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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

こおりを くだくと、どうして しろく なるの?

氷は、かたまりだと透明、砕くと白、氷河では青く見える

氷を砕くと白く見える理由 ── 粒の表面での多重散乱と、氷河の青

分野:自然

とうめいな こおりの かたまりを くだくと、しろく なります。しろい えのぐを まぜたわけでは ありません。

どうして しろく なるのでしょう。この きじを よむと、ひかりが こおりの なかで なにを して いるのかが わかります。さとうや しお、ゆき、あつい こおりの あおい いろとも つながります。

同じ氷なのに、かたまりは透明で、砕くと白く、厚い氷河では青く見えます。光はどこで変わるのでしょう。

この記事を読むと、光が氷の小さな面で何度も向きを変えるうちに、全部の色が混ざったまま目に届くことが分かります。砂糖や塩、雪、水にぬれた氷、そして厚い氷河の青までが、同じ考え方でつながります。

透明な氷のかたまりは、砕くと白くなる。色素が加わったわけではなく、同じ水が同じ氷のままで、見え方だけが変わる。しかも、厚い氷河の氷は、白ではなく青く見える。

では、何が変わると、透明・白・青に分かれるのか。この記事を読むと、粒の表面での散乱、氷と空気の屈折率の差、水がすきまを埋めたときの変化、氷による赤い光の吸収が、1本の筋でつながることが分かる。

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1. すきまなく つまった こおりは、どうして とうめいなの?

1. 氷のかたまりは透明なのに、砕くと白い

1. かたまりの氷は透過し、粒の集まりは散乱する

コップの なかの こおりを、ガリガリと くだいて みます。くだく まえは むこうが すけて みえたのに、くだいた あとは しろく みえます。

こおりは、ちいさな けっしょうが すきまなく つまって できて います。だから ひかりは、あまり ちらされずに、ほとんど とおりぬけます[1]。

ゆきは ちがいます。ゆきは、ちいさな けっしょうの つぶが あつまったものです。ひかりが あたると、いろいろな むきの つぶの おもてで ひかりが はねかえり、しろく みえます[1]。

くだいた こおりも、ゆきと にて います。では、「しろい」と いうのは、どんな いろなのでしょう。

コップの氷を砕いてみると、砕く前は向こう側が見えていたのに、砕いたあとは白くにごって見えます。

氷は、結晶がすきまなく詰まっているので、光はあまり吸収も散乱もされず、大部分が通りぬけます[1]。純粋な結晶のかたまりは透明に見える、ということです。

雪は、小さな結晶の粒の集まりです。光が当たると、いろいろな向きを向いた粒の表面で散乱し、白く見えます[1]。砕いた氷は、雪とよく似た状態になっていると考えられます。ただし、砕氷そのものを調べた資料は、今回は使っていません。

ここで引っかかるのは、白という色です。白い色は、どこから来たのでしょうか。

氷のかたまりは、結晶が粒ではなくすきまなく詰まっているため、光はあまり吸収も散乱もされず、大部分が透過する。純粋な結晶の塊が透明に見えるのは、このためである[1]。

一方、雪は小さな結晶粒の集合で、さまざまな向きの粒の表面で光が散乱して白く見える[1]。砕いた氷も、粒どうしの境目が増える点で雪に近い状態だと考えられるが、砕氷を名指しした一次資料は見ておらず、この点は上の2つの資料からの推論である。

では、散乱の結果として「白」が見えるとき、光の側では何が起きているのか。次の問いは、そこになる。

2. しろは、どうして「いろが ぜんぶ まざった」いろなの?

2. 白く見えるのは、全部の色の光が混ざって届くから

2. 白は全波長が同程度に散乱されたときの色

たいようの ひかりや けいこうとうの ひかりは、いろいろな いろが まざって できて います。まざると、しろく みえます[1]。

ゆきの ように、ぜんぶの いろの ひかりを ちらす ものは、しろく みえます。とくべつな いろだけを すいこんだり つよく ちらしたり すると、いろが ついて みえます[1]。

