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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

あおく ない そめえきから、どうして あおい ジーンズの いとが できるの?

青くない染め液から、なぜ青いジーンズの糸ができるのか

インディゴ染めの青は、どの段階で現れるのか:ロイコ体の酸化と、天然藍から合成インディゴまで

分野:技術

ジーンズは あおい ふくです。ところが、あおく そめる えきの 中は、あおくありません。きいろっぽい ちゃいろの えきです。

そんな えきから、どうして あおい ジーンズが できるのでしょう。この ページを 読むと、あおく なる わけと、あおい いろの 作りかたが どう かわって きたかが わかります。

ジーンズを染める大きな桶をのぞくと、中の液は青ではありません。徳島県の資料は、染色液のインディゴはほとんどがロイコ体で、液は黄色がかった褐色をしていると説明しています[1]。糸を引き上げて空気にふれさせると、その糸が青く変わっていきます。

青くない液から、なぜ青い糸ができるのでしょうか。この記事を読むと、色が変わるしくみと、藍の葉から工場の合成、そして微生物を使う新しい方法までの青の作り方の変化が分かります。

インディゴで染めた綿糸は、染色液から引き上げた直後は黄色く、空気中の酸素にふれるにつれて青に変わる[2]。染色液の中のインディゴは、ほとんどが還元されたロイコ体で、液は黄色がかった褐色をしている[1]。ジーンズの青は、染め液の中ではなく、糸が液を出たあとに現れる色である。

では、この変化はどういう条件で起こり、その青はどこから来たのか。この記事を読むと、ロイコ体の酸化による発色、植物の藍から19世紀末の化学合成への転換、現在の微生物を使った染色の試みまでの流れが分かる。

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1. あおい ジーンズの えきは、あおくない?

1. 染め液は青くない。青は糸が液を出てから現れる

1. 発色は液の中ではなく、液を出た糸の上で起こる

ジーンズを そめる 人は、いとを 大きな おけの えきに つけます。えきから 出した いとは、さいしょ きいろっぽい いろです。ところが、そのまま 空気に ふれて いると、だんだん あおく なって いきます。

つまり、えきの 中では まだ あおくなくて、空気に ふれた あとで あおく なります。きいろい ものが、空気で あおく かわる のです。

これは、手品みたいですが、しかけが あります。そめる ざいりょうの 「インディゴ」が、空気の 中の さんそに ふれると、いろが かわる からです。

では、なぜ わざわざ きいろい えきに つけるのでしょう。つぎの 章で 見て みましょう。

ジーンズの青は、染め液の青ではありません。染色液の中のインディゴは、ほとんどが「ロイコ体」という、水になじみやすい形で、そのため液は黄色がかった褐色をしています[1]。

変化が起こるのは、糸を液から引き上げたあとです。綿の糸は、アルカリ性のロイコインディゴを繊維にまとった状態で出てきます。それが空気中の酸素で酸化されると、黄色から青へと色を変えていきます[2]。染め工場で糸が液から出るたびに色が変わるのは、この酸化が起きているからです。

つまり、「青く染める」とは、青い液に糸をひたすことではなく、黄色い液に糸をくぐらせ、空気で青を呼び出すことです。ところで、そもそも、なぜこんな回り道をするのでしょうか。

染め液の中のインディゴは、ほとんどがロイコ体で、液は黄色がかった褐色を呈する[1]。糸を液から引き上げると、繊維に付いたアルカリ性のロイコインディゴが空気中の酸素で酸化され、糸は黄色から青へ変わる[2]。したがって、糸が青くなるのは液の中ではなく、液を出たあとの酸化による。

これは、液の色を見れば染料の色が分かる、という素朴な予想が当たらない例でもある。染色液は還元された状態に保たれていて、空気にふれた糸でだけ、青のインディゴに戻る。では、なぜわざわざ液の中を還元状態にするのか。次の章でその理由を考える。

2. なぜ きいろい えきに つけるの? どれくらい つかうの?

