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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

水が 何百トンも ある くもは、どうして 空から おちて こないの?

水だけで数百トンもある雲は、なぜ空から落ちてこないのか

数百トンの水を含む積雲が落ちてこないのは、なぜか:雲粒の落下速度と上昇気流

分野:自然

なつの 空に うかぶ 白い くもは、水だけで 何百トンも あると 見つもられて います。ゾウに すれば 50頭から 100頭ぶんです。それなのに、くもは 落ちて きません。

この メモを 読むと、くもの 水の つぶが どれくらい 小さくて、どれくらい ゆっくり 落ちて いるのか、そして 上に ふく 風が どう 助けて いるのかが 分かります。

夏の空に浮かぶ積雲1つには、水だけで数百トンが含まれると見積もられています。ゾウなら50頭から100頭ぶんです。それほど重いものが、なぜ頭の上に落ちてこないのでしょうか。

雲を作る水の粒は、1秒に数mm〜1cmほどしか落ちません。だから、人が感じないほど弱い上昇気流でも、その落下を打ち消せます。この記事では、粒の大きさ、落ちる速さ、上昇気流の関係を、数字で確かめます。

夏の積雲1つの中にある水は、1辺1kmの立方体とみなして計算すると250〜500トンになる。この重さの水が、空から降ってこない。落下速度が小さい粒の集まりである雲と、それを支える空気の動きに、答えがある。

この記事を読むと、雲粒の大きさと落下速度の関係、約500mの高さから落ちると10時間以上かかるという数字の意味、粒が育ったときに何が起きるかが分かる。

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1. 夏の くも 1つの 水は、ゾウ なん頭ぶん?

1. 夏の雲1つに、水はどれくらい入っているのか

1. 積雲1つの水は、計算すると何トンになるのか

たての 長さも、よこの 長さも、高さも 1kmの 大きな はこを 空に うかべて みます。夏に よく 見る くもの 大きさは、だいたい この くらいと 考えられて います。

イギリスの レディング大学の ブログでは、この はこの 中に ある 水を けいさんして います。1m³ あたり やく 0.25g。はこ ぜんたいでは 250トンで、シロナガスクジラの おとな 2頭ぶんだと いう たとえです[5]。

べつの 見つもりも あります。アメリカの 気象きしょう学者が、1m³ あたり やく 0.5gと して けいさんした 話が しょうかいされて いて、こちらは やく 500トン。ゾウ 100頭ぶんです[6]。

つまり 「数百トン」と 考えるのが よさそうです。くもに よって 水の りょうは ちがうので、これは めやすです。

こんなに 重い 水が 空に あるのに、どうして おちて こないのでしょうか。

レディング大学(英国)の研究ブログは、夏によく見る積雲を、1辺およそ1kmの立方体とみなして重さを計算しています。体積は約10億m³です。雲1m³あたりの水が約0.25gなので、中の水は2億5000万g、つまり約250トン。シロナガスクジラの大人2頭ぶんにあたります[5]。

水の量の仮定を変えた見積もりもあります。アメリカの気象学者が雲1m³あたり約0.5gとして計算し、約500トン(ゾウ約100頭ぶん)になったと紹介されています[6]。250トンと500トンで2倍の開きがあるのは、雲の中の水の量をどう置くかが違うからです。ここでは「数百トン」と幅で考えます。

雲は大きさも水の量も一つ一つ違うので、この数字は上限や下限ではなく、典型的な積雲での目安です。

さて、この重さの水が頭の上にあって、なぜ雲は落ちてこないのでしょうか。

夏の典型的な積雲を1辺約1kmの立方体とみなすと、体積は約10億m³である。雲1m³あたりの水を約0.25gとすれば、水の総量は2億5000万g(約250トン)となる。レディング大学の研究ブログは、これをシロナガスクジラの大人2頭ぶんとしている[5]。

