このサイトは、ほんの入り口です

ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

おおきな ふねの はこは、どうやって ならべて いるの?

コンテナ船は、降ろす順番まで考えて積む:1時間に35個の箱が動く岸壁から

コンテナ船の積付計画と荷役の流れ:降ろす順から逆算する配置、バランス、1956年の出発点

分野:技術

みなとの クレーンは、1じかんに 35こ ほども、おおきな はこを うごかす ことが あります。

でも、はこを ただ つんで いるのでは ありません。つぎの みなとで おろす じゅんばんまで、かんがえて つんで いるのです。どうして そんな ことを するのでしょう。この メモを よむと、その わけが わかります。

コンテナ船の荷役では、1台のガントリークレーンが1時間に35個ほどの箱を動かすと、国土交通省の子ども向け資料は紹介しています。目安の数字ですが、その速さで積むからこそ、どの箱をどこに置くかを先に決めておく必要があります。

船の上のどこに、どの順番で積むのでしょうか。次の港で降ろす箱の上に、別の港で降ろす箱を置かないのはなぜでしょうか。船の上の「住所」から、岸壁のクレーン、ヤード、ゲートまでの流れが分かります。

コンテナ船の積みおろしでは、1台のガントリークレーンが1時間に35個ほどのコンテナを動かす。これは国土交通省の子ども向け資料にある目安で、港や機種、条件で変わる[1]。

この速さで作業が進むなら、箱の置き場所は、クレーンが動き出す前に決まっていなければならない。では、船の上の位置はどう表され、次の港での取り出しやすさや船体の負担はどこまで考えられているのか。積付計画の考え方から、1956年の出発点、ターミナルの流れまでが分かる。

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1. きしへきに ついた ふねで、なにが おきる?

1. 岸壁の高い操縦席から、船の底の仲間へ

1. ガントリークレーンの作業:35個という目安

おおきな ふねが みなとに つきました。きしへきには、せの たかい クレーンが ならんで います。

この クレーンは「ガントリークレーン」と いいます。1だいで 1じかんに 35こ ほどの はこを、つんだり おろしたり します[1]。みなとや きかいに よって かわる、めやすの かずです。

そうさする ひとの いすは、とても たかい ところに あります。ふねの そこの ほうは、見えにくい ことも あります。だから、下に いる なかまと れんらくを とりあいます。

そんなに はやく はこを うごかすなら、どこに おくかは、まえもって きめて おかないと たいへんです。

岸壁には、背の高いガントリークレーンが並んでいます。国土交通省の子ども向け資料では、操作員が「1台で1時間に35個ほど」の積みおろしをすると話しています[1]。港や機種で変わる目安の数字です。

運転席は高い場所にあるため、船の底のほうなど見えにくいところにいる仲間と、連絡を取り合いながら作業するそうです。

これだけの速さで箱が動くと、迷っている時間はありません。どの箱をどこへ置くかは、作業が始まる前に決まっている必要があります。では、船の上の場所は、どうやって指定するのでしょうか。

ガントリークレーンは、輸出コンテナを本船へ積み込み、輸入コンテナを本船から積み卸す本船荷役を担う[2]。国土交通省海事局の子ども向け資料では、操作員が1台で1時間に35個ほど扱うと述べている[1]。ただし35個は目安であり、港や機種、条件で変わる固定値ではない。

操縦席は高所にあるので、船倉の底など死角になる位置の作業員とは連絡を取り合って進める[1]。この作業速度では、その場で置き場所を考える余裕はない。したがって、位置の指定が事前に行われていなければならず、それが積付計画である。

2. はこにも「じゅうしょ」が あるの?

2. 船の上の「住所」:ベイ、ロー、ティア

2. 積付計画とコンテナの座標

じつは、ふねの うえの はこには、ひとつずつ「じゅうしょ」が きまって います。

「ベイ」「ロー」「ティア」と いう、3つの ことばの ばんごうで、ふねの どこかを あらわします[3]。いえの じゅうしょが、ばんちで きまって いるのと にて います。ただし、ふねの じゅうしょは、ふねの なかだけで つかう ものです。

この じゅうしょを きめる けいかくが、「つみつけ けいかく」です。

船に積む箱の位置は、「積付計画」で決められます。乗りものニュースの記事は、船上の特定の位置を、ベイ、ロー、ティアと呼ばれる座標で表し、緻密な計算のうえで決めると紹介しています[3]。

家の住所が、町、番地、部屋番号で場所を絞りこむのと似ています。ただし、これは船の中でだけ通じる呼び方です。

住所が決まっているだけなら、あとは順番に置けばよさそうです。ところが、置く場所には、次の港で降ろしやすいかどうかという条件がつきます。

コンテナ船の各コンテナは、積付計画(ストウェッジプラン)にもとづき、船上の特定の位置に配置される。その位置は、ベイ、ロー、ティアと呼ばれる座標で表される[3]。

では、その場所は何を基準に決まるのか。ひとつめの基準は、次の港でいつ降ろすかである。

3. つぎの みなとで おろす はこは、どこに おく?

