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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

まげても あたためると もとの かたちに もどる 金属きんぞくが あるのは、どうして?

ライターでのびた金属、形状記憶合金はなぜ元の形に戻るのか

形状記憶合金ニチノールが曲げても元に戻れる理由:結晶の二つの相と、温度・力による変態

分野:技術

おりたたんだ ほそい 金の 板に、ライターの ねつを あてたら、板が ひとりでに のびた。むかし、アメリカの けんきゅうじょで、そんな ことが あったと つたえられて います。

ふつうの 金属きんぞくは、まげたら まげたままです。どうして この 金ぞくは、あたためると もどるのでしょう。この ページを 読むと、金属きんぞくの 中の ならび方が 二つの 顔を もつことと、それが 何に つかわれて いるかが わかります。

折りたたんだ細い金属の板に、ライターの熱を近づけると、板がひとりでのびた。アメリカ海軍の研究所で、1960年前後にそんな場面があったと伝えられています[2]。ふつうの金属は、曲げたら曲げたままです。この板はなぜ、温めただけで元の形に戻れたのでしょうか。

この記事を読むと、金属の中の結晶が低い温度と高い温度で「二つの顔」を持つことと、その性質が血管の中の筒や火星探査車のタイヤの試作にまで使われている理由が分かります。

折りたたんだニッケルチタン合金の細板に、研究所の幹部がライターで熱を当てると、板がのびた。アメリカ海軍の兵器研究所での出来事として伝わる話である[2]。ふつうの金属は、ひずみが0.1〜0.2%を超えると元に戻らないのに、この合金は最大で約11%まで戻れるとされる[5]。差は、およそ55〜110倍にもなる。

なぜそんなことが可能なのか。この記事を読むと、低温相の双晶の変形、加熱による逆変態、力だけで戻る超弾性の三つが、同じ結晶の「二つの相」から説明できることと、その限界が分かる。

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1. 火を ちかづけたら、板が のびた!

1. 折りたたんだ板が、ライターの熱でのびた

1. ミサイルの部品探しから出てきた「のびる板」

この 金ぞくは、ニッケルと チタンを ほぼ 同じ かずだけ まぜた ものです。ニチノールと よばれます。

アメリカの かいぐんの けんきゅうじょで、ミサイルの 先に つかう 強い 金ぞくを さがす 中で、1959年ごろから あつかわれた そうです。

おりたたんだ 細い 板に、えらい 人が ライターの ねつを あてると、板が のびました。まわりの 人は、びっくりしたと つたえられて います。

名前の ニチノールは、ニッケル、チタン、けんきゅうじょの 名前の 頭文字を あわせた ものです。

始まりは、ミサイルの先端部分に使う、くり返しの力に強い合金を探す仕事でした。1959年、アメリカ海軍兵器研究所(NOL)でその担当になったビューラーが、ニッケルとチタンの合金を扱いはじめます[1]。

のびる板の場面はその少しあとです。折りたたんだ細い板に、研究所の幹部がパイプ用のライターで熱を当てると、板がのびた、と伝えられています[2]。合金の名前ニチノール(Nitinol)は、Ni(ニッケル)、Ti(チタン)、NOL(研究所の略称)をつないだものです[1]。

ただし、この性質を見つけたのは彼らが最初ではありません。形状記憶の現象は、1932年にスウェーデンの研究者が金とカドミウムの合金で観察したのが最初とされています[3]。ニッケルチタン合金が特別なのは、丈夫で、しかもよく戻ることです。では、ふつうの金属との差はどこにあるのでしょう。

この合金が最初に注目された経緯は、基礎研究ではなく、部品探しだった。1959年、アメリカ海軍兵器研究所(NOL)のビューラーは、ミサイルのノーズコーンに使う、疲労に強い合金を探す仕事を割り当てられ、ニッケルとチタンの合金を扱った[1]。

形状の回復が人の目にふれたのは、その少しあとである。折りたたんだ細板に、研究所の幹部がパイプ用ライターで熱を当てると板がのびた、という話が伝わる[2]。ただし年は資料でゆれ、1959・1961・1962年と書くものがあるため、ここでは「1960年前後」としておく。合金名ニチノールは、Ni、Ti、NOLを合成した語である[1]。

では、形状記憶という現象そのものの発見者はこの人たちか。そうではない。金とカドミウムの合金で似た現象を観察した報告は1932年にさかのぼり、変形したマルテンサイトの加熱による回復が明確に示されたのは1951年の金カドミウム合金の研究だという。ニッケルチタン合金の形状記憶効果の報告は、ビューラーらによる1963年の論文で認められている[3]。この合金が特別なのは、強く、しかもよく戻るからだ。その差を、次にひずみの大きさで見る。

2. ふつうの 金ぞくは もどらないのに、なぜ?

