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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

ルビーは、工場で 育てられるの?

宝石を工場で育てる:炎のしずくから生まれたルビーが、世界初のレーザー光を出すまで

火炎溶融法で育つ合成ルビー:1902年の発表から世界初のレーザー(1960年)、スマホのカメラ保護まで

分野:技術

赤い ルビーと 青い サファイアは、じつは 同じ 石の なかまです。この 石は、粉こなを ほのおで とかして 工場で 育てることが できます。そして 赤い 合成ごうせいルビーから、世界で はじめての レーザーの 光が 出ました。

どうして 石が 育つのでしょう。どうして 宝石ほうせきが 光の 道具に なったのでしょう。この メモを 読むと、そのわけが 分かります。

世界で初めてレーザーの光を出したのは、ラボで作られた赤い宝石、合成ルビーの結晶でした[5]。宝石といえば地中から掘るものと思いがちですが、粉を炎で溶かして「育てる」方法は、1902年にはもう発表されています[2]。

粉から、どうやってルビーができるのでしょうか。それがなぜ、光の道具やスマホの部品にまで広がったのでしょうか。この記事を読むと、赤いルビーと青いサファイアが同じ石であることから、レーザーとスマホまでの流れが分かります。

1960年、世界で初めてレーザー光を出した装置の心臓部は、ラボで作った合成ルビーの結晶だった[5]。その宝石を工場で育てる火炎溶融法は、1902年に発表されている[2]。原料は粉で、炎で溶かしたしずくを積み重ねて結晶にする[3]。

粉からなぜ宝石の結晶になるのか。天然の石と何が同じで、どこが違うのか。そして、なぜその結晶が光の装置やスマホの部品へ広がったのか。この記事を読むと、色の仕組みから生産量の伸びまでが一本の線でつながって分かる。

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1. ルビーと サファイアは なぜ 同じ 石?

1. 赤いルビーと青いサファイアは、なぜ同じ石といえるのか

1. ルビーとサファイアは同一鉱物:色を決めるのは微量の混ざりもの

赤い ルビーと 青い サファイア。ならべると、ぜんぜん ちがう 宝石ほうせきに 見えます。

ところが、この 二つは コランダムという 同じ 石の なかまです[1]。もとの コランダムは 色が ありません。ほんの すこし まざった ものが、色を つけます。

ルビーの 赤は、クロムという ものの はたらきです。青い サファイアは、鉄と チタンを まぜて 作ると いわれます[3]。色の ない ガラスの ビーだまに、ほんの すこし 色を たすと 色つきに なるのと 少し にています。ただし 本当は ガラスと ちがい、石の 中の つぶが きれいに ならんでいます。

では、まぜる ものを 自分で 用意すれば、宝石ほうせきも 作れるのでしょうか。

宝石店のショーケースで、赤いルビーと青いサファイアは、まったく別の石に見えます。ところが、鉱物としてはどちらもコランダムです。宝石の鑑定機関GIAの解説では、ルビーはコランダムの変種のひとつで、コランダムにはサファイアも含まれる、と説明されています[1]。

では色の違いはどこから来るのでしょうか。コランダムはもともと無色で、色は混ざった微量の元素が決めます。ルビーの赤はクロムによるもので、量が多いほど赤は強くなります[1]。火炎溶融法で青いサファイアを作るときは、クロムの代わりに鉄とチタンの酸化物を加える、と紹介されています[3]。赤以外のコランダムは、基本的にサファイアと呼ばれます。鉄とチタンは「青」の組み合わせで、赤以外のすべての色がこれで決まるわけではありません。

ここから大事な考えが出てきます。色が微量の混ぜものなら、無色の原料に混ぜものを決まった量だけ加えれば、色まで思いどおりの石が作れるはずです。それを本当にやった人たちがいました。

赤いルビーと青いサファイアは、見た目も呼び名も別だが、鉱物としてはどちらもコランダム(酸化アルミニウム)である。GIAの解説は、ルビーをコランダムの変種のひとつとし、コランダムにはサファイアも含まれると述べている[1]。

では、何が色を分けるのか。純粋なコランダムは無色で、色を生むのは結晶にごく少量だけ入り込む元素だ。ルビーの赤はクロムが生み、その量が多いほど赤は濃くなる[1]。これに対して、火炎溶融法で青いサファイアを作るときは、クロムの酸化物の代わりに鉄とチタンの酸化物を加えるとされる[3]。赤以外のコランダムを基本的にサファイアと呼ぶので、サファイアの色は青だけではない。鉄とチタンの組み合わせは「青」の話であり、赤以外のすべての色の作り方ではない点に注意したい。

