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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

グラスの ふちを ぬれた ゆびで こすると、どうして おとが つづくの?

濡れた指でこするとグラスが鳴り続けるのはなぜか ── 脈打つ音と、水を入れると下がる音

濡れた指でこすったグラスが鳴り続ける理由 ── 摩擦の自励振動と、水で音が下がる理由

分野:技術

ワイングラスを ぬれた ゆびで こすると、「ふぉーん」と おとが でます。この おとは、じつは 1びょうに 4回から 8回ほど、つよく なったり よわく なったり して います[1]。

たたくと すぐに きえる おとが、こすると どうして つづくのでしょう。そして、みずを いれると どうして ひくく なるのでしょう。こたえの ひとつは、ぬれた ゆびが「くっつく」と「すべる」を はやく くりかえして、グラスを おし つづけて いる こと。そのうえで、おとが ゆらゆらする わけと、みずで おとが かわる はなしを よみます。

ワイングラスの縁を濡れた指でこすると、澄んだ音が鳴り続けます。耳をすますと、その音は1秒に4〜8回ほど、強くなったり弱くなったりをくり返しています[1]。

叩けばすぐ消える音が、こするだけでなぜ続くのでしょうか。しかも水を入れると、音はなぜ低くなるのでしょうか。答えの要は、濡れた指の摩擦が「くっつく→すべる」をくり返し、グラスの振動を保ち続けることです。そのうえで、音が脈打つ理由、水と音の関係、この現象から生まれた楽器の歩みを読みます。

ワイングラスの縁を濡れた指でこすると、純粋に近い音が持続する。その音は、1秒あたり約4〜8回の強弱(うなり)をともなって脈打っている[1]。叩けばすぐに減衰するグラスが、こすると鳴り続けるのはなぜか。さらに、水を入れると音が下がるのはなぜか。

濡れた指の摩擦が、すべる速さで変わることで振動を保つ仕組み、うなりの原因、水で音が下がる理由について研究者が示した見方、そして削って音程を合わせる調律法までが分かる。

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1. たたくと きえるのに、こすると どうして つづくの?

1. 叩くと消える音が、こすると続くのは「押し続けられる」から

1. 叩けば減衰する音が、こすると持続する ── 振動に力を足し続ける仕組み

グラスを ゆびで はじくと、「チン」と なって すぐ きえます。でも ぬれた ゆびで ふちを こすると、おとは ずっと つづきます。

わけは、ゆびが グラスを ちいさく、なんども おし つづけて いるからです。ブランコを おもいだして ください。ちょうど よい ときに せなかを おすと、どんどん おおきく ゆれますね。グラスの ばあいは、ゆびが「くっつく」と「すべる」を くりかえして、おす タイミングを つくって います[2]。ただし ゆびが かんがえて おして いるわけでは ありません。

でも、どうして ゆびが「くっつく」と「すべる」を くりかえすのでしょう。

グラスを指ではじくと「チン」と鳴って、音はすぐに小さくなります。ところが濡れた指で縁をこすると、音は指を動かしている間、ずっと続きます。

答えは、指がグラスを何度も小さく押し続けていることにあります。ブランコを、ちょうどよいタイミングで押すと大きく揺れるのと似ています。アメリカの科学雑誌の解説では、指が抵抗にあって「くっつく」ことと、水のおかげで「すべる」ことをくり返し、その反復がグラスの壁を震わせ、まわりの空気を押して音になると説明されています[2]。ただしブランコと違い、指が考えてタイミングを合わせているわけではありません。

つまり、鳴り続ける理由は「くっつく→すべる」のくり返しです。では、指がくっつく・すべるをくり返すのは、どういうことなのでしょうか。次の章で、日本の研究を手がかりに見ていきます。

グラスを叩くと、ガラスの固有の振動が鳴るが、音はすぐに小さくなる。ところが濡れた指で縁をこすると、音は指を動かしている間、持続する。これは、外から振動に力を足し続けているからだ。ブランコを、揺れの周期に合わせて押す場合と同じ考え方である。

アメリカの科学雑誌Scientific Americanの解説では、乾いた指は抵抗(摩擦)にあって張りつき、水で濡れた指はすべり、圧力と水分がちょうどよいとき、この「張りつく→すべる」の反復がグラスの壁を振動させ、空気を押して音になるという[2]。ただしブランコの比喩は、あくまで考え方の助けである。指が振動の周期を「測って」押しているわけではなく、摩擦の性質そのものが、周期にそろった押し方を作り出している。

では、その摩擦の性質とは何か。そして、なぜ水で濡れていなければならないのか。

2. ゆびが「くっつく・すべる」を くりかえす わけは?

