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1しょくの インクだけで、しゃしんの こい ところと うすい ところを どう 印刷いんさつしたの?

1色のインクで、白黒写真の濃淡を紙に刷るには、どんな工夫があったのか

1版1色のインクで写真の階調を刷る:網点とコロタイプ、ウッドバリータイプの違い

分野:技術

しゃしんの 黒い ところと 白い ところの あいだには、うすい ねずみ色が たくさん あります。でも、印刷いんさつの 版ばんは、一まいで 一しょくの インクしか すれません。

どうして ねずみ色まで すれたのでしょう。この ページを 読むと、点の 大きさで 見せる ほうほうと、ゼラチンの かたさで 見せる ほうほうが あった ことが わかります。

白黒写真には、真っ黒と真っ白のあいだに、うすい灰色が無数にあります。ところが、印刷に使う版は、1枚で1色のインクしか刷れません[1]。インクが1色なのに、なぜ灰色まで写せたのでしょうか。

答えは大きく2つありました。1つは、画像を大小の点に分けて濃淡に見せる網点。もう1つは、ゼラチンの硬さでインクの量を変える、網点のないコロタイプです。コロタイプでは、ゼラチンの版に不規則なひびが生まれます。そのひびが、網点の代わりに画像を支えました。この記事を読むと、2つの方法のしくみと、ウッドバリータイプとの違い、文字と一緒に刷れるかどうかの差が分かります。

写真の階調は連続的に変わるが、印刷の版は1枚につき1色のインクしか刷れない[1]。濃淡をどう表すかが、写真を印刷物にするときの根本の問題だった。解決の道は大きく2つに分かれる。画像を大小の点に分ける網版(ハーフトーン)と、点を使わず、光で硬くなるゼラチンの量でインクの量を変えるコロタイプである。

この記事を読むと、両者のしくみ、1855年に発明されたコロタイプが網目なしで連続調を出せた理由、ウッドバリータイプとの関係、文字との組み合わせに生じた制約が分かる。

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1. 一しょくの インクで、ねずみ色は 出せるの?

1. 灰色がない版で、灰色に見せる方法は何か

1. 1色のインクで階調を出す方法:点の大小という解決

うすい ねずみ色を 紙に すりたい とします。でも、版ばんに つける インクは 黒だけです。うすい 黒は、つかえません。

そこで、くふうが うまれました。絵を、小さな 点に わけるのです。くらい ところは、大きな 点を すきまなく ならべます。あかるい ところは、小さな 点を ばらばらに ならべます。

はなれて 見ると、点は とけあって、こい ところと うすい ところに 見えます。この 点の 絵の 版ばんを、あみ版ばん(あみはん)と いいます。

版にインクをつけて紙に押す印刷では、1枚の版は1色のインクだけを刷ります[1]。薄い灰色用に、薄めた黒を別に用意することはできません。

そこで考え出されたのが、画像を、大きさの異なる何千もの小さな点に分ける方法です。暗い部分は点を大きく、密に。明るい部分は点を小さく、まばらに並べます[1]。少し離れて見ると、目は点を1つずつ見分けられず、点の面積の割合を明るさとして受け取ります。

この方法でできた版を網版(ハーフトーン)と呼びます。インクは1色のままなのに、点の大小だけで、灰色の段階が表せるわけです。

では、網点が使えるようになる前は、写真のような濃淡は、どう刷っていたのでしょうか。

写真の階調は連続的に変化するが、版1枚が刷れるインクは1色である。薄い灰色のために別の濃度のインクを用意する方法は、1回の刷りでは使えない。この制約があるため、濃淡は、インクの色ではなく、紙に載るインクの面積で表すことになる。

網版では、画像を大きさの異なる何千もの点に分け、暗部は点を大きく密に、明部は小さく疎にする[1]。点の間隔が目の分解能より細かければ、観察者は個々の点を見分けられず、点とその周囲の紙の割合を、明るさとして知覚する。点自体の濃さではなく大きさが濃淡を担うので、1色のインクで足りる。

この方式は、のちに手彫りの木口木版に取って代わった[2]。では、網版の登場以前に、濃淡はどう表現されていたのか。

2. しゃしんが ない ころ、絵は だれが ほったの?

