1. にじ色は、どこから 来るの?
1. 色のない油が、水の上で色づく
1. 色がないのに色づく油膜 ── 表面と裏面の反射光の重なり
あぶらには、にじの 色は ありません。それなのに、水の 上に ひろがると、にじ色に 見えます。
ひみつは、光です。光は、あぶらの まくの 上の めんで はねかえります。まくの 中に 入った 光は、下の めんでも はねかえります[3]。
この 2つの 光が かさなって、目に とどきます。つよめ あう 色と、よわめ あう 色が できて、色づいて 見えるのです[1]。
2. 場所によって、色が ちがうのは なぜ?
2. 同じ水たまりでも、場所によって色がちがう
2. 膜厚・波長・見る角度で変わる強め合いの色
あぶらは、水より かるくて、水と まざりません。だから 水の 上に うかんで、うすく ひろがります。
ひろがった まくの あつさは、ところに よって ちがいます。あつさが ちがうと、つよめあう 光の 色も ちがいます。だから、いろいろな 色が ならんで 見えるのです。
見る 向きを かえても、色は かわります。
3. にじ色が 見える あつさは、少ししか ない
3. 虹色が見える厚さは、ごく限られている
3. 厚さによる見え方の階段 ── 0.04μm・0.3μm・5μm・50μm
ところが、にじ色が 見えるのは、まくの あつさが ちょうど よい ときだけです。
とても うすい まくは、にじ色に ならず、ぎん色や はい色の つやに 見えます。さらに うすいと、見えなく なります[2]。
ちょうど よい あつさは、かみの けの ふとさ より、ずっと 細い くらいです[2]。
海に流れ出た油の見え方を判断するために、国際的な協定(ボン協定)が、油の厚さと見え方の目安を示しています。それを紹介しているオーストラリア海事安全局の資料には、次のような階段があります[2]。
目安では、厚さが約0.04μm(マイクロメートル)より薄いと、油は見えません(見る角度でも変わります)。0.04〜0.3μmでは、銀色や灰色のつやに見えます。虹色に見えるのは、おおよそ0.3〜5μmの間です。5〜50μmになると金属のような一色になり、50μmを超えると油本来の色が目立ちはじめ、200μmを超えると油の色が優勢になります[2]。
1μmは、1mmの1000分の1です。虹色が見える最大の5μmでも、髪の毛の太さよりずっと細い厚さです。ただし、これは目安で、天気や見る角度、油の種類で不確かさがあるとされています[2]。
油膜の虹色がいちばんはっきり見えるのは、膜の厚さが目に見える光の波長(青の約0.4μm〜赤の約0.7μm)に近いときです[2]。
海面の油の見え方を、厚さで分けたコードがボン協定にある。AMSAの資料では、約0.04μm未満は見えにくく、0.04〜0.30μmは銀色・灰色のつや(sheen)、おおよそ0.30〜5.0μmが虹色(rainbow)、5〜50μmは金属のような一色、50μmを超えると油本来の色が目立ちはじめ、200μm超で優勢になる[2]。これらは目安で、天候・見る角度・油の種類による不確かさがある[2]。
油膜の虹色が最もはっきり見えるのは、厚さが可視光の波長(青0.4μm〜赤0.7μm)に近いときだ[2]。波長と同程度の厚さで、強め合う波長が限られるため、色がはっきり分かれるのだろう。
では、虹色より薄い側はなぜ色づかず、銀色に見えるのか。ごく薄い油膜は、周りの水より少しだけ光をよく反射するので、油の色ではなく銀色や灰色のつやに見える[2]。ここでの0.3〜5μmは、髪の毛の太さ(数十μm)より細い。
なお、石けん膜では、膜が極限まで薄くなると膜内の光路長が可視光の波長より短くなり、強め合う色がなくなって黒い膜に見えることがある[1]。油膜の薄い側が銀色に見えるのとは、別の説明だ。
4. あつすぎると、にじは どうなる?
4. 厚すぎると、虹は消える
4. 虹色が見えにくくなる理由 ── 強め合う波長が増える
あつく なりすぎると、こんどは にじ色が きえます。
うすい まくでは、つよまる 光の 色が いくつかに 決まります。あつい まくでは、つよまる 色が たくさん できて、まざって しまいます。だから、とくべつな 色に ならないのです[1]。
もっと あつく なると、あぶらの もとの 色が 見えて きます[2]。
5. フランクリンは、池の 上で なにを 見たの?
