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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

革靴かわぐつの 革かわは、くさる 皮から どう 作るの?

腐りやすい皮が、革靴になるまで

皮から革靴へ ── 鞣し(タンニン・クロム)と製靴の工程

分野:技術

とった ままの 動物の 皮を、そのまま おいて おくと、どうなるでしょう。くさって、かたく なって しまいます。

それなのに 革靴かわぐつは、なんねんも はけます。皮が 革かわに かわる ひみつと、靴くつに なるまでを、たどって みましょう。

生の皮は、放っておくと腐ったり、固くなったりして、靴には使えません。ところが革靴の革は、なめしによって腐りにくくなっています。

皮の毛を薬で溶かし、繊維の中身を変える「なめし」を経て、裁断・縫製で靴になるまでの道のりを、資料をつき合わせて見ていきます。

生の皮は、そのままでは腐敗し、乾けば硬くなって、革製品の用途には使えない[2]。これを防ぐ化学処理が鞣し(なめし)である。

このメモでは、原皮が製革所に届いてからの準備・鞣し・仕上げの工程[3][7]と、タンニン鞣しとクロム鞣しの違い[4]、その革が靴に組み上がるまで[8]を、複数の資料を突き合わせてたどる。履き慣らしや手入れは扱わない。

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1. 皮は、どうして くさるの?

1. 生の皮は、そのままでは使えない

1. 原皮 ── 食肉の副産物と、腐敗という問題

革かわの もとに なる 皮は、にくを とるときに、いっしょに でて くる ものです[1]。おにくを つくる ときに でて くる 皮を、むだに しません。

この 皮を そのまま おくと、くさったり、かたく なったり します[2]。くつには つかえません。

そこで、くさらない ように かえる しごとが あります。それが「なめし」です。

食肉のときに出る皮

革の原料になる皮は「原皮」と呼ばれ、食肉をつくるときに出る副産物です[1]。食肉の生産で出てきた皮を、むだにしない仕事だと言えます。

腐って、固くなる

ただ、生の皮はそのままでは腐敗したり、乾いて固くなったりして、革製品のような用途には使えません[2]。これを防ぐ化学的な処理が「なめし」です。なめしは、この記事の中心になる工程です。

原皮は、食肉の生産に伴って皮や毛などの副産物として出るものである[1]。食肉生産の副産物として出る点が、出発点になる。

生の皮は、放置すれば腐敗し、乾燥すれば硬化して、革製品の用途には使えない[2]。この性質を止める処理が鞣しであり、以下の工程は、鞣しへ向けた準備と、鞣し、仕上げに大別できる[3]。

2. こうじょうに とどいた 皮は?

2. 塩漬けで届き、まず水に戻す

2. 準備工程 ── 塩蔵、水漬け、裏打ち

皮は、くさらない ように しおに つけられた まま、こうじょうに とどく ことが おおいと いいます[6]。

こうじょうでは、まず 水に つけて、ちや よごれを おとします。かわいた 皮は、なまの ときの すがたに もどります[3]。

つぎに、きかいで、皮に ついた にくや あぶらを けずりとります。

塩をまとって届く原皮

なめし工場に届く原皮は、腐敗を防ぐために塩漬けにされた状態であることが多いと、ある製革所は説明しています[6]。すべての原皮がそうとは限りません。

水で戻して、削る

最初の工程は「水漬け」です。血や汚れを洗い落とし、乾燥や脱水で失われた水分を補って、生皮の状態に戻します。そのあと「裏打ち」で、皮の裏側に残った肉片や脂肪を機械で削り取ります[3]。

原皮は、腐敗防止のため塩蔵された状態で製革所に入ることが多い(ごとう製革所の説明。全原皮が塩蔵とは限らない)[6]。

準備工程はまず水漬けで、血液や汚物を除き、脱水された水分を補って生皮の状態に戻す。続く裏打ち(フレッシング)では、肉片や脂肪を機械で除く[3]。

3. 毛は、どうやって とるの?