3. 降ろす順番から逆算する

3. 荷役の無駄を減らす配置と計画づくりの手間

ふねは、いくつもの みなとに よります。はこを おろす みなとは、はこごとに ちがいます。

もし、つぎの みなとで おろす はこの うえに、もっと あとの みなとで おろす はこを のせたら、どうなるでしょう。したの はこを だすために、うえの はこを どかさなければ なりません。

だから、つぎの みなとで おろす はこの うえには、ほかの みなとの はこを おかないように くふうします[4]。むだな はこびを へらすためです。

この けいかくを つくる のに、ちいさな ふねで 2じかんほど、おおきな ふねで 12じかんほど かかると、ふな がいしゃの ひとは はなして います[4]。1つの みなとに ついての はなしです。

船は複数の港に寄りながら進みます。積付計画では、次の港で降ろす箱の上に、別の港で降ろす箱を置かないよう配慮します[4]。上の箱をどかす手間が増えると、荷役の時間がむだになるからです。

いわば、降ろす順番から逆算して積む、ということです。船会社の海運会社ONEのお仕事紹介では、1つの港についての計画づくりに、小さい船で2時間ほど、大きな船で12時間ほどかかると担当者が話しています[4]。

ただ、置き方の条件は降ろす順番だけではありません。船そのものにも、守らなければいけない条件があります。

積付計画の目的のひとつは、荷役の無駄を減らすことである。次の港で降ろすコンテナの上に、より後の港で降ろすコンテナを置くと、下の箱を出すために上の箱を動かさなければならない。そのため、計画では降ろす順に配慮した配置が求められる[4]。

船会社ONEの積付計画の紹介によれば、この計画づくりは、1つの港について小さい船で2時間ほど、大きな船で12時間ほどかかるという(担当者の話)[4]。時間の差は、船の大きさによって大きく開く。

降ろす順だけで配置が決まるわけではない。船体の側にも条件があり、それが次の問題になる。

4. ふねが おれたり かたむいたり しないの?

4. 重さの偏りと、箱の中身

4. 縦強度への配慮とイーブンキール、貨物の組み合わせ

もう ひとつ、だいじな ことが あります。ふねの ばらんすです。

おもい はこが まえや まんなかに かたよると、ふねが そったり、たれさがったり するように なります。ふねの つくりに、おおきな ふたんが かかります[3]。

だから、どの みなとを でる ときも、ふねが ばらんすの とれた じょうたいに なるよう、おもさを けいさんして おきます[4]。

はこの なかみも かんがえます。ひが つきやすい にもつと、ひやくは ちかくに おかない、というように、あわせては いけない くみあわせが あるからです[4]。

おもい はこは したに、と おもう ひとも いるかも しれません。ただ、ふねに よっては ちがう ことも あります。

船全体の重さが、前後のどちらかに偏ったり、中央に集まりすぎたりすると、船体が反り上がるホギングや、垂れ下がるサギングという状態になり、構造に大きな負担がかかります[3]。プランナーは重さを計算して、負担がかからない配置を決めます。

ONEの紹介では、どの港を出るときも、荷重が船全体に均等に分散されたバランスのよい状態(イーブンキール)を保つ必要があるとされています[4]。

箱の中身も条件になります。たとえば、引火しやすい貨物を、火薬類の近くには置きません[4]。

「重い箱は下」と単純に言い切れるわけではありません。船の種類によっては逆になることもあるので、あくまで全体の重さのつり合いを見ています。

こんなに面倒な計画を、なぜ人は組みたてたのでしょうか。始まりの一隻を見てみます。

船体の重量配分が前後に偏ったり中央に集中したりすると、船体が反り上がる(ホギング)、あるいは垂れ下がる(サギング)状態になり、構造に過大な負担がかかる。プランナーは重量のバランスを計算して配置を決める[3]。また、ONEの資料は、どの港を出るときにも荷重が船全体に均等に分散された状態(イーブンキール)を保つことを求めている[4]。

積付計画には、貨物の中身も影響する。引火性の貨物を火薬類の近くに置かないなど、積み合わせを避ける配置が要る[4]。ただし、重い箱を下に置けばよいという単純な原則は成り立たない。船の構造や条件で異なるため、全体のバランスから計算する必要がある。

これほど複雑な計画を組む価値は、どこから来たのか。その答えは、箱が生まれた当時の荷役の姿にある。

5. さいしょの はこぶねは、どんな ふねだった?