2. 網点の前に、濃淡を刷っていたのは彫る人だった

2. 網版が置き換えた手彫りの世界:線から階調へ

あみ版ばんが できる 前は、絵を ほる 人が いました。みがいた 金ぞくの 板に、ビュランという 道具で 線を ほります。その 線に インクが 入って、紙に うつります。

線を 太く したり、たくさん ならべたり すると、こい ところに 見えます。でも、これは 線の 絵です。写真の ような なめらかな ねずみ色では ありません。

なめらかな こさを インクで 出せた はじめの しっかりした ほうほうは、アクアチントと いわれます。

網点が広まるより前、本の絵は、彫る職人の仕事でした。銅版の彫刻(エングレーヴィング)では、職人がビュランという道具で、磨いた板に線を彫り込みます[3]。線の太さや間隔を変えて、濃淡の感じを出していました。

線で描く方法では、なめらかな灰色は出しにくいものです。インクで階調を表せた最初の本格的な方式は、アクアチントだったといわれます[3]。

やがて、写真をそのまま印刷に使う技術が必要になります。写真の画像に、インクの版が対応していった順番には、意外なところがあります。凹版が最初で、最も古い凸版は最後に実用化されたのです[2]。

凸版は、活字と同じ高さの出っぱりにインクをつけて刷る方式です。のちにこの方式で、網点の版が、手彫りの木口木版を置き換えていきます[2]。

けれど、網点とは別に、点を使わずに濃淡を出す道もありました。

網版が普及する前の図版は、彫刻家の手仕事だった。銅版の彫刻(エングレーヴィング)では、ビュランで磨いた板に線を彫り込む[3]。階調は、線の太さと密度で擬似的に表すしかない。インクで階調を表せた最初の本格的な方式は、アクアチントだった[3]。

写真との関係で興味深いのは、版の三つの種類が、写真の画像に対応した順序である。凹版が最初で、最も古い凸版は最後に実用的な形になった[2]。凸版は、活字と同じ組版に組み込めるという利点があり、網点だけでできた版は、最終的に手彫りの木口木版を置き換えた[2]。

ところが、点に分けないまま連続調を刷る方式が、網版より前に発明されていた。それがコロタイプである。

3. 点を つかわない、ふしぎな 版ばんって なに?

3. 点に分けずに濃淡を刷る、コロタイプのしくみ

3. コロタイプ:ゼラチンの硬化度でインク量を決める版

コロタイプは、点を つかわない 印刷いんさつです。1855年に、アルフォンス・ポワトヴァンという 人が 発明 したと されて います。

まず、ガラスの 板に、ゼラチンを ぬります。ゼラチンは、光が 当たると かたく なる くすりを まぜて あります。この 板に 写真の すがたを うつして、光を 当てます。

光を たくさん 受けた ところは かたく、少ない ところは やわらかい まま です。かたい ところは インクを たくさん つけ、やわらかい ところは あまり つけません。だから、点が なくても、こい うすいが そのまま 紙に うつります。

ガラスの 板を つかう くふうは、1868年に ジョセフ・アルバートが くわえた ものです。

コロタイプは、1855年にアルフォンス・ポワトヴァンが発明した方式です[4]。版は、重クロム酸塩を混ぜたゼラチンをガラス板に塗って作ります。この薬品は、光に当たると反応して、ゼラチンの性質を変えます[4]。

この版に写真の像を写して光を当てると、光を多く受けた部分ほどゼラチンが硬くなり、インクを多く吸います[4]。硬さの違いがそのままインクの量の違いになるので、点に分ける必要がなく、網目を使わずに連続調の画像が紙に移ります[4]。

ガラス板と下地の層を使う改良は、1868年にジョセフ・アルバートが加えたものです[4]。コロタイプは19世紀後半から20世紀にかけて、広く使われました[4]。

ここで疑問が出ます。点も網もないのに、紙の上ではどんな模様が見えるのでしょうか。

コロタイプは、1855年にアルフォンス・ポワトヴァンが発明した[4]。版は、ガラス板に重クロム酸塩を含むゼラチンを塗って作る。クロム塩の感光性を利用する方式である[4]。ガラス版と下地層を使う改良は、1868年のジョセフ・アルバートによる[4]。

原理は、露光量とゼラチンの硬化度の対応にある。光を多く受けた部分ほどゼラチンは硬くなり、インクを多く保持する。逆に、光が少なかった部分は軟らかいままで、保持するインクが少ない[4]。つまり、網版が「点の面積」で濃淡を表すのに対し、コロタイプは「各点が持つインクの量」そのものを連続的に変える。そのため点に分けず、連続調の画像が紙へ移る[4]。

この方式は19世紀後半から20世紀にかけて広く使われた[4]。しかし、ゼラチンの版には、網の代わりになる別の構造が現れる。

4. 虫の もよう みたいな ひびは、なに?

