1. にじの 色は、どこで 切れるの?
1. 虹の色の境目は、どこにあるのか
1. 虹の色の境目はどこか ── 連続した帯を見る
にじを 見て、色を 上から 数えて みましょう。赤、だいだい、黄、緑、青、あい、紫。でも、青と 緑の あいだは どうでしょう。どこまでが 青で、どこからが 緑でしょうか。
キヤノンの 子ども向けの ページでは、にじの 色の さかいめは あいまいで、ぼんやりと つながった おびに なっていると せつ明されています[1]。見かたに よっては、青と 緑の あいだに 青みどりの ような 色も 見えて、7色より 多く 見える ことも あります[1]。
なだらかな 坂道に、7この はたを 立てる ところを 思いうかべて ください。坂は ずっと つづいていて、はたの 場所は 人が 決めた ものです。ただし 本当の にじの 色が、はたを 立てる 場所まで 決まっている わけでは ありません。
数えてみると、数えにくい
虹の色を端から順に数えようとすると、青と緑のあいだで手が止まります。どこまでが青で、どこからが緑なのか、線を引けないからです。
キヤノンの子ども向け解説は、虹の色の境目はあいまいで、各色がぼんやりとつながった帯になっていると説明しています[1]。見方によっては、青と緑のあいだに青緑のような色も見え、7色よりもっと多くの色があるように見える、とも書かれています[1]。
なだらかな坂道に、7本の旗を立てる場面を想像してみてください。坂は途切れずに続いていて、旗の位置は人が決めたものです。ただし本当は、虹の色の並びの中で「ここが旗の場所」と決まっているわけではありません。7色は、連続した帯に人が入れた区切りだと考えると、すっきりします。
虹を端から数えると、青と緑のあいだで手が止まる。キヤノンの解説は、虹の色の境目はあいまいで、各色がぼんやりとつながった帯になっていると説明する[1]。見方によっては青と緑のあいだに青緑のような色も見え、7色よりも多くの色があるように見える[1]。
つまり虹は、色が連続的に変わる帯であり、「7つの色の箱が並んだもの」ではない。光の側にあるのは連続した変化で、7という数は、その帯を人がどこで区切るかで決まる。このメモの問いは、したがって「虹は何色か」ではなく、「だれが、何を基準に7つに区切ったのか」になる。
なお、解説サイトは光を子ども向けに説明するものであり、境目の位置や色の数を測った測定結果ではない。ここでは「境目が引けないほど連続している」という見方の出どころとして使う。
2. 一つの 光が、どうして 色に 分かれるの?
2. 雨粒の中で、光が色に分かれていく
2. 雨粒の中の屈折と反射 ── 赤が外側、対日点を中心に約42度
にじは、太陽の 光が 雨の つぶに 入って できます。水の つぶに 入る とき、光は 曲がります。この 曲がりかたが、色ごとに ちがいます。だから 光が 色に 分かれます[2]。
分かれた 光は、つぶの 内がわで はね返って、外へ 出ていきます[2]。にじの いちばん 外がわが 赤、内がわが 紫です[5]。
こうして、色が ならんだ おびが できます。ここまでで、「にじは つながった 色の おび」だと 分かりました。では、その おびを 7つに 数えたのは だれでしょう。
3. 7色は、むかしから 7色だったの?