だから くだいた こおりが しろいのは、いろが ついたのでは ありません。ぜんぶの いろが まざったまま、めに とどいて いるのです。

では、くだいた ところで、ひかりは どう はねかえるのでしょう。

太陽の光や蛍光灯の光は、いろいろな色の光が混ざった白色光です[1]。

雪のように、全部の色の光を散乱するものは、白く見えます。反対に、特定の色の光を吸収したり、強く散乱したりすると、その色がついて見えます[1]。

つまり、砕いた氷が白いのは、白い色が加わったからではありません。氷が色を選ばずに光を散らすので、混ざった光がそのまま目に届くからです。

では、氷のどこが、光を散らしているのでしょうか。

太陽光や蛍光灯の光は、さまざまな色の光が混ざった白色光である[1]。物体が全部の色の光を散乱すれば白く、特定の色を吸収したり強く散乱したりすれば色がついて見える[1]。

この見方に立てば、砕氷の白さは「何かが加わった」ためではなく、「光の波長ごとの選り好みがほとんどない」ためだと読める。ただし、散乱が全く選択的でないわけではない。粒が十分に大きい場合に、反射・屈折がおおむね波長によらないことが、次章の根拠である。

では、その散乱は、氷のどこで、どのように起きるのか。

3. こおりの なかで、ひかりは なにに ぶつかるの?

3. 氷と空気の境目で、光は何度も向きを変える

3. 氷と空気の境界で、光が反射・屈折する

こおりと くうきでは、ひかりの すすみかたが ちがいます。ひかりは、こおりと くうきの さかい めで、はねかえったり、まがったり します[2]。

くだくと、あたらしい さかいめが たくさん できます。ひびや、あわの かべも さかいめです。ひかりは、そこで なんども むきを かえながら すすみます[2]。

ひかりを、ピンボールの たまに たとえて みましょう。たくさんの かべに ぶつかって、あちこちに はねかえります。ただし ほんとうは、たまでは なく、ひかりの すじが まがるのです。

この はねかえりかたは、いろによって あまり かわりません[3]。だから、ぜんぶの いろが まざったまま、でて きます。

氷と空気では、光の曲がりやすさ(屈折率)が違います。可視光(波長546ナノメートル)で、氷は約1.31、空気は約1.0003です[2]。この差があるので、氷と空気の境目では、光の一部が反射し、一部が曲がって進みます。

砕くと、この境目が一気に増えます。新しくできた面、ひび、気泡の壁のどれもが、氷と空気の境目になります。光はそのたびに向きを変えるので、あちこちから目に届きます。

雪を調べた研究では、氷の結晶が光に対して十分大きいとき、反射や屈折は光の色にほぼよらない、と説明されています。そして、数cmほどの積雪で、色のない白に見えるとされます[3]。

氷の粒の1つ1つは小さすぎて色がつかず、白く見えるのは、たくさんの面を経て出てきた光が混ざるからです[3]。

では、同じ考え方は、氷以外にも当てはまるのでしょうか。

氷の屈折率は、可視光546nmで、常光線が1.3104、異常光線が1.3118と、結晶の向きでわずかに違う。空気は約1.0003である[2]。この差があるため、氷と空気の境界では光が反射・屈折し、向きを変える。

砕くと、新しい破断面、ひび、気泡の壁など、氷と空気の境界が大量に増える。粒の中で光は何度も屈折・反射を繰り返し、多重散乱を経て外へ出てくる[3]。

Vollmer and Shaw は、光学的に十分大きな氷の結晶による反射・屈折は、波長にほぼよらないとし、数cmの積雪で無色の白に見えると述べる。結晶1つが白く見えるのは小さすぎて色がつかないためで、雪原で白く見えるのは多重散乱の結果とされる[3]。

ここまでの説明は、「粒の境界が多く、媒質の差が大きいと白くなる」という形をしている。この形は、氷でなくても当てはまるはずである。

4. さとうや しおも、しろいのは どうして?

4. 砂糖や塩が白いのも、同じ理由

4. 砂糖・塩は結晶粒の集まりなので白い

さとうや しおは、しろく みえます。でも、おおきな けっしょうを ひとつだけ とりだすと、とうめいに みえます[1]。

ひとつぶ ひとつぶは とうめいで、つぶが たくさん あつまって、しろく なるのです。ゆきや くだいた こおりと、おなじ かんがえかたです。

さて、つぶの すきまは、くうきで みたされて います。この くうきが、みずに かわったら、どう なるでしょう。

砂糖や塩も、小さな結晶の粒が集まったものなので、白く見えます[1]。大きな結晶を1つだけ取り出すと、透明に見えます[1]。

粒1つ1つは透明でも、たくさん集まると境目だらけになり、光があちこちで向きを変えて白く見える、という点は、氷と同じです。

粒のすきまは、空気で満たされています。では、そのすきまに、空気ではなく水が入ると、見え方はどうなるのでしょうか。

砂糖や塩も、小さな結晶粒の集合として白く見える。純粋な結晶の塊は透明に見える[1]。白さを決めているのは物質の色ではなく、粒の集まりという形であり、氷と同じ原理に入る。

粒のすきまは、通常は空気で満たされており、これが氷(約1.31)との屈折率の差を生む前提である。ではその空気を、氷に近い屈折率の物質に置き換えたらどうなるか。

5. すきまが みずに なると、しろさは どう かわるの?

