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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

ひじょうぐちの「はしる ひと」の マークは、どうやって きまったの?

非常口の「走る人」の絵は、なぜ選ばれたのか

非常口マークと非常灯 ── 5つのテストで1位がなかった絵の国際標準化と、停電時の自動切替

分野:技術

ひじょうぐちの 「はしる ひと」の マークは、3,337てんの おうぼから えらばれました。ところが、いちばんに なった えは、5つの テストの どれでも 1いでは ありませんでした。

どうして 1いでない えが えらばれたのでしょう。ていでんの ときに あかりが きえない わけも ふくめて、この きじを よむと、マークが うまれた わけと、でんちで あかりが つく しくみが わかります。

非常口の「走る人」のマークは、3,337点の応募の中から選ばれました。ところが、総合で1位になった絵は、5つの評価テストのどれでも1位にはなれませんでした。常に2位か3位だった絵です[7]。

なぜ、どのテストでも1位でない絵が選ばれたのでしょうか。停電時に点く明かりのしくみもあわせて、この記事を読むと、マークが生まれた経緯と、電池で自動的に点く装置の条件、点いている時間の決まりが分かります。

非常口の「走る人」のピクトグラフ(絵記号)は、3,337点の公募から選ばれた。その総合1位の作品は、5つの評価テストのどれでも1位ではなく、常に2位か3位だった、と照明工業会報の解説は述べる[7]。

では、1位のない絵がなぜ総合で勝つのか。そして、停電の瞬間に明かりを引き継ぐ装置は、どんな条件で作られているのか。この記事を読むと、公募の評価方法、電池内蔵形の切替時間、非常用照明(建築基準法)と誘導灯(消防法令)の点灯時間の違いが分かる。

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1. けむりの なかで、ひじょうぐちの もじは どう みえたの?

1. 煙の中では、「非常口」の文字が読めなくなった

1. 煙を満たした廊下の実験 ── 文字の見え方と古い誘導灯

けむりで いっぱいの ろうかを、あるいて いると おもって ください。まえが よく みえません。そのとき、みどりの あかりに かいて ある 「ひじょうぐち」の もじは、どこまで よめるのでしょう。

1970ねんの 5がつに、しょうぼうの けんきゅうじょで、けむりを みたした ろうかで じっけんが ありました。けむりが 2ばいこく なると、あかりが みえる きょりは、はんぶんぐらいに なりました[7]。

もっと おもしろいのは、もじごとの ちがいです。「ひじょうぐち」の さいごの 「ぐち」は、すこし こい けむりの なかでも みえました。でも、はじめの 「ひじょう」は、とても うすい けむりでも みえなく なりました[7]。

そのころの あかりは、みどりの いたに しろい もじを ぬいた ものでした。もじが よめなく なるなら、ほかの つたえかたは ないのでしょうか。

煙でいっぱいの廊下を歩いている場面を想像してください。前がよく見えません。そのとき、緑の明かりに書かれた「非常口」の文字は、どこまで読めるのでしょうか。

1970年5月に、消防研究所で、煙を満たした全長20mの廊下を使った実験が行われました。煙の濃さが2倍になると、誘導灯が確認できる距離はおよそ半分になりました[7]。

文字ごとの差も記録されています。「口」の字は、やや濃い煙の中でも見えましたが、「非」と「常」は、ごく薄い煙で見えなくなりました[7]。これは20mの廊下での実験の結果で、煙の種類によって見え方は変わります。

1975年より前の誘導灯は、縦12cm、横36cmの緑色の板に、白く抜いた文字が書かれたものでした。普段は10Wの蛍光ランプが点き、停電のときは小さな豆電球3個が20分間点く造りでした[7]。文字が読めなくなるなら、ほかの伝え方はないのでしょうか。

煙の充満した廊下で、緑の誘導灯の文字はどこまで読めるのか。この問いに、1970年(昭和45年)5月の消防研究所での実験が一つの答えを与えている。全長20mの廊下に煙を満たして誘導灯の見え方を調べたところ、煙の濃度が2倍になると、確認できる距離はおよそ半分になった[7]。