2. 濡れた指は、すべる速さが増すほど摩擦が小さくなる

2. 摩擦係数の速度依存 ── 負の傾きが自励振動を生む

かわいた ゆびで こすっても、グラスは なりません。ゆびが ひっかかって、ぐい、ぐい と うごくだけです。

ぬれた ゆびだと、すこし ひっかかって、ぬるっと すべります。この くりかえしが とても はやい ので、グラスが ふるえつづけます[2]。

にほんの けんきゅうでも、すべる はやさが ふえるほど、ガラスと ぬれた ゆびの あいだの こすれる ちからが へる ことが、おとの もとだと しらべて います[3]。ゆびが すべりだすと、ちからが ぬけて、また くっつき、また すべる。その くりかえしが、グラスの もとの ふるえに あうと、おとに なります。

では、その ふるえは、どんな ふうに うごいて いるのでしょう。おとが ゆらゆら する ひみつも そこに あります。

乾いた指でこすっても、グラスは鳴りません。ひっかかって、ぐい、ぐいと動くだけです。水で濡れた指でなければ、この音は出ません[2]。

日本の横井雅之さんと中井幹雄さんの研究は、この音が出る理由を「摩擦係数が、すべる速さが増すほど小さくなる性質」に求めています[3]。摩擦係数は、こすれ合うものの間の、すべりにくさの目安です。すべり出して速くなると、その値が小さくなる。この性質があるため、指の「引っかかる→すべる」がとても速いテンポで続き、振動が保たれると考えられています。

この引っかかりとすべりのテンポが、グラスが持つ振動のしやすい速さに合うと、振動はどんどん育ちます。グラスのほうから見れば、指は「ちょうどよい瞬間にだけ押してくる相手」です。

では、グラスが振動する様子は、どんなものでしょうか。じつは、そこに音が脈打つ理由があります。

乾いた指ではグラスは鳴らない。乾いた指は縁に張りつき、断続的にひっかかるだけで、持続した音にならないからだ[2]。

横井・中井の研究は、濡れた指でこすって出るワイングラスの音が、ガラスと濡れた指のあいだの摩擦係数が、すべる速さが増すほど小さくなる(負の傾き)ことで生じると結論している[3]。この摩擦の速度依存が、振動を保つ働きをする。振動の周期に合ったときに、振動のエネルギーが補給されるのである。振動が外からの周期的な力ではなく、系の内部の性質で維持されるので、この種の現象は「自励振動」と呼ばれる。

ここで、Scientific Americanの「張りつく→すべる」(スティックスリップ)と、横井・中井の「摩擦係数の負の傾き」は、おそらく同じ現象を別の言い方で表している。ただし、この二つが一致することを一次資料で直接照合したわけではない。

では、振動する側のグラスは、実際にどう動いているのか。ここに、音の「脈打ち」の原因がある。

3. おとが ゆらゆら する ひみつは、ふるえの もようが まわる から?

3. 振動の模様が指といっしょに回ると、音が脈打つ

3. (2,0)モードの回転とうなり ── 1秒に4〜8回の強弱

グラスの ふちは、こすった とき、4つに わかれて ふるえます。となりどうしが、ぎゃくの むきに うごきます[1]。ふちが ぐにゃり と かたち を かえる ようすを、ゆっくり そうぞう して みて ください。

この ふるえの もようは、ゆびの うごきに つれて、グラスの まわりを ぐるぐる まわります。すると おとが 1びょうに 4回から 8回、つよく なったり よわく なったり します[1]。

ゆびを はやく うごかす ほど、ゆらゆらの かいすうは かわります。ゆびの はやさで、おとの ゆらぎも かわるのです。

では、グラスに みずを いれると、おとは どうなるでしょう。

濡れた指でこすって鳴るのは、おもに「(2,0)モード」と呼ばれる振動です。縁が4つの領域に分かれ、となり合う領域が逆向きに動く、基本の振動の形です。こすったときは、この振動とその倍音が、スティックスリップによって主に鳴らされます。叩くと、ほかの振動の形も一緒に鳴ります[1]。

アメリカ音響学会の発表資料によれば、こすっているとき、この振動の模様は指の動きにつれてグラスのまわりを回ります。そして音は、1秒に約4〜8回の強弱(うなり)を伴って脈打ちます。その回数は、指の動かし方の速さで変わります[1]。