3. ニュートンより前の虹は、何色と数えられていたのか
3. ニュートン以前の色数と、ニュートン自身の「原色」
ニュートンより 前は、にじは 3色か 5色と 考えられていたと せつ明されます[1]。ただし、地いきや 時代で ばらばらで、みんなが 同じだった わけでは ありません。
ニュートンが 本に 書いた ときは、赤から むらさきまで 7つに 分けて ありました[4]。でも ニュートンの ほかの メモでは、もとに なる 色は 赤、黄、緑、青、むらさきの 5つです。だいだいと あいは、「たくさんの 中間の 色」と いっしょに のせられていました[6]。
おんがくの 音に 合わせる ため、5つの 色に だいだいと あいを たして、7つに 分けたと せつ明される ことが あります[5]。では、どうして わざわざ 2つ たしたのでしょう。
3色や5色だったという説明
ニュートンが発表するまで、虹は3色または5色と考えられていた、と説明されることがあります[1]。ただし、地域や時代によってまちまちで、全員がそうだったという意味ではありません。
ニュートン自身の言葉は、少し違う
ニュートンの別の原稿には、もとになる色は赤・黄・緑・青・紫がかった紫の5つで、橙と藍は「無数の中間の段階」とともに挙げる、という趣旨の記述があるといいます[6]。英語版ウィキペディアの虹の項目も、ニュートンははじめスペクトルを5色に分け、のちに橙と藍を足したと説明しています[5]。
つまりニュートンにとって、7つは「自然が決めた数」ではありませんでした。音階に合わせるため、橙と藍を加えて7つに区切ったと説明されています。足した理由は、次の章で見ます。
ニュートン以前の色数については、虹は3色または5色と考えられていたと説明される[1]。ただし、地域や時代によって数え方はちがっていた。
注目したいのは、ニュートン自身の記述が一枚岩でない点だ。別の原稿では「原色」を赤・黄・緑・青・紫がかった紫とし、橙と藍は「無数の中間の段階」とともに挙げている[6]。英語版ウィキペディアも、ニュートンがはじめスペクトルを5色に分け、のちに橙と藍を足したと説明する[5]。
一方、『光学』の第I編第II部では、後述のように円周を7つの部分に分け、赤・橙・黄・緑・青・藍・紫を割りあてる[4]。原稿の「5つ+中間」と、『光学』の「7つ」は矛盾するというより、この二つの記述は、色の分類と音階に合わせた区切りという別の観点から書かれたものと読める。
では、なぜ『光学』は7つなのか。
4. ニュートンは、どうして 7つに したの?
4. 7つに区切った理由は、音階にあった
4. 『光学』の円と音階 ── 橙・藍を足した理由
わけは、音楽です。ドレミのような 音階には、7つの 音が あります[4]。ニュートンは、色の おびの はばが、音階の 音の 高さの ちがいに 合うと 考えました[1]。そのために、5色に だいだいと あいを たして、7色に したと せつ明されます[1]。
本では、円を 7つに 分けて、赤から むらさきまでを あてはめ、はばを 音の 高さの くらべ方に 合わせています[4]。むらさきは、音が 1オクターブ 上で くりかえすように、赤の くりかえしに 見えると 考えた そうです[3]。
ここで 大切なのは、ニュートンが「7色を 見つけた」のでは ない ことです。ニュートン自身は、色が 数え切れないほど あると 知っていたと いいます[1]。7は、音楽に 合わせて 区切った 数でした。
色の帯の幅を、音階の比に合わせる
キヤノンの解説によると、ニュートンが7色としたのは、各色の帯の幅が音楽の音階の音の間の高さに対応すると結論するためでした[1]。ニュートンの『光学』には、円周を7つの部分に分け、赤・橙・黄・緑・青・藍・紫を順に割りあて、その比を音階の音程の比に合わせる記述があります[4]。
橙と藍、そして紫が赤にもどる
橙と藍は、音階の半音の位置に当たるとされています。ニュートンは、紫が赤の繰り返しのようだ、とも考えたといいます。音階で、1オクターブ上の音が同じ名前の音として戻ってくるのと同じ見方です[3]。
大切なのは、ニュートンが7色を「発見した」のではなく、色の帯を音階にならって「区切った」ことです。キヤノンの解説は、ニュートン自身は色が無数にあることを知っていたと伝えています[1]。7という数は、音楽という物差しを帯に当てて出てきたものでした。
『光学』第I編第II部の命題は、円周を7つの部分に分け、第1の部分DEに赤、第2のEFに橙、FGに黄、CAに緑、ABに青、BCに藍、CDに紫を割りあてる。そして各部分の長さを、1オクターブの8音(両端を含む)のあいだにある7つの音程の比(1/9、1/16、1/10、1/9、1/16、1/16、1/9)に比例させる[4]。
ここでニュートンが行ったのは、色の数を数えることでなく、色の帯の幅を音程の比に当てることだった。キヤノンの解説も、7色としたのは各色の帯の幅が音階の音の間の高さに対応すると結論するためだと説明し、ニュートン自身は色が無数にあることを知っていたとする[1]。
橙と藍が加わった理由は、音階の半音の位置に当たるためとされる。さらにニュートンは、紫を、音がオクターブ離れて繰り返すように、赤の繰り返しに近いものと考えたという[3]。ただし、これらは二次資料(科学雑誌の解説)に基づく説明で、ニュートンがこの対応を本当にどの程度信じていたかは、ここでは言い切れない。
5. ほかの 国では、にじは 何色なの?
