1. でんき代の 小さな 1ぎょうは、いくら?
1. 検針票の一行は「4.18円×使った量」でできている
1. 検針票の一行は、単価(円/kWh)×使用量(kWh)
おうちに とどく でんき代の おしらせを 見て みましょう。「再エネ賦課金」と 書かれた 1ぎょうが あるはずです。
2026ねんどの 単価は、1キロワットじ(kWh)あたり 4.18円です[3]。この 4.18円に、使った でんきの りょうを かけると、その 1ぎょうの お金に なります[1]。
ひと月に 400キロワットじ 使う 家なら、4.18円×400で 1672円です。1年で 2万円ほどに なります[1]。400は 一れいで、使う りょうは 家ごとに ちがいます。
この お金は、太ようこうなどの でんきを 買う ための ひようの 一部を、でんきを 使う みんなで 出しあう もの です。出しあう ほうほうが かわるから、1ぎょうの 数が 毎ねん ちがいます。では、この 4.18円は だれが、どう 決めて いるの でしょう。
電気料金の明細には、「再生可能エネルギー発電促進賦課金」という一行があります。金額は「単価(円/kWh)×使用量(kWh)」で決まり、契約している電力会社やプランにかかわらず、単価は共通です[1]。
2026年度の単価は4.18円/kWhで、2026年5月分から2027年4月分の検針に使われます[3]。月400kWh使う家庭を例にすると、4.18円×400kWhで1,672円、1年では2万円ほどです[1]。400kWhは目安の一例で、家庭によって使う量は変わります。
この賦課金は、再エネ電気の買取費用にあてるお金を、電気を使う人みんなで支えるためのものです。単価の数字は毎年変わります。それは、だれが何をもとに決めているのでしょうか。
検針票に載る「再生可能エネルギー発電促進賦課金」は、単価(円/kWh)に使用量(kWh)をかけて計算する。単価は契約先の電力会社やプランによらず一律だ[1]。2026年度の単価は4.18円/kWhで、2026年5月検針分から2027年4月検針分に適用される[3]。月400kWhの使用なら1,672円で、年額は約2万円になる[1]。式にあてはめると、4.18円/kWh×400kWh=1,672円だ。ただし400kWhは一例で、資料によって標準的な家庭の使用量の置き方は異なる。
法的な根拠は再エネ特措法にある。電気事業者は、再エネ電気の買取費用にあてる納付金のため、電気の使用者に賦課金の支払を請求できる(16条)[2]。条文上の言葉は「納付金」で、「賦課金単価」は一般向けの呼び名として使われている。では、この単価はだれが、何を材料に決めるのか。
2. 14ねんで 19ばい。なのに 1ど だけ 下がった
2. 14年で約19倍。なのに、1年だけ大きく下がった
2. 0.22円から4.18円へ ── 2023年度だけ単価が下がった
賦課金の 単価は、2012ねんどに 0.22円でした。2026ねんどの 4.18円は、その やく19ばいです[5]。ただし これは 単価の ばいりつ で、家の お金の ふえかた では ありません。
400キロワットじ 使う 家で 1年の お金を 計算すると、2012ねんどは 1056円、2024ねんどは 1万6752円です[1]。
ところが、2023ねんどだけは 1.40円に 下がりました。2022ねんどは 3.45円、2024ねんどは 3.49円ですから、この 1ねんが とくべつ です[5]。
買う お金が ふえて いたのに、単価が 下がる。この ふしぎを とく かぎは、単価の 「わり算」の 中に ありました。
賦課金の単価(円/kWh)は、制度が始まった2012年度の0.22円から、2026年度の4.18円まで上がってきました。約19倍です[5]。ただし、これは1kWhあたりの単価の倍率で、家計の負担の総額が19倍になったという意味ではありません。
月400kWh使う家庭で1年分を計算すると、2012年度は1,056円、2024年度は16,752円です[1]。
年ごとの推移を見ると、2022年度は3.45円、2023年度は1.40円、2024年度は3.49円です[5]。ほぼ右上がりの中で、2023年度だけが半分以下に落ちました。再エネ電気の買取費用はその年も増えていたのに、なぜでしょうか。答えは単価の割り算の中にあります。
単価は2012年度の0.22円/kWhから、2013年度0.35円、2014年度0.75円、2015年度1.58円と上がり、2019年度に2.95円、2022年度に3.45円となった。2026年度の4.18円は2012年度の約19倍にあたる[5]。ただしこの19倍は単価の倍率であって、家計負担の総額の倍率ではない。
月400kWh使う家庭の年額は、2012年度が約1,056円、2024年度が約16,752円、2026年度が約2万円だ[1]。
この上昇傾向のなかで、2023年度の1.40円だけが外れる。前年度の3.45円から約6割下がり、翌2024年度は3.49円に戻った[5]。買取費用が減ったから下がったわけではない。理由を知るには、まず単価の算定式を分解する必要がある。
3. 単価は、どんな わり算で できている?
