1. コピーすると、なにが きえるの?
1. コピーでは、明るさだけが消える
1. 複写で失われるもの ── 色ではなく蛍光
ある せつめいでは、カラーコピーを すると、コピーされた せんには 蛍光の もとが ふくまれない ので、あかるさが でないと いいます[3]。
いろの かたちは うつせても、ひかりの ひみつまでは うつせない、と いう ことです。
では、けいこうペンの インクには、なにが はいって いるのでしょうか。
アメリカの大学の物理の解説によると、カラーコピーで複写すると、コピーされた線には蛍光を出す化学物質が含まれません。そのため、蛍光ペンの明るさは再現されないそうです[3]。
コピー機は、色の見た目をまねて印刷します。目立つ明るさの原因が、色そのものとは別のところにあるなら、コピーで消えるのも説明がつきます。その「別のところ」が、蛍光ペンのインクに入っている物質です。
WTAMUの物理解説は、カラーコピーでは複写された線に蛍光物質が含まれないため、蛍光の明るさは再現されないと述べる[3]。コピー機は色の見た目を再現するが、原本の目立ち方の一部は、色ではなく蛍光という別の光の寄与による、という読みになる。
どの程度暗くなるかは機種や条件で変わる。以下では仕組みの説明を、国内メーカーの資料と突き合わせて確かめる。
2. けいこうペンは、じぶんで ひかるの?
2. 見えない光を、見える光に変える物質
2. 蛍光物質のはたらき ── 紫外線の吸収と可視光の放出
けいこうペンは、くらい ところで じぶんから ひかる わけでは ありません。
インクの なかに、めに みえない 紫外線を、めに みえる ひかりに かえる ものが はいって います[1]。しがいせんを ふくむ ひかりが あたると、ひかるのです[2]。
たとえるなら、ボールを うけとって、べつの ボールに なげ かえす かかりの ようです。ただし ほんとうは ボールでは なく、ひかりの エネルギーです。
ホタルイカの ひかりは、からだの なかの はんのうで じぶんで つくる ひかりでした。けいこうは ちがって、そとから きた ひかりが ひつようです[2]。
蛍光ペンのインクには、目に見えない紫外線を目に見える光に変える蛍光物質が入っています[1]。パイロットの説明では、紫外線を含む光が当たると、この物質が紫外線のエネルギーを吸収し、可視光に変えて放出します[2]。
光る仕組みを、もう少しくわしく見てみます。物質の中の電子が紫外線のエネルギーをもらって高い状態に上がり、元の状態に戻るときに余ったエネルギーを光として出します。途中で一部のエネルギーが熱などに使われるため、出てくる光は吸収した光より波長が長く、エネルギーが低くなるそうです[5]。紫外線が目に見える光になるのは、そのためです。
自分で光るわけではないので、暗闇では光りません。パイロットは、紫外線を含む光がある環境でだけ光って見えると説明しています[2]。ホタルイカのように体の中の化学反応で自分から光る発光とは、別の現象です。
三菱鉛筆は、蛍光ペンのインクに「目に見えない光(紫外線)を目に見える光へ変える蛍光物質」が含まれると説明する[1]。パイロットも、紫外線を含む光が当たると蛍光物質が紫外線のエネルギーを吸収し、可視光に変えて放出すると述べ、紫外線を含む光がある環境でのみ光って見えるとする[2]。外からの光を必要とする点が要になる。
過程は、分子中の電子が高エネルギーの紫外線を吸収して励起状態になり、基底状態へ戻る際に余剰エネルギーを光として出す、と解説される。途中で振動などにエネルギーの一部を失うため、放出光は吸収光より波長が長い(エネルギーが低い)[5]。紫外線が可視光として現れる理由がここにある。
生物発光は、ルシフェリンなどの化学反応で自ら光る別の現象であり、外部の励起光を要する蛍光とは原理が異なる。
3. どうして いつもより あかるく みえるの?
