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やくしょの はんこは、どうして ほとんど いらなく なったの?

2020年、役所の手続きから判子がほとんどいらなくなったのはなぜか

行政手続きの押印はなぜ約99%が廃止へ向かったのか ── 認め印の証明力と、残った83手続

分野:歴史・文化

やくしょに だす しょるいには、はんこを おす らんが たくさん ありました。ところが 2020ねんの 秋、そのうちの 99%いじょうを やめる ほうこうが きまりました。のこったのは、およそ 180こに 1こ だけです。

はんこは、なにを しょうめい して いたのでしょう。なぜ ほとんど いらなく なり、のこった ものは なにが ちがうのでしょう。この 記事で、その こたえが わかります。

役所に出す書類には、判子を押す欄がたくさんありました。ところが2020年の秋、押印を求めていた約1万5千種類の手続きのうち、99%以上をやめる方針が決まりました。残ったのは83です。

判子は、何を証明するものだったのでしょうか。なぜこれほど一気に減り、残った手続きには何がちがうのでしょうか。国の資料から、その答えが分かります。

2020年11月、国の行政手続きのうち押印を求めていた14,992種類について、14,909種類(99%以上)を廃止、または廃止の方向で準備すると発表された。存続は83手続で、全体のおよそ0.55%にあたる[1]。

押印は、実際には何を示していたのか。なぜ、この時期に一斉に動いたのか。そして、なぜ83だけが残ったのか。内閣府などの資料から、認め印の証明力、半年間の経過、残った手続きの共通点が分かる。

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1. やくしょの はんこ、のこったのは 83だけ

1. 約1万5千種類のうち、残ったのは83だけ

1. 14,992種類のうち、存続は83 ── 数字が示す範囲と、示さない範囲

2020ねん 11月、くにの だいじんが 記者会見で 数字を はっぴょう しました。やくしょに しょるいを だす てつづきで、はんこを おす ことに なっていたのは、14992しゅるいです[1]。

そのうち 14909しゅるいは、はんこを やめると きめたか、やめる ほうこうで じゅんびを すすめる ことに なりました。のこったのは、83しゅるいです。14992を 83で わると、およそ 180こに 1こです。

ただし、ぜんぶが その日に なくなった わけでは ありません。「やめる じゅんびを する」ものも ふくまれて います。また、この 数字は、わたしたちや 会社から やくしょへ だす てつづきの 話です。

では、はんこは、そもそも なにを あらわして いたのでしょう。

2020年11月13日、河野内閣府特命担当大臣(行政改革担当)が記者会見を開き、国の行政手続きの押印について数字を示しました。市民や会社から行政へ出す手続きで、判子を求めているものは、添付書類まで含めて14,992種類あったといいます[1]。

そのうち14,909種類は、押印の廃止を決めたか、廃止の方向で準備に入りました。全体の99%以上です。存続するのは83手続でした。14,992を83で割ると約180なので、およそ180種類に1つしか残らなかった計算です。

注意したいのは、14,909が「廃止を決定、またはその方向で準備」を合わせた数だということです。その日に全部がなくなったわけではありません。対象も、行政から出す書類ではなく、民から行政へ出す手続きに限られます。

それにしても、なぜ判子はこれほど簡単に手放せたのでしょうか。まず、判子が実際に何を証明していたのかを見てみます。

2020年11月13日の河野内閣府特命担当大臣(行政改革担当)の会見で、民から行政への手続きのうち、押印を求めるものは添付書類を含めて14,992種類あると示された。このうち14,909種類(99%以上)は廃止が決まったか、廃止の方向で準備に入り、存続は83手続とされた[1]。83を14,992で割ると約0.55%、逆に言えば約180種類に1つの割合である(筆者の検算)。

ここで、数字の範囲を押さえておく必要がある。14,909は「廃止決定」と「廃止の方向で準備」の合計なので、会見の日に押印が全て消えたことを意味しない。また、母数は民から行政への手続きに限られ、行政内部の書類や民間どうしの契約は含まれない。

では、なぜこれほど多くが、短い期間で不要と判断できたのか。その鍵は、押印が何を証明していたかにある。

2. はんこは、だれが おしたかを しょうめい できたの?

