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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

箸はしは、どうして 2本ほん ならべて つかうの?

箸はどうして2本で使うのか ── 1本では、できないこと

箸はなぜ2本一組なのか ── 初期の折箸(ピンセット型)と二本箸、中国と日本の道具の歴史

分野:歴史・文化

ごはんの とき、箸はしを 2本ほん もって います。ところで、1本ほんの 箸はしだけで、まめを つまめるでしょうか。

この きじでは、箸はしが 2本ほんで ある わけと、むかしの 箸はしが どんな かたちだったかを、しらべて みます。

箸は、棒を2本そろえて使う道具です。では、1本の棒では、なにができないのでしょうか。

この記事では、2本の動かし方、日本の初期に使われたとされる「1本を折り曲げた箸」、中国で調理の道具から食卓の道具になった流れをたどります。「なぜ2本になったのか」を書いた記録はこの記事で調べた資料では確認できなかったので、わかっていることと、考えられることを分けて書きます。

箸は、同じ長さの棒を2本そろえて使う。1本の棒でも食べ物は刺せるが、つまむことはできない。

この記事では、2本の動かし方を確かめたうえで、日本の初期に使われたとされる1本を折り曲げた箸と、中国で調理具から食卓の道具に移った流れを、資料にそって整理する。「なぜ2本なのか」を直接書いた記録は、この記事で調べた資料では確認できなかった。確かな事実と、そこからの推論を分けて書く。

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1. 1本ほんだと、なにが できないの?

1. 1本では、つまめない

1. 1本の棒では、つまめない

1本ほんの 箸はしでも、できる ことは あります。食たべものに ぷすっと さして、もちあげる ことです。おだんごの ような ものなら、させます。

でも、まめや、米こめつぶや、やわらかい 豆腐とうふは、さそうと しても にげたり くずれたり します。ものを「つまむ」には、りょうがわから おさえる ことが ひつようです。

まっすぐな 棒ぼうで りょうがわから おさえる ためには、2本ほん いります。これが、箸はしが 2本ほんで ある、いちばん かんたんな こたえです。

2本ほんあると、つまむ ほかにも、はさんで ちぎる、ほぐす、すくう、よせる、のせて はこぶ、と できる ことが ふえます。

1本の棒でできるのは、刺す、押す、すくい上げる、くらいです。団子のような刺せる食べ物はよいのですが、豆、ごはん粒、やわらかい豆腐は、刺そうとすると逃げたり崩れたりします。

「つまむ」には、物を両側から押さえる2つの面が必要です。棒が2本あれば、これができます。箸が2本である、いちばんの理由はここにあると考えられます。

2本あると、つまむ以外にも、はさんでちぎる、ほぐす、すくう、寄せる、のせて運ぶ、といった使い方ができます。使い方の幅が広いのは、箸の特徴のひとつです。

1本の棒でできる操作は、刺す、押す、すくい上げる、程度である。団子のように刺せるものはよいが、豆や米粒、やわらかい豆腐は、刺そうとすると逃げたり崩れたりする。

「つまむ」には、対象を両側から押さえる2つの接触面が要る。まっすぐな棒を組み合わせるなら、2本がそれを実現する最小の構成であり、これが「2本」の機能面の理由と考えられる。ただし、これは構造からの推論で、当時の人がそう考えて2本にしたと書いた史料があるわけではない。

2本あれば、つまむ以外に、はさんで切る・ちぎる、ほぐす、すくう、寄せる、のせて運ぶ、といった動作もできる。1つの道具で多くの動作を兼ねられる点が、箸の特徴である。

2. 2本ほんは、どう うごかして いるの?

2. 2本は、どう動かしているのか

2. 2本の棒の動かし方 ── 1本は支え、1本が動く

ふつうの もちかたを、おもいだして みましょう。したの 1本ほんは、ほとんど うごきません。うごくのは、うえの 1本ほんです。

うえの 箸はしは、親指おやゆびと、ひとさしゆびと、中指なかゆびで もちます。したの 箸はしは、中指なかゆびと 薬指くすりゆびの あいだに はさんで、親指おやゆびの ねもとと 薬指くすりゆびの さきで ささえます。

うえの 箸はしを うごかして、したの 箸はしとの あいだを せまく すると、ものを つまめます。ひらく と、はなせます。ゆびで ひらいたり とじたり する、ピンセットと にた しくみです。

