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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

くつを みがくと、どうして ぴかぴかに なるの?

布でこするだけではなく、ロウを重ねる ── 革靴のつやはどう生まれるのか

革靴のつやと鏡面反射 ── 表面の凹凸とワックスの薄い層(鏡面磨き)

分野:技術

くろい くつを、ぬので ゴシゴシ。しばらくすると、まどの 光が くつに うつりこみます。

ただの かわが、どうして かがみのように なるのでしょう。光の うごきと、くつずみの ひみつを、いっしょに かんがえて みましょう。

玄関でくたびれていた革靴が、磨いたあとには窓の光をくっきり映している。同じ靴なのに、何が変わったのでしょうか。

手がかりは、光の返り方と、靴墨に入っているロウです。光沢の考え方と、鏡のような仕上げをめざす磨き方の説明を、いくつかの資料をつき合わせて見ていきます。

革靴を磨くと光沢が出る。光学の側から見れば、光沢は表面が滑らかなほど強くなる鏡面反射の成分として説明される[1]。靴の側から見れば、ロウ系のワックスを薄く重ねて革表面の毛穴を埋めることで、鏡のような仕上がりを目指す磨き方(鏡面磨き、ハイシャイン)がある[3][4]。

このメモでは、両者をつなぐ説明を、光学の解説、靴クリームメーカー、靴修理店の資料を突き合わせてたどる。ただし、靴の表面の凹凸を実測した資料は今回見つかっておらず、「毛穴を埋める」はメーカーの説明という位置づけになる。

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1. 「つや」って、どんな 光?

1. 光が同じ向きにそろって返ると、つやに見える

1. 光沢 ── 鏡面反射と拡散反射

ボールを、たいらな ゆかに なげると、きまった 向きに はねかえります。でこぼこの じゃりの上だと、あちこちに ばらばらに はねます。

光も、ものに あたると はねかえります。たいらな ところでは、光が 同じ 向きに そろって 返ります。すると、ぴかっと つやが 出ます[1]。

ざらざらの ところでは、光が いろいろな 向きに ちらばります。そのため、つやが よわく なります[1]。

ただし 本当の 光は、ボールとは ちがう うごきかたも します。ここでは「そろうか、ちらばるか」だけを おぼえて おいて ください。

表面のでこぼこと、光の向き

光沢の解説では、表面がなめらかなほど、光が一方向に返る鏡面反射の成分が強くなると説明されています[1]。ざらざらした表面では、ごく小さな面ごとに向きがちがうので、光の返る向きがばらばらになります。その結果、光沢が弱くなります[1]。

鏡は特別なのか

光の解説には、表面のでこぼこが入射する光の波長より小さいとき、たとえば鏡のような場合には、ほぼすべての光が規則的に反射する、とあります[2]。身のまわりの多くのものは表面が複雑で、光があらゆる方向に返ります(拡散反射)[2]。

つまり、つやを出したければ、でこぼこをなくすというより、光にとって十分なめらかにすればよいことになります。

光沢は、表面が滑らかなほど鏡面反射(光が一方向に反射する成分)が強く、ざらざらな表面では、微小な面の向きが位置ごとに異なるために反射光が広い角度に散らばって弱まる、と説明される[1]。

また、表面の不完全さ(凹凸)が入射光の波長より小さい場合、たとえば鏡では、ほぼすべての光が規則的に反射するとされる。実在の多くの物体は複雑な表面をもち、光はあらゆる方向に反射する(拡散反射)[2]。凹凸をゼロにしなくても、光の波長より小さくできれば、鏡のような反射に近づくと考えられる。

ただし、革とワックスの表面粗さを実測した数値は今回の資料に無く、靴磨きの凹凸がこの条件を満たすかどうかは、ここでは言えない。

2. かわの 表面には、なにが ある?

