このサイトは、ほんの入り口です

ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

フクロウの 首は、どうやって うしろまで 回るの? 「270ど」は ほんとうなの?

フクロウは首をどう回す? 「270度」はどこまで確かめられた数字?

フクロウの首の回転 ── 頸椎14個の分業と、「270度」という数字の根拠

分野:生きもの

フクロウの 目は、ほとんど 動かせません。だから うしろを 見る ときは、首ごと ぐるっと 回します。ところが、よく いわれる 「左右に 270ど 回る」と いう 数字は、生きた フクロウで たしかめられた 数字では ないと、ある ろんぶんに かかれて います[1]。その ろんぶんの データでは、たしかめられたのは 少なくとも 180どまでです。

では、首の ほねは、どう 動いて いるのでしょう。そして、270どは どこまで ほんとうなのでしょう。ほねの 「しごと分け」と、数字の 出どころが わかります。

フクロウの目は、ほとんど動かせません。そのかわりに首を大きく回して、後ろまで見ます。ところが、有名な「左右に270度」という数字を、2017年の解剖学の論文は、生きた個体のX線と写真では確かめられなかったと書いています[1]。確認できたのは、少なくとも180度までです。

首の骨は、どんなふうに動いて頭を回しているのでしょうか。そして「270度」は、誰がどこまで確かめた数字なのでしょうか。骨の分担と、数字の出どころが分かります。

フクロウ(メンフクロウ)の眼球はほとんど動かせず、獲物を見定めるには首の可動性が要る。ところが、よく引用される「左右それぞれ270度」という値について、2017年の解剖学論文は、自分たちの生体データでは少なくとも180度までしか確認できなかったと述べている[1]。

頸椎14個は何をどう分担して頭を回すのか。「270度」と、死亡個体で得られた「360度超」は、何がちがう数字なのか。その分業と、数字の条件の読み方が分かる。

読み方を切り替えられます。画面の上にある「よみかた」のボタンで、小学校低学年むけ・小学校高学年むけ・中学生むけの3つの書き方に切り替わります。むずかしいと思ったら、いつでもやさしい方に戻ってください。選んだ読み方はブラウザが覚えているので、次に別の記事を開いたときも同じ読み方で始まります。

1. 目が 動かないと、どうして 首が いるの?

1. 目がほとんど動かないから、首で見回す

1. 前向きに固定された眼球と、14個の頸椎

夜の 木の えだで、フクロウが ゆっくり うしろを ふりむきます。そのとき、目の ほうは ほとんど 動いて いません。

人は、顔を 正面に 向けた まま、目だけ 右や 左へ 動かせます。フクロウの 目は 前を 向いた ままで、ほとんど 動かせないと かいて ある ものが あります[1]。見たい ほうを 見るには、首ごと その ほうへ 向ける しか ありません。

その 首の ほねは、メンフクロウで 14こ でした。しらべた 鳥は ぜんぶ 14こ だったと いいます[2]。人の 首の ほねは 7こ なので、2ばいです。

ほねが たくさん ならんで いると、ぐるっと 回りそうです。でも、14この ほねは、みんな おなじ 動きを して いるのでしょうか。

夜の枝にとまったフクロウが、ゆっくり後ろをふり向く場面を思い浮かべてください。このとき目は、ほとんど動いていません。

2017年の論文は、メンフクロウの目は「ほとんど動かせず、前向きについている」と述べ、獲物をとらえて見定めるには首の動きが必要だと説明しています[1]。私たちは顔を動かさずに目だけで横を見られますが、フクロウは見る向きを変えるたびに頭ごと向けるわけです。「全く動かない」ではなく「ほとんど動かせない」という書き方です。

その首の骨(頸椎)は、調べたメンフクロウでは全部の個体で14個でした[2]。人の頸椎は7個なので、およそ2倍です。ただし、別の報告には12個や13個と数えたものもあり、数え方には幅があります。

骨が多ければ、それだけで回りやすくなるのでしょうか。14個は、すべて同じ仕事をしているわけではありません。

フクロウは、見る向きを変えるとき、眼球ではなく頭全体を向ける。2017年の解剖学論文は、メンフクロウの眼はほとんど動かせず(almost immobile)、前向きについていることを前提に、獲物を見定めるには首の可動性が必要になると述べる[1]。ここで言えるのは「ほとんど動かせない」までで、完全に固定されているとまでは書けない。

では、首の側はどうなっているか。頸椎は、調べたメンフクロウでは全個体で14個と数えられた[2]。ヒトの7個の2倍にあたるが、他の報告には12個・13個とするものもあり、数え方(どこから胸椎とするか)で幅が出る点には注意が要る。

ただし、頸椎が多いこと自体が回転角を決めるわけではない。問題は、その14個が頭の回転にどう役割を分担しているかである。

2. 14この ほねは、しごとを 分けて いるの?

