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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

くしゃみの つぶは、口を でたあとも くだけつづけるの?

くしゃみの液は、口を出たあと、どう粒になっていくのか

くしゃみの液は口の外でどう分裂するのか ── 高速度撮影、3か所の発生源、粒の数の幅

分野:からだ

くしゃみを すると、口から えきが とびだします。とても はやい カメラで 見ると、えきは はじめから つぶでは ありません。うすい まくに なり、ふくろのように ふくらんで やぶれ、いとに なって、さいごに つぶに なります。しかも 口の 外に 出てからも、くだけつづけて いました[2]。

つぶは どこで つくられて、なんこ ぐらい 出るのでしょう。この メモを 読むと、つぶの つくられかたと、数の ふしぎが 分かります。

くしゃみで口から出る液は、最初から粒になって飛び出すわけではありません。高速度カメラで撮ると、液は口の外に出てからも、薄い膜、袋のようなふくらみ、細い糸、そして粒へと、砕け続けていました[2]。

その粒は、体のどこで作られ、1回に何個ほど出るのでしょうか。くしゃみだけでなく、ふつうに話すだけでも粒は出ています。この記事を読むと、粒の作られ方と、数え方によって数が大きく変わることが分かります。

くしゃみの口元を高速度撮影した実験では、液体は口の外に出てからも「膜→袋の破裂→糸状→粒」と分裂を続けることが直接観察された[2]。粒は口の中で完成して飛び出すのではなく、空気の中で砕けながら粒になっていく。

では、その液はそもそも体のどこで作られるのか。1回に出る粒の数は、出典によって約4万個から約100万個まで開くが、なぜそうなるのか。さらに、くしゃみをしない通常の会話でも粒は出るのか。複数の資料の数字を同じ単位にそろえると、答えが見えてくる。

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1. くしゃみの えきは、口の 外で どうなる?

1. 口を出た液は、そこからさらに砕けていく

1. 口の外でも続く分裂 膜から袋、糸、粒へ

はなが むずむずして、くしゃみが 出ます。くしゃみは、体から ごみを 出そうとする はたらきです。むねや のどや かおの きんにくが、いっしょに うごきます[1]。

そのとき 口から 出る えきは、どうなるのでしょう。アメリカの しらべた ひとたちは、くしゃみの 口もとを、とても はやい カメラで うつしました[2]。

見えたのは、まず うすい まく。つぎに、ふくろのように ふくらんで、やぶれます。そして ほそい いとに なり、さいごに つぶに わかれます。この くだけかたは、口の 外でも つづいて いました。

シャボンだまが はじけて、こまかい しぶきに なる ようすに にて います。ただし 本当は、くしゃみの えきは ねばねば して います。その ねばりで、くだけるのが すこし おそく なる とも 書かれて います。

では、えきは 口に 来る まえ、体の どこで つくられるのでしょう。

鼻がむずむずして、くしゃみが出る。この一瞬は、刺激の知らせが三叉神経から脳の延髄に伝わり、横隔膜や肋間筋などの呼吸筋、のどや顔の筋肉が動く反射として起こります。出口の経路は、せきの反射とほぼ同じだと説明されています[1]。

では、そのとき口から出る液は、どうなっているのでしょうか。アメリカの研究チームは、くしゃみの口元を高速度カメラで撮影しました[2]。見えたのは、液が最初から粒で飛び出すのではなく、薄い膜になり、袋のようにふくらんで破れ、細い糸になり、最後に粒に分かれていく流れです。しかもその分裂は、口の中だけでなく、口の外に出てからも続いていました。

シャボン玉が割れて細かいしぶきになる場面に近いかもしれません。ただし、くしゃみの液は唾液や粘液で、ねばりと弾力があります。研究チームは、そのせいで分裂が少し遅れ、最後にできる粒の大きさの分かれ方にも影響すると書いています[2]。

口の外で砕けるなら、粒の元になる液は、体の中のどこで用意されるのでしょうか。

くしゃみは異物を排除する反射で、知覚の入口は三叉神経、中枢は延髄にある。出口は咳の反射とほぼ同じ経路で、横隔膜・肋間筋などの呼吸筋、喉頭筋、顔面筋が一斉に働く[1]。咳と同じ出口を使うので、くしゃみの液も呼気の勢いに乗って口へ向かう。

問題は、その液が口を出た後にどうなるかである。Scharfmanらは、くしゃみの出口を高速度撮影し、液体がシート(膜)、袋状の破裂、リガメント(液体の細い糸)という段階を経て最終的に粒になることを直接観察した[2]。この分裂は気道の中で終わらず、口の外に出てからも続く。つまり、口の外で測った粒の大きさは、口を出る瞬間の液の姿そのものではない。

