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せんめんだいの ふちに ある ちいさな あなは、なんの ために あいて いるの?

洗面台のふち近くにある小さな穴は、何のためにあるのか

洗面ボウルのオーバーフローの穴は何のためにあり、入った水はどこへ流れるのか

分野:技術

せんめんだいの ふちの ちかくに、ちいさな あなが あいて います。この あなは、みずが あふれない ために ある ものです[1]。ところが、この あなが ない せんめんだいも あります[2]。

あなの なかへ はいった みずは、どこへ いくのでしょう。あなが なくても こまらないのは、どうしてでしょう。この きじを よむと、あなの やくめと、みずの いきさき、あなの ない せんめんだいの ことが わかります。

洗面台のふちに近い内側に、小さな穴が開いています。この穴は、水をためすぎてもあふれないようにするためのものです[1]。ところが、この穴のない洗面器もあります[2]。

穴に入った水は、どこへ流れていくのでしょうか。なくてもよいものなのに、なぜ多くの洗面台についているのでしょうか。この記事を読むと、穴の役目、水の行き先、空気との関係、穴のない洗面器があることが分かります。

洗面ボウルのふち近くにある穴は、栓をして水をためたときのあふれ止めである[1]。しかし、この穴は必須の部品ではなく、最近のデザイン性の高い洗面器には、穴がないものもある[2]。

では、穴に入った水は、排水管のどこへ合流するのか。なぜ、あふれ止めの管はU字管(トラップ)の手前でなければならないのか。この記事を読むと、穴の役目と水の通り道、副次的な空気の働き、穴のない洗面器があることが分かる。

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1. せんを して みずを ためると、みずは どこで とまるの?

1. 栓をして水をためると、水は穴から排水管へ流れる

1. 栓をしたボウルで、水位が穴に届いたとき何が起きるか

せんを して、せんめんだいに みずを ためて いきます。みずの たかさが ふちの ちかくの あなに とどくと、みずは あなの なかへ ながれ こんで いきます。この あなは、ふちを こえて あふれるのを ふせぐ ための しくみです。

この あなは「オーバーフロー」と よばれます。みずを ためすぎた ときに、あふれにくく する ための あなです[1][3]。

たとえば、バケツの ふちの すこし 下に あなを あけると、みずが ふちから あふれにくく なります。せんめんだいの あなも、これに にて います。ただし ほんとうは、あなの みずを そとに すてるのでは なく、はいすいの くだへ ながす しくみです。

では、あなに はいった みずは、どこへ いくのでしょう。

洗面台の栓を閉めて、水をためていく場面を思いうかべてください。水面が上がり、ふちに近い穴の高さに届くと、水はその穴の中へ流れ込みます。穴が水を流してくれるので、ふちを越えて床にあふれるのを防ぐ助けになります。

この穴が「オーバーフロー」です。栓をして水をためたとき、たまりすぎてあふれないために付けられている、と複数の解説で説明されています[1][3]。

バケツのふちの少し下に穴を開けると、水がふちからあふれにくくなります。それと同じ考え方で、あふれるのを防ぐ助けになります。ただし洗面台の穴は、水を外に捨てるのではなく、排水の管へ送る仕組みになっています。

では、穴に入った水は、排水管のどこへつながるのでしょうか。

栓をしたボウルに水を入れ続けると、水位はやがて、ふち近くの穴の高さに達する。そこから先は、水は穴へ流れ込む。これが洗面ボウルのオーバーフローの役目であり、栓をして水をためたときに、たまりすぎてあふれるのを防ぐためにつけられていると、水まわりの解説記事は説明している[1][3]。

水位が上がりすぎる前に水の逃げ場をつくる点は、バケツの縁より少し下に穴を開け、あふれにくくするのに似ている。ただし洗面ボウルの場合、穴の先は外ではなく排水管につながっているので、水は捨てられるのではなく、通常の排水と同じ経路へ送られる。

言い換えれば、オーバーフローは「ためた水の高さを決める部品」ではなく、「ためすぎたときの逃げ道」である。その逃げ道は、どこへ続いているのか。

2. あなに はいった みずは、どこへ いくの?

