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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

パスワードマネージャーは、たくさんの パスワードを どうやって ひとつの 合言葉で まもるの?

パスワードマネージャーは、たくさんのパスワードをどうやって1つの合言葉で守るのか

パスワードマネージャーは、1つのマスターパスワードでなぜ多数のパスワードを守れるのか ── 鍵導出と暗号化金庫

分野:技術

パスワードマネージャーを 使う 人が おぼえるのは、たった ひとつの 合言葉です。合言葉から かぎを 作る 計算を、あるサービスは 60万回 くりかえします。のこりは 金庫に しまわれて、あるサービスでは、つくった 会社の 人も 中身を 見られない と せつめいされて います。

どうして ひとつの 合言葉だけで、そんなことが できるのでしょう。この 記事で、合言葉が かぎに かわる しくみと、会社にも 開けられない 金庫の 考え方が 分かります。

パスワードマネージャーを使う人が覚えるのは、たった1つの合言葉(マスターパスワード)です。Bitwardenというサービスの既定の設定では、その合言葉を「わざと遅い計算」で60万回くり返して、金庫の鍵に変えます[3]。しかも、運営する会社でさえ、合言葉も鍵も持たないと説明されています。

なぜ、1つの合言葉だけで何百ものパスワードを守れるのでしょうか。この記事で、合言葉が鍵になる流れと、会社にも開けられない金庫の考え方が分かります。

Bitwardenの白書によると、マスターパスワードはメールアドレスを混ぜたうえでPBKDF2を60万回(既定値)くり返し、暗号化に使う鍵になる。その鍵はサーバーに保存も送信もされず、運営会社はマスターパスワードにも暗号鍵にもアクセスできないとされる[3]。

では、人が覚える1つの文字列だけで、多数のパスワードを守ることがなぜ成り立つのか。この記事で、鍵導出の遅さが意味すること、暗号化金庫の分担、設定値の限界が分かる。

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1. パスワードを 使い回すと、なにが こまるの?

1. 覚えきれないから使い回す。でも、そこが狙われる

1. 使い回しはなぜ起きるのか ── 記憶の限界と、流出情報を使う攻撃

ゲーム、動画、学校の れんらく、買い物。パスワードが いる サービスは、けっこう 多いものです。ぜんぶ ちがう ものを おぼえるのは、大人でも たいへんです。

だから つい、同じ パスワードを 使い回して しまいます。ある 調べでは、使い回して いない 人は、パソコンで 100人中 58人ほど、スマホでは 47人ほどでした[2]。のこりの 人は 使い回して いる、という ことです。

こわいのは、どこかの サービスから ぬすまれた アカウントを 使って、ほかの サービスに 入ろうと する 人が いる ことです[1]。同じ かぎで 家じゅうの とびらが 開く ような ものです。ただし 本当は、全部の サービスが 同じ ように あぶない わけでは ありません。

そこで そうむしょうは、おぼえなくて いい 「パスワード管理かんりツール」も すすめて います[1]。人は 合言葉を ひとつだけ おぼえ、のこりは 道具が しまって くれる、という 考え方です。

でも、パスワードを 全部 ひとつの 場所に あつめて、だいじょうぶなのでしょうか。

ゲーム、動画、学校の連絡、買い物。パスワードが必要なサービスは、数えてみると意外に多いものです。サービスごとにちがう長いパスワードを全部覚えるのは、大人でも無理があります。

そのため使い回しが起こります。IPAの記事(2016年掲載・2025年更新)が引く2022年度調査では、パスワードを使い回していない人は、パソコン利用者で平均58.1%、スマートフォン利用者で46.6%でした[2]。逆に見ると、使い回している人が約4割、5割あまりいることになります。調査から時間がたっているので、今の数字とはちがう可能性があります。

使い回しが怖いのは、あるサービスから流出したアカウント情報を使って、別のサービスへの不正ログインを試す攻撃が知られているからです。総務省も、使い回しを避けるよう呼びかけています[1]。同じ鍵で家じゅうの扉が開く状態に近い、ということです。

