1. ころんでも 血が でない ところが ある?
1. 血管がないのに、皮膚の外側は生きている
1. 表皮に血管がなくても、真皮から栄養が届く
ひざを すりむいたとき、あかく ひりひり するのに、血は にじむだけの ことが あります。じつは、皮膚は 3つの そうに わかれています。いちばん そとが ひょうひ、まんなかが しんぴ、いちばん ふかい ところが ひかそしきです[1]。
ひょうひには、血管が ありません。血管が あるのは、その したの しんぴです。ひょうひの あつさは、へいきんで 0.2ミリメートルほどだと されています[2]。
血管が ないのに、ひょうひは どうして 生きて いられるのでしょう。しんぴの 血管が、ひふに ひつような ものを とどけて いるからです[1]。
では、すりきずで 血が にじむのは、どこまで きずが とどいた ときなのでしょうか。
皮膚は3つの層でできている
皮膚は、外側から表皮・真皮・皮下組織という層に分かれています。血管があるのは真皮で、表皮にはありません[1]。血管がない表皮の細胞は、真皮にある血管から栄養を受け取って生きています[1]。
表皮は思ったより薄い
表皮の厚さは、平均で約0.2mmです。部位によって厚さは違うので、あくまで平均の値です。表皮の細胞の95%は角化細胞というもので、いちばん下の層で分裂し、成長しながら上へ上へと移り、最後ははがれ落ちていきます[2]。
こうして皮膚の外側は、ふだんから少しずつ入れ替わっています。血管のない薄い層が体のいちばん外にあるわけです。では、傷がどこまで届いたとき、血は出てくるのでしょうか。
皮膚は、表皮・真皮・皮下組織の層でできている。このうち表皮には血管がなく、血管は真皮に分布する[1]。ところが表皮の細胞も生きて入れ替わっている。血管がないのに維持できるのは、真皮の血管が、表皮を含む皮膚に栄養を届けているからである[1]。
表皮の厚さは、平均で約0.2mmとされる。これは平均値で、部位によって厚さは異なる。構成する細胞の95%は角化細胞で、最下層で分裂し、成熟するにつれて上の層へ移り、はがれ落ちる[2]。つまり表皮は、下から作られ上から失われる、絶えず入れ替わる層である。
この構造から、傷の深さと出血の関係が予想できる。傷が表皮の中にとどまれば、血管を傷つけないので、大きな出血にはなりにくいはずだ。では、血が出るのは、傷がどこまで届いたときか。表皮と真皮の境目の形が、手がかりになる。
2. すりきずで 血が にじむ わけ
2. 表皮と真皮の境目は、でこぼこしている
2. 表皮と真皮の境界の凹凸と、すり傷の出血
ひょうひと しんぴの さかいめは、たいらでは ありません。スポンジに ゆびを ぐいっと さしこんだ ように、でこぼこして います[2]。
この でこぼこで、しんぴの 先が ひょうひの ほうへ のびて います。だから、うすい ひょうひを こすって けずると、しんぴの 先に ある 血管に とどく ことが あります。
これが、すりきずで 血が にじむ わけだと かんがえられて います。
では、その 血管は、どのくらい ほそいのでしょう。
スポンジに指を突き立てたような形
表皮と真皮の境界は、ひらたい線ではありません。皮膚の専門の資料には、表皮というスポンジに、真皮が指のように突き立てられた、立体的な構造だと説明されています[2]。
真皮が指のように表皮へ入りこんでいるなら、その先のあたりは、表皮の表面から見るとかなり近いはずです。
すり傷から考えられること
