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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

土の おさらは、どうして われずに できるの?

土がお皿になるまで ── 練る・乾かす・2回焼くのは、割れないため

陶器の皿ができるまで ── 素地づくりから素焼き・施釉・本焼きまでの工程と、破損を防ぐ理由

分野:技術

土で つくる「とうき」の おさらや ちゃわんは、もとは 山の 土です。土は 水に ぬれると どろどろに なるのに、できあがった おさらには 水を 入れても とけません。

その ひみつは、「土を やく」だけでは ありません。じつは、ゆっくり かわかしたり、2回 やいたり、いくつもの 手間が あります。ひとつずつ たどって みましょう。

山でとれた土が、水を入れてもとけない皿になる。考えてみると不思議です。土の皿は、焼く前は水でやわらかくなりますが、焼いたあとはお茶を注いでも崩れません。

この間には、練る、形にする、乾かす、素焼き、釉薬をかける、本焼き、という順番があります。どの工程にも「割れないため」の理由があると説明されています。それを資料から見ていきます。

陶器の皿は、山の土を原料に、素地づくり、成形、乾燥、素焼き、施釉、本焼きの順を経てできる。九州陶磁文化館、土岐市、益子の産地案内、陶芸用語のサイトなどを読み比べると、各工程には破損を避けるための理由が付いている[5][1][2]。

本稿は、工程の順に、その理由を整理する。釉薬の模様や色の仕組みには深入りせず、工程の1つとして扱う。数値は資料や土によって幅があり、丸めて書く。

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1. 山の 土は、そのままでは つかえない?

1. 山の土を、皿の土にする ── 粘土と、ガラスになる粉

1. 素地づくり ── 粘土に長石・珪石を合わせ、水簸で不純物を除く

やきものの 土は、粘土ねんどが 中心です。粘土ねんどには ねばりが あって、形を つくって、そのまま たもてます[1]。

そこへ、石の こなを まぜる ことが あります。その 石は、火で ゆっくり とけて、ガラスのように なる 石です。形が くずれにくく なると いわれます[1]。

山から とった 土は、まず かわかして、こなに します。つぎに 水の 中に 入れて、ごみを とりのぞきます。さいごに、手で よく ねります[2]。

陶器の皿の土は、粘土だけではなく、珪石や長石という石の粉を混ぜたものが使われます。粘土は形をつくって保つために欠かせず、資料によれば少なくとも3割は必要だとされます。長石は熱で広い温度の幅にわたってゆっくり溶け、ガラス質をつくるので、形が崩れにくくなるといいます[1]。

混ぜる割合は資料ごとに少しちがうため、ここでは「粘土が主役」とだけ覚えておきます。

栃木県の益子では、大津沢あたりの山の土を使うと紹介されています。砂っぽくて粘りが強い土で、乾かして砕き、水に入れて不純物を取りのぞく「水簸」をしてから、手でよく練ります[2]。

陶器の素地は、粘土に珪石と長石を混ぜたものである。土岐市の説明では、粘土は形をつくり保つために必要で少なくとも30%、長石は広い温度域でゆっくり溶けてガラス質をつくり、形を崩れにくくするという[1]。配合比は同じ土岐市の資料でも複数あり、粘土50%前後とする例が見えるが、産地や製品で異なるため、数字は目安にとどめる。

益子の英語の産地案内は、大津沢周辺の山の土を、砂っぽく粘りが強いと紹介する。使う前に乾燥・粉砕し、水に入れて不純物を除く水簸を行い、手で十分に練るという[2]。ただしこれは観光系の産地案内である。

2. なぜ、土を よく ねるの?