2. 水に溶けにくい青を、糸に付けるための回り道

2. 水に溶けにくい染料を、繊維に付ける回り道

インディゴの あおは、水に とけにくい ものです。たとえば、あおい えのぐを 水に まぜても、きれいに とけませんね。そのままでは、いとに つけるのが むずかしそうです。

そこで、きいろい ほうの すがたに かえると、水に なじんで、いとに ついて くれます。空気に ふれると あおに もどり、いとの 表がわに くっつきます。ただし、ここは 「こう 考えると すじが 通る」という せつめいで、すべてを これだけで いえる わけでは ありません。

ジーンズ 1ぽんを あおく するのに 使う インディゴは、べんきょうの 記事によると、3〜12グラム ほどです。そめかたや 色の こさで かわります。1円玉 1まいが 1グラムですから、3まい〜12まいぶんです。

あんなに こい あおが、手の ひらに のる 少しの こなから できて いる のです。

青い色素のインディゴには、水に溶けにくいという性質があります。染め液の中の黄色い形(ロイコ体)は、これを水の中で扱えるようにした姿です。糸を黄色い液にひたして、空気にふれさせると、繊維に付いたロイコ体が酸化されて、青いインディゴに戻ります[3]。水に溶けにくい色素を、いったん溶ける形にして糸に付け、あとで元に戻す。染め液が青くない理由は、こう考えると筋が通ります。

なぜそれが青く見えるのでしょうか。教材では、インディゴの分子は可視光のうちオレンジ色の部分(波長613ナノメートル)の光を吸収するためだと説明されています。オレンジの光が吸われると、その反対側にある青紫が目に入ります[3]。

こうして糸に付くインディゴは、意外なほど少量です。同じ教材記事は、ジーンズ1本には平均して3〜12グラムのインディゴ染料が必要とされると書いています[3]。染め方や濃さで変わる目安です。1円玉は1枚が1グラムなので、3枚から12枚分にあたります。

ところで、この青は、昔はどこから取っていたのでしょうか。

インディゴは水に溶けにくい色素である[3]。この性質のため、そのままでは染め液に均一に分散させにくい。そこで還元によって黄色いロイコ体にして液に保ち、糸を浸したあと空気で酸化して、不溶の青に戻す[2]。染め液が青くないのは、この手順の結果として筋が通る。ただし、資料の記述は「染色液はロイコ体が主」「酸化で青になる」という事実であり、設計の意図まで述べたものではない。

青く見える理由は、光の吸収で説明される。インディゴ分子は可視光のオレンジの領域(波長613 nm)を吸収し、補色の青紫が観察される[3]。なお同じ教材記事は、ジーンズ1本には平均して3〜12グラムのインディゴ染料が必要とされると記す[3]。染め方や濃さで変わる目安であり、1円玉1枚が1グラムなので、数枚から十数枚分にあたる。

では、これほど少量で足りる青は、もともと何から作られていたのか。

3. あいの はっぱも、さいしょは あおく ない?

3. 藍の葉の中では、青はどう作られるのか

3. 植物の藍では、無色の物質から青がどう生まれるか

むかしの 人は、「あい」と いう 草の はっぱから あおい いろを とりました。この はっぱも、見た目は みどりで、あおい いろの もとは 入って いません。

はっぱに ある、いろの ない ぶっしつが、はたらきもの(こうそ)の ちからで かわって いきます。それが 空気に ふれると、あおい インディゴに なります[1]。

日本では、あいぞめの れきしは、ならの じだいに さかのぼると いわれて います[4]。とくしま県で つくられる 「あわあい」は、めいじの なかごろに 日本中の いちばで 大かつやくし、つくる りょうも いちばん 多く なりました[4]。

ジーンズの 糸も、あいの はっぱも、あおくない すがたから あおが あらわれる ところは にて います。

藍の葉は緑色で、インディゴの青は含まれていません。葉にあるのは、無色のインジカンという物質です。徳島県の資料によると、これが酵素のはたらきでインドキシルに変わり、インドキシル2分子が結びつき、酸化されると青色のインディゴになります[1]。

ここで気づくことがあります。葉でも、ジーンズの糸でも、青いインディゴは無色や黄色の前の姿から現れます。ただし、葉では酵素の反応を経て生じ、糸ではロイコ体が酸化されて青に戻るという違いがあります。人は、植物がもともと持っていた変化を、染めに使ってきたといえます。

日本の藍染めは、奈良時代にさかのぼるといわれます。徳島県で作られた「阿波藍」は、明治中ごろに全国市場を席巻し、生産量もピークを迎えました[4]。その藍の需要を、のちに一つの化学合成が大きく変えることになります。

藍の葉は緑色で、青色色素そのものは含まれない。無色のインジカンが酵素の働きでインドキシルになり、インドキシル2分子が結合して酸化されると、青色のインディゴになる[1]。したがって、葉でも糸でも無色や黄色の前の姿から青いインディゴが現れる。ただし、葉では酵素反応を経て生じ、糸では還元されたロイコ体が酸化されて戻るという違いがある。

日本における藍の歴史は、奈良時代にさかのぼると言われる。徳島県で作られる藍染料「阿波藍」は、明治中ごろには全国市場を席巻し、生産量もピークを迎えた[4]。だが、このピークのあとに需要を揺るがす出来事が起きる。次の章がそれである。

4. こうじょうで 作った あおは、いつ 出てきたの?