文字ごとの違いも出た。「口」の字はやや濃い煙の中でも見えたが、「非」と「常」は極めて薄い煙で見えなくなった[7]。ただし、これは20mの廊下での実験の結果で、煙の種類によって見え方は変わる。

当時の誘導灯は、1975年(昭和50年)より前は縦12cm・横36cmの緑地に白抜きの文字で、通常時は10Wの蛍光ランプ、停電時は豆球(2.5V、0.3A)3個が20分間点灯する構造だった[7]。文字が頼りなら、薄い煙でも読めるとは限らない。文字以外の伝え方が必要になる。

2. どうして 1いでない えが えらばれたの?

2. どのテストでも1位でない絵が、総合で選ばれた理由

2. 3,337点の公募 ── 総合点で選ぶという方法と、ISO 6309への道

ひじょうぐちを しめす えは、みんなから あつめる ことに なりました。おうぼは、3,337てんも ありました[7]。

えらぶ ときは、5つの テストを しました。えの あらさ、デザイン、きもちの かんじかた、ふつうの あかるさでの みえかた、けむりの なかでの みえかたです[7]。

そうごうで 1いに なった えは、どの テストでも 1いでは ありませんでした。でも、いつも 2いか 3いに いました[7]。ひとつの テストだけで 1いに なる えより、どの テストでも 2いか 3いに なった えが、そうごうで 1いに なりました。

えらばれた えは、すこし なおして、1982ねんの 1がつから しょうぼうちょうが つかい はじめました。いまでは せかいの きまりにも なっています[7]。

この絵は公募で集められ、応募は3,337点でした。日本消防設備安全センターの研究委員会が行い、研究は1978年に始まったと、照明工業会報の解説にあります[7]。

選ぶときは、図形の粗さ、デザイン、心理的な評価、通常の照明の下での見え方、煙の中での見え方、の5つのテストを行い、その総合点で順位をつけました[7]。

同解説によると、総合1位になった絵は、どのテストでも1位にはなれませんでしたが、常に2位か3位でした[7]。非常口の絵は、明るい場所でも煙の中でも、はじめて見る人にも伝わらなければなりません。ひとつの場面だけ強い絵より、どの場面でも大きく外さない絵のほうが、この目的には合っていたと考えられます。

同解説によると、選ばれた絵は、一部を直したうえで、1982年(昭和57年)1月から消防庁が採用しました。1980年には国際標準化機構(ISO)への提案が始まり、1984年12月のパリの作業部会で日本案がISO案となり、1987年8月に、非常口の絵記号としてISO 6309に承認されました[7]。

では、このマークの明かりは、停電の瞬間にどうやって引き継がれるのでしょうか。

文字に代わる絵は、公募で集められた。応募は3,337点に達し、日本消防設備安全センターの研究委員会が1978年に研究を始めている[7]。

同解説によると、評価は、図形の粗さ、デザイン、心理的評価、通常照明下の見え方、煙中の見え方の5つのテストの総合点で行った。総合1位の作品は、どのテストでも1位になれなかったが、常に2位か3位を保っていた[7]。1つの尺度で最大の作品を選ぶ方法では、煙中で強くても通常照明下で弱い絵が残りうる。総合点で選ぶ方法は、場面ごとの落差が小さい絵を残す仕組みだったと読める(これは解説の記述から導いた解釈で、解説自体の説明ではない)。

採用までの経緯は、次のとおりである。選ばれた図は一部を修正して、1982年(昭和57年)1月から消防庁が採用した。1980年にISOへ提案し、1984年12月のパリの作業部会で日本案がISO案となり、1987年(昭和62年)8月に非常口のピクトグラフISO 6309として承認されたと、同解説は記す[7]。

形が決まっても、明かりが停電で消えれば役に立たない。次は、停電の瞬間に何が起きるのかを見る。

3. ていでんの しゅんかん、あかりは どうやって つくの?