すり傷で血がにじむのは、傷が表皮を越えて、真皮の血管まで届いたからだと考えられます。これは、表皮に血管がないことと、境界が凹凸であることから導いた推論です。
血が出る深さは分かりました。次に、その血管の細さを見てみます。
表皮と真皮の境界は、平面ではない。表皮をスポンジ、真皮を指にたとえると、スポンジに指を突き立てたような立体構造をとっている[2]。真皮が表皮側へ入りこむ構造だから、表皮の厚さが平均約0.2mmでも、場所によっては真皮が表面にもっと近い所がある、と考えられる。
ここから、すり傷で血がにじむ理由を推論できる。表皮が削られて薄くなれば、真皮の先端に近い血管が傷つく可能性が高まり、血がにじむ。
確かなのは、真皮にあるのは血管であり、表皮にはないという点だ。では、その血管はどれほど細いのか。表皮の厚さと比べて計算してみる。
3. 血管は、赤血球が やっと とおれる ほそさ
3. 毛細血管は、赤血球がやっと通れる細さ
3. 毛細血管の太さを、表皮の厚さと比べる
とても ほそい 血管の 一つを 毛細血管と いいます。その ふとさは、ヒトで 8マイクロメートルほどだと されます。1マイクロメートルは、1ミリメートルの 1000ぶんの 1です[3]。
この ほそさでは、血の なかの 赤血球が、やっと すりぬけられる くらいです[4]。かべの うちがわは、細胞が ひとならび した、うすい つくりです[3]。
ためしに 計算して みましょう。ひょうひの あつさ 0.2ミリメートルは、200マイクロメートルです。8マイクロメートルの 毛細血管を ならべると、25ほんぶんに なります。ひょうひの あつさの なかに、毛細血管が 25ほん ならぶ ほど、ほそいのです。
こんなに ほそくて うすい かべなので、きずが とどくと 血が でる ことが あります。でも、血が でっぱなしには なりません。その 血は、どうして あかいのでしょう。
赤血球がやっと通れる細さ
皮膚の中の細い血管を、毛細血管といいます。太さはヒトで約8マイクロメートル(1マイクロメートルは1000分の1ミリ)とされます[3]。赤血球がやっとすり抜けられる細さだと説明する資料もあります[4]。太さには幅があるので、ここでは約8マイクロメートルを目安にします。
毛細血管は、内側が内皮細胞の1層で覆われた、もっとも単純なつくりの血管です[3]。
表皮の厚さと比べると
表皮の平均の厚さ約0.2mmは、200マイクロメートルです。毛細血管が約8マイクロメートルなら、200÷8で、25本ぶんになります。これは、表皮の平均の厚さと毛細血管の太さを同じ単位にそろえた、おおまかな計算です。
これほど細くて壁の薄い血管に傷が届くと、血が出ることがあります。では、その血が赤いのはなぜでしょうか。
毛細血管の太さは、ヒトで約8マイクロメートルとされ、内側が内皮細胞の一層で覆われた、もっとも単純な血管である[3]。別の資料は、赤血球がやっと通れる細さだと説明する[4]。太さには幅があるので、本稿は約8マイクロメートルを目安にする。
この細さを、表皮の厚さと比べてみる。表皮の平均の厚さ約0.2mmは200マイクロメートルである。毛細血管を約8マイクロメートルとすれば、200÷8=25で、表皮の厚さは毛細血管25本ぶんに当たる。表皮の厚さは部位で異なる平均値なので、この倍率は目安にすぎない。
赤血球がやっと通れる細い管で、内側を覆う細胞は一層しかない。こうした構造から考えると、傷が真皮の血管に届いたとき、血が漏れ出すことがあると説明できる。血の中身では、赤血球が大きな役割をもつ。では、血はなぜ赤いのか。
4. 血は どうして あかいの?