唾液や粘液は粘弾性(ねばりと弾力をあわせもつ性質)をもち、水より分裂が遅れる。論文は、この性質が最終的な粒の大きさ分布に影響すると述べている[2]。口の外のどの位置で、どのタイミングで測るかによって、見える粒の姿が変わりうるということである。

では、元になる液は、気道のどこでどう作られるのか。

2. 話す ときと せきの つぶには、大きさの 山が 3つ ある

2. 話すときと咳の粒には、大きさの山が3つある

2. 会話と咳の粒の大きさ分布には3つの山があり、3つの発生源に結びつけられた

はなす ときと せきを する ときの つぶの 大きさを しらべると、大きさの 山が 3つ ありました。2011年の しらべた ひとたちの 話です[3]。くしゃみで 同じ ことが いえるかは、この しりょうでは わかりません。

3つの 山は、3つの ばしょで、ちがう しくみで つくられる ためだと いわれます。1つめは、はいの おくに ある、ほそい くだの 先。2つめは、のどの 声を 出す あたり。3つめは、口の 中です。

いちばん 小さい つぶは、1ミリの 600ぶんの 1ぐらいです。いちばん 大きい 山は、1ミリの 7ぶんの 1ぐらい。ひとつの いきでも、大きさの ちがう つぶが まじって います。

では、1かいの くしゃみで、つぶは なんこ ぐらい 出るのでしょう。

2011年、粒の大きさを調べた研究が、おもしろい形に気づきました[3]。話すときも咳をするときも、粒の大きさの分布に山が3つあったのです。この研究が扱ったのは会話と咳で、くしゃみとの関係はこの資料では分かりません。

研究チームは、3つの山は3つの別々の場所と仕組みに対応すると報告しました。1つめは、肺の奥の気管支の先端で、液の膜が破れてできる粒。2つめは、声帯のある喉頭の近くでできる粒。3つめは、口の中でできる粒です。

山の位置は、話すときは約1.6・2.5・145マイクロメートル、咳では約1.6・1.7・123マイクロメートルでした。1マイクロメートルは1000分の1ミリです。いちばん小さい山と大きい山を比べると、話すときで約90倍(145÷1.6)、咳で約77倍(123÷1.6)の開きがあります。

ひと息の中に、これだけ大きさのちがう粒が混ざっています。では、1回のくしゃみで、粒は何個ほど出るのでしょうか。

口の外で砕けるなら、元になる液は体内のどこで作られるのか。Johnsonらは2011年、話す・咳をするときに出る粒の大きさ分布が3峰性であると報告した[3]。山は、下気道の深部(気管支の末端での膜の破裂)、喉頭(声帯付近)、口腔を含む上気道という、別々の3か所のプロセスに結びつけられた。

峰の位置は、会話で約1.6・2.5・145マイクロメートル、咳で約1.6・1.7・123マイクロメートルである。1マイクロメートルは1000分の1mmなので、最大の峰は約0.1mm台、最小は約0.0016mmになる。145÷1.6で約90倍(咳は123÷1.6で約77倍)の幅が、1回の呼気の中に同居していることになる。

小さい山の位置が会話と咳でほぼ同じ約1.6マイクロメートルなのに対し、大きい山は会話で145、咳で123と動く点は、出どころごとに作られ方がちがうという読みと整合する。

この研究が扱ったのは会話と咳で、くしゃみとの関係はこの資料では確認できない。では、くしゃみの粒は全部で何個出るのか。数字はここから大きく割れる。

3. くしゃみ1かいで、つぶは なんこ 出る?

3. くしゃみ1回の粒の数は、約4万個とも約100万個ともいわれる

3. 約4万個と約100万個 資料によって約25倍ちがう

くしゃみの つぶは、1かいで なんこ 出るのでしょう。しらべた しりょうに よって、答えが ちがいます。

数え方の ちがう しりょうでは、やく100まん こ。べつの 日本の しらべた ひとの 答えでは、やく4まん こです[5]。100まんを 4まんで わると、25ばいも ちがいます。

せきは 3000こ から 5000こ ぐらいと いわれます。これも しりょうによって、ちがいます。

どれかが まちがって いる とは かぎりません。数え方や はかり方、もとに した しらべが ちがう ことが、数の ちがいに つながって いるのかもしれません。

つぶの 大きさも 同じです。1946年の しらべでは、いちばん おおい つぶは 1ミリの 200ぶんの 1ぐらい。かみの けの はばより ずっと 小さい つぶです[4]。