1秒に4〜8回というのは、1回の強弱が約0.12〜0.25秒の間に行われるということです。耳をすますと、「ふぉーん、ふぉーん」と、ゆっくり波打つように聞こえるはずです。

この音は、グラスが水をたたえているとき、どう変わるのでしょうか。

濡れた指でこすって主に励振されるのは、(2,0)モードとその倍音である。(2,0)モードは、縁が4つの領域に分かれ、となり合う領域が逆向きに動く、基本の振動の形(モード)である。叩いた場合は、これ以外のモードも鳴る。つまり、こすったときのほうが、鳴る振動が絞られている[1]。

音が脈打つ理由も、同じ資料に書かれている。アメリカ音響学会(ASA)の発表資料によれば、こすっている間、モードの模様は指の動きにつれてグラスの周りを回り、その結果、音は1秒に約4〜8回の強弱(うなり)をもって脈打つ。この回数は指の動かす速さで変わる[1]。1回の強弱は約0.12〜0.25秒にあたる。

注意したいのは、この資料が「模様が回る」と「脈打つ」を結びつけて述べているのみで、回転の速さと回数の関係を式で示してはいない点だ。指を速く動かすと回数が増えるのか減るのかも、ここでは書かれていない。

こすって鳴る音の正体が、基本の振動だとして、ではその振動は、水を入れたときにどう変わるのか。

4. みずを いれると おとが さがるのは、おもく なるから?

4. 水を入れると音が下がる理由は、「重くなるから」だけではない

4. 液体で共鳴周波数が下がる ── 「質量の付加」という説明の限界

ワイングラスに みずや ワインを いれると、おとは ひくく なります[4]。「みずの ぶん おもく なるからだ」と おもう ひとが おおい でしょう。

けれども、ある けんきゅうしゃ(Y.-Y. Chen さん、2005ねん)は、「そう かんがえると ふしぎな けっかが でて しまう」と しらべて、もっと よい せつめいを だして います[4]。

「おもく なるから ひくい」と かんたんに いえる はなしでは ないらしい、と いうのが この けんきゅうの ポイントです。

では、おとを ひくくする ほうほうは、ほかに ないのでしょうか。

グラスに水やワインを入れると、音は低くなります。これは「液体がグラスに質量を足すから」と説明されることが多く、納得しやすい話です。

ところが、物理の教育雑誌に載った2005年の研究(Y.-Y. Chen)は、その説明では不自然な結果が出てしまうとして、より適切な物理的解釈を示しています[4]。「重くなるから低い」と言い切れるほど単純な話ではない、というのがこの研究の出発点です。

水を入れて音が変わるなら、これで音階を作れるのでしょうか。グラスハープの調律の話に移ります。

ワイングラスに液体を入れると、音は低くなる。通常は「液体が有効質量を加えるため」と説明される。しかしY.-Y. Chenの論文(Am. J. Phys. 73, 2005)は、この説明では不自然な結果が出るとして、より適切な物理的解釈を示した[4]。「重くなるから低い」を鵜呑みにしないほうがよい、というのがこの研究の出発点である。

水の量と周波数の関係を測った実験の例もある。栃木県の教育機関の実験資料は、グラスの内側と外側の水を足していき、水がないときの約1750 Hzから、内外とも満水のときの約867 Hzまで下がったと報告している[5]。1750÷867.19は約2.02なので、周波数はほぼ半分、つまり約1オクターブ下がったことになる。ただしこれは、外側も水に浸した特殊な条件の数字である。

ここから、次の疑問が生まれる。水で大きく音を変えられるなら、グラスハープの調律は水でできるのか。

5. グラスの おとを あわせる ときは、みずで なおすの?

5. 音を合わせるなら、水よりガラスを削るほうが広く動かせる

5. 調律幅の比較 ── 水は微調整、削ると大きく動く

グラスを ならべて ドレミを つくる とき、おとの たかさを あわせたいですね。みずで ちょうせい できますが、かえられる はばは ちいさい と いわれます[1]。

ガラスの ふちを けずると、おとは たかく なります。グラスの そこの ほうを けずると、おとは ひくく なります[1]。

おおさか さんぎょう だいがくの けんきゅうでは、そこの ほうを けずると、けずった りょうに くらべて おとが ひくく なる ことを、じっけんで たしかめて います[6]。けずれない かたちの グラスは、みずを いれて ちょうせい するそうです。

