1. しぶい 実から、どうして あぶらが とれるの?
1. 生では食べにくい実から、油をとる5つの手順
1. 食べにくい果実から、5つの操作で油を分ける
オリーブの 実は、とった ままでは しぶくて たべにくい と いわれます[5]。たべる ための 実は、水や しおに つけて、しぶみを ぬいて います。
でも、あぶらを とる ときは、ちがう やり方を します。じゅんばんは この とおりです[1]。
① あらう。② くだく。③ かきまぜて ペースト(どろどろ)に する。④ 回して、あぶらと 水分、のこった かすに わける。⑤ あぶらを こす。
くすりで あぶらを とりだす のでは ありません。水あらいと、きかいの 力で とります。
洗う・砕く・練る・回す・こす
香川県の説明では、油づくりの流れはこうです。傷んでいない実を洗い、砕いて、かき混ぜながらペースト状にします。次にそのペーストを遠心分離機にかけて、油分と水分を含む液体と、搾りかすに分けます。最後に、液体から油を分けてろ過します[1]。
国際オリーブ理事会(IOC)の基準では、バージンオリーブオイルは、機械的または物理的な方法だけで得た油です。しかも、熱などの条件が油を変質させない状態で、とることが条件です。許されている処理は、洗浄、デカンテーション(上澄みを分ける)、遠心分離、ろ過だけです[3]。
実はどれくらい要るのか
スペインの生産者の紹介では、条件によって実の重さの約20〜25%が脂肪分で、油1リットルをとるのに、目安として4〜6kgの実が要るとされます。品種や熟し方、条件で変わるので、あくまで目安です[6]。お米の5kg袋くらいの実から、牛乳パック1本分ほどの油がとれることもある、という目安です。
では、砕いたあとに「練る」のは、何のためでしょうか。
香川県の資料によれば、遠心分離法の工程は、健全な果実の洗浄、粉砕、撹拌によるペースト化、遠心分離機による採油かすと液体(水分と油分)の分離、さらに油の分離とろ過である[1]。IOCの基準では、バージンオリーブオイルは機械的または物理的な方法だけで得られ、とくに熱の条件が油を変質させない状態で得られることが要件になる。認められる処理は、洗浄・デカンテーション・遠心分離・ろ過に限られる[3]。
原料のオリーブは、収穫したままの生食は難しいとされ、食用の実は水や塩に漬けて渋抜きをする[5]。つまり、食べる実と油をとる実では、手の入れ方がまったく違う。
収量の目安は、スペインの生産者の説明では、条件によって果実重量の約20〜25%が脂肪分、1リットルの油に4〜6kg程度の果実が必要とされる。品種・熟度・条件で変わり、資料によっては幅がさらに大きいため、目安にとどめる[6]。では、砕いたあとのペーストを「練る」工程は、何をしているのか。
2. ねると、あぶらの つぶが どうなるの?
2. 砕いたあと、なぜ練るのか
2. 練り込み工程で、油滴はどうなるか
くだいた 実の 中には、小さな あぶらの つぶが たくさん あります。でも、つぶが ばらばらの ままだと、あぶらは 分けにくいのです。
そこで、ペーストを ゆっくり かきまぜます。すると、小さな つぶが くっついて、だんだん 大きな かたまりに なります[1]。
ぎゅうにゅうを ふりつづけると バターの つぶが できる、と いうでしょう。それに ちょっと にた はなしです。ただし、オリーブは ふるのでは なく、きかいで ゆっくり かきまぜます。
さあ、この「ねる」ときの 温どは、高い ほうが いいのでしょうか。
砕いただけの果肉の中では、油は細胞の中の小さな粒になっています。ペーストをかき混ぜ続けると、その小さな粒が少しずつ大きくまとまります。まとまった油は、遠心分離機で水分や搾りかすから分けやすくなります[1]。
この「練り込み」の工程は、マラキサージュ(malaxation)とも呼ばれます。牛乳を振り続けるとバターのつぶができる、という話に少し似ています。ただし、バターは振って作り、オリーブは機械でゆっくりかき混ぜるので、同じ仕組みという意味ではありません。
ところで、練るときの温度は、高いほうがよいのでしょうか。
砕かれた果肉では、油は細胞内の微小な油滴として存在する。ペーストを撹拌し続けると、その油滴が徐々に合一して大きくなる。ここまでが、遠心分離の前に練り込みを入れる理由である[1]。
この工程は、マラキサージュ(malaxation)とも呼ばれる。ここで問題になるのが、温度だ。温度が高いほどペーストの粘りは下がり、油滴が合一しやすく、収量も上がることが知られている。それなら、高温で練るのが得に見える。ところが、話はそう単純ではない[2]。
牛乳を振り続けるとバターの粒ができる現象は、油滴がくっつく様子の身近な例えにはなる。ただし、振って作るバターと、機械で撹拌するペーストでは、仕組みが同じとは限らない。
3. ねる 温どは、高いと いいことばかり?