1回のくしゃみで、粒は何個出るのでしょうか。資料を並べると、答えは1つにまとまりません。

1946年、口から出た約1万2千個の粒の染み跡を顕微鏡で測った研究がありました。粒の元の直径は1〜2000マイクロメートル、95%は2〜100マイクロメートルで、いちばん多いのは4〜8マイクロメートルでした[4]。4〜8マイクロメートルは、0.004〜0.008ミリです。くしゃみは、咳や会話より小さい粒の割合が多いと報告されています。

数のほうは、この測定をまとめたデータベースBioNumbersで、1回の咳が約5千個、くしゃみが約100万個です。一方、国立医薬品食品衛生研究所の研究者は、くしゃみ約4万個、咳約3千個、5分の会話で約3千個と答えています[5]。くしゃみだけで約4万と約100万、100万÷4万で約25倍の開きです。

2016年の論文も、粒の大きさ分布は測り方(顕微鏡で数える、光で数える、空気力学で測る、レーザーで測るなど)で食いちがい、合意がないと述べています[2]。約4万と約100万の差の理由は、数え方や測定条件、元になった研究のちがいなどが考えられますが、この資料だけでは特定できません。「くしゃみは○個」と1つの数字では言い切れない、ということは確かです。

くしゃみほど派手ではなくても、粒は出ているのでしょうか。

1946年の古典的な測定(Duguid)では、口から出た約1万2千個の粒の染み跡を顕微鏡で測り、元の直径は1〜2000マイクロメートル、95%が2〜100マイクロメートル、最頻は4〜8マイクロメートルだった。くしゃみは咳や会話に比べ、小さい粒の割合が多い[4]。ただし、これは80年近く前の1回の測定で、後の測定と一致しない。

個数はさらに割れる。Duguidの数え上げをまとめたBioNumbersでは、1回の咳で約5×10の3乗個、くしゃみで約1×10の6乗個とされる。国立医薬品食品衛生研究所の研究者は、日本医事新報で、くしゃみ約4万個、咳約3千個、5分の会話で約3千個と回答している[5]。くしゃみだけでも、100万÷4万で約25倍、咳は5000÷3000で約1.7倍の開きがある。

Scharfmanらは、スライド上の数え上げ、光学粒子計数、空力学的粒径測定、レーザー回折など、測り方ごとに粒の大きさ分布の結果が食いちがい、文献に合意がないと指摘している[2]。約4万個と約100万個の差も、数え方・測定条件・元の研究のちがいが関わる可能性はあるが、この資料だけでは特定できない。1つの値で断定せず、幅をもった数字として受け止めるのが妥当である。

では、くしゃみや咳より穏やかな、ふつうの会話ではどうなのか。

4. くしゃみを しなくても、話すだけで つぶは 出る

4. 話すだけでも、粒は1秒に数個から数十個出ている

4. 会話の放出量は声の大きさで増え、個人差が約10倍ある

くしゃみを しなくても、話して いる だけで、つぶは 出て います。ほとんどの つぶは 目に 見えません[6]。

アメリカの しらべた ひとたちは、声の 大きさで 出る つぶの 数が かわるか しらべました[6]。小さい 声の ときは 1秒に 1こ ぐらい。大きな 声の ときは 1秒に 50こ ぐらいです。声が 大きい ほど、つぶは ふえました。

ことばの ちがいは、かんけい ありませんでした。えいご、スペインご、中国ご、アラビアごで しらべても、同じ けっかです。

同じ 声の 大きさでも、10ばい ぐらい 出す 人が ごく わずかに いました。ひとりひとり、ちがうのです。

ここで 出て くる 数は、大きい つぶも 小さい つぶも ぜんぶ 数えた ものです。ぜんぶの つぶが 人にうつる ちからを もつ わけでは ありません。

くしゃみもせきもしない、ふつうの会話ではどうでしょうか。2019年の研究は、会話のときの粒の放出量を、声の大きさを変えて測りました[6]。

結果は、声が大きいほど放出が増える、というものでした。毎秒の個数は、小さい声で約1個、大きい声で約50個です。この傾向は、英語・スペイン語・中国語・アラビア語のどれでも同じでした。

ここから計算してみます。毎秒1〜50個が1分間続くと、60〜3000個です。実際の会話には間もあるので、これは上限と下限をかけ算しただけの目安です。ただ、先ほどの国立医薬品食品衛生研究所の研究者の回答「5分の会話で約3千個」を秒に直すと、3000÷300で毎秒約10個。測り方がちがう2つの資料の数字が、同じ範囲に収まりました。