4. 血の赤は、鉄をもつ色素の色
4. ヘモグロビンのヘムと、動脈血・静脈血の色
血が あかいのは、赤血球の なかに、ヘモグロビンと いう ものが あるからです。ヘモグロビンは、てつを ふくむ あかい 色素の ヘムと、たんぱくしつが くっついて できて います[8]。
ヘモグロビンは、肺で 酸素と くっつき、からだじゅうへ はこびます[8]。酸素が くっつくと あざやかな あか、はなれると くらい あかに なります[9]。
うでの すじが あおく みえる ことが あっても、中の 血が あおいわけでは ありません。
きずから 出た 血は、そのままでは 出つづけて しまいます。どうやって とまるのでしょう。
赤いのは、鉄をもつヘムの色
血が赤いのは、赤血球に含まれるヘモグロビンのためです。ヘモグロビンは、鉄を含む色素のヘムと、たんぱく質のグロビンが結びついたものです[8]。ヘムは赤い色素をもつ部分で、二価の鉄を含みます[9]。ヘモグロビンは肺で酸素と結びつき、体じゅうへ酸素を運びます[8]。
色の違いと「青い血」
ヘモグロビンは、酸素と結びつくと鮮やかな赤、酸素が離れると暗い赤になります[9]。動脈の血と静脈の血の色の違いは、この性質で説明されます。
静脈の血も青いわけではなく、暗い赤です。手の甲に青っぽい筋が見えることがあっても、血管の中の血は青くありません。血が赤いのは、酸素を運ぶ働きをもつ色素の色なのです。では、出た血はどう止まるのでしょうか。
血が赤いのは、赤血球のヘモグロビンのためである。ヘモグロビンは、鉄を含むヘムと、たんぱく質のグロビンが結びついた物質で、ヘムが赤い色素をもつ[8]。ヘムはヘモグロビンのほか、ミオグロビンやシトクロムの色素部分でもあり、二価の鉄を含む[9]。ヘモグロビンは肺で酸素と結合して全身へ運ぶ。つまり血の赤は、酸素を運ぶ分子の色そのものである。
この色は、酸素との結びつきで変わる。酸素と結合すると鮮赤色、離れると暗赤色になる[9]。動脈血と静脈血の色の違いは、これで説明される。ここで、静脈血は青い、という思いこみに注意したい。静脈血は暗赤色であり、血管の中の血が青いわけではない。
赤血球は、酸素を運び、毛細血管をぎりぎりで通る大きさをもつ。その血が傷口から出たとき、血管の側ではどんな反応が起こるのか。
5. 出た 血は、どうやって とまるの?
5. 血が止まるのは、3つの働きの組み合わせ
5. 止血の三段構え:血管の収縮、血小板血栓、凝固
血管が きずつくと、3つの はたらきで 血が とまります[5]。
1つめは、きずついた 血管が ちぢむ ことです。血の ながれる あなを せまく して、血が 出る りょうを へらします[6]。
2つめは、血小板が あつまって、きずぐちに せんを つくる ことです[6]。
3つめは、血が かたまる ことです。あみのような ものが せんを じょうぶに します。きずが なおると、あみは とけて なくなります[6]。
この はたらきが、きずを ふさぎます。くわしい しくみは、このサイトの ほかの メモにも 書いて あります。
血管がまず縮む
血管が傷つくと、血が止まるために、3つの働きが組み合わさって血を止めます[5]。1つめは、傷ついた血管がその場で縮むことです。出血を抑えるように働き、周りの組織にあふれた血液が血管を押さえることでも、失血は減るとされます[6][7]。
栓をして、網で固める
2つめは、血小板が集まって、傷口をふさぐ栓(血小板血栓)をつくることです。これを一次止血といいます[6]。3つめは血液凝固で、凝固因子の働きでトロンビンができ、フィブリンの網が栓を補強します。これが二次止血です[6]。傷が修復されると、この網は分解されて凝血塊は消えます[6]。
この3段階の細かい仕組みは、このサイトの別のメモにも書いてあります。ここでは、血が止まるには収縮・栓・網の組み合わせが働くことだけを押さえておきます。
血管が傷つくと、血液は傷口に触れ、3つの機構が組み合わさって働き、血栓ができて止血される[5]。第一に、損傷した血管が局所で収縮する。これは傷害に対する即時の反応で、出血を抑える。あわせて、周辺組織へあふれた血液が損傷血管を圧迫することでも、外傷による失血は減る[6][7]。
第二に、同時に損傷部位で血小板が凝集し、血小板血栓をつくって傷口をふさぐ(一次止血)。ただし、この栓はそのままでは弱い。そこで第三に、凝固因子が活性化してトロンビンが生じ、強固なフィブリンの網が栓を補強する(二次止血)。修復が進めば、フィブリンの網は線溶系で分解され、凝血塊は消える[6]。
収縮が時間を稼ぎ、血小板の栓で穴をふさぎ、凝固で補強し、役目が終われば分解する。止める仕組みと、あとで元に戻す仕組みがセットになっている点が、この三段構えの特徴だ。各段階の細部は、血液凝固を扱った別のメモが詳しい。
