1. 昼の あいだ、星は どこに いるの?
1. 昼のあいだ、星はどこへ行っているのでしょう
1. 星は昼も空にある ── 消えたのではなく、見えないだけ
夕方に なると、星が ひとつ、ふたつと 見えて きます。では、昼の あいだ、星は どこに いたのでしょう。
こたえは「ずっと 空に いた」です。星は 昼も 夜も、同じ 空に あります。
夜空で 明るい 金星も、ほんとうは 昼間も 空に うかんで います。太陽の 光が 明るすぎて、見えないだけだと 言われます[3]。
見えない ことと、ない ことは ちがいます。では、なにが 星を かくして いるのでしょうか。
夕方、空が少し暗くなると、星がひとつ、またひとつと見えてきます。昼のあいだ、星たちはどこにいたのでしょうか。
答えは、ずっと空にいた、です。夜空で明るい金星も、本当は昼間も空に浮かんでいて、太陽の光が明るすぎて見えないだけだと解説されています[3]。
見えないことと、ないことは別です。星のほうが変わったのではなく、空のほうの明るさが変わっています。では、その明るい空は、どうやって星を隠すのでしょう。
日没後に星が現れるのを見ると、星は夜になってから出てくるように思える。しかし昼の星は消えているのではなく、空の中に残っている。金星について、日本語の解説も「本当は昼間も空に浮かんでいる。太陽の光が明るすぎて見ることができないだけ」と整理している[3]。
昼と夜で変わるのは、背景の空の明るさである。見えるかどうかは、星と空の明るさの差で決まる。この見方が、この記事の軸になる。では、昼の空はなぜ明るく、それが星をどう埋めるのか。
2. 星の 光は、明るい 空に まぎれる
2. 太陽の光が空じゅうに散らばり、淡い星の光を埋める
2. 大気による散乱と、星と空の明るさの差
地きゅうの まわりには 空気が あります。太陽の 光は、この 空気に ぶつかって、空の あちこちに ちらばります[1]。そのため、空ぜんたいが 明るく なるのです。
いっぽう、星の 光は とても うすい もの です。明るい 空の 中では、うすい 光が かき消されて しまいます[2]。
ふぶきの 中で、ひとつぶの 雪を さがすのに にて いると たとえられます[1]。ただし 星は 雪のように ふって くる わけでは ありません。むずかしさの たとえです。
おなじ 星でも、空が 暗ければ 見えます。見えるか どうかは、星と 空の 明るさの ちがいで 決まります。
空気が、太陽の光をまき散らす
地球をつつむ大気は、太陽の光を空全体に散らす性質があります。そのため、昼間は空じゅうが明るくなります[1]。
一方、星の光はもともと淡いものです。Scientific American の解説は、空気の分子に散らされた光が星をかき消す、と説明しています[2]。
ふぶきの中の雪片
StarDate(テキサス大学の天文台が出している科学コーナー)は、昼に星を探すのを、吹雪の中で雪片をひとつ探すようなものにたとえています[1]。まわりにまぎれて目立たないことを、雪片にたとえたものです。
日本の高校生の発表も、昼の観測が難しい原因を、天体と周りの空の明るさの差が小さいことだとしています[4]。見えるかどうかは、星と背景の空との明るさの差で決まります。
昼間に空が明るいのは、大気が太陽光を空全体に散らすためだ。StarDate(テキサス大学マクドナルド天文台)は、その散らされた光の中で、遠い星の淡い光は見つけにくくなると述べ、吹雪の中で雪片を1つ探すことにたとえる[1]。Scientific American も、星は淡く、空気分子に散乱された光に埋もれると説明する[2]。
では、どれほど明るいのか。天文愛好家のフォーラムでは、ある投稿者が、書籍の図から、完全な夜空と正午の天頂の空の比を約7000万倍と見積もっている。この見積もりを等級に直すと約19.6等の差になる[9]。これは掲示板での概算で、測定条件も限られた値だから、桁の目安として読む。
注目するのは、この差を小さくしているのが空の明るさのほうだという点だ。2021年の日本天文学会ジュニアセッションで石川県立七尾高校が示した説明も、観測を難しくするのは天体と周囲の空の明るさの差が小さいことだった[4]。では、空はどう暗くなり、星は現れるのか。
3. 夕方、星は どんな じゅんばんで 出てくる?