この性質は、作る側にとっては都合がよい。無色の高純度の粉に、着色する元素を決まった量だけ混ぜれば、天然では偶然にしかそろわない条件を人の手で用意できるからだ。ではその粉を、どう結晶に変えるのか。

2. 粉こなが ほのおで とけて、しずくが 石に なる

2. 炎の中に粉を落とすと、どうして宝石の結晶ができるのか

2. 酸水素炎に粉を落とす:ベルヌイ法が結晶を育てる条件

その 作り方は、粉こなを ほのおの 中へ おとす ことです。

まず、粉こなを ふるいに 入れて、小さな ハンマーで とんとん たたきます。すると 粉こなが すこしずつ 落ちます[3]。それを さんその 流れに のせて、ほのおの まん中へ はこびます。ほのおは 2000度いじょうです[3]。

粉こなは とけて しずくに なり、下の 台の 上に ぽたぽた 落ちて、かたまります。これを くりかえすと、細長い かたまりが 育ちます。かたまりは ブールと よばれます[3]。ふつうの 大きさは、太さが えんぴつより すこし 太いぐらい(およそ 13ミリ)です。

この ほうほうを 考えた 人は、だれなのでしょう。

無色の粉から色つきの結晶を作る方法は、1902年にオーギュスト・ベルヌイが発表した火炎溶融法です。GIAは、この方法でルビーがラボで作られた最初の宝石になったと説明しています[2]。いまも、合成コランダムやスピネルを作る最も安く一般的な方法です[2]。

やり方はこうです。粉を入れたふるいを小さなハンマーでたたき、粉を少しずつ落とします。粉は酸素の流れに乗って、酸素と水素を燃やす炎の中心へ運ばれます[3]。この炎は2000℃以上あるとされ、粉は溶けて小さなしずくになります。しずくは下の支えの上に落ちて冷え、結晶として固まっていきます[3]。これが続くと、細長い結晶の塊(ブール)が上へ育ちます。量産品のブールは、平均で直径約13mm、長さ25〜50mmです[3]。

成功には、原料の純度が欠かせません。英語の解説では、純度99.9995%以上の高純度の粉が必要とされています[3]。純度は原料の条件で、炎の温度とは別の話です。

では、この方法は誰がどのように思いついたのでしょうか。

火炎溶融法(ベルヌイ法)の手順は、炎の中に粉を落とす、という一点に集約される。ふるいに入れた粉を小さなハンマーでたたいて少量ずつ落とし、酸素の流れに乗せて酸水素バーナーの炎の中心に送る[3]。炎は2000℃以上に達し、粉は溶けて液滴になる[3]。液滴は下の支え棒の上に落ちて結晶化し、これを繰り返すことで細長い塊(ブール)が成長する[3]。量産品のブールは平均で直径約13mm、長さ25〜50mmとされる[3]。

この方法がうまくいく条件として、原料の純度がある。必要なのは純度99.9995%以上の粉で[3]、ここでいう純度は原料の条件であり、炎の温度と混同してはならない。だからこそ、最初に述べた着色の元素は、純度の高い粉に「決まった量だけ」加えられる。赤なら酸化クロム、青なら酸化鉄と酸化チタンが使われると紹介されている[3]。

GIAは、この方法を1902年にオーギュスト・ベルヌイ(Verneuil、読みは「べるぬい」)が開発し、ルビーがラボで作られた最初の宝石になったと説明する[2]。今も合成コランダムやスピネルの製造で最も安価で一般的な方法とされる[2]。では、ベルヌイは何もないところからこの方法を生んだのだろうか。

3. ベルヌイは どうやって 1902年に たどりついた?

3. ジュネーブの小さなルビーと、ベルヌイが隠していた研究

3. 1885年のジュネーブ・ルビーと、1890年代の封印書類:ベルヌイ法の前史

ベルヌイが とつぜん 一人で 考えついた わけでは ないようです。

1885年ごろ、ジュネーブで 小さな 合成ごうせいルビーが 売られました[3]。ベルヌイは、これに 気を ひかれたと いわれます[3]。これが ベルヌイより 前に ほのおで 作られた はじめての ルビーと 考えられています。作った 人は 分かっていません。

ベルヌイは、1890年代の 研究を ふういんした しょるいに 書いて おいて、1902年に 発表しました[3]。そして 1904年に くわしい ないようを 出しています[3]。

