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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

くりは ナッツ? ピーナッツは ナッツじゃないの?

栗はナッツなのか——植物学と食品売り場で分け方が変わる理由

堅果とナッツのずれ:クリ・アーモンド・ラッカセイの分類を二つの基準で読む

分野:自然

くりは ナッツの なかまと いわれることが あります。でも ピーナッツは ナッツでは ない、という はなしも きいた ことが ありませんか。どちらが ほんとうなのでしょうか。

植物の本では、栗は「ナッツ(堅果)」の代表として出てきます。逆にピーナッツは、ナッツとして売られていても、植物としてはナッツではないと説明されます。どちらの言い方も、まちがいではありません。

植物学でいう堅果(けんか)の代表はクリやドングリで、アーモンドやピーナッツは含まれない。一方、食品の分類では、栗もピーナッツもまとめて「種実類」に入る。二つの基準がどうずれるのかを、資料から順に確かめる。

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1. どうして こたえが ふたつ あるの?

1. 「ナッツ」には、分け方が二通りある

1. 分類の目的が二つある

としょかんと ほんやさんでは、おなじ 本でも ならべる たなが ちがいます。としょかんは 「なにについての 本か」で わけ、ほんやさんは 「うれやすい じゅんばん」で わけることも あるからです。

ナッツも これに にています。しょくぶつの ほんは 「どんな みか」で わけ、たべものの ほんは 「どう たべるか」で わけます。ものさしが ふたつ あるので、こたえも ふたつ あるのです。

図書館と書店では、同じ本でも置かれる棚がちがいます。図書館は内容で、書店は売れ方や読者層で分けることがあるからです。

ナッツも似ています。植物学は「どんな実か」という体のつくりで分けます。食品の世界では、食べる種子をまとめて食品群に分けます。目的がちがえば、同じ栗でも入る棚がちがってきます。この記事では、この二つの棚を順に見ていきます。

「ナッツ」という語は、植物の果実の型を指す学術用語としても、食品の区分としても使われる。両者は目的が異なり、範囲が一致しない。この記事では、前者を「堅果」、後者を「種実類(ナッツ)」と呼び分けて整理する。

2. しょくぶつの ほんでは くりが だいひょう

2. 植物学の「堅果」は、かたくて開かない実

2. 堅果の定義:果皮が堅く、裂開しない

しょくぶつの ほんで 堅果けんかと よばれるのは、かわが かたくて、じゅくしても ぱかっと わらない みです。なかには たねが 1こから すこし はいっています。[1]

くりや どんぐりは、この なかまの だいひょうです。[2]

くりの いがや、どんぐりの ぼうしは、殻斗かくとと いいます。[1] みの もとを つつむ ところです。

植物学でいう堅果とは、果皮が堅く乾いていて、熟しても割れて開かない果実のことです。中には種子が1個から数個入っています。[1]

典型的な例は、クリ、ドングリ(コナラなど)、ヘーゼルナッツです。ブナ科やカバノキ科の木に見られるとされています。[2]

クリのいがも、ドングリの帽子も、実の根もとにつく殻斗という部分です。殻斗をつける堅果は、殻斗果とも呼ばれます。[1]

堅果は、果皮が堅く乾燥し、成熟しても開裂しない果実で、内部に1〜数個の種子を含む。国語辞典の定義では、二個以上の心皮からなる果実とされる。[1] 典型例はクリ、コナラ属のドングリ、ヘーゼルナッツで、ブナ科・カバノキ科に見られる。[2]

基部に殻斗(クリのいが、ドングリの椀など)をつけることが多く、殻斗果とも呼ばれる。[1] ドングリを覆う殻斗はブナ科の果実に共通する特徴でもある。[3]

3. くりは どんぐりの なかま?

