1. くもりの 日、火は どこから くるの?
1. 曇りの日は、前日につくった火を使う
1. 曇天の採火 ── 予行で採った「予備の火」
ギリシャの オリンピアという 場所で、せいかに 火を つけます。くぼんだ 大きな 鏡で 太陽の 光を 集めると、トーチの 先に 火が つきます。
でも、くもりだと 光が 弱くて つきません。2024年の パリ大会の ときは、本番の 日が くもりでした。そこで、前の 日の 練習で 太陽から とって おいた 火が、つかわれました。
2026年の 冬の 大会では、本番が くもりに なりそうだと 言われて いたので、2025年11月24日に 練習で 火を つくって おきました。そのときは、およそ 7秒で 火が つきました。
では、そもそも どうして 太陽の 光なのでしょう。
2. どうして 太陽の 光を つかうの?
2. 「火の純粋さ」を保つ、昔ながらの方法
2. IOCが説明する「古代からの火」と、資料で分からないこと
IOCという、オリンピックを 開く ための 大きな 会は、「むかしから ある やりかたで、火が きれいな ままで いられる」と 話して います。ライターの 火とは ちがう、太陽の 火、という 考え方です。
太陽の 光で とった 火には、「太陽から もらった 火」という 意味が こめられて います。ただし、ライターの 火と、火の 中身が ちがう わけでは ありません。
むかしの 人が 鏡で 火を つけて いたかどうかは、この 記事で つかった 資料には、のって いません。
IOCは、1936年のベルリン大会の採火を、放物面鏡(凹面鏡)で太陽の光を集めて行ったと紹介し、これを「古代からの、火の純粋さを保証する昔ながらの方法」と説明しています[1]。
この方法は、詩的な発想から生まれたと紹介されることもあります。考古学者のフィラデルフェウスが、「ギリシャの太陽の光からじかにつけるほうがずっと詩的だ」と提案したという話です[2]。ただし、これは出典の紹介文の範囲の話で、提案の中身の細部までは分かりません。
ここでいう「純粋さ」は、火の成分の違いではなく、太陽の光から採ったという由来に込めた意味です。ライターのほうが簡単なのに、あえて太陽を使うところに意味があります。なお、古代に鏡で火をつけた証拠は、この記事で使った資料には示されていません。では、古代の火とはどんな火だったのでしょうか。
IOCは、1936年ベルリン大会の採火が太陽光線を反射させる放物面鏡で行われたことを紹介し、これを「古代からの、火の純粋さを保証する昔ながらの方法」と位置づけている[1]。ここでいう「純粋さ」は火の成分の違いではなく、太陽の光から採ったという由来に込めた意味である。
この方法は、考古学者アレクサンダー・フィラデルフェウスが「ヘレニックの太陽の光からじかにつけるほうがはるかに詩的だ」と述べたことに端を発するという紹介がある[2]。ただし、これは出典の紹介文の域を出ず、提案の範囲は確かめられていない。
注意したい点は3つある。第一に、オリンピック憲章は「聖火はIOCの権限のもとオリンピアで採られる火」と定めるとされるが、太陽光・凹面鏡の使用まで義務づけるかは、この記事の資料からは分からない。第二に、古代に鏡で採火した証拠は、この記事で使った資料には示されていない。第三に、「純粋」とは科学的な性質の話ではなく、意味づけの話である。
では、その「古代」の火とは、どんな火だったのか。
3. 古代の 火は、どんな 火だった?
3. 古代の聖なる火 ── かまどの女神と、盗まれた火
3. 古代オリンピアの火 ── ヘスティアの祭壇とプロメテウスの神話
むかしの ギリシャでは、火は かみさまの ものだと 思われて いました。プロメテウスという かみさまが、火を ぬすんで 人に あげた、という 神話も あります。
オリンピックの おまつりの あいだ、かまどの かみさまの ための 場所で、ずっと 火が もえ つづけて いました。4年に 1度、ゼウスと ヘラという かみさまの 場所でも 火が ともされました。
火は、ただの あかりや ねつでは なく、かみさまと つながる、とくべつな ものだったのです。
4. 火を おくる リレーは、いつ はじまったの?