2. 練って空気を抜き、厚さをそろえて形をつくる

2. 土練りによる脱気と、成形時の厚みの均一化

形を つくる 前に、土を よく ねります。これは 中の 空気を ぬく ためです。空気が のこると、やく ときに 中から こわれる もとに なると いわれます[3]。

形は、ろくろを まわして 作ったり、手で つくったり、うすい 土の 板を 使ったり、かたに 土を 入れたり します[3]。

ここで 大じなのは、あつさを そろえる ことです。あつい ところには 水が たくさん 入って います。かわく とき、そこだけ 大きく ちぢんで、われやすく なります[3]。

たとえば、ぬれた タオルを ほすと、あつい ところだけ いつまでも かわきません。おさらの 土も、あつい ところは 水が のこりやすい のです。

成形の前には、土を練って空気を抜きます。「脱気」と呼ばれる作業で、真空の機械を使うことも、手で練ることもあります。空気が残ると、焼くときに内側から割れる原因になると陶芸の解説サイトは説明しています[3]。空気や水蒸気で中から壊れる、というくらいに考えておくとよさそうです。

形をつくる方法は、ろくろ、手びねり、型に流しこむ「鋳込み」、板状の粘土を使う「たたら」などがあります[3]。

どの方法でも、厚さをそろえることが大切だとされます。厚い部分は水分が多く、乾くときの縮みが大きくなり、焼くときに水分が残れば破損の原因になるからです[3]。濡れたタオルを干すと、厚いところだけなかなか乾かないのと似ています。

成形前に土練りで空気を抜くことを脱気という。真空土練機か手による菊練りなどで行い、この工程を省くと乾燥時の歪みや焼成時の破損につながる。空気は高台や底の内部に閉じ込められやすいという[3]。「水蒸気爆発」という通称もあるが、現象名として厳密かは確認できず、「内側から割れる」と書くにとどめる。公的機関の一次資料では確かめていない。

成形はろくろ、手びねり、鋳込み、たたらなどによる。厚い部分は水分が多く、乾燥時の収縮が大きくなり、焼成時に水分が残ると破損する。そのため厚みの均一化が重視される[3][7]。

3. かわかすのは、いそいでも いいの?

3. ゆっくり均一に乾かす ── 水が残ったまま焼くと割れることがある

3. 乾燥 ── 残った水分が高温で水蒸気になる問題

形が できたら、かわかします。日かげで、ゆっくり、ぜんぶが おなじように かわくように します[6]。

かわききらない うちに やくと、中の 水が すごく あつく なって、ゆげのように なります。その ちからで、われたり、まがったり する ことが あります[3]。

かわく までの 日数は、おおきさや あつさで かわります。せかさない のが こつです。

形ができたら乾燥させます。京都芸術大学の陶芸コースの説明では、ゆっくり自然に乾かし、全体が均一に乾くように置き場所を工夫することが大切だとされています[6]。

乾き方が足りないまま焼くと、中に残った水分が高温で水蒸気になり、割れたり歪んだりするおそれがあるそうです[3]。かかる日数は、大きさや厚みで変わります。

乾燥は、大きさや厚みにより期間が異なる。京都芸術大学の陶芸コースは、ゆっくり自然乾燥できるよう、全体が均一に乾くようにセッティングすることが重要だと述べる[6]。

乾燥が不十分だと、内部に残った水分が焼成時の高温で水蒸気になり、破損のおそれがあると陶芸用語サイトは説明する[3]。前章の厚みの不均一が、ここでも問題になる。

4. どうして、さいしょに 小さな 火で やくの?

4. 本番の前に一度焼く ── 素焼き

4. 素焼き ── 約800℃、水分を数%まで減らし、収縮を分ける

かわいた あと、いきなり つよい 火では やきません。まず、ひくめの 火で 1回 やきます。これを「すやき」と いいます。

かたちを つくった あとの 土には、まだ 水が 5ぶんの 1ほど のこって いる ことが あると いわれます。すやきで、これを ほんの すこしまで へらします[4]。おんどは、800どぐらいです[5]。

やくと、土に 小さな あなが できます。そのため、あとで つける うわぐすりを すいこみやすく なります。おさらも、すこし かたく なって、あつかいやすく なります[5]。

成形して乾かした土には、まだ2割ほどの水分が残っていることがあるといいます。素焼きは、これを数%になるまで焼き、本焼きでの破損を減らす工程です[4]。温度は600〜800℃ほどとされ、九州陶磁文化館の説明では800度ぐらいです[5]。

