どんな かたちに けずるか、という 3じげんの 設計せっけいデータも のって います。人工えいせいの 電波で、いまの 場所も しらべます[6]。

それらを つかって、あらく ほる しごとから、さいごの しあげまで、ブレードを 自分で うごかします[6]。ゆあつで うごく ブレードを、せっけいデータに あわせて きかいが 自分で うごかす のです。

近畿地方整備局の新技術のセミナー資料に、コマツのインテリジェントマシンコントロールブルドーザー(D61PXi-23など)が紹介されています。ストロークセンサー付きのシリンダー、高精度の慣性センサー、3次元の設計データ、GNSS(人工衛星による位置の測定)と基準局からの補正情報(RTK)を組み合わせ、粗い掘削から仕上げの整地まで、排土板を自動で動かす機械です。国土交通省の新技術情報提供システム(NETIS)にも登録されています[6]。

ここで使われているシリンダーは、第5章の油圧シリンダーです。それに、伸び縮みを測るセンサーが付いて、設計データと比べながら動かせるようになりました。1943年のG40が選んだ油圧の排土板が、いまは電子の目と地図で動かされている、と見ることもできます(ただし、この資料はそうした歴史のつながりを述べてはいません)。

近畿地方整備局の新技術活用促進セミナーの資料(コマツ)は、インテリジェントマシンコントロールブルドーザー(D61PXi-23など)を、ストロークセンサー付きシリンダー、高精度の慣性センサー、3次元設計データ、GNSS(基準局のRTK補正を併用)で位置を測り、粗い掘削から仕上げ整地まで排土板を自動制御する機械として示す。国土交通省のNETISにも登録されている(KT-130104-VE)[6]。

ここで使われる油圧シリンダーは、第5章で見たものと同じ種類である。そこにストロークセンサーを加えて伸び縮みを測り、3次元設計データとGNSSの位置から、排土板の高さと傾きを設計どおりに合わせる。第6章のG40が選んだ油圧の排土板に、センサーと計算が加わった姿といえるが、資料自体は歴史の連続を主張していない。

ここまで、重さ、面積、歯車、速度差、油圧、データと、観察できる手がかりが並んだ。街の工事現場で、どこを見ればよいだろう。

8. こうじの ようすを、とおくから 見て みよう

8. 足の裏の面積を測り、工事現場の履帯と排土板を見る

8. 接地圧を自分の足で計算し、現場で履帯と排土板を観察する

おうちで できる ことが あります。ほうがんがみを じめんに おいて、くつしたの まま かたあしで のって、ふちを えんぴつで なぞります。まっすぐ たって じっとして ください。

なかの ます目を 数えて、1ます 1平方センチと して めんせきを 出します。体重の 数字を その 数で わると、じぶんが じめんを おす 強さの、おおよその くらべかたに なります。ひょうの 人の かたあし(0.4から 0.5)と くらべて みましょう。くつや 数えかたで かわるので、ちがっても だいじょうぶです。

こうじを して いる ところを 通る ときは、とおくの 安全な ばしょから 見ます。キャタピラの はばや、ブレードの かたちを 見つけて みよう。まがる ときの 左右の うごきも 見られると おもしろいですよ。ちかづいたり、中に はいったり しては いけません。

家でできることがあります。方眼紙を床に置き、靴下のまま片足で乗って、足のふちを鉛筆でなぞります。なぞった中のマス目を数えて、1マス1cm²として面積を出し、体重の数字をその数で割ると、片足立ちの接地圧をおおまかに比べる目安になります。表の人の片足(0.4〜0.5kgf/cm²)と比べてみてください。足の形や、マス目の数え方で変わるので、ちがっても気にしなくて大丈夫です[3]。

工事現場を道路から見かけたら、柵の外の安全な場所から、履帯の幅や排土板の形を観察してみましょう。曲がるときに左右の履帯の速さが変わっているか、排土板が傾くことがあるか。近づいたり、敷地に入ったりしてはいけません。

もっと詳しく知りたいときは、日本建設機械施工協会の「建設機械の解説」にある接地圧の表(表2.1.2)が、ブルドーザーと乗用車、スキーまでを並べて見られる一次資料です[3]。コマツのD65PX/EX-18のカタログには、機種ごとの質量と接地圧が載っています[2]。

接地圧は、自分の足でも試算できる。方眼紙の上に靴下のまま片足で立ち、足の外形をなぞって、中のマス目を数える。1マス1cm²なら、体重の数字をマス目の数で割った値が、片足立ちの接地圧をおおまかに比べる目安になる。JCMA表の人の片足(0.4〜0.5)と比べるとよいが、足裏の形や数え方で値は変わるので、小数点以下の差に意味を持たせない。ブルドーザの表が目安の幅(0.35〜1.15)で示されているのも、機種と条件で値が変わるためである[3]。

工事現場では、柵の外から履帯の幅と排土板の形を観察できる。旋回時の左右の速度差(第4章)や、排土板の傾き(第5章)は、見て確かめられる手がかりである。ただし接近や敷地への立ち入りは避ける。

資料では、JCMAの接地圧の目安表(表2.1.2)でブルドーザ、乗用車、人、スキーを見比べられる[3]。コマツD65PX/EX-18のカタログには機種ごとの質量と接地圧が載り[2]、G40の諸元表(運転整備重量、履帯幅、接地長)は本文の試算の材料にできる[5]。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:辞書、業界団体の解説、国土交通省の資料、メーカーのカタログと発表資料を使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。

  1. コトバンク「ブルドーザー」(デジタル大辞泉・世界大百科事典)。https://kotobank.jp/word/%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%89%E3%83%BC%E3%82%B6%E3%83%BC (ブルドーザーの定義と、排土板が油圧で動くことについて)
  2. コマツ「D65PX/EX-18」カタログ。https://kcsj.komatsu/-/media/kcsj/contact/download/pdf/construction_machine/D65PX_EX-18.pdf (機械質量と接地圧、HSSによる旋回について。メーカーのカタログ)
  3. 日本建設機械施工協会「建設機械の解説 2.1.3 ブルドーザ」。https://jcmanet.or.jp/kikaibukai/kenchiku/pdf2/020103.pdf (履帯、接地圧の目安表、減速とトルク、排土板の種類、戦後の機械化について)
  4. 国土交通省「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示 第9条」。https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/S009.pdf (カタピラの接地圧と接地面積の考え方について。道路を走る車の基準)
  5. 日本建設機械施工協会「建設の施工企画」2011年1月号「ブルドーザ G40(小松1型均土機)の紹介」。https://jcmanet.or.jp/bunken/kikanshi/2011/01/009.pdf (G40の開発の経緯、主要諸元、保存の経緯について)
  6. 近畿地方整備局 新技術活用促進セミナー資料(コマツ)。https://www-1.kkr.mlit.go.jp/plan/ippan/kensetsugijutsuten/ol9a8v0000017u2s-att/11-interi.pdf (ICTブルドーザーの構成と排土板の自動制御について)

なおした ところ

更新履歴

更新履歴(改版の記録)

  •  初版を公開。
  •  中学生向けの題名を、日常の疑問が先に来る形に見直した。

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