このサイトは、ほんの入り口です

ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

三日月の かけた ところが ぼんやり 見えるのは なぜ?

三日月の欠けた部分がほのかに見えるのは、地球が月を照らしているから

地球照 ── 月の暗部を照らす地球の反射光と、ダ・ヴィンチから反射率観測まで

分野:宇宙・天文

ほそい 月を 見ると、かけて いる ところが、うっすら 見える ことが あります。だれかが 光を 当てて いるのでしょうか。

その 光は、じつは 地球から とどいた ものです。どうして ほそい 月で 見えやすいのか、大むかしの 人は どう 考えたのかも 見て いきます。

細い月のとき、月の欠けた部分がほんのり見えることがあります。暗いはずの場所に、光を当てているものがあるのでしょうか。

その正体は、地球で跳ね返った太陽の光です。細い月で見やすい理由や、500年ほど前にこの現象を書き残した人、そして今は地球の雲を調べる手がかりになっていることまでたどります。

地球照は、月の暗い部分が地球で反射した太陽光によってかすかに照らされて見える現象である[1]。月が細いほど見やすくなる理由は、月から見た地球の満ち欠けで説明される[2]。

レオナルド・ダ・ヴィンチの記述、反射源の現在の理解、地球の反射率を測る観測への応用を、出典に当たりながら整理する。

読み方を切り替えられます。画面の上にある「よみかた」のボタンで、小学校低学年むけ・小学校高学年むけ・中学生むけの3つの書き方に切り替わります。むずかしいと思ったら、いつでもやさしい方に戻ってください。選んだ読み方はブラウザが覚えているので、次に別の記事を開いたときも同じ読み方で始まります。

1. かけた ところに、だれが 光を 当てて いるの?

1. 三日月の欠けた部分に見える、ぼんやりした光

1. 地球照とは何か ── 月の暗部が見える現象

夕方の 西の 空に、ほそい 月が 出て います。よく 見ると、かけた ところにも、まるい 月の 形が うすく 見えます。

月は 自分では 光りません。太陽の 光を はね返して、光って 見えます。太陽が 当たらない ところは、まっくらの はずです。なのに、なぜ ぼんやり 見えるのでしょう。

この 見えかたを、ちきゅうしょうと 言います。

夕方の西の空に細い月が出ているとき、欠けた部分にも、丸い月の輪郭がうっすら見えることがあります。

月は自分で光っているわけではなく、太陽の光を反射して輝いています。太陽が当たらない側は、本来は真っ暗なはずです。それなのに見えるのはなぜでしょうか。

この現象は「地球照(ちきゅうしょう)」と呼ばれます[1]。

地球照とは、月の欠けている暗い部分が、うっすらと見える現象である。天文学辞典は、地球の昼側で反射した太陽光が月の夜側に届き、そこで再び反射した光を観測するものと説明している[1]。

月の明るい部分は太陽光の直接の反射だが、暗部の光は「太陽→地球→月→地球」と二度反射を経ている。月探査情報ステーションも、地球からの照り返しが月の影の部分をほんのり浮かび上がらせていると説明しており[2]、2つの資料で仕組みの説明は一致している。

2. 月から 地球を 見たら どう 見えるの?

2. 月に立って地球を見上げると

2. 「満地球」── 月から見た地球の満ち欠け

月に 立って、空を 見上げた ところを 思いうかべて ください。地球が、まるい 大きな ボールのように うかんで います。

地球も 太陽の 光を はね返して います。とくに 雲や 氷は、よく はね返します。その 光が 月の よるがわを、ぼんやり てらします。

たとえば、日なたの かべに 当たった 光が、かげの 中まで 少し 明るく する ことが ありますね。それと 少し にて います。ただし、月と 地球の 間は ずっと 遠くて、空気も ありません。

月の夜側に立って地球を見上げたところを想像してみましょう。地球は、空に浮かぶ大きな球として見えるはずです。

地球も太陽の光を反射しています。その光が月の夜の側を、ほんのり照らしています。それを、私たちは地球から見ているのです。光は「太陽から地球へ、地球から月へ、月から地球へ」と、二度も跳ね返ってきたことになります。

たとえるなら、日なたの壁で跳ね返った光が、日かげの部屋をぼんやり明るくするのに似ています。ただし月と地球の間には空気がなく、ずっと離れています。

月から地球を見ると、地球にも月と同じように満ち欠けがある。月が新月に近いとき、月から見た地球は太陽の光を受けた昼の面をほぼこちらへ向け、「満地球」に近い状態になる[1]。

このとき、地球からの反射光が最も強く月の夜側に届く[2]。地球照は、いわば地球版の月明かりである。

3. どうして ほそい 月の ときに 見えやすいの?