同じ声の大きさでも、ごく一部の人は約10倍多く粒を出しました。研究はこうした人を「スーパーエミッター」と呼んでいます。話し方や体のつくりで出方に差があるということで、だれかのよしあしを表す言葉ではありません。

この数は、大きさの区別なく数えた値です。出た粒がすべて、人にうつる力をもつわけではありません。

出た粒は、1つずつばらばらに飛ぶのでしょうか。

くしゃみや咳ではなく、通常の会話ではどうか。Asadiらは、粒の放出率が声の大きさ(振幅)に応じて増えることを示した[6]。範囲は小さい声から大きい声まででおよそ毎秒1〜50個で、英語・スペイン語・中国語・アラビア語のいずれの言語でも同様だった。

この数字を、国立医薬品食品衛生研究所の研究者の回答(5分間の会話で約3千個)[5]と同じ単位にそろえてみる。5分は300秒なので、3000÷300で毎秒約10個。Asadiらの1〜50個の範囲の内側に入る。測定法も被験者もちがう2つの資料で、桁が一致した点は注目できる。同時に、毎秒1〜50個が1分続くなら60〜3000個になるが、会話には間があるので、これは目安にとどまる。

同じ条件でも、ごく一部の被験者は約10倍多く粒を放出し、論文は「スーパーエミッター(speech superemitters)」と呼んだ。放出量の個人差が1桁ある以上、「会話では毎秒○個」と平均で言い切ることはできない。

注意点もある。この個数は大小の区別なく数えた値で、すべての粒が感染力をもつわけではない。また、要旨ベースの数字であり、原文の条件(測定した粒の大きさの範囲など)まで確かめられていない。

放出された粒は、その後どう運ばれるのか。

5. つぶは 空気の くもに のって すすむ

5. 粒は1つずつではなく、空気の雲に乗って進む

5. 乱流の雲が、小さな粒を浮かせたまま運ぶ

出た つぶは、1つずつ ばらばらに とぶ わけでは ありません。まとめて、空気の くものような かたまりに のって すすみます[7]。

さむい 日に はく 白い 息が、ふわっと ひとかたまりに なって すすむのと 同じような ものです。ただし 本当は、つぶが 見える わけでは ありません。小さい つぶは、この かたまりの 中で ぐるぐる まわされて、ういた ままに なります。そのぶん、とおくまで とどきやすく なります。

日本の しらべた ひとたちも、スーパーコンピュータの 「ふがく」で しらべました。ひまつの とび方は、空気の ながれや しつどに おおきく よると 書かれて います[8]。

では、息の 中に 水が ふくまれて いる ことは、うちで たしかめられるでしょうか。つぎの しょうで ためして みましょう。

口から出た粒は、1つずつ弾丸のように飛ぶのでしょうか。2014年の論文は、咳やくしゃみの噴出は、大きさのちがう粒をふくむ「浮き上がる力のある乱流の雲」として観察される、と述べています[7]。

乱流とは、うずまくように乱れた流れのことです。この雲の中では空気がぐるぐる循環していて、いちばん小さい粒は雲の中に浮かんだまま運ばれます。論文は、この循環が粒が届く範囲を伸ばすと述べています。

粒1つ分の飛び方を考えるより、粒を連れた空気のかたまりがどう進むかを見る。この見方が、距離や広がり方を考える出発点になります。

日本でも、理化学研究所と神戸大学のチームが、スーパーコンピュータ「富岳」で飛沫の飛び方を調べました。飛散の経路は、周りの空気の流れ・湿度・温度に大きく左右されると報じられています[8]。くしゃみの粒の行方は、粒自身の大きさだけでなく、周りの空気の状態でも変わるということです。

では、息の中に水分がふくまれていることは、家で確かめられるでしょうか。

放出された粒の運搬は、粒を個別の弾道として扱うだけでは説明しきれない。Bourouibaらは2014年、咳やくしゃみの噴出は、さまざまな大きさの飛沫を含む多相の乱流の浮力をもつ雲として観察されると報告した[7]。多相とは、空気(気体)と液体の粒が混在する状態、乱流とはうずを巻いて乱れる流れを指す。

この雲の内部の循環が、最も小さい粒を浮かせ続ける。そのため、小さい粒は雲の中で落ちにくく、病原体の届く範囲を伸ばすと論文は述べる。一方、粒の飛距離を示す個別の数字は、一次資料の原文で確認していないため、ここでは載せない。

日本の理化学研究所・神戸大学のチームは、スーパーコンピュータ「富岳」で、飛沫の飛散が感染者と周囲の間の空気の流れ・湿度・温度に大きく依存することを調べている[8]。