別の見積もりでは、アメリカの気象学者が雲1m³あたり約0.5gと置き、約500トンを得たと紹介されている[6]。同じ体積で結果が2倍違うのは、雲中の水の量の仮定が違うためである。どちらも実測ではなく、典型的な積雲を単純化して計算した目安である。したがって「数百トン」と幅をもたせて言うのが妥当で、雲によって大きく変わる点にも注意が要る。なお、後者は二次的な紹介記事に基づく数字である。

ここで注意したいのは、これが水だけの重さだという点だ。空気は1m³で約1kgなので、同じ体積の空気は約100万トンになり、水はその4000分の1ほどにすぎない[5]。それでも250トンは、手で持ち上げられる重さではない。この水は、なぜ地上に落ちてこないのか。

2. 水の つぶが 小さすぎて、ほとんど 落ちない

2. 雲の水は、小さな粒になってゆっくり落ちている

2. 雲粒は落ちている。ただし、とても遅い

くもは、水の かたまりでは ありません。目に 見えないほど 小さな 水の つぶ(雲粒くもつぶ)の あつまりです。気象庁きしょうちょうの 子ども むけの ページには、雲粒くもつぶは 上に ふく 風(上昇気流じょうしょうきりゅう)で うかんで いると 書かれて います[1]。

この つぶの 半径はんけいは、およそ 0.01mm。かみの毛の 5分の 1ほどだと いわれます[7]。

こんなに 小さいと、落ちる 速さは とても おそく なります。ある 本の 数字では、1秒びょうに 0.3cmから 1.2cm。アメリカの 気象きしょう局の せつめいでは、ふつうの つぶで 1秒びょうに 1.3cmです[2][3]。

この 速さで やく 500mの 高さから 落ちると、10時間いじょう かかります[3]。つぶは 落ちて いますが、あまりに ゆっくりなので、ほんの 少しの 上向きの 風でも 止められて しまいます。

ほこりも 空気の 中で ゆっくり うごきますが、水の つぶとは うごきかたが ちがいます。

雲は、水のかたまりではありません。目に見えないほど小さな水の粒(雲粒)の集まりです。気象庁の子ども向けのページは、雲は小さな水の粒が上昇気流(上に向かって吹く風)によって浮いているものだと説明しています[1]。

雲粒の半径は、ふつう数μm〜10μm程度です[2]。0.01mmは10μmで、髪の毛の太さの5分の1ほどといわれます[7]。

こんなに小さな粒は、落ちる速さがとても小さくなります。ある百科事典には、落下の速さの目安が、半径5μmで1秒に0.3cm、半径10μmで1秒に1.2cmと載っています[2]。アメリカの気象局の説明を紹介した記事では、平均的な雲粒は動かない空気の中で、1秒に1.3cm落ちるとされています[3]。

資料によって数字に幅があるのは、粒の大きさでも速さが何倍も変わるからです。ここでは「1秒に数mm〜1cmほど」と覚えておくのが安全です[4]。

では、この速さだと、雲の底から地上まで何時間かかるでしょうか。雲底が約500mなら、1秒に1.3cmの粒で10時間以上かかります[3]。0.3cmのゆっくりな粒なら、同じ計算で約46時間、2日近くになります。

これだけゆっくり落ちる粒は、ごく弱い上向きの風でも、落下を打ち消されてしまいます[3]。

雲粒は、水滴または氷晶でできている。大きさは半径でふつう数μm〜10μm程度[2]。たとえば半径0.01mmの雲粒は、髪の毛の太さの5分の1ほどとされる[7]。気象庁の子ども向け解説は、雲を、小さな水の粒が上昇流(上に向かって吹く風)によって浮いているものと説明している[1]。

粒は動かない空気の中でも落ちるが、小さいので落下は遅い。終端速度(落下が一定の速さになったときの値)は、ある百科事典では半径5μmで0.3cm/s、10μmで1.2cm/s、20μmで4.7cm/sとされる[2]。NWS(米国気象局)の説明を紹介した記事は、平均的な雲粒で1.3cm/sとする[3]。ウィスコンシン大学の授業資料は典型的な粒を約0.3cm/sとしている[4]。出典で数倍の幅があるので、1つの値に固定せず、粒の大きさで変わる範囲として扱うのがよい。