4. 網の代わりになった、ゼラチンのひび割れ

4. レティキュレーション:ゼラチンに生じる亀裂が網の役割を担う

コロタイプの 版ばんを つくる とき、ゼラチンの 板を あらったり かわかしたり します。そのうちに、ゼラチンに 小さな ひびが たくさん できます。

この ひびは、でたらめな もようを して います。レティキュレーションと よばれて います。この ひびが、あみの かわりに なります。

つまり、人が 点を ならべたのでは ありません。ゼラチンが 自分で つくった ひびが、インクを うけとめる のです。そのあと、版ばんは 50ど ほどで、2~3時間 かけて 乾燥かんそうさせます。

コロタイプの版は、洗ったり乾かしたりする工程のなかで、ゼラチンにランダムな亀裂が無数にできます。この亀裂はレティキュレーションと呼ばれ、網目のない版の中で、網の代わりをする構造になります[4]。

網点は、機械的に規則正しく並べた点です。一方、このひびは、ゼラチンが自然にひび割れてできる不規則な模様です。同じ「網のないように見える」画像でも、成り立ちはまったく別でした。

版は洗ったあと、乾燥箱で約122°F(約50℃)に保ち、2〜3時間かけて乾かします[4]。時間も手間もかかる、職人の仕事だったことが想像できます。

では、同じころに登場したウッドバリータイプとは、何が違ったのでしょうか。

コロタイプの版は、洗浄や乾燥の工程で、ゼラチンにランダムな亀裂が生じる。この亀裂(レティキュレーション)は、スクリーンを使わずに画像を支える網目の役割を果たす[4]。

網点と比べると、性質がはっきり違う。網点は規則的に配置された人工の点で、大きさを制御して濃淡を表す。一方、亀裂は不規則で、洗浄や乾燥の工程で起こるゼラチンの自然現象から生まれる。見かけ上は「網なし」でも、画像を保持する仕組みを別の構造が担っているので、拡大して見ると独特の模様が現れる。

版は洗ったあと、乾燥箱で約122°F(約50℃)で2〜3時間乾燥させる[4]。洗う、乾かすと工程を重ねる版であり、手間のかかる職人仕事だったことがうかがえる。

同じ時期の網なし印刷には、ウッドバリータイプもあった。両者の関係を見る。

5. もう 一つの 点なし 印刷いんさつと、文字の もんだい

5. ウッドバリータイプと、文字と一緒に刷れない問題

5. ウッドバリータイプとの交代、そして文字との相性という限界

もう 一つ、点の ない 印刷いんさつが ありました。ウッドバリータイプです。1864年に、ウォルター・ウッドベリーと ジョセフ・スワンが 特許とっきょを とりました。ルーペで 見ても、もようは 見えません。こまかい ところまで うつせました。

ただし、大きさに かぎりが ありました。11インチ×14インチ(およそ28センチ×36センチ)より 大きい ものは、つくられなかったと いわれます。ふつうは、もっと 小さい ものでした。

のちの 1800年代の おわりごろ、コロタイプが ウッドバリータイプに かわりました。でも、その あとは おとろえて いきます。

コロタイプには もう 一つ、こまった ことが ありました。文字と 絵を、いっしょに すれないのです。だから、活字かつじの 印刷いんさつと くみあわせて つかいました。

ウッドバリータイプは、1864年にウォルター・ウッドベリーとジョセフ・スワンが特許を取った、写真の機械印刷です[5]。拡大鏡で見ても網目の模様はなく、細部まで再現できるとされています[5]。

ただし、大きさには限りがありました。11インチ×14インチ(約28cm×36cm)を超えるものは作られず、たいていは7インチ×9.5インチ(約18cm×24cm)より小さかったと記録されています[5]。

コロタイプは、19世紀後半にウッドバリータイプにとって代わりました。ただし、その後はおとろえていきます[5]。

コロタイプには、もう1つ弱点がありました。文字と画像を同じ工程で刷れないのです[5]。そのため、活字の印刷と組み合わせて使われました。

これは、活字と図版を同じ組版に組み込める凸版とは対照的です[2]。網点が主流になった背景には、画質だけでなく、文字と一緒に刷れる手軽さもあったと考えられます。ただし、資料にそう書かれているわけではなく、2つの事実を並べた筆者の推測です。