5. フランクリンの池と、「分子1個ぶん」の薄さ
5. フランクリンの池 ── 広がりから見積もる膜の厚さ
むかしの アメリカに、ベンジャミン・フランクリンという 人が いました。池に ほんの 少しの あぶらを たらすと、とても ひろく ひろがった、と かいたと つたえられて います[4]。
その あぶらは、小さじ 1ぱいほど。ひろがった ところは、およそ 2000へいほうメートルでした[4]。
あとの 人たちが 計算すると、まくの あつさは、ぶんし 1こぶんほどだと 見つもられました。にじ色の 見える あつさより、ずっと うすい ものでした。
ベンジャミン・フランクリンは、小さじ1杯ほどのオリーブ油が、クラパム・コモンという池の約半エーカー(約2000平方メートル)に広がったと書いたと伝えられています[4]。
この広がりから、後の時代の人が膜の厚さを見積もり、油の分子1個ぶんほど(およそ1〜2nm)の薄さだと考えました[4]。1nm(ナノメートル)は1μmの1000分の1です。虹色が見える0.3μmの100分の1以下で、これだけ薄いと、虹色にはなりません。
ただし、「分子1個ぶん」はあとの時代の見積もりで、フランクリン自身の結論ではありません[4]。
ベンジャミン・フランクリンは、小さじ1杯ほどの油がクラパム・コモンの池の約半エーカー(約2000m²)に広がったと記した[4]。この広がりと油の体積から、膜の厚さを逆算すると、分子1個ぶんほどになる。見積もりは前提によって約1nm〜2nmと幅がある[4]。
1nmは0.001μmだ。虹色が見える下限の0.3μm(300nm)に比べて、100分の1以下になる。この厚さは、AMSAの目安で「見えない」側(0.04μm=40nm未満)にも入る[2]。
「分子1個ぶん」は、後世による見積もりで、フランクリン自身の結論ではない。ただ、目で見える広がりから、見えないほど薄い膜の厚さを逆算できるという着想は面白い。
6. 見つけたら、どこから 見ると いいかな
6. 雨上がりの水たまりで、見る位置を変えてみる
6. 出口 ── 観察の道すじと、原資料の読みどころ
雨が あがった あとに、歩どうから、にじ色の まくの 水たまりを たまたま 見かけたら、見る 向きを すこしずつ かえて みましょう。色は かわるでしょうか。
道ろには、出ないでください。くるまに ちゅういして、歩どうから 見ます。おうちの 人と いっしょに 行きましょう。
雨上がりに、歩道から虹色の膜が浮かぶ水たまりを見かけたら、立つ位置や目の高さを少しずつ変えて観察してみましょう。色が変わる場所や、色が見えなくなる場所があるでしょうか。
わざわざ探しに行かず、道路の中には入らず、車に注意してください。水たまりに近づきすぎないようにしてください。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
出典について:東京都の教材、オーストラリア海事安全局の資料、大学の解説、物理の教科書を使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。
- スライドガラスで見る薄膜干渉(東京都 デジタル教材)。https://www.digirika.tym.ed.jp/wp-content/uploads/hakumakukanshou.pdf (薄膜干渉の基本、厚い膜で色づかない理由、極薄の膜について)
- Australian Maritime Safety Authority, Identification of oil on water(Bonn Agreement Oil Appearance Codes を紹介する資料)。https://www.amsa.gov.au/sites/default/files/2014-01-mp-amsa22-identification-oil-on-water.pdf (厚さと見え方の目安、虹色がはっきり出る厚さについて)
- Ask Dr. Universe(ワシントン州立大学), Why does oil on the street look like a rainbow?。https://askdruniverse.wsu.edu/2021/02/12/oil-street-look-like-rainbow/ (油膜での2回の反射、見る角度による色の変化について)
- Royal Society of Chemistry, Franklin's teaspoon of oil。https://edu.rsc.org/resources/franklins-teaspoon-of-oil/574.article (フランクリンの池の話について。二次資料)
- LibreTexts Physics, Interference in Thin Films(Muhlenberg College)。https://phys.libretexts.org/Courses/Muhlenberg_College/Physics_122%3A_General_Physics_II_(Collett)/13%3A_Interference/13.05%3A_Interference_in_Thin_Films (反射での位相のずれについて)
- Science ABC, Why does petrol create a rainbow on water。https://www.scienceabc.com/eyeopeners/why-does-petrol-create-a-rainbow-on-water.html (油が水に浮いて広がること。一般向けのサイト)
- OpenStax University Physics Volume 3, 3.4 Interference in Thin Films。https://openstax.org/books/university-physics-volume-3/pages/3-4-interference-in-thin-films (厚さが違えば見える色も違うことについて)
なおした ところ
更新履歴
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