3. 夕方、星は明るいものから順に現れる
3. 薄明の3段階と、見える星の等級
夕方、太陽が ちへいせんの 下に しずむと、空は だんだん 暗く なります。すると、星が 出る じゅんばんが あります。
まず、いちばん 明るい 1とうせいが 見えます。太陽が 6どほど しずんだ ころが めやすです[6]。
もっと しずんで 12どに なると、1とうせいと 2とうせいが 見えて きます。18どに なると、空は ほとんど 暗く、6とうせいまで 見えると いわれます[5]。
星の 明るさは「1とうせい」「6とうせい」と 言い、数が 小さい ほうが 明るい 星です。ただし これは めやすで、てんきや 場所で かわります。
太陽が沈むほど、空は暗くなる
日の入りのあとも、しばらく空は明るいままです。この時間を薄明といい、太陽の中心が地平線の下にどれだけ沈んだかで、3つの段階に分けられます[5]。
国立天文台のこよみのトピックスによると、太陽が6°沈むまでは、戸外の作業に困らない明るさで、1等星が見えます[6]。12°沈むころの航海薄明では、1〜2等星が見え、水平線や地平線が識別できます。18°沈む天文薄明では、空はほぼ完全に暗く、6等星まで見えるとされます[5]。
見える星の数が増える
星の等級は、数が小さいほど明るい星です。空が暗くなるほど、暗い星まで見えるようになります。ただし、天気や場所で変わる目安です。
では、空が明るいままの昼間には、見える星は1つもないのでしょうか。
夕方に星が現れる順番は、太陽の中心が地平線の下に沈んだ角度(伏角)で目安が示される。薄明は伏角で3段階に分けられ、市民薄明は日の入りから伏角6°まで、航海薄明は12°まで、天文薄明は18°までとされる[5]。
見える星は、航海薄明では1〜2等星で水平線も識別でき、天文薄明では空がほぼ暗くなり6等星まで見える[5]。国立天文台暦計算室のトピックスも、伏角6°以内で戸外作業に差し支えない明るさのまま1等星が見え、18°で6等星まで見えると説明する[6]。
この対応から、星が見えるかどうかは、星の明るさが空の明るさを超えるかで決まることが分かる。等級は5等の差で明るさが100倍になるので、6等星は1等星の100分の1の明るさだ。空が十分暗くなるまで、淡い星は背景に沈んでいる。ただし伏角と等級の対応は目安で、天候や観測する場所で変わる。では、空がまだ明るい昼間でも、見える天体はあるのか。
4. 昼でも 見える 天体は あるの?
4. 昼でも見える天体は、あるのか
4. 昼でも見える天体 ── 金星と、望遠鏡で見える星
あります。いちばん 見つけやすい のは 金星です。金星は 星ではなく、惑星です。
金星は、太陽と 月を のぞくと、空で いちばん 明るい 天体の ひとつです。青空の 中でも 見える ことが あると いわれます[8]。
金星は 昼でも 見える ほど 明るい、と Scientific American も 書いて います[2]。ほかの 星は ふつう、昼の 空では 見えません。
ただし、いつでも だれにでも すぐ 見つかる わけでは ありません。しかも、金星を さがす とき、太陽を 見ては いけません。目を いためます。
昼でも見えるのは、とびきり明るい天体
昼の空で見やすいのは金星です。金星は太陽と月を除くと、全天で最も明るい天体として知られ、青空の中でも見えることがあるとされます[8]。Scientific American も、金星は太陽が出ていても見えるほど明るいと書いています[2]。
恒星は、望遠鏡やカメラの工夫で
金星より暗い恒星は、肉眼では見つけにくくなります。同じ記事では、昼の測光で3等星までを測った例や、望遠鏡の計画で4.6等星を検出した例が紹介されています[2]。ただし4.6等の例は特殊な望遠鏡の話で、肉眼で見える限界ではありません。
金星を探すときは、太陽を絶対に見ないことが大切です。では、望遠鏡やカメラがあれば、昼の星はどこまで見えるのでしょうか。
昼でも見える天体の代表は金星だ。三菱電機のコラムは、金星は昼間も空にあるが、太陽光が明るすぎて見えにくいと説明する[3]。金星は太陽と月を除くと全天で最も明るく、最大光度は約−4.8〜−4.9等とされ、青空の中でも見えることがある[8]。ただしこの数値は報道記事の紹介で、観測地や時期で見え方は異なる。
恒星が金星のように昼に肉眼で見えるかどうかは、明るさと条件しだいだ。Scientific American は、昼の測光で3等星までを測った例と、望遠鏡の計画で4.6等星を検出した例を紹介する[2]。4.6等は特殊な望遠鏡による例で、人の目の限界を示す数字ではない。昼の恒星は、機材や条件を整えたうえで、ようやく見える対象になる。
金星を探すときは、太陽を見ない位置取りが前提になる。望遠鏡を太陽の近くに向けること自体が危険だからだ。では、機材があれば、昼の星はどんな条件で観測できるのか。
5. 高校生は、昼の 星を どう 調べたの?