4. 1936年、火を運ぶリレーが生まれた
4. 1928年の塔の火から、1936年のリレーへ
近代の オリンピックで、火が はじめて 出てきたのは、1928年の アムステルダム大会です。高い とうの 上の 大きな うつわで、火が もやされました。この ときは、まだ リレーは ありませんでした。
1936年の ベルリン大会で、オリンピアから 開く まちまで 火を はこぶ リレーが はじまりました。7月20日に、オリンピアで、太陽の 光を 集めて 火を つけました。ドイツの 会社が 作った 鏡が つかわれた、と 言われて います。走った 人は、およそ 3千人でした。
だれが 思いついたのかは、読む 本に よって ちがいます。カール・ディームという 人の 名前が よく 出て きますが、考古学者の シフさんの 考えを ディームさんが 実行した、と 書く 本も あります。
近代の大会で火が初めて登場したのは、1928年のアムステルダム大会です。マラソン塔と呼ばれる細長い塔の上の大きな鉢で燃やされ、街のどこで大会が開かれているかを遠くから知らせました[4]。ただし、このときはまだ聖火リレーはありませんでした。
オリンピアから開催地まで火を運ぶリレーは、1936年のベルリン大会で初めて取り入れられました。7月20日、オリンピアでツァイス社製の凹面鏡を使って採火が行われ、火をつけたのは舞踊家のクーラ・プラツィカだったと伝えられています[5]。ギリシャからドイツまで7か国を通り、走者は約3千人でした。人数や距離は資料によって数字が割れるため、およその数にとどめます[5]。
発案者についても、資料が割れています。カール・ディームが1934年に「古代と近代を結ぶ」ものとして提案したと紹介する資料[3]、1931年の誕生日会で言い出したとする説を紹介する資料[2]、考古学者アルフレート・シフの着想をディームが実行したとする資料[4]があります。誰の発想かは、はっきり言えません。
走る途中で、火が消えたらどうするのでしょうか。
近代大会で火が最初に登場したのは1928年アムステルダム大会で、マラソン塔の上の大きな鉢で燃やされた[4]。ただしこの火にはリレーがなく、オリンピアから運ばれた火であったかどうかも、資料に明記されていない。
これを変えたのが1936年ベルリン大会である。オリンピアから開催地へ火を運ぶ聖火リレーが、このとき初めて導入された[4]。7月20日にオリンピアで、ドイツのツァイス社製の凹面鏡を使って採火が行われ、火をつけたのは舞踊家クーラ・プラツィカとされる[5]。リレーはギリシャからドイツまで7か国を通り、走者は約3千人だった。人数・距離・所要日数は資料ごとに異なるため、概数にとどめる[5]。
発案者と時期も一致しない。カール・ディームが1934年に「古代と近代を結ぶ」ものとして提案したとする資料[3]、ディームが1931年の誕生日会で言い出したとの説を紹介する資料[2]、考古学者アルフレート・シフの着想をディームが実行したとする資料[4]がある。どれが正しいかを、この記事では決めない。
それでは、走る途中で火が消えたらどうするのか。
5. 走って いる とちゅうで 火が きえたら?
