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お皿は どうして つるつる なの? かまの 中で おきる こと

お皿がつるつるなのは、窯の中で「ガラス」になるから:釉薬のはたらきと、失敗から見える条件

陶磁器の釉薬はなぜ滑らかな面になるのか:融けて凹凸を埋める過程と、ピンホール・ざらつきという失敗

分野:技術

おちゃわんの おもては つるつる。でも、うらの ふちの あたりを さわると、ざらっと している ことが あります。この ちがいは、かまの 中で うまれます。

お皿の表面は、なぜあんなに滑らかなのでしょうか。素焼きの器と比べると、ちがいがはっきりします。つるつるの秘密は、窯の中で起きる変化にあります。うまくいかなかった例から、その条件を探ってみます。

陶磁器の表面が滑らかなのは、釉薬が焼成中に融け、凹凸や微細な孔をならしたまま固まるためと説明される。ピンホールやざらつきといった欠陥の原因を手がかりに、滑らかな面ができる条件を、複数の資料から整理する。

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1. さわって くらべると

1. 素焼きと、つるつるのお皿

1. 釉薬とは何か:ガラス質の層が素地をおおう

うわぐすりを かけて いない 「すやき」の うつわは、ざらっと しています。うわぐすりを かけて やいた おさらは、つるつるです。

この つるつるの ふしぎを、うわぐすりの ほうから 見て みましょう。うわぐすりは、かまで やくと ガラスのように なる ざいりょうです。

お皿やお茶わんの表面をおおっているのは、釉薬ゆうやくという、ガラスのような層です[6]。この層には、器の表面を滑らかにするはたらきがあります。汚れがつきにくく、洗って落としやすくなる効果もあると説明されています[1]。

素焼きの器にはどうでしょうか。土の中に、目に見えないほど小さな孔が点々とあります。焼く前の釉薬は水にといたどろのような状態なので、この孔にしみこみます[2]。焼くとガラスの層になって、孔をふさぎます。

釉薬は、陶磁器の表面をおおうガラス質の部分である[6]。京都市産業技術研究所の解説では、素地(素地きじ、器の土の部分)をガラス質でコーティングして表面を滑らかにする役割が挙げられ、汚れの付着を防ぎ、洗浄で落としやすくする効果も添えられている[1]。

素焼きの素地には微細な孔が点在する。焼成前の釉は液状で、この孔に浸透するため、焼き上がった層が孔をふさぎ、器が均一に耐水性をもつという説明がある[2]。表面をおおう釉の層が凹凸をならし、孔にしみこんだ釉が孔をふさぐ、と整理できる。本稿は耐水性や絵付けではなく、「滑らかな面」そのものの成り立ちに絞る。

2. うわぐすりは なにで できて いる?

2. 釉薬は何でできているのか

2. 釉の原料:ガラスになる成分と、融ける温度を下げる成分

うわぐすりの もとには、ガラスの もとに なる 石の こなが 入って います。でも、この こなは、そのままでは とても あつく ならないと とけません。

そこで、とける おんどを 下げる ざいりょうも まぜます。ガラスの もとと、とかす ざいりょう。この ふたつの はたらきが そろって、はじめて ガラスの ような まくに なります。

釉薬の原料は、はたらきで三つに分けて説明されることがあります。石灰や灰などのように「融かす」もの、珪石けいせき(シリカ)のように「ガラスになる」もの、アルミナやカオリンのように「素地にくっつける」ものです[4]。ただし、長石ちょうせきのように複数の役割をもつ原料もあり、原料と役割が一対一で決まるわけではありません。

ガラスの素になるシリカは、そのままでは融ける温度がとても高い物質です。そこで、ナトリウムやカリウム、カルシウムの酸化物などを加えて、融ける温度を下げます[3]。多くの陶器や磁器の釉は、1200度以上で融ける「高火度釉」にあたるといわれます[1]。

釉の原料は、役割から三つに整理できる。石灰・灰などは「融かす」、珪石けいせき(シリカ)は「ガラスになる」、アルミナ・カオリンは「素地に接着する」働きをもつ[4]。ただし長石ちょうせきのように複数の役割をもつ原料もあり、原料と役割は一対一に対応しない。

シリカは融点が高いため、ナトリウム・カリウム・カルシウムなどの酸化物を融剤として加え、融ける温度を下げる[3]。1200℃以上で融ける釉を高火度釉といい、多くの陶器・磁器がこれにあたるという[1]。

3. かまの 中で とけて ならす

3. 窯の中で、凹凸をならす

3. 焼成中の釉:融けて凹凸と孔をならす

チョコレートの かけらを あたためると、とけて たいらに なります。さめると、そのまま かたまります。うわぐすりの すがたも、すこし にて います。

かまの 中で、うわぐすりの こなは、みずのように ながれる ものに なります。でこぼこや ちいさな あなを うめる ように ならして、さめると かたまります。ただし、ほんとうの うわぐすりは、チョコレートより ずっと あつい 1200度くらいの ところで とけます。