2. ふつうの金属は戻らないのに、この合金はなぜ戻れるのか

2. 戻れる量が、ふつうの金属のおよそ55〜110倍になる理由

クリップを すこし まげても、手を はなすと もどります。でも、大きく まげると、まがった ままに なります。

ふつうの 金属きんぞくが もどれるのは、ほんの すこしだけ。10cmの はりがねなら、もとに もどれる のびは 0.1〜0.2mmくらいまでです。

この 金ぞくは、10cmなら、さいだいで 11mmも のびて もどれるとされます。

ひみつは、金属きんぞくの 中の 結晶けっしょうの ならび方に あります。ひくい 温度では、ならび方が ぐにゃっと かわりやすい かたちに なって います。まげると、結晶けっしょうの 向きが かわるだけで、ばらばらには なりません。

そして、あたためると、もとの ならび方に もどります。そのとき、形も もとに もどるのです。

ふつうの金属は、少し曲げただけなら元に戻ります。けれども限界は小さく、ひずみ(もとの長さに対するのびの割合)が0.1〜0.2%を超えると戻らなくなります[5]。長さ10cmの針金なら、のばせるのは0.1〜0.2mmです。それ以上は、結晶の面がずるっとずれてしまう「すべり」が起こり、ずれは元に戻りません。

ニッケルチタン合金が回復できるひずみは、最大で約11%とされます[5]。10cmなら11mmです。ふつうの金属の55〜110倍にあたります。ただし11%は最大の値で、実際の製品ではもう少し小さい範囲で使われます。

この差を生むのが、結晶の二つの顔です。高い温度では、ニッケルとチタンの原子が立方体のきれいなならびになります(オーステナイト)。低い温度では、ゆがんだ、対称性の低いならびになります(マルテンサイト)[1]。低温側は、同じ結晶の中にある向きのちがう部分の境目が小さな力で動くため、ゴムのようにやわらかく変形します[1]。ずれないので、原子どうしの位置関係は保たれたままです[5]。

この低温の形を、温めて高温側のならびに戻すと、形も元に戻る。これが答えの骨組みです。次は、なぜ「元の形」を覚えていられるのかを見ます。

ふつうの金属では、弾性変形はひずみ0.1〜0.2%までである。それを超えると結晶面の間でのすべりが起こり、永久変形が残る。たとえば長さ10cmの針金なら、戻れるのびは0.1〜0.2mmにすぎない。一方、ニッケルチタン合金が回復できる最大ひずみは約11%(銅系の形状記憶合金では20%)とされる[5]。10cmなら11mmで、比にすると55〜110倍である。この11%は最大値であり、実用の設計値がそのまま11%になるわけではない。

差の原因は、結晶構造が温度によって二つの相をとることにある。この合金は、原子数でニッケルが約50〜51%の、ほぼ1:1の組成をもつ(重さにすると55〜56%で、重量比と原子比は別の数字である)。高温では対称性の高い立方晶(オーステナイト)、低温では対称性の低い単斜晶(マルテンサイト)になる[1]。ウィスコンシン大学の教材は、高温相は比較的かたく、低温相はとても弾性的だと述べる[4]。

低温相が曲がるのは、すべりでなく双晶変形によるからだ。双晶とは、同じ結晶の中にできる、向きの異なる領域どうしのことだ。その境界が小さな力で動くため、英語版Wikipediaの解説では、約6〜8%のひずみを永久変形なしに受けもてるとされる[1]。この数字は組成や処理で変わるおおよその目安である。いずれにせよ、原子の位置関係が保たれたまま形が変わるので、高温相へ戻す道が残っている[5]。

では、その「戻す道」は具体的にどう動くのか。次に、原子の動き方を見る。

3. もとの 形は、どこに おぼえて いるの?