3. 反射した光に、新しい光が足される
3. 反射光への上乗せ ── 可視光が増えて見える理由
ふつうの いろは、あたった ひかりの うち、その いろの ぶんだけを はね かえして みえます。
けいこうペンは、はね かえした ひかりに、しがいせんから かえた あたらしい ひかりが たされます。だから、みえる ひかりが ふえて、めに とどきます[4]。
それで、まわりの いろより あかるく、あざやかに みえるのです。
4. いろによって、ひかりかたは おなじ?
4. 色によって、光って見える強さがちがう
4. 色による差 ── 蛍光物質の色と、インクの組み合わせ
ぜんぶの いろが おなじ つよさで ひかる わけでは ないようです。
パイロットは、とくに ひかって みえやすい いろは、きいろと ピンクだと せつめい して います。オレンジも よく ひかるそうです[2]。
それいがいの いろは、インクの くみあわせで つくられる ので、ひかって みえる ていどが いろに よって ちがいます。
また、けいこうペンの せんの したの もじが すけて みえるのは、いろの もとの りょうが ふつうの ペンより すくないから、とも せつめい されて います[2]。
三菱鉛筆は、蛍光物質そのものが出す色は黄と桃に限られ、他の色はインクの組み合わせで作られるので、光って見える程度は色によって異なると説明しています[1]。パイロットは、とくに光って見えやすいのは黄色とピンクで、オレンジもよく光ると述べています[2]。
中身の色素は、化学の解説サイトによると、黄色にはピレン系、ピンクにはローダミン系、オレンジにはクマリン系などの組み合わせが使われる例があります[5]。ただし、これは一例で、メーカーや製品によって成分は違います。
線の下の文字が透けて見えるのは、色のもとの量が普通のペンより少ないからだとパイロットは説明しています[2]。
三菱鉛筆は、蛍光物質が発する色は黄と桃に限られ、他の色はインクの組み合わせで作られるため光って見える程度は色で異なる、と説明する[1]。パイロットは、光って見えやすいのはイエローとピンク、オレンジもよく光るとする[2]。「全色が同じ強さで蛍光を出す」わけではない。
色素の例として、イギリスの化学解説サイトはイエローにピレン系(ピラニンなど)、ピンクにローダミン系、オレンジにクマリン系とキサンテン系の組み合わせを挙げる[5]。同サイトは緑・青・紫にも色素を挙げており、三菱鉛筆の「黄と桃に限られる」という説明とは表現が異なる。成分はメーカー・製品で違うため、どちらも一例として読むのが妥当だろう。
線の下の文字が透けるのは、インクの色のもとの量が普通のペンより少ないためとパイロットは述べる[2]。
5. しろい ふくも おなじ しくみ?
5. 白い服の「白さ」にも、同じ仕組みが使われる
5. 蛍光増白剤 ── 青白い蛍光で白さを増す
しろい ふくや タオルには、ひかりに ふしぎな しくみを もつ くすりが つかわれる ことが あります。紫外線を、あおじろい ひかりに かえて、しろさを ましてくれるのです[6]。
けいこうペンと おなじ しくみです。ペンは きいろや ピンクの ひかりを だし、しろい ふくの くすりは あおじろい ひかりを だします[6][2]。
この くすりは、せんたくで おちて しまう ため、せんたく せんざいにも はいって います。ただし、きなりや パステルの ふくには つかわれません[6]。
6. さいしょの けいこう とりょうは、だれが?