つるつるの答えは、釉が液体になり、冷えてガラスの層になることにあります。焼いている間、釉の成分は融けて、水あめのような液体になります。このとき、表面の細かい凹凸や小さな孔を、傷をなおすようにならします。冷えると、その形のまま固まります[3]。英語版のウィキペディアは、これを「釉が表面をなおす(heal)」と表現しています。

釉は、素地よりも流れやすい性質があります。長石と珪石だけの釉だと、志野茶碗のように、どろどろと流れ落ちることもあるそうです[7]。なぜ、流れた液体が水平に近い面になるのか。その仕組みまでは、今回読んだ資料には書かれていませんでした。

液体になった釉が表面をならし、冷えてガラス質の層になる。これが滑らかさの答えである。焼成中に釉の成分は融けて液体となり、表面の凹凸や微細な孔を「なおす」ようにならし、冷却でそのまま固まる。英語版Wikipediaは、この過程を釉が表面を癒す(heals over)と表現し、欠陥をなだらかにして多孔質さをなくすと述べる[3]。

釉は素地より流れやすい。長石と珪石だけを釉にすると、志野茶碗の釉のようにどろどろ流れる、と土岐市の解説は例示する[7]。一方で、液体がなぜ水平に近い面になるのか(表面張力などの寄与)までは、今回読んだ資料には書かれていなかった。「融けて凹凸を埋める」という説明にとどめる。

4. 小さな あなが のこる とき

4. 気泡が抜けないと「ピンホール」になる

4. ピンホール:融けた釉に残った気泡

つるつるの おさらに、はりで つついた ような ちいさな あなが 見えることが あります。これは 「ピンホール」と よばれます。

とけた うわぐすりの 中に、あわが のこって しまうと、さめた あとも あなに なります。あわが ぬけるか どうかは、とけて いる 間の ねばりぐあいで かわります。

釉の表面に、針の先でつついたような小さな孔が出ることがあります。「ピンホール」と呼ばれる欠陥です。融けている間に釉の中の気泡が抜けきらないと、冷えて固まったあとも孔として残ります。抜けるかどうかは、融けている間の粘りぐあいで変わると説明されています[5]。

気泡のもとはいくつかあります。調合のときに混ざった泡、素地や釉に含まれる有機物、石膏が分解して出るガスなどです。釉が厚いと有機物が燃えて出るガスが増え、ピンホールになりやすいそうです[5]。

ピンホールは、釉面に針の先でつついたような小孔ができる欠陥である。融けた釉の中の気泡が抜けずに固まると生じ、融けている間の粘りしだいで気泡は釉面に残る、と土岐市立陶磁器試験場の資料は述べる[5]。

気泡の発生源は、調合時に混じった泡、素地や釉の有機物や石膏の分解ガス、燃料ガス中の硫黄などがある。釉が厚いほど有機物の燃焼で二酸化炭素が多く出て、ピンホールになりやすいという[5]。滑らかな面は、釉の融け方やガスの抜け方など、複数の条件が整った結果として読める。

5. ざらざらに なる とき

5. ざらつく原因は、三つの方向から

5. ざらつき・ツヤ不足:釉の厚みと粒の細かさ

ざらざらに なる こと も あります。うわぐすりが うすすぎる とき。こなを こまかく すりつぶす のが たりない とき。

ぎゃくに、すりすぎても だめな ことが あります。こまかすぎると、ひくい おんどから とけはじめ、とけすぎて ピンホールが できる からです。「ちょうど よい」ところが あります。

ざらつきやつや不足は、釉のかけ方が薄すぎるときに起きやすいと、陶磁器試験場の資料にあります[5]。釉の原料を粉にする作業(摺り)が足りないときも、つや不足の原因になります。

反対に、細かく摺りすぎると、低い温度から融けはじめて融けすぎ、ピンホールが出ます[5]。粒の細かさにも「ちょうどよい」範囲があります。素焼きの素地に細かい凹凸があると、釉がかかりにくい場所ができて、やはりピンホールが出やすくなります。対策は、素地を細かいサンドペーパーなどで丁寧に仕上げることだそうです[5]。

土岐市立陶磁器試験場の資料は、釉掛けが薄すぎると釉面のざらつきやツヤ不足が起きやすく、釉の摺りが足りない場合もツヤ不足の原因になると述べる[5]。

逆に、摺りすぎて粒が細かすぎると、低い温度から融けはじめて融け過ぎになり、ピンホールが出る[5]。粒の細かさにも適正な範囲がある。素焼きの素地に細かい凹凸があると、釉がかかりにくい部分ができてピンホールを生じやすいので、サンドペーパーなどで丁寧に仕上げる対策が挙げられている[5]。滑らかさは、素地・釉の厚み・粒度・焼成の温度が噛み合った結果といえる。