5. 1956年、58個の箱を積んだ古いタンカー

5. アイデアルX号(1956年)とコスト試算

はこの ふねの はじまりは、1956ねんです。アメリカの マルコム・マクリーンと いう ひとが、「アイデアルX」と いう ふるい ふねに、58この はこを のせました[5]。

はこに まとめて つむ ほうほうは、ふつうの つみかたより おかねが やすく すむと、マクリーンさんは けいさんしました[6]。

マクリーンさんの けいさんでは、ちゅうくらいの ふねに ふつうに つむと、1トンあたり 5.83ドルでした。はこに すると、0.16ドルより やすい、という はなしです[6]。1956ねんの ドルで、いまの おかねに かえては いません。

1956年4月26日、マルコム・マクリーンのアイデアルX号は、アメリカのニューアークからヒューストンへ向けて出港しました。古いタンカーの甲板に、クレーンでアルミ製のトラックの荷台58個が積まれました[5]。

解説サイトのTransport Geographyによると、マクリーンの試算では、中型船を従来の方式で積むと1トンあたり5.83ドル、コンテナ方式なら0.16ドル未満でした[6]。0.16÷5.83はおよそ0.027なので、約97%安いという計算です。ただし、1956年のドルでの試算です。積み込みも8時間未満だったと紹介されています[6]。

では、船から降ろされた後、箱は港の中をどう動くのでしょうか。

1956年4月26日、マルコム・マクリーンのアイデアルX号は、ニュージャージー州ニューアークからテキサス州ヒューストンへ、58個のコンテナ(アルミ製のトラック荷台)を積んで出港した[5]。古いタンカーを使った、コンテナ船の出発点のひとつとされる。

Transport Geographyによれば、マクリーンの試算では、1956年に中型船を従来方式で積むと1トンあたり5.83ドル、コンテナ方式では0.16ドル未満で、積み込みは8時間未満だったという[6]。0.16÷5.83は約0.027で、約97%の減にあたる(上限値の計算。Ideal-Xでの実積み込みでは15.8セントという記述もある)。数字は当時のドルで、現在の価値には換算していない。

では、船から降りた箱は、港の中をどう動くのか。

6. おろした はこは、そのあと どこへ いくの?

6. 岸壁からヤード、そしてゲートへ

6. ターミナルの荷役の流れと、ヤード・ゲートの課題

ふねから おろした はこは、じつは まだ たびの とちゅうです。

ガントリークレーンが つりあげて、ターミナルの なかを はしる トレーラーに のせます。トレーラーは、はこを ヤードと いう おきばに はこびます。ヤードには、タイヤで うごく クレーンが いて、はこを うけとって、つみ かさねます。さいごに、そとの トレーラーが、ゲートから はこを もちだします[2]。

ふねが おおきく なると、いちどに おろす はこが ふえます。すると、ゲートに トラックが ならんで、まちじかんが ふえるのが もんだいです[2]。

そこで、くにの やくしょは、あとで すぐ とりにくる はこを うえに、あとの はこを したに おく くふうを、エーアイで かんがえて みました[2]。まだ、かんがえて みた だんかいの はなしです。

国土交通省の説明資料では、輸入コンテナの流れを次のように示しています[2]。ガントリークレーンが船から箱を吊り上げ、構内トレーラーに降ろします。構内トレーラーがヤードまで運び、タイヤ式の門型クレーン(RTG)が受け取って積み上げます。そのあと、外来トレーラーが運び出し、ターミナルゲートを通って出ていきます。

この流れは、船が大きくなるほど詰まりやすくなります。世界で就航中のコンテナ船の最大船型は、1990年代の4,600TEUから、2018年時点の21,413TEUまで大きくなりました[2]。TEUは20フィートコンテナに換算した個数です。1回の寄港で扱う数が増え、着岸時間が長くなったり、ゲートが混んだりしていると、資料は述べています。

そこで国土交通省は、早く取りに来そうな箱を上に、遅そうな箱を下に置くヤードの計画を、AIで検討しました[2]。平成30年度の検討で、実用化済みとは書かれていません。船の上でも陸の上でも、「取り出す順から考えて置く」という同じ発想が使われています。