3. 毛を刃で剃らず、薬で溶かす

3. 石灰漬け・脱毛、脱灰・酵解、浸酸

けを とるのに、かみそりは つかいません。せっかいを まぜた 水に、皮を つけます[5]。

すると 皮が ふくらんで、け や あぶらが とけて、とれて いきます。おなじ ときに、皮の 中の せんいも ほぐれます。

そのあと せっかいを ぬきます。つぎに、たんぱくしつを こわす 小さな はたらきを もつ ものを つかい、いらない ぶぶんを とります[6]。おもての めんが、つるつるに なります。

石灰で毛が溶ける

皮を、石灰を水に溶かした液(石灰乳)に浸します。アルカリの液です。皮が膨らみ、毛・脂肪・表面の層が分解されて取り除かれ、同時に皮の中のコラーゲン繊維もほぐれます[5][3]。

酵素で、なめらかに整える

その後、石灰を取り除き(脱灰)、たんぱく質を分解する酵素で、不要なたんぱく質を分解します(酵解)。これで表側の面(銀面)がなめらかになります[6]。

なめしの直前には「浸酸」があります。酸性の液に漬けて、なめし剤が入りやすい状態にします[3]。

脱毛・石灰漬けでは、石灰乳(アルカリ)で皮を膨潤させ、毛・脂肪・表皮層を分解除去する。同時にコラーゲン繊維がほぐれる[5][3]。毛は刃で剃るのではなく、薬品で分解して除く。

続く脱灰で石灰を除き、酵解ではタンパク質分解酵素により不要なタンパク質を分解する。銀面(革の表側)がなめらかになる[6]。鞣しの前には浸酸を行い、酸性溶液で鞣剤を吸収しやすい状態にする[3]。

4. 「なめし」で、なにが かわるの?

4. 繊維どうしを結びとめる

4. 鞣しの仕組み ── コラーゲン繊維の架橋と充填

皮の 中には、こまかい せんいが たくさん あります。なめしでは、その せんいどうしを むすぶ あたらしい つながりが できます[2]。

あみの ほつれやすい ところに、むすびめを つくる ような ものです。せんいの すきまも うまって、くさりにくく なります。

ただし 本当は、ぬるだけの くさりどめでは ありません。せんいの つくりが かわるのです。

皮の主成分に、新しい結びつきを作る

皮の主成分は、コラーゲンという繊維状のたんぱく質です。なめしでは、その繊維どうしをつなぎとめる「新たな結合」がつくられます(架橋)。繊維のすき間も埋められ(充填)、分解や腐敗が防がれます[2]。

ほつれやすい網の結び目を、ところどころ固く結び直すようなものです。ただ、防腐剤を表面に塗るのとは違い、繊維の中身の構造が変わります。

皮の主成分であるコラーゲン繊維に対し、鞣しは繊維どうしをつなぐ新たな結合を作り(架橋)、繊維間の隙間を埋める(充填)。これにより分解・腐敗が防がれる[2]。

防腐剤を塗布するのではなく、繊維の構造そのものを変える処理である点が要になる。準備工程で石灰処理・浸酸を経るのは、鞣剤が繊維の内部に行き渡る状態を作るためと読める[3]。

5. 木の えきと、きんぞくの えき

5. 植物のタンニンと、クロム ── かかる時間の違い

5. タンニン鞣しとクロム鞣し ── 所要時間と性質

なめしの しかたは、おもに ふたつです。ひとつは、木や くさに ある「タンニン」を つかう やりかたです。むかしから ある ほうほうと いわれます[4]。

もうひとつは、クロムという きんぞくの しおを つかう やりかたです。1858ねんに ドイツで うまれ、みじかい じかんで おわります[4]。

タンニンは、なんかげつも かかる ことが あります。ある こうじょうでは、うすい えきから こい えきへ、百六十ほどの おけに じゅんばんに つけると いいます[7]。