2. 上の骨はねじり、下の骨は横に倒す

2. 領域ごとの分業 ── 上部は回転と横倒し、下部は横倒し

ろんぶんを かいた 人たちは、生きた フクロウの 首の 動きを、X線や 写真で しらべました[1]。すると、ほねの 場所で、とくいな 動きが ちがって いました。

上の ほうの ほねは、頭を ぐるっと ねじる ことと、横に かたむける ことが とくいです。下の ほうは、おもに 首を 横に たおす 動きです。まん中あたりは、頭を 回す ことには あまり かかわって いません[1]。

たとえば、上の ほうは びんの ふたを 回す ような 動き、下の ほうは ほうきを 横に たおす ような 動きです。ただし ほんとうは、ほねの 一つ一つが すこしずつ 動いて いるので、きれいに 分かれて いる わけでは ありません。

大きく 回した ときは、頭が 体の 正面から 横に ずれて いきます[1]。ねじりと 横たおしを 組み合わせて、頭を うしろへ もって いくのです。

では、その 回り方は、どれくらい 大きいのでしょう。

2017年の論文は、生きたメンフクロウの首の動きを、X線と写真で調べています。その結果、首の骨は場所ごとに得意な動きが違っていました[1]。

上のほうの骨は、頭を軸にそってねじる回転(ヨー)と、首を横に倒す動き(ロール)の両方が大きく動きます。下のほうは、主に横に倒す動きに限られます。真ん中は、頭の回転にはあまり役立っていません[1]。上は「ねじる係」、下は「倒す係」と、ざっくり分けて考えると分かりやすいでしょう。

もう一つの特徴は、大きく回すと頭が胴体に対して横にずれることです[1]。首をまっすぐ軸にして回るというより、ねじりと横倒しを組み合わせ、頭を後ろへ運んでいくような動きです。

首の動きを「いくつの持ち場」に分けるかには幅があります。以前は3つとされていましたが、近年の研究では3〜7の領域に分けられるとされ、多くの領域が大きな回転に関わると考えられています[2]。

骨の分担は分かりました。では、そうして回る角度は、実際どこまでなのでしょうか。

2017年の論文は、生体のX線動画と写真から、首を領域に分けて動きを調べた。上部の領域はヨー(垂直軸まわりの回転)とロール(首を横に倒す動き)の能力が高く、下部の領域はロール軸の動きにほぼ限られる。中部は頭の回転への寄与が小さい[1]。つまり、上部がねじりと横倒しを、下部が横倒しを受け持つ、という分業である。

このため、大きく回すと、ロールによって頭が胴体に対して横にずれる[1]。頭は首の真上で回るのではなく、胴体の横へ移りながら向きを変えている。

領域の数え方にも幅がある。以前の測定では3領域とされたが、2014年の論文は、指標によって3〜7領域に分けられると述べ、結論では6〜7としている[2]。いずれにせよ、多くの領域が大きな頭の回転に寄与すると考えられている。

分業の姿が見えたところで、次に確かめるべきは、「その結果、頭は何度まで回るのか」という数字である。

3. 「270ど」は、どこまで たしかめられて いるの?

3. 「左右に270度」は、どこまで確かめられた数字か

3. 回転角の「270度」── 引用される値と、生体での測定

フクロウは 左右に 270ど 回せる、と よく いわれます。日本語の 記事にも、この 数字が のって います[6]。正面から 180ど 回ると ちょうど 真うしろ なので、270どは、そこから さらに 90ど です。

アメリカの 大学の はっぴょうでは、フクロウは 270どまで 回せると しょうかいされました。チームは、しぜんに 死んだ フクロウ 12羽を しらべて、首を 回しても 頭に 血が ながれる しくみを ほうこくしました[3]。