2. 判子は、「誰が押したか」を証明できたのか

2. 認め印の証明力 ── 契約の成立要件と、押印の「推定」の限界

はんこには、いろいろな しゅるいが あります。ふだん つかう ふつうの はんこを、「みとめいん」と いいます。ほかに、やくしょに とどけて ある「じついん」も あります[1]。

国は、「みとめいんは、おした 人が 本人だと たしかめる ことには ならない」と かんがえました。そこで、みとめいんを つかう てつづきは、やめる ほうこうに なりました[1]。

じつは、はんこが なくても、やくそくは せいりつ します。2020ねん 6月に 国の 3つの 役所が だした 文書には、「やくそくは、たがいの 気もちが あえば できる。しょるいや はんこは、とくべつな きまりが なければ ひつようない」と いう 考えが 書かれて います[5]。

はんこが ある しょるいは、本人が つくったと かんがえられやすく なります。でも、ちがうと しめす ことも できます。「はんこは むいみ」では なく、「それだけでは つよい しょうこに ならない」と いう ことです。

では、どうして 2020ねんに なって、いっきに うごいたのでしょう。

判子には、大きく分けて何種類かあります。ふだん使う「認め印」と、役所に登録してある「実印」、そして銀行に届け出る「届出印」などです[1]。

河野大臣は会見で、本人確認や本人認証にならない認め印は、すべて廃止の対象になると述べました[1]。認め印は、誰が押しても同じように見えます。本人が押したと確かめる手段がないので、役所は手続きの条件にしても意味が薄いと考えた、ということです。

法律の面でも、判子は必須ではありませんでした。2020年6月19日、内閣府・法務省・経済産業省が「押印についてのQ&A」を公表しています。契約は当事者の意思が合えば成立し、書面や押印は特別な定めがなければ必要な条件ではない、という整理です[5]。

押印のある文書は、本人が作ったものだと推定される決まりが、民事訴訟法にあります(228条4項)。ただし、反対の証拠を出せば覆せます。判子が「無意味」なのではなく、それだけでは決め手になりにくい、というのが正確です[5]。同じ資料は、認め印では印影と印章が一致することを示す手段がないため、推定が及びにくいとも整理しているとされます。

では、なぜ2020年だったのでしょうか。

押印には種類がある。日常的に用いる認め印、印鑑登録をした実印、金融機関に届け出る届出印である[1]。河野大臣は会見で、本人確認・本人認証にならない認め印は全て廃止の対象になると述べた。誰が押しても外見が同じなので、手続きの条件にしても本人性を担保できない、という整理である[1]。

法的にも、押印は契約の成立要件ではなかった。2020年6月19日に内閣府・法務省・経済産業省が公表した「押印についてのQ&A」は、私法上、契約は当事者の意思の合致によって成立し、書面の作成や押印は特段の定めがない限り必要な要件ではない、と説明する[5]。

では押印に意味はないのか。そうではない。民事訴訟法228条4項は、本人の押印がある文書は真正に成立したものと推定すると定める。ただし推定は、反証があれば覆る。このQ&Aは、認め印は印影と印章の一致を示す手段がないため推定が及びにくい、と整理したとされるが、この点は要約でしか確認しておらず、断定は避ける[5]。つまり押印は「ある程度の手がかり」にはなるが、決定的な証明ではない。

この整理があったうえで、なぜ2020年の半年間に一気に動いたのか。次に、その経過を見る。

3. 2020ねんの 半年で、なにが うごいたの?