3. 単価は、買取費用から回避可能費用を引き、販売電力量で割ってつくる
3. 単価をつくる3つの量と、2026年度の検算
単価は、3つの 数で できて います。「買い取りの お金」と、「買わずに すんだ お金」と、「でんきを 売った りょう」です[3]。
はじめに、買い取りの お金から、買わずに すんだ お金を ひきます。その 答えを、売った りょうで わると、単価に なります[3]。
「買わずに すんだ お金」とは、こういう ことです。でんき会社が 再エネの でんきを 買うと、そのぶん 自分の 火力はつでんなどで つくる ひつようが なくなります。つくらずに すんだ 分の お金が、この 数です[3]。
つまり、再エネの でんきを つかう ぶん、ほかの はつでんや しいれに かかる お金が へる、と いう ことです。
2026ねんどは、およそ 4.8兆円から 1.6兆円を ひいて、7665おく キロワットじで わります。すると 4.18円ほどに なります[3]。(じむの お金は べつに 少し たされます)
単価は、「買取費用」から「回避可能費用等」を引き、事務費を加えたものを、「販売電力量」で割って求めます[3]。
回避可能費用とは、電力会社が再エネ電気を買い取ったぶん、自分で火力発電などをしたり、別から電気を調達したりしなくて済んだ費用です[3]。たとえば、牛乳を友だちから先に買ってもらえば、その日は店で買わずに済む、という感覚に近いでしょう。ただし、実際の電力会社の調達は市場取引なども含み、もっと複雑です。
2026年度の内訳は、買取費用が約4兆8,507億円、回避可能費用等が約1兆6,495億円、販売電力量が7,665億kWhです[3]。(48,507−16,495)億円÷7,665億kWhを計算すると約4.176円で、公表の4.18円とほぼ合います。事務費は小さい額が別に加わるので、この計算は事務費を抜いた概算です。
つまり単価は、「再エネを買い取るお金のうち、電気そのものの価値でまかなえない差額」を、みんなの使う電気の量で薄めたものです。差額が決め手なら、差し引かれるほうの数が大きく動いたとき、単価は大きく変わるはずです。
単価は「(買取費用−回避可能費用等+事務費)÷販売電力量」で求める[3]。回避可能費用は、電力会社が再エネ電気を買い取ったことで、本来予定していた発電や調達をやめ、支出を免れた費用を指す[3]。賦課金は、再エネ電気を買い取る費用のうち、この「免れた費用」でまかなえない差額を、全体の販売電力量で割ったものといえる。
2026年度の内訳は、買取費用4兆8,507億円、回避可能費用等1兆6,495億円、販売電力量7,665億kWhだ[3]。(48,507−16,495)億円÷7,665億kWh≒4.176円で、公表値4.18円に近い。事務費の項を省いた概算のため、わずかな差は残る。
この式では、分母の販売電力量は、2022年度から2023年度にかけての変化が小さい一方、分子の回避可能費用等は電力の市場価格しだいで大きく動きうる。だとすれば、単価は市場価格の影響を強く受けるはずだ。その実例が2023年度である。
4. でんきが 高く 売れた 年は、なぜ 下がる?