3. 停電の瞬間、電池に切り替わるしくみ

3. 停電を検知して切り替わる ── 電池内蔵形の0.5秒基準

ひじょうとうには、でんちを なかに いれた ものが あります。でんちが べつの ところに ある ものも あります。なかに いれた ものは、ふだんは でんきを つかいながら、でんちに ためて おきます[4]。

ていでんに なると、じどうで でんちに きりかわって、あかりが つきます。てで スイッチを いれる ひつようは ありません[4]。

きまりを きめる ところの しけんでは、でんきが とまって から 0.5びょう いないに きりかわる ことが もとめられます。でんちが べつの ところに ある ものは 3びょう いないです[3]。0.5びょうは しけんの きじゅんの かずで、じっさいに はかった じかんでは ありません。

でんちが ちゃんと たまって いないと、ていでんの ときに つきません。せっちした あとは、でんきに つないで ためて おく ことが たいせつです[4]。

非常用の照明器具の中には、電池が入っています。普段は電源につながって電池を充電し、停電すると自動的に電池に切り替わって点灯します。ひもやリモコンで、点くかどうかを自分で確かめられる製品もあります[4]。

非常用照明の性能評価基準(JTCCM)では、電源が切れてから、電池内蔵形では0.5秒以内、電池が別の場所にある形では3秒以内に、確実に非常点灯の回路に切り替わることが試験されます[3]。0.5秒は試験の基準値で、実際の機械で測った時間ではありません。

電圧が下がっていく途中でも切り替わることが求められます。定格電圧の85%では作動せず、40%以上で確実に切り替わる、という条件です[3]。ちょっと電圧が揺れただけでは作動せず、本当に停電に向かうときには間に合う、という二つの要求を、数字で示したものと読めます。

電池は、使う前に充電が必要です。設置したあとに電源をつながないと、非常時に点きません[4]。点灯時間は何分と決まっているのでしょうか。

停電の瞬間に明かりが消えれば、避難は始まらない。そのため、非常用照明は、電源が断たれると予備電源で即時に点灯することが基本の要求になる[2]。

JTCCMの性能評価の方法書は、入力回路の遮断後、電池内蔵形では0.5秒以内、電池別置形では3秒以内に確実に非常点灯回路へ切り替わり、再投入後には確実に復帰することを求める[3]。この0.5秒は試験の基準値で、実機の実測値ではない。

電圧の条件も定められている。定格電圧の85%では作動せず、40%以上で確実に切り替わる[3]。電圧が少し下がっただけで切り替わると誤作動になり、一方、下がりきるまで待てば間に合わない。そのため、作動しない上限と、確実に作動する条件の両方が試験される。解説に書かれた二つの数字から読み取れる設計の考え方である。

電池内蔵形は、通常時は充電を続け、停電時に自動で点灯する。点検ひもによる手動確認や、リモコンで自己点検できる製品もあり、使用前の充電や、設置後の電源接続が欠かせない[4]。「何時間充電」「何年で交換」は、製品ごとの目安で、法令の数字ではない。点灯がどれだけ続けばよいかは、次に見る。

4. あかりは、どれくらい あかるくて、どれだけ つくの?

4. 床で1ルクス、30分。非常用照明と誘導灯は別の決まり

4. 床面照度と点灯時間 ── 告示1830号と、20分・60分の誘導灯

ひじょうとうは、ひるのように あかるくは ありません。ゆかで 1ルクスいじょうの あかるさが、きまりです。LEDの ときは 2ルクスです[1]。

ゆかの うえの いちばん うすい ところでも、これだけは ほしい、という さいていの かずです。

つく じかんは、でんきを たさなくても 30ぷんです[1]。まわりの おんどが 70どに なる ばしょでも、30ぷん つくか しらべます[2]。70どは、ひじょうとうの まわりの しけんの じょうけんで、たてものの おんどでは ありません。

みどりの ゆうどうとうは、べつの きまりです。ていでんに なっても、20ぷん つかえる でんちが もとに なります。おおきな たてものや たかい たてものは、60ぷんです[5]。