3. 栗はドングリの仲間なのか

3. 「ドングリ」の範囲は定義しだいで変わる

くりは どんぐりの なかまでしょうか。「どんぐり」と いう ことばの つかいかたに よって、こたえが かわります。

ひろい いみでは、ブナの なかまの みは ぜんぶ どんぐりです。くりも ブナの なかまなので、はいります。せまい いみでは、くりは のぞかれます。[3]

「くり = どんぐり」と いいきるのは、むずかしいのです。

ドングリという言葉には、使い方の幅があります。広い意味ではブナ科の果実の俗称です。これだと、同じブナ科の栗も含まれます。

やや狭い意味では、クリ、ブナ、イヌブナを除いたブナ科の果実を指します。もっとも狭い意味だと、コナラ属の果実だけです。[3]

つまり「栗はドングリか」という問いには、「どの意味で使うか」を決めないと答えられません。

ナラ類やカシ類のドングリは、渋み成分のタンニンが多く、そのままでは食べにくいと説明されています。アク抜きをすれば食べられます。[3]

ドングリの定義は三段階ある。広義にはブナ科の果実の俗称、狭義にはクリ・ブナ・イヌブナ以外のブナ科の果実、最狭義にはコナラ属の果実とされる。[3] したがって、クリがドングリに含まれるかは、どの段階を採るかで決まる。この記事では「クリ=ドングリ」とは断定しない。

ナラ類・カシ類のドングリはタンニンが多く、生食には向かないが、アク抜きを経て食用にできる。[3] 食べやすさは、堅果かどうかとは別の問題である。

4. アーモンドと ピーナッツは どうなの?

4. アーモンドは核果、ピーナッツはマメ科

4. 核果とラッカセイ:堅果に入らない代表例

アーモンドは、しょくぶつの ほんでは 堅果けんかでは ありません。たべている ぶぶんの まわりに、かたい からが ある ことから、ももや うめと おなじ「かくか」の なかまと される ことが あります。[4]

ピーナッツは まめの なかまです。はなが おわると、えだが じめんに むかって のび、つちの なかで みを つくります。[5]

つちの なかで そだつ まめ、というと、ふしぎですね。

アーモンドやピスタチオは、植物学では核果に分類されると説明されています。核果は、桃や梅のように、内側の果皮だけが硬くなった実です。私たちが食べているのは、その硬い殻の中の種子です。[4]

ピーナッツ(ラッカセイ)はマメ科の一年草です。花が終わると、子房柄という部分が地面に向かって伸び、地中にもぐります。その先にさやができ、中に種子ができます。標準和名はナンキンマメです。[5]

クルミやマカダミアの分類については、資料によって説明が分かれます。ここでは断定せず、例はアーモンドとピーナッツにしぼります。

アーモンド・ピスタチオ・ココナッツは、内果皮のみが硬化した核果に分類される。食用部は核の内側の種子である。[4] クルミ科やマカダミアの扱いは資料により表現が揺れるため、ここでは例に含めない。

ラッカセイ(落花生)はマメ科ラッカセイ属の一年草で、開花後に子房柄が地中へ伸び、先端にさやが形成される(地下結実)。標準和名はナンキンマメ。[5] 果実は豆果であり、堅果ではない。[4]

5. たべものの ほんでは ぜんぶ おなじ はこ

5. 食品の世界では「種実類」でまとまる

5. 種実類:食品成分表の側の分類

たべものの ほんでは、くりも アーモンドも ピーナッツも 「種実類しゅじつるい」と いう おなじ はこに はいります。しょくぶつの ほんとは、はこの わけかたが ちがうのです。[4]

たべる ほうから みると、「かたい からに つつまれた たべる ぶぶん」を ナッツと よぶ ほうが、わかりやすいのです。[4]

日本食品標準成分表では、種実類は「食べる種子のうち、穀類や豆類ではないもの」とされています。ところが脂質が多いラッカセイは、便宜的に種実類に入れているという説明があります。[4]

「ナッツ」という言葉は、食べる部分が硬い殻に包まれた果実や種子を指して使われ、種実類とほぼ重なります。ゴマのような小さな粒は、ふつうナッツには含めません。[4]

この分け方は、食べる種子を食品群にまとめるためのもので、植物学の果実の型とは目的も範囲もちがいます。

日本食品標準成分表(八訂)の区分では、種実類は「食用とする種子のうち、穀類あるいは豆類以外の食品群」と説明される。脂質含量の高いラッカセイは、便宜的に種実類に入れられている。[4] 「便宜的」という説明は二次資料によるものだ。

食品としての「ナッツ」は、食用部が堅い殻に包まれた果実・果実の一部・種子を指し、種実類とほぼ重なる。ゴマなどの小粒は通常含まれない。[4] つまりこの分類は、食用とする種子を食品群に分けるもので、植物学上の果実の型とは目的も範囲も異なる。