3. コロナ下の半年で、何が動いたのか

3. 2020年夏から11月 ── 閣議決定、「法律を変えれば済む」、そして数字の変化

2020ねん 7月、国は「しょめん・はんこ・たいめんを みなおす」と いう けいかくを、ないかくで きめました[4]。りゆうは、あたらしい コロナウイルスへの たいさくと、きかいを つかった しくみを つくる ことです。

はんこを やめれば、その てつづきは 紙では なく、インターネットで できるように なります。だいじんも、そう せつめい しました[1]。はんこは、ネットで てつづきする ための 入口に なって いたのです。

だいじんは、「ほうりつに はんこと 書いて あるから」は のこす りゆうに ならない、と 言いました。ほうりつを かえれば よい、という 考えです[3]。

10月には、「のこしたい」と 答えた てつづきは 111しゅるいまで へって いました[2]。11月に、さいごの 83に しぼられました。

のこった 83は、なにが ちがうのでしょう。

2020年7月17日、政府は「規制改革実施計画」を閣議決定しました。書面・押印・対面の見直しが柱の一つで、各府省が原則すべての対象手続きを見直すことになりました。理由には、新型コロナ対策と、デジタルガバメントの実現が挙げられています[4]。

判子の廃止は、それ自体が目的というより、オンライン化の入口でした。書類に判子を押す行為がなくなれば、その手続きは次に書面ではなくオンラインでできるようになる、と大臣は説明しています[1]。

各府省が「法律に押印と書いてある」と存続を求めたとき、河野大臣は、それは存続の理由にならない、法律を変えれば済むと述べたと報じられています。複数の法律をまとめて改正する案も検討されました[3]。

数字は、時点ごとに変わっていきます。10月初めの報道では、年1万件以上ある手続きに絞った820種類のうち、9月末時点で存続を希望したのは35種類(4%)でした[3]。10月16日には、約1万5千の手続きの99.247%で押印を廃止できるとされ、各省庁が存続を検討したいと答えたのは111種類でした[2]。そして11月13日に、存続は83手続に絞られました[1]。

これらは母数や時点がちがうので、並べて比べることはできません。確かなのは、検討が進むにつれて残す手続きが減っていったことです。

最後まで残った83には、どんな共通点があったのでしょうか。

きっかけは、2020年7月17日の閣議決定である。「規制改革実施計画」などで書面・押印・対面規制の見直しが柱の一つとなり、各府省は原則すべての対象手続きを見直すことになった。理由には、新型コロナ対策とデジタルガバメントの実現が挙げられた[4]。この計画は、見直しの結果を法令・通達の改正やオンライン化につなげることを求めたとされる。

押印廃止がオンライン化の入口と位置づけられたのは、書面に押す行為がなくなって初めて、手続きが書面からオンラインへ移れるからである[1]。ところが現場では、「法令に押印と書いてある」ことを理由に存続を求める声があった。河野大臣はこれを、法律を変えれば済む話で存続の理由にならないと退け、複数法の一括改正も検討したと報じられた[3]。

この間の数字は、集計の範囲が違うため直接比べられない。10月初めの報道は、年1万件以上ある手続き820種類を対象に、9月末の存続希望が35種類(4%)だったと伝える[3]。10月16日には、約1万5千の手続きの99.247%で廃止できると説明され、存続検討の回答は111種類(1%未満)だった[2]。11月13日に、存続は83手続に絞られた[1]。

要するに、母数を広げ、理由を一つずつ検討するほど、残す手続きは減った。では、それでも残った83は、何を理由に残ったのか。

4. のこった 83には、どんな はんこが あるの?

4. 残った83の判子は、何がちがうのか

4. 残った83手続の共通点 ── 印鑑証明・登記・届出印

のこった 83の てつづきは、どれも「いんかん しょうめいが いる もの」か、「とうき・とうろく」、そして「ぎんこうへ とどける はんこ」などです[1]。

いんかん しょうめいは、その はんこが、やくしょに とどけた 本人の ものだと、やくしょが しょうめい する 紙です。ここでは、はんこと 本人が、しっかり つながって います。

ふつうの みとめいんは、だれが おしたか わかりません。のこった はんこは、本人だと たしかめられる しくみと セットに なって いる ものです。ここに、はんこが ほんとうに はたらく ばめんが 見えて きます。