そこで総務省は、覚える必要のないパスワード管理ツールの利用も勧めています。ただし、その管理ツールは、覚えられて十分に安全なマスターパスワードや、端末のロックで守る必要があるとも書いています[1]。人は合言葉を1つだけ覚え、残りは暗号化した金庫に入れる。これがパスワードマネージャーの考え方です。

では、パスワードを1か所に集めて、本当に安全なのでしょうか。

使い回しの背景には、記憶の限界がある。IPAの記事(2016年掲載・2025年更新)が引く2022年度調査では、パスワードを使い回していない人は、パソコン利用者で平均58.1%、スマートフォン利用者で46.6%だった[2]。これは「使い回していない人」の割合なので、使い回している人は約41.9%と約53.4%になる。ただし調査から時間がたっており、今の数字とは異なる可能性がある。

使い回しが問題になるのは、流出したアカウント情報を別のサービスへの不正ログインに試す攻撃が知られているためである。総務省は使い回しを避けるよう呼びかけ、そのうえで、パスワードを覚える必要のない管理ツールの利用も推奨する。ただし条件がつく。管理ツール自体を、覚えられる十分に安全なマスターパスワードや、端末のロック(生体認証など)で守る必要がある[1]。

つまり、多数のパスワードという「覚えきれない問題」を、1つのマスターパスワードという「覚えられる問題」に置きかえるのが管理ツールの発想である。その代わり、守るべき場所が1か所に集まる。では、そこにどう鍵をかけるのか。

2. 金庫の 中身は、会社にも 見えないの?

2. 金庫は、手元の端末で鍵をかけてから預けられる

2. 暗号化金庫の分担 ── 鍵をかけるのは端末側で、会社ではない

もしも パスワードを 会社の コンピューターに そのまま おいて いたら、そこが ぬすまれた とき、ぜんぶ 読まれて しまいます。

そこで、Bitwardenという サービスは、金庫の 中身に 「暗号」で かぎを かけて から しまいます。暗号は、意味の わからない 文字に 作りかえる やりかたです。かぎが ないと、もとには もどせません[3]。

この かぎを かける 作業は、会社の 場所では なく、じぶんの スマホや パソコンの 中で おこなわれます。そして 会社は、合言葉も かぎも ほぞんして いないし、見る こともできない、と せつめいして います[3]。

では、その かぎは、どこから 出てくるのでしょう。合言葉を そのまま かぎに するのでしょうか。

パスワードを会社のサーバーにそのまま置いたら、そこが盗まれたときに全部読まれてしまいます。パスワードマネージャーは、この心配をどう減らしているのでしょうか。

Bitwardenの白書は、金庫の中身をAES-256(HMACという改ざん検出つき)で暗号化すると説明しています。暗号化とは、意味の分からない文字の並びに変えて、鍵がなければ元に戻せなくすることです。しかも、その作業は利用者の端末側で行われ、Bitwardenは、マスターパスワードも暗号鍵も保存せず、アクセスもできないとしています[3]。

つまり、サーバーに預けられるのは「鍵をかけたあとの金庫」です。会社のサーバーから金庫のデータが盗まれても、会社は復号に使う鍵を持っていないので、暗号化されたデータだけでは中身を読めません。これが「運営会社も中身を知らない」と言われる理由です。

とはいえ、金庫の強さは鍵で決まります。その鍵は、人が覚えられる短い合言葉から作られます。短い合言葉を、どうやって強い鍵にするのでしょうか。

パスワードを預ける側にとっての最大の懸念は、サーバー側が破られたときである。Bitwardenの白書は、金庫の中身をAES-256(HMAC認証つき)でエンドツーエンドに暗号化するとし、暗号化は端末側で行われる。同社はマスターパスワードも暗号鍵も保存せず、アクセスもできないと説明している[3]。

ここでの「エンドツーエンド」は、鍵をかける場所と開ける場所が利用者の端末で、サーバーはその間で暗号化済みの金庫を預かるだけ、という分担を指す。なお、ログインの認証には、暗号鍵とは別に作られるマスターパスワードのハッシュが使われる。これは鍵そのものではないため、鍵はサーバーに渡らない設計になっている[3]。これはこの製品の説明であり、他社の製品が同じ作りだとは限らない。

残る問題は、人が覚えられる短い文字列から、どう強い鍵を作るかである。鍵が弱ければ、金庫のコピーを手に入れた攻撃者が総当たりで開けられる。

3. 短い 合言葉が、どうやって 強い かぎに なるの?