この遅さは、時間に直すと実感できる。雲底が約500mの雲では、1.3cm/sの粒が地上まで10時間以上かかる[3]。0.3cm/sなら500m÷0.003m/s≒16万7000秒で、約46時間になる(筆者計算)。だから、大気中のごく弱い上昇の動きでも、水滴の落下は打ち消される[3]。

ただ、「打ち消される」とはどういうことか。落ちる粒が、なぜ空気の中で止まったように見えるのか。

3. 上に ふく 風が、つぶを ささえて いる

3. 上昇気流が、落ちる粒を支え続ける

3. 落下速度より速く上がる空気が、粒を保つ

空気の 中を、つぶが 1秒びょうに 1cm 落ちて いる ところを そうぞうして ください。もし その 空気が 1秒びょうに 1cm 上へ うごいて いたら、つぶは その 場所に とどまって 見えます。1秒びょうに 2cm 上がる 空気なら、つぶは 上へ もちあげられます。

空に 1秒びょうに 1cmの 上向きの 風は、ほとんど 感じません。それでも くもの つぶには、じゅうぶんな 力です[3]。

また、くもの 水は 空気の 中に ばらばらに 入って います。おもさは 250トンでも、同じ 大きさの 空気は 100万トンほど。水の つぶは 空気の 中に 小さく ちらばって いて、上へ うごく 空気が、つぶの 落ちる 分を もどして います[5]。

だから、くもは 「うかんで いる」と いうより、「とても ゆっくり 落ちながら、ごく 弱い 上向きの 風に 止められて いる」と 考えると 分かりやすく なります。

では、つぶが 大きく なったら どう なるのでしょうか。

粒が1秒に1cm落ちている空気を想像してください。その空気が1秒に1cm上へ動いていれば、粒はその場に留まって見えます。1秒に2cm上がる空気なら、粒は持ち上げられます。人が感じないほどの上昇気流でも、雲の粒には十分な力になります[3]。

もう1つ、重さの話があります。雲の水は250トンでも、同じ体積の空気は約100万トン。水の粒は空気の中に細かく散らばっていて、上昇する空気が粒の落下を打ち消しています[5]。

この様子は、「浮いている」というより、「ごくゆっくり落ちながら、上昇気流が落下を打ち消している」と言ったほうが近いようです。粒は少しずつ落ちていますが、空気のほうがそれ以上の速さで上がっているので、見ている私たちには止まって見えます。

では、粒が育つと何が起きるのでしょうか。

粒の落下速度が約1cm/sであれば、空気が同じ速さで上昇すれば粒は同じ高さに留まる。それより速く上昇すれば、粒は持ち上げられる。気象局の説明を紹介した記事は、大気中のごく弱い上昇の動きでも、水滴の落下は打ち消されるとしている[3]。1cm/sは、人が肌で感じるにはあまりに弱い風である。

この関係を雲の重さに戻すと、水の250トンは、同じ体積の空気(約100万トン)の中に細かく分散している。レディング大学のブログは、水滴は周囲の大量の空気の中に分散しており、上昇する空気が落下を打ち消すと読める[5]。雲は「水が空気に浮いている」というより、「空気の動きの中でゆっくり落ちる粒の集団」と捉えたほうが、数字とも合う。

ただし、上昇気流が雲の中のどこでどれだけ強いかは、雲によって、また場所によって変わる。ここで示した1cm/sは粒の落下速度の目安に合わせた例であり、実際の雲の中の風速ではない。

では、粒が成長して落下速度が上昇流を超えたとき、何が起こるのか。

4. つぶが 大きく なると、雨に なる

4. 粒が大きく育つと、上昇気流では支えきれなくなる

4. 落下速度は半径の2乗ほどで増え、粒は雨粒になる

つぶが 大きくなると、落ちる 速さは ぐんと 上がります。さっきの 本の 数字では、半径はんけいが 5μmから 20μmへ 4ばいに ふえると、速さは 1秒びょうに 0.3cmから 4.7cmに なります[2]。