6. 浴槽で生まれた蛍光塗料
6. 蛍光塗料の来歴 ── スウィッツァー兄弟と1934年の披露
1930ねんだいの アメリカに、ロバートと ジョセフの ふたりの きょうだいが いました。
ふたりは、けいこうの ものと シェラックと いう ものを まぜて、けいこうの とりょうを つくったと つたえられます。1934ねんに、マジシャンの たいかいで みせたそうです[7]。
この あかるい とりょうは、のちに ひとつの かいしゃの なまえにも なりました。
1930年代のアメリカで、スウィッツァー兄弟(ロバートとジョセフ)が、蛍光を出す物質とシェラックを混ぜて蛍光塗料を作ったと伝えられています。家の浴槽で実験を重ね、1934年に奇術師の大会で披露したそうです。ロバートは1936年に特許を得ました[7]。
兄弟は1946年に会社を作り、1969年に「デイグロ」という社名に改めました。第二次世界大戦中の信号用の明るい布でも知られています[7]。
蛍光ペンについては、ドイツのスタビロが1971年に発表した「ボス」を世界初の蛍光ペンとして紹介しています。ただし「世界初」は同社の紹介で、ほかの資料では確かめていません[8]。
クリーブランドの百科事典によると、スウィッツァー兄弟(ロバートとジョセフ)は1930年代、蛍光化合物とシェラックを混ぜる実験を家の浴槽で行い、1934年にオークランドの奇術師の大会で披露した。ロバートは1936年に特許を得た[7]。開発の年は資料でずれがあり「1930年頃」とする記述もあるため、ここでは「1930年代」にとどめる。
兄弟は1946年にSwitzer Brothers, Inc.を設立し、1969年にDay-Glo Color Corp.へ改称した[7]。蛍光ペンの起源としては、スタビロ(ドイツ)が1971年発表の「ボス」を世界初と紹介する[8]。ただし同社側の記述であり、ほかの資料では確かめていない。
7. まどぎわで みくらべて みよう
7. 昼の窓辺と部屋の中で、見え方を比べる
7. 見比べの手がかりと、資料の読み方
けいこうペンで、かみの はしに せんを ひいて みましょう。しろい ふくの そでと、ならべて ながめます。
ひるまの まどぎわと、へやの おくで、あかるさが どう かわるか、みくらべます。けいこうは しがいせんを ふくむ ひかりの したで ひかる ので[2]、ばしょに よって みえかたが ちがうかも しれません。
たいようを ちょくせつ みては いけません。しがいせんの ライトも つかいません。
蛍光ペンで紙の端に線を引き、白い服の袖と並べて、昼の窓辺と部屋の奥で見え方をくらべてみましょう。蛍光は紫外線を含む光の下で光って見える、とパイロットは説明しています[2]。場所や照明で明るさが変わるかどうか、目で確かめる手がかりになりそうです。
結果は、天気や時刻、部屋の照明でも変わります。1回で決めず、何回か見てください。太陽を直接見ないこと、紫外線ライトを使わないことは、必ず守ってください。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
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- 三菱鉛筆「よくあるご質問(蛍光ペンが光る原理)」。https://www.mpuni.co.jp/customer/ans_110.html (紫外線を可視光に変える物質、色ごとの差)
- パイロット「かく、を学ぶ 蛍光ペンってどうして光って見えるの?」。https://www.pilot.co.jp/media/knowledge/027.html (紫外線の吸収と放出、光りやすい色、透ける理由)
- WTAMU Science Questions with Surprising Answers「What makes a fluorescent highlighter marker so bright?」。https://www.wtamu.edu/~cbaird/sq/2015/05/15/what-makes-a-fluorescent-highlighter-marker-so-bright/ (反射光への上乗せ、コピーで明るさが再現されないこと。英語の解説サイト)
- 未来工学研究所「おもしろ科学実験室 蛍光ペンの鮮やかなひみつ」。https://www.mirai-kougaku.jp/laboratory/pages/250425.php (光量の合計の説明)
- Compound Interest「The Chemistry of Highlighter Colours」。https://www.compoundchem.com/2015/01/22/highlighters/ (電子の状態と波長、色ごとの色素の例。英語の解説サイト)
- 花王「製品Q&A 蛍光増白剤とは?」。https://www.kao.com/jp/qa/detail/15864/ (白い衣類の蛍光増白剤)
- Encyclopedia of Cleveland History「Switzer, Robert C.」。https://case.edu/ech/articles/s/switzer-robert-c (蛍光塗料の開発と会社の歩み。英語の資料)
- MARK'S「スタビロ 商品ページ」。https://marks.jp/product/stabilo.html (スタビロ「ボス」1971年。販売店による紹介)
なおした ところ
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