2. 穴に入った水は、U字管の手前で排水管に合流する

2. 穴の奥の管は、トラップの入口側で排水管に合流する

あなに はいった みずは、はいすいかんへ つながる くだを とおります。そして、U字の かたちを した くだの すこし てまえで、ふとい はいすいかんに ながれ こみます[1]。

U字の くだには、いつも みずが たまって います。この みずが ふたに なって、げすいの においや むしが あがって くるのを ふせぎます[1]。

アメリカの はいかんの きまりの せつめいでも、あふれ止めの くだは、U字の くだの てまえだけに つなぐ ことに なって います[4]。みずの ふたを よけて、くだを げすいに じかに つないでは いけない、という ことです。

あなは、ふたの ある みちを とおって ながれる ように できて います。

では、この あなは、みずを ながす ほかに、なにか していないのでしょうか。

穴に入った水は、洗面台の裏側を通る管を流れ、U字管の手前で洗面ボウルの太い排水管に合流します[1]。

このU字管(トラップ)には、いつも水がたまっています。この水がふたの役目をして、下水のにおいや虫が上がってくるのを防ぎます[1]。

手前に合流させることには意味があります。米国の配管規定(UPC)の解説では、洗面器などにオーバーフローをつける場合、その管はトラップの入口側(器具側)にだけつなぎ、トラップをよけて下水側へつないではいけないとされています[4]。これはアメリカの規定の話で、日本の法令の説明ではありません。

つまりあふれ止めの水も、いったん水のふたを通ってから下水へ向かう道をたどります。穴は、においを止める仕組みを壊さないように作られています。

ところで、この穴には、水を逃がす以外の働きもあるといわれます。

穴に入った水は、洗面ボウルの下を通る管を経て、U字管(トラップ)の手前で、ボウルの太い排水管へ合流する[1]。U字管にたまった水は、下水のにおいや虫が室内へ上がってくるのを防ぐ水のふたである。

合流点がU字管の手前であることには、理由がある。米国の配管規定(UPC)に関する解説は、洗面器・流し・ビデにはオーバーフローを必須としていない、と述べる。そのうえで、つける場合はオーバーフロー管をトラップの入口側(器具側)にだけつなぎ、トラップを避けて下水側につなぐことは認められないとする[4]。あふれ止めの水も、水のふたを通ってから下水へ向かうつながり方にする、という決まりである。

ただし、これは米国の規定の解説であり、日本の規格・法令の内容ではない。日本の規定として読むことはできない。

ここまでは、穴は水の逃げ道として説明できる。だが、解説記事には、穴にはもうひとつ別の働きがあるとするものがある。

3. あなは、くうきの とおりみちにも なるの?

3. 穴は、空気の通り道にもなるといわれる

3. オーバーフローは、排水管の空気の通り道にもなるのか

ペットボトルの みずを、さかさまに して でして みると、ごぼごぼ いって、でにくい ことが あります。くうきが はいる みちが ないと、みずは すっと でて いきません。

ほそい はいすいかんも、おなじような ことが おきる と いわれます。くうきが はいらないと、みずが つまった ように ながれ、ごぼごぼ おとが したり、みずが もどって きたり する ことが あります[6]。

あなから くうきが はいると、みずが ながれやすくなる、という せつめいが あります[6]。あなの いちばんの もくてきは、みずの あふれ止めです。くうきの とおり みちは、おまけの はたらきと いわれて います[5]。

すると、あなの ない せんめんだいは、どう なって いるのでしょう。

ペットボトルの水を逆さにすると、ゴボゴボと音がして出にくいことがあります。空気の入る道がないと、水は流れにくいのです。

細い洗面台の排水でも、空気が入らないと水が詰まったように流れ、ゴボゴボという音や逆流が起こることがある、という説明があります。穴から空気が入ると水が流れやすくなる、ともいわれます[6]。

海外の住宅建築の専門誌も、オーバーフローは本来の目的ではないものの、水が流れ落ちるときに排水管内の空気を逃がす副次的な利点がある、と書いています[5]。この専門誌の筆者は、穴のない鉢型(ベッセル)シンクは排水が遅くなりがちだとも書いています。