3. 合言葉を「わざと遅い計算」で60万回かき混ぜる

3. 鍵導出関数 ── 推測1回あたりの手間を増やす

悪い 人が 金庫の コピーを 手に入れたと しましょう。その人は、合言葉を かたっぱしから 当てて、金庫を 開けようと します。

これを ふせぐ ために、サービスは 合言葉を、すぐには かぎに しません。わざと 手間の かかる 計算を、何回も くりかえして、かぎに かえます。これは 「かぎ づくり」と いいます[4]。

Bitwardenでは、合言葉に メールアドレスを まぜて、あらかじめ 決まった 計算を 60万回 くりかえすのが ふつうの 設定せっていです[3]。持ち主が 開く ときは、これを 一回 するだけなので、人には 一しゅんの ことです。

でも、悪い 人は、当てずっぽうの 合言葉 ひとつずつに、この 計算を しなければ なりません。1回の 計算で すむ 場合と くらべて、1回 ためすごとに 60万倍の 手間です。これで、たくさん ためす ことが むずかしく なります。ただし 60万回は ふつうの 設定せっていで、かえる ことも できます。

攻撃者が金庫のコピーを手に入れた場面を考えます。マスターパスワードを片っぱしから当てていけば、いつかは開くかもしれません。

これを妨げるために使うのが、鍵導出関数(KDF)です。推測1回ごとに、攻撃者の計算機へ手間のかかる計算をさせ、試せる回数を減らします[4]。Bitwardenの白書によると、マスターパスワードに利用者のメールアドレスを混ぜたうえで、PBKDF2という計算を60万回(既定の設定)くり返して鍵にします。この鍵はBitwardenのサーバーに保存も送信もされません[3]。

持ち主がログインするときは、この計算を1回するだけなので、人間には一瞬です。ところが攻撃者は、推測の1つ1つでこの計算が必要になります。1回の計算ですむ場合と比べると、推測1回あたりの手間は単純に60万倍です(わたしの計算)。「わざと遅い」ことが、そのまま守りになっています。ただし60万回は既定値で、設定で変えられます[3]。

では、遅ければ遅いほどよいのでしょうか。

鍵導出関数(KDF)は、マスターパスワードに対する総当たり・辞書攻撃を妨げるために使う。推測1回ごとに、攻撃者の計算機へ多数回のハッシュ計算を強いるからである[4]。Bitwardenでは、マスターパスワードに利用者のメールアドレスをソルト(混ぜ物)として加え、PBKDF2を60万回(既定)くり返して鍵にする。この鍵はサーバーに保存も送信もされない[3]。

利用者は正しいパスワードで1回だけ計算すればよいので、遅延は体感できないほど小さい。一方、攻撃者の推測は1回ごとに同じ計算を要る。1回のハッシュで済む場合と比べると、推測1回あたりの手間は単純に60万倍になる(筆者の計算)。この値は既定であって固定ではなく、設定で変更できる[3]。

この60万倍は、攻撃者が1回の計算のみを試す場合との比であり、実際に破れるまでの時間を直接示すものではない。では、回数は多ければ多いほどよいのか。

4. おそければ おそい ほど いいの?

4. 遅くしすぎると、持ち主も困る

4. 作業係数のトレードオフ ── 回数は攻撃と使いやすさの釣り合いで決まる

計算を おそく すれば するほど、悪い 人は こまります。でも、持ち主も 金庫を 開く ときに 待たされて しまいます。

パスワードの しまいかたを まとめた OWASPという ところの 資料しりょうは、回数を ふやすと 悪い 人の 速さは 下がるが、正しい ログインも おそく なるので、つりあいを とる ように と 書いて います[5]。

この 資料しりょうが すすめる 設定せっていの ひとつが、PBKDF2-HMAC-SHA256で 60万回 いじょうです。2026年10月に 見た ときの ことで、すすめる 数字は 資料しりょうが あらたまると かわります[5]。よい 設定せっていの 目安も、すこしずつ かわって いくのです。