2. 革の表面には、毛穴がある

2. 革表面の毛穴と、ワックスによる充填という説明

かわは、もともと 動物の はだです。人の はだと 同じように、小さな あなが あります。けあなと いいます。

くつずみを 作っている 会社の 人は、この あなを うめるように ロウを ぬりかさねると、かがみのような つやが 出ると せつめい して います[3]。

表面が なめらかに なると、光が そろって 返りやすく なる。前の 章の 話と つながります。

人の肌に似た表面

靴クリームのメーカーは、革の表面には人間の肌のように毛穴がある、と説明しています。鏡のようなつやを出す磨き方では、その毛穴を埋めるように、ワックスと少量の水を塗り重ねるそうです[3]。

光の話とつなげると、ワックスで表面の細かなくぼみを埋めて、光の返る向きをそろえる、という筋道になります。

ただ、これはメーカーの説明です。顕微鏡で毛穴が実際に埋まる様子を示した、第三者の資料は今回は見つかりませんでした。

靴クリームメーカーは、革の表面には人の肌のように毛穴があり、鏡面磨きでは「毛穴を埋めるように」ワックスと少量の水を塗り重ねると述べている[3]。同社の別の解説でも、ワックスを層にして毛穴を埋め、光を反射させる工程として説明される[4]。

1章の光学的な説明と合わせると、ワックスが表面の微細な凹みを埋めて反射の向きを揃える、という筋書きになる。ただし、毛穴が埋まる過程を顕微鏡などで観察した第三者の資料は見つかっておらず、現時点では製造・販売側の説明である点に注意したい。

3. くつずみの 中には、なにが 入って いる?

3. 靴墨のワックスは、何でできているのか

3. ワックスの成分 ── ロウと油分、カルナバ蝋の硬さ

くつを みがく ワックスは、おもに「ロウ」と「あぶら」で できて います。少しの 水なら はじきます[3]。

ロウの なかまは、いろいろ あります。はちが 作る みつろう。木の 葉から とる カルナバろう。土の 中の ものから 作る ものも あります[7]。

カルナバろうは、とても かたい ロウです[6]。かたい ロウは、みがくと ぴかっと しやすいと、くつの お店では いわれて います[7]。

ふつうは、いくつかの ロウを まぜて 作ります。

ロウと油分

靴墨のワックスは、主にロウと油分でできていて、少量の水ははじく性質があると説明されています[3]。

ロウの種類と役わり

使われるロウには、動物由来の蜜蝋、植物由来のカルナバ蝋、鉱物由来のモンタン蝋、キャンデリラ蝋などがあります。蜜蝋は栄養、カルナバ蝋は光沢に向くとされ、多くの製品では複数を配合します[7]。

カルナバ蝋はカルナウバヤシの葉に由来し、融点はおよそ80〜86℃で、ロウの中でも非常に硬いことが知られています[6]。鏡面磨き用のポリッシュには欠かせない原料とも紹介されています[6]。

靴墨のワックスは主にロウと油分から成り、少量の水を弾く[3]。ロウ類は由来で分けられ、蜜蝋(動物)、カルナバ蝋(植物)、モンタン蝋(鉱物)、キャンデリラ蝋などがある。蜜蝋は栄養、カルナバ蝋は美しい光沢、モンタン蝋は品質の安定、キャンデリラ蝋は耐水に向くとされ、多くの製品は複数を配合する[7]。

カルナバ蝋は、カルナウバヤシの葉に由来する植物性のロウで、融点はおよそ80〜86℃と高く、ロウの中でも極めて硬い。鏡面磨き用のポリッシュに欠かせない原料とされる[6]。

ただし、硬さと仕上がりの関係を数値で示した資料は今回は見つかっていない。上の各ロウの役割は、販売側の解説にもとづく。

4. うすく、なんども。水は 一てき

4. 薄く塗って、水を1滴 ── 何層も重ねる

4. 鏡面磨きの手順 ── 薄い層の反復と水の役割

かがみのように みがく ときは、ワックスを ほんの 少し ぬります。そこに 水を 一てき たらして、みがきます。これを なんども くりかえします[5]。

ワックスの うすい そうを いくつも 作る、という 考え方です[5]。光りかたは、かさねた 数に ついて ふえる、と いわれます。ぴったり くらべて ふえるとは かぎりません。