3. 細い月のころに見やすい理由は、2つある

3. 見やすさの条件 ── 満地球の明るさと、月の明部の小ささ

ふたつ 理由が あります。

ひとつめ。月が ほそい ときは、月から 見ると 地球が ほとんど まんまるです。地球の 光が、いちばん たくさん 月に 当たります。

ふたつめ。月が ほそいと、光って いる ところが 小さいので、まぶしく ありません。明るい 電気の となりでは ろうそくが 見えにくいけれど、電気を 消すと 見えるのに にて います。

理由は2つ挙げられています[1]。

1つめは、月が細いころ、月から見た地球がほぼ満ちた状態になることです。このとき地球から月へ届く反射光が強くなります。

2つめは、月の明るい部分が小さいので、まぶしくなく、暗い部分が見やすいことです。明るい電灯のそばでは、ろうそくの火が見えにくくなりますが、電灯を消すと見えるようになります。それと似た関係です。

天文学辞典は、見やすさの条件として2点を挙げている[1]。(a) 月が細いとき、月から見た地球は昼の部分が多く明るい。(b) 月の輪郭のうち明るい部分が小さく、まぶしくないため暗部が見やすい。

月探査情報ステーションも、月が細いほど月から見た地球が満地球に近くなるので目立つと述べる[2]。半月に近づくと明部がまぶしく、地球照は見えにくくなるとされる。新月そのものでは月が太陽と同じ方向にあり、肉眼では見えない。ただし皆既日食のときは、地球照で月面の模様が観測できることがある[1]。

4. 500ねん まえの 人は、どう 考えたの?

4. 500年前のレオナルド・ダ・ヴィンチのノート

4. レスター手稿のダ・ヴィンチ ── 地球の海が月を照らす

いまから 500ねんほど 前に、イタリアの レオナルド・ダ・ヴィンチが、ノートに この ことを 書いたと いわれて います[3]。

「地球の 海に 当たった 太陽の 光が、月の くらい ところを てらす」という 考えです。絵も かいて いたそうです。

ダ・ヴィンチが この 見えかたを はじめて 見つけた 人かどうかは、わかりません。でも、光の 通り道を よく 考えた 人だった ことは、たしかなようです。

15世紀から16世紀にかけて活躍したレオナルド・ダ・ヴィンチ(1452〜1519)は、この現象の仕組みをノートに書き残したことで知られています[3]。

そのノートには、地球の海で反射した太陽の光が月の暗い部分を照らす、という趣旨の説明があり、スケッチも添えられていると伝えられます。ガリレオが望遠鏡で月を観察した1609年より、約100年前のことです。

ダ・ヴィンチが「最初の発見者」だったとまでは言えません。ただ、地球と月が光をやりとりしていると考え、その理由を書いた人の1人であることは確かなようです。

ダ・ヴィンチは、レスター手稿(Codex Leicester)に、地球の海で反射した太陽光が月の暗い表面を照らすと記し、スケッチも残したとされる[3]。ガリレオの望遠鏡による観察(1609年)より約100年前の記述である。ただし、ダ・ヴィンチが最初の発見者だったかは、はっきりしていない。

ダ・ヴィンチは反射源を「海」と考えたが、現在は、雲や氷雪による反射の寄与が大きいと考えられている[4]。説明の筋道は正しく、反射源の見立てだけが少しずれていたことになる。

5. 月の 光で、地球の 雲を はかる?

5. 月の光から、地球の雲の量を探る

5. 反射率(アルベド)の観測 ── 地球照が測る地球の明るさ

いま、この 光は 研究にも つかわれて います[1]。

地球の 雲が かわると、地球が はね返す 光の 量りょうも かわります。すると 月の くらい ところの 明るさも かわります。この 明るさを はかれば、地球の 雲の ようすを さぐる てがかりに なります。

アメリカの 天文台では、20ねんほど、月の 光を はかり つづけたと いわれて います[5]。月を 見ながら、地球の ようすを しらべて いる ことに なります。

