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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

ものが 水に とけるって、どう いう こと?

食塩は水に溶けて、どこへ行くのか ── 消えたように見えるしくみ

溶けるとは何か ── 粒が水の分子に囲まれ、散らばること

分野:理科

コップの 水に さとうを スプーンで いっぱい 入れて、かきまぜて みて ください。さとうは すぐに 見えなく なります。

でも、消えて しまった わけでは ありません。水を 少し あさい お皿に とって 日なたに 何日か おくと、白い つぶが また あらわれます。さとうは、水の 中で どんな すがたに なって いるのでしょう。

食塩を水に入れてかき混ぜると、食塩は見えなくなります。それでも、水を蒸発させると白い粉が残ります。消えたのではなく、粒が小さくばらばらになって、水の中に散らばっていたのです。

では、溶けた粒は水の中でどうなっているのでしょうか。

食塩を水に加えてかき混ぜると、固体は見えなくなる。しかし水を蒸発させれば、食塩は白い結晶として残る。溶けるとは、固体が分子やイオンの単位まで分かれ、溶媒の中に均一に散らばる現象である。

この記事では、重さが変わらないことから出発し、水の分子のかたより、食塩のイオン、溶ける量の限界、温度による違いの順に確かめる。

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1. さとうは、消えて いない

1. 砂糖は消えたのではなく、粒が小さくばらばらになった

1. 溶けた砂糖は消えず、見えない粒として水に散らばる

さとうを 水に 入れて、スプーンで かきまぜると、さとうの かたちは なくなります。でも、重さは かわりません。さとうと 水を いっしょに はかれば、とかす 前と 同じ 重さです。

では、さとうは どこに いるのでしょう。さとうは、目では 見えない ほど ちいさな つぶに わかれて、水の 中に まぎれて います。水が すきとおって いるのは、つぶが 小さすぎて 光を 大きく さえぎらないからです。

砂糖を水に入れてかき混ぜると、結晶は見えなくなり、水は透明なままになります。ここで「砂糖が消えた」と考えると、重さが減ったことになってしまいます。しかし、砂糖と水を合わせた重さは溶かす前と変わりません[7]。

答えは、砂糖が一つひとつの分子にまで分かれて、水の中に一様に散らばったということです。水を蒸発させると白い結晶が戻ってくるのは、散らばった粒がそのまま水の中に残っていたからです。

溶けた砂糖は消えたのではない。固体の結晶が分子の単位まで分かれ、溶媒である水の中に均一に散らばったものである。溶液が透明に見えるのは、散らばった粒が光を大きく散らさないほど小さいためだ。水を蒸発させれば、溶けていた砂糖が結晶として戻る[7]。

食塩水でも同じである。溶かす前後で、水と食塩を合わせた重さは変わらない。「溶けると重さが減る」と考える子どもが多いことも、指導の現場で報告されている[7]。

2. 水の ちいさな つぶは、はしが 少し かたよって いる

2. 水の分子は、両端がわずかに電気を帯びている

2. 水分子の極性が、溶けた粒を引き寄せて囲む

水は、とても 小さい つぶ(分子)が たくさん あつまって できて います。その つぶの さんその がわは 少し マイナスに、すいそ の がわは 少し プラスに かたよって います。つぶ全体では 電気は つり合って いますが、はしに 少しずつ 電気の かたよりが あるのです。

そこで、さとうや しおの つぶの まわりに 水の つぶが あつまり、つぶを かこみます。この かこむ はたらきを、すいわと いいます。

水の分子は、酸素原子が電子を強く引きよせるため、酸素の側がわずかにマイナス、水素の側がわずかにプラスに偏っています。このような分子を極性分子といいます。

食塩のイオンや、水となじみやすい部分を多くもつ砂糖の分子は、この偏りと引き合って水の分子に囲まれます。溶けた粒のまわりに水の分子が集まる現象を水和といい、事典では粒と水分子の間の静電引力によるものと説明されています[5]。

水分子は極性をもつ。酸素側が負、水素側が正にかたよるため、陽イオンは酸素側、陰イオンは水素側の水分子に引かれ、水和イオンを作る。事典も、粒と水分子の双極子の間の静電引力によると記述している[5]。

砂糖のような分子では、水酸基(OH)などの部分が水と水素結合で結びつく。砂糖はイオンに分かれないため、溶けた粒の数は溶かした分子の数と同じである。ここが食塩との大きな違いである。