3. 「元の形」は、原子のならび方に書きこまれている

3. 拡散せずに動く原子が、元の形への道を残す

この 金ぞくの 中では、原子げんしが 校庭に ならぶ 子どものように ならんで います。あたたかい ときと つめたい ときで、ならび方が ちがいます。

つめたい ときの ならびは、向きを かえても、となりどうしの ならびじゅんは かわりません。だから、いつでも もとへ もどれるのです。

あたたかい ときの ならびが、おぼえて いる 形です。

ただし 本当は、原子げんしが 考えて うごく わけでは ありません。ねつや 力で、ならび方が ひとりでに かわります。

「記憶」という言葉は、少し大げさです。金属が何かを頭に入れているわけではなく、高い温度で安定な原子のならび方が、そのまま元の形を決めています。

低温相へ変わるとき(マルテンサイト変態)、原子はばらばらに動き回りません。たがいの位置関係を保ったまま、そろって少しずつ動きます[5]。ウィスコンシン大学の教材は、この様子を「原子のバレエ」と呼んでいます[4]。みんなが隣の子との距離を保ちながら、向きだけを変える整列のようなものです。

そのため、曲げた後も、どの原子が誰の隣だったかが残っています。温めると、そろって高温相のならびに戻ります。曲げられた形は、いったん低温相の中に収まっているだけで、高温相の形は失われていないのです。

この性質は、ニッケルとチタンの比に敏感です。1:1から数%ずらすと、変態の起こる温度が変わると説明されています[4]。戻る温度を決められるのかは、次の節で見ます。

この戻り方の鍵は、マルテンサイト変態が拡散を伴わない点にある。原子が長い距離を移動して入れかわるのではなく、すべりもなく、原子どうしの位置関係が保たれたまま、そろって動く[5]。ウィスコンシン大学の教材は、温度や力で原子が位置を変える様子を「原子のバレエ」とたとえた[4]。

もし変形の途中で原子の入れかわりやすべりが起きれば、どの原子がどの原子の隣だったかという対応が失われ、戻る道もなくなる。だから、低温相で双晶変形させた後に加熱すると、逆変態が起こって全体が高温相に戻り、形も元に戻る[1]。「元の形」を決めているのは高温相のならびであり、金属が別に何かを記録しているわけではない。

この変態はニッケルとチタンの比に敏感で、1:1から数%ずらすだけで変態温度が変わる[4]。さらに4つの特性温度が定められている。マルテンサイトができはじめる温度Ms、完了するMf、逆変態がはじまるAs、完了するAfである。実際に使うときは、Afが室温や体温より上か下かが、特性を分ける。次に、その温度の幅を見る。

4. なん度で もどるかは、えらべるの?

4. 何度で戻るかは、あとから決められるのか

4. 変態温度Afの設計範囲と、行きと帰りの温度差

もどる 温度は、まぜる わりあいを すこし かえると、かえられます。

お湯で もどる ものも、体温で もどる ものも、つくれます。マイナスの 温度で もどる ものも あります。

ただ、行きと 帰りは 同じ 温度では ありません。あたためて もどる 温度と、ひやして また やわらかく なる 温度は、20〜50度くらい ずれます。

戻りはじめる温度や戻り終える温度は、ニッケルとチタンの比などの調整で変えられます。完全に高温相に戻る温度(Af)は、組成の調整でおよそ−20℃から+110℃の範囲に設定できます[1]。体温より低く設定すれば、体の中で自然に元の形に戻る部品が作れます。

もう一つ注意したいのは、行きと帰りの温度が一致しない点です。温めて高温相に戻る温度と、冷やして低温相に変わる温度の間には、ふつう20〜50℃の差があります(ヒステリシス)[1]。ほんの少し温めただけで戻りきるわけでも、少し冷えただけで戻るわけでもないのです。

では、温度を変えなくても、力をかけるだけで形が変わることはあるのでしょうか。

変態の温度は用途に合わせて設計できる。Afは組成の調整により、およそ−20〜+110℃の範囲に設定でき、熱ヒステリシス(加熱時の逆変態と冷却時の変態の温度差)は通常20〜50℃である[1]。つまり、加熱で戻る道と冷却で変わる道は同じ温度を通らず、「行き」と「帰り」で20〜50℃のずれが生じる。

設計の実際はこうなる。Afを体温(約36℃)より低く決めれば、体内では高温相のまま、元の形をとる。逆に、Afを室温より高くすれば、室温では低温相でやわらかく、加熱した時だけ元の形に戻る。同じニッケルチタンでも、Afをどこに置くかで、働きが変わる。

ここで一つ疑問が出る。Afより高い温度、つまり最初から高温相の状態で力をかけたらどうなるのか。その答えが「超弾性」である。

5. あたためなくても、力を ぬくだけで もどる?