よく教えられる持ち方では、下の1本はほとんど動かしません。動かすのは上の1本です。

上の箸は、鉛筆を持つように、親指・人差し指・中指で持ちます。下の箸は、中指と薬指のあいだにはさみ、親指の付け根と薬指の先で支えます。

上の箸を動かして2本のあいだをせばめると、物をつまめます。広げると放せます。指で開け閉めするピンセットのような使い方です[1]。

伝統的とされる持ち方では、動かすのは上の1本だけで、下の1本は支えとして固定する。

上の箸は鉛筆を持つように親指・人差し指・中指で持つ。下の箸は中指と薬指のあいだにはさみ、親指の付け根と薬指の先で固定する。上の箸を動かして2本の間隔を変えることで、つまむ・放すを行う[1]。

この構造は、指で開閉するピンセットに近い。ピンセットでは1つの部材のばねが2本の腕を開く役目をするが、箸ではその役目を指が受け持つ。2本が別々なので、間隔を大きく開くことも、豆1粒をつまめるほど閉じることもできる。ここは構造からの説明であって、史料の記述ではない。

3. むかしの にほんには、1本ほんの 箸はしが あった?

3. 日本にあった「1本を折った箸」

3. 日本の折箸 ── 1本の竹を折り曲げたピンセット型

じつは、むかしの にほんには、1本ほんで できた 箸はしが あったと いわれて います。細ほそい 竹たけを まんなかで ピンセットの ように 折おりまげた ものです。折箸おりばしと よびます。

これは、ふだんの ごはんでは なく、神かみさまに おそなえする ものを あつかう ための どうぐだった かも しれない、と いわれて います。神かみさまの おそなえものを、手てで さわって よごさない ためです。

この 折箸おりばしは、1本ほんでも、つまむ ことが できました。竹たけの はね返かえる ちからを つかうのです。

日本の箸の最初の形は、2本ではなかったようです。1本の細い竹を中ほどで折り曲げた、ピンセットのような形の箸で、「折箸(おりばし)」と呼ばれます。

農林水産省の解説では、この箸が使われ始めた時期は、弥生時代から飛鳥時代(3〜7世紀ごろ)と推定されています。食事の道具というより、神様へのお供え物を手で触れて汚さないための道具だったのかもしれない、とも書かれています[3]。

折った竹の弾力で、先が自然に開きます。1本の形のままでも、つまむことはできたのです。

日本で最初の箸は、2本一組ではなかったとされる。細く削った1本の竹を中ほどで折り曲げた、ピンセット状の箸で、折箸(おりばし)と呼ばれる[3]。

農林水産省の解説は、使用の時期を推定で弥生時代から飛鳥時代(3〜7世紀ごろ)とし、神へのお供え物に手で触れて汚さないために使われた可能性を挙げる[3]。日本語版Wikipediaも、折箸を食事用ではなく祭祀用と説明する[1]。

折った竹の弾性で先が自然に開く構造なので、1本の形でもつまむことはできる。したがって「1本ではつまめない」は正確ではなく、正しくは「1本の棒のままでは」である。つまむ機能だけを見るなら、1本の折箸と2本の箸はどちらも成り立つ。

4. 2本ほんの 箸はしは、どこから きたの?

4. 2本の箸の出どころ ── 中国では、まず調理の道具だった

4. 二本箸の出どころ ── 中国では調理具から食卓の道具へ

2本ほんの 箸はしは、中国ちゅうごくで 生うまれた と いわれて います。

いま 見つかって いる いちばん ふるい 箸はしは、中国ちゅうごくの 殷いんという 国くにの あとから 出て きた、青銅せいどうの 箸はしです。6本ほんで、いまから 3000年ねんよりも まえの ものと されます。

この 箸はしは、ごはんを 食たべる ためでは なく、りょうりを する ときに、あつい ものを とったり まぜたり する ために つかわれた と かんがえられて います。

2本の箸は、中国で生まれたといわれます。確かめられている最も古い箸は、河南省の殷の遺跡から出た青銅の箸6本です。紀元前1200年ごろのものとされ、長さは約26cmです[1][2]。

この箸は食事用ではなく、調理の道具だったと考えられています。英語版Wikipediaも、箸は最初、火をかき混ぜたり、料理を取り分けたりする道具で、食べる道具になったのはあとだと説明しています[2]。