家の 人が ぎんこうに 行った とき、はんこを 使った ことが あるか、聞いて みると おもしろいかも しれません。

83のいずれも、印鑑証明が必要なもの、あるいは登記、登録、銀行への届出印などだった、と大臣は説明しました[1]。

印鑑証明は、その判子が役所に登録された本人のものであることを、役所が証明する書類です。登記や登録は、土地や会社などの大事な権利を記録する手続きです。銀行の届出印は、あらかじめ銀行に印影を届けておき、あとで本人かどうかを照らし合わせるための判子です。

認め印と比べると、ちがいが見えてきます。認め印は、誰が押しても同じように見えるため、本人確認にはなりませんでした。残った83は、判子と本人が、登録や証明という別の仕組みでつながっている手続きです。残った手続きには、印鑑登録や届出、登記といった、判子と本人を記録でつなぐ仕組みがありました。この共通点から、そう読むことができます。

ただし、83も将来ずっと残ると決まったわけではありません。会見の時点で、存続とされた数字です。その後どうなったかは、内閣府が公表している各府省の見直し結果などで、最新の状況を調べる必要があります。

国の動きは、自治体や法律の側にも広がっていきました。

83手続の共通点は、会見の説明によれば、いずれも印鑑証明が必要なもの、または登記・登録、銀行への届出印などである[1]。一方、本人確認・本人認証にならない認め印は、すべて廃止の対象とされた。

この違いは、押印と本人を結びつける仕組みの有無にある。実印は印鑑登録によって登録され、印鑑証明書で登録された印影であることを役所が示せる。届出印も、あらかじめ金融機関に印影を届けておくことで照合できる。登記や登録は、権利関係を公的な記録として残す手続きである。これに対して認め印は、そうした裏づけがない。つまり、残った手続きの共通点は、印鑑登録・印鑑証明・届出印・登記や登録といった、判子を本人や公的な記録と結びつける仕組みがあることだと整理できる。

なお、印鑑証明制度の開始年や法的根拠は、今回使った資料では取り上げていないので、ここでは触れない。また、83は2020年11月13日時点の数字で、その後の廃止の実施状況は、内閣府の各府省の見直し結果のページなどで別に確かめる必要がある。

国の見直しは、自治体や法律の改正へと広がった。次にそれを見る。

5. まちの やくしょや ほうりつにも ひろがったの?

5. 自治体や法律の改正へ広がった動き

5. 国から自治体へ、そして法律へ ── マニュアルと一括改正

2020ねん 12月、国は「じちたいで はんこを みなおす ための マニュアル」を つくりました[6]。いくつかの けんや まちから きた 4人の 人が、作る しごとを しました。

さがみはらしは、12月4日に、申しこみ書の はんこを やめる ほうしんを きめました。やく1500の てつづきで、はんこを やめる じゅんびを はじめました[7]。

2021ねん 5月には、はんこを もとめる 48の ほうりつを、いっぺんに なおす ほうりつが 出されました。9月1日から、はんこが いらない てつづきが ふえました[8]。

国の見直しは、自治体にも広がりました。2020年12月18日、内閣府は「地方公共団体における押印見直しマニュアル」を公表しました。国の手続きの押印99%を廃止した考え方や基準を解説したものです。三重県、大阪府、相模原市、福岡市から来た4人の職員が作成にあたりました[6]。

たとえば相模原市は、12月4日に申請書の押印をやめる方針を決め、約1,500件の手続きで押印廃止に着手しました。期限は2020年12月末と2021年1月末です[7]。

法律も変わりました。2021年5月19日に公布されたデジタル社会形成整備法で、押印や書面での交付を求める手続きを定めた48の法律が、まとめて改正されました。押印を不要とし、電子的な方法でもできるようにする内容で、施行は原則2021年9月1日です[8]。この「48」は押印・書面に関する改正の数で、法律全体の改正数ではありません。