5. 温めなくても、力を抜くだけで戻る「超弾性」

5. Af以上で現れる超弾性と、その温度の上限

もう ひとつ ふしぎな ことが あります。もとから あたたかい ときの 金ぞくに 力を かけると、ゴムのように のびて、力を ぬくだけで もどる ことが あります。

力で、ならび方が かわり、力を ぬくと もとに もどるからです。これを「ちょうだんせい」と よびます。ふつうより ずっと よく はずむ、という いみです。

ただし、この 力で かわる ことが できる 温度には、かぎりが あります。ある 温度より ずっと あつく なると、こう ならない のです。

Af以上の温度、つまり最初から高温相になっている状態で力をかけると、力に押されて一部がマルテンサイトに変わります。そこで力を抜くと、すぐ高温相に戻ります。これが「超弾性」です[1]。ほぼ一定の力のまま、数%も曲がって、手を離せば戻ります[5]。

低温相では温めないと戻らなかったのに対し、超弾性では温度を変えずに、力の出し入れだけで戻れます。やわらかい金属の針金が、ばねのようにはずむわけです。

ただし、この効果には温度の上限があります。力で低温相を作れるのは、Afより約40℃高い温度(Md温度)までとされます[1]。それより熱くなると、この「力を抜くだけで戻る」性質は得られなくなります。

この二つの性質、「温めて戻る」と「力を抜いて戻る」を、医療は上手に使いました。

Af以上では、力をかけると高温相の一部がマルテンサイトに変わり、力を抜くだけで高温相に戻る。この応力誘起マルテンサイトによる現象が超弾性で、ほぼ一定の力で数%の可逆的な変形が生じる[1][5]。

低温相の形状記憶では「変形した後、温めて戻す」のに対し、超弾性では温度を変えず、力の出し入れだけで往復できる。同じ二つの相の変態が、温度で起きるか、力で起きるかの差である。

この効果には上限がある。応力誘起マルテンサイトが生じるのはAfより約40℃高い温度(Md)までで、それを超えると超弾性の効果は現れなくなる[1]。したがって「いつでも、どこでも戻る」わけではない。目的の使用温度に対して、AfとMdの位置が決まることが、材料設計の前提になる。

この二つの性質は、人の体の中で使うのに向いている。体温はほぼ一定で、温度をあらかじめ設定できるからだ。

6. 血管けっかんの 中と、火星で つかわれて いる

6. 血管の中で広がる筒と、火星を走るタイヤの試作

6. 体内のステントから火星探査車のタイヤ試作まで

この 金属きんぞくは、体の 中でも つかわれて います。血の 通る 血管けっかんを ひろげる、ステントという 小さな つつが あります。ほそく たたんで 血管けっかんの 中に 入れると、体温で あたためられて、ひろがります。

はを ととのえる ワイヤや、めがねの わくにも つかわれます。

アメリカの NASAは、この 金属きんぞくで、火星を 走る くるまの ばねの タイヤを つくって います。いわに ぶつかって つぶれても、また もとの 形に もどるのです。

2024年の 秋に、イギリスの 火星に にた 場所で 走る テストを しました。まだ 火星に 行った ものでは ありません。

医療では、血管を内側から支えるステントという細い筒に使われています。細くたたんでさやに入れ、血管の中で出すと、体温であたためられて元の筒の形に広がります[1]。細くしておけば運びやすく、広がるのは目的の場所に着いてからです。

歯並びを整えるワイヤは、体温であたたまると弱い力を長く保ちます。眼鏡のフレームにも使われています[5]。

新しい行き先は火星です。NASAのグレン研究センターは、タイヤメーカーのグッドイヤーと組み、ニッケルチタンのばね式タイヤを火星探査車向けに開発しています。従来の鋼のばねのタイヤは、岩にぶつかった衝撃で永久変形してしまう問題がありました。ニッケルチタンのタイヤは、岩を越えて曲がっても、元の形に戻ります[6]。

走行試験は、2024年秋、イギリスの火星地形を模した施設で行われ、2025年1月21日付けで発表されました。ただし、まだ打ち上げられたものではありません[6]。

医療では、細くたたんだステントをさやに入れて血管に運び、さやから出すと体温で元の形に広がる[1]。矯正用のワイヤは体温で温まり、弱い力を長時間保つ。眼鏡のフレームや歯列矯正ワイヤは、ニッケルチタンの用途として挙げられている[5]。ステントの具体的な縮み率や、日本での実用の経緯は、手元の資料にない。