非常用の照明装置は、建築基準法の告示(昭和45年建設省告示第1830号)で、床の上の水平面で1ルクス以上の明るさを保てることと決められています。蛍光灯やLEDを使うときは2ルクス以上です[1]。昼の部屋のような明るさではなく、床の上でこれだけは確保する、という最低限の値です。

予備電源は、充電をしなくても30分間続けて点灯できる蓄電池などが認められています[1]。メーカーの資料では、周囲温度70℃の環境でも30分間点灯が続くことが基本の要求とされます[2]。70℃は器具のまわりの試験の条件であり、建物の温度ではありません。

緑色の誘導灯は、消防法令に基づく、別の制度です。非常電源の蓄電池は、誘導灯を有効に20分間作動できる容量以上が基本です。高層や大規模など、一定の建物では60分間以上とされています[5][6]。60分は全部の建物ではなく、床面積や階数で決まる条件です。

1975年より前の誘導灯が停電時に20分間点灯する造りだったという記録があり、その20分は、のちの基準にも引き継がれたと解説されています[7]。では、緑の誘導灯は、停電のときだけ働くものなのでしょうか。

非常用の照明装置の基準は、建築基準法の告示(昭和45年建設省告示第1830号)に、床面の水平面照度1ルクス以上(蛍光灯・LEDランプを用いる場合は2ルクス以上)、と定められている[1]。1ルクスは床面での最低値で、昼のような明るさではない。

予備電源は、充電をせずに30分間継続して点灯できる蓄電池などが挙げられている[1]。メーカーの設計資料も、停電後に充電せず30分間以上の放電に耐えること、周囲温度70℃の雰囲気でも30分間点灯を維持することを、基本の要求機能とする[2]。70℃は器具まわりの試験条件である。

これとは別に、消防法令の誘導灯の基準がある。市の消防局の運用基準では、非常電源の蓄電池は誘導灯を有効に20分間作動できる容量以上とされ[5]、横浜市は、平成21年の総務省令の改正により、一定の大規模・高層の防火対象物で60分間以上の容量を求めている[6]。60分は床面積・階数などで決まる対象に限られる。

建築基準法の非常用照明(30分)と消防法令の誘導灯(20分・60分)は、制度も求めるものも別である。誘導灯の20分は、1975年より前の豆球式が停電時に20分間点灯した造りから、認定開始以降も引き継がれたとされる[7]。誘導灯は普段も点いているが、その理由は次の章で扱う。

5. みどりの あかりは、どうして ずっと ついて いるの?

5. 緑の誘導灯が、ふだんから点いている理由

5. 常時点灯の原則 ── 「学習効果」という説明

がっこうや おみせの みどりの あかりは、ひるでも よるでも ついて います。ていでんの ときだけ つくのでは ありません。

ゆうどうとうは、ふだんも つけておく ことが、きほんです。1にち 24じかん ついています[5]。

わけは、ふだんから ひじょうぐちの ばしょや むきを おしえて おく ためだと、せつめいされています。「がくしゅう こうか」と いうそうです[7]。いつも みていれば、いざという ときに おぼえて います。

かいだんなどには、いつも つけなくて よい ところも あります。けしている ときも、でんちには ためつづけられる しくみに します[5]。

学校や店の緑の誘導灯は、昼も夜も点いています。誘導灯は、避難口誘導灯と通路誘導灯(階段や傾斜路のものを除く)について、常時点灯が原則とされています[5]。

24時間点いている理由は、通常時にも非常口の場所や方向を示し、いわゆる「学習効果」が期待されるためと、照明工業会報の解説にあります[7]。毎日目に入っていれば、避難が必要になったとき、どちらへ進むかを思い出しやすくなる、という考え方です。

消灯してよい場所もあります。階段や傾斜路の通路誘導灯などは、常時点灯を要しません。消灯する場合でも、非常電源の蓄電池に常時充電できる配線にします[5]。この点は、市の運用基準であり、無人の建物など、消灯できる例外もあります。