4. 工場で作る青は、藍の畑をどう変えたのか

4. 19世紀末の化学合成は、天然藍の生産をどう変えたか

1897ねんの 7月、ドイツの 会社 BASF が、こうじょうで つくった インディゴを 売りだしました[5]。はっぱから 取るのでは なく、くすりを つかって 作る ほうほうです。

この けんきゅうには、とても 大きな おかねが つかわれました。やく1800まんきんマルクと いわれます[5]。

そのご、あいの 畑で とれる しぜんの インディゴは、へって いきます。19,000トンだった せいさんりょうが、1914ねんまでに 1,000トンに なりました[3]。

けれども、いまの ジーンズの ほとんどが、この 作りかたで 作られて います。

藍の畑に頼っていた青は、19世紀末に、工場で作れるようになりました。ドイツの化学会社BASFは1897年7月に合成インディゴ「Indigo Pure」を市場に出しました[5]。開発には、約1800万金マルクという大きな投資があったと紹介されています[5]。

別の資料は、1901年にヨハネス・プフレガーとカール・ホイマンが、アニリンからインディゴを工業的に大量生産する方法を考え出したと伝えています[3]。1897年と1901年で年が違うのは、出典ごとに指しているものが、販売開始か大量生産法か、少しずつちがうためと考えられます。

教材記事は、合成インディゴが出たころの天然藍の生産を19,000トン、1914年までに1,000トンと記しています[3]。

現在のDyStarも、ハウマン合成法にもとづく製法でインディゴを作っています[5]。ところが、いまの工場の青には、別の課題があります。

天然藍に頼っていたインディゴは、化学合成によって工業品になった。BASFは1897年7月に「Indigo Pure」を市場に出し[5]、その開発には約1800万金マルクの投資があった[5]。別の資料はこれと別に、1901年にPflegerとHeumannがアニリンからのインディゴの工業的な大量生産法を考案したと記す[3]。1897年と1901年の差は、販売開始と大量生産法という、指している出来事の違いが一因と考えられるが、資料はこの違いを明示していない。

教材記事は、合成インディゴ発売時の天然藍の生産を19,000トン、1914年までに1,000トンと記している[3]。1,000÷19,000は約0.053なので、およそ5%、つまり20分の1ほどまで減った計算になる(この比は、資料の二つの数字から割り算で出したもので、同じ年どうしを比べたものではない)。藍の畑から得ていた染料を、工場で安定して作れるようになったことも、背景にあると考えられる。

DyStarは、現在もハウマン合成法にもとづく製法でインディゴを作っている[5]。しかし、この製法には環境面の課題がある。次の章で述べる。

5. もっと やさしい あおの 作りかたは あるの?

5. 環境への負担を減らす、微生物を使った染め方

5. 化学合成の環境負荷と、微生物を使った前駆体の染色戦略

いまの 工場で インディゴを 作るとき、しぜんに よくない くすりが 使われる ことが あります。たとえば、ホルムアルデヒドや シアンかぶつ です[6]。

そこで、アメリカの 大学の 人たちは、びせいぶつ(目に 見えない 小さな いきもの)を つかって、インディゴの もとに なる ものを つくる ほうほうを 研究して います[7]。

この 研究では、ぶどうの さとうが くっついた 形の ものを 使って、こわれやすい インドキシルを 安定させる しかけを つかって います[7]。

もっとも、これが いま どれくらい 工場で つかわれて いるかは、はっきり しません。それでも、青を 作る ほうほうは、いまも かわり つづけて います。

工場でインディゴを作る方法は便利ですが、環境には負担がかかります。カリフォルニア大学バークレー校の紹介記事は、現在の商業的なインディゴ製造が、ホルムアルデヒドやシアン化物など、環境に有害な化学物質に頼ることがあると指摘しています[6]。

そこで研究されているのが、微生物の力を借りる方法です。バークレー校のデューバー研究室は、不安定なインディゴの前駆体インドキシルに、ブドウ糖のかたまりを「生化学的な保護基」として付けて安定させる、持続可能なインディゴ染色の方法を提案しています[7]。前の章で見た、無色の前駆体から酸化で青が現れるという流れを、微生物でなぞり直す試みです。