いっぽう、2017年の ろんぶんは、はじめの ところで 「左右に 270ど 回せる」と しょうかいして います。でも、自分たちの 生きた フクロウの データでは、少なくとも 180どまでで、270どは たしかめられなかったと かいて います[1]。

「まちがい」と いうのでは ありません。この ろんぶんの データでは、そこまで 見えなかった、と いう ことです。数字は 「だれが、どんな ふうに はかったか」と セットで 読む ものです。

「フクロウは首を左右にそれぞれ270度回せる」という説明は、日本語の一般向けの記事でもよく見かけます[6]。正面から180度で真後ろですから、その先にさらに90度まで回る、という数字です。

この数字が広まるきっかけの一つが、アメリカのジョンズ・ホプキンス大学のチームによる2013年の発表です。大学の発表は、フクロウが左右に最大270度回せると紹介しました。チームは自然に死んだフクロウ12羽(3種)を調べ、首を大きく回しても脳への血流が保たれるしくみを報告しました[3]。ただしこれは、査読論文ではなく、科学雑誌の画像コンテストの作品に関連して紹介された内容です。

一方、2017年の論文は、序論で「左右それぞれ270度の回転が可能」と紹介しつつ、自分たちの生体X線・写真のデータでは少なくとも180度までで、270度は確認できなかったと述べています[1]。なお、270度は左右それぞれの値で、合計の数字ではありません。

この論文が示したのは「270度は誤り」ではなく、「生きた個体で測れた範囲は、少なくとも180度まで」ということです。同じ数字でも、紹介された値なのか、測った値なのかで重みが違います。

では、骨そのものは、実際どこまで回るのでしょうか。

「左右それぞれ270度」は、一般向けの記事にも広く出てくる[6]。そのもとのひとつは、ジョンズ・ホプキンス大学のチームによる2013年の報告である。大学の発表は最大270度の回転を紹介し、チームは自然死したフクロウ12羽(3種)を調べて、脳への血流を保つ4つの仕組みを示した[3]。ただしこれは査読論文ではなく、科学雑誌の可視化コンテストに関連した紹介であり、回転角そのものを測った実験の報告とは性格が異なる。

対照的に、2017年の解剖学論文は、序論では「270度が可能」と紹介しているが、自分たちの生体X線と写真のデータでは少なくとも180度まで、270度は確認できなかったと述べている[1]。この270度は左右それぞれの値であって、合計ではない。

ここから「生きたフクロウは270度回らない」と言うことはできない。言えるのは、この論文の測定範囲では180度以上までが確認され、270度は確認されなかった、という点までである。引用される数字と、測られた数字を区別して読むことが、この題材のいちばんの要点になる。

それでは、骨単体の限界はどこにあるのか。その手がかりになる実験が、同じ論文にある。

4. 手で 回したら、360どを こえたって ほんとう?

4. 骨だけなら360度超 ── 生きているときの限界とは別

4. 手で回して360度超 ── 軟部組織を除いた条件の意味

同じ ろんぶんでは、死んだ メンフクロウ 3羽の 首を、手で ゆっくり 回して みました。すると、3羽とも、360どを こえて 回りました[1]。

ただし、この じっけんでは、きんにくなどの やわらかい ぶぶんは とりのぞいて ありました。生きている ときは、そのような ぶぶんが 動きを おさえて いるかも しれないと、ろんぶんを かいた 人たちは ちゅういして います[1]。

ですから、「270ど」と 「360ど」は、ちがう じょうけんの 数字です。ほねの つくりで 回せる 大きさと、生きて 自分で 動かせる 大きさは、べつの ものです。

では、そんなに 回して、首の 中の 血の みちは だいじょうぶなのでしょうか。

同じ論文には、死んだメンフクロウ3羽の首を手で回す実験もあります。結果は、3羽すべてで360度を超える回転が可能でした[1]。

ここで大切なのは、この実験が筋肉などの軟部組織を取りのぞいた条件だったことです。生きている間は、筋肉や皮ふなどが回転を制限しうると、著者らは注意しています[1]。つまり360度超という数字は、生きたフクロウが360度回す、という意味ではありません。

数字を3つ並べると、整理できます。「270度」は、紹介されている値。「少なくとも180度」は、生きた個体で確かめられた範囲。「360度超」は、骨の動く余地が大きいことを示す、死んだ個体での値です。

