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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

川の ていぼうに、どうして わざと あなが あるの?

堤防にわざと切れ目があるのはなぜか ── 堤防で防ぐだけでなく、流域全体で水を受け止める考え方へ

堤防は洪水をどう受け止めるか ── 霞堤・信玄堤から田んぼダム、流域治水まで

分野:技術

川の 堤防ていぼうには、わざと きれ目を あけた ものが あります。豊川とよかわでは、その きれ目を ふさぐと、上流の 水が よけいに 高く なる おそれが ある、と 計画に 書かれて います。

水を ふせぐ ための ものなのに、どうして あなを あけるのでしょう。牛川霞堤うしかわかすみていを のぞいて きれ目を ふさぐと、上流の 水の 高さが 上がる 見こみ だからです。昔の 人の くふうから、田んぼや まちづくりまで ひろがった 今の 洪水こうずいへの そなえ方が わかります。

川の堤防には、わざと切れ目をあけたものがあります。愛知県の豊川では、その切れ目を閉じると、上流で洪水のときの水位が上がり、堤防が壊れる危険が増すと、国の計画に書かれています[4]。

水を防ぐための堤防に、なぜ穴をあけるのでしょうか。「あふれさせない」から「あふれ方を決める」へと変わってきた考え方が、田んぼやまちづくりまで広がり、流域治水と呼ばれるようになった流れが分かります。

堤防を切れ目なく連続させれば洪水を防げる、とは限らない。豊川の河川整備計画は、牛川霞堤を除く霞堤を締め切ると、上流で洪水時の水位が上昇し破堤などの危険性が増すとして、霞堤を残す方針をとる[4]。

では、堤防は何を目指す施設なのか。盛土という構造の理由、越水に対する「粘り強い」堤防、霞堤・信玄堤、田んぼダム、2021年に始まった流域治水プロジェクトまでを、国の資料をつき合わせてたどると、「あふれさせない」から「あふれ方を決める」への流れが分かる。

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1. ていぼうは、どうして 土の 山なの?

1. 堤防は、なぜコンクリートの壁ではなく土でできているのか

1. 河川堤防を盛土で築く三つの理由 ── 材料・劣化・復旧

川べりの ていぼうを 見ると、たいてい 土の 山です。コンクリートの かべの ほうが、強そうに 見えませんか。

国の しりょうには、土で つくる 理由が 書いて あります[1]。土は 近くで 手に はいります。時間が たっても 古く なりにくい ざいりょうです。こわれても、なおしやすい のです。

つまり ていぼうは、「こわれない かべ」ではなく、「こわれても なおせる 山」として 考えられて きました。

では、その 山を 水が こえて しまったら、どうなるのでしょう。

土が選ばれる三つの理由

河川堤防は、河川管理施設等構造令により、盛土で築造することになっています。国の技術資料は、その理由として、材料が手に入りやすいこと、劣化が起きにくいこと、被害を受けても復旧しやすいことをあげています[1]。

川に沿って数十キロ、数百キロと続く構造物では、材料を遠くから運ぶより、近くの土を使えることが大きな利点になります。コンクリートの壁が堤防の基本形ではない、という点は意外かもしれません。

壊れない壁ではなく、直せる山

見方を変えると、堤防は「壊れない」ことを最優先にした構造物ではなく、「傷んでも直しやすい」ことを大切にした構造物です。そうだとすると、水が堤防の上を越えたときに何が起きるのかが、次に気になります。

河川堤防は、構造令にもとづき盛土で築造される。国の技術資料が理由に挙げるのは、材料の入手が容易であること、劣化しにくいこと、被災しても復旧が容易であることの三点だ[1]。延長が長大な河川堤防では、材料の調達と維持のしやすさが、強度そのものと同じくらい設計上の条件になる。

ここから、堤防は「壊れないこと」だけを目標にした施設ではなく、傷んだときの復旧まで含めて設計された施設だと読める。この読み方は技術資料の理由づけからの筆者の整理であり、資料が直接そう述べているわけではない。では、設計の想定を超えて水が越えたときは、どうなるのか。

2. 水が ていぼうを こえたら、どうなる?