こうして グラスの おとを そろえて ならべた のが、グラスハープです。

グラスを何個か並べてドレミを作るとき、ひとつひとつの音を、あらかじめ決めた高さに合わせる必要があります。

アメリカ音響学会の発表資料は、水(やワイン)を足して微調整はできるが、調整できる幅は小さいと述べています。ガラスを削るほうが、広く調整できます。縁を削ると音は上がり、器の底に近い部分を薄くすると音は下がります[1]。

日本の大阪産業大学の研究では、各グラスの底を局所的に削る調律法が提案されています。削った量に比例して音が下がることが、実験と有限要素法(形を細かく分けて計算する方法)で確かめられました。削れない形のグラスでは、水を加えて調整します[6]。

調律は、削るか、水で足すか。ガラスで音階をそろえた先に、18世紀、ある楽器が生まれました。

水で調整するのか、ガラスを削って調整するのか。ASAの資料は、水(またはワイン)を足す微調整は可能だが、調整できる幅は小さく、ガラスを削るほうが幅広く調整できると述べる。縁を削ると音は上がり、器の底に近い部分を薄くすると下がる[1]。

大阪産業大学の奥・矢頼・中西の研究(Acoust. Sci. & Tech. 21(2))は、各グラスの底を局所的に削る調律法を提案した。削った量に比例して音が下がることを、実験と有限要素法で確かめ、削れない形のときは水を加えて調整するとしている[6]。

前章の栃木の実験(1750 Hzから約867 Hz)と、「水の調整幅は小さい」という資料の記述は、一見食いちがう。しかし栃木の数字は、外側も水に浸した特殊な条件のものなので、同じ条件の話ではない。水の量・位置など、条件を区別して読む必要がある。

こうして、グラスをこすって鳴らし、調律するための仕組みが出そろう。この性質を、楽器に仕立てた人がいる。

6. こする グラスは、どんな がっきに なったの?

6. ガラスの音は、フランクリンやモーツァルトを動かした

6. グラスハープからアルモニカへ ── 1761年の発明と、モーツァルトの曲

グラスを ぬれた ゆびで こすって ならす がっきを、グラスハープと いいます[7]。

そこから 生まれたのが、アルモニカです。1761ねん、アメリカの フランクリンが つくりました[7]。

1791ねん、モーツァルトも この がっきの ために きょくを 書きました[8]。のちに すたれましたが、いまは また ふっかつして います[7]。

濡れた指でこすって鳴らす楽器を、グラスハープといいます。冨田晃さんの概略史によると、そこから派生したのがグラスハーモニカ(アルモニカ)で、ベンジャミン・フランクリンが1761年に発明しました。18世紀後半に盛んになり、19世紀に衰えたあと、近年は復興しているといいます[7]。

モーツァルトは1791年、女性の奏者マリアンヌ・キルヒゲスナー(1769年生まれとされる)のために、アダージョとロンド K.617を書き、5月23日の日付を記しました。初演は同年8月19日、ウィーンの劇場だったとされています[8]。

その後、グラスハーモニカは19世紀に衰えましたが、近年は復興しているといいます[7]。

叩くとすぐ消える音を「指でこすって続ける」という発見が、楽器になり、作曲家の曲にもなりました。

グラスハープは、ワイングラスなど椀形のガラスを水で濡らした指でこすって鳴らす楽器である。冨田晃の概略史によれば、グラスハーモニカ(アルモニカ)はそこから派生し、フランクリンが1761年に発明した。18世紀後半に盛んになり、19世紀に衰退、近年復興している[7]。

モーツァルトは1791年、奏者マリアンヌ・キルヒゲスナー(1769年生まれとされる。資料により1770年とも)のために、アダージョとロンド K.617を書き、5月23日の日付を記した。初演は同年8月19日、ウィーンのケルントナートーア劇場とされる[8]。

7. おうちの グラスで、おとを ゆらゆらと ききくらべて みよう

7. 家のグラスで、叩いた音とこすった音を聞きくらべる

7. 家で確かめる ── うなりの回数と、水の量による音の違い

おとなの ひとと いっしょに、やって みましょう。われにくい あつめの コップや、ワイングラスを つかいます。うすい グラスや、ひびの ある ものは つかわないで ください。

まず グラスの あしを もって、テーブルの うえの タオルの うえに おきます。ゆびを みずで ぬらして、ふちを ゆっくり ぐるっと こすります。つよく おさえないのが こつです。