5. 国が変わると、虹の色数も変わる
5. 色数の国ごとのちがいと、日本で7色が定着するまで
「にじは 7色」は、日本では 当たり前です。でも、日本語の 記事では、アメリカや イギリスは 6色、ドイツは 5色、台わんは 3色などと れいに あげられる ことが あります[7]。アメリカでは、あいを 1つの 色に 数えず、6色に する、という しょうかいも あります[8]。
これは 学校や ならわしでの 数え方の 目安で、国の 人が みんな そう見える という ことでは ありません。目で 見る 光は 同じでも、数え方が ちがうのです。使う 言葉の 数に よって、数える 色や よび名が かわる という せつ明も あります[5]。
日本では、明治の あとに、ニュートンの 7色の 考えが 教科書に 入って、7色が 広まったと されます[9]。それより むかしは、3色や 5色などで あらわしていたそうです[9]。
6色、5色、3色という紹介
日本語の紹介記事には、虹の色はアメリカやイギリスでは6色、ドイツでは5色、台湾では3色、と例を挙げるものがあります[7]。琉球新報のコラムも、米国は藍を独立させない6色、ドイツやロシアは5色と書いています[8]。「虹は7色」は、あくまで日本の常識だというわけです[7]。
ただし、これは教科書や慣習で教わる数え方の目安です。国民全員がそのように見ているという意味ではありません。英語版ウィキペディアの虹の項目は、見分ける色の数や呼び名は、使う言語によって左右されると説明しています[5]。見える光が違うのではなく、数え方と呼び名が違う、という読み方になります。
日本に7色が広まったのは
日本では、明治以降に西洋の科学や教育制度が入り、ニュートンの7色説が教科書に採用されて、今の7色が定着したとされます[9]。江戸時代までは、虹を3色や5色などで表したといいます[9]。7色が日本で広まった時期と、最初に紹介された時期は、分けて考える必要があります。
色数の国別の違いについては、日本語の紹介記事で、アメリカ・イギリスは6色、ドイツは5色、台湾は3色と例示される[7]。別の資料でも、米国は藍を独立させず6色、ドイツ・ロシアなどは5色、アフリカの一部は2色(赤と青)とされる[8]。「虹は7色」は日本の常識だ、というまとめ方になる[7]。
注意したいのは、これらが教科書や慣習で教わる数え方の目安であり、人々が実際に見ている色の数の測定ではない点だ。英語版ウィキペディアは、見分ける色の数や呼び名は使う言語による、と述べるが、これは「見える色が違う」という強い主張ではなく、「数え方・呼び名が変わる」と読むのが妥当だ[5]。
日本については、明治以降に西洋科学と教育制度が導入され、ニュートンの7色説が教科書に採用されて現在の7色認識が定着した、と説明される[9]。江戸時代までは虹を3色・5色などで表した、ともいう[9]。7色が日本で広まった時期と、最初に紹介された時期は分けて考える必要がある。
このように、7色は光の性質からただ1つに決まる数ではなく、音階への対応づけ、教育制度、言語という人間の側の事情が重なって定着した数え方だと整理できる。
6. 自分の目で、色を 数えて みよう
6. 水しぶきで虹を作り、色の境目を探す
6. 自分で確かめる道すじと、原典の読み方
やってみよう 晴れた日の 外で、太陽を せなかにして、きりふきで 水を 細かく ふいてみましょう。目の 前に 小さな にじが 見えるかも しれません。
見えたら、何色に 見えるか 数えて、青と 緑の あいだに 名前を つけて みましょう。7色に 数えた 人も、6色に 数えた 人も、まちがいでは ありません。太陽は 直せつ 見ないでください。
もっと 知りたい 人は、図書館で ニュートンの 本や、色と 音の ほんを さがして みましょう。
今日できること