いま つくられる 革かわの、やく 八十五パーセントは クロムだと いう しりょうも あります[4]。

ふたつの代表的な方法

なめしの代表は、植物のタンニンを使う「タンニンなめし」と、クロム塩を使う「クロムなめし」です。タンニンなめしは古代エジプトのころから行われてきた最古の方法とされ、ヌメ革や靴底の革に使われます[4]。

数か月と、短時間

タンニンなめしは、数か月かかることもあり、手間と時間がかかります。一方、クロムなめしは1858年にドイツで開発され、短時間で終わります[4]。革製品全体では、約85%がクロムを使った製法だと説明する資料もあります[4]。

ピットに漬ける一例

栃木レザーは、約160のピット槽を使い、薄いタンニン液の槽から濃い槽へ順に皮を移して漬け込むと説明しています[7]。これは一社の例で、業界すべてがそうというわけではありません。

感触も少し違います。クロムなめしはやわらかく伸びやすく、タンニンなめしはしっかり固く、使うほど色やつやが変わっていきます[2]。靴では甲に前者、底に後者が使われる傾向はありますが、決まりではなく、両方を合わせる方法もあります。

鞣しの代表は、植物タンニンを用いるタンニン鞣しと、クロム塩を用いるクロム鞣しである。前者は古代エジプト時代から行われている最古の方法とされ(同資料の記述)、ヌメ革や底革に用いられる[4]。

所要時間は、タンニン鞣しは数か月を要することもあるのに対し、1858年にドイツで開発されたクロム鞣しは短時間で完了する。ただしクロムの具体的な所要時間は、この資料に数値がない[4]。革製品の約85%はクロムベースとの記述もある[4]。

タンニン鞣しの現場の一例として、栃木レザーは約160のピット槽を用い、薄いタンニン槽から濃い槽へ順に皮を漬け込む[7]。一社の例であり、業界全体の数字ではない。

性質は、タンニン鞣しは充填効果が強く堅牢、クロム鞣しは架橋効果が強くやわらかく伸びる(要旨)[2]。靴の甲革と底革で使い分けられる傾向はあるが、どの靴がどちらとは決まらず、混合鞣しもある。

6. なめした あとは?

6. 厚さをそろえ、もみほぐして仕上げる

6. 仕上げ工程と乾燥 ── 栃木レザーの20工程を例に

なめした あとの 革かわは、まだ 使えません。あつさを そろえたり、いろを つけたり、あぶらを しみこませたりします[5]。

かわかして、もみほぐすと、やわらかく なります。さいごに ぬる ざいりょうで おもての めんを ととのえます。

ある こうじょうでは、水あらいから しゅっかまで 二十の こうていが あるそうです。かわかす のに、うすい 革かわで 四日、あつい 革かわで 一しゅうかん かかります[7]。

厚さをそろえ、色と油を入れる

なめした皮は、水をしぼり、厚さをそろえる「シェービング」を行います。必要なら再びなめし、中和したうえで、染色や油分を入れる加脂を行い、乾燥させます[3][5]。

もみほぐして、塗る

乾いた革をもみほぐす「ステーキング」で、柔らかさと弾力が出ます。最後に、塗料で銀面を整えて完成です[5]。

栃木レザーは、原皮の水洗いから出荷までを20工程で説明しています。乾燥だけで、薄い革は4日、厚い革は1週間ほどです[7]。

鞣し後は、水絞り、シェービング(厚さ調整)、必要に応じた再鞣、中和、染色・加脂、乾燥、ステーキング(もみほぐし)、塗装の順に仕上げる[3][5]。ステーキングは柔軟性・弾力性を与え、塗装は銀面に塗料を塗布する。

栃木レザーの例では、原皮の水洗いから出荷まで20工程、乾燥は薄い革で4日、厚い革で1週間とされる[7]。工程数や日数は会社・革の種類で異なるはずで、一社の説明にとどまる。