3. 練る温度を上げると、収量が増え、香りにも影響する
3. 練り込み温度のトレードオフ ── 収量と香り
あたたかい ほうが、ペーストは ねばりけが へって、あぶらの つぶが くっつきやすく なります。しぼれる あぶらの かさも ふえます[2]。
ところが、アルベキーナという オリーブを しらべた けんきゅうでは、30度を こえると、いい かおりが にげやすく なると 書かれて います[2]。
そこで、つくる 人は 温どを 気にします。27度より ひくく しぼる やり方は「コールドエクストラクション」と よばれます。20度の ように、もっと ひくい 上げんを きめる 人も います[2]。
ただし、27度は 国の きまりの 数字では ありません。ひくく しぼる やり方の 名前の めやすです。
では、オリーブオイルを「エキストラバージン」と よぶ きまりは、なにを 見ているのでしょう。
温度が高いほどペーストの粘りが下がり、油の粒がまとまりやすくなって、収量は増えます。しかし、アルベキーナ種の油を調べた研究では、練りの温度が30℃を超えたとき、香りの成分が減り、酸化も進んだと報告されています[2]。収量をとるか、香りをとるか、という引っぱり合いがあるわけです。
そこで、冷たく搾る方法(コールドエクストラクション)は、27℃未満でオリーブオイルをつくる方法と説明されています。20℃のように、もっと低い上限を決める生産者もいます[2]。
注意したいのは、27℃が法律の上限ではない点です。「冷たく搾る」という呼び名の目安として紹介されている数字で、IOCの基準の本文には、温度の数字は出てきません[3]。
では、「エキストラバージン」という名前は、何を基準に決まるのでしょうか。
温度が上がるほどペーストの粘度は下がり、油滴が合一しやすくなって収量も上がる。しかしアルベキーナ種を調べた研究は、練りの温度が30℃を超えると香気成分の損失と酸化の進行が見られたと報告する[2]。収量を優先するか、香りを優先するかの、はっきりしたトレードオフである。
この論文には、冷たく搾る方法(cold extraction)が27℃未満でオリーブオイルを製造する方法だという説明がある。さらに、20℃のように低い上限を採る生産者もいる[2]。ここで注意が要る。27℃は法的な上限ではなく、呼び名の目安であり、IOCの本文には温度の数値がない[3]。また、この数字は一つの論文の記述なので、産地や品種に一律に当てはまるとは限らない。
では、IOCがエキストラバージンを分ける基準は、温度ではなく何なのか。
4. 「エキストラバージン」は、なにを 見て きまるの?
4. 「エキストラバージン」を分ける、作り方と酸度の基準
4. IOC基準:機械的方法と遊離酸度による等級
こくさい オリーブ りじかい(IOC)の きじゅんでは、バージンの オリーブオイルは、きかいや 力だけで とった あぶらです。ねつで あぶらが かわらない ように することも、じょうけんに なって います[3]。
その 中でも「エキストラバージン」は、あぶらの じょうたいを あらわす 数が 0.8 いか。「バージン」は 2 いか、と きまって います[3]。
つまり、つくり方と、あぶらの たいちょうの 両方を 見て、よび名が きまります。
では、いい あぶらを とる には、ほかに なにが 大じなのでしょう。
5. とってから しぼる まで、なぜ いそぐ の?
5. 収穫から搾るまでを急ぐ、石巻の例
5. 収穫から搾油までの時間 ── 石巻の6時間
かがわけんの はなしでは、しゅうかくから しぼる までの 期かんが みじかい ほど、ひんしつが いいと されます[1]。
みやぎけんの 石まきでは、手で つんだ 青い 実を、手で えらんで、とってから 6じかん いないに きかいで しぼって います[4]。これは 石まきの 一れいで、ぜんぶの さんちの きまりでは ありません。
青い 実から とった あぶらは、青い 実 とくゆうの しぶみと からみが あります。それが、あぶらの あまさを ひきたてる と いわれます[4]。
そんな オリーブは、日本の どこで そだてる ことに せいこうしたのでしょう。
6. 日本で オリーブが そだった のは、どこ?