5. すきまを水がうめると、光の返り方が変わる

5. 水の屈折率は氷に近く、近赤外の反射が下がる

みずの ひかりの まがりやすさは、こおりに ちかい ものです。だから、こおりの つぶの すきまに みずが はいると、さかいめで ひかりが まがりにくく なります[2]。

ゆきの けんきゅうでは、ぬれた ゆきは、かわいた ゆきより、めに みえない ひかり(きんせきがい)を はねかえす わりあいが さがる、と いわれて います[2]。

めに みえる ひかりで しろさが どう かわるかは、おうちの こおりで、じぶんの めで たしかめる ことが できます。

水の屈折率は約1.33で、氷(約1.31)にとても近い値です。そのため、氷の粒のすきまの空気が水に置き換わると、境目で光が曲がりにくくなります[2]。

雪の研究では、粒のあいだの空気が液体の水に置き換わると、見かけの粒が大きくなったように働き、近赤外線(目に見えない光)では、ぬれた雪の反射は乾いた雪より下がるとされています[2]。

ここで注意したいのは、この研究が扱っているのは雪の近赤外線で、目に見える光の白さや「透明になる」ことまでは言っていない点です。砕いた氷が溶けたときに、どう見えるかは、自分の目で確かめる題材として残ります。

では、同じ氷でも、厚いかたまりは何色に見えるのでしょうか。

水の屈折率は約1.33で、氷の約1.31に近い。そのため、氷粒のあいだの空気が水に置き換わると、境界での屈折が小さくなる。Wiscombe and Warren の考察は、これを実効粒径が大きくなる効果として扱い、近赤外域ではぬれた雪のアルベドは乾いた雪より下がるとする[2]。

この文脈は雪の近赤外域の反射率であり、可視光での白さの変化や、砕いた氷が溶けて透明になることまでは述べていない。ただし、白さを支えているのが屈折率の差だとすれば、水がすきまを満たすほど散乱は弱まる方向に働くと予想できる。この予想の確認は、観察に委ねられる。

もう1つ、「粒の集まり」ではなく、すきまのほとんどない厚い氷では、どうなるか。

6. あつい こおりは、どうして あおく みえるの?

6. 厚い氷は、赤い光を少しずつ吸って青く見える

6. 氷河の青 ── 赤い光の吸収と、気泡の有無

こおりは、あかい ひかりを、ほんの すこし すいこみやすい せいしつが あります[2]。

うすい ところや、つぶの ゆきでは、ひかりが こおりの なかを とおる きょりが みじかいので、あかが めだって へりません。だから しろく なります。

でも、あつい こおりの なかを ながく すすむと、あかい ひかりは すいこまれやすく、あおい ひかりは ちらされやすい ことなどが かかわって、あおく みえます。ひょうがの あおい いろは、こうして できると いわれます[2]。

あわの ない こおりは、とくに あおみが つよく、あわが おおい こおりは しろく みえます[2]。

氷は、赤い光をわずかに吸収しやすい性質があります。光が氷の中を進む長さ(吸収の長さ)は、波長700ナノメートルの赤い光で約2メートル、400ナノメートルの青紫に近い光で約200メートルと見積もられています[2]。約100倍の差です。

雪の粒は、半径が約100マイクロメートルです。光が1000回屈折したり反射したりしても、氷の中を通る距離は、全部で20cmほどと見積もられています[2]。これは1000回の場合の一例で、決まった値ではありません。2メートルに対して20cmなので、赤い光もあまり減らず、白いままです。

ところが、氷河のように厚く、光が長く進む氷では、赤い光が少しずつ吸われます。氷河の割れ目や氷山では、とくに気泡の少ない海の氷が、青みを帯びるとされます[2]。気泡が多い氷は白く見えます。

なお、氷河の青の説明は、出典によって強調する点が少し違います。北海道大学の資料は、光が氷の中を進むあいだに、色ごとに散乱や吸収の度合いが違うことを挙げています[1]。この記事では、吸収の長さの値が示されている Warren の説明を中心にしました。