2. 水が堤防を越えたとき、どうなるのか

2. 越水と「粘り強い堤防」── 施設規模を超える洪水への備え

2019年の 台風では、日本じゅうで 142か所の ていぼうが こわれました。その うちの 86%は、水が ていぼうの 上を こえた ことが 大きな げんいんでした[2]。

でも、水が こえても こわれなかった ていぼうも、236か所 ありました[2]。

そこで、水が こえても すぐには こわれにくい 「ねばり強い ていぼう」づくりが 進められて います[2]。おふろの ふちから お湯が あふれても、ふちが すぐに くずれない ようにする、ような かんがえ方です。ただし 本当の ていぼうは、土で できた 長い 山なので、おふろとは ちがいます。

それでも、高くするだけでは 足りないかもしれません。昔の 人は、どう 考えたのでしょうか。

越水で壊れた堤防と、壊れなかった堤防

国土技術政策総合研究所と土木研究所の資料によると、令和元年東日本台風では、全国で142か所の河川堤防が決壊しました。その86%(122か所)は、水が堤防の上を越える越水が主な原因でした。一方で、越水しても決壊に至らなかった堤防は236か所ありました[2]。

設計の想定を超えても、被害を軽くする

堤防には、水がしみこむこと、水に削られること、地震に耐えることが求められます。さらに、施設の規模を超える洪水が来た場合でも被害を軽くすることが求められており、越水しても壊れにくい「粘り強い河川堤防」の検討が進められています[2]。

ここで一つの考えが浮かびます。どんなに高く、強くしても、設計を超える雨は来るかもしれません。ならば、あふれることを前提に、あふれ方を工夫できないでしょうか。江戸時代には、すでにそうした工夫がありました。

令和元年東日本台風では、全国で142か所の河川堤防が決壊し、うち86%(122か所)は越水が主要因とされる。一方、越水したが決壊に至らなかった堤防も236か所あった[2]。越水すれば必ず決壊するわけではなく、構造や条件によって結果が分かれたことになる。

そのため国は、耐浸透・耐侵食・耐震の機能に加え、施設規模を超える洪水でも被害を軽減することを求めている。越水しても壊れにくい「粘り強い河川堤防」の検討は、この要請から出てくる[2]。ただし技術資料は案の段階の検討であり、すべての堤防がこの構造になるという意味ではない。

設計の外側の水を想定するなら、堤防の「外」でどこへ水を逃がすかも問題になる。この発想は、新しいものではなかった。

3. なぜ、ていぼうに きれ目が あるの?

3. 霞堤 ── わざと切れ目をあけた堤防

3. 霞堤の効用と限界 ── 豊川の締め切り検討から

「かすみてい」は、ていぼうの 一部を ひくく したり、かいたり して つくった ていぼうです。国の ようご集では、江戸時代えどじだいに 豊川とよかわの 中・下流に つくられた と されます[3]。

豊川とよかわには、昭和30年代までに 9か所の かすみていが ありました。その後、放水路が できた ことなどで 5か所が とじられ、今は 4か所が のこって います[4]。

国の 計画は、かすみていを とじると、上流で 洪水こうずいの ときの 水が 高く なり、ていぼうが こわれる おそれが 大きく なる、と 考えて います[4]。

だから 今も のこして、かすみていの まわりでは、小さな ていぼうや、土地の つかい方の きまり、ハザードマップなどで、ひがいを 小さくしようと して います[4]。