6. 3県で試したオリーブ栽培、小豆島で成功
6. 1908年の試作と、小豆島が成功した理由
1908ねん(明じ41ねん)、国は、みえけん、かがわけん、かごしまけんの 3つで、アメリカから とりよせた 木の なえを 育てる ためしを はじめました[7]。
うまく いったのは、かがわけんの しょうどしまだけ でした[7]。
しょうどしまは、1年の 気おんが 平きんで 16度、雨は 1年で 1,100ミリほど。ちちゅうかいの まわりと、気こうや ふうどが にて いると されます[7]。
その あと、1959ねんに オリーブの せいひんの ゆにゅうが じゆうに なると、日本の オリーブづくりは 大きく へりました。でも、へいせいの ころから、日本で とれた オリーブに 目を むける 人が また ふえて います[7]。
1908年(明治41年)、農商務省が三重・香川・鹿児島の3県を指定し、アメリカから輸入した苗木で試作を始めました。その中で、栽培に成功したのは、香川県の小豆島だけでした[7]。
小豆島は、年平均気温が16℃、年間降水量が1,100mm程度の瀬戸内式気候です。地中海沿岸に気候や風土が似ていることが、オリーブに向く理由とされています[7]。
その後、1959年にオリーブ製品の輸入が自由になると、国内の栽培は急に減りました。しかし平成になるころから、国産への関心が再び高まっています[7]。
いまの食卓にある一本の油の向こうには、3県で試して、小豆島で栽培に成功した、100年以上前の挑戦があるのです。
日本でのオリーブ栽培は、1908年(明治41年)に農商務省が三重・香川・鹿児島の3県を指定し、アメリカから輸入した苗木で試作を始めたことから語られる。このとき成功したのは、香川県の小豆島だけだった[7]。
香川県の資料は、小豆島が年平均気温16℃、年間降水量1,100mm程度の瀬戸内式気候で、地中海沿岸と気候や風土が似ていることを、栽培に適する理由として挙げる[7]。ただし、3県のうち1県だけが栽培に成功したことを、気候の違いだけで説明しきれるかどうかは、この資料からは分からない。
その後、1959年にオリーブ製品の輸入が自由化されると国内栽培は急減したが、平成以降は国産への関心が再び高まった[7]。いま、国産のバージンオリーブオイルの背後には、100年以上前の試作の積み重ねがある。
7. おうちの ボトルを、ひっくり返して 見て みよう
7. 家のオリーブオイルのラベルから、さがしてみよう
7. 手もとの一本と、原資料から確かめられること
おうちに オリーブオイルが あれば、ボトルの うらを 見て みましょう。
「エキストラバージン」と かいて あるか。どこの 国や 土地の 名前が あるか。いつまでに つかうと いいか。ほかの 絵や 文字も さがして みましょう。
見つけた ことばを、この 記事の どの ぶぶんと つながるか、かんがえて みると おもしろいです。
もっと しりたく なったら、かがわけんや みやぎけんの ホームページに、オリーブの ことが のって います。おうちの 人と 見て みましょう。
家にオリーブオイルがあれば、ラベルを見てみましょう。「エキストラバージン」と書いてあるか。産地の国名や地名はあるか。使うのに向いた期間はいつまでか。それぞれが、この記事のどの話と結びつくかを考えると、ただの調味料が、少し違って見えてきます。
もっと知りたいときは、香川県の「オリーブオイルの製造」のページに、搾り方のくわしい説明があります。宮城県の石巻の収穫のページとあわせて読むと、搾るまでの時間の考え方が、さらによく分かります。
家にオリーブオイルがあれば、ラベルに、エキストラバージンの表示の有無と、産地・賞味期限があるかを見るとよい。表示とIOCの基準の関係を、自分で読み解く練習になる。ただし、ラベルだけでは、練り込み温度や収穫から搾油までの時間は分からないことが多い。
原資料としては、香川県の「オリーブオイルの製造」(工程の説明)と、IOCの「Olive oil」(基準の定義)、練り込み温度を扱った論文(PMC9656856、英語)が読める。宮城県の石巻のページは、収穫から搾油までの時間の実例として参考になる。
この記事で触れなかった論点として、練り込みの標準的な時間、二相式・三相式といった遠心分離機の方式の違いがある。これらは、各産地や論文で、条件が異なる可能性がある。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
本文は次の資料をもとに、自分の言葉で書いています。URLは変わることがあります。
- 香川県「オリーブオイルの製造」 https://www.pref.kagawa.lg.jp/noshishozu/noshi_olive/oil1.html (搾油の工程、収穫から採油までの期間)
- Arbequina EVOO malaxation study (PMC9656856) https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9656856/ (練り込み温度と香り・収量、冷たく搾る方法の目安)
- International Olive Council: Olive oil https://www.internationaloliveoil.org/olive-world/olive-oil/ (バージンの定義、許される処理、遊離酸度の基準)
- 宮城県「石巻産オリーブの収穫」 https://www.pref.miyagi.jp/soshiki/et-sgsin-ns/r6-olive.html (収穫から6時間以内の搾油、青い実の風味)
- macaroni「オリーブの実」 https://macaro-ni.jp/52871 (生の実が食べにくい理由。一般向けの解説)
- Olivarte「How many kilos of olives for a liter of olive oil」 https://olivarte.es/en/blogs/noticias-aceite-oliva/cuantos-kilos-de-aceituna-se-necesitan-para-un-litro-de-aceite-de-oliva (実の重さと油の量の目安。生産者の説明)
- 香川県「香川のオリーブ」 https://www.pref.kagawa.lg.jp/noshishozu/noshi_olive/kagawa.html (1908年の試作、小豆島の気候、輸入自由化と再評価)
なおした ところ
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