3. しおは、電気を もった ちいさな つぶに わかれる

3. 食塩は、水に溶けると電気を帯びた粒に分かれる

3. 電離説 ── 物理の学生が、塩の溶けかたを調べた

しおは、水に とけると、プラスと マイナスの 電気を もった 小さな つぶに わかれます。この つぶを イオンと いいます。だから、しおを 入れた 水は 電気を 通すように なります。

この 考えを だしたのは、スウェーデンの アレニウスと いう 人です。はじめは 大学の 中で 反対された と いわれて います。それでも、この 考えは のちに 広く みとめられ、1903年に ノーベル化学しょうを もらいました。

食塩(塩化ナトリウム)は、水に溶けると陽イオンのナトリウムと陰イオンの塩化物イオンに分かれます。だから、食塩水は電気を通します。

この考えを電離説として打ち出したのは、スウェーデンのアレニウスです。彼の博士論文は、塩が水に溶けて電気を通すしくみを扱っていました。指導教授からは化学を主な専門にするよう勧められ、指導者を探して王立科学アカデミーに申し出たと伝えられています[1]。その考えは、はじめは大学内で批判されましたが、のちに広く認められ、1903年のノーベル化学賞の理由になりました[2]。

食塩は水に溶けると、ナトリウムイオン(Na⁺)と塩化物イオン(Cl⁻)に分かれる。アレニウスは、塩が溶けるときに自発的にイオンに分かれるという電離説を、博士論文で示した。当時は大学内で批判されたが、のちに化学の基礎となり、1903年のノーベル化学賞の理由になった[1][2]。

ここで大事なのは、溶けた食塩の粒が「消えた」のではなく、電気を帯びた粒として水の中に存在する、という点である。溶け方の差も、粒と水の結びつきの強さなどで決まる。

4. さとうは、いくらでも とけるの?

4. 溶ける量には限りがある

4. 溶解度 ── 水100gに溶ける量の上限と、温度による差

コップの 水に さとうを 少しずつ 入れて いくと、ある ところで とけのこりが 出て きます。これ いじょうは とけない、という しるしです。

20℃の 水 100グラムには、さとうは 200グラムほど、しおは 36グラムほど まで とけます。さとうは しおより ずっと たくさん とける のです。しおは、お湯に しても とける りょうが あまり かわりません。

溶解度とは、溶媒100gに溶ける溶質の量のことで、値は温度によって変わります[4]。20℃の水100gには、砂糖はおよそ200g、食塩はおよそ36gまで溶けます。食塩は、100℃まで温度を上げても溶ける量は大きくは変わりません。砂糖は温度によって溶ける量が大きく変わります[3]。

その温度で溶けきった状態を飽和といい、それ以上は溶けずにとけ残りが出ます。水がたくさんあれば、いくらでも溶けるわけではありません。溶けられる量には上限があり、その大きさは溶けるものと温度で決まります。

溶解度は、溶媒100gに飽和するまで溶ける溶質の量で表す。20℃では砂糖が約200g、食塩が約36gである。食塩は温度を変えても大きくは変化しない[3]。溶解度は溶質、溶媒、温度によって変わる[4]。

ここで混同しやすいのは、「溶ける速さ」と「溶ける量」である。かき混ぜたり粒を細かくしたりすると溶けるまでの時間は短くなるが、溶解度そのものは変わらない。

5. とけるとき、ねつを うばう もの、出す もの

5. 溶けるときに熱をやりとりする物質と、気体の逆の傾向

5. 溶解の熱と、気体の溶解度が温度で逆になる理由

つめたい パックの 中には、白い こなが 入って いる ものが あります。水と まぜると パックが つめたく なるのは、こなが 水に とける とき、まわりの ねつを すい取る からです。反対に、ねつを 出して あたたかく なる とけかたも あります。

あたたかい たんさんすいは ぬけやすい と いわれます。たんさんの 気体は、温度が 上がると 水に とける りょうが へるからです。さとうや しおと ぎゃくの 動きです。

硝酸アンモニウムは水によく溶け、溶けるときに大量の熱を吸収するため、寒剤として使われます[6]。溶けるときに熱を奪うか、熱を出すかは、物質によって違います。

気体の場合は逆の傾向を示します。気体の溶解度は、温度が高くなると小さくなるのが普通です[4]。炭酸水を温めると気が抜けやすいのは、このためです。

硝酸アンモニウムは水への溶解で大きな吸熱を示し、寒剤に利用される[6]。溶解の熱は、結晶をほどく過程の熱の出入りと、水分子に囲まれるときの熱の出入りの合計で決まる。そのため、熱の出入りは物質によって符号が変わる。