ただし これは 豊川とよかわの 計画の 話で、どの 川でも かすみていが いちばん いい、という わけでは ありません。

堤防の一部を欠いた、不連続な堤防

霞堤は、堤防の一部を低くしたり欠いたりして造った、途切れのある堤防です。国土交通省の河川用語集では、江戸時代に豊川の中下流部に設けられたとされています[3]。

豊川では9か所から4か所に

豊川の霞堤は、昭和30年代までに9か所ありました。放水路ができたことなどで5か所が締め切られ、今は4か所が残っています[4]。

それでも国は、牛川霞堤を除く残りの霞堤を閉じない方針です。河川整備計画は、牛川霞堤を除く霞堤を締め切ると、上流で洪水時の水位が上がり、破堤などの危険が増すとしています。そこで霞堤は残し、小さな堤防や土地利用の規制、ハザードマップなどで被害を軽くすることにしています[4]。

これは豊川についての計画の記述で、霞堤がどの川でも有利という意味ではありません。切れ目を残すと上流の水位上昇を抑えられる一方、あふれた先の土地を守る工夫もセットで必要になる、ということです。

霞堤は、堤防の一部を低くしたり欠いたりして造る不連続堤で、江戸時代に豊川の中下流部に設けられたとされる[3]。連続した堤防が理想に見えるのに、なぜ切れ目を残すのか。豊川の例が答えを示している。

豊川の霞堤は昭和30年代までに9か所あったが、放水路の完成などで5か所が締め切られ、現在は4か所が残る。河川整備計画は、牛川霞堤を除く霞堤を締め切ると、下条霞より上流で洪水時の水位が上昇し、破堤などの危険性が増大するとしている。そのため霞堤は残し、小堤・土地利用規制・ハザードマップによる被害軽減を併用する方針をとる[4]。

この結論は豊川固有の条件にもとづく計画上の記述で、霞堤が全国一般で有利だとは述べていない。切れ目は水位の上昇を抑える一方、あふれた水の行き先に備える対策を必要とする。つまり霞堤は、堤防を連続させるか否かではなく、水を「どこへ、どう逃がすか」を設計に含める発想の例だ。

4. 昔の 人は、どう くふうしたの?

4. 信玄堤 ── 一つの堤防ではなく、いくつもの工夫の組み合わせ

4. 信玄堤 ── 複数の対策を組み合わせた治水システム

やまなし県の 釜無川かまなしがわに、むかしの 大名が つくった とされる 「しんげんづつみ」が あります。名前は たけだ しんげんに ちなみます[5]。

ここでは、ひとつの くふうでは なく、いくつもの くふうが 合わさって います。

水の いきおいを やわらげる 木ぐみ、「せいぎゅう」を おきます。もし ていぼうが こわれても、にごった 水が 川に もどる よう、かすみていに します。ていぼうの 近くには 木を うえて、石や 流木を ふせぎます[5]。

こわれる ことも 考えて、水の 通り道を つくって いたのです。

武田信玄と釜無川の堤防

信玄堤は、戦国大名の武田信玄が釜無川に築いたと伝えられる堤防です。国土交通省の川の事典では、「初期の霞堤」としても紹介されています[5]。

三つの工夫を重ねる

信玄堤では、堤防に聖牛と呼ばれる、流れをやわらげる木組みを置きます。たとえ堤防が壊れても、濁った水が川に戻るように霞堤にします。さらに、堤防の近くに木を植えて、土石や流木を防ぎます[5]。

一つの堤防の高さや強さだけに頼らず、「破堤しても」という前提で組み合わせたところが特徴です。なお築造の年は、資料によって異なるため、ここでは「戦国時代」とだけ書きます。

信玄堤は、戦国大名の武田信玄が釜無川に築いたとされる堤防で、国土交通省の川の事典に「初期の霞堤」として紹介されている[5]。特徴は、複数の対策の組み合わせにある。堤防に聖牛(流れをやわらげる木組み)を配し、破堤しても濁流が川に戻るよう霞堤とし、土石・流木を防ぐ植樹を堤防付近に行う[5]。

注目したいのは、「破堤しても」という前提が最初から設計に入っている点だ。堤防を壊れないものとみなさず、壊れた場合の水の行き先と被害を小さくする方法を、同じ場所で重ねている。築造年は資料により異なるため、年号は示さず戦国時代とする。

この考え方は、前章の「粘り強い堤防」や霞堤の発想と同じ線上にある。では、同じ「水を受け止める」という発想は、堤防の外側、つまり田んぼではどう生かされているのか。

5. 田んぼが 洪水こうずいを へらす ことが あるの?