半径はんけいが 2ばいで、落ちる 速さは だいたい 4ばい。半径はんけいが 4ばいなら、およそ 16ばいです。

ある 大きさを こえた つぶは、上に ふく 風では ささえきれません。そう なると 雨として 落ち はじめます[1]。

雨つぶは、くもの つぶ およそ 100万こぶんの 体積たいせきが あつまった 大きさだと しょうかいされて います[7]。100万ばいと 聞くと すごいですが、半径はんけいで 見れば やく 100ばいです。

では、くもの 中には、そもそも つぶが いくつ あるのでしょうか。

落ちる速さは、粒の大きさで大きく変わります。ある百科事典の数字を並べると、半径5μmで1秒に0.3cm、10μmで1.2cm、20μmで4.7cmです[2]。半径が2倍になると速さは約4倍、4倍になると約16倍。半径が少し増えるだけで、落ちる速さはぐんと上がります。

粒が上昇気流で支えきれないほど大きくなると、雨として落ち始めます[1]。雲粒が約100万倍の体積まで成長したものが雨粒だと、気象研究所の研究者らの記事で紹介されています[7]。

体積が100万倍になるとき、半径は100倍です。0.01mmの粒なら、雨粒の半径は約1mmになる計算です。

小さいうちはゆっくり落ちて雲の中に留まり、大きくなった粒から先に雲を出ていく。雲に水が浮かんでいる間と、雨として降るまでの違いは、粒の大きさ1つでおおよそ説明できます。

では、雲の中の粒は、全部でいくつあるのでしょうか。

終端速度は粒の大きさに強く依存する。ある百科事典の値を並べると、半径5μm→0.3cm/s、10μm→1.2cm/s、20μm→4.7cm/sである[2]。半径が2倍で約4倍、4倍で約16倍になるので、速度は半径の2乗に近い増え方をしている(上の3つの値からの筆者の読み取り)。半径がわずかに増えるだけで、粒は上昇流に逆らえなくなっていく。

ある程度大きくなった粒は上昇流に支えきれなくなり、雨として落ち始める[1]。雲粒の半径は約0.01mmで、雨粒はこの約100万倍の体積に成長したものと紹介されている[7]。体積が100万倍なら半径は100倍(100の3乗が100万)なので、半径1mm程度の水滴になる計算である。

つまり、雲が空に留まっている間は粒が小さく、降り始めるのは粒が育って落下速度が上昇流を上回ったときである。雲の中の粒は大きさがそろっているわけではなく、大きく育った粒から先に雲を離れていく。

では、雲1つの中には粒がいくつあり、250トンという重さと、1粒の小ささはどうつながるのか。

5. 1つの くもに、つぶは いくつ あるの?

5. 雲の中の粒の数から、250トンを確かめてみる

5. 粒の数から、雲の水の量を検算する

本には、ふつうの 積雲せきうんでは 1cm³の 空気に 300こほど、うすい くもでは 数十こと 書かれて います[2]。1cm³は、かくざとう 1こぶんの 大きさです。

1つ 1つは 見えない くらい 小さいのに、くもの 中の つぶは、1cm³ あたり 300こ。1kmの はこ ぜんたいでは、3の あとに 0が 17こ ならぶ ほどの 数に なります。数えきれません。

この たくさんの 水の つぶを ぜんぶ あわせると、やく 250トンに なります。小さな つぶも、あつまれば こんなに 重く なるのです。

事典には、雲粒の数は、薄い層雲で1cm³あたり数十個、積雲で300個程度と書かれています[2]。1cm³は角砂糖1個ぶんの大きさです。

では、1辺1kmの積雲では、粒は全部でいくつでしょうか。1km³は10の15乗cm³なので、300をかけると約3×10の17乗個、つまり約30京個です(筆者計算)。

この粒数が、先ほどの水の量と合うか確かめてみます。粒の半径は5〜10μmの範囲にあるので、ここでは6μmとします。半径6μmの粒1個の体積は、約9×10の−10乗cm³。300個で約2.7×10の−7乗cm³、つまり空気1m³あたり約0.27gの水です。レディング大学のブログの0.25g[5]と、おおよそ合います。