4. 市場の値段が上がると、なぜ賦課金は下がるのか
4. 2023年度 ── 回避可能費用が約2.5倍になった年
2022ねんどから 2023ねんどに かけて、数字は こう うごきました[4]。
買い取りの お金は やく4.2兆円から やく4.7兆円へ、少し ふえました。でんきを 売った りょうは ほとんど 同じ です。ところが 買わずに すんだ お金は、やく1.5兆円から やく3.6兆円へ、およそ 2.5ばいに なりました。
この とき 世界で 燃料の ねだんが 上がり、でんきの 市場の ねだんも 上がって いました。買わずに すむ ぶんの ねうちが 上がったので、ひく 数が 大きく なり、答えの 単価が 下がったのです[4]。
回避可能費用は、でんきの 市場で 売れる ねだんなどを もとに 決まります。市場が 高いと 賦課金は へり、安いと ふえる ——そんな ぎゃくむきの かんけいが あると せつめいされて います[6]。
2022年度から2023年度への変化を、数字で見ましょう[4]。買取費用等は約4兆2,033億円から4兆7,477億円へ、1割ほど増えました。販売電力量は7,943億kWhから7,946億kWhで、ほぼ同じです。それなのに回避可能費用等は、約1兆4,609億円から3兆6,353億円へと、約2.5倍になりました。
差し引く数が約2.2兆円も増え、買取費用の増え幅(約5,400億円)を大きく上回ったので、分子が小さくなり、単価は3.45円から1.40円になりました。(47,477−36,353)億円÷7,946億kWhも約1.40円です。
背景には、燃料価格の高騰で、電力の卸売市場の価格が上がったことがあります[4]。回避可能費用は卸売市場での売却価格などをもとに決まるので、市場が高く、再エネ電気が高く売れるほど賦課金は減り、市場が安いほど増えるという、逆向きの関係が指摘されています[6]。
では、毎年のこうした揺れは、どうやって単価に反映されるのでしょうか。
2022年度から2023年度にかけて、買取費用等は4兆2,033億円から4兆7,477億円へ約1割増えた。販売電力量は7,943億kWhから7,946億kWhでほぼ同じだ。ところが回避可能費用等は1兆4,609億円から3兆6,353億円へ約2.5倍となり、単価は3.45円から1.40円に下がった[4]。
検算すると、(42,033−14,609)億円÷7,943億kWh≒3.45円、(47,477−36,353)億円÷7,946億kWh≒1.40円で、公表値と合う。差し引かれる額は約2兆2,000億円増え、買取費用等の増加(約5,400億円)を上回った。それが単価を押し下げた主因である。
その背景は、燃料高騰で電力の卸売市場価格が上がり、回避可能費用等が増えたことだと整理されている[4]。回避可能費用は卸売市場での売却価格などをもとに決まるため、市場価格と賦課金は逆向きに動く(市場が高ければ減り、安ければ増える)との指摘がある[6]。ただし、これは民間の解説による整理であり、算定の細部は経済産業省の公表資料で確かめる価値がある。
だとすれば、市場価格が年ごとに変わる以上、賦課金も年ごとに決め直されるはずだ。ただ、年度が始まる前の単価は、どうやって決めるのか。
5. どうして まいとし 決め直すの?
5. 「見込み」で決めるから、毎年決め直す
5. 見込みと前々年度の過不足 ── 条文から読む、毎年のずれ
単価は、その ねんどが はじまる まえに 決めます。まだ おきて いない ことを、よそうして 決める のです。
ほうりつには、その ねんどの 買い取りの お金の「見こみ」と、でんきを 売る りょうの「見こみ」を つかうと 書いて あります。さらに、2ねん前の ねんどの 「たりなかった ぶん」「あまった ぶん」も かんがえて 決めると あります[2]。
市場の ねだんは、よそうどおりに ならない ことも あります。そのずれを、あとの ねんどで ちょうせい できる しくみです。
2026ねんどが 上がった わけは、市場の ねだんが おちついて 買わずに すむ お金が へった こと、再エネの はつでんしょが うごき つづけて 買い取りの お金が かかる こと、と せつめいされて います[3]。
賦課金の単価は、年度が始まる前に決めます。再エネ特措法12条2項は、その年度の買取費用などにあてる交付金の見込額の合計に事務費の見込額を加え、電気事業者が供給する見込みの電気の量で割った額を基礎とすると定めています[2]。
さらに、「前々年度」の交付金と納付金の過不足などの事情も考えて、経済産業大臣が単価を定める、とされています[2]。見込みが外れた分を、2年後の単価に反映できる形になっています。
こうした決め方なので、市場価格しだいで毎年ずれが生まれ、毎年決め直されます。2026年度に3.98円から4.18円へ上がった理由は、市場価格が落ち着いて回避可能費用が減ったこと、買取対象の発電所が稼働を続けて買取費用が出続けることだ、と民間の解説は整理しています[3]。
再エネ特措法12条2項は、納付金単価の基礎を次のように定める。その年度に全電気事業者へ交付される交付金の見込額の合計に、事務費の見込額を加え、供給見込みの電気の量の合計で割った1kWhあたりの額だ。さらに「前々年度」における交付金と納付金の過不足額その他の事情を考慮して、経済産業大臣が定める[2]。