氷は赤い光をわずかに吸収しやすい。Warren は、吸収の長さを、波長700nmで約2m、400nmで約200mと示す[2]。約100倍の差である。

雪の粒は半径約100μmで、光が1000回の屈折・反射を経ても、氷の中を通る距離の合計は約20cmにとどまる。これは「1000回の場合の例」で、固定値ではない。2mの吸収の長さに比べて20cmは短いので、赤の減り方は目立たず、全体として白が保たれる[2]。

これに対し、氷河の厚い氷では、光の通る距離が桁違いに長く、赤い光が少しずつ吸われて青が残る。氷河のクレバスや氷山では、気泡のない海の氷が、とくに青みを帯びる[2]。気泡は、氷と空気の境界を増やして散乱を強めるので、気泡の多い「白い氷」は白く見える、という読みが成り立つ。

青の理由の説明は、資料で重点が異なる。古川(北海道大学)は、厚い氷の層で色ごとに散乱・吸収の度合いが違うことを挙げ、波長の短い側が散乱されやすい、という方向で述べる[1]。Warren は赤の吸収を軸に説明する[2]。本稿は、数値で示された吸収を軸にしたが、散乱の寄与を排除するものではない。

自分でも しらべて みたく なったら

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

今日できること

コップの みずに、こおりを いれて、スプーンで すこし くだいて みましょう。ビニールぶくろに いれて、タオルで つつんで たたく ほうほうも あります。くだく まえと あとで、むこうが すけて みえるか くらべます。かたい ものを つかう ときは、おとなと いっしょに やりましょう。

くだいた こおりが とけて いく ところも、ようすを みて みます。しろさは かわるでしょうか。

こうしきの じょうほう

ほっかいどうだいがく ていおんかがくけんきゅうじょの ホームページに、ゆきや こおりの はなしが あります。

今日できること

透明な氷(製氷皿の氷でよい)を、コップに入れて、スプーンの背で少し砕いてみましょう。砕く前後で、向こう側が見えるかを比べます。

砕いた氷が溶けていくあいだ、白さがどう変わるかも、少し時間をおいて見てみてください。粒のすきまを水が満たすと、白さが弱まるのかを確かめる観察になります。結果は、氷の量や温度で変わると思います。

公式情報

北海道大学低温科学研究所の「雪氷学のトビラ」に、氷河の青の話があります。

今日できること

透明な氷を砕き、砕く前後の見え方を比べる。砕いた氷が溶けるにつれて、白さがどう変わるかを時間を追って観察する。第5章の予想(水がすきまを満たすと散乱が弱まる)が当てはまるか、自分の目で確かめられる。気泡の少ない氷と多い氷を並べて比べる方法も考えられる。

公式情報

北海道大学低温科学研究所「雪氷学のトビラ」第13回(出典[1])、Warren (2019)(出典[2]、英語)、Vollmer and Shaw (2013)(出典[3]、英語)を読み、吸収の長さや屈折率の値の出どころを確かめてみるのもよい。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

今回は、粒の集まりが白く見える考え方は北海道大学低温科学研究所の資料、屈折率・吸収の長さ・気泡・ぬれた雪は Warren の論文、多重散乱は Vollmer and Shaw の論文を突き合わせた。砕いた氷を直接調べた資料は見つからなかったので、本文では「近い状態だと考えられる」という強さにとどめた。

  1. 古川義純「氷河はなぜ青いのか」北海道大学低温科学研究所『雪氷学のトビラ』第13回(折々40) https://www2.lowtem.hokudai.ac.jp/pdf/13oriori40.pdf (粒の集まりが白く見える理由・白色光・氷の透明さ)
  2. Warren, S. G. (2019) Optical properties of ice and snow. Phil. Trans. R. Soc. A 377:20180161 https://www.math.utah.edu/~golden/resources/anthony_jajeh/Warren_Optical_Props_ice_and_snow_Phil_trans_2018.pdf (屈折率・赤い光の吸収・気泡・ぬれた雪)
  3. Vollmer, M. and Shaw, J. A. (2013) Brilliant colours from a white snow cover. Physics Education 48(3) https://www.montana.edu/jshaw/documents/Snow%20sparkles%20-%20VollmerShaw%20-%20Phys%20Ed%202013.pdf (多重散乱・波長によらない反射と屈折)

なおした ところ

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