OWASPの資料は、同じ計算をくり返す回数(作業係数)を増やすと計算コストが上がり、攻撃者の推測の速さが下がると説明しています。その一方で、正規のログインの確認も遅くなるので、性能との釣り合いをとるように、とも書いています[5]。

2026年10月に確かめた時点で、この資料が勧めているのは、PBKDF2-HMAC-SHA256なら60万回以上、またはArgon2idで、メモリ19MiB・反復2回・並列1以上の設定です[5]。推奨値は改訂で変わる性質のものです。Bitwardenの既定の60万回は、この目安と重なります。

Argon2idは、時間だけでなくメモリも使わせる新しい計算です。BitwardenのArgon2idの既定は、メモリ32MiB・反復6回・4スレッドです[4]。メモリを大量に使わせる仕組み上、安い専用機器で大量に試す攻撃がやりにくくなります。

ここまでは、人が覚える合言葉がある程度よい、という前提でした。もし合言葉が弱かったら、どうなるのでしょうか。

作業係数(work factor)は、パスワード1つあたりにハッシュを繰り返す回数である。OWASPは、これを増やすと計算コストが上がり、攻撃者の推測速度が下がるとする。一方、正規のログイン確認も遅くなるため、性能とのバランスをとるべきだという[5]。

2026年10月時点の推奨は、Argon2id(最小構成:メモリ19MiB、反復2、並列1)、またはPBKDF2-HMAC-SHA256なら60万回以上である。推奨値は資料の改訂で変わりうる[5]。Bitwardenの新しい選択肢Argon2idの既定は、メモリ32MiB・反復6回・4スレッドで、OWASPの最小値より大きい[4]。

PBKDF2は計算時間を増やすが、メモリはほとんど使わない。Argon2idのようにメモリを大量に要求する方式は、メモリの少ない安価な専用機器での大量試行を難しくする。いずれの数値も、攻撃者の側の環境が変われば効果が変わるため、「何回なら安全」と言い切れるものではない。

こうした設定の工夫も、肝心のマスターパスワードが推測されやすければ土台から崩れる。ではその弱点を、仕組みで補うことはできるのか。

5. 合言葉が 弱かったら、どうするの?

5. もう1つの秘密を、端末の中で作る

5. 二つの秘密から鍵を作る ── マスターパスワード+シークレットキー

人が おぼえられる 合言葉は、あまり 長く できません。そこで、1Passwordという サービスは、もう ひとつの ひみつを 組みあわせます[6]。

それは 「シークレットキー」と いう、じぶんの きかいの 中で 作られる 34文字の ひみつです[6]。合言葉と、この 文字の 両方が そろって はじめて、金庫の かぎが できます。

サービスの コンピューターから 金庫が ぬすまれても、シークレットキーが ないと 開けられない、と 会社は せつめいして います。シークレットキーは 会社に 送らず、会社は 記録きろくも ほかんも していない、と いう ことです[6]。

ひとつの 合言葉に たよらず、ひみつを ふたつに わける。かぎを 作る やりかたにも、いろいろな 考え方が あるのです。

人が覚えられる合言葉の強さには、限りがあります。1Passwordの説明では、人が考えるパスワードの強さは平均で約40ビット程度とされます。ビットは「何通りの中から選んだか」を表す目安で、1ビット増えるごとに、あてはまる組み合わせの数は2倍になります[6]。

そこで1Passwordは、マスターパスワードに加えて、端末の中で作る34文字の「シークレットキー」(128ビット相当)を組み合わせて暗号鍵を作ります[6]。128ビットと40ビットの差は88ビットです。ビット数の単純な引き算で、2を88回かけると約3×10の26乗になります(わたしの計算。40ビットは平均の目安で、実際に探す手間の比そのものではありません)。それでも、合言葉だけのときより桁ちがいに大きい数になります。

この仕組みでは、サービスのサーバーから金庫のデータが盗まれても、シークレットキーがなければ復号できません。シークレットキーは会社に送られず、会社が記録・保管しないと説明されているからです[6]。Bitwardenのように遅い計算で守る方法と、1Passwordのように秘密を2つに分ける方法。同じ「1つの合言葉を守る」目的でも、設計の考え方はちがいます。