ただし、これは解説記事の説明で、必ず速く流れるとは言い切れません。穴の一番の目的は、あくまであふれ止めです。

では、あふれ止めとして大切な穴を、なくしてしまった洗面器は、どうなっているのでしょうか。

水がたまった洗面ボウルの栓を抜くと、水は排水管へ流れ落ちる。このとき、細い排水管では、空気が入る経路がないと水が詰まったように流れ、ゴボゴボという音や逆流が起こることがあると説明される。オーバーフローの穴から空気が入ると、水が流れやすくなるという説明もある[6]。

住宅建築の専門誌(Fine Homebuilding)は、オーバーフローには本来の目的ではないが、水が流れ落ちるときに排水管の内の空気を逃がす副次的な利点がある、と述べる。同誌の筆者は、穴のない鉢型(ベッセル)シンクは排水が遅くなりがちだともいう[5]。

注意したいのは、これが解説記事・専門誌レベルの説明で、配管の専門資料や論文で裏づけたものではない点だ。排水の速さは、管の太さ、勾配、ほかの通気の経路などにも左右されるだろう。穴があれば必ず速く流れる、とは言い切れない。穴の第一の目的はあふれ止めで、空気の働きは副次的、という位置づけにとどめるのが妥当である。

副次的な働きにとどまるのなら、穴を省く設計もありうる。実際にはどうなっているのか。

4. あなの ない せんめんだいも あるって ほんと?

4. 穴のない洗面器がある ── つけなくてもよい穴

4. 洗面器にオーバーフローをつけるかどうかは、規定と設計で決まる

むかしの せんめんきの あなは、ちいさな あなが みっつ ならんで いるのが ふつうでした。のちに、まるい あなが ひとつ だけの ものが ふえて きたと いわれます[2]。

いまの あたらしい かたちの せんめんきや、かたちを じゅうしした ものには、あなが ない ものも あります[2]。

アメリカの きまりの せつめいでも、あふれ止めの あなは、せんめんきには かならず つけなければ いけない ものでは ない、と されて います[4]。

あなが ない せんめんだいは、みずを ためる ときに じぶんで みて いて、あふれないうちに とめる ひつようが あります。あなが ある せんめんだいでも、あふれ止めは ほんとうに ためすぎた ときの ための ものです。

では、うちや がっこうの せんめんだいは、どう なって いるのでしょう。

昔ながらの洗面器のオーバーフローは、小さな穴が3つ並んだ形が一般的でした。のちに、丸い穴が1つの形が増え、最近のデザイン性の高い洗面器には、穴のないものもある、とイタリアの衛生陶器メーカーの解説は述べています[2]。これはメーカー1社の説明で、いつから変わったかの年代は分かりません。

穴がなくても使えるのは、規定のうえでも必須ではないからです。米国の配管規定(UPC)の解説は、洗面器・流し・ビデにはオーバーフローを要求していない、と述べています[4]。日本の規定については、この記事では扱っていません。

穴のない洗面器では、水をためるとき、自分で水位を見て蛇口を止める必要があります。穴は、ためすぎたときの余裕をつくる部品で、つけるかどうかは設計の選択だといえます。

では、身の回りの洗面台の穴を、見てみましょう。

伝統的な洗面器のオーバーフローは、小さな穴3つの形が一般的で、のちに丸い穴1つへ移った。最新型やデザイン性の高い洗面器には、オーバーフローを持たないものもある、とイタリアの衛生陶器メーカーの解説は述べる[2]。ただし、これは1社の説明で、年代の特定はできない。「いつから穴のない形が現れたか」は、この資料からは言えない。

設計に穴がなくてもよいのは、規定上も必須ではないからである。米国の配管規定(UPC)の解説は、洗面器・流し・ビデにオーバーフローを要求していないと述べる[4]。

穴がなければ、水位が縁に届いたあとの逃げ道はない。利用者が水位を見て蛇口を止める必要がある。一方、穴があっても、あふれ止めは「ためすぎたときの余裕」であって、いつも当てにする部品ではない。さらに、空気の通り道としての働きは副次的で、断定できない[5]。

つまり、オーバーフローは、あふれ止め・水の逃げ道・副次的な空気の働きを持つが、すべての洗面器に不可欠というわけではない。では、家や学校の洗面台では、どうなっているのか、確かめてみよう。