国の考え方は自治体にも示された。2020年12月18日、内閣府は「地方公共団体における押印見直しマニュアル」を公表し、国の行政手続きで押印を99%廃止した考え方や基準を解説した。署名の扱いも含まれ、三重県・大阪府・相模原市・福岡市から派遣された4人の職員が作成にあたった[6]。

自治体の例として、相模原市は12月4日に申請書の押印をやめる方針を決め、約1,500件の手続きで廃止に着手した(期限は2020年12月末と2021年1月末)[7]。国の基準が、現場の見直しを具体的に動かした一例である。

法律の側では、2021年5月19日公布のデジタル社会形成整備法(令和3年法律第37号)が、押印や書面交付を求める手続きを定める48の法律を一括で改正した。押印不要とし、書面の交付も電磁的方法で行えるようにする内容で、施行は原則2021年9月1日である[8]。「48」は押印・書面関係の改正の対象となった法律の数であり、法律全体の改正数ではない。

6. むかしの 人は、名前の かわりに なにを つかって いたの?

6. 昔の人は、署名の代わりに何を使っていたのか

6. 印章・花押・印鑑 ── 署名の代わりが変わってきた道すじ

はんこは、ずっと むかしから ありました。日本では、702ねんに きまりが できた とき、「いん」の ことが ふくまれて いた と されます[9]。いまから 1300ねん いじょう まえです。

そのあと、名前の かわりには「かおう」と いう、じぶんで かく しるしが つかわれる ように なりました。せんごくじだいに なると、また はんこが かおうの かわりに つかわれました[9]。

えどじだいには、ふつうの 人にも ひろがりました。はんこの かたちを 書きとめた ちょうめんは、「いんかん」と よばれました。いまの「いんかん」と いう ことばは、ここから きたと いわれて います[9]。

日本の印章(判子)が文献に現れるのは、702年(大宝2年)に大宝令が配られたときとされます。当時から役所の印には規定があり、勝手に作ることは禁じられていました[9]。

その後、平安時代の中ごろからは、署名の役目を花押という自筆の記号が担いました。戦国時代になると、印章が花押に代わって使われるようになったといいます[9]。

江戸時代に印章は庶民にも広まりました。印影を登録しておく台帳が「印鑑」と呼ばれ、今、判子そのものを「印鑑」と呼ぶのは、その言葉が転じたものだとされます。明治政府は、証文では花押の代わりに登録された実印を使うと定めました[9]。ここまでは辞典の要約にもとづく話です。

この歴史の説明は、辞典の要約を使ったものなので、細かい年や制度は、さらに詳しい資料で確かめる余地があります。それでも、判子は千三百年以上、人と役所のあいだを行き来してきたことは分かります。

日本の印章の文献上の初見は、702年(大宝2)の大宝令頒布時とされる。公式令に印の規定があり、官印の私鋳は禁じられた[9]。つまり、判子は最初から、勝手に作ってはいけない公的な道具だった。

ところが、署名の役目は時代によって移り変わる。平安中期以降は花押が署名の役割を果たし、戦国期には印章が花押に代わって用いられた[9]。

江戸時代には印章が庶民にも広まり、印影を照合するために登録した台帳が「印鑑」と呼ばれた。現在、印章を印鑑と呼ぶのは、この呼び名の転化とされる。明治政府は、証文で花押に代えて、登録された実印を用いると定めた[9]。なお、「明治6年10月1日の太政官布告」という由来は業界団体の解説にとどまり、原文を確かめていないので、年月日は断定しない。

この節は辞典の要約にもとづく。印の歴史は、花押から印章へ、さらに登録制の実印へと、「本人であることをどう示すか」の方法が変わってきた道のりと読める。2020年の見直しも、その延長線上にあると考えられる。

7. 家の しょるいで、はんこの らんを さがして みよう

7. 家の書類で、判子の欄を探してみる

7. 手元の書類で確かめられること ── 認め印の欄と、残った印の場面

家の 人に 聞いて、なまえや 住所などが 書かれて いない しょるいを いっしょに 見て みましょう。学校の おしらせなど、「いん」と 書いた らんが あるかも しれません。