気体の溶解度は、温度が上がると減るのが普通である[4]。固体と気体で温度との関係が逆になる点が、溶解を理解するうえで重要である。細かい溶解の過程は、計算や実験でいまも研究が続けられている[8]。

6. しらべて みよう

6. 自分でも調べてみたくなったら

6. 自分で調べてみたくなったら

同じ コップの 水に、同じ スプーンで さとうを ひとさじずつ 入れて、とけのこりが 出る まで 数えて みて ください。大人と いっしょに、たべものの さとうや しおだけを 使って ください。なめたり、のんだりは しないで ください。

さとうを とかした 水を 少し あさい お皿に とって、日の あたる まどに 何日か おいて ください。白い つぶが 出て くるか、見て みましょう。

今日できること:同じコップの水に、同じスプーンで砂糖を一杯ずつ入れ、とけ残りが出るまでの杯数を数えます。お湯と水の両方で同じことをして、差を比べてみましょう。お湯を使うときは、大人といっしょに行ってください。

数日かけてできること:砂糖水を浅い皿に少量入れ、日の当たる窓辺に置きます。水が減ったあとに出てくる結晶を観察しましょう。なめたり飲んだりはしないでください。

資料を読むなら:溶解度の項目([4])と、水和の項目([5])を読み比べる。事典によって定義の書き方が少しずつ違うので、どこが共通かを確かめる。

もっと深く:アレニウスの電離説が、その後どこまで認められ、どこを修正されたのかを、原典や教科書で確かめる([2])。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

このメモは、下にあげた公開情報をもとに書いています。文章や図を無断で転載してはいません。もっと正確に知りたいときは、必ず下の出典にあたってください。リンク先の内容や、リンク切れの有無は保証できません。

  1. ウプサラ大学「Svante Arrhenius」(英語のページ)。 https://www.uu.se/en/about-uu/history/prominent-people/svante-arrhenius (アレニウスの博士論文が、塩の溶解と電気伝導を扱ったこと、電離説、指導教授からの助言、大学内の反対とのちの広い承認)
  2. Nobel Prize「The Nobel Prize in Chemistry 1903」(公式サイト)。 https://www.nobelprize.org/prizes/chemistry/1903/summary/arrhenius (電解質の解離の理論による1903年のノーベル化学賞)
  3. 独立行政法人 農畜産業振興機構(alic)「消費者コーナー」(2018年5月9日更新)。 https://alic.go.jp/koho/kikaku03_001083.html (20℃の水100gに溶ける量の目安。食塩は約36g、砂糖は約200g。食塩は温度が変わってもほとんど変わらないこと)
  4. 「溶解度」の項目(デジタル大辞泉・小学館、百科事典マイペディア・平凡社、改訂新版 世界大百科事典・平凡社)。コトバンク掲載。 https://kotobank.jp/word/%E6%BA%B6%E8%A7%A3%E5%BA%A6 (溶媒100gに溶ける溶質のグラム数で表すこと、温度で値が変わること、液体に対する気体の溶解度は温度が高くなると減少すること)
  5. 「水和」の項目(日本大百科全書、百科事典マイペディア、化学辞典)。コトバンク掲載。 https://kotobank.jp/word/%E6%B0%B4%E5%92%8C (溶質の粒が水分子に取り囲まれる現象。イオンの場合はイオンと水分子の双極子の間の静電引力によること)
  6. 「硝酸アンモニウム」の項目(改訂新版 世界大百科事典・平凡社)。コトバンク掲載。 https://kotobank.jp/word/%E7%A1%9D%E9%85%B8%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%A2%E3%83%8B%E3%82%A6%E3%83%A0 (水によく溶け、溶けるときに大量の熱を吸収するため寒剤に利用されること)
  7. 宮城県教育委員会の小学校理科の指導資料(第5学年「物の溶け方」。PDF)。 https://www.edu-c.pref.miyagi.jp/mnavidata/22J0018.pdf (物を水に溶かしても、水と物を合わせた重さは変わらないこと。溶ける量には限度があること。「溶けると重さが減る」と考える児童が多いこと)
  8. 論文「Crumbling Crystals: On the Dissolution Mechanism of NaCl in Water」(arXiv:2211.04345)。 https://arxiv.org/pdf/2211.04345 (水中での塩化ナトリウムの溶解の仕組みを、計算によって調べた研究。細かい過程は研究が続いていること)

なおした ところ

更新履歴

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