素焼きをすると、器に細かい穴ができるので、あとで塗る釉薬を吸いやすくなります。器も適度に硬くなり、扱いやすくなります[5]。

もう1つの理由は縮みです。陶芸用語のサイトには、成形から本焼きまでに20%縮む土でも、素焼きで8%縮めば、本焼きでの縮みは12%で済むという例があります[4]。これは数字の例であり、形や土によって縮み方はちがいます。どの土でも同じ値というわけではありません。

成形後の粘土にはなお20%程度の水分が残っており、素焼きでこれを数%になるまで焼くことで、本焼きでの破損を減らし、釉薬を吸いやすくする。20%は一例で、全ての土に共通の値ではない[4]。

温度は一般に600〜800℃で、九州陶磁文化館は約800度と述べる。資料により600〜900℃と幅がある[5][4]。焼くと素地に細かい穴ができて釉薬を吸いやすくなり、適度に硬くなって取り扱いやすくなる[5]。

素焼きには収縮を2回に分ける働きもある。成形から本焼きまでに20%縮む土でも、素焼きで8%縮めば本焼きの収縮は12%で済む、という例が示されている。この20・8・12%は例示であり、実測値ではない[4]。一般的な全体の収縮率(1〜2割とされる)は、産地の一次資料では確認できなかった。

5. うわぐすりって、なに?

5. 釉薬をかける ── ガラスの膜になるもの

5. 施釉 ── 浸す・かける・吹きつける

すやきが おわったら、おさらに「うわぐすり」を つけます。うわぐすりは、やくと ガラスの ように なる ものです。

つけかたは、いろいろです。おさらを どぼんと つけたり、うえから かけたり、ふきつけたり します[7]。

ガラスの ように なる ことは、九州の はくぶつかんの せつめいに あります[5]。もようや いろの ひみつは、べつの ノートで くわしく 見て みましょう。

素焼きした器に釉薬をつけます。浸す、かける、吹きつけるなど、いろいろなやり方があります[7]。釉薬は焼くとガラスのようになる、と九州陶磁文化館は説明しています[5]。

釉薬をかけたあと、器はもう一度乾かしてから本焼きに入ります[3]。模様や色の仕組みは、別の記事で扱います。

施釉は、素焼きした器の表面に、釉薬を浸す・かける・吹きつけるなどしてつける工程である[7]。釉薬は焼くとガラス質の層になる[5]。

釉薬をつけた器は、本焼きに向けて再度乾燥させる[3]。釉薬の色や模様、絵付けの仕組みは本稿では扱わない。

6. ほんばんの 火は、どれくらい あつい?

6. 本焼き ── 1200℃前後で焼き締める

6. 本焼き ── 1200〜1300℃と、陶器と磁器の吸水率

いよいよ、ほんやきです。かまの 中を、1200どぐらいまで あつくします[5]。ふだんの くらしでは ふれない ほどの、とても 高い 温度です。

やくと、おさらは かたく やきしまり、表面は ガラスの ように なります[5]。ましこという 町では、まきを つかう のぼりがまで、2日から 3日ほど かけて やく ことが あると しょうかいされています[2]。

やきものは、かまに 2回 入る ことに なります。手間が かかる のです。だから、おさらは 大切に つかいたく なります。

本焼きは、陶器でおよそ1200〜1300℃です。焼くと硬く焼き締まり、表面がガラスのようになると九州陶磁文化館は説明しています[5]。陶器の本焼きを1100〜1200℃とする資料もあるので、「1200℃前後」ととらえておきます。益子の登り窯では、薪で48〜72時間かけて焼くと紹介されています[2]。

陶器は素地に細かい穴が多く、吸水率が10%近いこともあるといいます。釉薬の膜が水を防ぐ役をするのは、この穴を考えると納得しやすいところです。ただ、この点は資料の言葉をつなげた読み方です。磁器は陶器より高い温度(およそ1250〜1350℃)で焼き、吸水率はほぼ0%とされます[8]。

乾燥、素焼き、施釉、本焼きと、窯には2回入ります。手間のかかる仕事です[3]。

本焼きは、陶器でおよそ1200〜1300℃。焼き締まって硬くなり、表面がガラス状になる[5]。陶器の本焼きを1100〜1200℃とする資料もあるため、「1200℃前後」とする。益子の登り窯では薪で48〜72時間かける[2]。