こうして 工場で 宝石ほうせきが 作れる ように なると、「本物と どこが ちがうの?」という 声が 出ます。

ベルヌイの方法には、前触れがありました。1885年ごろ、ジュネーブで小さな合成ルビーが売られました。ジュネーブ・ルビーと呼ばれ、ベルヌイより数年前に炎で作られた最初のルビーと考えられています[3]。ベルヌイはこれに触発されたとされますが、ジュネーブ・ルビーを誰がどう作ったのかは、はっきりしていません。

ベルヌイ自身は、1890年代に研究を封印した書類に記録していました。そして1902年に公に発表し、1904年に詳しい内容を出しています[3]。師のフレミーが1877年に、溶けたアルミナの浴でルビーの結晶を作る方法を考えていたことも伝えられています[3]。だから火炎溶融法は、数十年かけて積み重なった試みの先にあった、といえそうです。

ところで、方法が公になると、新しい問いが生まれます。同じ成分の宝石が工場から出てくるなら、天然のルビーとどう区別するのでしょうか。

火炎溶融法は、ベルヌイ一人の着想というより、いくつかの試みの延長に位置づけられる。1885年ごろにジュネーブで売られた小さな合成ルビー(ジュネーブ・ルビー)は、ベルヌイ以前に火炎溶融で作られた最初のルビーと考えられており、ベルヌイもこれに触発されたとされる[3]。ただし作った人や製法の詳細は、はっきりしない。

師のフレミー(Frémy、読みは「ふれみー」)は、さらに早い1877年に、溶けたアルミナの浴からルビーの結晶を作る方法を考案していた[3]。一方、ベルヌイは1890年代に自分の研究を封印した書類として記録し、1902年に公表、1904年に詳細を発表した[3]。封印の理由は、ここでは推測しない。

確かなのは、フレミーの溶けた浴から、ベルヌイの「粉を炎に落とす」方式へ、結晶を育てる工夫が少しずつ移っていったことだ。そして、工場で量産できるこの方法が広まると、天然と合成を区別するという問題が必ず生じる。

4. 天然てんねんと 合成ごうせいは、どこが ちがう?

4. 成分が同じ天然と合成を、どうやって見分けるのか

4. 内包物と表示:成分が同じ宝石の見分け方と売り方

天然てんねんの ルビーと、工場で 育てた 合成ごうせいルビーは、もとに なる 石の せいぶんが 同じです[2]。だから 色や かたさだけで 見分けるのは むずかしくなります。

そこで、石の 中の 小さな ようすを 見ます。この ようすは インクルージョンと いいます[4]。天然てんねんの 石には、はりのような もの、くもの ような もの、えきたい、小さな 結晶けっしょうが よく 見られます[4]。合成ごうせいの 石には、育て方に ちなんだ 小さな ようすが 入ります[4]。

アメリカでは、売る とき、天然てんねんでは ないと はっきり 分かる ように 書く 決まりが あります[2]。ダイヤモンドも、とても 高い 温度と 強い 力で 工場で 作れます[7]。

では、この 赤い 合成ごうせいルビーは、宝石ほうせきの ほかに 何の 役に 立ったのでしょう。

合成宝石は、ラボで作られますが、化学的・光学的・物理的な性質がほぼ天然と同じ、と説明されます[2]。つまり色や硬さを調べても決め手になりません。そこで見るのが、結晶の中にある細かな特徴、内包物(インクルージョン)です。

天然の宝石には、針状、雲状、液体、小さな結晶といった内包物が典型的に見られます[4]。合成の宝石には、育て方に特有の内包物があります[4]。ただし、どんな特徴がルビーやサファイアで決め手になるかは、顕微鏡を使う専門家の仕事で、ここで細かく紹介できるのは大枠だけです。

売るときのルールにも触れておきます。アメリカの連邦取引委員会(FTC)は、販売のときに天然でないことが疑いなく分かる表示を求めています[2]。なお、ダイヤモンドも高圧高温(HPHT法)や化学気相成長(CVD法)で作られ、成分も結晶構造もほぼ天然と同じです[7]。

ここまでは「宝石を作る」話でした。では、同じ合成ルビーが宝石以外の仕事をしたのは、いつのことでしょうか。

天然と合成の見分けは、成分では決まらない。GIAは、合成宝石を、ラボで製造されながら化学的・光学的・物理的な特性が天然鉱物とほぼ同じものと定義している[2]。したがって屈折や色の比較は決め手になりにくく、結晶中の内包物の観察が中心になる。

天然の宝石では、針状(ニードル)、雲状(クラウド)、液体、結晶の内包物が典型とされる[4]。合成は、育て方に特有の内包物をもつ[4]。ただし、これが全部ではなく、宝石の種類や育て方によって見え方は変わる。個別の特徴を、ここで網羅することはしない。