鍵の話はここまでです。では、毎日の使い心地はどうなっているのでしょうか。

1Passwordは、マスターパスワードに加え、端末上で生成される34文字のシークレットキー(エントロピー128ビット)を組み合わせて暗号鍵を作る。同社は、人が覚えるパスワードのエントロピーを平均で約40ビット程度とする。128−40=88ビットで、2の88乗は約3×10の26乗になる。これはエントロピー差の単純な計算(筆者の計算)であり、実際の探索難度の比として読むべきものではない[6]。

この「40ビットは平均の目安」であり、個々のパスワードでは異なる。また、128ビットは鍵の組み合わせの数を表す指標であって、「破られない」という保証ではない。それでも、サーバーのデータが盗まれた場合に、シークレットキーがなければ復号できない点は大きい。シークレットキーは同社に送られず、同社は記録・保管しないと説明している[6]。

白書の本文にある2SKDの具体的な計算手順は、ここでは扱わず、役割だけを書いた。KDFの回数で守るBitwarden型と、秘密を2つに分ける1Password型を並べると、同じ「1つの合言葉を守る」目的に対し、攻撃者に強いる負担を別の方向に置いていることが分かる。

こうして金庫と鍵ができる。次は、それが日常のログインでどう使われるかである。

6. ログインは、かってに 入力されて だいじょうぶ?

6. 自動入力と、決まりの側の変化

6. 自動入力の照合と、認証ガイドラインの変化

パスワードマネージャーは、ログインの ときに、パスワードを 自動で 入れて くれます。でも、どの ページにでも 入れる わけでは ありません。

Bitwardenは、しまって ある ページの 住所と、いま 開いて いる ページが 合った ときだけ、こうほを 出します[7]。新しく 入れる ものは 「住所の 前の 部分は ちがっても、おおもとが 同じなら 合う」という やりかたが ふつうです。もっと きびしい 「ぜんぶ 同じ」も えらべます[7]。

アメリカの 国の きまり(NIST)では、ログインの 受けつけを する サイトは、パスワードマネージャーと 自動入力を 使えるように しなければ ならない、と 書かれて います[8]。道具に 合わせて、きまりも かわって きて いるのです。

自動入力は、保存した項目のURLと、いま開いているページが一致したときだけ候補を出す仕組みです。Bitwardenでは、新しい項目の既定は「ベースドメイン」で、トップレベルと第2レベルのドメインを比べます。たとえば、サービスのトップとログインページで住所の前半部分がちがっていても、おおもとのドメインが同じなら一致とみなします。より厳密な「完全一致」も選べます[7]。

使う側の工夫だけでなく、サイトを作る側の決まりも変わってきました。米国のNIST(国立標準技術研究所)が定めた認証のガイドライン(SP 800-63B-4)は、サイト側がパスワードマネージャーと自動入力を使えるようにしなければならない、と定めています。貼り付けも許すべきとしています[8]。

同じ文書は、パスワードだけで認証する場合は最低15文字を求める一方で、定期的な変更の強制や、文字の種類のルールの押しつけは禁じています[8]。「覚えやすいように短く」ではなく、「長くして、道具に覚えさせる」方向に、決まりの側が動いたのです。

自動入力は、保存済みのURIと現在開いているページが一致したときに候補を出す。Bitwardenの新規項目の既定は「ベースドメイン」で、トップレベルと第2レベルのドメインを比べる。より厳密な「完全一致」もある[7]。この出典は、照合の目的がフィッシング対策だとは明言していない。ここでは仕組みの説明にとどめる。

サイト側の規則も、パスワードマネージャーを前提にする方向に動いた。NIST SP 800-63B-4(米国の認証ガイドライン)は、検証者(サイト側)がパスワードマネージャーと自動入力を使えるようにしなければならない(SHALL)と定め、貼り付けも許すべき(SHOULD)とする。旧版(Rev.3)は貼り付けをSHOULDとしていたので、規則の文言は版によって異なる[8]。