晴れた日に、太陽を背にして、霧吹きで細かい水をまいてみてください。うまくいくと、目の前に小さな虹が見えます。見えたら、自分で色を数えてみましょう。青と緑のあいだに、自分なりの名前をつけることもできます。7つに数えても6つに数えても、帯の側が変わるわけではありません。太陽は直接見ないでください。
数え方の違いを知る
身近な人に虹の色を聞くと、答えの数が違うかもしれません。その違いは、光の違いというより、数え方や呼び名の違いと考えられます。
もっと調べるなら
ニュートンの『光学』(Opticks)は、英語の原典です。図書館や科学史の本では、日本語で解説された形で読めることがあります。この記事で使った資料は、出典欄に挙げています。
確かめる道すじとして、第一に、霧吹きの細かい水で小さな虹を作り(太陽を背にし、直接見ない)、自分で色を数えて、境目が引けるかを確かめられる。色の数え方は、人によって、また見る条件によって変わりうる。
第二に、色の言葉の数と色数の関係を考えるには、自分が使う言語の色名で、青と緑のあいだをどう呼ぶかを調べるとよい。日本語は「青」が広い範囲を指す場合があり、ここから色名の区切りの違いを考える材料になる。
第三に、原典に当たる場合、ニュートン『光学』(Opticks)第I編第II部命題VI問題IIが、円周の7分割と音程比の出てくる箇所だ。このメモは転載テキストで読んだため、可能なら公的アーカイブの原本で確かめたい。また、別の原稿の「原色」の記述と読み比べると、7という数が自然の側にあるのか、人の側にあるのかが具体的に見える。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
本文の[ ]の番号は、下の資料の番号に対応します。
- キヤノン キッズ「なぜ虹は7色?」 https://global.canon/ja/technology/kids/mystery/m_04_09.html (色の境目、ニュートン以前の色数、音階との関係)
- キヤノン サイエンスラボ「光」 https://global.canon/ja/technology/s_labo/light/001/02.html (雨粒の中の屈折と反射)
- The Scientist, "Newton's Color Theory, ca. 1665" https://www.the-scientist.com/newtons-color-theory-ca-1665-31931 (橙と藍、紫が赤の繰り返しという見方)
- Newton, Opticks, Book I Part II Prop. VI Prob. II (転載) https://hackernoon.com/prop-vi-prob-ii (円周の7分割と音程の比。転載テキストのため、数値は原本でも確かめたい)
- Wikipedia, "Rainbow" https://en.wikipedia.org/wiki/Rainbow (赤が外側・約42度、5色から7色へ、言語と色数)
- Wikipedia, "Indigo" https://en.wikipedia.org/wiki/Indigo (ニュートンの別の原稿の引用)
- オールアバウト ニュース「虹は何色?」 https://news.allabout.co.jp/articles/o/59462/ (国ごとの色数の紹介)
- 琉球新報 コラム https://ryukyushimpo.jp/column/prentry-205827.html (国ごとの色数の紹介・2つ目の資料)
- JBC コラム https://www.jbc-ltd.com/column/?p=6732 (日本で7色が定着した経緯)
なおした ところ
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