粒の大きさは一定ではなく、雲によっても違います。そのため、これは1つの目安の計算で、厳密な一致を示すものではありません。それでも、「300個の小さな粒が、250トンの水に積み上がる」ことが、数字から確かめられます。

では、こうした粒は、雲の下にまで落ちたらどうなるのでしょうか。

事典は、雲粒の数を薄い層雲で1cm³あたり数十個、積雲で300個程度とする。小さな大陸性の積雲では、半径5μmの粒が1cm³に200〜300個とも書かれている[2]。

この数値を使って、雲の水の量を検算する。1辺1kmの立方体は10の15乗cm³なので、300個/cm³をかけると約3×10の17乗個、すなわち約30京個となる(筆者計算)。1個の体積を半径6μmの球とすると、4/3×π×(6×10の−4乗cm)³≒9×10の−10乗cm³。300個で約2.7×10の−7乗cm³。水の密度は1g/cm³なので、空気1m³(10の6乗cm³)あたり約0.27gの水になる。この値は、レディング大学が使った約0.25g[5]と、桁もほぼ一致している。

この検算には前提がある。粒の半径は5〜10μmの範囲に幅があり、雲によって粒数も違う。半径を5μmにとれば約0.16g/m³、10μmにとれば約1.3g/m³と、同じ300個でも水の量は8倍動く。つまり0.25gと0.5gの2つの見積もりは、どちらも粒の数と大きさの範囲に収まる値であり、片方が誤りというわけではない。

粒の数と大きさから水の量が出せ、それが雲の重さにつながる。では、この水の粒は、雲の底を出たあと、地上までたどり着くのだろうか。

6. 雲から 出た つぶは、どう なるの?

6. 雲の下に出た粒は、どうなるのか

6. 雲底の下の乾いた空気と、粒の蒸発

くもの 下の 空気は、くもの 中より かわいて います。ウィスコンシン大学の しりょうには、くもの そこより 下の 湿度しつどが 100%に 足りない 空気に 入った 水の つぶは、蒸発じょうはつし はじめると 書かれて います[4]。

つぶが 地上まで 落ちるには、10時間いじょう かかる 計算でした。かわいた 空気に 入った つぶは、水蒸気すいじょうきに もどりはじめます。地上に つくか どうかは、風の うごきや、つぶが 大きく なるかどうかにも よります。

雲は、水の つぶが 落ちたり、上へ 運ばれたり、蒸発じょうはつしたり しながら、同じ 形に 見えて いる ものです。

雲の底より下の空気は、雲の中より乾いています。ウィスコンシン大学の授業資料は、雲の底より下の、湿度が100%に満たない空気へ落ちた粒は、蒸発し始めると説明しています[4]。

雲粒が地上まで落ちるには10時間以上かかる、という計算を思い出してください[3]。これは動かない空気の中での計算例です。乾いた空気に入った粒は、水蒸気に戻り始めます。地上に届くかどうかは、空気の動きや、粒が育つかどうかにも左右されます。

雲は、動かない水のかたまりではなく、粒が落ちたり、上昇気流で運ばれたり、蒸発したりしている集まりです。同じ形に見えても、中の粒はゆっくり入れかわっていると考えられます。

雲底より下の空気は、湿度が100%に満たない。ウィスコンシン大学の授業資料は、このような空気に入った水滴は蒸発し始めると述べる[4]。雲粒は上昇流がなければ地上まで10時間以上かけて落ちる計算[3]だが、これは静止した空気での計算例である。乾いた空気に入った粒は蒸発し始め、地上に届くかどうかは、空気の動きや粒の成長にも左右される。

つまり、「雲粒が降ってこない理由」は2つに分かれる。1つは、雲の中で上昇流が落下を打ち消すこと。もう1つは、雲を出た粒が、乾いた空気の中で小さくなり、消えていくことである。降ってくるのは、粒が合体するなどして育ち、落下速度が大きくなって、蒸発する前に地上へ届く雨粒だけだ。