磁器は1250〜1350℃で焼き、吸水率はほぼ0%。陶器は素地に細かい穴が多く、吸水率が10%近くになることもある[8]。そのため陶器では、釉薬の層が水を通しにくくする役をすると考えられるが、これは複数資料の記述をつなげた推論であり、原文が直接そう述べているわけではない。

工程全体では、成形後に乾燥、素焼き、施釉、再乾燥、本焼きと進み、窯には2回入る[3]。

7. じぶんでも たしかめて みたく なったら

7. 自分でも調べてみたくなったら

7. 自分でも調べてみたくなったら

やってみよう。うちに ある ちゃわんや おさらを ひっくり返して、いちばん 下の ところ(うわぐすりが ついて いない ところが あります)を 見て みましょう。ざらざら している ところと、つるつる している ところを 見つけたら、それが どんな ちがいか、おうちの 人と 話して みます。われやすい ものなので、テーブルの 上で、そっと あつかいましょう。

おうちの 人と やきもの市や お店に 行く ことが あれば、「すやき」の まま おいて ある ものが ないか、さがして みましょう。

次のようなことを、調べたり試したりできそうです。

  • 家にある陶器の皿や茶わんを裏返し、釉薬がかかっていない部分と、つるつるした部分を見くらべてみましょう。割れやすいので、テーブルの上で、そっと扱います。
  • 九州陶磁文化館のページなど、公的な施設の「やきもののつくりかた」を読み、この記事とちがうところがあるか探してみましょう[5]。
  • 近くに窯元や陶芸教室があれば、素焼きと本焼きを別の日に見せてもらえるか、聞いてみるのもよいでしょう。
  1. 九州陶磁文化館の工程解説[5]と、陶芸用語サイト[3][4]を読み比べ、素焼きの温度や水分量の書き方の差を表にしてみる。同じ工程・条件の数値どうしを比べ、条件が違うときは分けて表にする。
  2. 本稿の破損の理由の一部(脱気、乾燥)は、陶芸各サイトの説明に依拠しており、公的機関の一次資料までは確かめていない。土岐市の陶磁器試験場など、研究機関の資料が読めるか探してみる。
  3. 家の陶器の裏側の、釉薬がかかっていない部分を観察する。割れ物なので、安定した場所で扱う。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:自治体、博物館、大学、産地の案内、陶芸用語のサイトを突き合わせて使いました。産地組合や研究機関の一次資料までは確かめていません。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いています。

  1. 土岐市公式サイト「焼き物の素地に長石を入れる理由」。 https://www.city.toki.lg.jp/sangyo/sangyo/1004876/1006413/1002181.html (粘土と長石の役割、粘土の割合について)
  2. Mashiko pottery guide(益子の産地案内、英語)。 https://mashiko.com/en/mashiko-pottery-guide/ (益子の土の準備、登り窯の焼成時間について)
  3. 陶芸用語サイト「作成工程と用語」。 https://touroji.com/elementary_knowledge/toujikinosakuseikoutei.html (土練り、成形、乾燥、施釉後の再乾燥について)
  4. 陶芸用語サイト「素焼の目的」。 https://touroji.com/manufacture/suyaki_mokuteki.html (素焼きの水分量と縮みの例について)
  5. 佐賀県立九州陶磁文化館「やきもののつくりかた」。 https://saga-museum.jp/ceramic/yakimono/qa/03.html (素焼きと本焼きの温度、釉薬がガラスになることについて)
  6. 京都芸術大学 陶芸コースのブログ。 https://www.kyoto-art.ac.jp/t-blog/?p=112160 (乾燥のしかたについて)
  7. 井元産業「陶磁器の製造工程」。 https://imotosangyo.biz/jp/news/p5053/ (厚みと乾燥、釉薬のつけ方について)
  8. 土岐市公式サイト「磁器と陶器の違い」。 https://www.city.toki.lg.jp/sangyo/sangyo/1004876/1006413/1002176.html (陶器と磁器の吸水率、焼く温度について)

なおした ところ

更新履歴

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