輸入コンテナの流れは、次のように示されている[2]。ガントリークレーンが本船から吊り上げ、構内トレーラーに降ろす。構内トレーラーがヤードへ運ぶ。RTG(タイヤ式門型クレーン)がヤード内荷役として受け渡す。外来トレーラーが運び出し、ターミナルゲートを通過する。ガントリークレーンが本船荷役を、RTGがヤード内荷役を担い、役割が分かれている。

この流れが課題になるのは、船が大型化したからである。世界で就航中のコンテナ船の最大船型は、1990年代が4,600TEU、2000年代が8,468TEU、2010年代が16,020TEU、2018年現在が21,413TEUと示された[2](TEUは20フィートコンテナ換算の個数。2018年時点の値で、現在の最大船型ではない)。1寄港あたりの積卸個数が増え、着岸時間の長期化やゲートの渋滞が課題になったと資料は述べる[2]。

対策として、国土交通省はAIで、早く取りに来そうな箱を上に、遅そうな箱を下に置くヤードの蔵置計画を検討した。下段の箱を出すための荷繰りを減らすためである。これは平成30年度の検討であり、実用化済みとは述べられていない。船の上の積付計画と同じく、取り出す順から逆算する考え方である。

自分でも しらべて みたく なったら

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

きょう できること おかしの あきばこや、つみきを 5つ ぐらい ならべて みましょう。「さいごに とりだす はこ」を いちばん うえに して、つみます。あとで とりだす はこを、したに かくします。

でかけて できること みなとの ちかくに いく ことが あれば、クレーンと はこを 見て みましょう。はこの いろや、たかさを 見るだけで かまいません。うみの ちかくは あぶないので、おとなと いっしょに、フェンスの そとから 見ます。

くわしく しるには こくどこうつうしょうの こども むけの しりょうに、コンテナ船の せんちょうさんと、クレーンを そうさする ひとの はなしが のって います。

今日できること お菓子の空き箱や積み木を5個ほど用意し、「最後に取り出す箱を一番上にする」「あとで取り出す箱を下にする」というルールで積んでみます。取り出す順番を変えると、積み方がどう変わるかを見てみましょう。

出かけてできること 港や、海沿いの展望台などから、クレーンと箱を眺めてみます。箱の色や、積まれた段数を数えるだけでも発見があります。岸壁の近くは危険なので、おとなと一緒に、柵の外から見てください。

公式情報 国土交通省海事局の子ども向け資料に、コンテナ船の船長やガントリークレーンの操作員の話があります。ターミナルの流れは、国土交通省のコンテナターミナル高度化の説明資料にあります。

今日できること 箱型の物を数個積んで、取り出す順を変えたときに動かす回数がどう変わるかを数えると、荷繰りの考え方が体感できる。

出かけてできること 港や展望台から、ガントリークレーンとコンテナの段数を観察する。岸壁の近くは危険なので、立入りが許された場所から見る。

公式情報 国土交通省海事局の子ども向け資料(クレーン操作員の話)と、国際戦略港湾コンテナターミナル高度化実証事業の説明資料に、荷役の流れとヤード・ゲートの課題が示されている。船の上の配置については、船会社の解説を読むと理解が進むが、ベイ・ロー・ティアの定義は、港湾や船会社の資料で確かめてほしい。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文の参照番号と、下の出典の番号が対応しています。

  1. 国土交通省 海事局 子ども向け資料「コンテナ船の船長・大森さん/ガントリークレーンを操作する和田さんの話」 https://www.mlit.go.jp/maritime/content/001330750.pdf (35個という目安・操作員の連絡)
  2. 国土交通省 国際戦略港湾コンテナターミナル高度化実証事業 説明資料 https://www.mlit.go.jp/common/001238883.pdf (ターミナルの流れ・船型の変化・ヤードの計画)
  3. 乗りものニュース「海のテトリス」 https://trafficnews.jp/post/601812 (積付計画・ホギングとサギング)
  4. Ocean Network Express(ONE)お仕事紹介 積付計画 https://world.one-line.com/ja/action/action_008 (降ろす順への配慮・バランス・計画の所要時間)
  5. Smithsonian Magazine "The Shipping Container Idea Before Its Time" https://www.smithsonianmag.com/innovation/shipping-container-idea-before-time-180963730/ (アイデアルX号の出港)
  6. Transport Geography "First Containership, Ideal-X, 1956" https://transportgeography.org/contents/chapter1/the-setting-of-global-transportation-systems/idealx-first-containeriship-1956/ (コストの試算)

なおした ところ

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