地球照の明るさは、地球の反射率に左右されます。地球の雲などが変わると、地球が反射する光の量が変わり、地球照の明るさにも影響します[1]。そこで、月の暗部の明るさは、地球の雲の量の変化を探る手がかりになります。

アメリカのビッグベア太陽観測所は、1998年から約20年、地球照を測り続けたと報告されています[5]。この研究では、地球の反射率が近年わずかに下がっていると報告され、衛星のデータとも一致したとされます。研究チームは、東の太平洋の低い雲が減ったことと結びつけて説明しています。

ただし、これは1つの研究チームの解釈です。

地球照の明るさは、地球のアルベド(反射率)に影響を受け、雲量の変動などを調べる手がかりになる。地球の反射率には雲の変化が大きく関わる[1]。

ビッグベア太陽観測所は、1998年から2017年まで地球照を測った。AGUのプレスリリースによれば、地球の反射率は約17年間ほぼ横ばいだったが、最後の数年で低下した。NASAのCERES衛星(2001年〜)のデータとも一致したという[5]。低下は、東太平洋の明るく低い雲の減少と関係づけられ、海面水温の上昇と結びつけて解釈されている。これは研究チームの解釈である。

6. いつ、どこを 見れば いいの?

6. 見つけやすい時期と方向

6. 観察の目安 ── 月齢と方向

月が ほそい ころに、見やすく なります。新月の 前は、明け方の 東の 空です。新月の あとは、夕方の 西の 空です[3]。

月が ふとく なって くると、光って いる ところが まぶしくて 見えなく なります。月の 形を 見て、ほそい 日を ねらって みましょう。

新月の前は、明け方の東の空に細い月が出ます。新月の後は、夕方の西の空に出ます[3]。目安は、新月の前後です。

月が太ってくると、明るい部分がまぶしくなり、暗部は見えなくなっていきます。

見る時期は、新月の前なら明け方の東の空、新月の後なら夕方の西の空である[3]。目安は新月の前後である。

月が太るにつれ明部がまぶしくなり、暗部は見えにくくなる。

自分でも しらべて みたく なったら

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

月を 見つけて みよう

おうちの 人と いっしょに、月が ほそい ころに、空の ひらけた ところで 見て みましょう。夕方や 明け方に 外へ 出る ときは、くるまに 気を つけて ください。

かけて いる ところが ぼんやり 見えたら、その 日の 月の 形を えに かいて みましょう。

本を 読むなら

としょかんで「月」の 本を さがして みましょう。ちきゅうしょうの ことも のって いる ことが あります。

細い月で確かめる

月が細い日に、家族と一緒に空が開けた場所で観察してみましょう。欠けた部分がうっすら見えたら、その日の月の形と時刻、見えた方角をノートに書き留めます。夕方や明け方に外へ出るときは、道や車に気をつけてください。

もっと調べるなら

日本天文学会が出している天文学辞典の「地球照」を読むと、仕組みをもう一度たどれます。

観察と記録

月が細い日に、空が開けた場所で観察する。夕方は西、明け方は東の空を見て、暗部が見えたかどうかと月齢・時刻を記録する。図書館の天文書や、天文学辞典・月探査情報ステーションの解説で仕組みを確かめると、記録と照らし合わせやすい。

資料を読むなら

図書館の日本語の天文書で、月の観察記録の書き方や地球照の説明を探し、自分の記録と比べてみるとよい。日本語の解説どうしを読み比べると、説明の違いにも気づける。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

記事で使った資料です。

  1. 天文学辞典「地球照」。https://astro-dic.jp/earthshine/ (仕組み、見やすい理由、反射率の研究への利用)
  2. 月探査情報ステーション Q029。https://moonstation.jp/faq-items/q029 (地球照の仕組みの第二の説明)
  3. sorae「地球照」の解説。https://sorae.info/astronomy/20210713-earthshine.html (見る時期と方向、ダ・ヴィンチの記述)
  4. Wikipedia「Earthshine」。https://en.wikipedia.org/wiki/Earthshine (反射源が主に雲であるという現在の理解)
  5. AGU Newsroom「Earth is dimming due to climate change」。https://news.agu.org/press-release/earth-is-dimming-due-to-climate-change/ (地球照による反射率の長期観測)

なおした ところ

更新履歴

更新履歴(改版の記録)

  •  初版を公開。

このサイトでは、公開した記事の本文は原則として書き直しません。誤りが見つかったときや、内容が古くなったときだけ手を入れ、その理由をこの欄に残します。