雲全体としては、粒がゆっくり落下し、上昇流で運ばれ、蒸発・凝結で入れかわる集合体とみなせる。

7. ほこりと ものさしで、雲の 落ちかたを かんじよう

7. ほこりと物差しで、雲の粒の落ち方を感じてみよう

7. 家で試せる見立てと、数字を確かめる道すじ

ほこりを 見て みよう

お日さまが 入る へやで、光の 中を ふわふわ うごく ほこりを 見て みましょう。おりて いくのか、ういて いるのか、じっと 見ると、ゆっくり 動いて いる ことが 分かります。

ものさしで 1cm

ものさしの 1cmの 目もりを ゆびで 1秒びょうかけて 動かして みましょう。くもの つぶが 落ちる 速さは、このくらいです。

空を 見上げて

空に くもを 見つけたら、5分 見て いましょう。かたちが かわったり、ふちが うすく なったり しないか、見て みます。

ほこりと物差し

日の差す部屋で、光の中を漂うほこりを見てみましょう。ほこりは雲の粒とは別の物ですが、軽い粒が空気の中でゆっくり動く様子の感覚はつかめます。

物差しの1cmを、指で1秒かけて動かしてみます。この遅さが、雲の粒が落ちる速さの目安です。

雲の底を見る

外で雲を見つけたら、5分ほど眺めます。雲のふちが薄くなって消えていく場所が見つかるか、観察してみます。

数字を自分で確かめる

「1m³あたりの水の量」を0.25gと0.5gの2通りにして、1辺1kmの雲の水の重さを計算してみましょう。10億m³をかけると、250トンと500トンが出ます。粒の数と半径を変えて、第5章の検算も試せます。

家でできる見立て

日の差す部屋でほこりが光の中を漂う様子を観察すると、軽い粒が空気中でゆっくり動く感覚がつかめる。物差しの1cmを1秒かけて動かすと、雲粒の落下速度(約1cm/s)の遅さが体感できる。ほこりは雲粒とは別の物であり、比喩に過ぎない。

数字を自分で検算する

雲の水の量(0.25〜0.5g/m³)、粒数(約300個/cm³)、粒の半径(5〜10μm)の3つを入れ替えて、同じ体積の水の量を計算すると、第5章のように、範囲の幅がどこから来るかが見える。半径と速度の関係は、第4章の3点の値でも確かめられる。

資料にあたる

日本語で読める資料として、気象庁キッズの解説[1]と、コトバンク掲載の事典[2]がある。この2つで、雲粒の大きさや落下速度を調べ、本文の数字と見比べられる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文で使った資料です。

  1. 気象庁 キッズ「雲はどうして浮いているの」. https://www.jma.go.jp/jma/kids/kids/faq/a1_05.html (雲が上昇流で浮くという説明)
  2. 世界大百科事典・日本大百科全書「雲」(コトバンク). https://kotobank.jp/word/%E9%9B%B2 (雲粒の大きさ、落下速度、粒の数)
  3. WAVE 3 News「Behind the Forecast: Why do clouds float」(米国気象局の説明の紹介). https://www.wdrbwave.com/2022/09/23/behind-forecast-why-do-clouds-float (平均的な雲粒の落下速度と10時間以上の例。英語)
  4. University of Wisconsin, Concept for the day: Clouds. https://www.aos.wisc.edu/~hopkins/online/cod/cod07t.htm (典型的な粒の落下速度、雲底の下での蒸発。英語)
  5. University of Reading Research Blog. https://research.reading.ac.uk/research-blog/?p=20824 (積雲の水の重さの計算。英語)
  6. Mental Floss「How much does a cloud weigh?」. https://www.mentalfloss.com/article/49786/how-much-does-cloud-weigh (別の見積もりの紹介。英語)
  7. 荒木健太郎ほか(気象庁気象研究所)の書籍の紹介記事(serai.jp). https://serai.jp/living/1242401 (雲粒の大きさと雨粒の体積)

なおした ところ

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