その はんこは、「みとめいん」でしょうか。それとも、ぎんこうや やくしょに とどけた はんこでしょうか。見つかったら、「どうして ここに はんこが いるのかな」と 考えて みます。

はんこの らんが ない しょるいが あれば、それも 大切な ヒントです。いまは、しょるいから はんこが 少なくなって いる しるしかも しれません。

くわしい 数字は、ないかくふの ホームページに ある 記者会見の きろくに のって います。

家の人に聞いて、個人情報が書かれていない書類を一緒に見せてもらいましょう。学校のお知らせや、白紙の申込用紙などに「印」と書いた欄があるかもしれません。

見つかったら、その判子が認め印なのか、役所や銀行に届けた印なのかを、家の人に聞いてみます。届出印が必要な場面は、残った83と同じ種類の手続きである可能性があります。

反対に、以前は判子が必要だったのに、今は不要になった書類もあるかもしれません。家の人に、昔と今でちがうところがないか、聞いてみるのも手がかりになります。

国の記者会見の記録は、内閣府のホームページで公開されています。担当大臣が数字をどう説明したか、原文では、認め印を使う手続きをすべてやめる方針が説明されています。出典欄から読めます。

この記事の検算は、手元の書類でも試せる。まず、判子の欄がある書類を探し、その判子が認め印か、役所に登録された実印か、金融機関への届出印かを分類する。認め印の欄は、2020年の見直しの対象に当たる種類のものである可能性がある。

次に、14,992と83の関係を、自分で計算してみるとよい。83を14,992で割ると約0.55%で、約180種類に1つの割合になる。ただし、10月16日の99.247%や、10月初めの820種類(年1万件以上ある手続きのみ)とは、母数も時点も異なるため、並べて比較できない。

一次資料としては、内閣府の河野大臣記者会見要旨(2020年11月13日、12月18日)が公開されており、数字の言い回しを原文で確認できる。「押印についてのQ&A」も、契約成立と押印の関係を知る手がかりになる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

押印を求める手続きの数、残った83手続の共通点、閣議決定、Q&A、自治体への展開、法律の改正は、国の資料と報道による。判子の歴史は辞典の要約による。

  1. 内閣府「河野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年11月13日」 https://www.cao.go.jp/minister/2009_t_kono/kaiken/20201113kaiken.html (14,992種類・14,909種類・83手続、残った手続きの内訳、認め印の扱い、オンライン化との関係)
  2. ITmedia NEWS「河野行革相、99.247%の手続きで押印廃止可能と説明」(2020年10月16日) https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2010/16/news171.html (10月16日時点の数字、存続検討111種類)
  3. 日本経済新聞(2020年10月2日) https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64520570S0A001C2EA3000/ (820種類・35種類、「法律を変えれば済む」という発言)
  4. 内閣府「書面規制、押印、対面規制の見直し・電子署名の活用促進について」 https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/imprint/i_index.html (2020年7月17日の閣議決定、理由)
  5. 内閣府・法務省・経済産業省「押印についてのQ&A」(2020年6月19日) https://www.moj.go.jp/content/001322410.pdf (契約と押印の関係、押印の推定)
  6. 内閣府「河野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年12月18日」 https://www.cao.go.jp/minister/2009_t_kono/kaiken/20201218kaiken.html (自治体向けマニュアル)
  7. 相模原市「押印見直しの取組」 https://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/shisei/1026896/shikumi/1026900/1022568.html (自治体の取り組み例)
  8. デジタル庁「デジタル社会形成整備法 概要」 https://www.digital.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/d12bde7e-a950-493b-987c-0f8d4bbd1b6b/20210901_laws_r3_37_outline.pdf (2021年の法改正)
  9. コトバンク「印章」 https://kotobank.jp/word/%E5%8D%B0%E7%AB%A0 (印章の歴史)

なおした ところ

更新履歴

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