つまり単価は、年度が始まる前の「見込み」で決まり、見込みと実績のずれは2年後に調整される形になっている。市場価格を完全には予測できないため、毎年ずれが生じ、単価が毎年決め直される。
2026年度の4.18円は、前年度の3.98円からの上昇だ[5]。民間の解説は、化石燃料のコストが落ち着いて市場価格が下がり、回避可能費用が減ったこと、また固定価格買取制度(FIT)の認定を受けた発電所が稼働を続けて買取費用が発生し続けることをあげる[3]。この要因は解説記事の整理であり、経済産業省の言葉として読まないほうがよい。
2012年度から続く長い上昇と2023年度の急降下は、「買取費用が積み上がる力」と「市場価格による差し引き」という2つの力の綱引きとして読むこともできる。この見方は筆者の整理だ。
6. 自分の うちの 1ぎょうを、けいさんして みよう
6. 自分の検針票の一行で、単価を割り出してみよう
6. 出口 ── 検針票の一行を割り算で確かめ、原典の条文を読む
おうちの 人と いっしょに、でんき代の おしらせ(けんしんひょう)を 見て みましょう。「でんきを 使った りょう(キロワットじ)」と、「再エネ賦課金」の お金を さがします。
けいさんきで、賦課金の お金を、使った りょうで わります。出て きた 数が、その 月の 単価に ちかく なるはずです。
けんしんの 月に よって、どの ねんどの 単価か ちがうかも しれません。2026ねん5月から 2027ねん4月の けんしんぶんは 1キロワットじあたり 4.18円です[3]。お金の はしたの あつかいで、すこし ずれる ことも あります。
もっと 知りたく なったら、ほうりつの 文を よんで みましょう。「単価は 見こみで 決まる」と 書いた ところを さがすと、むずかしくても 話の すじが つかめます[2]。
今日できること
家の人と一緒に、電気料金の検針票(紙でもウェブでも)を開き、「使用量(kWh)」と「再エネ賦課金」の金額を探します。金額÷使用量を電卓で計算すると、その月に使われた単価に近い数字が出るはずです。
2026年5月から2027年4月の検針分は4.18円です[3]。検針の月によって年度が変わりますし、端数の処理でわずかにずれることもあります。2023年度の1.40円と比べて、どちらの年のほうが自分の家の負担が大きかったか、考えてみるのも面白いでしょう。
原典を読む
12条2項の「見込額」「前々年度」の部分を、条文で読んでみてください。一文が長くて難しく見えますが、この記事の「見込みで決めて、2年前の過不足も考える」という流れと照らすと、読み進められます[2]。
検針票で確かめる
手元の検針票から、使用量(kWh)と再エネ賦課金の金額を拾い、金額÷使用量を計算する。結果が検針月に対応する年度の単価に近ければ、「単価×使用量」の理解は合っている。2026年5月から2027年4月検針分は4.18円だ[3]。端数処理でわずかにずれる場合がある。
資料の読みどころ
条文の12条2項と16条は、この記事の骨組みの出どころだ[2]。ただし、年度ごとの内訳(買取費用・回避可能費用等・販売電力量)は、ここでは民間解説が引く経済産業省資料の数字を使っている[3][4]。実際の数字は経済産業省・資源エネルギー庁の原資料で確かめる価値がある。2023年度の下がり方と、2024年度以降の戻り方を年表にして、市場価格と並べてみるのも一つの調べ方だ。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
法令の条文は一次資料、数字は民間解説が引く経済産業省資料のため、公表資料での確認も勧めます。
- ENEOSパワー「再エネ賦課金とは」 https://www.eneos-power.co.jp/article/basics-electricity/renewable-energy-surcharge/ (計算式・家庭の目安)
- 電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(日本法令外国語訳データベースシステム・日本語版) https://www.japaneselawtranslation.go.jp/en/laws/view/2573/ja (12条2項・16条)
- ENEMANEX「再エネ賦課金」の解説 https://enemanex.jp/saienefukakin/ (算定式・2026年度の内訳)
- ENEMANEX 2023年度の賦課金の解説 https://enemanex.jp/?p=9161 (2022・2023年度の内訳)
- 新電力ネット「再生可能エネルギー発電促進賦課金の推移」 https://pps-net.org/statistics/renewable (年度ごとの単価)
- ビジネス+IT(SBBIT) https://www.sbbit.jp/article/st/136476 (市場価格と賦課金の関係)
なおした ところ
更新履歴
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