ところで、街で見かける緑の誘導灯は、どれも同じ大きさでしょうか。

誘導灯が通常時にも消えないのはなぜか。避難口誘導灯と通路誘導灯(階段または傾斜路に設けるものを除く)は、常時点灯が原則である[5]。照明工業会報の解説は、通常時にも非常口の場所と方向を示し、いわゆる「学習効果」が期待されるため、終日(24時間)点灯が義務づけられていると説明する[7]。

点灯の目的が停電時の明かりだけなら、停電時のみの点灯でよい。普段から点けておくのは、利用者に位置と方向をなじませる目的がある、という理屈になる。

階段・傾斜路の通路誘導灯などは常時点灯を要さず、消灯する場合も、非常電源の蓄電池へ常時充電できる配線とする[5]。これは市の運用基準の記述で、無人の建物など、消灯できる例外がある。

常時点灯の目的が「見慣れること」なら、遠くから見えるかどうかも問題になる。そこで、誘導灯の大きさと見える距離を見る。

6. おおきさや おとで、もっと わかりやすく できるの?

6. 大きさ、点滅、音声で、さらに見つけやすく

6. 大形・中形、点滅形、誘導音 ── 見つけやすさを足していく

みどりの あかりには、ちいさい もの、ふつうの もの、おおきい ものが あります。1984ねんの じっけんでは、ちいさい あかりは 30メートル ぐらい、ふつうの あかりは 60メートル ぐらい、おおきい あかりは 100メートル さきから みえました[7]。

ひろい ばしょでは、おおきい あかりが やくに たちます。

ほかにも、くふうが あります。ぴかぴかと てんめつする あかりは 1983ねんから、「ピーンポーン、ひじょうぐちは こちらです」と おとで おしえる あかりは 1987ねんから つかわれました[7]。

めが ふじゆうな ひや、みみが ふじゆうな ひとにも やくに たつ くふうとして、くわえられました。

誘導灯には、大きさの種類があります。1974年(昭和49年)の消防法令の改正で、小形に加えて中形と大形が使われるようになりました[7]。

1984年の見え方の確認実験では、小形は約30m、中形は約60m、大形は100m先から確認できました[7]。広い場所や遠くから見る場所では、大きな誘導灯が役に立ちます。

見つけやすくする工夫は、ほかにもあります。点滅形の誘導灯(キセノンランプ、1秒間に2回の点滅)は1983年5月から、誘導音装置付きの誘導灯は1987年2月から、消防庁が採用しました。誘導音は、「ピーンポーン」という前置きの音のあとに、「非常口はこちらです」と流れるものです[7]。

視覚や聴覚に不自由がある人にも役立つとして、国際障害者年の取り組みとして位置づけられたとされています[7]。マークの形が決まったあとも、見つけやすさを足す工夫が続いてきたことが分かります。

煙の中で誘導灯が見えにくくなるなら、大きさで補う方法がある。1974年(昭和49年)の消防法令の改正で、従来の小形に加えて中形・大形の誘導灯が使われるようになった[7]。

1984年の見え方の確認実験では、小形誘導灯は約30m先からほぼ確認できたのに対し、中形は約60m、大形は100m先から確認できた[7]。大きいほど遠くから見えるので、広い空間では大形が役に立つ。

形や大きさだけでなく、注意を引く工夫も加わった。点滅形(キセノンランプ、周期2Hz)は1983年(昭和58年)5月から、「ピーンポーン」の前置音に「非常口はこちらです」の音声を続ける誘導音装置付きは1987年(昭和62年)2月から、消防庁が採用した[7]。聴覚・視覚の不自由な人にも役立つとして、国際障害者年の取り組みとも位置づけられている[7]。

街の誘導灯では、絵の大きさや矢印の向きを見てみよう。場所に合わせた工夫が見つかるかもしれない。

みどりの あかりを さがしに いこう

緑の誘導灯を探しに行く

緑の明かりを観察する ── 大きさ・点灯・向きを確かめる

きょう できること

かみに 「はしる ひと」の えを かいて みましょう。かいた ものを おうちの ひとに みせて、なにを あらわして いると おもうか ききます。ことばが なくても、つたわるでしょうか。