熱い鍋のものを手で取るわけにはいかないので、長い棒が便利だった、という筋が考えやすい説明です。ただし、これも推測を含みます。

二本箸の起源は中国とされる。考古学的に確認できる最古の例は、河南省の殷墟から出土した青銅製の箸6本(3双)で、紀元前14〜11世紀ごろ、長さ約26cmと紹介される。食事用ではなく調理具だったと考えられている[1][2]。

文献では、『韓非子』に、殷の紂王が象牙の箸を使ったという話がある。ただし日本語版Wikipediaは、紂王の悪逆ぶりを示すための作り話とする見方もあると書く[1]。

食卓での使用は、『礼記』に、羹(あつもの)の具を食べるときに使うとあるのが古い例とされる。ごはんも箸で食べるのが中心になったのは、明の時代(14世紀以降)ごろからとする説明があり、それまでは匙も多く使われたとされる[1]。

調理具として生まれたという筋は、複数の概説に共通するが、一次資料で確かめたわけではない。孫引きである点を考えに入れて読む必要がある。

5. にほんで、2本ほんの 箸はしに なったのは いつ?

5. 日本で二本箸が広まったのは

5. 日本での二本箸の定着 ── 7世紀から奈良時代

日本にほんで 2本ほんの 箸はしが、まちがいなく あった と いえる ものは、7世紀せいき の 後半こうはんの宮みやの あとから 出て きて います。

ひろまった きっかけは、7世紀せいきの はじめごろ、中国ちゅうごくの すい という くにへ 行った ひとたち(遣隋使けんずいし)が、中国ちゅうごくで 箸はしで ごはんを ごちそうして もらった ことだと かんがえられて います。

そのあと、奈良ならの じだいから、匙さじを つかわなくなり、箸はしだけで 食たべる ように なっていきました。木きの おわんが ひろまった ことが、りゆうの ひとつと いわれて います。木きの おわんは あつさが つたわりにくく、手てで もって 口くちに つけて、しるを のめるからです。

日本で、箸と確実にいえるいちばん古い出土品は、7世紀後半の板蓋宮跡・藤原宮跡のものとされます[1]。

広まったきっかけについて、農林水産省の解説は、7世紀に遣隋使が中国で箸による食事のもてなしを受けたことや、隋の使節が来日したときに箸で食事をしたことを挙げています[3]。

そのあと、奈良時代以降の日本では匙を使う習慣がなくなり、箸だけで食事をするようになりました。理由のひとつとして、木の椀が普及したことが挙げられています。木の椀は熱が伝わりにくく、手に持って直接口をつけて汁を飲めるためです[4]。椀は手に持って口に近づけられるので、匙がなくても、箸だけで食べられたのでしょう。

日本で箸と確実視される最古の出土品は、7世紀後半の板蓋宮跡・藤原宮跡のものとされる[1]。縄文遺跡の棒状の漆器を箸とする説もあるが、一つの説にとどまる。

農林水産省の解説は、普及のきっかけとして、7世紀に遣隋使が中国で箸による食事のもてなしを受けたこと、隋の使節が来日して箸で食事をしたことを挙げる[3]。いずれも「考えられている」という表現にとどまる。

その後、奈良時代以降に匙を使う習慣がなくなり、箸だけで食事をするようになった。理由の一つとして、木製の椀の普及が挙げられる[4]。木の椀は熱が伝わりにくく、手に持って直接口をつけて汁を飲める。そのため匙が不要になったと説明される。

中国や韓国、東南アジアでは匙を併用する。日本の箸の先が細いのは、箸だけで食事をするためとされる[3]。日本ではそのぶん、箸だけで食べる形が定着した。

6. けっきょく、どうして 2本ほんなの?