6. 手の こうの 血管を みて みよう
6. 手の甲の「青い血管」を観察してみる
6. 出口:観察と計算を自分でやってみる
けがを しなくても、観察は できます。てのこうを、あかるい ところで ゆっくり みて ください。あおっぽい すじが みえますか。
あおっぽい すじが みえる ことが あります。でも、血管の 中の 血は あおくありません。
もう 1つ、かんがえて みましょう。むかし ころんで すりむいた とき、血が にじんだのは、どこでしたか。きずは、ひょうひの そこまで とどいて いたのかも しれません。ただし、きずぐちには さわらないで、ようすを おもい出す だけに しましょう。
手の甲や手首の内側を、明るい場所で見てみてください。青っぽい筋が見えることがあります。ただ、血管の中の血は青くなく、静脈の血も暗い赤です。
もう1つ、数字を自分でも確かめられます。表皮の平均0.2mmが何マイクロメートルか、毛細血管の太さの8マイクロメートルで割ると何本ぶんか、電卓で計算してみてください。5〜20マイクロメートルなら、答えがどう変わるかも比べられます。
確かめられる道すじが2つある。1つ目は観察で、手の甲や手首の内側にある青っぽい筋が見えることがある。血管の中の血は青くなく、静脈血も暗赤色だという説明を、自分の目と照らす。2つ目は計算で、表皮の平均0.2mm=200マイクロメートルを、毛細血管の太さ8マイクロメートルで割り、何本ぶんになるかを出す。資料によって太さに幅があるので、別の値で割ると答えがどう変わるかも比べられる。
残る問いは、すり傷の「にじむ」深さである。この説明の土台は、表皮に血管がないことと、表皮と真皮の境界が凹凸であることである。原典としては、皮膚の構造を扱う皮膚科の資料(出典[2])や、止血を扱う医学資料(出典[6][7])が出発点になる。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
本文は、ここにある資料の内容を、自分の言葉で言いかえたものです。数字は資料によって幅があります。医療の判断は、お医者さんや公式の情報で確かめてください。
- MSDマニュアル家庭版「皮膚の構造と機能」 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/ (皮膚の層、表皮に血管がないこと)
- 北海道大学皮膚科「皮膚の構造」(PDF) https://www.derm-hokudai.jp/wp/wp-content/uploads/2021/12/1-01.pdf (表皮の厚さ、境界の凹凸)
- コトバンク「血管」(日本大百科全書ほか) https://kotobank.jp/word/%E8%A1%80%E7%AE%A1-59544 (毛細血管の太さと壁。二次資料)
- サードペディア百科事典「毛細血管」 https://pedia.3rd-in.co.jp/wiki/%E6%AF%9B%E7%B4%B0%E8%A1%80%E7%AE%A1 (毛細血管と赤血球。二次資料)
- 看護roo!「止血のしくみ」 https://www.kango-roo.com/learning/2219/ (止血の3つの機構。二次資料)
- 日本小児循環器学会 ガイドライン資料(PDF) https://www.jspc.gr.jp/Contents/public/pdf/shi-guide07_07.pdf (一次止血・二次止血、線溶)
- MSDマニュアル プロフェッショナル版「止血の概要」 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/ (血管収縮と周囲への血液の溢出)
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「ヘモグロビン」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/metabolic/ym-074.html (ヘモグロビンとヘム、酸素の運搬)
- コトバンク「ヘム」(栄養・生化学辞典ほか) https://kotobank.jp/word/%E3%83%98%E3%83%A0-130118 (ヘムの鉄、酸素による色の変化。二次資料)
なおした ところ
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- 中学生向けの題名を、日常の疑問が先に来る形に見直した。
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