7. 革かわが、くつに なるまで

7. 裁断から、つり込み、底付けまで

7. 製靴工程 ── 裁断・製甲・つり込み・底付け

できあがった 革かわは、こんどは くつの かたちに きりだされます。しわや きずが ある ところは、めだたない ぶぶんに つかう こうじょうも あります[8]。

きりだした 革かわを ぬいあわせ、木の かたに あわせて ぴんと ひっぱります。しわや ゆがみが でないように する「つりこみ」です[8]。

さいごに そこを つけ、けんさを して できあがりです。

むだなく切り出す

靴づくりは、革の裁断から始まります。あるメーカーは、革のしわや傷の部分を靴の目立たない場所に使うなど、革をむだにしない裁断をしていると説明します[8]。

縫って、木型に合わせて引き締める

切り出した革は縫い合わされ(製甲)、中底に付けた縁に合わせます。「つり込み」では、木型に沿わせて革を引き締め、しわやゆがみが入らないようにします。そのあと底を縫い付け、かかとを付けて、検品と仕上げに進みます[8]。

このメーカーは全体を12工程で説明しますが、工程数は会社や製法によって違います。

製靴は、裁断から始まる。スコッチグレインは、職人が取り都合を考えて裁断し、シワやトラ(傷)の部分を目立たない箇所に回すと説明する[8]。

その後、製甲(縫い合わせ)、中底のリブ付け、つり込み(木型に合わせて革を引き締め、シワやゆがみを防ぐ)、すくい縫い、だし縫い、ヒール付け、検品・仕上げと進む。同社は12工程で説明するが、工程数は会社・製法で異なり、一社の説明である[8]。

自分でも しらべて みたく なったら

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

おうちの 革靴かわぐつの、おもてと 中と そこを さわって くらべて みましょう。やわらかさは おなじでしょうか。ちがう ところを ことばに して みます。

本や ホームページで しらべるなら、日本革かわ市の、つくりかたを せつめいした ページが、日本語で 読めます。

今日できること:家にある革靴は甲と底、内側と外側を、革の財布があれば表と内側を触り比べて、硬さや手触りの違いを言葉にしてみてください。革の種類やなめし方は、タグや説明書に書いてあることもあります。

公式情報:日本革市の解説や、各製革所・靴メーカーの製造工程のページは、日本語で読めます。工程は会社や製法で違うので、複数を読み比べると違いが見えてきます。

製造工程の全体像は、日本革市[3]・和歌山県[5]の解説と、栃木レザー[7]やスコッチグレイン[8]の工程紹介を読み比べると、会社による違いまで見える。すべて日本語である。

手元の革製品の素材表示や店頭の説明で、甲革・底革がどのなめしかを調べ、この記事の説明と照らしてみるのもよい。表示がない場合、なめしの種類は見た目だけでは決まらない。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

工程や数値は、各機関の説明を突き合わせています。工程の数や順序は、会社や製法で異なります。

  1. 日本畜産副産物協会「原皮の処理と生産量」 https://www.jlba.or.jp/con07_1.html (原皮が食肉の副産物であること)
  2. 山陽「なめし(鞣し)のしくみ」 https://sanyotan.co.jp/note/mechanism_of_tanning (なめしの目的と架橋・充填、性質の違い)
  3. 日本革市「皮から革、革から製品革になるまで」 https://www.kawa-ichi.jp/basic/04/index.html (準備工程・浸酸・仕上げの流れ)
  4. 日本革市「なめしの種類」 https://www.kawa-ichi.jp/basic/05/index.html (タンニンなめし・クロムなめしの違い)
  5. 和歌山県「製革工程」 https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/061000/leather/leather4.html (石灰漬け・仕上げ工程)
  6. ごとう製革所「革をなめす前の下準備とは?」 https://goto-leather.co.jp/leather-process1 (塩漬けの原皮、脱灰・酵解)
  7. 栃木レザー「20の製造工程」 https://www.tochigi-leather.co.jp/process/ (ピット槽・工程数・乾燥日数の一例)
  8. スコッチグレイン「靴の製造工程」 https://scotchgrain.co.jp/quality/flow/ (裁断からつり込み・底付けまで)

なおした ところ

更新履歴

更新履歴(改版の記録)

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