ただし、この技術がどの程度広く使われているかは、資料にありません。藍の葉、工場での合成、微生物を使う方法へと、青の作り方は変わり続けています。

現在の商業的なインディゴ製造には、ホルムアルデヒドやシアン化物など、環境に有毒な化学物質に頼る場合がある[6]。この環境負荷を減らす研究の一つが、微生物を使う戦略である。デューバー研究室は、反応性の高い前駆体インドキシルを、ブドウ糖部分を生化学的な保護基として付けて安定させる、持続可能なインディゴ染色の戦略を提案した[7]。

第3章で見たように、植物の藍でも、無色の前駆体が酸化されて青が現れる。この戦略は、その前駆体を微生物に作らせるという点で、自然の仕組みを工学的に再現する試みとして位置づけられる。ただし、資料からは、この方法が現在どの程度の割合で実用化されているかは分からない。

ここまでを合わせると、インディゴの青は、酸化で青が現れるしくみは同じまま、藍の畑、化学合成に加え、微生物を使う方法も研究されている、と整理できる。

6. いえの ジーンズで たしかめて みよう

6. 青の少なさを、手と目で確かめる

6. 数字と原典で確かめる

きょう できる こと

1円玉を 3まい 手に のせて みましょう。これが、ジーンズ 1ぽんぶんに つかう インディゴの、すくない ほうの りょうです。つぎに 12まい のせて みます。いえの ジーンズの 青い 色が、どれくらいの こなから できて いるか、そうぞうして みましょう。

しらべる とき

ジーンズの ぬいめの 中がわや、ポケットの 中の ぬのを 見て、おもての あおと いろが ちがう ところを さがしても おもしろいです。おとなの 人と いっしょに 見て みましょう。

1円玉で量を実感する

1円玉を3枚、手のひらに乗せてください。ジーンズ1本を青くするインディゴの、少ないほうの量の目安です。次に12枚に増やしてみます。身近な服の青が、これだけの色素から生まれていると考えると、青の濃さが少し不思議に見えてきます。

自分のジーンズを観察する

家のジーンズのポケットの内側や、縫い目の中の色を、表の青と比べてみましょう。外から見える青と、見えにくい場所の色の違いを探してみると、どんな発見があるでしょうか。

資料を読むなら

阿波藍の歴史は、徳島県の「藍について」[4]に日本語でまとまっています。染め液の色が青くない理由は、「藍に親しみ藍を楽しむ」[1]が日本語で読めます。

数字を確かめる

1円玉は1枚が1グラムなので、3〜12グラムは3枚から12枚分である。手のひらに乗せると、ジーンズ1本の青を作る染料の少なさを実感できる。ただし、この範囲は教材記事の目安であり、染め方や色の濃さで変わるため、一つの量として決めつけない。

資料を読むなら

ロイコ体と染め液の色は、徳島県の資料[1]が日本語で説明している。糸が黄色から青に変わる過程は、化学誌の記事[2]と、教材のPDF[3]にある。阿波藍の歴史は徳島県の資料[4]、合成インディゴの開発は[5]、環境負荷と微生物を使った戦略は[6]と[7]にある。ただし、出典によって数値や年が異なる箇所(1897年と1901年)があるので、何を指す数字かを読み比べると発見がある。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文で使った資料です。

  1. 徳島県 藍に親しみ藍を楽しむ. https://www.pref.tokushima.lg.jp/tafftsc/material/kyunougyou/7216556 (染め液の色・藍の葉の物質)
  2. Chemical & Engineering News, Blue Jeans (2011). https://cen.acs.org/articles/89/i43/Blue-Jeans.html (空気で黄色から青に変わる)
  3. INDIGO: The “Blue” in Blue Jeans (教材PDF). https://teachchemistry.org/pdf/2021/11/23/14/02/20/a92f8351-3d04-48d9-a736-351588021298/indigo-the-blue-in-blue-jeans.pdf (使う量・光の吸収・合成と生産量)
  4. 徳島県 藍について. https://www.pref.tokushima.lg.jp/jigyoshanokata/sangyo/shokogyo/7311270/ (日本の藍の歴史・阿波藍)
  5. A Story of Success, 125 years of Indigo-Synthesis – DyStar Ludwigshafen. https://textalks.com/?p=43159 (合成インディゴの発売と開発費)
  6. UC Berkeley Engineering, The greening of jeans (2023). https://engineering.berkeley.edu/news/2023/11/the-greening-of-jeans/ (製造の環境負荷)
  7. Dueber Lab, Employing a biochemical protecting group for a sustainable indigo dyeing strategy. https://dueberlab.berkeley.edu/employing-a-biochemical-protecting-group-for-a-sustainable-indigo-dyeing-strategy/ (微生物と保護基を使う染色)

なおした ところ

更新履歴

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