6. つるつるでも いろいろ

6. つるつるにも、つやのちがいや細かいヒビがある

6. 釉は単純なガラスではない:透明・マット・貫入

うわぐすりには、つやの ある ものも、つやの ない ものも あります。つるつるでも、光りかたは ぜんぶ ちがいます。

また、つるつるの 中に、ごく 細い ひびが 入る ことも あります。うつわの つちと うわぐすりは、さめる ときの ちぢみかたが ちがう ことが あるからです。

釉は、単純なガラスではないと説明されています。材料の調合や焼き方によって、完全に融けたか、融けきれない成分や気泡が残ったか、結晶が出たかがちがい、色や質感が大きく変わります[1]。

透明な釉は、成分のバランスがよいときにできます。バランスがくずれると、ざらざらになったり、にごって不透明になったりします。カオリンを増やしていくと、つやのないマット(つや消し)の釉になるそうです[4]。

素地と釉は、熱による膨らみ方・縮み方がちがいます。冷えるときの差で、釉に細かいヒビが入ることがあり、これを貫入かんにゅうといいます[5]。

釉は単純なガラスではない。原料の調合と焼成条件により、完全に融けたのか、未溶融の成分や気泡が残ったのか、結晶が析出したのかで、色も質感も千変万化するという[1]。

透明釉は、アルカリ・中性・酸性の成分のバランスがよいときにでき、崩れるとざらざらや不透明になる。カオリンの割合を増やすと失透し、さらに増やすとマット状になる、と別の解説は述べる[4]。

素地と釉は、焼成・冷却での膨張収縮の度合いが異なり、その差で釉に細かいヒビ、貫入かんにゅうが入ることがある[5]。つるつるの面にも、それを保つための条件がいくつも要ることになる。

自分でも しらべて みたく なったら

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

おうちの おさらを 1まい えらんで、あかるい ところで、ななめから ひかりを あてて、ひょうめんを 見て みましょう。ちいさな あなや、細かい ひびが 見つかる ことが あります。

ふちが かけて いる おさらは、けがを する ことが あるので、さわらないで ください。

今日できること:家のお皿を1枚選び、明るいところで、斜めから光を当てて表面を見てみます。針でつついたような小さな孔(ピンホール)や、細い線のようなヒビ(貫入)が見つかるかもしれません。まったく見つからない皿もあります。

欠けている皿や、ヒビが大きい皿は、けがのもとになるので、さわらずに大人に相談してください。

公式情報:都道府県や市町村の陶磁器の試験場は、日本語で欠陥の解説や講習の案内を出していることがあります。

本稿の中心資料は、土岐市立陶磁器試験場の「陶磁器の欠陥」である[5]。ピンホールやざらつきのほか、貫入などの原因が、現場の言葉で整理されている。京都市産業技術研究所の解説[1]は、釉が「単純なガラスではない」理由を、より広い視点で読める。

家の食器を斜めの光で見ると、小孔や貫入が見つかることがある。欠けた縁や大きなヒビのある食器は、けがのもとになるため扱いに注意する。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

つるつるの仕組みは、焼き物の現場や研究機関が書いた複数の資料をつき合わせて説明しています。

  1. 京都市産業技術研究所「陶磁器釉薬の最近」 https://www.newglass.jp/mag/TITL/maghtml/130-pdf/+130-p019.pdf (釉の役割、融け方による質感のちがい、高火度釉)
  2. ヒトツチ「焼き物を科学する④」 https://hitotsuchi.media/science-of-ceramics-4/ (素地の孔と釉の関係)
  3. Wikipedia「Ceramic glaze」 https://en.wikipedia.org/wiki/Ceramic_glaze (融けて凹凸をなおす表現、融剤)
  4. 陶芸の窯と釉「釉薬の3大要素」 https://touroji.com/yuuyakunosyurui/yuuyakunosandaiyouso.html (原料の三つの役割、透明釉とマット釉)
  5. 土岐市立陶磁器試験場「陶磁器の欠陥」 https://www.city.toki.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/002/172/toujiki.pdf (ピンホール、ざらつき、貫入の原因)
  6. Wikipedia「釉薬」 https://ja.wikipedia.org/wiki/釉薬 (釉薬の定義)
  7. 土岐市「焼き物の素地に長石を入れる理由」 https://www.city.toki.lg.jp/sangyo/sangyo/1004876/1006413/1002181.html (釉が流れやすい例)

なおした ところ

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