5. 高校生が調べた、昼に星を観測する条件
5. 日中観測の条件 ── 離角40°・60°と、フードを延ばす効果
石川県の 高校生が、昼の 天体を 見る やりかたを 調べ、日本天文学会の 発表で つたえました[4]。
見えにくい わけは、星と 空の 明るさの ちがいが 小さい こと。そこで、見やすく なる ようすを 調べました。
まえの 研究では、太陽から 40ど いじょう はなれた、4とうせいより 明るい 星なら、昼でも 見られると されて います。望遠鏡の 先に つける つつを 長く すると、星が 見やすく なる そうです[4]。
ただし これは 道具を つかった 高校生の 発表です。だれでも すぐに できる やりかたでは ありません。
太陽からの離れ具合が鍵になる
石川県立七尾高校の生徒は、日本天文学会ジュニアセッション(2021年春)で、日中の観測の精度を調べた発表をしました。昼の観測が難しい理由を、天体と周りの空の明るさの差が小さいことだと整理しています[4]。
2020年の先行研究では、太陽との離角(太陽から天体までの見かけの角度)が40°以上で、4等星より明るい天体なら、日中でも観測できたと紹介されています。望遠鏡のフードを延ばすと、恒星が見やすくなったともあります[4]。
スマホで撮れる条件
コンピュータ制御の望遠鏡を使えば、−2等星より明るく、太陽との離角が60°以上の天体なら、スマートフォンのカメラで撮影できたとされます[4]。ただし、高校生の学会発表で、確認できた例は限られます。条件は機材によって変わります。
石川県立七尾高校のSSCは、日本天文学会ジュニアセッション2021春で、日中の天体観測の精度を調べた。日中に観測が難しい原因は、天体と周囲の空の明るさの差が小さいことだ[4]。見やすくするには、天体と空の明るさの差を大きくすればよいことになる。
発表によれば、2020年の先行研究では、太陽との離角が40°以上で、等級が4等星より明るい天体であれば、日中でも観測できた。離角は、太陽から天体までの見かけの角度だ。望遠鏡のフードを延ばすと恒星が見やすくなることも示される。さらに、コンピュータ制御の望遠鏡では、−2等星より明るく離角60°以上の天体なら、スマートフォンのカメラで撮影できた[4]。
どちらの条件にも、明るさと離角の両方が入っている点が目を引く。ただし、発表で示された条件や例は限られる。一般的な基準として使うより、一例として読むのがよい。では、写真に星が写っていないとき、星は消えたことになるのか。
6. 写真に 星が うつって いないとき、星は 消えたの?