制度の側では、アメリカのFTCが、販売時に天然でないことが疑いなく分かる表示を求めている[2]。これは米国の話であり、他の国の制度はそれぞれ異なる。ダイヤモンドの場合、HPHT法は圧力5〜6GPa・温度1300〜1600℃、CVD法は近真空で700〜1200℃の条件で育て、成分・結晶構造はほぼ天然と同じだ[7]。

ここまでは宝石として売る話だった。しかし合成ルビーの結晶は、宝石とは別の使い道で歴史に名を残している。

5. 赤い 石から、どうして 光の 道具が 生まれたの?

5. 合成ルビーから、どうして世界初のレーザー光が出たのか

5. 1960年5月16日:合成ルビーの結晶が世界初のレーザー光を出す

1960年5月16日、アメリカの ヒューズ研究所で メイマンという 人が 実験じっけんを しました[5]。

つかったのは、合成ごうせいルビーの 結晶けっしょうです。大きさは 指先ほどの、ピンク色の ルビーでした[5]。この ルビーに、カメラの フラッシュのような 強い 光を 当てました。すると ルビーから、深い 赤色の 光が 出ました[5]。これが、世界で はじめての レーザーです。

宝石ほうせきとして 育てた 石が、光の 道具の 中心に なったのです。

この 石を 作る りょうは、そのあと どうなったのでしょう。

1960年5月16日、アメリカのヒューズ研究所のメイマンは、合成ルビーの結晶に、キセノンのフラッシュランプの強い光を当てました。結晶は深い赤色の光を放ち、世界で初めてのレーザー光となりました[5]。波長は694.3nmです[5]。使われたルビーは、指先ほどの小さなピンク色の結晶でした。

ルビーの赤い色を生む元素はクロムです[1]。この実験で使われた結晶も、赤く色づく合成ルビーでした。宝石として育てた石が、宝石ではない道具の心臓部になったわけです。

これは宝石のためだけの技術ではないことを示す出来事でした。では、育てる量のほうは、その後どう変わったのでしょうか。

世界初のレーザー光は、1960年5月16日、ヒューズ研究所のメイマン(Maiman、読みは「めいまん」)が、合成ルビーの結晶をキセノンのフラッシュランプで励起して得た[5]。波長は694.3nmの深い赤で、結晶は約1×2cmのピンク色のルビーだったと同研究所は記している[5]。資料によって寸法に1×1.5cmと1×2cmの揺れがあるため、ここでは「指先ほど」にとどめる。

なぜルビーだったのか。この結晶の赤い色はクロムによる[1]。つまりレーザーに使われた赤い光の元は、宝石の色を決める元素と同じ種類のものに行き着く。しかも合成なら、色の元素の量を決めて結晶を用意できる[1][3]。ここでは、この実験の結晶がベルヌイ法で作られたとまでは言えない。結晶を育てる技術が宝石以外の用途につながった、という流れの確認にとどめる。

宝石の色の元素が、光の装置の中心になる。この意外なつながりは、1つの結晶を生産する技術が、用途を越えて広がる例といえる。では、育てる量は実際にどれほど増えたのか。

6. 育てる りょうは どれだけ ふえた?

6. 育てる量は93年で250倍になり、スマホのカメラにまで届いた

6. 生産量1000kg(1907年)から25万kg(2000年)へ:数字の検算とスマホへの展開

ベルヌイの ほうほうで 作る りょうは、とても はやく ふえました。1907年には 1年に 1000キログラム、2000年には 25万キログラムに なりました[3]。

25万を 1000で わると 250です。93年の 間に、およそ 250ばいに なった ことに なります。

いまは スマートフォンにも 使われています。人工の サファイアは、iPhone 5で カメラの レンズを まもる ために 使われました[6]。かたい 石だからです。

赤い ルビーも 青い サファイアも、たどると 同じ 石の 粉こなです。

ベルヌイ法で作る量は、急に増えました。年間の生産量は、ある解説によると、1907年に約1000kg、2000年には25万kgに達したとされます[3]。25万を1000で割ると250ですから、93年で約250倍です。毎年同じ割合で増えたと仮定すると、年に約6%ずつの増加にあたります。実際の年ごとの変化はこの計算とは違うはずなので、あくまで目安です。