水は、ワックスを のびやすく する ために 使います。多すぎると、ワックスが かたまったり、ぬった そうが はがれたり します[4]。

とちゅうで、うろこのような もようが 出ます。それは 仕上がりの 前の ところで、もようが 消えると、かがみに 近づいて いくと いわれて います[4]。

薄い層を、何度も

鏡面磨きでは、ワックスを薄く塗り、水を1滴たらして磨く工程を繰り返します。ワックスの薄い層を何層も作るイメージだと説明されています[5]。光り方は重ねた回数に比例するとされますが、これは修理店の言い回しで、厳密な比例までは言えません。

水の役わり

水は、塗るときに抵抗があるときにワックスの伸びをよくして、磨きやすくするために使います。多すぎるとワックスが固まったり、塗った層が取れたりすると説明されています[4]。

うろこ模様が消えたら

途中の段階では、表面にうろこのような模様が出るといいます。これは仕上がる前の状態で、重ねていって模様が消えると、鏡のような面に近づくと説明されています[4]。

摩擦の熱でワックスが溶けて平らになる、という説明もありますが、仕組みははっきりしていません。

鏡面磨きでは、ワックスを薄く塗り、水を1滴たらして磨く工程を反復する。「薄い層を何層も作る」イメージで、光り方は重ねた回数に比例するとされるが、これは修理店の言い回しで、厳密な比例関係を示す資料は今回ない[5]。

水の役割は、ワックスの伸びをよくして磨きやすくすることとされる。過剰に加えるとワックスが固まる、あるいは塗った層が剥がれるとされる[4]。

途中で表面に鱗状の模様が出るが、これは途中経過で、消えると鏡面に近づくという[4]。なお、摩擦熱でワックスが溶けて平らになるという説明もあるが、仕組みははっきりしていない。

3章までの説明を重ねると、「毛穴の凹凸を、硬めのロウの薄い層で埋めて平らにし、光の返る向きをそろえる」という筋道になる。この全体像は、資料の説明をつなぎ合わせたもので、一つの実験で確かめたものではない。

5. クリームと、ぬっては いけない ところ

5. クリームとの違いと、塗ってはいけない場所

5. クリームの種類と、ワックスの膜の弱点

くつクリームには、二つの しゅるいが あると いわれます[8]。

一つは、水が もとに なった クリームです。かわに しっとり させて、しぜんな つやを 出す ものと いわれます[8]。

もう 一つは、水が 少なく、ロウが 多い クリームです。ぴかっとした つやと、水に つよい ところが とくちょうだ と いわれます[8]。

ワックスは、かわの 上に うすい まくを 作ります。くつが まがる ところ、つまり しわに ぬると、まくが われて しまいます[5]。ぬるのは、しわの 手前までです。

二つのクリーム

靴クリームには大きく2種類あるといわれます。乳化性クリームは水が基材で、油分やロウを含み、保湿と自然なつやを出すとされます。油性クリームは水分が少なくロウ分が多く、光沢と耐水性に向くとされます[8]。

なぜ乳化性クリームのつやが控えめなのかまでは、成分の違い(水とロウの量)以上の説明を、今回は見つけられませんでした。

膜の弱点

ワックスは革の表面に薄い膜を作ります。そのため、履いていて曲がる場所(履きじわ)に塗ると、履いている間にワックスの表面が割れてしまいます。塗るのはしわの手前までにする、と修理店は説明しています[5]。

鏡面のようなつやを保つには、つやを出す場所と塗らない場所を分ける必要がある、ということです。

靴クリームは、乳化性と油性に大別される。乳化性クリームは水を基材に油分とロウを含み、保湿と自然なつやをもたらす。油性クリームは水分が少なくロウ分が多く、光沢と耐水性を重視した、いわゆるワックスである[8]。乳化性のつやが控えめな理由は、水・ロウの量以上の説明を今回は確認できていない。