ここまでの数字は、測り方と出典で幅があった。では、その幅を自分の手で確かめ直すには、どう計算すればよいか。

6. うちで やってみよう

6. 息の中の水分を鏡で見て、数字を計算し直す

6. 資料ごとの数のちがいを、自分で計算し直す

きれいな かがみか まどガラスに、口を ちかづけて、「はー」と 息を かけて みましょう。ガラスが くもります。息には、水の つぶが ふくまれて いる しるしです。

つぎに、小さい 声で 「あー」、大きい 声で 「あー」と 言いながら、おなじ ばしょに 近づけて みましょう。くもり方は、ちがうでしょうか。ただし くもりは、息の 中に 水が ある しるしで、つぶの 数や 空気の くもを たしかめる ものでは ありません。

くしゃみの つぶの 数は、数え方に よって やく25ばいの ちがいが ありました。数を くらべる ときは、何を どう 数えたのかも 見て みましょう。

家にある鏡や窓ガラスで、息の中の水分を見ることができます。口を近づけて「はー」と息をかけると、ガラスが曇ります。息にふくまれる水分が冷たいガラスについたしるしです。小さい声と大きい声で「あー」と言いながら近づけて、曇り方を比べてみるのもおもしろいでしょう。曇りは息の中に水分があるしるしで、粒の数や空気の雲を確かめるものではありません。

もうひとつは、計算し直すことです。この記事の数字は、約4万個と約100万個(約25倍)、1946年の測定と2019年の測定、というように、出典ごとに測り方が異なります。数字を見つけたら、「何を、どう数えたのか」を確かめる習慣がつくと、ニュースの数字を見る目が変わります。

2016年の論文は、粒の大きさ分布の測り方に合意がないと指摘していました。くしゃみの粒の数にも約25倍の幅があるので、1つの数字だけを見て「何個」と決めないようにしたいところです。

この記事の数字は、出典ごとに測り方が異なる。自分で検算してみるとよい。たとえば、5分の会話で約3千個を毎秒に直すと約10個、Asadiらの1〜50個の範囲に収まる。くしゃみの約4万個と約100万個の比は約25倍だが、咳の約3千個と約5千個の比は約1.7倍にとどまる。同じ「粒の数」でも、資料の組み合わせによって比べた結果が大きく変わる。

もう一歩進めるなら、Duguidの測定の幅も使える。粒の元の直径は1〜2000マイクロメートルで、最頻の4〜8マイクロメートルとは桁が3つ近く開く。会話の最大の峰(約145マイクロメートル)と最小の峰(約1.6マイクロメートル)の比は約90倍だった。「大きさ」の幅も「個数」の幅も、1つの数字に畳めないことが、手元の計算だけで見えてくる。

数字を比べるときは、何をどう数えた値かをそろえて見る。この記事の資料のあいだでも、くしゃみ1回の個数は約25倍、咳は約1.7倍と、組み合わせで開きが変わった。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文の数字・説明は、次の資料をもとにしています。論文の要旨で確認したものと、原文まで開けていないものがあります。

  1. 日本医事新報、くしゃみの反射経路の解説 https://jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=5943 (くしゃみの反射の経路)
  2. Scharfman et al. 2016, Visualization of sneeze ejecta, Experiments in Fluids 57:24 https://doi.org/10.1007/s00348-015-2078-4 (口の外での液の分裂と、粒の大きさ分布が測り方で割れること)
  3. Johnson et al. 2011, Modality of human expired aerosol size distributions, Journal of Aerosol Science https://scholars.cityu.edu.hk/en/publications/modality-of-human-expired-aerosol-size-distributions/ (粒の大きさの3つの山と3か所の発生源)
  4. Duguid 1946, Journal of Hygiene 44 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC2234804 (1946年の粒の大きさの測定)
  5. BioNumbers ID 108797(日本医事新報に掲載された国立医薬品食品衛生研究所の研究者の回答も参照) https://bionumbers.hms.harvard.edu/bionumber.aspx?id=108797 (咳・くしゃみ・会話の粒の数の比較)
  6. Asadi et al. 2019, Scientific Reports 9:2348 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30787335/ (会話での粒の放出量)
  7. Bourouiba et al. 2014, Violent expiratory events: on coughing and sneezing, Journal of Fluid Mechanics 745 論文のページ(Cambridge University Press) (粒を運ぶ空気の雲)
  8. 理化学研究所 計算科学研究センター 坪倉チーム資料 https://www.r-ccs.riken.jp/wp/wp-content/uploads/2020/10/20200617tsubokura.pdf (飛散と空気の流れ・湿度・温度の関係)

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