5. 田んぼダムは、雨水の流れ出しをゆるやかにできる

5. 田んぼダムと遊水地 ── ピーク流量を下げる二つの方法

「ゆうすいち」は、洪水こうずいの 水を しばらくの あいだ ためて、いちばん 水が おおい ときの りょうを へらす ための 場所です[3]。

じつは 田んぼにも、にた はたらきを させる やり方が あります。「田んぼダム」です。田んぼの 水の 出口に、あなの 小さな どうぐを つけます。すると 雨水が ゆっくり 流れて、水路や 川の 水が 急に ふえるのを おさえます[6]。

シミュレーションでは、田んぼ 1まいぶんで、大雨の ときの 水の いちばん 多い 流れ出しが、81%へりました[6]。これは 川の 水が 81%へる、という 意味では ありません。

お米づくりに 使う 田んぼが、ふだんの ままで 洪水こうずいを ふせぐ 手助けを するのです。

遊水地と田んぼダム

洪水の水を一時的にためて、最大の流量(ピーク)を減らすために設けた区域を、遊水地または調節池といいます[3]。

田んぼダムは、水田の排水口に、排水管より穴の小さい調整器具を付け、雨水を時間をかけて流す取組です。水路や河川の水位が急に上がるのを抑えます[6]。

数字で見ると

農林水産省のパンフレットでは、30アールの水田に「100年に1回」の大雨(総雨量285mm、最大時間雨量58mm)を想定したシミュレーションで、田んぼからのピーク流出量が81%減りました[6]。これは田んぼ1枚の流出ピークの話で、川の水位が81%下がるという意味ではありません。

流域全体の試算もあります。河川流域約16,600haの全水田約3,800haで田んぼダムを行った場合、床上浸水(深さ50cm以上)する面積が約60%減るという結果でした。ただしこれは、全部の水田で行ったと仮定した試算です。器具を常設しても米の収穫量や品質に影響がないことが確認され、特別な作業も要らないとされています[6]。

遊水地は、洪水を一時的にためてピーク流量を減らすために設ける区域だ[3]。田んぼダムは、これを水田で小さく実現する取組といえる。水田の排水口に、排水管より穴の小さい調整器具を付け、雨水を時間をかけて流して、水路や河川の水位上昇を抑える[6]。

農林水産省のパンフレットは、二つの条件でシミュレーションの結果を示す。30アールの水田に「100年に1回」の降雨(総雨量285mm、最大時間雨量58mm)を想定すると、田んぼからのピーク流出量は81%低減する。これは田んぼ1枚分の流出ピークで、河川の水位が81%下がるわけではない。また河川流域約16,600haのうち全水田約3,800haで実施した場合、床上浸水(深さ50cm以上)となる面積が約60%減少するが、これも全水田で行った仮定の試算である[6]。

器具を常設しても、収穫量や品質への影響は確認されておらず、特別な作業も要らない[6]。この「ふだんの農業に上乗せできる」という条件が、堤防や遊水地のように土地を専用にしなくても貯留量を増やせる理由だ。では、こうした取組は、国のしくみとしてどう整理されたのか。

6. これからの 洪水こうずいぶせぎは、どう かわるの?