同じ文書は、パスワードのみで認証するなら最低15文字を求める一方で、定期変更の強制や文字種ルールの押しつけは禁じている[8]。人が覚える前提の短いルールから、道具に覚えさせて長くする前提へ、というのがこの流れの読み方である。ただし米国の指針であり、日本のサイトにそのまま適用されるわけではない。

7. じぶんの 使っている サービスを 数えて みよう

7. 自分が使っているサービスの数を数えてみる

7. 自分の使っているサービスを数える ── 一次資料への入口

かみに、じぶんが 使っている サービスの 名前を 書いて みましょう。ゲームや 動画など、思い出せる だけで いいです。パスワードそのものは、ぜったいに 書かないでね。人にも 見せないでね。

書き終わったら、数を 数えます。そのうち、同じ 合言葉を 使っている ものは、いくつ ありそうですか。

おうちの 人と、「パスワードは どうやって おぼえて いるの?」と 話して みても いいですね。そうむしょうの サイトの 日本語の ページも、おうちの 人と いっしょに 読めます。

紙に、自分が使っているサービスの名前だけを書き出してみましょう。ゲーム、動画、学校の連絡、買い物など、思い出せる範囲で十分です。パスワードそのものは、紙にもスマホにも書かないでください。

数え終わったら、そのうち同じ合言葉を使い回しているものに、覚えている範囲で印をつけます。パスワードは見返さず、人にも見せません。どのサービスで使い回しているかをふり返ることが、パスワードマネージャーを使うか、合言葉をどう作るかを考えるきっかけになります。

もっと知りたいときは、総務省「国民のためのサイバーセキュリティサイト」の日本語のページが入り口になります。使い回しの危険と、管理ツールを使うときの注意が書かれています[1]。

手持ちのサービスを書き出し、①総数、②同じ文字列を使い回している数、③その中で金銭や個人情報に関わるものの数、を確かめられる。パスワード自体は書かず、人にも見せず、覚えている範囲で数える。数え終えたら、割合の比較ではなく、どのサービスで使い回しているかをふり返る参考にするとよい。

原典に近い資料は、総務省「国民のためのサイバーセキュリティサイト」(日本語)、OWASP「Password Storage Cheat Sheet」、NIST SP 800-63B-4(この2つは英語)、各社の白書やヘルプページ(多くは英語)である。KDFの設定画面で回数やメモリ量を確かめるときは、自分が使っているサービスの公式ヘルプを読むのがよい。

本稿の数値のうち、OWASPの推奨値は「2026年10月時点」、IPAの調査は2016年掲載・2025年更新の記事が引く2022年度調査の数字である。引用の日付と条件を、元の資料で確かめてほしい。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

以下は、本文で使った資料です。企業の説明は、その製品についての説明として本文に書きました。

  1. 総務省「国民のためのサイバーセキュリティサイト」 https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/cybersecurity/kokumin/security/end_user/general/01/ (使い回しの攻撃・管理ツールの推奨)
  2. IPA「不正ログイン被害の原因となるパスワードの使い回しはNG」(2016年掲載) https://www.ipa.go.jp/security/anshin/attention/2016/mgdayori20160803.html (使い回していない人の割合)
  3. Bitwarden Security White Paper https://bitwarden.com/help/bitwarden-security-white-paper/ (鍵の作り方・暗号化金庫。英語)
  4. Bitwarden Help: KDF algorithms https://bitwarden.com/help/kdf-algorithms/ (鍵導出関数の目的・Argon2idの既定。英語)
  5. OWASP Password Storage Cheat Sheet https://cheatsheetseries.owasp.org/cheatsheets/Password_Storage_Cheat_Sheet.html (作業係数と推奨設定。英語)
  6. 1Password Support: Secret Key security https://support.1password.com/secret-key-security/ (シークレットキーの役割。英語)
  7. Bitwarden Help: Form URIs for Autofill https://bitwarden.com/help/uri-match-detection/ (自動入力の照合方法。英語)
  8. NIST SP 800-63B-4 Authentication and Authenticator Management https://pages.nist.gov/800-63-4/sp800-63b.html (サイト側の要件。英語)

なおした ところ

更新履歴

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