用途も宝石の外へ広がりました。人工サファイアは、酸化アルミニウムを溶かして結晶にして作られます。iPhone 5では、カメラのレンズを守る部品に使われました[6]。スマホの画面をサファイアにする案もあり、当時の報道では強化ガラスの約3倍の強度が見込まれましたが、割れやすさや価格が課題とされました。ガラスが約3ドル、サファイアが約30ドルと報じられた時期もあります[6]。これは当時の見込みで、いまの数字ではありません。

赤いルビーもサファイアも、原料をたどれば同じ酸化アルミニウムの粉です。色を変える微量の元素と、育てる炎があれば、宝石にも、光の装置にも、スマホの部品にもなりました。

火炎溶融法の生産量は急速に伸びた。年間生産量は、ある解説によると1907年に1000kg、2000年には25万kgに達したとされる[3]。ここでは検算しておく。25万÷1000=250で、93年間に約250倍だ。毎年一定の割合で増えたと仮定すると、年平均の増加率は250の93乗根にあたる約1.061、つまり約6%となる。もちろん現実の年ごとの変動はこの単純な仮定とは異なるため、あくまで目安にすぎない。なお、1000kgという数字は、別の資料では1910年・炉30基という記述もあり、年は資料によって揺れる。

用途は宝石の外へ広がった。人工サファイアは酸化アルミニウムを溶かしたのち結晶化して作られ、iPhone 5ではカメラのレンズ保護に使われた[6]。サファイア製ディスプレーについては、当時の報道で強化ガラスの約3倍の強度とされたが、割れやすさや価格(ゴリラガラスが約3ドルに対し約30ドル)が課題とされた[6]。これらは当時の報道の見込みであり、現在の数字として読んではならない。

赤いルビーも青いサファイアも、もとをたどれば同じ酸化アルミニウムの粉で、色は微量の元素、結晶は炎が決める。宝石の技術は、レーザーを経て、手のひらの中のスマホにまで届いた。

7. 宝石ほうせきを 見る 目が かわる こと

7. 宝石売り場と電卓で、確かめられること

7. 表示と数字で確かめる:原典と検算の道すじ

おうちの 人と 出かける とき、宝石ほうせきの お店や はくぶつかんの ケースを のぞいて みましょう。合成ごうせいや 天然てんねんと 書いた 文字を さがせます。ルビーと サファイアが 同じ 石の なかまと 思い出すと、見え方が ちがって きます。

出かけられるなら、宝石店や博物館の展示で、「合成」「天然」という表示を探してみてください。ルビーとサファイアの札を見比べて、同じコランダムだと思い出すと、色の違いが少し違って見えます。

家では、電卓で本文の数字を確かめられます。25万÷1000で250、93年で割った増え方は約6%です。1年だけ見ると小さな数字でも、長く続くと大きな差になります。

原典を読むなら、GIAの日本語の解説(ルビー、合成宝石、内包物)が入口になります。

確かめる道すじは3つある。1つ目は、店や博物館の展示で「合成」「天然」の表示を探すことだ。表示の有無や言い方は、国や売り手で違う可能性があるので、アメリカのFTCの考え方(天然でないことが疑いなく分かる表示)と比べてみる[2]。

2つ目は検算。25万÷1000=250、93年で約250倍、年平均で約6%。別の資料の1910年・炉30基という記述と比べ、年の揺れがどれほど結果を変えるかも計算できる。

3つ目は原典だ。GIAの日本語の解説(ルビー、合成宝石、内包物)と、ヒューズ研究所(HRL)のレーザーの紹介ページ[5]は、本文の主な事実の土台になっている。ヒューズ研究所のページは英語である。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文の事実は、次の資料でもとにしています。「大きさ」「生産量の年」など資料によって揺れる点は、本文で幅をつけて書いています。

  1. GIA「ルビーの解説」 https://www.gia.edu/jp/articles/ruby-description (ルビーとコランダム、クロムの色)
  2. GIA「合成宝石」 https://www.gia.edu/jp/gem-synthetic (1902年、定義、表示)
  3. Verneuil method (Wikipedia) https://en.wikipedia.org/wiki/Verneuil_method (手順、前史、生産量)
  4. GIA「インクルージョンの解説」 https://www.gia.edu/jp/gem-inclusion-insight (内包物の見分け方)
  5. HRL Laboratories「The First Laser」 https://hrl.com/about/laser (1960年のレーザー)
  6. CNN.co.jp「スマホ画面サファイア」 https://www.cnn.co.jp/tech/35029849.html (スマホでの人工サファイア)
  7. GIA 4Cs「Laboratory-grown diamond」 https://4cs.gia.edu/en-us/laboratory-grown-diamond/ (ダイヤモンドの作り方)

なおした ところ

更新履歴

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