ワックスは革の表面に薄い膜を作るため、履きじわ(屈曲部)に塗ると、履いている間にワックスの表面が割れる。塗る範囲はしわの手前までとされる[5]。

膜は薄く硬いほどつやを出しやすい一方、曲げには弱いはずだ、という推測は立つが、これは資料の記述から筆者が組み立てたものであり、出典に直接書かれた結論ではない。

自分でも しらべて みたく なったら

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

今日 できること

アルミホイルを 二まい 用意します。一まいは くしゃっと まるめてから ひろげます。もう 一まいは そのまま のばします。

まどの 光を あてて くらべます。どちらが はっきり うつるでしょうか。光の 返りかたの ちがいを、目で たしかめられます。ホイルの はしで 手を きらないように 気をつけて ください。

ほかに できること

おうちの 人の くつを 見せて もらいます。くつずみを ぬった ところと、ぬって いない ところを くらべます。くつを みがく ときは、おうちの 人と いっしょに して ください。

今日できること

アルミホイルを2枚用意し、1枚はくしゃっと丸めて広げ、もう1枚はぴんと伸ばして、同じ窓の光を当てて見比べます。しわのあるほうは光が散らばり、伸ばしたほうは映り込みがはっきりするかを観察します。ホイルの端で手を切らないよう注意してください。

靴磨きを知る

おうちの革靴で、靴クリームを塗った場所と塗っていない場所の光り方を見比べてみます。靴を磨くときは、おうちの人といっしょにしてください。

公式の情報を読む

靴クリームのメーカーや靴修理店の解説ページには、鏡面磨きの手順が写真つきで載っています。出典欄から読めます。

今日できること

アルミホイルを2枚用意し、1枚は丸めて広げ、もう1枚は伸ばしたまま、同じ光源で反射の違いを観察する。凹凸と反射の関係を自分の目で確かめられる。ホイルの端で手を切らないよう注意する。

資料を読むなら

  • 光沢と反射の考え方:出典[1][2]
  • 鏡面磨きの手順:出典[3][4][5]
  • ロウの種類とクリームの違い:出典[6][7][8]

革やワックスの表面の凹凸を、どうやって測るのか調べてみる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文の参照番号[1]〜[8]に対応します。靴クリームメーカーや修理店の解説は、販売・修理の側の説明で、第三者の実測ではありません。

  1. CCS「光と色の話 第11回 光沢」 https://www.ccs-inc.co.jp/guide/column/light_color_part2/vol11.html (光沢と鏡面反射・拡散反射の説明)
  2. Evident(オリンパス)「光の反射の概論」 https://evidentscientific.com/ja/microscope-resource/knowledge-hub/lightandcolor/reflectionintro (凹凸と波長の関係)
  3. M.MOWBRAY「ワックスは、光らせるためじゃない」 https://m-mowbray.com/blog/wax1/ (ワックスの成分と、毛穴を埋める塗り方)
  4. M.MOWBRAY「ハイシャインワックスの鏡面磨き」 https://m-mowbray.com/blog/highshine-howto/ (層を重ねる手順・水の役割・うろこ模様)
  5. トレーディングポスト/靴修理レスキュー「ハイシャイン」 https://shoe-rescue.com/daily/maintenance/---3-1.php (薄い層の反復・履きじわに塗らない理由)
  6. 日本精蝋「植物ワックス」 https://www.seiro.co.jp/product/list/detail?id=505 (カルナバ蝋の融点・硬さ)
  7. ShoesLife「ワックスの種類と効果」 https://shoeslife.jp/topics/wax01/ (ロウの種類と役割)
  8. Full brogue.「乳化性と油性の違い」 https://fullbrogue.jp/difference_between_shoe_creams/ (靴クリームの2種類)

なおした ところ

更新履歴

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