骨の側には、これだけ余裕があるとして、首の中を通る血管はどうなっているのでしょうか。

2017年の論文は、死亡したメンフクロウ3羽の首を手で回し、全個体で360度を超える回転が可能だったと報告している[1]。ただし条件は、筋肉などの軟部組織を除いたものだ。著者らは、生体では軟部組織が回転を制限しうる点を明記している[1]。

このため、数字の意味は条件ごとに異なる。270度は、前章のとおり引用される値。180度以上は、生体のX線・写真で確認された範囲。360度超は、骨と関節の構造上の余地を示す死亡個体の値で、生きた個体が実際に回す角度ではない。

この論文は、そこから生体の限界値を導いてはいない。軟部組織が実際にどの角度で回転を止めるのかは、この論文だけでは決まらない。

骨にこれほど余地があるなら、次の問いは、その内側を通る血管がどう保たれているかである。

5. 首を 回しても、頭の 血は とまらないの?

5. 骨の穴や血管のゆとりが、首の回転を助けるしくみ

5. 椎骨動脈の経路 ── 骨の穴・入口の位置・連絡血管

首を ぐるっと 回すと、血の 通る くだが ねじれて つぶれそうです。でも、フクロウの 首には、それを ふせぐ しくみが あると ほうこくされて います[3]。

ひとつは、血の くだが 通る ほねの あなです。あなの ひろさは くだの 太さの 10ばいほども あり、14この ほねの うち 12こで 見られました[4]。ゆとりが ある ぶん、ほねが 動いても くだが つぶれにくいと 考えられます。

もうひとつは、くだが あなに はいる 場所です。ほかの 鳥より 下の ほうから 入るので、くだに たるみが できます[3]。これも、回す ときの ゆとりに なります。

あごの 下の 血の くだは、血が たまる 「ため池」の ような はたらきを するのでは ないかと、考えられて います。ただし、これは まだ すいそくの はなしです[5]。

首を大きく回せば、血の通り道がねじれて細くなりそうです。ジョンズ・ホプキンス大学のチームは、そうならないための仕組みを、4つ報告しました[3]。

ひとつは、血管(椎骨動脈)が通る骨の穴が広いことです。穴の直径は動脈の約10倍もあり、14個の頸椎のうち12個で見られました[4]。10倍は直径の比で、面積の比ではありません。

ふたつめは、血管が骨の穴に入る位置です。他の鳥では14番目の頸椎から入りますが、フクロウでは12番目から入るため、動脈にたるみ(ゆとり)ができるとされます[3]。さらに、首の動脈と椎骨動脈をつなぐ細い連絡血管もあります[3]。

もうひとつ、あごの下の血管は、造影剤が入ると太くなり、血だまりのようになります。脳や目に血を保つための「ため池」の働きではないかと推測されています[5]。ただし、この働きはまだ推測の段階です。

ここまでを並べると、フクロウの首は、骨の動き方と血管の通り道の両方が、大きな回転に合わせて作られているように見えます。

大きな回転では、頸椎を通る椎骨動脈の保護が課題になる。ジョンズ・ホプキンス大学の発表は、フクロウが左右に最大270度回せると紹介した。チームは自然死したフクロウ12羽(3種)を調べ、脳への血流を保つ仕組みを4つ報告した[3]。

まず、椎骨動脈が通る骨の穴(横突孔)が、動脈の直径の約10倍あり、14個の頸椎のうち12個で見られる[4]。10倍は直径の比であり、断面積の比ではない。次に、椎骨動脈は他の鳥の14番目でなく12番目の頸椎から骨の穴に入り、その分、動脈にたるみができる。加えて、首の動脈と椎骨動脈をつなぐ細い連絡血管がある[3]。

4つめとして、あごの下の血管は造影剤が入ると太くなって血だまりのようになり、脳や目に血を保つ「ため池」として働くと推測されている[5]。ただしこの機能は推測の段階で、断定はできない。また、この報告は査読論文ではなく、画像コンテストに関連した紹介が出どころである点も、重みを考えるうえで押さえておきたい。

研究者は、人の首を急に強くひねると動脈の内側が裂けて脳卒中につながることがあると述べ、人にとっては極端な動きが危険であることを対比させている[3]。フクロウの構造は、その危険を避けるように、骨と血管の両方で余裕をつくっている。