6. 流域全体で受け止める ── 流域治水へ

6. 流域治水プロジェクト ── 気候変動を前提にした全体設計

これまでの ていぼうや ダムに くわえて、今は「りゅういきちすい」という かんがえ方が 広がって います。川の 水が あつまる 場所から、あふれた 水が 広がる 場所まで、いろいろな 人が いっしょに 取り組む やり方です[7]。

ていぼうを つくる だけでなく、雨水を ためる しせつ、家を たてて よい 場所の きまり、ダムの 水を 前もって へらす ことなども 入ります[8]。2021年3月30日に、日本の 109の 大きな 川で いっせいに 発表されました[8]。

理由の 一つは、気温が 2度 上がった ときの けいさんです。雨は 1.1ばいですが、洪水こうずいの おきる 回数は 2ばいに なると 考えられて います[9]。雨が 2ばいに なる、という 意味では ありません。

ていぼう、かすみてい、田んぼ。むかしから 今まで、水の 行き先を みんなで 考えて きた のです。

集水域から氾濫域までを一つに

国土交通省によると、流域治水は、堤防整備やダム建設などの対策を加速するとともに、集水域から氾濫域にわたる流域のあらゆる関係者が協力して水災害対策を行うことです[7]。(1) 氾濫をできるだけ防ぐ・減らす、(2) 被害対象を減らす、(3) 被害の軽減と早期の復旧・復興の三つを、ハードとソフトを一体で進めます[7]。

流域治水プロジェクトは、河川整備に加え、雨水貯留浸透施設の整備や災害危険区域の指定などの土地利用の規制・誘導、利水ダムの事前放流などを含む全体像で、2021年3月30日に全国109の一級水系で一斉に公表されました[8]。109は一級水系の数で、全河川の数ではありません。

なぜ今、広がったのか

国土交通省の資料には、世界の平均気温が2℃上がった場合、降雨量は1.1倍、河川の流量は1.2倍、洪水の発生頻度は2倍になるという試算があります[9]。2倍になるのは洪水の起きる頻度で、雨の量ではありません。

堤防、霞堤、田んぼダム。どれも「水をどこでどう受け止めるか」を考えた工夫でした。それを流域全体に広げたのが、流域治水です。

流域治水は、気候変動の影響による水災害の激甚化・頻発化を踏まえ、堤防整備やダム建設などの対策を加速するとともに、集水域から氾濫域にわたる流域のあらゆる関係者が協働して水災害対策を行う考え方だ。治水計画は気候変動による降雨量増加などを考慮したものに改め、(1) 氾濫をできるだけ防ぐ・減らす、(2) 被害対象を減らす、(3) 被害の軽減と早期復旧・復興の三つを、ハード・ソフト一体で進める[7]。

その具体化が流域治水プロジェクトで、河川整備に加え、雨水貯留浸透施設、災害危険区域の指定などの土地利用規制・誘導、利水ダムの事前放流を含む。令和3年(2021年)3月30日に全国109の一級水系で一斉に公表された。109は一級水系の数で、全河川ではない[8]。

背景には、気候変動の試算がある。国土交通省の資料は、2℃上昇した場合に降雨量1.1倍、河川流量1.2倍、洪水発生頻度2倍と試算する。2倍は発生頻度で、雨量ではない[9]。この試算は一つのシナリオにもとづく目安で、地域差の定量化まで示すものではない。

堤防を高くする、霞堤で逃がす、田んぼでためる。これらはばらばらの技術ではなく、水を「どこでどう受け止めるか」という同じ問いへの答えだ。流域治水はその問いを、河川の中だけでなく流域全体に広げた枠組みといえる。

7. 小さな あなで、水の 流れを 見て みよう

7. 穴の大きさで、水の出方がどう変わるかを試す

7. 出口 ── 穴の大きさを変える実験と、資料の読みどころ

田んぼダムの 「あなが 小さい どうぐ」の はたらきを、かんたんに 見て みましょう。おふろばか 流しで やります。

紙コップを 2つ 用意します。1つには 小さな あなを 1つ、もう 1つには 大きめの あなを 1つ、下の ほうに あけます。あなは、おうちの 人に 安全な どうぐで あけて もらって ください。