でかけて できること

がっこうや おみせで、みどりの あかりを さがして みましょう。ひるでも ついて いるか、おおきさは ばしょで ちがうか、はしる ひとが どちらを むいて いるか、みて みます。ひもや スイッチが あっても、さわっては いけません。

こうしきの じょうほう

しょうぼうしょの ホームページや、しょうめい こうぎょうかいの しりょうに、ゆうどうとうの せつめいが あります。

今日できること

紙に「走る人」の絵を描き、家族に見せて、何を表していると思うか聞いてみましょう。文字がなくても伝わるかどうかを確かめられます。

出かけてできること

学校や店、駅で、緑の誘導灯を探してみましょう。昼でも点いているか、大きさは場所で違うか、「走る人」と矢印がどちらを向いているか、見て確かめます。非常灯のひもやスイッチには、さわらないでください。

公式情報

自治体の消防局のページに、誘導灯の設置基準があります。照明工業会の「誘導灯の歴史」も、公募の評価方法や実験の記録を読める資料です。

もう一歩

非常用照明(建築基準法)と誘導灯(消防法令)が、別の制度であることを意識して見ると、非常口のあたりに、2種類の明かりがあることに気づくかもしれません。

今日できること

「走る人」を紙に描き、文字なしでどこまで意味が伝わるかを、家族に聞いて確かめる。ISO 6309の絵が、細部を省いても通じるように作られている理由を考える手がかりになる。

出かけてできること

学校・店・駅の誘導灯で、(1)昼も点灯しているか、(2)場所によって誘導灯の大きさがどう違うか、(3)矢印の向きが避難経路と合っているか、を観察する。非常灯の点検ひも・スイッチはさわらない。

公式情報

建築基準法関連の告示(出典[1])、JTCCMの性能評価の方法書(出典[3])、自治体消防局の設置基準(出典[5][6])、照明工業会報(出典[7])を読み、非常用照明の30分と、誘導灯の20分・60分が、それぞれ別の資料のどの条文に対応するかを探すとよい。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

今回は、建築基準法の告示、非常用照明の性能評価基準、自治体消防局の設置基準を公的な資料として使い、メーカーの設計資料で製品の機能を補った。マークの公募と実験は、照明工業会報の解説(学会誌のコラム1本)に拠っている。

  1. 国土交通省「非常用の照明装置の構造方法を定める件(告示1830号)の一部改正資料」 https://www.mlit.go.jp/notice/noticedata/pdf/201706/00006702.pdf (床面照度・予備電源30分)
  2. パナソニック 非常用照明器具 設計・施工資料 https://www2.panasonic.biz/jp/lighting/plam/manual/facilities/emergency-light/ (即時点灯・70℃・30分の基本要求)
  3. JTCCM 非常用照明性能評価業務方法書(平成29年変更) https://jtccm.or.jp/sites/default/files/2023-12/hijoushoumei.pdf (切替時間・電圧条件)
  4. パナソニック 非常灯 電池内蔵形 専用形 https://www2.panasonic.biz/jp/lighting/facilities/emergency-light/standalone-basic/ (電池内蔵形の機能)
  5. 堺市消防局 消防用設備等 設置基準 第18 誘導灯及び誘導標識 https://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/bosai/shobo/shokai/reiki/kijyun/setubikijun.files/R84yuudoutou.pdf (常時点灯・非常電源20分)
  6. 横浜市「大規模・高層の防火対象物のオーナーの皆様へ」 https://www.city.yokohama.lg.jp/business/bunyabetsu/shobo-kyukyu/kanri/tatemono/yudoto.html (誘導灯の60分対応)
  7. 神忠久「誘導灯の歴史」照明工業会報 No.12 https://jlma.or.jp/anzen/pdf/rekisi_yudou.pdf (煙の実験・公募・ISO・大きさ・点滅・音声・学習効果)

なおした ところ

更新履歴

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