6. くりと アーモンドを くらべてみよう

6. 栗とアーモンドの成分を見比べる

6. 成分値の比較:炭水化物の多い栗と脂質の多いアーモンド

くりと アーモンドは、おなじ 種実類しゅじつるいでも、なかみが だいぶ ちがいます。

あぶらの りょうを みると、なま の くりは 100グラムに 0.5グラム、かんそうした アーモンドは 51.8グラムです。[6][7] およそ 100ばいの ひらきが あります。

ただし、くりは みずが おおく ふくまれた なまの もので、アーモンドは かわいた ものです。くらべる ときは、この ちがいも わすれないで ください。

栗とアーモンドは同じ種実類でも、成分がかなりちがいます。食品成分データベースの値(可食部100gあたり)を並べます。[6][7]

日本ぐり(生)アーモンド(乾)
水分58.8g4.7g
たんぱく質2.8g19.6g
脂質0.5g51.8g
炭水化物36.9g20.9g
エネルギー147kcal609kcal

脂質は約100倍(51.8÷0.5)ちがいます。ただし生の栗と乾いたアーモンドの比較なので、水分のちがいも効いています。栗は水分と炭水化物が多く、アーモンドは脂質とたんぱく質が多いことが読み取れます。

文部科学省の食品成分データベース(可食部100g)では、日本ぐり(生)は水分58.8g、たんぱく質2.8g、脂質0.5g、炭水化物36.9g、147kcal。アーモンド(乾)は水分4.7g、たんぱく質19.6g、脂質51.8g、炭水化物20.9g、609kcalである。[6][7]

脂質の比は51.8÷0.5≒104で、約100倍。ただし生と乾を比べているため、水分の差(58.8g対4.7g)が数値に含まれる点に注意が必要で、生栗と生アーモンドを比べたものではない。同じ「種実類」でも、栗は炭水化物が多く、アーモンドは脂質が多いという違いは読み取れる。

7. じぶんでも しらべてみたく なったら

7. 自分でも調べてみたくなったら

7. 自分でも調べてみたくなったら

おうちの ナッツの ふくろの うらを みてみましょう。「げんざいりょうめい」に かいてある ものを、「はいっているのは、くりの なかま? まめの なかま?」と かんがえて みるのです。

ナッツの ふくろが おうちに なければ、おさんぽで どんぐりや くりの いがを さがして、ぼうしの ような ところ(殻斗かくと)を みくらべても たのしいです。

今日できること:家にあるナッツの袋の原材料名を見て、「木の実」「豆」のどちらに近いかを予想してみてください。ピーナッツは植物としては豆の仲間です。

散歩のとき、ドングリや栗のいがを見つけたら、実の根もとの殻斗(帽子やいが)を見比べるのもよい方法です。ただし季節によっては見つからないことがあります。

公式情報:食品成分データベースでは、ほかの種実類も数値で見比べられます。

今日できること:食品成分データベースで、クルミ・カシューナッツ・ゴマなどの成分を調べ、栗やアーモンドと比べる。植物学上の分類は、資料ごとに表現が異なる場合があるので、複数の資料で照合するとよい。

身近な観察:家にあるナッツ類の袋の原材料名と、散歩で見つけたドングリやクリの殻斗を見比べる。

公式情報:文部科学省「食品成分データベース」と、日本食品標準成分表の本文。成分表本文では「種実類」の区分の説明とラッカセイの扱いを読み比べるとよい。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

この記事の事実は、次の資料をもとにしています。

  1. コトバンク「堅果」(精選版 日本国語大辞典・デジタル大辞泉) https://kotobank.jp/word/%E5%A0%85%E6%9E%9C-60283 (堅果と殻斗の定義)
  2. Wikipedia「堅果」 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A0%85%E6%9E%9C (堅果の典型例)
  3. Wikipedia「ドングリ」 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%AA (ドングリの範囲とタンニン)
  4. Wikipedia「種実類」 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A8%AE%E5%AE%9F%E9%A1%9E (核果・種実類・ナッツの用語)
  5. Wikipedia「ラッカセイ」 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AB%E3%82%BB%E3%82%A4 (ラッカセイの育ち方)
  6. 文部科学省 食品成分データベース「日本ぐり 生」(日本食品標準成分表八訂増補2023) https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=5_05010_7 (栗の成分値)
  7. 文部科学省 食品成分データベース「アーモンド 乾」 https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=5_05001_7 (アーモンドの成分値)

なおした ところ

更新履歴

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