6. けっきょく、なぜ2本なのか

6. 結論 ── 2本の理由は構造で説明できるが、「選んだ理由」は資料で確認できない

いまの ところ、「2本ほんに しよう」と だれかが きめた りゆうを かいた きろくは、この きじで しらべた しりょうでは わかりませんでした。

でも、かんがえられる ことは あります。つまむには、りょうがわから おさえる 2つが いります。まっすぐな 棒ぼうを くみあわせるなら、2本ほんが、そのための いちばん すくない ざいりょうです。1本ほんの 折箸おりばしに くらべて、2本ほんは ひらき ぐあいを じゆうに かえられます。また、なべで りょうりを する ときの 道具が、そのまま 食たべる どうぐに なった という じゅんばんも、かんがえられます。

「2本にしよう」と決めた理由を書いた記録は、この記事で調べた資料では確認できませんでした。つまり、答えは構造からの説明にとどまります。

つまむには、物を両側から押さえる2つの面が要ります。まっすぐな棒を組み合わせるなら、そのための最も少ない部材が2本です。1本の折箸と比べると、2本は開き具合を自由に変えられ、大きなものも豆1粒も扱えます。

さらに、2本の棒は、中国では調理具として先に使われていました。調理の道具が食卓へ移った、という順序も、2本が残った理由のひとつだったと考えられます。

「なぜ2本にしたのか」を直接書いた史料は、この記事で調べた資料では確認できなかった。したがって、答えは機能と歴史からの推論になる。

機能面では、つまむために両側から押さえる2つの面が要り、まっすぐな棒を組み合わせるなら、2本がその最小構成である。1本の折箸でもつまめるが、2本に分かれていれば開き具合を自由に変えられ、大きなものも豆1粒も扱える。

歴史面では、中国で2本の棒が調理具として先に使われ、食卓の道具になっていった[1][2]。日本では、初期の箸は祭祀に使う折箸だったという説があり、7世紀ごろに食事の道具として二本箸が広まったとされる。

7. じぶんでも しらべて みたくなったら

7. 自分でも調べてみたくなったら

7. 自分でも調べてみたくなったら

鉛筆えんぴつを 1本ほん もって、まめや、まるめた ティッシュを つまんで みましょう。つぎに、2本ほんで やって みます。1本ほんでは できない ことが、2本ほんでは どう かわるか、ためして みましょう。

おうちの 箸はしの さきの かたちも、見みくらべて みましょう。ほそい もの、ふとい もの、まるい もの、かくばった もの。なんの ために、そうなって いるのでしょうか。

鉛筆やペンを1本持って、豆や丸めたティッシュを持ち上げてみましょう。つまめませんが、2本にすると変わります。2本の動かし方を、指のどこで支えているかも観察してみましょう。

家の箸の先を見比べるのも手がかりになります。細いもの、太いもの、丸いもの、角ばったもの。それぞれ何をつまみやすい形か、考えてみましょう。

読み進めるなら、このサイトの「菜箸はどうして普通の箸より長いの?」も、調理の箸の話です。農林水産省の「お箸のはなし」には、手の大きさと箸の長さの関係(「あた」の1.5倍)も載っています[3]。

実験として、鉛筆1本で豆や丸めた紙をつまんでみて、2本に増やして比べるとよい。上の1本だけを動かし、下の1本を指の付け根で支える持ち方を意識すると、「支える棒」と「動かす棒」の役割が分かる。

文献では、農林水産省の「お箸のはなし」[3]が、折箸・遣隋使・箸の長さ(「あた」の1.5倍)をまとめている。調理具としての起源については、日本語版Wikipediaの脚注にある一色八郎の著書などが手がかりになる。

本記事の「2本の理由」は構造と歴史からの推論なので、「二本箸の成立」を扱った専門書で、別の見方があるか確かめてみるのもよい。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文で使った資料です。

  1. Wikipedia日本語版「箸」。 https://ja.wikipedia.org/wiki/箸 (持ち方、殷墟の青銅箸、史記・韓非子・礼記、日本最古の出土、折箸。脚注の文献を引いた記述で、原典にはあたっていない孫引き)
  2. Wikipedia英語版「Chopsticks」。 https://en.wikipedia.org/wiki/Chopsticks (殷墟の青銅箸6本、調理具として始まったとする説明。概説であり、原典にはあたっていない)
  3. 農林水産省 aff 2016年5月号「お箸のはなし(1)」。 https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1605/spe2_01.html (折箸、使い始めの推定時期、遣隋使のきっかけ、箸の長さと「あた」)
  4. 農林水産省「おいしい和食のはなし」「和食」を支える日本の箸文化。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/oishiiwashoku/article/135/ (奈良時代以降に匙を使わなくなったこと、木の椀の普及)

なおした ところ

更新履歴

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