5. 途中で消えても、もう一つの火がある
5. リレー途中の再点火 ── 凹面鏡でつくった予備の火
走って いる とちゅうで、火が きえる ことも あります。そんな とき の ために、そばに、もう ひとつの 火が よういされて います。
その 火も、太陽の 光を くぼんだ 鏡で 集めて つけた 火、と 話されて います。だから、きえても、同じ 太陽の 火から、また つけられます。
日本でも、太陽の 光から 火を とる やり方が、東京の 大会などで 行われた、という 本が あります。
リレーの途中で火が消えても、すぐに再点火できるよう、近くにはいつも、太陽光と凹面鏡でつけた予備の火が用意されているとされます[3]。
本番前の採火と、走っている途中の再点火。どちらも同じ「太陽の火」を控えにしておくことで、火が途切れても、同じ火のつながりを保てる仕組みだと考えられます。
日本でも、東京パラリンピックの際に、国内各地で凹面鏡による採火が行われたという資料があります。
リレーの途中で火が消えた場合に備え、近くには常に、太陽光と放物面鏡でつけた予備の火が用意されており、すぐに再点火できるという[3]。予備の火も、太陽光で採った火である。
日本では、東京パラリンピックの際、国内各地で凹面鏡を使った採火が行われたとする資料もある。詳細は一次資料で確かめたい。
最後に、この話を自分で確かめるための道すじを示す。
自分でも しらべてみたく なったら
自分でも調べてみたくなったら
自分でも調べてみたくなったら
今日 できること
よく はれた 日に、おうちの 人と いっしょに 外で、虫めがねで 太陽の 光を 集めて みましょう。黒い 紙の 上に、小さな 明るい 点が できます。レンズを 少しずつ 動かして、光の 点の 大きさが どう かわるか 見て みましょう。
やけどや 火事に ならないように、かならず おうちの 人と いっしょに、水を 近くに おいて、外で やって ください。人や 動物に、光を むけては いけません。
もっと しりたくなったら
図書館で、オリンピックの 本を さがして みましょう。せいかの ことが のって いる 本が あるかも しれません。「どうして 太陽なのか」を 自分でも 考えて みて ください。
今日できること
晴れた日に、おうちの人といっしょに、虫めがね(凸レンズ)で太陽の光を黒い紙に集めてみましょう。光の点が小さく、明るくなるほど、紙が焦げやすくなります。凹面鏡は家にはなくても、集光の考え方は同じです。
やけどや火事を防ぐため、必ず保護者と一緒に、水を近くに置き、屋外でやってください。人や動物に光を向けてはいけません。
もっと知りたくなったら
IOCのウェブサイトには、オリンピックの火の歴史を紹介するページがあります。「古代から」という説明が、どこまで資料で裏づけられるのかを、自分で確かめてみるのも面白いでしょう。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
本文で使った資料です。IOCの本文は検索結果の抜粋のみを確認しており、他は要点の紹介を確認しています。人数や日付は資料で異なる点があります。
- IOC, The History of the Olympic Flame. https://olympics.com/ioc/news/the-history-of-the-olympic-flame (採火の方法と「純粋さ」の説明)
- ISOH, 90 Years Ago the First Olympic Flame Was Lit. https://isoh.org/90-years-ago-the-first-olympic-flame-was-lit/ (発案の経緯と「詩的」という提案)
- Smithsonian Magazine, Your burning questions about the Olympic torch answered. https://www.smithsonianmag.com/innovation/your-burning-questions-about-olympic-torch-answered-180968120/ (発案の時期と、途中の予備の火)
- Wikipedia, Olympic flame. https://en.wikipedia.org/wiki/Olympic_flame (古代の火、1928年、1936年のリレー)
- Wikipedia, 1936 Summer Olympics torch relay. https://en.wikipedia.org/wiki/1936_Summer_Olympics_torch_relay (1936年の採火とリレーの規模)
- NBC San Diego (AP), backup flame, Milan Cortina Olympics. https://www.nbcsandiego.com/olympics/2026-milan-cortina/backup-flame-milan-cortina-olympics-torch-lighting-ceremony-greece/3936212/ (2026年の予備の火)
- Boston.com (AP), Paris 2024 Olympics flame lit. https://www.boston.com/sports/sports-news/2024/04/16/paris-2024-olympics-flame-lit-greek-cradle-ancient-games-olympia/ (2024年の予備の火)
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