ウッドバリータイプは、1864年にウォルター・ウッドベリーとジョセフ・スワンが特許を取った[5]。拡大鏡で見ても目に見える網目模様はなく、細部の再現に優れる[5]。しかし、大きさに限界があり、11インチ×14インチ(約28cm×36cm)を超えることはなく、通常は7インチ×9.5インチ(約18cm×24cm)より小さかった[5]。

コロタイプは、19世紀後半に一時、ウッドバリータイプに取って代わった。ただし、のちには勢いを失った[5]。この記述は二次資料に基づく。

コロタイプには、構造上の弱点もある。文字と画像を同時に刷れない。そのため、文字は活版印刷などで別に刷る必要があった[5]。

対照的に、凸版では、金属活字と図版が同じ組版に一緒に組み込まれ、同じ紙に刷られた[2]。ここから、網点が主流になった背景には、画質だけでなく、文字と図版を一度に刷れる効率もあったと推測できる。ただしこれは2つの資料の事実を並べた筆者の推測で、資料が因果を述べているわけではない。

こうして、点を使わずに濃淡を出す技術は、連続調という強みと引き換えに、版の工程の長さ、大きさの制限、文字との相性という条件を抱えていた。

6. 身近な 本を、ルーペで 見て みよう

6. 家にある印刷物の濃淡を、拡大して見てみる

6. 印刷物の濃淡を確かめ、原典に当たる

きょう できる こと

おうちの 新聞しんぶんや 雑誌ざっしの、写真の ところを、ルーペで 見て みましょう。ルーペは、大人の 人に かりて ください。

くらい ところは 点が 大きく、あかるい ところは 点が 小さく 見える かも しれません。紙に よって 見え方は ちがいます。

しらべる とき

むかしの 写真つきの 本が おうちや 図書館に あれば、おとなの 人と 見て みましょう。点が 見えない ものが あれば、コロタイプかも しれません。ただし、ほかの 方式も あるので、決めつけない ことが 大事です。

家の印刷物で試す

新聞や雑誌の写真部分を、ルーペで見てみましょう。濃い部分は点が大きく密に、薄い部分は小さくまばらになっているか、確かめられます。紙の種類や印刷方式によって見え方は違うので、見つからなくても失敗ではありません。

古い写真入りの本で

昔の写真入りの本が家や図書館にあれば、大人と一緒に写真の部分を見てみましょう。点が見えず、細かい不規則な模様が見えたら、コロタイプかもしれません。ただし、見た目だけでは方式を決められません。

資料を読むなら

コロタイプの工程は、Graphic Atlas[4]に写真つきで載っています。英語の資料ですが、図を見るだけでも流れが分かります。

印刷物で確かめる

新聞や雑誌の写真部分を拡大し、暗部の点が大きく密で、明部が小さく疎になっているかを確かめられる。古い写真入りの図書があれば、網点が見えるか、不規則な模様が見えるかも比べられる。ただし、見た目だけで方式を判定することはできないので、資料と照らす必要がある。

資料を読むなら

網版の原理は[1]、凸版・凹版と写真の関係は[2]、彫刻とアクアチントは[3]、コロタイプの工程は[4]、ウッドバリータイプの特徴と大きさは[5]にある。いずれも英語の資料である。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文で使った資料です。

  1. University of Minnesota Libraries. The Printing Press and the Halftone Process. https://gallery.lib.umn.edu/exhibits/show/pre-separated-art/press-halftone (1版1色と網点)
  2. Yale Center for British Art. The Printed Picture: Photography in Ink, Relief and Intaglio Printing. https://printedpicture.artgallery.yale.edu/contents/photography-in-ink-relief-and-intaglio-printing (凸版・凹版と写真/活字と図版)
  3. Yale Center for British Art. The Printed Picture: Intaglio and Planographic Printing. https://printedpicture.artgallery.yale.edu/the-book/intaglio-and-planographic-printing (彫刻とアクアチント)
  4. Graphic Atlas. Collotype. https://new.graphicsatlas.org/collotype (コロタイプの発明・工程・亀裂)
  5. Photographic Materials Collection ID Guide, Illinois (PSAP). Photomechanical. https://psap.library.illinois.edu/collection-id-guide/photomechanical (ウッドバリータイプ・コロタイプの特徴)

なおした ところ

更新履歴

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