6. 写真に星がないのは、星が消えたからではない
6. 露出と星 ── 写真に写らないことと、存在しないことの区別
月で とられた 写真には、星が うつって いない ものが 多く あります。だからといって、月の 空に 星が ない わけでは ありません。
この 写真は、明るい 月の 地面や 白い 服に 合わせて、シャッターを 開ける 時間を 短く して いました。その 時間では、うすい 星の 光が とどきません[7]。
星が 消えたのでは なく、写真に うつらなかった だけです。ただし これは カメラの 話です。人の 目で 月から 星が どう 見えるかは、べつの 話です。
明るいものに合わせると、淡いものは写らない
月面で撮られたアポロの写真に星が写っていないのは、星が消えたからではありません。明るい月面や白い宇宙服に合わせて露出(シャッターを開ける時間)を短くしたため、淡い星の光が記録されなかったのです[7]。
昼の空も、少し似ています。明るい空に目や写真を合わせると、淡い星は背景の明るさに負けます。ただし、これは写真の話です。人の目で月から星が見えるかどうかは、別の問いとして残ります。
月面写真に星が写らない理由として、The Planetary Society は、明るい月面と白い宇宙服に合わせた短い露出では、星を検出できないことを挙げる[7]。星はそこにあるが、その露出の条件では淡い星が写らないということだ。
昼の空の場合も、構図は似ている。明るい背景に合わせた条件では、淡い天体は背景との差が足りず埋もれる。ただし写真に写るかどうかと、人の目で見えるかどうかは別の話で。
昼の星の見え方は、星の明るさ、背景の明るさ、記録の条件の組み合わせで決まる。ならば、自分の目で、空の暗さと星の出る順を確かめられないか。
7. 夕ぐれの 空で、星を 数えて みよう
7. 日が沈んだあと、10分おきに星を数えてみる
7. 出口 ── 空の暗さと星の数を記録し、発表資料を読む
よく はれた 日の 夕方に、おうちの 人と いっしょに 外へ 出ます。まぶしい 太陽は 見ません。太陽が しずんだ あとの 空を 見ます。
10ぷんごとに 1かい、見えた 星の 数を ノートに かきます。空の 色も ひとこと 書いて おきます。
はじめは 1つか 2つ でも、空が 暗く なると、数が ふえるかも しれません。ただし、まちの あかりが 多い 場所では、数が かわる ことも あります。
ぜったいに 太陽を 見ては いけません。暗い 道では、おうちの 人と いっしょに いて ください。
よく晴れた日の夕方、日の入りのあとの空を見上げ、10分おきに、見えた星の数をノートに書きます。空の色も、ひとことメモします。
空が暗くなるにつれて、数がどう増えるか、はじめに見える星はどれかを調べます。街の明かりが多い場所では、数が変わることがあります。数の増え方を、日を変えて比べてもおもしろいでしょう。
安全のため、太陽が見えているあいだは、太陽の方向を見ないでください。暗い道では、大人と一緒に外へ出ましょう。
昼の星の観測条件が気になったら、日本天文学会ジュニアセッションの高校生の発表[4]が、日本語で読めます。昼間に見える天体と見えない天体を分けるものは何か、考える材料になります。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
出典について:天文台の解説、国立天文台の暦のトピックス、事典、日本天文学会ジュニアセッションの発表、解説記事を使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。
- StarDate(テキサス大学マクドナルド天文台)「Why aren't stars visible in the daytime?」。https://stardate.org/faq/why-arent-stars-visible-in-the-daytime (昼に星が見えない理由と、吹雪のたとえについて。英語)
- Scientific American「How to See Stars, Satellites, and More in the Daytime Sky」。https://www.scientificamerican.com/article/how-to-see-stars-satellites-and-more-in-the-daytime-sky (散乱光と金星、昼の測光の例について。英語)
- 三菱電機 DSPACE コラム。https://www.mitsubishielectric.co.jp/dspace/column/c0405_4_b.html (金星が昼間も空にあることについて)
- 石川県立七尾高校SSC「日中における天体観測の精度の追求」(日本天文学会ジュニアセッション2021春 04T)。https://stg.asj.or.jp/jsession/2021haru/files/04T.pdf (昼の観測の難しさと条件について。高校生の発表)
- コトバンク「薄明」(事典の項目)。https://kotobank.jp/word/薄明 (薄明の3段階と見える星の等級について。事典)
- 国立天文台 暦計算室トピックス「薄明」(1992年)。https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/topics/html/topics1992.html (太陽の伏角と見える星の目安について)
- The Planetary Society「Why are there no stars in most space images?」。https://www.planetary.org/articles/why-are-there-no-stars (月面写真に星が写らない理由について。英語)
- ウェザーニュース「金星が最大光度に」(2025年2月)。https://weathernews.jp/news/202502/130075/ (金星の明るさについて。報道)
- 英国天文学会フォーラム「Brightness of a summer blue daytime sky」。https://britastro.org/forums/topic/brightness-of-a-summer-blue-daytime-sky (昼の空の明るさの概算について。掲示板の投稿で、目安の扱い。英語)
なおした ところ
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