おとが でたら、ゆらゆらを きいて みます。ゆびを はやく うごかすと、かわるかも しれません。そのあと、みずを すこし いれて、また こすって、おとの たかさを くらべて みて ください。

家にあるワイングラスや、割れにくい厚めのコップで、叩いた音とこすった音を聞きくらべてみましょう。薄いグラスやひびのあるものは使いません。テーブルにタオルを敷き、グラスの脚(なければ底)を片手で押さえて、安全に気をつけてください。大人と一緒にすると安心です。

指を水で濡らして、縁をゆっくり一周こすります。強く押さえず、一定の速さで動かすのがこつです。音が出たら、耳をすまして、強弱の波を数えてみましょう。10秒間に何回あったかを数えれば、1秒あたりの回数が出ます。指の速さを変えると、回数は変わるでしょうか。

そのあと、水を少しずつ入れて、同じようにこすります。音の高さは、水の量でどう動くでしょう。水の量を変えて何度か試して、音の高さの変わり方をメモしておくと、水を入れるほど音は低くなるのか、どのくらい動くのかが、自分のグラスで確かめられます。

もっと知りたくなったときは、アメリカ音響学会の解説[1]のように英語の資料もありますが、日本語では冨田晃さんの概略史[7]や、大阪産業大学の調律の論文[6]が入り口になります。

家で確かめられることが三つある。①叩いた音とこすった音を比べる。叩くとほかの振動も鳴るので、こすったほうが音が絞られて聞こえるかどうかを、耳で比べられる[1]。②音の強弱を、10秒間に何回か数える。1秒あたりの回数に直し、資料にある約4〜8回の範囲に入るか、指の速さを変えると変わるかを確かめる[1]。③水を少しずつ入れて、音の高さを比べる。耳だけで比べにくいときは、同じ高さの音を鳴らして並べるなど、日本語で完結する方法でよい。

実験は、割れにくい厚めのグラスで、タオルの上で行う。薄いグラスやひび割れのあるものは使わず、強く押さえない。できれば大人と一緒に行う。

この記事が頼った資料は、立場が違う。ASAの発表資料[1]は、こすって鳴る振動と調律幅の両方を述べる一次資料である。Chenの抄録[4]は、「質量の追加」という通説への疑問を示しており、本文を読めば、水と音の関係の核心に近づける。大阪産業大学の調律の論文[6]は、削った量と音の下がり方の比例関係を、実験と有限要素法の両方で示している。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:学会の発表資料、論文の抄録、学術機関のリポジトリ、教育機関の資料、演奏会のプログラムノートなどを使いました。何に使ったかは、各項目の最後に書いています。

  1. Rossing, T. D.(米国音響学会 第147回大会 発表資料)。https://acoustics.org/pressroom/httpdocs/147th/Rossing_Harmonicas1.htm (こすって鳴る振動の形、うなりの回数、水と削りによる調律幅について)
  2. Scientific American「Singing Glasses」。https://www.scientificamerican.com/article/singing-glasses1 (「くっつく→すべる」の反復が音になることについて。一般向けの解説)
  3. 横井雅之・中井幹雄「ワイングラスのリンギングの解明」抄録。https://osu.repo.nii.ac.jp/records/2425 (摩擦係数がすべる速さで小さくなることについて)
  4. Chen, Y.-Y., Am. J. Phys. 73(11), 1045(2005)抄録。https://scholars.lib.ntu.edu.tw/handle/123456789/443152 (液体を入れると音が下がることと、質量の説明への疑問について)
  5. 栃木県教育機関 研究資料(PDF)。https://www.tochigi-edu.ed.jp/oyama/nc3/wysiwyg/file/download/1/4799 (水の量と周波数を測った実験の数字について。検索結果の要約から)
  6. Oku, Yarai, Nakanishi, Acoust. Sci. & Tech. 21(2) 抄録。https://www.jstage.jst.go.jp/article/ast/21/2/21_2_97/_article (底を削る調律法について)
  7. 冨田晃「グラスハープとグラスハーモニカの概略史」抄録(弘前大学)。https://hirosaki.repo.nii.ac.jp/records/2397 (楽器の呼び名と、1761年の発明、盛衰について)
  8. Parlance Chamber Concerts プログラムノート「Adagio and Rondo, K. 617」。https://www.parlancechamberconcerts.org/individual-program-notes/wolfgang-amadeus-mozart-(1756-1791)/adagio-and-rondo,-k.-617-for-glass-harmonica,-flute,-oboe,-viola,-and-cello (K.617の作曲と初演について)

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