6. 首を 「ねじる」と 「たおす」、分けて 動かして みよう

6. 自分の首で「ねじる」と「倒す」を分けて動かしてみる

6. 出口 ── 自分の首で2つの動きを分ける/原典の図に当たる

いすに すわって、かたを 動かさない ように します。まず、首だけを ゆっくり 右へ 向けて、とまった ところを おぼえます。これが 「ねじる」 動きです。

つぎに、顔を 正面に むけた まま、耳を かたに ちかづける ように、首を 横に たおします。これが 「たおす」 動きです。

2つは、べつの 動きだと わかります。フクロウは、この 2つを、ほねの 場所ごとに 分けて、大きく 組み合わせて いるのです。

ゆっくり 動かして、いたく なる 前に とめましょう。いきおいを つけたり、急に ひねったり しては いけません。人の 首は、フクロウの ようには 回りませんが、それは 「だめ」と いう ことでは ありません。体の つくりが ちがう だけです。

いすに座り、肩を動かさないようにして、首だけをゆっくり右に向けてみましょう。止まったところが、あなたの「ねじる」動きの範囲です。次に、顔は正面のまま、耳を肩に近づけるように首を横に倒します。これが「倒す」動きです。

2つの動きは、別の動きだと分かります。フクロウは、上の骨でねじり、下の骨で横に倒し、頭を胴体の横にずらしながら後ろまで持っていきます。

動かすときは、ゆっくり、痛くなる手前で止めてください。勢いをつけたり、急にひねったりしないでください。人の首の範囲がフクロウと違うのは、体のつくりの違いで、優劣ではありません。

もっと知りたいなら、2017年の論文(Krings ほか、Journal of Anatomy)は、英語ですが、公開されていて、骨の動きを写した図が載っています[1]。序論の「270度」と、生体データの「少なくとも180度」が、同じ論文のどこに書かれているか、探してみるのも面白いと思います。

手がかりの第一は、自分の首で、ねじり(ヨー)と横倒し(ロール)を分けて動かすことだ。いすに座って肩を固定し、首だけを回す動きと、顔を正面に保ったまま耳を肩に寄せる動きを、別々に行う。2つが別の動きであることを体で確かめると、論文の「上部はヨーとロール、下部は主にロール」という記述が具体的に読める。痛みの手前で止め、勢いをつけず、急にひねらない。

第二は、原典に当たることだ。2017年の論文[1]は、序論の「270度が可能」という紹介と、結果の「生体では少なくとも180度」という記述が、同じ論文の中で並んでいる。引用と測定がどう書き分けられているかは、原典でないと分からない。

第三は、数字を自分で並べ直すことだ。270度(引用される値)・180度以上(生体で確認)・360度超(軟部組織を除いた死亡個体)を、条件ごとに表にしてみるとよい。何が測られ、何が測られていないのかが見える。この比較が、同じ題材の別の記事や解説を読むときの、数字の読み方にもなる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文の事実の確認に使った資料です。生体での回転角は[1]を中心に、ほかの資料と突き合わせています。

  1. Krings, M. ほか (2017) Journal of Anatomy 231: 12-22(メンフクロウの首の運動の生体解析)。 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5472525 (目の動き・首の骨の分業・回転角・死亡個体の実験)
  2. Krings, M. ほか (2014) PLOS ONE(メンフクロウの頸椎と機能領域)。 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3961260 (頸椎の数・領域の数)
  3. ScienceDaily(ジョンズ・ホプキンス大学の発表の転載, 2013年1月)。 https://www.sciencedaily.com/releases/2013/01/130131144102.htm (血管の仕組みの報告・調べた個体数)
  4. Smithsonian Magazine, Solving the Mystery of Owl's Head-Turning Abilities。 https://www.smithsonianmag.com/science-nature/solving-the-mystery-of-owls-head-turning-abilities-9561557/ (骨の穴の大きさ)
  5. Discover Magazine, How Owls Rotate Their Heads So Far Without Snapping Their Necks。 https://www.discovermagazine.com/planet-earth/how-owls-rotate-their-heads-so-far-without-snapping-their-necks (あごの下の血管の推測)
  6. カラパイア(2014年)。 https://karapaia.com/archives/52150351.html (日本語の一般向け記事での「270度」の紹介の例)

なおした ところ

更新履歴

更新履歴(改版の記録)

  •  初版を公開。

このサイトでは、公開した記事の本文は原則として書き直しません。誤りが見つかったときや、内容が古くなったときだけ手を入れ、その理由をこの欄に残します。