5. あなの かずと いちを、うちの せんめんだいで みて みよう

5. 家と学校の洗面台の穴を見比べる

5. 穴の位置・数・汚れを手がかりに観察する

うちで やって みよう

せんめんだいの ふちの ちかくに、あなが あるか みて みましょう。あなの かずと、いちも みて みます。あなは、ふたつ あったり、ひとつ だけ だったり するかも しれません。がっこうの せんめんだいと くらべて みても おもしろいです。みずを ためる ときは、おとなと いっしょに、せんめんだいの そばを はなれずに みて いて ください。

あなは ちいさくて、せっけんの かすが たまりやすい ところです[1]。よごれが あったら、おとなに おしえて あげましょう。

よんで みたい もの

すんで いる まちの げすいどうの ホームページに、いえの はいすいの せつめいが のって いる ことが あります。「トラップ」という ことばで さがして みましょう。

家でできる観察

家の洗面台のふち近くに、穴があるかどうかを見てみましょう。穴の数と位置は、洗面台によってちがうかもしれません。学校や、出かけた先の洗面台と見比べると、穴のない形に出会うかもしれません。水をためるときは、洗面台のそばを離れず、大人と一緒に見ていてください。

穴は小さく、石けんのカスや水あか、湿気でカビやぬめりがつきやすい場所です[1]。ブラシが入りにくいため、泡タイプの洗剤などで掃除するのが一般的だと説明されています。

資料の探し方

住んでいる自治体の下水道課の資料には、排水設備やトラップの説明が出ていることがあります。「トラップ」「封水」といったことばで探してみてください。

毎日のぞきこんでいる洗面台の穴が、水をためすぎたときの逃げ道であり、においを止める水のふたの手前につながっていると分かりました。ちがう形の穴を見つけたら、水の行き先を想像してみるのも楽しいでしょう。

観察の手順

家や学校の洗面台で、ふち近くの穴の有無・数・位置を観察する。穴の数や形は洗面台によって異なる可能性があり、穴のないボウルを見つけられることもある。水をためて確かめる場合は、そばを離れず、あふれる前に蛇口を閉める。ただし、これは穴の形を確かめる観察であり、穴の奥の管の接続を直接見られるわけではない。

穴は小さく、石けんカスや水あか、湿気によってカビやぬめりが付きやすい。ブラシが入りにくいため、泡タイプの洗剤などで掃除するのが一般的とされる[1]。汚れの付き方も、観察の手がかりになる。

原典にあたる

米国の配管規定(UPC)の解説(IAPMO Code Spotlight, 2019)は、オーバーフローが必須でないこと、管をトラップの入口側にだけつなぐ規定を読める。イタリアの衛生陶器メーカーの解説(Ceramica Flaminia Magazine)には、穴の形の移り変わりが書かれている。日本の洗面器の穴についての規格は、今回の資料には含まれていないので、気になる人は規格を自分で探してみるとよい。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

今回は、穴の役目と水の通り道は住まいの解説サイト、穴を必須としない規定は米国の配管規定の解説、穴の形の変化は衛生陶器メーカーの解説、空気の働きは住宅建築の専門誌と解説記事を突き合わせた。

  1. くらしのマーケット(curama)マガジン https://curama.jp/magazine/1397/ (穴の役目・水の通り道・U字管・掃除)
  2. Ceramica Flaminia Magazine「The overflow hole in a washbasin」 https://magazine.ceramicaflaminia.it/en/the-overflow-hole-in-a-washbasin/ (穴の形の変化・穴のない洗面器。メーカー1社の説明)
  3. OggI(家事の解説記事) https://oggi.jp/6435473 (あふれ止めの役目)
  4. IAPMO「Code Spotlight」(2019) https://forms.iapmo.org/email_marketing/codespotlight/2019/Jan31.htm (米国の配管規定。必須でないこと・トラップの手前につなぐ規定)
  5. Fine Homebuilding https://finehomebuilding.com/?p=182145 (副次的な空気の働き)
  6. Hunker「Why Some Sinks Have 3 Holes」 https://www.hunker.com/2248821/why-some-sinks-have-3-holes/ (空気が入ると流れやすいという説明。解説記事)

なおした ところ

更新履歴

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