用途は宇宙にも広がっている。NASAグレン研究センターは、グッドイヤーと組んで、ニッケルチタン形状記憶合金のばね式タイヤを火星探査車用に開発中である。従来の鋼製ばねタイヤは、岩に当たった衝撃で永久変形するという問題があった。新しいタイヤは、タイヤの外側が岩の上でたわんだり、厳しい衝撃を受けたりしても、元の形に戻るという[6]。

2024年秋、英国の火星地形模擬施設で走行試験が行われ、2025年1月21日付で発表された。ただしこれは試験段階で、実際に火星に送られたものではない[6]。ここまでの数字を見ると、11%という最大ひずみは、材料の限界を示す数字で、タイヤの設計値とは別である。戻れる量が大きいことは、岩に当たると永久変形が残る鋼のばねの弱点に、そのまま対応する性質である。

7. クリップで 「すこし」の 大きさを ためして みよう

7. 身近な金属で「少し」の大きさを比べる

7. 「戻れる量」を自分の手で確かめ、原典に当たる

きょう できる こと

おとなの 人と いっしょに、紙を とめる クリップを 一つ のばして、はしを 小さく まげて みましょう。ほんの すこしなら、手を はなすと もどります。もう すこし 大きく まげると、まがった ままに なります。

この 「すこし」が、ふつうの 金属きんぞくの もどれる 大きさです。ニチノールは、これより ずっと 大きく まげても もどります。

聞いて みよう

めがねを 作る おみせで、フレームが なにで できて いるかを 聞いて みましょう。ニッケルと チタンの ものが あるかも しれません。

はりがねの はしは 先が とがって いるので、手を ちかづけすぎないように しましょう。

今日できること

おとなの人といっしょに、事務用のクリップを一つのばして、ほんの少しだけ曲げて手を離します。戻るか、戻らないかを見ます。次に、もう少し大きく曲げます。曲がったままになる境目が、ふつうの金属の「少し」の大きさです。ニッケルチタン合金は、この境目が数十倍ちがうと考えられます。針金の先は鋭いので、手を傷つけないよう気をつけます。

聞いてみる

眼鏡店で、フレームの材料を聞いてみるのも手です。ニッケルチタンを使った製品がある、とされています[5]。ただし、売り場で曲げるのはやめましょう。

原典を読む

もう一つ、家にある細い紙を丸めて転がし、元の形に戻るものと戻らないものを比べてみるのもよい方法です。英語ですが、NASAの記事にはタイヤの写真と実験の説明があります[6]。日本語では、イミダスの「形状記憶合金」の項目が基礎をまとめています[5]。

家でできる確認

おとなの人といっしょに、ふつうのクリップをのばして長さを測り、端を少しだけ曲げて離して戻るかを調べる。次に、少しずつ大きく曲げて、戻らなくなる境目を見つける。この境目は、ひずみの限界を手で感じる目安になる。数値そのものを確かめるには、長さの変化を測る必要がある。針金の先は鋭いので、取り扱いには気をつける。

疑問を持つ

このページの数字は、2つの点に注意して読んでほしい。ひとつは、11%が最大値で、実用の値はもっと小さい点。もうひとつは、1959・1961・1962年と年がゆれる点である。資料どうしが食いちがう箇所は、原典に当たるのがいちばんよい。

原典・資料案内

NASAグレン研究センターの火星タイヤの記事(英語)が、一次資料である[6]。基礎知識は、イミダスの「形状記憶合金」の項目[5]と、ウィスコンシン大学の教材[4]に、日本語・英語の入口がある。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文で使った資料です。

  1. Wikipedia「Nickel titanium」. https://en.wikipedia.org/wiki/Nickel_titanium (二つの相・双晶・超弾性・変態温度)
  2. COMSOL Blog: SMAs Never Forget Their Shape. https://www.comsol.com/blogs?p=259461 (ライターで板がのびた話)
  3. Confluent Medical: A Historical Perspective. https://confluentmedical.com/reference/a-historical-perspective/ (形状記憶効果の観察の歴史)
  4. University of Wisconsin MRSEC: Memory Metal. https://education.mrsec.wisc.edu/memory-metal/ (原子の位置の変化・組成と変態温度)
  5. イミダス 時事用語事典「形状記憶合金(SMA)」. https://imidas.jp/genre/detail/K-129-0106.html (回復できるひずみ・原子の動き・用途)
  6. NASA: Revolutionary Tire Tech. https://www.nasa.gov/centers-and-facilities/glenn/nasa-sets-sights-on-mars-terrain-with-revolutionary-tire-tech/ (火星探査車のタイヤ試作)

なおした ところ

更新履歴

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