2つの コップに、同じ りょうの 水を いっきに 入れます。どちらが ゆっくり 水を 出すか、見て みましょう。

ただし、これは 田んぼダムの かんがえ方を 目で 見て わかる ようにする あそびです。本当の 田んぼは、もっと 広く、水の 流れも ちがいます。

田んぼダムの考え方を、紙コップで試してみましょう。流しか浴室で、紙コップを2つ用意し、底の近くに、一つには小さな穴を、もう一つにはそれより大きい穴をあけます。穴は、おうちの人に安全な道具であけてもらってください。

同じ量の水を一気に入れて、水がたまっている時間と、出てくる水の勢いを見比べます。穴が小さいほうは、水がゆっくり流れ出します。田んぼダムの調整器具も、同じ考え方です[6]。ただし実際の田んぼや水路は、紙コップよりずっと複雑です。

もっと読みたくなったら、国土交通省の流域治水のページ[7]や、農林水産省の田んぼダムのパンフレット[6]、豊川の霞堤の計画[4]を開いてみてください。

紙コップの底近くに、大きさの違う穴を一つずつあけ(穴はおうちの人にあけてもらう)、同じ量の水を一度に入れて、水がたまる時間と流れ出る勢いを比べる。穴が小さいほうが貯留の時間が長くなり、流出のピークが低くなる。田んぼダムの調整器具が、排水管より穴が小さいことの意味を確かめる実験になる[6]。実際の田んぼは水深・降雨条件・水路の状態が絡むので、この実験は考え方の確認にとどまる。

資料は、①国土交通省の流域治水(理念と3つの対策)[7]、②農林水産省の田んぼダムパンフレット(シミュレーションの条件と結果)[6]、③豊川霞堤地区の計画(締め切った場合の水位上昇の記述)[4]の順に読むと、「あふれ方を決める」考え方が、河川・農地・まちづくりでどう形を変えるかがつかめる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

国土交通省・農林水産省などの公開資料にもとづく。数値は各資料の条件(シミュレーション・試算)での値で、実際の河川や全国の効果をそのまま示すものではない。

  1. 国土交通省「河川堤防の技術資料・設計指針」 https://www.mlit.go.jp/river/shishin_guideline/gijutsu/gijutsukijunn/sekkei/pdf/1-2_g.pdf (堤防を盛土で築く理由)
  2. 国土技術政策総合研究所・土木研究所「粘り強い河川堤防の構造検討に係る技術資料(案)」2022年12月 https://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/teibou_kentoukai/pdf/gijutsushiryo.pdf (越水による決壊と粘り強い堤防)
  3. 国土交通省 河川用語集(霞堤・遊水地・堤防) https://www.mlit.go.jp/river/pamphlet_jirei/kasen/jiten/yougo/05_06.htm (霞堤・遊水地の定義)
  4. 豊橋河川事務所ほか「豊川霞堤地区浸水被害軽減対策計画」2016年 https://www.cbr.mlit.go.jp/toyohashi/kaigi/kasumi/pdf/keikaku1.pdf (豊川の霞堤の数と締め切りの影響)
  5. 国土交通省「川の事典 富士川」 https://www.mlit.go.jp/river/toukei_chousa/kasen/jiten/nihon_kawa/0315_fujikawa/0315_fujikawa_01.html (信玄堤の工夫)
  6. 農林水産省「田んぼダム」パンフレット(流域治水) https://www.maff.go.jp/j/nousin/mizu/kurasi_agwater/attach/pdf/ryuuiki_tisui-228.pdf (田んぼダムのしくみとシミュレーション)
  7. 国土交通省 九州地方整備局「流域治水」 https://www.qsr.mlit.go.jp/n-kawa/ryuikichisui/index.html (流域治水の考え方と3つの対策)
  8. 国土交通省「流域治水プロジェクト」 https://www.mlit.go.jp/river/kasen/ryuiki_pro/index.html (プロジェクトの全体像と公表日)
  9. 国土交通省「水災害対策とまちづくりの連携」資料 https://www.mlit.go.jp/river/kokusai/pdf/hurricane/pdf11.pdf (気温上昇時の降雨量・洪水頻度の試算)

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